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- クエスト/追加クエスト・・4 -


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クエスト ◆

配信クエスト ◆

『禁姦! 人妻真理子・蜜猟記』雨宮 慶


【人妻真理子・蜜猟記】


【1】
 婦人服売場の奥から売場を覗くと、草間真理子はちょうど接客中だった。
 ゆるやかなウエーブがかかって肩まで届いた艶のある髪。いわゆる整った顔の美人というのではないけれど、なんとなく潤んだような眼や、右下にホクロがある、ふっくらとした唇がとりわけ色っぽくて、全体的にもセクシーな雰囲気がただよう顔立ち。Tデパートの制服の縦縞のブラウスとタイトスカートの上からでもわかるほど、均整のとれたプロポーション。
 いいなァ、いままでで最高の人妻だ……。
 本木亮介は真理子を眺めながら、彼女の魅力を再確認した。
 同時に、ちょっぴり不安にもなった。
 真理子の場合も、亮介が持っている人妻落としのノウハウで、いままでのようにスンナリといくかどうか。
 W大三年の本木亮介は、半年前の春からこのTデパートでアルバイトをしている。納品された商品を各売場に運ぶのが、主な仕事である。
 この半年の間に亮介は、すでに四人の女性店員と関係している。それも四人とも三十歳前後の人妻で、正社員とパート、二人ずつだ。
 草間真理子は二カ月前からTデパートにパートとして勤めはじめた。三十二歳。六歳年上の夫は大手証券会社の課長で、今年から幼稚園に通いはじめた子供が一人いる。
 結婚前はファッションメーカーに勤めていたというので、そのセンスを買われて婦人服売場に配属になったらしい。パートでも、ファッションアドバイザーの肩書がついている。
 本木亮介は、これまで機会あるごとに真理子に話しかけて、いろいろなことを聞きだしていた。
「どうしてパートに出ようと思ったんですか?」
 そう聞いてみたこともある。
 主婦がパートに出る動機というのは、家のローンとか子供の教育費とか、少しでも家計の足しに、という経済的な理由がほとんどである。
 ところが草間真理子の場合は、どうも経済的な理由からではないらしい。
 自宅は夫の実家で、実家にはほかにも土地があり、駐車場をやっているというし、真理子自身も東京西郊のニュータウンの駅前にあるTデパートへは、駅ひとつ隔てたところにある自宅からマイカーで通っている。
 わざわざパートに出る必要はない。だから、亮介はそう聞いてみたのだ。
「結婚七年目ともなると、主人のこと、お姑さんとのこと、いろいろあるのよ。それにずっと専業主婦やってると、ストレスが溜まってね。ちょうど子供もあまり手がかからなくなったし、おばあちゃんが面倒を見てくれるし、このへんで外の空気を吸ってみたくなったの」
 真理子はそういっていた。
 その言葉のなかから亮介は、引っかかるフレーズを並べてみた。
 結婚七年目。主人のこと。いろいろある。ストレスが溜まっちゃって。外の空気が吸ってみたくなった……。
 こうしてみると、夫に不満があり、しかも刺戟を求めている、という真理子の気持ちが読めてくる。
 その意味では、ほかの人妻と変わらない。パートに出る理由はどうであれ、三十前後の人妻というのは、ちょうど結婚生活も倦怠期にさしかかり、セックスの面でも欲求不満を抱え刺戟を求めているケースが多い。
 これまで亮介は、年下であることを武器に、そんな人妻の母性本能をくすぐり、そこに付け入って関係を持ってきた。
 もっとも、このパターンが真理子にそのまま当てはまるとはかぎらない。彼女の気持ちにしても、亮介の都合のいい解釈にすぎないかもしれない。
 まして真理子は、いままでに彼が食ったなかでも、もっとも魅力的な人妻だ。
 はたして、うまくいくかどうか、亮介にも確たる自信はなかった。


 そのとき、接客を終えた真理子が、ほかの店員に「お先に……」と声をかけて、売場の奥に向かってきた。彼女の勤務時間は、開店の午前十時から午後四時までで、もう勤務が終わる時間だった。
「あら、本木くん」
 にこやかに笑いかけてきた。
「なにか?」
「さっきから草間さんを見てたんですよ」
「わたしを?」
 うなずいて亮介はいった。
「草間さんて、とても幼稚園に通ってる子供がいるようには見えないなァ、なんて思いながら」
「いやァね、またオバサンをからかったりして。お世辞をいってもご褒美は出ないわよ」
「お世辞なんかじゃないですよォ。草間さんのほうこそ、からかわないでくださいよ。これでも俺、ウブなんですから」
 真理子はクスッと笑った。
「おかしな人ねェ。ウブだなんていいながら、わたしなんかにはけっこうなことをいうくせに。本当に恋人いないの?」
「ええ、自慢じゃないけど」
「でもモテるでしょ。本木くんてハンサムだもの」
「そんな……俺、同じ年頃の若い女って苦手なんですよ、わがままだから」
「確かに最近の若い女の子ってそうみたいだけど……じゃあ本木くん自身、たとえば年上の女性に甘えたいほうのタイプなの?」
「ていうか、年上の女の人だと、いろいろ教えてもらえるんじゃないかと思って……」
「教えてもらえるって?」
 小さなバッグを小脇に抱えた真理子が、怪訝な顔で聞く。
 亮介は、真理子と並んで業務用のエレベーターがある場所に向かいながら、せいいっぱいはにかんでみせていった。
「こんなこというの恥ずかしいんだけど、まだ俺、女性の経験がないんです」
「え!?……本木くん、童貞だったの?」
「そうなんです。格好悪いけど」
 そういいながら真理子の反応をうかがう。意外だという顔をしていたが、明らかに興味をそそられたような表情も見て取れた。
「いやだなァ、草間さんに変なこといっちゃって」
 亮介は照れくさそうに苦笑いしてエレベーターのボタンを押すと、思わせぶりにいった。
「妙な夢を見ちゃったせいかなァ」
「妙な夢?」
 ここが勝負だと、亮介はエレベーターの移動階数表示を見あげていう。
「いつも俺、休みの日なんか部屋でゴロゴロしてて、食事に出かけていくのも面倒だからロクなもの食ってないんですよ。だからよく、たまには家庭料理が食べたいなァなんて思ったりするんだけど、たぶん、そういう願望と、それに俺、草間さんに憧れてるから、その気持ちとがミックスして夢になったんだと思うんですよね。休みの日に草間さんが俺の部屋にきて手料理を作ってくれて、いっしょに食べてるんですよ」
 真理子は戸惑ったようすで俯いたまま、黙っている。
 亮介自身、真理子に憧れていると打ち明けたのは、これが初めてだった。
 エレベーターのドアが開いた。幸い誰も乗っていなかった。
 従業員のロッカーは地階にある。エレベーターが下降しはじめると、
「本木くん、S町に住んでるのよね?」
 真理子が俯いたままいった。
「ええ……」
 亮介の住んでいるワンルームマンションは、Tデパートがある駅を挟んで真理子の自宅とは反対の場所にある。
「じゃあ明日はお休みだし、お弁当を作って持っていってあげるわ」
「え!? 本当ですか?」
 真理子が顔をあげて笑いかけてきた。
 内心、快哉を叫び、笑いかえそうとした亮介だが、このときばかりは演技ではなく、真理子の色っぽい笑顔にドキマギしてしまった。


 いかにも母性本能をくすぐるようなことをいいながら、童貞を装って人妻の興味を引く。
 それが本木亮介の人妻落としのテクニックだった。。
 亮介の初体験は、大学一年のときで、相手は家庭教師をしていた子供の母親だった。
 いまの時代、それほど早くもない童貞喪失だったが、その三十五歳の人妻と半年近く関係をつづけているうちに亮介は、彼女からセックスのテクニックをたっぷりと教え込まれた。彼女のほうは、そうすることに歓びをおぼえているようだった。
 その経験から亮介は、これを逆手に取れば人妻を落とせるのではないかと考えたのである。
 といって街で人妻らしい女を見つけて声をかけるわけにもいかない。
 それ以前に亮介には、女を口説く勇気も能力もなかった。あるのは、初体験のときの人妻のような形で親しくなり、母性本能をくすぐって、童貞だということを匂わせばなんとかなるのではないかという、漠然とした期待と思惑だけだった。
 そこで、人妻が働いていそうなアルバイト先を見つけてチャンスを狙うことにした。
 最初はスーパーだった。亮介の思惑は当たった。三カ月ほどの間に、たてつづけに三人の人妻を落とした。
 そのとき亮介が思ったのは、三十代の人妻は欲求不満を抱えている場合が多いのではないか、ということだった。
 そして確信したのは、彼女たちがみんな、童貞といえば大いに興味を示す−−ということだった。
 ともあれ、人妻を相手に初体験したことから人妻落としのノウハウを思いつき、それがまんまと図に当たったというわけである。
 これで味をしめ、自信を持った亮介は、めぼしいアルバイト先を見つけては人妻を食い、この春から、Tデパートを穴場にしてきた。
 ただ、そうして人妻キラーぶりを発揮してきた亮介だが、同世代の若い女となると、いままでにたった一人の女子大生しか経験したことがない。というのも亮介自身、もともと若い女とうまくやれるようなタイプではなかったからである。
 真理子には、若い女は苦手だといったが、本当のところは人妻落としのノウハウが若い女には通じないために縁がないというだけの話だった。
 もっとも、いまのところ亮介は、若い女と付き合いたいとは思わない。その、たった一人の女子大生というのが、ひどくわがままな女で、セックスも、亮介が体験した人妻たちとの濃厚な交わりに較べてつまらなく、それで懲りたからだ。
 そのため、セックスするには人妻にかぎる、というのがいまの亮介の本音だった。
 
 
 
【2】
 翌日、草間真理子は、昼前に亮介の部屋を訪ねてきた。
「驚いたなァ。いつもの草間さんも魅力的だけど、今日はますます綺麗だ」
 亮介が見惚れていうと、真理子は笑ってぶつ真似をして、部屋に入ってきた。
 ファッションメーカーに勤めていただけあって、もともとセンスのいい真理子だが、ふだん以上にお洒落と化粧に気を使ったらしい。プロポーションのいいボディラインがくっきりと浮いたミニ丈のセクシーなニットのワンピースを着、それに合わせたイヤリングとネックレスをして、顔もいっそう色っぽく見える。
「お部屋、綺麗に片づいてるじゃないの」
 真理子は、テーブルの上に置いた弁当らしい包みを解きながら、部屋のなかをじろじろと見まわした。
 確かに片づいてはいるが、フローリング仕様の七畳ほどしかないワンルームのなかは、必要最低限の家具とAV機器を置いただけで、ほとんどスペースはない。
「すみません、狭っ苦しいところにきてもらって」
 いいながら亮介は、真理子の背後から覗き込んだ。
「ワッ、美味しそうだ!」
 二段重ねの塗り物の箱の中身は、豪華な幕の内弁当だった。
「これだけ作るの、大変だったでしょ」
「そうね、みんなに内緒で作ったから」
 真理子がチラリと亮介のほうを振り向き、秘密めかした笑いを浮かべた。
「真理子さん!」
 いうなり亮介は彼女を後ろから抱きしめた。
「あッ、そんな……だめよ。いけないわ」
 真理子は身悶えた。
「好きだ! 好きなんだ!」
 亮介の両手は、ニットのワンピースの上から胸のふくらみを揉みたてた。
 最初から本気で拒むようすもなかった真理子は、それだけで息を乱しはじめ、躯の力を抜いた。早くも亮介の股間で勃起した一物が、ヒップを突きたてているのだ。
 亮介は、弾力のあるバストを両手で揉みながら、うなじに唇を押しつけた。
「あんッ……」
 ビクッと首をすくめる。うなじから耳に向けて唇を這わせていくと、真理子は喘ぎながら狂おしそうにのけぞる。
 舌で耳を舐めまわし、耳のなかに舌を差し入れる。
「ああッ……だめェ!」
 感じ入ったふるえ声を発して、まるで達したように躯をわななかせる。
 亮介は真理子を向き直らせると、キスを仕掛けていった。ふっくらとして柔らかい唇を割って舌を入れていくと、真理子のほうからも熱っぽく舌をからめてきた。
 濃厚なディープキスを交わしながら亮介は、勃起したモノを彼女の下腹部にわざと、グイグイ押しつけた。
「うん……ふん……」
 腰をもじつかせながら、甘い鼻声を洩らして舌をからめてくる真理子の唾液に生々しい匂いが生まれてきた。欲情し興奮している証拠だった。
 すると、彼女の手が亮介の股間をまさぐってきた。唇が離れた。
「ああ……本木くん、本当に童貞なの?」
 ズボンを突きあげているペニスを、さもたまらなさそうに撫でまわしながら、息を弾ませていう。色っぽい顔が欲情してますます艶めかしくなり、ゾクッとするほどだ。
「そうですよ。どうして?」
「だって、上手なんだもの」
「セックスの知識だけは豊富なんですよ、根がスケベだから」
 亮介は笑っていった。
「でもこれから先は、ベテランの真理子さんに教えてもらわないと、どうしていいかわかんない」
「やァね、ベテランだなんて。これでもわたし、浮気は初めてなのよ」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
「わかってるわ。人妻だからでしょ。でも主人とは、もういつあったか忘れるくらいないの」
 真理子は自嘲ぎみの笑いを浮かべていうと、亮介のズボンのジッパーを下ろしていく。
「もったいないな。こんな色っぽい奥さんなのに……」
 さっきから真理子の反応を見て、かなり欲求不満が溜まっていると見抜いていた亮介の予想どおりだった。
 彼女は勝手にブリーフのなかから肉棒を取りだすと、まるでいとおしい子供の頭でも撫でるように、綺麗に真っ赤なマニキュアを塗った指先で肉棒をなぞっている。
「ああ、そんなことされたら、もう出ちゃいますよォ」
 亮介はいかにも童貞らしく、あわてて腰を引いた。
「ふふふ……いいわ、教えてあげる」
 真理子はさっき以上に欲情した顔つきになって、自分から服を脱ぎはじめた。それを見ながら亮介もワクワクして服を脱いでいく。
「なんだか夢みたいだな。真理子さんに初めての相手をしてもらえるなんて」
「わたしも童貞の人は初めてよ」
 ときめいた顔つきと弾んだ声でいいながらワンピースを脱いだ真理子を見て、亮介は眼を見張った。
 すべて黒の下着は、なんと、ガーターベルトにストッキングという悩殺的なスタイルなのだ。しかも、ブラとサイドストラップのビキニショーツ、それにガーターベルトは花模様の刺繍が入ったシースルーの、豪華な三点セットときている。
 熟れきった、それでいて素晴らしいプロポーションをしたヌメ白い裸身が、黒いセクシーな下着で、よけいに悩ましく見える。
「すごい! 真理子さんて、いつもこんなセクシーな下着をつけてるの?」
「こんな格好、主人には見せたことはないわ。本木くんのためにつけてみたの。気に入ってもらえたかしら?」
「最高! もう見てるだけで、発射しちゃいそうですよォ」
 亮介は興奮していった。


【3】
 真理子はベッドの背にもたれ、両膝を立てて坐った。命じられた亮介がブラを取ったので、三十二歳とは思えないほどみずみずしく張って上向きに反った乳房は剥きだしだ。
 童貞を演じている亮介が、シースルーのビキニショーツの下に透けている、モヤッとした繁みを食い入るように見ていると、
「本木くん、女性のアソコ、見たことある?」
 真理子が明らかに興奮した、かすれた声でいった。
 亮介がこうしていると、たいていの人妻が真理子と同じようなことをいう。それでわかったのは、女には露出的なところがあり、とくに相手が童貞の場合、自分から見せて教えるというシチュエーションが大好きで、女自身も異常に興奮するということだ。
「写真とかビデオでは見たことあるけど、本物はまだ……」
「見たい?」
 亮介が神妙な顔つきでうなずく。
「じゃあ、脱がせて」
 真理子が腰を浮かした。そのときチラッと彼女の顔を見ると、いままでの人妻同様、顔つきも興奮しきっている。
 亮介は両サイドの紐に指をかけ、ゆっくりとビキニショーツをさげて抜き取った。
「ああ、恥ずかしいわ。こんなこと、初めてよ」
 真理子の声は言葉とは裏腹にときめいている。
 彼女の足もとに陣取った亮介が、亀のように首を伸ばして覗き込んでいると、膝を立てた両脚が、小刻みにふるえながら徐々に開いていく。
 眼の前に、真理子の秘密の部分があからさまになった。
 繁みはかなり濃い。けれども、むさ苦しいという感じではなく、▽状に艶々しいヘアが密生して、秘唇のまわりをまばらに口髭のように縁取っている眺めが、ひどく煽情的だ。
 まだ色も形も綺麗な唇がパックリと口を開けて、いかに興奮しているかごまかしようもないほど濡れ光ったパールピンクの粘膜が露出している。
 しかも、食い入るように覗き込んでいる亮介の視線を感じてだろう。小さな唇と膣口の赤貝に似た部分が、ピクッピクッと生々しくふるえ、そのたびにジュクジュクと、透明な蜜を湧きださせている。
 さっきから真理子は大きく息を弾ませていた。
「すごい! オシッコ洩らしたみたいに濡れて、まだあふれてきてるよ」
「ああッ、本木くんがジッと見るからよォ。ね、クリトリスって、どこかわかる?」
「……ここでしょ?」
 いかにもおそるおそるという手つきで秘唇の上端をめくり、すでに真珠のようにふくれあがった肉球に指先を触れると、ピクンと腰が跳ねた。
「あんッ……そう、そこ」
 真理子がうわずった声でいう。
「ね、クンニって知ってる?」
「ここを舐めるんでしょ?」
「そう……して」
 いわれるまま、亮介は真理子の股間に顔を埋めていった。そろりと舌先で肉球をすくいあげた。
「あッ!」
 ふるえ声といっしょに腰がうねった。
 亮介はクリトリスを丸く舐めまわしながら、ときおり秘唇をなぞったり膣口をこねたりして焦らしを入れた。
 欲求不満の人妻はたちまち夢中になって腰を揺すり、きれぎれに感じ入った声を洩らしはじめた。
 そのうちベッドの背にもたれていた躯がずるずると滑って、仰向けの状態になった。
 亮介は得意のクンニ・テクニックを繰りだした。ビンビンにふくれあがってきたクリトリスを唇でつつみ、吸引しながら、柔らかい舌裏を使ってこねまわす。同時に顎で膣口をこねる。
「ああッ、い、いいッ……やだ、それ、どうしてるのォ……あうッ、だめよ、変になっちゃう……ああッ、いい〜ん……」
 もう狂態といっていい。真理子は両手でシーツをつかみ、うねうねと熟れきった躯を波打たせながら、よがり泣きしはじめた。
「だめッ、だめッ……あッ、あッ、イクッ、イクッ!」
 ピーンと反りかえった裸身をガクガクと揺さぶる。その瞬間、亮介の顎が密着している膣口がピクピク痙攣するようにふるえた。
「ああ〜ん、あなた、本当に童貞なのォ……ああッ、もうきてェ〜」
 欲情しきった真理子が、たまりかねたように両手を伸ばして求める。
 亮介のペニスも、もう腹を叩かんばかりに反りかえっていた。真理子の両脚の間に腰を進めた。
「緊張しちゃうなァ」
 あくまで童貞を装い、濡れすぎるほど濡れたクレバスを、手にした肉棒で、わざと的をはずして突きたてる。
「あわてなくていいのよ。落ち着いて」
 真理子が肉棒に手を添えて、膣口に導いた。
 ヌルリと、ぬかるみにおさまった。
「あ、入った!」
「あうッ……いいッ!」
 真理子は悩ましい表情を浮きたててのけぞった。
 生温かいぬかるみに包み込まれた肉棒を、亮介はゆっくりと抜き差しした。まとわりついてくる秘粘膜に微妙な襞があって、くすぐられる感触がたまらない。
 若い女は一人しか経験がない亮介だが、若い女と人妻の蜜壷を較べると、問題にならないと思う。確かに若い女のそれは窮屈な感じはあるが、ただそれだけだ。ところが人妻のは、ねっとりとからみつき、まとわりついてきて、まったりとした絶妙な味がある。
「ああッ、そう……本木くん、上手よォ」
 亮介の肉棒は蜜壷の天井を中心に、ボクシングでいうフックぎみに擦りあげている。それに合わせて真理子もたまらなさそうに腰をうねらせる。
「ああ、いいッ……ね、もっとよ、もっとして、奥もしてッ」
 いわれるまま深々と侵入すると、肉棒の先に子宮口の硬い突起が触れた。
「そう、そこ、グリグリしてェ」
 腰をまわして突起をこねてやると、真理子はいまにもイキそうな声を発して悶える。
 亮介は驚いた。そうしていると、蜜壷がうねるようにしてペニスを締めつけ、咥え込んでいくのだ。
「ワッ、すごい! 真理子さんのここ、イキモノみたいに動いて締めつけてくる。俺、もう我慢できないよ!」
「出してもいいのよ。本木くんが好きなように動いて」
 息せききっていう真理子も、もう絶頂が近い感じだ。亮介はピストン運動をしかけた。股間を彼女の股間に叩きつけた。
 激しい摩擦で蜜壷が熱く粘ってきた。肉棒も燃えるように熱くうずく。
 真理子はよがり泣いている。亮介はもう我慢できなかった。抉るように突き入った。
「出るッ!」
 呻くようにいうなり、ビュッ、ビュッと、勢いよく快感液を発射した。泣き声で絶頂を訴える真理子が腰をせりあげてきた。


「嘘つき……」
 仰向けに寝た亮介の胸の上に顔を乗せて、手でペニスを弄んでいた真理子が、唐突につぶやくようにいった。
「え!?」
「お芝居はもういいのよ。ニセ童貞さん」
 亮介が弾かれたように顔を起こすと、真理子は笑っていた。
「どうして!?」
「ふふふ、人妻は口が固い、自分が関係した人妻がそのことを口外するはずはない、と思ったんでしょ?」
 真理子はおかしそうにいった。
「でも口が軽いというか、そういうことを話さずにはいられない女性もいるのよ。といってもその人もたぶん、自分があなたと関係があったといったわけじゃなく、噂話みたいにして誰かに話したんでしょうけど。あなたのことは、わたしの耳にも入っていたの」
 亮介は唖然としていた。
 真理子は最初からすべてわかっていたうえで、童貞を相手にするフリをして、あんな見せつけるようなことまでしていたのだ。
「だけど、童貞じゃないとわかってて、なぜ俺と?」
「それは逆よ。あなたが童貞じゃなくて、ワルだから安心したの」
 妙なことをいわれて、亮介が怪訝な顔をしていると、
「あなたは童貞になりすまして人妻を誘惑してるつもりらしいけど、童貞と浮気したら夢中になられて、あとが面倒だって考える人妻もいるのよ」
 真理子は教え諭すようにいった。
 ニセ童貞がバレ、しかもその手口が噂になっていると聞いて動転していた亮介だが、真理子にそういわれて、納得した。
 これでまた人妻落としのノウハウがひろがった。これからは相手を見て、戦術を考えるべきだ……。
 そんなことを考えていると、
「でも、童貞ゴッコも刺戟的でおもしろかったわ」
 真理子が笑っていい、亮介の股間に顔を埋めてきた。
 若いペニスは、早くも半立ちの状態まで回復していた。
 真理子は、舌でじゃれるように亀頭を舐めまわし、咥え込むと、顔を振ってしごきはじめた。
 みるみる肉棒と化してきたペニス全体を、口唇がくすぐるように這いまわる。
 フェラチオに熱中している真理子は、それだけで興奮するらしく、発情したような顔つきになって、むっちりと張った腰をもじつかせている。
「ね、今度はわたしが上になっていい?」
「ああ……」
 まだ黒いガーターベルトとストッキングだけはつけたままで、真理子が亮介にまたがった。肉棒を手にして、自分から秘唇の間に擦りつける。ヌルッとおさめ、「ああッ!」とふるえ声を洩らして馬乗りになった。
「ああ、いいッ……あなた、相当なテクニシャンて噂よ……あんッ、これからは、そのテクニックで、うんと楽しませてェ」
 悩ましい表情を浮かべてよがりながら、クイクイと前後に腰を振りたて、グリグリと肉棒に子宮口の突起を擦りつけてくる。
 よォし、たっぷりとよがり泣きさせてやる……。
 亮介は生々しく弾む乳房と煽情的に動く熟れた腰を見ながらうそぶき、上体を起こした。
 真理子がしがみついてきた。亮介がキスにいくと、彼女のほうから狂おしく舌をからめてきて、すすり泣くような鼻声を洩らす。亮介の腕のなかで、熟れきった人妻の躯が艶めかしく悶え、くねりはじめた。


【妖女奈美子・蠱惑記】


【1】
 最後の配達を終わり、愛車にもどって腕時計を見ると、十時前だった。
 やけに冷え込んできたと思ったら、闇を照らす車のライトのなかにチラチラと白いものが舞いだしていた。
 とても積もるような降り方の雪ではないが、この時期、都内ではめずらしい。クリスマスイブにはぴったりだった。
(けっこうおもしろかったな)
 笹倉恭介はルームミラーに映ったサンタクロースに笑いかけた。
 歳暮の配達のアルバイトをしていた恭介は、Mデパートが顧客サービスとして売り物にしているクリスマスプレゼントを、サンタクロースの格好で配達する仕事を頼まれたとき、そんなの格好悪くてやってられないと思って断りかけた。
 けれども、時給が割増しになると聞いて思い直した。車を買う際、親に頭金を出してもらい、残りのローンは自分で払う約束になっていた。少しでもアルバイトで稼げば、そのぶん小遣いにまわせる。
 それに白い髭をつければ素顔はわからない。そう思って引き受けたのだ。
 とはいっても派手なサンタクロースの衣装をつけると、さすがに照れくさかった。そのうえ配達先ごとに、
「メリークリスマス! Mデパートからプレゼントのお届けにあがりました」
 と、ちょっとパフォーマンスぽい挨拶をしなければならない。性格的に快活さや積極性に欠ける恭介にとって、格好よりもそのほうが照れくさかった。
 ところが、照れながら配達しているうちに、気持ちが変わってきた。受取人の反応を見ていると、おもしろくなってきたのだ。
 サンタクロースの格好でプレゼントを届けると、みんな大喜びし、とりわけ子供たちは大はしゃぎで、なかにはいっしょに記念撮影してくれという家族もいた。
 そればかりか、思いがけないことまであった。二十代後半の美人のOL風の女など、驚いたことに恭介の頬っぺたにキスしてくれたのだ。
(でも、情けないよな。イブの夜にサンタクロースの格好なんかして。彼女がいたら、いまごろ楽しくドライブでもしてるのに)
 恭介はぼやきながら、パラパラと受取伝票をめくっていた。
 大学二年生の恭介は、恋人いない歴二十年という悲惨な経歴の持ち主で、早い話が生まれてこの方、一度として恋人ができたためしさえない。
「あれッ!?」
 恭介は声をあげた。あの、キスしてくれた美人のOL風の女のことを思いだし、あらためて住所と名前を見ようとして、初めてミスに気づいた。
「そうか、あのとき……マイッタな」
 彼女にキスされたとたん、ポーッとなって舞いあがり、受取伝票に印鑑をもらうのを忘れてしまったのだ。
 彼女の名前は高梨奈美子。もちろん住所も伝票に書いてある。だがプレゼントの送り主の欄には、なぜか住所が書かれてなくて、名前の欄にも『N・K』というイニシャルのような文字しかない。
 その妙な送り状を見たとき、男女の関係にうとい恭介でも、高梨奈美子という女は独身で、そのN・Kという男と訳ありな関係なのではないかと思った。
 伝票は明日の朝、配送センターのほうに提出すればいいことになっていたが、昼間は彼女が勤めに出ていて留守の可能性が高い。今夜のうちにもらっておいたほうがいい。
 恭介は高梨奈美子が住んでいるマンションに向かった。ミスをしでかしたものの、まだ頬に残っているキスの甘い感触といっしょに、また彼女に会えると思うと胸が弾んでいた。
 そのマンションは車で十分ほどの住宅街のなかにあった。いかにも二十代の独身の女が好みそうな白い三階建ての洒落た外観の建物だった。
 高梨奈美子の部屋は三階の角で、まだ窓には明かりが灯っていた。
 サンタクロースの格好のまま、マンションの前に駐めた車から降り、伝票にある名前と部屋番号を郵便受けで確かめて部屋の前までいき、インターフォンを押した。
 応答がない。不審に思いながらノブをまわして引いてみると、意外にも鍵をかけ忘れたのかドアが開いた。
「こんばんわ」
 部屋のなかを覗き込んで声をかけた。返事のかわりに玄関の横から雨のような音が聞こえた。
(シャワーを浴びてる!)
 恭介の胸は高鳴った。裸の彼女が頭をよぎると同時に、食卓の椅子の背に脱いだ服といっしょに白いブラがかけてあるのが眼に入ったからだ。
(ブラだけじゃなく、パンティもあるのでは……)
 そう思った瞬間、頭のなかがカーッと熱くなり、真っ白になった。
 気がついてみると、部屋のなかに入って脱いだ靴をポケットに入れ、食卓の椅子のそばに立っていた。
 思ったとおり、椅子の上に小さな白いパンティが置いてあった。
 恭介は浴室のほうを見た。シャワーの音がつづいていた。息をするのも苦しいほど緊張し、興奮してパンティを手に取り、ひろげてみた。
 前の部分に花柄の刺繍が入ったシースルーに近いビキニショーツだった。これをあの高梨奈美子が穿いていたのかと思うと、それだけでペニスが勃ってきた。
 股布の部分に、わずかだが黄白色の船底型のシミがついているのを見たとたん、エレクトしたペニスがズキンとうずいた。
 両親と下に弟が一人、母親以外に女っ気のない家庭で育って、しかも恋人いない歴二十年の恭介にとって、女が、それも若い女が、さっきまで穿いていたパンティを手に取って見るのは、これが初めてだった。
 それに恭介はまだ童貞で、エイズが怖いということもあるがそれ以上に風俗産業で童貞を捨てる勇気もなく、女といえば、家族の留守にこっそり見るアダルトビデオや裏ビデオでしか知らない。
 それだけに生々しいパンティを見ているだけで頭のなかがパニックに陥り、ビンビンにエレクトしたペニスがしびれるほど興奮していた。
 黄白色の船底型のシミがついた股布の部分に鼻を近づけ、匂いを嗅いでみた。かすかだがアンモニアとチーズがまじったような匂いがした。と同時に高梨奈美子のアノ部分に顔を埋めているような錯覚に襲われて、ペニスがビクン、ビクンと脈動し、カウパー氏腺液がトロトロと流れだした。
 そのとき恭介はハッとして我れにかえった。いつのまにかシャワーの音がやんでいた。
 恭介はあわてた。浴室のドアが開く音がしたのだ。玄関から逃げだす余裕はなかった。とっさにトイレへ入った。
 心臓が飛びだすほど高鳴り、口を開けていなければ息ができなかった。このときになってようやく、とんでもないことをしていたとわかって、おろおろしていた。
 高梨奈美子が浴室から出てきたらしい。冷蔵庫を開閉する音がした。ビールでも飲んでいるのだろうか、壜やグラスをテーブルの上に置くような音が聞こえた。
 しばらしくして、ブーンという音が聞こえだした。ドライヤーの音だった。さっき見た感じでは、部屋は一DKで、ダイニングキッチンの奥が寝室になっているようだった。ドライヤーの音は寝室のほうから聞こえていた。
 逃げだすなら、いましかない。恭介は音を殺してトイレから出た。そこからでは寝室のようすが見えない。玄関にいくにはダイニングキッチンを横切らなければいけないから、彼女に見つかる可能性が高い。
 ダイニングキッチンと寝室との境に、背丈ほどもある観葉植物が置いてあった。寝室のようすを見るためにそっとそのそばまでいって、観葉植物の陰から寝室を覗いてみた。
 高梨奈美子はバスタオルを躯に巻いてスツールに坐り、ゆるやかにウエーブがかかった長い髪にドライヤーを当てていた。
(だめだ。これじゃ見つかってしまう)
 恭介はうろたえながら思った。彼女は背中を向けていたが、ドレッサーの大きな半円形の鏡がまともにこちらを向いているのだ。派手なサンタクロースの衣装をつけた格好でダイニングキッチンを横切れば、いやでも彼女の眼に入る。
 高梨奈美子が乾かした髪をブラッシングしはじめた。ドライヤーの音に紛れて逃げだそうと思っていた恭介は、ますます絶望的な気持ちになった。
 彼女が立ちあがってこっちにきたら、もう万事休すだ。ドキドキハラハラしながらようすをうかがっていると、ブラッシングしていた手を止めた彼女が、そばのベッドの上を見やった。
 それまで気づかなかったが、ベッドの上に恭介が配達したクリスマスプレゼントの包みが開封されて置いてあった。中身は黒い衣類のような物が入っていた。
(ヤバイ!)
 彼女が立ちあがるのを見て、心臓が締めつけられた。だが、つぎの瞬間、恭介は眼を見張った。背中を向けたまま、彼女がバスタオルを落としてヌードになったのだ。


【2】
(すげえ!)
 恭介はさらに眼を見張った。
 年令は二十代後半だろうが、彼女は素晴らしいプロポーションをしていた。しかもムチッと張って盛りあがったヒップのあたり、若いビデオギャルなどにはないムンムンするような熟れた色気がある。
 そればかりか、鏡を通して下腹部の逆三角形の繁みも、お椀型のやや上向きに反った形のいい乳房も見えて、恭介の股間の一物は、ゆるみがあるサンタクロースのズボンをたちまち突きあげていた。
 彼女がN・Kという相手から送られたプレゼントを取りあげた。黒い衣類と見えたそれは、下着だった。しかも悩ましいスタイルの下着だった。まずブラをつけた彼女は、つぎにガーターベルトをつけたのだ。ついでストッキングを穿いてガーターベルトで止め、最後にビキニショーツを穿いた。それがなんと、Tバックのきわどいショーツだった。
 すべて黒い下着はレースの豪華な代物で、悩殺的なスタイルのそれが、ヌメ白い熟れた裸身をよけいに煽情的に見せた。
 さっきまでドキドキハラハラしていた恭介だが、奈美子の悩ましい姿を、自分が陥っている状況も忘れて覗き見ているうちにゾクゾクワクワクしていた。
 Tバックショーツが食い込んだムチッとしたヒップや、鏡に映った前面の逆三角形の黒いレースばかりに眼を奪われていたが、彼女の顔を見ると、下着姿を鏡に映して、なんとなくうっとりしたような表情で眺めていた。風呂あがりに飲んだらしいビールのせいかもしれないが、さっきまでとはまったく違った艶めかしい顔つきをしている。
 彼女は両手を胸に当てた。恭介は驚いた。黒いレースのブラを押しあげている乳房を両手につつみ、やさしく揉むようにして愛撫しはじめたのだ。
 さらに片手で乳房を愛撫しながら、一方の手を下腹部へと這わせていき、ストッキングの切れ目から覗いた太腿を撫でたり、Tバックショーツの前の逆三角形の黒いレースの上から、ピンク色のマニキュアを塗ったしなやかな指先を微妙にうごめかせて、デルタゾーンをまさぐったりする。
 恭介が固唾を呑んで見ていると、ドレッサーの抽斗から何やら取りだした。奈美子が手にしたモノを見て、恭介は眼を疑った。あろうことか黒いペニス型のバイブレーターなのだ。
(エーッ、美人の彼女があんなモノを……信じられない!)
 頬をつねってみたくなるような光景を前にして、恭介が唖然としながらもドキドキしていると、奈美子がベッドに仰向けに寝た。恭介のほうに足を向けた格好でバイブのスイッチを入れ、低い電動音を響かせるそれをブラの上から乳房に当てて、ゆっくりと撫でまわしはじめた。
「ああッ……あんッ……」
 せつなげな喘ぎ声を洩らし、胸を反らして両脚をすり合わせる。
 まさかオナニーまで、それもバイブを使ったオナニーシーンまで覗き見ることになろうなどとは思ってもみなかった。恭介はカーッと熱くたぎった全身の血が逆流して腰のあたりがとろけるようになり、立っているのがやっとだった。
 そのとき彼女が膝を立てて両脚を開き、片手を股間に這わせた。ピンク色のマニキュアを塗った指先で、かろうじて秘部を覆ったTバックショーツを横にずらした。
 恭介の眼に生々しいワレメが飛び込んできて、ドキッとすると同時にズボンを突きあげた肉棒がビクンと跳ねた。
 生々しい眺めが見えたのは一瞬のことで、黒いバイブに遮られた。彼女が片手でショーツを横にずらしてクレバスにバイブを当て、ゆっくりと上下に擦りはじめたのだ。
「ああァ、あんッ……い、いいッ……ああんッ、オマ×コいいッ!」
 悩ましい表情を浮きたててのけぞり、腰をうねうねと揺すりながら、外見からは信じられないような卑猥な言葉を口走ってよがる。
 そのままよがり泣きながら「ああ、イクッ、イクウッ!」と腰を律動させて絶頂したかと思うと、眼を閉じ、興奮しきった顔つきで、
「ああん、いや、焦らしちゃいやァ。お願い、入れて。あなたのチ×ポ、オマ×コに入れてン」
 さらに露骨なことをいいながら、バイブで膣口のあたりをまさぐり、猥りがわしく腰をうねらせるのだ。
 ビデオではオナニーシーンを見たことがある恭介だが、初めて見るナマの迫力に圧倒されて、あやうく発射しそうになった。
 そのとき、コトン、という音がした。
 心臓をわしづかまれたようなショックと同時に、恭介は壁にへばりついて足もとを見た。ポケットから落ちた靴がフローリングの床に転がっていた。それも寝室から見える場所に。
「……誰!? 誰なの!?」
 彼女が鋭い声を発した。
 恭介は目の前が真っ暗になった。激しい心臓の鼓動で吐き気がした。
 寝室からそっと彼女が顔を出して、「キャッ!」と悲鳴をあげた。両手でスツールを抱えていた。
「あなた! どうして!? ここで何してるの!?」
「すみません……あ、あの、ハンコをもらうのを忘れて、インターフォンを押したんだけど、返事がないから……で、ドアを引いたら開いたから……すみません」
 気弱な性格が剥きだしになり、恭介はしどろもどろで言い訳し、謝りながら、何度も米つきバッタのように頭をさげた。
「ドアが!?」
 彼女は怪訝な表情を浮かべていった。
「いやだ……あのときわたし、サンタクロースの格好にビックリしちゃって、ロックするのを忘れたんだわ」
 今度は恭介のほうが怪訝な顔をする番だった。そうつぶやくようにいうと彼女は持っていたスツールをそこに置いて、悩ましいスタイルの下着姿で玄関までいき、ドアをロックしてもどってきたのだ。
「それにしてもひどいわ。あなた、ずっと覗いてたんでしょ。わたしが恥ずかしいことしてるの」
「すみません。そんなつもりじゃ……」
「いいえ。許せないわ」
 きっぱりといわれて、目の前の彼女をまともに見ることができず俯いていた恭介が懇願する表情で顔をあげると、なぜか彼女は妖しい笑みを浮かべていた。
「だってそうでしょ。あなただけわたしの恥ずかしいとこ見たなんて、不公平じゃないの。あなたも同じことして見せてよ」
「そ、そんな……」
「いやだっていうの? だったら、無断で人の部屋に入って覗き見してたって、警察とMデパートにいうしかないわね」
 高梨奈美子は笑みを浮かべたままいった。もう完全に恭介の気弱な性格を見抜いているようだった。
「同じって、どうすれば……」
 わかっていて恭介は苦しまぎれに聞いた。
「マスターベーションよ。そうね、どうせならサンタさんの格好のままでして見せて。さ、こっちにきて」
 奈美子に手を取られて恭介は狼狽した。が、拒むこともできず、そのまま寝室に連れていかれた。


【3】
「さ、下だけ脱いで」
「お願いしますよ、勘弁してくださいよォ」
 突っ立ったまま、その前にしゃがんだ奈美子にズボンに手をかけられて、恭介は哀願した。
「だめだめ。おあいこにしなきゃ不公平だっていったでしょ」
 いうなり彼女がズボンをブリーフごとずりさげた。プルンと弾んで露出したペニスは半立ちの状態だった。童貞で生身の女に接したことがない恭介は、恥ずかしさでカッと頬が火照った。
「あら、先っぽが濡れてる」
 彼女はペニスを手にし、仮性包茎ぎみの皮をクルリと剥いた。
「ああっ!」
 恭介はうろたえて腰を引いた。
「さっき、わたしがしてるの見て、ビンビンになってたみたいね」
 奈美子は楽しそうにいいながら恭介の下半身を裸にしてベッドに坐らせ、自分はベッドのヘッドにもたれて、向き合って坐った。
「さあ、して見せて。ふふ、イブの夜、サンタさんのマスターベーションなんて、クリスマスにふさわしいショーだわ」
「そんな……」
 上半身はサンタクロースの衣装をつけ、股間を両手で隠した無様な格好で、恭介は口ごもった。して見せろといわれても、女の前でマスターベーションなど恥ずかしくてできることではない。
「ねえ、もしかしてあなた、まだ童貞なんじゃない?」
 笑いかけながら彼女がブラをはずした。お椀型に形よく張った乳房に眼を奪われたまま、恭介はうなずいてしまった。
「やっぱりね……歳は?」
 すでにわかっていたような口ぶりでいって聞く。
「二十歳……」
「学生?」
「ええ」
「女のアソコを見たことは?」
「ビデオとかでしか……」
「直接はないの?」
 恭介がまたうなずくと、
「見たい?」
 彼女が思いがけないことをいって、挑発するように立てた膝を開いた。黒いレースの逆三角形のショーツをつけた股間が露わになった。
 わずかに繁みとその下のクレバスが透けて見える。ゴクリと喉を鳴らして恭介は強くうなずいた。両手で隠したペニスが一気にムクムクとこわばり、勃ってきた。
「いいわ。サンタさんのマスターベーション見せてもらうの愉しみにしてたんだけど、わたしのほうがサンタさんにクリスマスプレゼントしてあげる」
 奈美子は笑っていいながら腰を浮かし、両手をショーツにかけてツルリと脱ぎおろした。ガーターベルトとストッキングをつけただけの格好になり、また膝を立てた両脚をゆっくりと開く。
 あからさまになった股間を、恭介は思わず亀のように首を伸ばして覗き込んだ。
「見てるだけじゃなくて、こうして触ってもいいのよ」
 彼女がうわずったような声でいって両手で股間を掻きあげ、指先でそこを分けた。
 湾曲した唇がパックリと開いて、アワビのような形になった。アワビと違うのは、赤褐色の縁取りのなかが白っぽいピンク色をしていて、その上端に真珠のようなふくらみと、その下に赤貝に似た部分があることだった。
 童貞の恭介でも裏ビデオを見て、それがクリトリスと膣の入口だということぐらいはわかった。
 ピンク色の部分はじっとりと濡れ光り、赤貝がまるでイキモノみたいに収縮して、そのたびにジュクッと、透明な液を滲みだしている。
 恭介がそこに吸い寄せられるようにしてにじり寄ると、彼女が恭介の指を取った。
「ここがクリトリス。ここ、こうして」
 真珠に指を触れさせて、丸く撫でまわさせる。いわれたとおり、恭介は腕を伸ばして指を動かしていく。
「そう、ああッ、ああんいいッ……」
 とたんに奈美子はふるえをおびた喘ぎ声を洩らし、ベッドのヘッドにもたれて、自分でも両手で乳房を揉みながら腰をうねらす。
「ああっ……ねえ、そこにバイブがあるでしょ? それ、使ってェ」
 恭介はベッドの上に転がっているバイブレーターを拾いあげ、スイッチを入れてみた。電動音が響いて、バイブレーションといっしょに亀頭に似た先端がゆっくりと旋回する。
「入れるの、わかる?」
「たぶん……」
 興奮で声がかすれた。ドキドキしながら、裏ビデオで見たそういうシーンを思いだしてバイブの先を赤貝に似た部分に当てがい、まさぐるようにして押しつけた。黒いバイブが引き込まれるように、ヌルリと入った。
「も、もっと奥まで……」
 彼女が呻くような声をあげて腰をうねらせた。
 恭介はバイブを押した。ズブズブと根元まで入った。
「ああっ、たまんない! ね、きてェ」
 腰を上下に揺すりながら、美貌に悩ましい表情を浮かべて両手を伸ばしてくる。恭介が横にいくと、奈美子がしがみついてきた。
 恭介はどうしていいかわからず、オロオロしていた。すると奈美子のほうから唇を重ね、舌を入れてきた。すすり泣くような鼻声を洩らして舌をからめてくる。
 キスの仕方もわからない恭介だったが、それに合わせて舌をからめかえしているうち、彼女の手が肉棒に伸びてきた。
「ああ、もうビンビンになってる」
「だ、だめだよ!」
 恭介はあわてて腰を引いた。あやうく発射するところだった。
「ああん、いい! わたしも、もうイキそう……ねえ、入れたい?」
 両手でバイブを押さえた奈美子が、興奮しきった顔つきで腰を揺すりながら喘ぎ声でいった。恭介は興奮した顔でうなずいた。彼女がバイブを抜き取った。
「きて」
 いわれて恭介は彼女の両脚の間に坐った。腹を叩かんばかりにいきり勃った肉棒を手に、バイブが入っていた場所に先を当てがい、押し入ろうとした。
 ところが、バイブのようにすんなりと入らない。すべって的をはずしてしまう。
「焦っちゃだめ。落ち着いて……」
 奈美子が肉棒に手を添えて導いてくれた。意外なほど簡単に、ヌルリと入った。
「ああッ……ほら、入ったでしょ。どう、気持ちいい?」
「いいッ……あ、すごいよ。動いてる!」
 恭介はうわずった声をあげた。動いているだけではなかった。膣の入口がキュッと肉棒の根元を締めつけてきて、蜜があふれた肉筒のようななかがエロティックなイキモノのようにうごめき、肉棒が咥え込まれていく感じなのだ。
「ふふ、わたしのそこ、三段締めの名器だっていわれるの。ね、あなたも動いて」
「で、でも、動いちゃうと、すぐに出ちゃいそうだよ」
「初めてなんだもの、仕方ないわよ。あなたの好きなように動いて、出していいわ」
 奈美子にやさしくいわれて、恭介はいくらか落ち着いた。が、じっとしていても、すぐにも発射してしまいそうだった。
 思いきってピストン運動した。潤みきった肉筒で肉棒が擦られて、手でしごいているよりもはるかに気持ちがいい。下半身がとろけてしまいそうな快感に襲われる。
「ああ、その調子よ。ああン、いいッ」
 奈美子にそういわれたとたん、どっと快感が押し寄せてきた。
「で、出る!……うッ!」
 呻くと同時に恭介は発射した。めまいがするような快感といっしょに、ビュッ、ビュッと勢いよく白濁液をほとばしらせた。
 悩ましい表情を浮かべてのけぞった奈美子が、「ああ」と喘いで笑いかけてきた。
「おめでとう。童貞卒業よ」
 恭介が照れた笑いを浮かべてペコンと頭をさげると、ティッシュを取って手渡してくれた。そして奈美子もティッシュを手にして結合部分の下に当てがった。まだ勃起したままの肉棒を恭介が抜くと、巧みにクレバスに挟み込んだ。
「そうだわ。あなたの名前、まだ聞いてなかったわね」
「あ、笹倉です。笹倉恭介……」
「じゃあ、恭介くんの童貞卒業を祝って乾杯しようか。お酒、飲めるんでしょ」
「え!? ええ。でも俺、車だから……」
「大丈夫よ。少し時間をおけば」
「でも、本当にいいんですか?」
「いいって?」
「あ、いや、なんだか信じられなくて……」
「こんなことになったのが?」
「ええ」
「そうね。今日初めて出会ったばかりで、それも妙な偶然と変なことからですものね。恭介くんがそう思うのもわかるわ」
 奈美子は笑みを浮かべていうと、急に真面目な顔つきになってつぶやいた。
「でも、こんなことになったの、クリスマスイブだから……」
 それから、すぐにまた笑顔にもどった。
「そんなことより、恭介くん、先にシャワーを使って。その間に乾杯の支度をするから」


【4】
 ベッドの横に置いた小さなテーブルの上に、グラスが二つとチーズを使った簡単なツマミが用意されていた。
 恭介はサンタクロースの衣装を脱ぎ、白いつけ髭も取って、ブリーフ一枚の格好で椅子に腰かけていた。暖房が効いていたので、それでも寒くはなかった。
 それよりもさっきから、覗き見的な興味で、奈美子がバイブを取りだしたドレッサーの抽斗が気になっていた。
 奈美子が使っているシャワーの音が聞こえている浴室のほうを振りかえって、椅子から立ちあがった。そっと、その抽斗を開けてみた。
(こ、これは!……)
 驚いた。なんと、なかにはいろいろな形のバイブが数本、それにロープやローソクや手錠など、明らかにSMプレイ用のそれとわかる小道具が詰まっていたのだ。
(彼女、これを使って……そうだ、あのN・Kという男に責められているのでは!?……そういえば、バイブを使ってオナニーしているときいっていた言葉も、なんとなくそんな感じだった……)
 抽斗のなかを凝視している恭介の脳裏に、恥ずかしい格好に縛られて、それらの小道具で責め嬲られている奈美子の姿が生々しく浮かびあがってきた。ブリーフの前があからさまにテントを張っていた。
 あわてて恭介は抽斗を閉め、椅子に坐った。浴室のドアが開く音がしたのだ。ブリーフのなかに手を入れてエレクトしたペニスを押さえ込み、太腿で挟んだ。
 奈美子が冷蔵庫からビールを取りだしてもどってきた。バスタオルを巻いた格好でベッドに腰かけると、ビールの栓を抜く。
「お待たせ……さ、どうぞ」
「いただきます」
 恭介は平静を装ってグラスを受け、かわって奈美子のグラスにビールを注いだ。
「じゃあ、恭介くんの童貞卒業を祝って、乾杯!」
 二人はグラスを合わせると、ビールを飲み干した。
「あの、さっき奈美子さん、こんなことになったのはクリスマスイブだからっていってたけど……」
 恭介が気になっていたことを口にすると、
「ああ、あのこと……」
 奈美子が恭介のグラスにビールを注ぎながらいった。
「わたし、一年のうちでクリスマスとかお正月って、大嫌いなの」
「どうして?」
「どうしてっていわれると、ちょっと困っちゃうんだけど……」
 奈美子は苦笑いし、恭介が注いでやったビールを半分ほど飲んだ。
「わたしのような立場の女って、たいていそうなのよ」
 どこか自嘲するような口調でいう。
「立場?」
「そう。恭介くんには恥ずかしいところも見られたから、いっちゃうわ。わたしの彼、妻子持ちなの。つまり、わたしは愛人ってわけ」
「彼って、あのプレゼント送ってきた、N・Kって人?」
「そう。もう三年になるの。彼と付き合いはじめてからよ、クリスマスとかお正月が嫌いになったの。そういうときってみんな、家族とか恋人と楽しく過ごすでしょ。でもわたしの場合、それは無理……ていうか、いやでも自分が置かれている立場を思い知らされるってわけ。それでわたし、今日は落ち込んでいたの。でも、それだとよけいにミジメになっちゃうから、サンタクロースからプレゼント受け取ったとき、無理してはしゃいでキスしちゃったり、それに恥ずかしいとこ見られた恭介くんと、こんなことしちゃったりして……」
 奈美子はそこまでいうと、グラスに半分ほど残ったビールを飲み干した。そしてまた、自嘲ぎみの笑みを浮かべた。
「恭介くん、さっき、信じられないっていってたけど、わたしのこともそう思ってたんじゃない? この女、痴女じゃないかって」
「そんな、そんなことないよ!」
 恭介はムキになった。奈美子にビールを注ぎながらグラスを見つめたまま、思いきっていった。
「俺、初めて奈美子さんを見たときから、綺麗な、素敵な人だと……いまだって、そう思ってる」
「まあ、恭介くんたら……わたし、そんな女じゃないわよ」
 奈美子は笑っていうと、恭介のグラスに残りのビールを注いだ。恭介は一気に飲み干した。少し酔いがまわってきていた。それに初めて女を体験したせいか、これまでの恭介とはちょっとちがっていた。
「そのN・Kさんて人と、まだ付き合っていくつもり?」
「そうね。こんな関係、いつまでもつづけてちゃいけないと思うんだけど、でも……」
「でも、なに?」
 俯いて、なにか考えるようなようすを見せていた奈美子が、ゆっくり顔をあげた。
「ううん、なんでもないの」
 弱々しい笑みを浮かべていうと、急に表情を輝かせる。
「そんなことよりも、今夜は恭介くんにとっては記念すべき夜だし、わたしにとっても思いがけないクリスマスイブなのよ。ね、もっと楽しみましょうよ」
 そういって立ちあがり、バスタオルを取った。全裸だった。手を取って恭介を立たせ、ブリーフをさげた。半立ちのペニスがこぼれでた。
 奈美子は恭介をベッドに仰向けに寝かせて裸身を重ねてきた。そのまま身をくねらせ、両手と唇で恭介の躯をなぞり、同時に張りのいい乳房と下腹部の繁みを擦りつけながら、下半身に躯をすべらせていく。
 それだけで恭介のペニスはビンビンに勃ってきた。奈美子はそれを手にして、ねっとりと舐めまわして咥えたまま、躯をまわして恭介の顔をまたいだ。
 女が上になったシックスナインの態勢だった。あのアワビに似たワレメが恭介の顔の上にあった。湾曲した赤褐色の秘唇から覗いた、白っぽいピンク色の部分はすでに濡れ光っていた。
 奈美子が顔を振って咥えた肉棒をしごく。恭介も両手でワレメを分けて口をつけた。真珠を舌でこねまわすと、奈美子が鼻声を洩らして腰をもじつかせる。
 彼女を感じさせている−−気をよくすると同時に、ますます興奮を煽られ、恭介は夢中になって真珠を舐めまわした。
「ああン、いいっ! ああッ、ね、クリトリス、噛んでッ」
 奈美子が思いがけないことをいった。口を離して見ると、クリトリスがふくれあがって小指の先ぐらいになっていた。
 そのとき恭介の頭を、N・Kという男とSMプレイに耽っている奈美子の姿がよぎった。ドレッサーの抽斗のなかを見たことをいおうかと思った。だが、勝手にそんなことをしたと知ったら、奈美子は怒るかもしれない。思い直して、またワレメに口をつけ、クリトリスをかるく噛んだ。
「ああッ、うう〜ん、もっとォ……」
 奈美子が焦れるように腰を振りながら、肉棒全体から玉袋まで舐めまわしてくる。
 そのゾクゾクするような快感と奈美子の要求に興奮を煽られて、恭介はふくらみを前歯で挟み、キリキリと噛んだ。
「あうッ、ああァァァ……いいッ、ああイクッ、イク〜ッ!」
 ふるえ声を発した奈美子が肉棒を握って、ガクガクと裸身をわななかせた。
「ああ……ね、今度はわたしが上になってもいい?」
 起きあがって興奮しきった顔つきでいう。
「うん」
 うなずいた恭介を、奈美子はまたぐと、棒杭のように突っ立った肉棒を手にした。その先をワレメに擦りつけ、ヌルッと入れて、ゆっくりと感触を味わうように腰を落とす。
 ズブッと、恭介の肉棒が潤みきった肉筒に突き入った。と同時に肉筒が生々しくうごめいて肉棒を咥え込む。
 それだけで腰がとろけるような快感だが、さっき放出したばかりだしビールの酔いもあって、まだ少しは我慢できそうだった。
 奈美子が恭介の胸に両手をついて前屈みになった。そのまま股間を覗き込んで、腰を上下させる。
 恭介の眼に、肉棒を咥えた秘唇が上下する淫猥な眺めが、もろに見えた。
「ああ、いい! 恭介くん、見える?」
 うわずった声で奈美子が聞く。
「うん、見えてる」
 恭介は興奮していった。秘唇が上下するにつれて肉棒をとろとろ透明な蜜が流れ落ち、肉棒がエロティックな感触の肉筒でくすぐられる。
 奈美子が躯を起こした。恭介の両手を取って乳房に導き、腕に手をかけて、クイクイと腰を前後に律動させたりグラインドさせたりする。奥の硬い突起が肉棒の先に当たってグリグリと擦れる。
 恭介は張りのある乳房を両手で揉みたてた。
「ああン、恭介くん、いいわァ……ああッ、オマ×コいいっ」
 奈美子は悩ましい表情を浮きたてて夢中になって腰を振り、よがり泣きしはじめた。それを見て恭介は、ゾクゾクする快感に襲われながら、初めて男になったような気がした。


 翌日の夜、笹倉恭介は、また高梨美奈子の部屋にいった。
 クリスマスの夜だから、あのN・Kという男はきていないだろうと思っていた。というより今夜は、あの抽斗のなかのことをいい、N・Kがしているのと同じことをして奈美子を責め嬲り、あの男のことを忘れさせてやろうと気負い込んでいた。
 インターフォンを押すと、ややあって奈美子の声が出た。
「あの、笹倉です」
「恭介くん!?……ちょっと待ってて」
 なんとなくあわてた声のあと、しばらく待たされて、ようやくドアが開いた。
 恭介は驚いた。奈美子がスケスケのネグリジェを着ていて、その下は全裸で、キリキリと菱形状にロープで縛られていたからだ。
 それだけではない。下腹部の繁みがなく、おまけに股間からバイブの端がのぞいているのだ。
「驚いたでしょ。いまね、彼が来てるの。恭介くんとのこと、バレちゃって……わたし、これからもっとひどいお仕置されちゃうのよ」
 そういいながらも奈美子の顔はときめいているようだった。
 奈美子の肩越しに寝室のドレッサーの鏡が見えて、そこに観葉植物の陰に隠れてこっちを覗き見ている男が映っていた。
 恭介は黙ってドアを閉めると、その場から逃げるように駆けだした。
「こんな関係、いつまでもつづけていちゃいけないと思うんだけど、でも……」といった奈美子の、そのあとの言葉がようやくわかった。
 それに昨日のことも、さっき奈美子がいっていたお仕置がしてほしくて、奈美子のほうから男に打ち明けたのかもしれない。
 愛車に飛び乗ると、恭介は勢いよく発進させた。クリスマスイブの夜、初めて女を知り、そしてクリスマスの夜に男と女のことを少しは知ったと思いながら。



【受付令嬢・挑発記】


【1】
「ああん、わたし酔っちゃったみたい」
 タクシーが走りはじめると、沢田聖子が甘ったるい声でいって日比野に腕をからめ、もたれかかってきた。
 見ると、日比野の肩に頭をもたせかけて眼をつむっている。
 日比野は、ドギマギした。
 ルームミラーのなかで運転手と眼が合った。四十二歳の日比野と同年代の運転手はすぐに眼をそらしたが、親子ほども年のちがう二人を特別な関係と思ったのだろう。うまいことやりやがって−−というような妬ましさが顔に出ていた。
 二人はそんな関係ではない。同じ建設会社の社員で、日比野は総務課長、沢田聖子は総務課に属している受付係である。上司と部下、ただそれだけの関係にすぎない。
 タクシーに同乗したのも、この夜、総務課主催の新入社員歓迎会があって三次会でようやくお開きになり、帰宅方向が同じというので途中、日比野が彼女を落としていくことになったからだった。
 とはいえ、これでは運転手が誤解するのも無理はない。
 日比野は顎を引き、また聖子の顔を覗き込んだ。
 タクシーに乗るまではそれほど酔っているようにも見えなかったが、眠ってしまったようだ。
 それにしても、どういうつもりで腕をからめ、もたれかかってきたのか……。
 沢田聖子は二十二歳。お嬢さん校で知られる都内の女子短大を出て入社三年目になる。
 これまで日比野自身、聖子に好意を持たれていると思ったようなこともない。
 第一、日比野は若い女にモテるようなタイプではない。外見もそうだが、上手に女を誘ったり口説いたりする才能もない。
 それに周囲からはカタブツといわれている。実際、見合い結婚して十五年、浮いた話のひとつもない。
 といって女が嫌いというわけではない。好色性は十二分に持ち合わせている。ただ、根が真面目だからソープランドなどで遊んだこともなく、一穴主義できた。その産物として予定外も含めて三人の子供がいる。
 そんな中年男に日比野自身、いまどきの若い女が好意を抱くとは、とても思えない。
 まして相手は会社の受付嬢である。受付嬢は会社の看板でもあるから、それなりに容貌容姿に恵まれた女子社員が選ばれる。
 それだけに日比野自身、この状況をどう解釈していいかわからず、面食らうばかりだった。
 面食らいながら、聖子の、ゆるやかなウエーブがかかった艶のあるロングヘアの間の寝顔を見ていると、オーデコロンかシャンプーか、ぷんと甘い香りが匂って日比野の鼻腔をくすぐった。
 そのときになって初めて、日比野は生々しい感触に気づき、ドキッとした。腕に量感のある胸のふくらみが触れていた。
 聖子は春らしい若竹色のスーツを着ている。流行の丈の長い上着にブラウス、下はタイトのミニスカート。太腿の半ばから肌色のストッキングにつつまれた形のいい脚がのぞいている。
 そうして若い女のいい匂いや躯を間近に感じていると、酒の酔いも手伝って日比野は官能的な想像をかきたてられた。
 想像だけならセクハラの心配もない。というより、どういうつもりかわからないが沢田聖子のほうから仕掛けてきたことだ。
 そう思うと日比野は大胆になった。
 愛らしい寝顔を見ながらセックスのさなかの表情や声を想像したり、ショッキングピンクの口紅が光る蠱惑的な形の唇にするキスの感触や、その唇が肉棒を咥えた眺めを想ったりした。
 そして、腕に触れている胸のふくらみやミニスカートからのぞいた脚から、ボリュームのあるオッパイやプロポーション抜群の若いピチピチした裸を想い描いたり、さらには小さめの形よく引き締まった唇から秘めやかな唇の形を想像したり、艶のある黒いロングヘアからシークレットヘアは顔に似ず意外に濃いんじゃないかと想ったりもした。
 そんな生々しい想像をしていると、それだけでズボンのなかの一物が充血してくるのがわかった。
「お客さん、阿佐ヶ谷はどのへんですか?」
 運転手の声で日比野は我れにかえった。新宿から青梅街道を走ってきたタクシーは、聖子が降りる阿佐ヶ谷にさしかかっていた。
「おい、沢田くん、阿佐ヶ谷だぞ、起きろ」
 あわてて日比野が肩を揺すると、
「う、う〜ん……」
 ようやく聖子は眼を開けた。あたりを見まわし、「次の信号を左に入ってください」というと、すぐまた日比野の肩に頭をもたせかけて眼をつむった。
「おい、もう寝ちゃだめだよ。マンションはどこなんだ?」
「左に入って少し行った、白い建物です」
 確かに前方に、いかにも若い独身女性が好みそうな白い洒落た外観の三階建てが見えた。その前でタクシーが停まりドアが開いた。
「さ、着いたぞ」
 日比野がうながすと、
「うう〜ん、わたし酔っぱらっちゃって、歩けなァい」
 聖子は腕をからめたまま、ろれつのまわらない口調でいう。
「しようがないなァ。運転手さん、悪いけど、ここで二人降りるよ。これでお釣はいいから」
 日比野は不機嫌な顔をしている運転手に料金を払うと、聖子を抱えるようにしてタクシーから降りた。
 聖子は両手で日比野の腕につかまり、しきりに謝った。そのままマンションの階段を昇り、二階にある彼女の部屋の前までたどり着くと、
「すみません、おねがいします」
 ハンドバッグのなかを探して聖子がキーを差しだした。
 部屋の前まで送り届けたら帰るつもりだった日比野だが、仕方なく、聖子を抱えたままドアを開けてなかに入った。


【2】
 部屋の明かりは聖子が自分で点けた。
 ワンルームの室内はフローリング仕様で、いかにも若い独身の女が好みそうな家具やインテリアなどでコーディネイトされ、テレビのトレンディドラマに出てくるような雰囲気だった。
 ワンルームでも充分なスペースがあり、観葉植物で仕切られた奥を寝室、手前をLDKとして使っているらしい。日比野はLDKのソファに聖子を坐らせた。
「なかなかいい部屋だね」
 思いがけず部下の若い女の部屋にあがり込むことになって、落ち着きなく立ったまま部屋を見まわしていると、
「すみません課長、お水ください」
 ぐったりとソファの背にもたれた聖子がいった。
「冷蔵庫のなかにミネラルウォーターがありますから……あ、ビールでよかったら、出して飲んでください」
「いや、俺はすぐに帰るからいいよ」
 日比野はキッチンにいき、グラスにミネラルウォーターを満たして持ってきた。聖子はおいしそうに飲み干すと、ペコンと頭をさげた。
「ご迷惑をかけて、ごめんなさい」
「いや、それよりもう大丈夫か?」
「ええ……」
 聖子はソファから立ちあがった。が、とたんによろけて日比野につかまった。抱き合う格好になって日比野はうろたえた。
「いやだ、まだ足にきてるゥ……おねがい、ベッドまで抱いてってェ」
 聖子が急に甘えた口調でいって、両腕を首にからめてきた。
「沢田くん!」
「早くゥ、抱っこ」
 甘い声が日比野の耳をくすぐって、ますますドギマギさせる。
 日比野は抱きあげるとベッドまで運び、ピンク色のカバーと布団をめくって聖子を坐らせた。聖子はスーツの上着を脱ぎ、倒れ込むようにベッドに仰向けになった。
「ああ、なんだか眼がまわってるみたい」
「おい、大丈夫か? 吐きそうなのか?」
 日比野が心配して聞くと、とろんとした顔つきでゆっくりと首を振る。
「着替えたいの。脱がせてェ」
「そんな、きみ……」
「ううん、早くゥ……」
 日比野の手を取り、ブラウスの前に導いて、聖子は眼をつむった。
 日比野はうろたえながらも自分にいい聞かせた。彼女のほうから脱がせてくれというのだ。かまうことはない、いうとおりにしてやれ。
 わずかに顔を横に向けて眼をつむった聖子は、酔って苦しいのか、可愛い唇を半開きにしてかすかに息を弾ませながら、こんもりと盛りあがったブラウスの胸を大きく上下させている。
 日比野はドキドキしながらブラウスの前と袖口のボタンをはずしていった。そして、そっと前を開いた。
 息を呑んだ。花柄の刺繍が入った白いシースルーのブラを、ボリュームのある乳房がグッと突きあげている。
「さ……」
 声がうわずった。日比野が袖から腕を抜かせると、聖子は脱がせやすいようにごろんと横向きになった。
 日比野はブラウスを脱がせた。ブラをつけただけの上半身は華奢な感じで、そのぶんよけいに豊満な胸が目立つ。思わず日比野は、ブラからこぼれそうな乳房に眼を奪われた。
「スカートも……」
 聖子が催促した。横向きに寝たまま、眼をつむっている。日比野がスカートの後ろのホックをはずしジッパーをさげると、また仰向けになり、片腕を眼のあたりに乗せて腰を浮かした。
 日比野は興奮と緊張が入りまじって息苦しいほど心臓が高鳴っていた。いわれたとおりスカートを脱がせ、目の前に現われた眺めを見たとたん、固唾を呑んだ。
 肌色のパンストの下に白いビキニショーツが透けている。しかもショーツはブラとペアらしくシースルーで、前の部分には花柄の刺繍が入っているが煽情的にこんもりと盛りあがった丘の黒いものが、うっすらと透けて見えている。
 さっきから充血している肉棒がズキンとうずき、ズボンを突きあげた。
 それに下着姿になった聖子のプロポーションも素晴らしい。ウエストから腰が悩ましいS字曲線を描き、太腿にほどよく肉がついた脚がすらりと伸びている。
 こんな姿を見せつけられたのではたまらない。いかにカタブツで通っている日比野でも襲いかかりたくなる。
「ううん、パンストも……」
 そのときまた、うわごとのようにいって聖子が催促した。
 日比野は引き寄せられるようにパンストに手をかけた。ずりさげると、綺麗な脚にそってクルクルと巻きおろし、抜き取った。
 聖子は片腕を顔に乗せたままだ。シースルーのブラとビキニショーツをつけただけで、ほとんど裸も同然だった。
 日比野のなかで、襲いかかりたい衝動と立場を考えろという理性とがせめぎ合っていた。
 すると聖子が、ゆっくりと片膝を立てていき、その脚をまたゆっくりと一方の脚にすり合わせるようにして伸ばしていく。
 両脚の間で、黒いものが透けているショーツが微妙に蠢くのを凝視したまま、日比野はゴクリと固唾を呑んだ。と同時に、ここにきて、さすがの日比野も思った。
 これは挑発じゃないか!?……
 そのときクスッと、聖子が腕を顔に乗せたまま笑った。
「うん、課長ったら……わたしって、そんなに魅力ありません?」
 かるくなじるような口調でいう。
「そ、そんなことはないよ」
 日比野はあわてていった。声が渇いた喉にからんでかすれた。
「だって、なにもしないんだもん」
 そういって聖子は両手を背中にまわすと、キラキラする眼で日比野を見つめたまま、胸を反らした。
「なにもって、きみ!……」
 日比野はオタオタして落ち着きなく視線を泳がせた。なんのことはない、最初から聖子はそのつもりで挑発していたのだ。
 背中のホックをはずした聖子がブラを取り、両手を躯の両脇におろした。
 日比野は息を呑んだ。剥きだしの乳房は仰向けに寝ていてもお椀型にみずみずしく張って、まぶしいばかりだ。
「見てるだけじゃいや。課長も脱いでェ」
 聖子が顔をそむけていう。恥ずかしそうな仕種とは裏腹に、顔にはときめきの色があった。
 日比野のなかで、ふくれあがった欲情が弾けた。手早く服を脱ぎながら、それでも一抹の理性が残っていて、妻や自分の立場のことなどが頭をかすめた。けれども、ビキニショーツ一枚で寝ている若い裸身の誘惑のほうがはるかに勝っていた。


【3】
「あ、すごい!」
 トランクス一枚になった日比野の、露骨にテントを張った股間を見て、聖子が弾んだ声をあげた。
 日比野は年甲斐もなく、照れて苦笑いを浮かべた。
「課長の見たい、見せてン」
 聖子も笑いながら甘えた口調でいう。
 日比野はトランクスも脱いだ。いきり立った肉棒がブルンと弾んで露出した。
「すごォい!」
 嬌声をあげた聖子が、きてェ、というように両腕を伸ばした。
 日比野はベッドにあがると、聖子に覆いかぶさっていった。ピチピチした若い女体との密着感が、さらに日比野の欲情を煽った。
 日比野がキスにいくと、聖子は眼をつむって応じた。甘美な感触の唇を割って侵入した日比野の舌が聖子の舌をからめ取ると、聖子のほうも舌をじゃれつかせてきて、せつなげな鼻声を洩らす。
 濃厚なディープキスにふけりながら、日比野は夢でも見ているような興奮に酔っていた。そのうち、聖子が身をくねらせて日比野の股間に手を這わせてきた。かるく肉棒を握り、ゆるやかにしごきながら、鼻声を高める。
 初めての浮気、しかも願ってもチャンスはないと思っていた美人OLとの情事に、日比野は異常に興奮していた。
 そのせいだろう。そうして聖子の手でしごかれて早くも暴発しそうになり、あわてて腰を引いて躯をずらした。
 乳房に貪りついた。弾力のあるふくらみの頂きを口に含み、吸ったり舌でこねまわしたりしながら、一方のふくらみを手で愛撫した。
 輪郭の部分からふっくらと盛りあがった乳暈も、ツンと突きだした乳首もほどよい大きさで、綺麗な色をしている。
 みるみる乳首が硬くしこってきて、聖子は狂おしそうに繰りかえしのけぞりながら、きれぎれに喘ぐ。
 それを見て日比野もようやく、四十二歳の男らしい余裕のようなものが出てきた。徐々に躯をずらして、糸を引いたようなヘソがチャーミングな腹部に口唇を這わせ、両手で脇腹からウエストのくびれをなぞって聖子の下半身に移動していった。
 もどかしそうに裸身をうねらす聖子の腰部が眼の前にきた。ショーツに両手をかけると、ゾクゾクしながらずりさげた。
 想像したとおりヘアはかなり濃い。だがむさ苦しい感じではない。密度が濃いだけで、こんもりと盛りあがった丘に整然と、逆三角形状に生えている。
 ショーツを抜き取り、両脚を開かせた。
「あんッ……」
 聖子の腰がうねる。見ると、明らかに興奮しているとわかる顔を恥ずかしそうにそむけている。日比野の眼はすぐにあからさまな股間に釘づけになった。
 局部の眺めは、わずかに赤みをおびた肉色の秘唇が薄いせいか、ふっくらとした饅頭のような肉にスリットが入った感じだ。秘唇の両側にはヘアがまばらにしか生えていない。
 一瞬、日比野は、秘唇が褐色をおびて鶏頭の花のような形をしている妻の陰部と比較して、聖子の若さと初々しさに感動しながら、張りのある内腿に口唇を這わせた。
「あッ、だめ……だめよゥ、シャワー浴びてないからァ……」
 クンニを予感したのだろう。聖子が狼狽していいながら腰を振った。
「かまわないよ」
 日比野は両手で秘唇を分けた。菱形にクレバスが開き、じっとりと濡れ光ったパールピンクの秘粘膜が露出した。
「ああん、だめだめッ……」
 聖子は焦れるように腰を振る。かまわず日比野は舌を這わせて、クリトリスをすくいあげた。ふるえをおびた喘ぎといっしょに、ピクンと腰が跳ねた。
 これまで女遊びとは縁がなかった日比野だが、クンニのテクニックにはいささか自信がある。クリトリスを舐めまわす際、舌先でこねたり弾いたりするだけでなく、舌の裏も使ってそうするのだ。舌の表面はザラついて硬いが裏側は柔らかい。表と裏の使い分けが敏感なクリトリスには絶妙な刺戟になるのだ。
 日比野のクンニで、聖子はたちまち感泣しながら悶えはじめた。両手でシーツをつかんで繰りかえし胸を突きあげてのけぞり、みずみずしく張った乳房をふるわせる。
 最初のうち聖子の局部は、かすかにアンモニア臭がして酸っぱいような味がしたが、もともと聖子自身そういう体質なのと日比野のクンニのせいだろう。すぐに無味無臭になってきた。
 もうクリトリスはビンビンに張っている。口に含んで吸引し舌でこねてやるうち、聖子はイキそうな声を発して悶えはじめた。
 日比野は仕上げにかかった。舌裏を使ってクリトリスをこねまわしながら、同時に顎で膣口を突く。
「ああッ、それ、いいッ……あんッ、あッ、ああ、だめッ、イッちゃう!」
 聖子はピーンと全身を突っ張るようにして反りかえった。日比野の顎が密着している膣口が痙攣するようなふるえを湧きたてたかと思うと、「イクッ、イクウッ!」とよがり泣きしながら腰を揺さぶった。
 日比野は上体を起こした。聖子が興奮しきった顔で息を弾ませながら、
「ああん、きてェ!」
 と、両手を差し延べた。
 日比野は聖子の両脚の間に腰を進めた。いきり勃った肉棒を手にし、その先で蜜を塗りつけたようなクレバスをなぞった。真珠玉のようにふくれあがったクリトリスを擦って膣口をこねてやる。
「あッ、だめ……ううン、もうしてッ」
 腰をうねらせて催促する。
 日比野の場合、避妊のための装備は必要ない。三人目の子供ができた直後に、もう打止めということでパイプカットをしていた。
 聖子のほうも避妊についてなにもいわないところをみると、安全日なのか、それともなにか対策をしているのかもしれない。もっとも、興奮しているときの女は、一瞬そういうことも忘れてしまうこともあるからなんともいえないが。
 日比野はそのまま押し入ることにした。肉棒の先で聖子の秘口をまさぐると、未体験ゾーンに侵入した。
「うッ!……」
 低く呻いた聖子が苦悶とも歓喜ともつかない表情を浮きたててのけぞる。
 聖子の秘壷は、熱く潤みきっているのにかなりの密着感があった。三人の子供を産んだ妻とは比較にならなかった。
 吸いついてくるようなエロティックな膣感覚に、日比野は新鮮な興奮をかきたてられた。聖子の両膝を曲げて開くと、ゆっくりと抜き差しした。
 スリットのようなクレバスを分けて押し入った肉棒がピストンのように出入りする煽情的な眺めが、もろに見える。蜜にまみれた肉棒はヌラヌラと濡れ光っている。抜き差しのたびに肉棒が、からみつき、まといついてくるような秘粘膜に、甘くくすぐられる。とりわけ微妙なザラつきがある天井部分との摩擦感がたまらない。
 扇状に開いたロングヘアを褥にした聖子は、感じ入った声をあげている。日比野が突くたびに悩ましい表情を浮きたて、顎を突きあげて感泣を洩らす。
 日比野は行為をしながら、いつも会社の受付で眼にする聖子と、いま目の前で日比野の肉棒を受け入れてよがり泣いている聖子とをダブらせて、ますます興奮を煽られた。
 日比野は抜き差しだけでなく、深く突き入って腰をグラインドさせた。そうして肉棒の先で子宮口の硬い突起をグリグリとこねた。
 その当たる感覚が、聖子にはたまらない快感らしい。ふるえをおびた泣き声でそれを訴えて、イキそうな反応を見せる。そして自分から夢中になって腰を律動させはじめ、クライマックスを求めてきた。
 日比野も、もうそうしたいところまできていた。
「イクよ」
 いうなりクライマックスに向けてピストン運動に入った。激しく律動し突きたてるたびに恥骨をクリトリスに叩きつけた。
 肉が肉を叩く派手な音がたつ。日比野といっしょに聖子の躯も律動し、みずみずしく張った乳房が生々しく揺れる。聖子が息せききって発する声もその顔も、もう絶頂寸前を想わせる。
 泣きながら聖子が絶頂を訴えた。ほとんど同時に日比野もふくれあがった欲望を解き放った。
「ああ……うう〜ん……」
 陶酔している聖子の、激しい摩擦で粘った蜜壷が肉棒を締めつけてきた。


【4】
「きみとこんなことになるなんて、まだ信じられないような気持ちだよ」
 日比野は聖子の艶やかなロングヘアを撫でながら、本音を洩らした。
 聖子は日比野の胸に火照った頬をつけて、俯せに近い格好で脚をからめている。
「正直いうと、まだわからない。どうしてなんだ?」
「どうしてって?」
 聖子が日比野の乳首を指先でなぞりながら聞きかえす。
「きみのように若くて綺麗なら、俺みたいなオジサンを相手にしなくても、男なんて選り取り見取りだろう」
「そんな……わたし、甘えん坊でファザコンぽいところがあるの」
「それで俺を?」
 誘惑したのかとはいえず、日比野が聞くと、聖子はうなずいた。
「日比野さんて、会社だときびしいけど、やさしそうだから……」
 笑いを含んだような口調でいいながら日比野の股間に手を這わせてきて、萎えた一物を弄ぶ。
 そのくすぐられるような手触りを感じながら、聖子の背中の半ばまであるロングヘアのうねりの向こうに見えているウエストのくびれから、クリッと形よく盛りあがったヒップを眺めているうち、日比野はまたしても肉棒が充血してくるような感覚に襲われた。
「今夜泊まってって。ね、いいでしょ?」
「ん? あ、ああ……」
 甘えて抱きついてくる聖子に、日比野は自分でもわかるヤニ下がった顔でうなずいた。


 こんな夢のようなことがあっていいんだろうか。まるで都合よくできたポルノ小説のようじゃないか。
 シャワーを浴びながら、日比野は口笛でも吹きたい気分だった。
 それでも一人になってみると、上司と部下という聖子との関係や、もしもこのことが周囲や妻にバレたらどうしようかと、持ち前の真面目な性格から心配や不安が頭をもたげてくる。
 つまらんことを考えるな!……
 日比野は自分を叱咤した。そして鼓舞した。
 そんなことを考えるから、いままでカタブツといわれてきたんじゃないか。こんなチャンスはめったにないんだぞ。いや、求めても、もう一生ないかもしれない。いままで浮気のひとつもしないで真面目にやってきたから、神様が褒美をやろうということなんじゃないか。そういえば俺は今年厄年だから、若くて綺麗な女の子を相手に厄払いしろということなのかもしれない。そうだとしたら、神様も粋なはからいをするもんだ……。
 躯に石鹸を塗りつけながらニンマリしていると、聖子が浴室に入ってきた。全裸だった。長い髪をアップにしているせいか、大人っぽい感じだ。
 素晴らしいプロポーションをした裸身にシャワーがかかるのを日比野がまぶしげに見ていると、聖子は躯に石鹸を塗りつけはじめた。
「わたし、洗ってあげる」
 いきなり、ドキッとするような色っぽい笑みを浮かべて、日比野の首に両腕をまわしてきた。
 そのまま身をくねらせて、みずみずしく張った乳房を日比野の躯にすりつけながら徐々にしゃがんでいく。やがてひざまずき、両手でペニスのまわりを撫でまわす。
 日比野は呆気にとられていた。経験したことはないが、これはよくいうソープ嬢がやるボディ洗いじゃないか。最近の若い女はこんなこともするのか。
 驚きながらも、その気持ちのいい感触にゾクゾクして、聖子の両腕の間で生々しく揺れる濡れた乳房を見下ろしていると、たちまちペニスがこわばってきた。
「あら、もうこんなに……」
 聖子が笑ってペニスを手にする。日比野が照れて苦笑いしていると、片手でゆるやかにペニスをしごきながら、一方の手でフクロの部分をやさしく撫でまわす。
 そのテクニックにも驚いたが、さらに日比野は仰天した。なんと、会陰部をくすぐるようにしていた聖子の指先が、アナルにまで這ってきたのだ。
「うッ……そ、そこは!」
「うふッ、アナルは男の人も感じるんでしょ?」
 聖子はこともなげにいい、うろたえる日比野にかまわず、石鹸の泡にまみれてすべりのいい指先でアナルを愛撫する。
「感じるって……参ったな。こういうのは俺、経験ないから……」
 日比野は拒絶することもできず、しどろもどろになって、肉棒をしごかれる感触とアナルをくすぐられる感覚に狼狽しきっていた。
「じゃあ、初めて体験させてあげる。正確には前立腺を刺戟するといいの」
 いうなり聖子が、ゆるゆるとアナルに指を入れてくる。
 思わず日比野は小さく呻いた。
 正直に告白すると、日比野自身、女のアナルを攻めてみたい欲望を密かに持っていた。しかし、妻にそんなことをすれば、変態呼ばわりされるに決まっている。それがいやで、いままでその経験はなかった。
 それが、こともあろうに、それより先に自分が反対に女からアナルを攻められることになろうとは……。
 ところが、アナルに侵入した聖子の指でペニスの根元のあたりを微妙に刺戟されると、日比野はうろたえた。しびれるような快感に襲われて、いきり立ったペニスがビクン、ビクンとわななき、いまにも暴発しそうになるのだ。
「おおッ、ま、待ってくれ。だめだ、発射しちゃうよ」
 あわてて腰を引いて逃れた。
「ほら、もうビンビン!」
 聖子が笑っていう。いちど欲望を放出しているというのに日比野のペニスは、まるでもっとも勢いが盛んな十代後半の若者のそれのように、腹を叩かんばかりに勃起してヒクついている。
「いやあ、驚いたよ。こんなテクニック、どうして知ってるんだ?」
「ふふふ、それはヒ・ミ・ツ……」
 聖子は言葉どおり秘密めかした笑みを浮かべて立ちあがった。
 日比野は聖子を抱き寄せた。
「よし、今度は俺が洗ってやろう」
 日比野の腕のなかで、聖子がクルリと躯をまわして後ろ向きになった。
 そのほうが都合がいい。日比野は石鹸を泡立て、両手を聖子の腋の下から前にまわして乳房をすくい、愛撫した。クリッとしたヒップにエレクトした肉棒が突き当り、聖子がなまめいた声を洩らして身悶える。
 日比野は片手を聖子の下腹部に這わせて繁みの下にすべり込ませた。指の腹でクレバスを掻きあげながら、色っぽい項に口唇を這わせる。
「あんッ、くすぐったい……」
 聖子は首をすくめた。
 そのまま繰りかえしクレバスを掻きあげ、口唇で項から耳を嬲ってやる。聖子は狂おしそうにのけぞって、せつなげな喘ぎを洩らしながら、日比野の指の動きに合わせて腰を律動させる。
 クリトリスが指の腹に感じとれるほど勃起してきた。
 日比野は指を蜜壷に挿し入れた。ヌルッと侵入した指を、吸いつきのいい秘粘膜が、じんわりと締めつけてくる。
 指を抽送しながら、舌を耳のなかに挿し込んでこねてやる。
「あッ、ああン、だめ……」
 ふるえ声をあげて聖子は立っていられなくなり、前屈みになってバスタブの縁に両手をついた。
 日比野の肉棒の前に、ハートを逆さにした形のヒップが突きだされた。ハートの谷間にスリットのようなクレバスも露わな、ふっくらとした秘肉が覗いている。
 それでなくても興奮していた日比野は、まるでバックから犯してといわんばかりの聖子の格好にますます煽情されて、肉棒を手にし、その先でクレバスをまさぐった。
「ああン、お風呂でェ?」
「ちょっと入れるだけ。聖子が刺戟するから我慢できなくなったんだよ」
 沢田聖子のことを初めてそう呼んで、日比野は押し入った。ゆっくりと抜き差ししながら、肉棒が出入りする秘口の上の、ツンと澄ましたようなアナルの褐色のすぼまりを見て、指先に石鹸の泡を塗りつけた。
「聖子も、ここは感じるんじゃないか?」
 指先でアナルを愛撫してやる。
「ううん、そこ弱いの……感じちゃって、頭が変になるからだめェ」
 聖子はクネクネと腰を振りたてる。拒むという感じではない。その証拠にすぐにアナルの締めつけを解いた。
 初めて女のアナルを犯す−−それも前後を同時に犯すという行為に、日比野は異常に興奮しながら、すぼまりに指をゆるゆると挿し入れた。
 とたんに聖子の息遣いが荒くなった。日比野のほうも異様な興奮を煽られた。薄皮を隔ててペニスと指が触れているのだ。しかもアナルとヴァギナを取り巻く8の字の括約筋のせいだろう。アナルが指を食いしめるたびに蜜壷が連動して肉棒を締めつけてくる。
 指先でアナルをこねてやるうち、聖子の反応はますます狂おしいものになった。弾むような息遣いのなかから、快感に酔いしれたような喘ぎとも呻きともつかない声を洩らす。
 その反応に日比野は眼を見張った。日比野自身、強烈な刺戟のためにそれ以上攻めていると、あえなく発射してしまいそうだった。そこで、あとはベッドの上で愉しむことにして肉棒と指を抜き取った。


【5】
 日比野は有頂天だった。
 あの夜を境にして、それまでの生活が灰色に、そして、これからのそれが薔薇色ならぬピンク色に見えて、いささかオーバーな言い方をすれば、人生が変わったような気持ちだった。
 毎日でも聖子の部屋にいって、あの夜のような情事を愉しみたいと思った。
 ただ、それではいかにもガツガツしているように思われて嫌われる。ここは我慢して、思慮分別のある四十二歳の男の余裕を見せるべきだ。そう考えて、最初は何事もなかったかのように聖子に接した。
 聖子のほうも、日比野に合わせたようにそれまでと変わらなかった。
 そして、あの夜からちょうど一週間後、初めて日比野は聖子を飲みに誘った。
 ところが聖子は、学生時代の女友だちと会う約束をしているという。仕方なく日比野が都合のいい日を聞くと、一週間後なら……という答えだった。
 日比野は胸をときめかせながらも悶々として、さらに一週間待って聖子を誘った。
 すると、今度は躯の調子がよくないという。かといって会社を休んでいるわけでもなく、そんなようすも見えない。日比野がどこが悪いのか聞くと、なんとなく躯がだるいのだという。
 落胆が隠せない日比野だったが、それなら早く医者に診てもらったほうがいいというと、聖子のほうでも日比野に申し訳ないと思ったのだろう。体調がよくなったら自分のほうから誘うので飲みに連れていってほしいというのだった。
 そのときを日比野は待った。
 しかし、聖子はいっこうに誘ってこない。会社には休まず出ていた。日比野が体調や診断の結果を聞いても、医者には診てもらったが原因がはっきりせず、体調も少しずつよくなっている感じだが、まだいいとはいえないという。
 体調が相手だけに日比野もそれ以上なにもいえない。ただ聖子の誘いを待つほかない。だが、あの夜のことを思うと、悶々とするばかりだった。
 あの夜、シャワーを浴びたあとベッドに入った二人は、濃厚な情事にふけった。二人というより、日比野のほうが聖子に圧倒されっぱなしだった。
 聖子は日比野の肉棒をしゃぶり尽くすように舐めまわし、そればかりかアナルにまで舌を這わせてきた。そのとき二人はシックスナインの態勢をとっていて、日比野もおかえしに聖子のアナルを舌でくすぐりかえした。
 おたがいに全身を舐めまわすような前戯を繰りひろげたあと、二人は合体した。いろいろと体位を変えてからみ合い、聖子の求めで、浴室のときと同じように日比野が蜜壷に肉棒を入れアナルに指を挿してやると、彼女は我れを忘れたように狂態を演じはじめた。
 そのとき、うわごとをいうようにしきりに快感を訴える聖子に、日比野が蜜壷のことを四文字でいって、アナルとどっちがいいか聞くと、
「どっちも。オマ×コもアナルもいいのォ。ああ、もっとォ、もっともっとして!」
 聖子はなりふりかまわず狂ったようになって、日比野を煽りに煽ったものだった。
 あのときの聖子が、日比野は頭から離れない。会社で受付に坐っているのを見るたびに、生々しくあの夜の聖子を思いだしてしまう。
 そうして悶々としているうちに、聖子との間になにもないまま、あの夜から一カ月あまりがたった。
 そんなある日、聖子のほうから日比野に声をかけてきた。
「お話しがあるんですけど、今夜、いいですか?」
 日比野は思わず、どんな話か聞こうとしてやめた。そんなことはあとでいい。それよりひとりでに顔がヤニ下がるのをこらえるのに困った。


 二人は聖子が知っているという新宿のスナックで会った。ウイスキーの水割を飲みながら、どんな話か日比野が聞くと、
「あれから、あるべきものがないの」
 聖子はテーブルの上に置いたグラスに両手を添え、それを見つめたままいった。
「あるべきもの?」
「生理……妊娠しちゃったらしいの」
「!…………」
 日比野は唖然とした。パイプカットをしている自分が妊娠させるはずはない。
 ということは、聖子にはほかに男が!?……
 そういえば、若い独身OLがあんな部屋に住めるはずがない。それにあのセックスのテクニックも、考えてみればふつうではない。日比野のなかに疑惑がひろがっていく。
 すると聖子が微苦笑を浮かべて、
「迷惑はかけません。でも、病院にだけはついていってほしいの」
 と、深刻な話になるのを避けて努めて明るくしようとするようにいった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。俺はきみを妊娠させようと思ってもできないんだよ」
「えッ!?」
 弾かれたように聖子が顔をあげた。
「俺はパイプカットしてるんだ。なんなら医者の証明書を見せてもいい」
 今度は聖子が唖然とする番だった。一瞬、表情を失った顔にみるみる狼狽の色がひろがった。やがて俯き、気持ちを鎮めようとするかのようにゆっくりとグラスを口に運び、水割をひと口飲んだ。
「ごめんなさい。わたし、どうかしてたんです」
 日比野がわけを聞くと、聖子は両手で挟むようにして持ったテーブルの上のグラスを見すえたまま、話した。
 −−聖子には愛人関係にあった男がいた。男は、聖子と日比野が勤めている建設会社に出入りしていた不動産会社の社長で、四十八歳。二人は会社の受付で顔を合わせているうちに親しくなり、やがて特別な関係へと発展していった。
 二人の関係はそれから約一年間つづき、二カ月ほど前に切れた。男の経営する不動産会社がバブルが弾けたあおりを受けて倒産し、多額の負債を抱えた社長が姿をくらましたからだった。
 ところがその直後、聖子は妊娠していることを知った。聖子自身、もとより子供を産む気はなかった。
 子供の父親とは不倫の関係である。そのうえ当の父親の行方も知れない。
 聖子は中絶することにした。だが、産婦人科の内診台に寝て手術を受けるシーンを想うと、怖さと同時に自分がひどく惨めに思えてきた。
 中絶することを社長もわかってくれていればまだしも、社長はなにも知らない。自分一人で後始末をする。そのことが惨めでたまらなかった。
 そんなとき総務課の新入社員歓迎会があった。みんなの手前、聖子はその場の雰囲気に調子を合わせていたが気持ちは晴れなかった。
 その帰途、日比野とタクシーに同乗して、ふと、それまで聖子自身も考えてもみなかったことを思った。酔った勢いもあった。真面目でやさしい日比野なら、妊娠したといえば責任を感じて病院にまで付き添ってくれるだろうと……。
 そこまで話すと、聖子はまた日比野に謝った。
 日比野は、すぐにいうべき言葉もなかった。怒っていたわけではない。それよりすべてがわかったところで、このあとの聖子とのことを考えながら、いった。
「病院には俺がついていってあげるよ」
 聖子が驚いた顔で日比野を見た。
「でも、もういいんです。わたし、一人でいきます」
「病院だけじゃない。これからも聖子の部屋にもいきたいんだ」
 結婚するとき、まともにプロポーズの言葉もいえなかった日比野が、初めて口にした口説き文句だった。
 聖子のほうもカタブツで通っている上司の言葉としては意外だったのだろう。一瞬、驚いたような顔をしていた。が、笑いかけてきた。
 それを見て日比野がグラスを持ちあげると、聖子もグラスを手にした。二つのグラスがカチンと、いい音を響かせた。



【艶妻映子・痴情記】


【1】
 シンと静まりかえったなか、受講生たちがスケッチブックに向かって鉛筆を走らせる掠れた音だけが流れている。
 デッサンの題材がこれまでの静物から人物に代わるや、受講生全員が女ばかりの絵画教室の雰囲気は一変した。
 モデルがちょっとハンサムな若い男で、しかもヌードだからだろう。静物デッサンのときはおしゃべりに興じながら鉛筆を走らせていた受講生たちも、いまは真剣そのものの顔つきでデッサンに熱中している。
 このカルチャースクールは、都心から西に電車で三十分あまりの、東京最大のベッドタウンの駅前にある。その電車を走らせている電鉄会社の経営で、ビル全体がカルチャースクールになっている。
 藤森映子は一カ月あまり前の四月から週二回、ここの絵画教室に通っている。
 子供の頃から絵を描くのが好きだった。といって特別に習ったことはなく、学校の美術の時間に描いていたにすぎない。それも美術が正課になっている中学までのことだった。
 その後、学生時代や社会人になってからの独身時代には、もともと絵を観賞するのも好きだったから、よく美術館や絵画展などに足を運んだ。
 映子は女子大を出たあと、S省に勤めていた。そのとき六歳年上の代議士の秘書と知り合い、恋愛の末、二十四歳で結婚した。そして一年後に男の子を出産したのを機に、勤めを辞めて家庭に入った。
 それから七年になる。子供がこの春から私立の名門小学校に通いはじめ、これまで主婦業と子育てに追われている間は独身時代のように絵を観賞する余裕さえなかった映子にも、多少ゆとりが出てきた。
 以前から映子は、そのときがきたら趣味で絵を習いたいと思い、それを楽しみにしていた。そこで、子供の入学が決まるとすぐ、カルチャースクールの絵画教室に受講を申し込んだのだった。


 教室の窓辺にこぼれている爽やかな五月の陽射しを背にして、受講生たちのデッサンがつづいている。
 その間を、飯野孝夫という三十代後半の講師がゆっくりと歩きながら、デッサンの出来具合を見てまわっていた。
 しきりに顔を上げ下げしている受講生たちの前には、男性モデルがほとんど全裸に近い格好で、ミケランジェロの彫刻『ダビデ』のポーズをとっている。
 三枝奈津彦、二十六歳、劇団員……。
 最初に講師の飯野孝夫が、この男性モデルを、そう受講生たちに紹介した。
 その三枝奈津彦が身につけているものといえば、白い超ビキニのブリーフだけだった。かろうじて局部をつつみ込んだ布の部分がモッコリと露骨にふくらみ、ペニスの形までくっきりと見せている。そのうえ、そのサポーターのような前の部分以外、両脇と後ろは幅一センチほどの紐で、Tバックスタイルというフンドシ状になっている。
 さっきから藤森映子は、自分でも戸惑うような思いと感覚に襲われていた。
 芝居の稽古などで鍛えられたのだろう。三枝奈津彦の躯は筋肉質で引きしまっている。まさにミケランジェロのダビデ像を想わせた。
 いくらか褐色をおびた肌。胸や二の腕や太腿に過不足なくついた筋肉。腹筋が浮いた腹部。力感とバネを感じさせる腰……。
 その躯を見ているうちに映子は、しだいに息苦しくなってきていた。
 それだけではない。
 ブリーフのモッコリしたふくらみ。くっきりと浮きあがったペニスの形。サポーターのような部分からはみだしてヘソに向かって立ち昇っている縮れ毛……。
 その煽情的な股間の眺めを見ていると、いやでも下着のなかのものを想像してしまい、躯が火照ってきていた。
 こんないやらしい、はしたないことを想うのは自分だけなのだろうか?……
 うろたえながら映子は、それとなく、みんなのようすをうかがった。
 二十人ほどいる受講生の大半は三十代から四十代の主婦で、なかでも三十二歳の映子は若いほうだった。
 受講生のなかには映子と同じようなことを想っているのか、頬を上気させている者や眼が潤んでいるように見える者もいる。
 いくらか救われたような気持ちになった映子だが、デッサンをつづけながら、自分がこんないやらしい想像をしたり、それで躯が火照ってきたりするのは夫のせいだと思った。
 代議士の秘書をしている夫は、まだ三十八歳だというのに、このところ映子を求めてくる回数がめっきり減ってきている。
 仕事柄、時間が不規則で疲れるのはわかるけれど、ここ一年ほど前から目に見えてその兆候が現われ、月に一回あればいいほうで、ともすれば二カ月に一回ということもめずらしくない。
 あるとき映子は、女性週刊誌でいささか気になるセックス記事を読んだことがある。
 男性の性的機能はセックスから遠ざかるにつれて低下する。とりわけサラリーマンの場合、仕事が忙しいとか疲れているとかいっているうちに面倒になり、セックスの間隔をあけすぎていると早漏や不能に陥る。そうなるとますますセックスに対して消極的になり、悪循環になる。最近はそういう男性が増えているというのだ。
 夫がまさにそうだった。たまに映子を求めてきてもすぐに終わってしまったり、ちゃんと硬くならないまま映子のなかに入ってきて、あっけなく果ててしまうこともある。
 女ざかりの映子にとってはたまらない。夫が眠ったあと、満たされない躯を自分で慰めたり、最近では昼間一人のとき、そうしたりすることさえある。早い話が、欲求不満なのだった。
 カルチャースクールに通って好きな絵を習おうと思ったのも、子供にあまり手がかからなくなったせいもあるけれど、なにか気をまぎらわせることをして、そういう不満を少しでも解消したかったからだった。
 ところが、解消するどころか反対に、欲求不満をかこっている身を思い知らされるハメになってしまった。
 そればかりか、さっきから夫とのセックスのことを考えながら、三枝奈津彦のヌードを見てデッサンをつづけていると、いつのまにかもっと生々しく淫らなシーンを想像していた。
 あの逞しい腕と胸で抱きしめられて、股間の硬い突起を下腹部に突きつけられたら。そして、熱い肉棒を突き入れられて、あの見るからにバネのありそうな腰を律動させてなかを擦りたてられ奥を突きあげられたら……。
 そう想っただけでズキンと子宮がうずき、花芯がいやらしくヒクついて濡れてくるのがわかった。
 そのとき映子は、あわてて視線を伏せた。三枝奈津彦と眼が合ったのだ。
 ただの偶然だろうと思いながら視線をあげると、まだじっと見ている。
 映子はさっき以上にあわてて俯いた。自分でもはっきりとわかるほど頬が火照り、心臓がドキドキしていた。
 そういえば、さっきからときどき見られていたような気がする。まさか、いやらしいことを想っていたのを見抜かれたのでは……。
 俯いたまま、うろたえてドギマギしていると、
「藤森さん、手が遊んでるよ。しっかりモデルさんを見て、これだ! という線をつかまなくちゃだめだよ」
 スケッチブックを覗き込んだ講師の飯野に注意された。
「あ……は、はい」
 映子はあわてていい、真っ赤になった。三枝奈津彦ばかりか飯野や受講生のみんなにまで淫らなことを想像していたのを見抜かれたような気がして、いたたまれなかった。


【2】
 恥ずかしい思いをして気が動転していたせいだろう。カルチャースクールを出て、買物をして帰ろうと思って近くのスーパーマーケットの駐車場に車を乗り入れたとき、映子はスカーフを絵画教室の机の下の棚に忘れてきたことに気づいた。
 すぐに引きかえし、車をカルチャースクールの駐車場に停めて教室に向かった。
 教室のドアを開け、なかに入った瞬間、映子はハッとして立ち止まった。
 かすかな声、それも艶めかしい喘ぐような声を聞いたような気がした。
 絵画教室は、ドアを開けてなかに入ると、そこが廊下のようになっている。画集や絵に関する資料のほか絵画教室に必要な物を収納した、ちょうど映子の肩の高さほどのロッカーが並んでいて、それが教室の部分との仕切りになっている。
 映子は息を詰め、足音を殺してロッカーに近寄った。
 ロッカーに沿って映子の背丈は充分にある鉢植えの植木が等間隔に置いてあり、さらにロッカーの上にはトルソーが並んでいる。
 植木とトルソーの陰から教室を覗いたとたん、映子は息を呑んだ。
 あろうことか、女が机にもたれて立ち、その前にひざまずいた男が両手でスカートを腰の上までたくしあげて、女の下腹部に顔を埋めているのだ。
 あまりにショッキングな光景に映子は、カーッと頭のなかから躯の芯まで熱くなった。他人の情事を見るのは、それも覗き見るなどということは、もちろん初めてだった。
 悩ましい表情を浮かべて狂おしそうにのけぞっている女は、佐川昌枝という受講生で、彼女にクンニリングスをしている男は、講師の飯野孝夫だった。
 佐川昌枝は三十代半ばの主婦なのだが、いつも化粧が濃く、タヌキ顔でグラマーな体型をしている。どちらかといえば水商売によくいるようなタイプで、そういえば、これまで飯野孝夫に対しても媚を売るような物言いや仕種を見せていた。
 その佐川昌枝のニットのオーバーブラウスが胸の上までずりあがって、ベージュのブラからボリュームのある乳房が片方露出し、パンティとパンストは丸まって膝までずりさがっている。
 彼女は両手を後ろの机について躯を支え、必死に声をこらえているのだろう。口を喘ぐように動かしながら、熟れきった腰をたまらなさそうに前後に揺すっている。
 それを食い入るように覗き見している映子は、いけない、いけないと思いながらも、その生々しい光景から眼が離せず、膝がふるえて動くこともできない。
 そればかりか、まるで自分がクンニされているような感覚に襲われて、ジーンと花芯が熱くなってヒクつき、もう口を開けていなければ息をするのも苦しい。
「ああン、いい〜ッ」
 佐川昌枝がたまりかねたようにいって両手で飯野の頭を抱え込んだ。
 そのまま抑えた声できれぎれに感じ入った喘ぎを洩らし、クイクイと腰を律動させていたかと思うと、
「イクゥ、イク〜ッ!」
 すすり泣きながらガクガクと腰を揺すりたてた。
 ゆっくりと飯野が立ちあがった。すると、昌枝が崩折れるようにしてその前にひざまずいた。
 飯野がベルトをゆるめ、ズボンをおろす。ブリーフの前は突きあがっていた。興奮しきった顔つきの昌枝がブリーフをさげる。ブルンと生々しく弾んで肉棒が露出した。
 映子がドキドキしながら凝視していると、昌枝が肉棒を手にして、うっとりとした表情を浮かべて舐めまわしはじめた。
「大胆にやってくれるなァ」
 突然、耳もとで男の声がして、映子は弾かれたように振りかえった。
「シッ!」
 映子の唇に指を当てた男は、なんと、あの三枝奈津彦だった。
 声をかけられた瞬間、驚きのあまり心臓が破裂しそうだった映子は、ダブルパンチを見舞われたようなショックを受けてオロオロした。
「俺もさっから見てたんですよ。さ、つづきを見ましょう」
 声を低めていうなり三枝奈津彦は映子を教室のほうに向かせ、そのまま後ろから両手で肩を抱いた。
 佐川昌枝は眼をつむって飯野の肉棒を咥え、顔を前後に振っていた。
 映子はハッとして躯を硬くした。タイトスカートのヒップに硬いモノが触れてきたのだ。ほとんど同時に三枝奈津彦の両手が映子の両腕の下からブラウスの胸にまわってきた。
 声は出せない。映子はわずかに身悶えた。躯で拒もうとしても羽交い締めにされた状態では、どうすることもできない。というより躯そのものが煽情的な光景を覗き見しているうちに刺戟され、アルコールに酔ったような状態になっていて、意のままにならないのだった。
 それをいいことに三枝奈津彦の両手が胸のふくらみを揉んできた。
 すでに発火点に達している熟れきった女体は、そうして乳房を揉まれると、抗いようもなく甘いうずきが胸から下半身に電流のように流れ、花芯が燃えてくる。
 三枝奈津彦の片手が、その下腹部に這ってきた。一方の手で乳房を揉みながら、スカートの上から下腹部や腰を撫でまわしていたかと思うと、そのままスカートのなかにまで侵入してきて、パンストの上から下腹部のこんもりした丘を撫でまわす。
 映子はされるがままだった。拒むという意志は、もうとっくに消え失せていた。それどころかヒップに男の硬いモノを生々しく感じたまま、そうして躯をまさぐられながらフェラチオする佐川昌枝を見ていると、刺戟と興奮が何倍にもなって、立っているのがやっとだった。
 そのとき飯野が昌枝を抱いて立たせた。
「おッ、いよいよ本番がはじまるぞ」
 映子の耳もとで三枝奈津彦が小声でいう。
「いやだわ、こんなところで。誰か来たらどうするの?」
 飯野に抱かれた昌枝が発情した顔つきでそういって笑いかけながら、指で肉棒をなぞっている。
「だから刺戟的で、よけいに燃えるんじゃないか」
「ふふッ、先生ってスケベなんだからァ。でも、そういうとこが好き!」
「俺も昌枝のスケベなとこが好きだよ」
 飯野孝夫も笑っていいながら、昌枝のかなり濃い繁みの下を指でまさぐっている。
「ああ、だめッ……もうしてッ」
 昌枝が焦れるように腰を振っていう。
「なにを?」
 飯野が聞くと、昌枝は映子がいったこともない、そのものズバリの露骨な言い方で飯野を求めた。
 それを聞いて映子は、恥ずかしさと同時に興奮を煽られた。三枝奈津彦が手をパンストの上ゴムから強引にショーツのなかに入れて、いやらしいほど濡れているクレバスに指を這わせてきた。
 さすがに映子はうろたえ、あわてて両手で口を押さえた。
 三枝奈津彦の指が、ぬかるんだクレバスを掻きあげクリトリスをくすぐる。
 必死に声を殺しながら映子は、そのとき飯野が昌枝に机に両手をついてムッチリと張ったヒップを突きださせ、その後ろから肉棒を突き入れていくのを見た。
 昌枝が低く呻いてのけぞった。その熟れきったヒップを両手で抱えた飯野が、ゆっくりと腰を律動させると、悩ましい表情を浮きたてた昌枝がきれぎれに喘ぎはじめた。
「まったく、覗き見してるほうがたまらないなァ」
「うッ!……」
 映子は小さく呻いて身をすくめた。クレバスを掻きあげていた三枝奈津彦の指が、熱く潤みきった花芯に侵入してきたのだ。
「だ、だめ……」
 抑えた声がふるえた。言葉とは裏腹に花芯がいやらしくヒクつき、三枝奈津彦の指を締めつける。
「映子さん、俺たちも楽しもうよ」
 一瞬、名前をいわれたことに驚いていると、三枝奈津彦が映子の手を取って自分の股間に導いた。
 いつのまにズボンの前を開けていたのか、熱い肉棒に触れた手を映子があわてて引くと、花芯に挿した指でこねるようにしながら、スカートをめくりあげてくる。
「いや、だめ」
 三枝奈津彦が本当にファックするつもりだとわかって、映子はうろたえた。うろたえながらも指で花芯をこねられる快感にせきたてられるように、
「だめよ、ここじゃいや」
 そう口走っていた。


【3】
 映子は手早くシャワーを使った。
 絵画教室で見たこと、されたこと、そしてそこからラブホテルにくるまでのことが、まるで白昼夢でも見ているように思いかえされた。
 三枝奈津彦に抱えられて教室を出たあとのことは、ほとんど覚えていない。
 覚えているのは、映子の車を三枝が運転してカルチャースクールをあとにしたことと、途中、映子が「どうして?」と、ほとんど上の空で聞いたのに対して三枝がいったことだけだった。
 三枝奈津彦は、モデルのアルバイトを終えてカルチャースクールから帰ろうとしたとき、たまたま車を駐車場に乗り入れてきた映子を見たらしい。それで、どうしたのかと思って彼も引きかえした。教室に入ってみると、艶めかしい女の喘ぎ声が聞こえ、ロッカーにしがみつくようにして立っている映子を見て、その後ろに忍び寄った。映子は覗きに夢中になっていて、まったく気づくようすもなかった。そして、彼も覗いているうちにたまらなくなって、いやらしい行為をしたというのだった。
 そのとき三枝奈津彦は苦笑いしながら、こんなことも打ち明けた。
 受講生のなかで映子がいちばん綺麗で魅力的だったので、つい見惚れてしまい、見惚れているうちに変なことを想ってブリーフの前がテントを張りそうになって困ったという。驚いたことに、三枝も映子と同じことを想っていたらしいのだ。
 そして、あとで講師の飯野から映子のことを聞きだした。その際、飯野に「あの奥さんは堅いからチョッカイ出してもムダだぞ」と忠告されたらしい。
 そんなことを三枝奈津彦一人が話しているうちに、映子のほうは気がついてみたら車がラブホテルに入っていた、という感じだった。
 部屋に入るなり三枝奈津彦は映子を抱きしめてキスしてきた。
 映子は抗って拒んだ。それまでは異常な興奮の余韻がくすぶりつづけていて、雲の上でも歩いているような状態だったが、そのときになってようやく、不倫しているのだという罪の意識が生まれてきたのだ。
 しかし、三枝奈津彦は強引だった。無理やり唇を奪うと、映子の弱みにつけ込むように下腹部に股間の突起をグイグイと押しつけ、映子がナヨッとして喘いだ隙に舌をすべり込ませてきた。
 男の硬い突起を、まだ燃えうずいている下腹部に押しつけられたまま、舌で舌をからめ取られ、口腔を舐めまわされると、それでなくても欲求不満をかこっている映子の罪の意識は消し飛んだ。自分からも狂おしく舌をからめかえしていきながら、せつない鼻声を洩らしてしまった。すると三枝奈津彦が映子の下着に手をかけてきた。
 映子はあわてて唇を離した。
「待って……シャワーを使わせて」
 息を弾ませていうと、身をよじって彼の腕のなかから逃れ、小走りに浴室に駆け込んだのだった。


 三枝奈津彦が浴室に入ってきた。
「綺麗な躯をしてるなァ。とても三十二歳の奥さんとは思えないよ」
 映子の熟れきった、それでいてまだ均整のとれたプロポーションを保った裸身をまぶしそうに見て、抱きついてくる。
「あ、だめよ……わたし、さきに出てるから……」
 映子はすでに躯を洗い終わっていた。
「じゃあ俺もすぐいくよ。出ていったら、帰ってたなんてだめだよ」
 三枝の声を背に映子は浴室を出ると、ビキニショーツを穿こうかどうか迷った。さっき脱いだとき見ると、くっきりと濡れたシミがついていた。せっかく綺麗にした躯を汚したくない。全裸の上にバスタオルだけを巻いて部屋にもどった。
 ひどく喉が渇いていた。無理もない。教室で飯野孝夫と佐川昌枝の情事を覗いていたときから、カラカラになっていたのだ。
 冷蔵庫を開け、缶ビールを取りだした。あとで車を運転して帰らなければならないが、ビールの喉越しのよさがほしかった。それに喉を潤す程度に飲むだけだから、帰る頃にはアルコール分も完全に抜けているはずだ。
 映子はグラスに移したビールを飲んだ。思わず、フーッと声を洩らしたくなる美味さが胃に落ちていく。
 そのとき、チクリと胸が痛んだ。まだ名前と劇団員ということしか知らない年下の男とラブホテルにきて、そうしてシャワーを使ったあとビールを飲んでいる自分が、ひどくはしたない淫らな女に思えた。と同時に夫と子供の顔が眼に浮かんだ。
 それを振り払うようにビールを飲み干すと、映子はドレッサーの前に立った。鏡に向かってバスタオルの前を開いた。
 しっとりと脂が乗ったヌメ白い肌。ほどよいふくらみ全体が上向きに反り、みずみずしい張りを保った乳房。自分で見てもいやらしいほど官能的なウエストから腰にかけての曲線。そして、すらりとした脚……。
 自分でもプロポーションには自信を持っている熟れきった躯が、初めて不倫を犯す罪悪感の一方で気持ちが�兇蠅箸�めいているせいだろうか、いつも以上に溌剌として見えた。
 映子の眼は、鏡に映った下腹部の繁みを見つめていた。
 逆三角形に生えた繁みは、さっき見た佐川昌枝ほど濃くはない。それがいつになく、ひどく淫らに見える。すでにその下の花芯が熱く潤んできているせいだった。
 そのとき映子は人の気配を感じて振り向いた。いつのまに浴室から出てきたのか、三枝奈津彦が素っ裸のまま、缶ビールの残りを飲みながら映子を見ていた。
「いやッ。ひどいわ、黙って見てるなんて」
「ごめんごめん。声をかけようかと思ったんだけど、悩ましいヌードに見惚れちゃって、かけそびれたんだ」
 笑っていいながら歩み寄ってくる。映子は息を呑んだ。映子の裸を見ている間にエレクトしたのだろう。グッとエラを張って腹を叩かんばかりに反りかえった肉棒が、生々しく弾みながら迫ってくる。
「もうこんなものはいらないな」
 三枝奈津彦はバスタオルを取り去り、全裸の映子を抱き寄せた。映子は思わず喘ぎ、身ぶるいした。熱い肉棒を下腹部に押しつけられていた。
 彼に唇を奪われ舌を入れられると、映子は自分から熱っぽく舌をからめていった。濃厚なキスを交わしながら彼の筋肉質の躯と鋼鉄のような肉棒を感じていると、頭がクラクラするほど興奮してきて、たちまち立っていられなくなった。
 映子はずるずるとしゃがんだ。目の前に反りかえった肉棒が迫っていた。興奮に衝き動かされてそれを手にする。
「ああッ……」
 ふるえ声を洩らして舌を這わせた。
 肉棒全体を舐めまわし、咥えると、顔を振って口腔でしごいたり舌でくすぐったりする。それを交互に繰りかえしながら、手でもフクロの部分をくすぐる。
「さすが人妻、うまいもんだ」
 三枝奈津彦が明らかに興奮のためとわかる、うわずった声でいう。
 映子自身、夫にもこれほど淫らで煽情的なフェラチオをしたことはない。いまは自分からすすんで淫らになりたかった。淫らになるよう自分を駆り立てていた。そうしていると、不倫の罪悪感を忘れられるからだ。
 実際、そうして淫らに男のモノをしゃぶっていると、映子はもう妻でも母親でもなく、発情した一人の女になりきっていた。
 そして、熱く硬い肉棒を舌や口腔で感じていると、それが、いまやせつないほどうずいている花芯に押し入ってくる瞬間の身ぶるいする快美感が脳裏をよぎり、下腹部を襲って、ひとりでに腰が淫らにうごめいてしまう。
「クーッ、暴発しちゃいそうだ。もうたまんない!」
 いうなり三枝奈津彦が映子を立たせた。興奮に酔って立っているのがやっとの映子をベッドに押し倒すと、襲いかかるようにして覆いかぶさってきた。
 両手で乳房を揉みながら、しゃぶりついた乳首を吸いたて舌でこねまわす。
 映子はきれぎれに喘ぎながらのけぞった。男を生々しく感じさせる彼の筋肉質の躯と、太腿に擦れている肉棒の感触で、胸に生じるせつなく甘いうずきが、まわりの早い強い酒を飲んだように全身にひろがっていく。
 三枝が躯をずらした。両手と口唇でボディラインをなぞって映子を悶えさせ、両脚を押し開いた。
「綺麗だ。人妻とは思えないよ。美人のオマ×コは意外に顔ほどでもないんだけど、映子さんのは例外だね」
 あからさまにされた映子の恥ずかしい部分を凝視したまま、あけすけなことをいう。
「そんなァ……見ちゃいやァ」
 映子は顔をそむけて腰をうねらせた。そういいながらも声はひどくなまめいていた。自分でもいやらしいほど濡れているとわかる恥ずかしい部分に、三枝奈津彦の突き刺さってくるような視線を感じていると、ひとりでに花芯がヒクつき、ジュワッという感じで蜜があふれていく。
「あうッ!」
 映子は両手でシーツをつかみ、胸を突きあげるようにしてのけぞった。三枝奈津彦の舌がクリトリスをとらえ、こねまわす。映子は感じ入った声を洩らして悶えた。
 三枝奈津彦はテクニシャンだった。いつも形式的義務的な感じのする夫のクンニの仕方など、較べものにならなかった。
 クリトリスを舌でくすぐるように掃いたり、こねたり、弾いたりして、巧みな舌遣いに変化と強弱をつけながら、映子の感じ方に合わせて攻めたり、反対にわざとツボをはずしたりする。
 しかも攻めと焦らしのタイミングがくやしいほどうまい。そのぶん映子のほうは夢中にさせられ狂わされてしまう。またたくまに映子は感泣しながら絶頂を訴え、腰を揺すりたてていた。
 起きあがった三枝奈津彦が、肉棒を手にしてクレバスをなぞる。
「ああッ、もうきてッ!」
 映子は取りすがるような顔つきとはしたない腰つきで求めた。
「ほら、さっき覗き見してたとき、あの奥さんがいってたようにいってごらん」
 肉棒の先でクリトリスを擦ったり膣口をこねたりしながら、三枝奈津彦がけしかけるようにいう。
 あのとき佐川昌枝が飯野を求めていったそのものズバリの卑猥で露骨な言い方は、いままでの映子だったら、夫の前でも到底いえるようなものではなかった。だが、映子は佐川昌枝と同じ言い方で三枝奈津彦を求めた。そんなハレンチなことをいう淫らな自分に、めまいがするような興奮を煽られながら。
 それと同時に肉棒が押し入ってきた。貫かれる快感に、それだけで映子はあっけなく達した。
 ゆっくりと三枝奈津彦が律動しはじめた。ようやく映子は快感を味わう余裕が生まれてきた。
 久々に味わう男の硬い肉棒だった。燃えうずいている花芯を擦られる感触がたまらない。擦られるのもいいけれど、奥の子宮の突起に当たってこねまわされると、もっといい。
 たちまち映子は泣きたいほど気持ちよくなって、本当に泣きだした。よがり泣きしながら、三枝奈津彦に「どこがいいの?」と聞かれ、さっき口にした露骨な言葉でたまらない快感を訴えた。
「ああ、映子のオマ×コは食いついてくるみたいだ。俺も気持ちよくてたまらなくなってきたよ。いっしょにいこうか」
 律動しながら三枝奈津彦がうわずった声でいう。映子はウンウンとうなずきかえした。もういつでもいける。いきたかった。
 三枝奈津彦が腰を叩きつけてきた。叩きつけられるたびに映子は声を高めながら絶頂に向かっていった。


「さっきは泣いてたけど、いつもああなるの?」
 映子のセミロングの髪を弄びながら三枝奈津彦が聞いてきた。
 夫婦のセックスの有り様をいうわけにはいかない。不倫したうえに夫を辱しめることになる。
 三枝奈津彦の胸に火照った頬を押し当てたまま映子はかぶりを振り、彼の下腹部に手を這わせて、さきほどまでの逞しさが嘘のように可愛くなったペニスに指をからめた。
「だって、奈津彦が素敵だったから……」
 つぶやくように、甘えるようにいう。
「これからも会える?」
「…………」
 どう答えるべきか映子は迷った。このまま不倫をつづけることは許されないと思う一方で、これっきりにしようともいえなかった。
 そのときふと、絵画教室で講師の飯野孝夫が受講生たちを前にしていったことを思いだした。
「これでもわたし、人妻なのよ。あなた、飯野先生がおっしゃってたこと覚えてる?」
「あの講師が……どういうこと?」
「ダビデのこと……」
「ああ。キリスト教美術の画題では……という話?」
「そう。ダビデは、一方では理想的な民族指導者として描かれるけれど、人妻を奪って神の罰を受ける弱点を持つ人間としても描かれるのよ」
「つまり、俺は神の罰を受けるってこと?」
「そうよ。もちろんわたしだって、あなた以上の罰を受けるに決まってるわ」
「いいじゃないか。二人で神の罰を受けようじゃない。映子といっしょだったら、俺はどんな罰を受けたってかまやしないよ」
 奈津彦が映子を抱きしめ、キスしてきた。舌と舌をからめ合いながら映子は、早くもまた勃起してきている彼のペニスを下腹部に感じて、せつない鼻声を洩らした。
 ダビデの誘惑に負けてしまいそう……。
 でも、それでももうかまわない、と思いながら。



【美人OL・倒錯記】


【1】
 ミニ・クーパーはサービスエリアを出ると再びN高原に向かって走りはじめた。
 そのクーパー1・3iは由美子の愛車で、東京から一時間あまりは由美子が運転してきたのだが、サービスエリアで休憩したあと、つづけて運転しようとした由美子を制して、今度は田村がステアリングを握っていた。
 由美子は車を運転するのが好きで、田村とのN高原行きに応じたのも、ドライブが楽しめると思ったからだった。その楽しみを奪われて、ちょっぴり不満だった。
 それに田村の思惑はわかっていた。いままで何度も二人でドライブしたが、田村が運転を替わるときは必ず、その思惑のためだった。
 避暑地として知られるN高原への道は、リゾートシーズンをすぎたために空いていた。このぶんでいけば、あと一時間たらずで目的地に着くだろう。
 二人は、田村の知り合いの牧野という医師がN高原に持っている別荘にいき、一泊する予定だった。
 由美子は好きなオールディーズのCDをセットした。ドリフターズの『ラストダンスは私に』が流れだした。
 歌の内容とは関係なく、タイトルのラストダンスという言葉が、由美子の気持ちのなかに波紋のようにひろがった。
 ラストダンス……最後の踊り……最後の情事……。
 ダンスという言葉によって喚起されたセクシーで官能的なイメージから、そんな連想が浮かんできて、胸のなかの思いとダブッた。


 三日前、由美子は田村に連れられて牧野夫妻と会い、四人で食事をした。牧野夫妻に会ったのはそれが初めてだった。
「いやあ、田村さんがうらやましいな。こんなに美人の若い恋人がいるなんて」
 田村が由美子を紹介すると、牧野はただのお世辞とも思えない羨望と驚きの入りまじった顔つきでいい、夫人から膝をつねられて顔をしかめ、苦笑した。夫人は笑っていた。
 田村は仕事を通じて以前から牧野夫妻と親しくしているということだったが、由美子とのことも夫妻に話していたらしい。
 名前を紹介されただけなのに牧野にそういわれて、由美子は戸惑った。田村とは製薬会社の営業課長と部下というだけでなく、由美子は二十五歳の独身だが、四十一歳の田村には妻子があり、不倫の関係にあるからだった。
 牧野も自分と夫人を由美子に紹介した。夫人の名前は淑恵といい、食事をしながら話しているうちに、牧野が四十二歳で、淑恵夫人は三十六歳だとわかった。
 夫妻に子供はいないという。そのせいか二人とも歳よりは若く、とりわけ夫人のほうは三十そこそこにしか見えなかった。しかも色っぽい女性で、プロポーションには自信がある由美子から見ても若々しい均整のとれた躯をしていた。
 その席で、牧野夫妻が所有しているN高原の別荘の話が出て、「お二人で遊びにいってらっしゃい」といわれ、由美子がためらっていると田村が喜んで応じ、週末のこの日の別荘行きが決まったのである。
 由美子がためらったのは、田村が知り合いの医師夫婦と会食をしようといったときから、ある懸念を抱いていたからだった。
 最近、田村はよく情事の最中に、スワップをしてみないかというようになっていた。由美子は取り合わなかったが、牧野夫妻との会食はそのための顔合わせのようなものではないか、という疑惑を抱いていた。
 だから、別荘に招待されたとき、牧野夫妻もそれを知っていて、スワップを実行するためではないかと疑惑を強めた。
 だが牧野夫妻は、自分たちも別荘にいくとはいわなかった。「お二人で遊びにいってらっしゃい」といったのだ。
 考えすぎかもしれない。まして田村も了解なしに無理やりスワップなどしないだろう。だったらN高原までのドライブも悪くない。
 由美子はそう思い直して別荘行きに同意したのである。
 そして、これを機会に田村との関係を清算しようと考えていた。といって田村がいやになったわけではない。関係が生じて二年という月日が流れるうちに、溜まってきた澱のようなもののせいだった。
 もともと恋愛感情など介在しない関係だった。ただしそれは由美子のほうのことであって、田村はそうではなかった。はっきりと由美子のことを好きだと告白し情熱的だった。
 もっともそれだけで二年も関係がつづくはずもない。肉体関係が生じて由美子も田村のことが好きになった。
 それまで若い男しか知らなかった由美子にとって、中年の田村とのセックスはまったく異質だった。ひと言でいえば、すべてが素晴らしかった。
 田村も若い由美子の躯に夢中になったが、由美子も初めてオルガスムスを教えられてからというもの、ますます田村とのセックスにのめり込んでいった。
 ある時期から二人の関係をつづけさせてきたものは、おたがいの肉欲だった。
 とはいえ、初めて田村からスワップなどという思いがけない言葉を聞いたときは、さすがに由美子も驚いた。
「どうしてそんなことを? わたしがほかの男の人とセックスしても平気なの?」
 唖然としながら聞くと、田村は真面目な顔つきでいった。
「平気などころか、想像しただけで嫉妬で頭がおかしくなりそうだよ。だけど同時に、ものすごく刺戟されると思う。由美子だって考えてごらん、俺の見てる前でほかの男に抱かれるところを。俺と同じぐらい刺戟されると思うよ。それをいっしょに楽しもうってことなんだよ」
 由美子自身、想像するだけならそうかもしれないと思った。そして田村だけでなく、ふとそう思った自分に呆れた。ただ、それもこの二年間、田村とのセックスに溺れてきたせいだろうと思いながら。
 だが由美子は取り合わなかった。そして、何度かそんな説得を聞いているうちに思った。二年間という月日は、おたがいの肉欲が鎮静して澱のようなものに変わってくるために必要な期間だったのかもしれない、と。
 それに由美子自身、ちょうど田村がスワップの話をするようになる前あたりから、先が見えない田村との関係を考えて、そろそろ潮時ではないかと思いはじめてもいた。
 もっとも、そういう素振りを見せたことも、それを匂わすような発言を口にしたこともなかったから、田村のほうはそんな由美子の気持ちに気づいているようすはなかった。
 そして、今度のドライブを最後に由美子が別れようと思っていることにも……。


【2】
「男が女を愛する時、か」
 田村がつぶやくようにいった。スピーカーからパーシー・スレッジの歌が流れていた。田村の好きな歌だった。
 田村の手が由美子の膝に這ってきた。由美子はなじる眼で運転席を見た。田村は片手でステアリングを握り、何食わぬ顔をして前方を見ている。
 由美子も戸惑ったりはしなかった。そういうことをしてくるだろうことは、田村が運転を替わったときから予想していたからだ。
 セミミニのタイトスカートは、シートに坐っている間に膝上十五センチほどの完全なミニ丈までずりあがり、太腿の半分が露出していた。
 田村の手がさらにスカートを押しあげる。
「うん、だめ……」
 由美子は甘い声でいって両脚を締めつけた。それ以上拒もうとはしなかった。シートにもたれて両手を躯の脇におろしたまま、田村の手の動きを見ていた。
 スカートが太腿の付け根よりも上までずりあげられて、淡いピンク色のTバックショーツとガーターベルト、それに肌色のストッキングというセクシーなスタイルの下着をつけた下半身が露出した。
 ガーターベルトをつけたスタイルの下着が田村の好みだった。これまでいろいろな色のガーターベルトや、それとセットになったブラやショーツを買い与え、逢うときはいつもそういうスタイルの下着をつけるようにいい、いわれるまま由美子もそういう下着を愛用するようになったのだった。
「ほう、ピンクか……」
 ちらっと由美子の下着を見て田村は満足そうにいって、手でガーターベルトのストラップをなぞる。その手が内腿に分け入ってきた。
 由美子は顔をそむけ、ふっと自分から両脚の締めつけを解いた。
 田村の手が、ストッキングとショーツの間の内腿を撫で、さらにショーツの前に這ってくる。そして、二等辺三角形のナイロン素材の布の中心部分を、指先で縦になぞる。
 由美子は喘ぎ顔になって田村を見た。田村は素知らぬ顔をして運転している。こういうときはいつもそうだった。素知らぬ顔をしているが、見なくても由美子がそういう痴漢的な行為を刺戟的に感じていることがわかっていて、それを楽しんでいるというような表情をしている。
 由美子の状態は、事実そうだった。これまで田村からベッドでのセックスだけでなく、満員電車や公園のなかなどで痴漢プレイや露出プレイなどを体験させられ、それを刺戟的に感じる頭と躯にされて、いまもその行為に刺戟されていた。
 下半身に由美子は眼をやった。
 田村の指がショーツ越しにクレバスをなぞっている。ナイロン素材のショーツを通して感じる刺戟がたまらない。滑らかな感触といっしょに、上下する指でゾクゾクする性感をかきたてられる。と同時にもどかしさもあって、そのぶんますます感じてしまい、三十センチほど膝を開いた両脚が小刻みにふるえる。
 由美子自身、田村の痴漢的な行為を予感したときから濡れはじめていたのがわかっていた。それがいまはもう、田村も指先で感じているのではないかと思えるほどに濡れてきている。
「ああッ、だめン……」
 艶めかしい声が口を突いてでた。我慢しきれなくなり、両手でシートの両端をつかみ、腰を前にずらして上下させ、由美子のほうから田村の指にクレバスを擦りつけずにはいられない。
「なんだ、もうたまらなくなったのか?」
 田村が前を向いたまま、笑いを含んだ声で聞く。由美子は焦れったさに腰を淫らに揺すりながら、すねてみせた。
「だって、いや」
「いやらしい腰つきだ。もっといじってほしいんだろ?」
 うなずき、顔をそむけて、
「ああ、いじって……」
 うわずった声でいった。
「今日はやけに素直だな」
 田村が意外そうにいって由美子を見、すぐにまた前を向いた。
「どこをいじってほしいんだ?」
 由美子自身もふくれあがってきているとわかるクリトリスを、からかうように指がこねまわす。
 田村にはそうやって女に恥ずかしいことや卑猥な言葉をいわせて楽しむ癖がある。いつも由美子はいやがりながらも結局いわされ、それで彼女自身も興奮を煽られるのだが、いままではすぐにそんな恥ずかしいことはいわなかった。
 けれども、いまの由美子には、田村とはこれが最後の情事になるという思いから、すすんで淫らな女になろうという気持ちがあった。
 顔をそむけたまま、きれぎれに喘ぎながら腰を振っている由美子の脳裏に、恥ずかしい言葉が浮かんだ。
 すすんで淫らになろうとする気持ちがあるとはいえ、ベッドのなかならまだしも、走っている車のなかで痴漢的な行為をされながら、そんな言葉を口にするのはいたたまれない。頭のなかから全身がカッと熱くなった。と同時に、頭がクラクラするほど興奮もした。
「ああッ……オマ×コ、いじって」
 由美子は小声でいった。
「スケベだな、由美子は」
 田村自身興奮した感じの笑い声でいって、ショーツのなかに手を入れてきた。
「いや、あんッ……ああッ……」
 由美子はふるえをおびた喘ぎ声を洩らした。恥ずかしいほど濡れたクレバスに分け入った指先で、過敏なクリトリスを丸くこねられると、猥りがわしく腰が蠢いてしまう。
「グショ濡れじゃないか。別荘に着くまで、こうやっていじられてるだけじゃ我慢できないんじゃないか」
 楽しそうにいいながら田村が、指を膣口に這わせてきた。指先で膣口をこねながら、同時に指の付け根でふくれあがったクリトリスを擦る。
「ううん、だめッ、それだめ……」
 由美子は腰をもじつかせた。そうされるとペニスが欲しくてたまらなくなるのだ。身悶えながら懇願した。
「だめ、ホントに我慢できなくなっちゃうから……ね、上だけにして」
「嘘をつけ。クリちゃんでイッても欲しくてたまらなくなるくせに」
 田村は笑いながら、かまわず膣口とクリトリスを嬲りつづける。
「いや……ううん、知らない、ああッ……」
 すねたようにいいながらも感じた喘ぎ声を洩らして、由美子は腰をうねらす。否応なく淫らな腰つきになってしまう。
 田村のいうとおりだった。それも田村とのセックスで変わってきたことのひとつで、いまの由美子はクリトリスでオルガスムスを得ると、つぎには泣きたいほど肉棒で貫いてほしくなる。それだけセックスに対して貪欲な躯になってきている。
 田村の指が蠢いているショーツのなかから、クチュクチュという淫猥な音が聞こえてきそうだった。
『オンリーユー』を歌うプラターズの高い声といっしょに、由美子はきれぎれに感泣し、腰を律動させていた。膣口をこねられて身悶えずにはいられない狂おしさをかきたてられ、クリトリスを擦られて、いまにもイキそうな快感に襲われながら。


【3】
 牧野夫妻の別荘は北欧風の二階建てで、外観も内部も洒落た造りになっていた。
 一階はワンフロアで、ゆったりとしたリビングとダイニングキッチン。二階が寝室やゲストルームになっていた。
 別荘に着くと田村はすぐにシャワーを浴び、交替で由美子がバスルームに入った。バスルームは二階にあった。
 シャワーを浴びながら由美子は、車のなかでのことを思いだしていた。
 あのとき由美子は、田村が途中で車を駐め、雑木林のなかかどこか人目につかない場所で行為を求めてくるのではないかと思っていた。というより田村のことだから、野外プレイのチャンスを逃すはずがないと思い、由美子自身も内心それを期待していた。それほど田村の痴漢的な行為によって欲情させられていたのだった。
 ところが、あのあと田村は急に悪戯をやめたのだ。刺戟されるだけされて発情状態になっていた由美子は、思わず「いやッ」とすねた声を発して催促する腰つきになった。
 だが田村は笑って「我慢しろ」というだけで、なにもしなかった。別荘が近づいていたとはいえ、田村にしては珍しいことだった。
 おかげで由美子はまだ欲求がくすぶりつづけていた。そのために、勃起している乳首にシャワーの飛沫が当たっただけで躯がふるえ、とりわけ股間の秘めやかな部分を洗ったりそこにシャワーを当てたりしていると、躯がわなないて喘ぎそうになった。
 それに欲求がくすぶって感じやすくなっているせいか、八十四、五十九、八十六というスリーサイズが示すとおり、プロポーションには自信がある二十五歳の美しく官能的に熟れた裸身が、由美子自身の眼にも、いつも以上に艶めかしく見える。
 夕食までにはまだ時間があり、田村はその前に由美子をベッドに誘うつもりらしい。田村の好きなスタイルの下着をつけてゲストルームにくるようにいっていた。
 田村との情事にはもう馴れて、あまりそういうこともなくなっていた由美子だが、胸がときめいていた。浴室を出ると下着をつけ、バスローブをまとってゲストルームに向かった。


 田村は腰にバスタオルを巻いた格好でソファに坐り、ビールを飲んでいた。
「飲むだろう」
「ええ、いただくわ」
 由美子も田村と並んでソファに坐った。そのとき初めて気づいた。シャワーを浴びる前に部屋に入ったときはカーテンが引いてあってわからなかったのだが、壁面に大きな鏡が張ってあった。それもツインベッドの一方の足もとの側の壁に張ってあり、いかにもベッドの上の行為を映して楽しむ仕掛けのような鏡だった。
「いやだわ。変なホテルみたい」
「鏡張りの部屋って感じだろ。牧野先生も奥さんもくだけた人だし、サービス精神も旺盛な人たちだからな。カップルのゲストに楽しんでもらおうと思ったんだろう。俺たちも楽しませてもらおうじゃないか」
 笑っていって乾杯を促す田村を、由美子は色っぽい眼つきでかるく睨んでグラスを持ちあげ、ビールを飲んだ。シャワーのあとのビールの味は格別だった。
「フーッ、おいしい!」
 空になった由美子のグラスに田村はビールを注いだ。
「由美子はちょっと酔ったほうがよけいに感じやすくなって、スケベにもなるからな」
「そんな、わたしがエッチになったのは誰かさんのせいよ」
「そういわれると男としては光栄だけど、由美子にスケベな素質があったということだよ。素質がない女に男がいくら教えようとしても、無駄なことだからな」
 由美子はグラスを半分ほど空け、揶揄するように田村を見た。
「それ、褒め言葉?」
「もちろん。ほら、立ってスケベが詰まった躯を拝ませてくれ」
 笑っていう田村を、由美子は艶めかしい眼つきで睨み、残りのビールを一気に飲み干した。そして立ちあがると、バスローブを脱ぎ落とした。
「おお、いいな。そそられるよ」
 まぶしげに由美子を見る田村の顔にも声にも興奮した感じがあった。
 両腕を胸の前で交差した由美子はノーブラで、黒いレースのTバックショーツに、ショーツとセットのガーターベルトで黒いストッキングを吊った、悩ましいスタイルの下着をつけていた。
 田村にもよくいわれたことだが、肌が白いので黒い下着がプロポーションのいい裸身をいっそう悩ましく見せているはずだった。
 田村も腰のバスタオルを取り、ブリーフだけになって立ちあがった。由美子をベッドと壁に張られた大きな鏡との間に連れていくと、Tバックショーツから露出したヒップを手で撫で、ショーツの紐を引っ張った。
「あんッ、そんな……」
 紐がクレバスに食い込み、由美子はうわずった声をあげて躯をよじり、田村に抱きついた。
 田村がキスして舌を滑り込ませてきた。両手でヒップを撫でまわしながら、由美子の舌をからめ取って舐めまわす。由美子も舌をからめかえす。田村の分身がムクムクとこわばってきて、下腹部に突き当たる。くすぶっていた欲求が一気に燃えあがり、由美子は甘い鼻声を洩らして身悶え、下腹部を怒張にすりつけた。
 唇を離した田村が、首筋から耳に唇と舌を這わせてくる。くすぐったさと性感が入りまじった感触に由美子はのけぞった。
「鏡の前でオナってみろよ」
 田村が囁いた。由美子は弱々しくかぶりを振った。
「そんな、いや……」
「車のなかでは中途半端だったから、ずっとここがウズウズしてるんだろ。もう下地ができてるんだからやれるだろう」
 由美子にオナニーをさせるために、田村は痴漢的な行為を途中でやめたらしい。ショーツの上から秘部を撫でまわしながら、けしかけるように囁く。
「さあ、ベッドにあがって」
 いわれて由美子は逡巡した。だが、いままでに何回となく田村の前でオナニーをして見せている。当初は、見せてくれといわれるたびに、当然のことながらいやがって拒否していたのだが、根負けしたような形でして見せてからは、由美子自身も恥態を見られて刺戟され、興奮をおぼえるようになっていた。
 田村に再度促されて由美子はベッドにあがり、仰向けに寝た。正面の壁に大きな鏡があり、その横に田村が立っている。
「思いきり俺を挑発するつもりで、真剣にやってみろ」
「うんッ、知らない……」
 すねたようにいいながら、由美子もそのつもりだった。顔をそむけ、腰を浮かしてショーツだけ脱ぎおろし抜き取った。
 田村に見られながら、鏡の前でするのは初めてだった。いままでにない恥ずかしさがあったが、そのぶん刺戟されてもいた。
 仰向けに寝ていても反り気味の形をそのまま保った乳房に左手を当て、やさしく揉み、指先で乳首をくすぐりながら両膝を立て、股間に右手を這わせて脚を開いていく。
 クレバスはもう濡れていた。中指で潤みをすくいあげて鋭敏な蕾をとらえ、丸く撫でまわす。
「ああ……はんッ……あはんッ……」
 ひろがってくる快感にせつない声が洩れ、胸を反らしたり腰をもじつかせたりせずにはいられない。
 つむっていた眼をそっと開けてみた。鏡に映った恥態がまともに眼に入った。
「ああッ、いや……」
 羞恥で全身が炙りたてられるようだった。それでも由美子は鏡から眼が離せなかった。
 M字状に開脚した下肢。その間で、褐色がかったコーラルピンクのやや湾曲した秘唇の上端で蠢く、赤いマニキュアが鮮やかな指先。そして淫らにうねる腰……。
 そのはしたない眺めを見ていると、羞恥の炎と同等の興奮を煽られた。
 もうクリトリスは真珠のようにコリコリしてきていた。撫でまわすたびに膣が生々しくざわめき、高まってきた性感のために視界がぼやけてきた。
「ああん、いいッ……ああ、だめ。もう、もうだめになっちゃいそう」
 快感を訴え、真珠をこねまわして腰を律動させながら、迫りくる絶頂感に由美子は感泣しはじめた。
「イキそうなのか?」
 いつのまにか田村がベッドにあがって顔を覗き込んでいた。由美子は何度もうなずきかえした。すると田村は由美子と反対向きに横になった。
 ブリーフを田村は脱いでいた。怒張が由美子の眼の前にあった。由美子は上体をひねってそれに両手を添え、夢中になって舐めまわした。
 田村が由美子の両脚を伸ばして開かせた。ふくれあがったクリトリスに舌を這わせてきて、ちろちろとくすぐる。
 先から根元まで舐めまわした怒張を由美子は咥えた。顔を振ってしごき、鼻声を洩らしながら鏡を見やった。
 田村が横から由美子の股間に顔を埋め、両手で秘唇を押し分け、あからさまになったクレバスと口を平行にして舌をリズミカルに動かしているのが見えた。
 オナニーでイク寸前になっていたところにもってきて、横からのクンニリングスでクリトリスを弾かれ、由美子はたちまち怒張を咥えていられなくなった。
「ああ、だめッ、イクッ! ああん、イクッ、イッちゃう〜!」
 怒張を握って泣き声をあげてのけぞり、躯を突き抜ける絶頂感に感泣しながら腰を揺すりたてた。


【4】
「いやッ、こんなの」
 由美子はふるえ声を洩らした。
 ベッドのヘッドにもたれた田村に後ろ抱きにされ、からめた両脚でM字状に開脚させられて、そのうえ両手で秘唇を押しひろげられたのだ。
 田村の腕で腕を押さえられているために股間を隠すこともできない。褐色がかったコーラルピンクの秘唇がパックリと開口し、白っぽいピンク色をしたクレバスまであからさまな生々しい眺めが、正面の鏡に映っていた。
「いい眺めじゃないか。由美子も見てるだけで興奮しちゃうだろう」
「そんな……」
 図星だった。いたたまれない恥ずかしさに襲われながら、それでいて、鏡に映ったこれ以上ない恥態から、由美子は眼をそらすことができない。
「ほら、感じちゃって、下の口がヒクヒクしてるじゃないか」
 耳もとで田村が囁く。
「ああん、だってェ……」
 ひどく艶めかしい声が口を突いてでた。
 田村のいうとおりだった。鏡に映った由美子の顔つきは、ごまかしようがないほど興奮して、あからさまなクレバスの赤貝に似た部分がいやらしいイキモノのように収縮を繰りかえしていた。しかも、そのたびにジワッと蜜を吐きだしている。田村の視線を痛いほど感じているうちに膣が脈動してしまうからだった。
「こうやって視姦されるのもいいんだろ?」
「ああ、感じちゃう……ううん、でも、見てるだけなんていやァ」
 田村の囁きに由美子は正直に答え、たまらなくなって片手を後ろにまわした。腰のあたりに当たっている怒張をまさぐり、コレでしてというように腰をうねらせた。
 そろりと田村が指先をクレバスに這わせてきた。
「欲しいのか? ん?」
 思い入れたっぷりに囁き、ふくれあがって露出しているクリトリスをこねる。
「ああッ、だめ! イッちゃうからだめッ」
 田村の舌で植えつけられた性感もまだ生々しいクリトリスから、しびれるような快感のうずきが膣を直撃する。由美子は焦れるように身悶えながら怒張を握りしめ、鏡のなかの田村をすがるように見ていった。
「欲しいの。もう入れてッ」
「なにを?」
「ペニス……」
「指じゃだめか?」
 田村の指がクリトリスから膣口に這ってこねまわす。クチュクチュという卑猥な音が響く。
「ううんッ……あはんッ……」
 由美子は鏡のなかの田村の指先の動きを凝視した。せつなくうずいている秘口をクルクルと撫でまわしている。いいか、そうやっていじられたあと見せられた、秘肉が迫りだして口を尖らせたようになったいやらしい眺めが脳裏に浮かぶ。せつないうずきが泣きたいほどになって、由美子はもどかしさにすすり泣きながら、淫らに腰を蠢かせていた。
「ほら、もう指を入れてほしくてたまらないって腰つきじゃないか」
「いやッ、ああん、入れてッ」
 うねうねと腰を突きだしながら懇願した。
「どこに?」
 耳もとで囁く田村の声が、ズキズキうずいている子宮に響き、由美子はためらいもなく卑猥な四文字を口にした。
 ヌルッと田村の指が侵入してきた。焦らされつづけていたため、指でも、挿入される快感と満たされる歓びがペニスのそれに匹敵した。鋭く、由美子はふるえをおびた喘ぎ声を発してのけぞった。指を入れられただけで、かるく達してしまった。
「由美子はオマ×コもスケベだからな。ほ〜ら、いやらしく指を咥え込んでる」
 鏡のなかで田村が笑いかける。
「いや」
 由美子は田村を睨んだ。けれども、興奮しきった顔つきのため、睨んだつもりが艶めかしい眼つきで見たという感じにしかならなかった。
 それよりも由美子自身、田村のいうとおり膣が繰りかえし収縮して指を咥え込もうとしているのがわかる。それでますます性感が高まってきて、ひとりでに腰がうねってしまう。
 田村が指を抜き挿ししはじめた。鏡を通してそれが見える。抜き挿ししながら、ときおりこねまわす。また卑猥な音が響く。
 田村のいやらしい手つきと蜜壷を淫らにかきまわす指。濡れた淫猥な音。それに合わせて猥りがわしく律動する由美子の腰。蜜壷だけでなく、視覚も聴覚も刺戟されて、由美子の理性は切れた。
「ああ、いいッ……はあ〜ん、気持ちいい、ああ〜ん、いいのォ〜」
 うわごとをいうように快感を訴えながら、まるで騎乗位で夢中になって動いているように腰を律動させる。
「オマ×コいいのか?」
 田村が口で耳を嬲りながら露骨な聞き方をする。由美子もあからさまな言い方で答えた。
「いいッ、オマ×コいいの」
「由美子はオマ×コが大好きなんだろ?」
「好き、オマ×コ気持ちいい……ああッ、もっと、もっとしてッ」
「ああ、たっぷりしてやる。だけど由美子、もしもこんなところを誰かに見られて、声も聞かれてたりしたらどうする?」
 妙なことを田村がいった。いっている意味が由美子はわからなかった。
「誰かに、見られてるって……」
 そういった瞬間、色を失い、躯中の血が逆流した。鏡のなかで二人は顔を見合っていた。田村がぎごちない笑みを浮かべた。
「実はそうなんだよ。あの鏡はマジックミラーで、この部屋にはマイクがあって、最初からずっと、向こうの部屋から牧野夫妻に見られて聴かれていたんだ」
「そんな……」
 由美子は暴れて田村の腕のなかから逃れようとした。ところが、逆に強い力で抱きしめられた。
「いやっ! 離してッ!」
「由美子、聞いてくれ。おまえの了解を取らなかったことは悪かった。スワップの話をしても、なかなかウンといってくれないから仕方なかったんだ。だけど由美子なら、いざその場になればわかってくれる。そう思って牧野夫妻に俺たちの相手をお願いしたんだ。夫妻は前からスワップを楽しんでてね、経験者だし、社会的な立場もあって信用がおける。な、いいだろう?」
 身動きもならないほど強く由美子を抱きしめたまま、田村は口早にいった。
 それを聞いているうちに由美子は自暴自棄のような気持ちになってきて、思った。田村がしたことも、いっていることも、身勝手でひどい。だけど牧野夫妻に恥ずかしいところを見られたことは、もうどうしようもない。だったらスワップに応じて、奥さんの恥ずかしいところも見てやりたい。田村ともこれが最後なのだから……。
 そのとき部屋のドアが開き、牧野夫妻が入ってきた。二人ともすでに裸で、淑恵夫人のほうは胸と下腹部に手を当てているが、牧野は前を隠そうともせず、怒張と化したペニスを露出している。
「いやァ、由美子さん驚いたでしょう。田村さんからこうしたいという話を聞いたときは、ちょっと強引すぎやしないかと心配したんですけどね」
「ごめんなさいね、由美子さん、こっそり覗いちゃったりして」
 そういいながらも夫婦そろってにこやかに笑っている。ベッドの上に坐って田村に抱かれたままの由美子は、覚悟はしたものの、いうべき言葉もなく、ただ困惑するばかりだった。
「田村さん、由美子さんはオーケイ?」
「ええ。そうだろ、由美子?」
 牧野にいわれて田村が聞く。由美子は俯いて小さくうなずいた。
「よかったわ。あなた、うれしいでしょ」
 淑恵夫人が弾んだ声でいった。
「主人たら、初めてお会いしたときから由美子さんがすっかり気に入っちゃったらしいのよ。さっき覗いていたときなんて、興奮しちゃって大変なの」
「おまえだってそうじゃないか」
 牧野が笑っていった。
「覗かせてもらいながら、二人でいちゃついてたんだけどね、女房の奴、すっかりその気になって、ちょっとだけ入れて、なんていって……」
「だってェ、お二人のエッチシーンて、すごく刺戟的なんですもの」
 夫人が甘ったるい声でいう。
 二人のやり取りを聞いて由美子は顔が火照った。あんな恥ずかしいところを見られ、卑猥な言葉をいっているのも聞かれていたと思うと、いたたまれない。
「つまりこっちも、もう用意はオーケイってわけだ。さっそくはじめよう」
 ツインベッドの一方に牧野夫妻があがり、男たち二人が入れ替わった。最初のうち牧野と由美子が田村と淑恵の行為を見ることになった。
 三十六歳の淑恵は、熟しきったという言い方がふさわしい躯をしている。由美子のようなみずみずしさや張りはないが、躯全体に同性の由美子から見てもいやらしいような色気がある。
「田村さん、横になって。見せていただいたお礼に、わたしからサービスさせていただくわ」
「そうですか、じゃあ……でも、先生の前だと照れちゃうなァ」
 夫人にいわれるままベッドに仰向けに寝た田村は苦笑いしている。股間のモノは半勃ちの状態だった。横に坐った夫人がそれを手にして顔を埋めていき、咥えた。
 吸って舌でくすぐって硬くしているらしい。頬をすぼめて微妙に顔を動かしている。やがて口から出すと、田村は完全にエレクトしていた。
「ああ、逞しいわ」
 興奮した顔つきで怒張を凝視した夫人がうわずった声でいい、その先から根元までいやらしく舐めまわしていく。牧野に肩を抱かれて夫人のフェラチオに眼を奪われていた由美子は、ハッと息を呑んだ。
「淑恵、ヒップをあげて、こっちに見せてごらん」
 由美子の乳房を揉みながら牧野がいった。
「ああん、恥ずかしい……由美子さん見ないでェ」
 そういいながらも夫人は、牧野と由美子のほうにヒップを向け、高々と持ちあげて突きだした。
 由美子はドギマギした。夫人の秘部がまともに眼に入った。他人のものでも恥ずかしくて眼のやり場に困った。それでいて眼をそらすことはできなかった。
 むっちりとして淫らなほどに豊かなヒップの間に露出した夫人の秘部は、わずかに口を開けたアワビに似ている。そこはすでにジトッと濡れていた。アワビと違うところは、そのまわりに口髭のようにヘアが生え、わずかに開いた口からサーモンピンクのなかをのぞかせて、それがその眺めをより淫猥に見せているところだった。
「女房はね、こうやって恥ずかしいところを見られると、刺戟されて興奮するタイプなんだよ」
 牧野が由美子の耳もとで囁き、秘部をまさぐってきた。
「田村さんの話を聞いてると、由美子さんもそういうところがあるみたいだね」
「そんな……あッ、それ、だめ……」
 さんざん田村にいじられたクリトリスと膣口を牧野の指で押し揉まれ、由美子は両手で下腹部を押さえて身悶えた。
「もう前戯は充分か。じゃあ由美子さんにもサービスしてもらおう」
 笑っていって牧野は仰向けに寝た。ペニスは勃起状態を保っている。田村のより太さがひとまわり大きく、長さはやや短めなそれに由美子は両手を添えて、舌を這わせていった。
 田村にするときと同じように怒張全体を舐めまわし、片手で袋の部分をくすぐる。
「上手だね。気持ちいいよ」
「ああ、奥さん、もうたまらないですよ」
 牧野と田村のうわずった声が重なった。由美子が怒張を咥えたとき、夫人が田村を求める声が聞こえた。顔を振って口で牧野の怒張をしごきながら横目で見ると、仰向けに寝た夫人の両脚の間に腰を入れた田村が、手にした怒張でクレバスをまさぐっていた。
「ああッ、きて! 入れて!」
 夫人が�兇辰神爾鬚△欧胴�を淫らにうねらす。
「淑恵、ちょっとだけか?」
「ううん、奥までよ。田村さん、奥まで入れてェ」
 からかう牧野に夫人は真面目に答え、田村に催促する。田村は夫人に由美子と同じような卑猥な言葉をいわせて押し入り、腰を使いはじめた。すぐに夫人は悩ましい声でよがりだした。
「よォし、こっちも負けずに盛りあがっちゃおう。由美子さん上になってごらん」
 牧野にいわれるまま由美子は騎乗位の態勢をとった。牧野が手にした怒張でクレバスを擦る。たまらず腰をくねらせて、それを蜜壷におさめ、腰を落としていった。田村のより太い怒張で貫かれた瞬間、泣きたいほどの快感といっしょにめまいに襲われた。
 そのまま由美子は隣りのベッドを見た。淑恵夫人を突きたててよがり泣きさせている田村と眼が合った。
 田村は興奮と嫉妬が入りまじったような複雑な表情をして、由美子を見ていた。
 そのとき由美子のなかに、田村に見せつけてやりたいという衝動がめばえた。その衝動に興奮をおぼえた。そのことに由美子自身も驚きながら、淫らに腰を振りだした。


 カーステレオからドリフターズの『ラストダンスは私に』が流れていた。
 ミニ・クーパーを運転しているのは由美子で、乗っているのは由美子一人だった。
 田村の唖然としていた顔といっしょに初めて経験したスワップの情痴が由美子の脳裏をよぎっていた。
 男たち二人は、それぞれの相手にいろいろな体位をとらせて見せ合いながらファックし、由美子も淑恵夫人もなんどとなく絶頂に追いあげられた。
 そして、夕食後にまた楽しもうということになって牧野夫妻が部屋から出ていき、二人きりになると田村が由美子をベッドに押し倒してきた。由美子と牧野のセックスを見てかきたてられた嫉妬と興奮が堰を切って噴きだしてきたのだろう。たちまち勃起した怒張を由美子のなかに突き入れ、激しく突きたてながら、牧野とのセックスについて問い詰めるように由美子に聞いてきた。
 由美子はまた狂おしい快感に呑み込まれ、牧野とも田村と同じようによかったと正直に答えた。それで田村はますます嫉妬と興奮を煽られらしく、「由美子好きだよ、好きだ」と息せききっていいながら、まるで若い男のように闇雲に突きたてて果てた。
 そのあと由美子はシャワーを浴び、浴室から部屋にもどって田村にいった。
「ひとつだけ聞きたいことがあるんだけど、もしも牧野さんたちが、わたしじゃなく、あなたの奥さんとスワップしようといってたら、あなた、どうしてた?」
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
「聞いてみたかったの。ね、どうしてた?」
「女房は由美子みたいに物分かりがよくないからなァ。俺がそうしたいと思っても無理だよ」
 田村は苦笑していった。
 そんなのはずるい言い訳にすぎないと由美子は思った。相手が奥さんだったら、田村は了解もなしにスワップに引き込むなんてことはしなかったはずだ。自分とは不倫の関係で、愛人だからできたことなんだ。
 その直後、由美子は帰り仕度をはじめ、うろたえる田村をおいて一人で別荘をあとにしたのだった。もうセックスのことにしても教えてもらうことはない田村と、この日の情事を最後に別れるつもりで……。



【研修社員・奸計記】


【1】
 リンダを送っていくタクシーのなかで、友永武志は焦っていた。
 今夜あたり、社長の密命を果たさなければ……。
 リンダと寝ろ! 社長の板倉雄三は、そう友永に命じたのだ。
 それからもう二週間になる。焦りながら友永は、どう切りだそうか考えた。
〈コーヒーが飲みたいな。リンダ、きみの部屋でご馳走してくれないか?〉
 いや、
〈リンダ、もう少しきみといっしょにいたいんだ。きみの部屋でコーヒーをご馳走してくれないか?〉
 ちょっとキザだけど、相手は外人だし、このほうがいいかな……。
 そのとき、
「友永サン、よかったら、ワタシの部屋で、もう少しビールでも飲みませんか?」
 と、リンダのほうからそういって、ニッコリと笑いかけてきた。
 あまりのタイミングのよさに友永は一瞬、唖然とした。
 彼女、読心術を心得てるんじゃないか……。
 しかしすぐに、シメタと思い、
「オー、イエス! サンキュウ、喜んで!」
 と、文字どおり二つ返事で応じた。
 ひょっとして、これで社長の密命を果たせるかも……。
 そう思うと、安堵の気持ちと同時に金髪美女との甘美なシーンが頭をよぎり、いやがうえにも胸が高鳴った。そればかりか早くも股間が熱くうずいてきた。


 半導体メーカー『ジャパネスク』の総務部に勤務する友永武志は、二カ月前、ジャパネスクがアメリカのシリコンバレーに置く現地法人『USジャパネスク』から研修のために日本にきたリンダ・ローリングの世話役を、上司から命じられた。
「会社でもプライベートでも、すべてにアメリカとは異なった習慣のなかでやっていくわけだから、困惑することも多いだろう。しばらくはきみが、公私にわたってリンダの面倒を見たり相談に乗ったりしてやってくれ」
 そういわれて友永は面食らった。
 リンダは日本語が話せるというから、英語がからきしだめな友永でも困ることはないが、公私にわたって面倒を見るとなれば、男よりも女子社員のほうが適役ではないか。
 けれども、友永は喜んでその役を引き受けた。理由は簡単だ。リンダが飛び切りの美人だったからである。
 かるくウエーブがかかったブロンド。見つめられると引き込まれそうな澄んだ青い瞳。ツンとしているが高慢な感じがなく、ノーブルでチャーミングな鼻。そしてキリッと引きしまったセクシーな唇。女優にさえなれそうな美貌にくわえてプロポーションも素晴らしい。
 しかも、アメリカの名門K大の経営学科を優秀な成績で卒業。学生時代、学業優秀かつマスク、プロポーションともよくなければなれないチアガールをしていた。USジャパネスクに入社して二年目。社長秘書をしていたが、日本企業の経営の実態を学びたいという本人の希望で来日。将来の幹部候補社員。二十四歳、独身……というのである。
 当然のごとく友永は、男の社員たちにうらやましがられた。とりわけ友永と同じ独身の男子社員の羨望には、妬みさえまじっていた。
 友永自身、付き合っていた恋人と別れてまもないときだったし、仕事とはいえ願ってもない役目だった。会社にいるときはもちろん、アフターファイブもおおっぴらにリンダと行動を共にできるのだ。
 実際、いっしょに食事をしたり飲みにいったり、そして休日には東京を案内してあちこちまわったりと、友永にとってはまるでリンダが恋人のような楽しい毎日となった。
 その間、二十七歳で独身の友永が、それほど魅力的なリンダに男としての欲望を抱かなかったといえば嘘になる。
 だが、リンダは研修社員といっても会社にとってはゲストのような存在で、しかもアメリカ女性である。下手に手を出して問題にでもなったら、ことは重大だ。社内恋愛の不始末だけではすまない。
 楽しい反面、しだいに友永にとっては悶々とする日々となった。
 そうして一カ月半ほどすぎたある日、友永は社長の板倉雄三に呼ばれた。
 友永が社長室にいくと、板倉はリンダのようすを聞いた。友永がこれまでのリンダとのことを話し、だいぶ日本の生活にも馴れてきたというと、板倉は上目遣いにすくいあげるように友永を見て、
「で、彼女とは、まだ寝てないのか?」
 と、妙なことを聞いてきた。
「は!?……そういうことは、その、リンダの面倒を見るのは、仕事ですから……」
「かまわん。早く寝ろ」
「!?…………」
 友永が唖然としていると、
「これは社長命令だ。それも、きみしか知らない密命だ。ただし無理をしちゃいかん。セクハラなんてことで訴えられたら大事だからな。あくまで自然な成り行きで男と女の関係になれ。そのためにきみをリンダの世話役に選んだのだ」
 板倉は秘密めかした言い方でもって友永をけしかけ、さらにとんでもないことをいった。
 なんと、友永がリンダと寝ることに成功した暁には、板倉が持っている特殊な睡眠薬を彼女に飲ませて、今度は板倉自ら眠っているリンダを抱くというのだ。
 なんでもその睡眠薬は、飲んでから最低二時間は絶対に眠りから醒めず、しかも性感だけは過敏になるという代物らしい。
 板倉については友永自身、相当の好色家だが恐妻家なのであまり遊べない、という噂を耳にしていた。
 板倉雄三は婿養子で、会社ではワンマンだが家庭では妻に頭があがらないらしい。そのうえ夫婦ともすでに五十代で、社長夫人は夫の出張の際にも海外はもとより国内でも同行し夫の行状に眼を光らせている、というのである。
 それにしても、友永には、板倉の命令も計画も常軌を逸しているとしか思えなかった。
 しかし社長命令、それも密命となれば、即座に、できませんとはいえない。というよりこのとき友永には、これで社長の弱みを握れば……という打算も頭のなかでちらついていた。
「わかりました。できるかぎり社長の密命が果たせるよう努力してみます」
 そういったあとで友永は、疑問に思っていたこと−−どうして自分に密命がくだったのか?−−を社長に聞いてみた。
 すると板倉は、条件は自分が出したが人選にあたっては総務部長に任せたという。
 人選の条件は、独身の男子社員で付き合っている女がいない、容貌容姿ともそこそこで女好き、性格的に素直で物分かりがいい、などだったらしい。
 友永は苦笑いした。確かに友永自身、ほぼ条件を満たしていたからである。
 それから二週間、友永武志はリンダと寝るチャンスをうかがった。
 社長の命令なのだ。リンダが特別な研修社員であることは、もはや考慮する必要はない。
とはいえ、ことはそう簡単ではなかった。社長にも注意されたように、リンダの不興を買えばセクハラなどと騒がれる惧れもあり、強引なアプローチもできない。
 それに友永自身、外人女を相手にするのは初めての経験だったから、どう攻略していいか戸惑ってもいた。
 この二週間の間に社長から何度かようすを聞かれ、それもプレッシャーとなって、ますます焦っていた。
 それがこの夜、リンダを居酒屋に案内して飲んだ帰途、思いがけずリンダのほうから友永を部屋に誘ってくれたのである。


【2】
 リンダ・ローリングは、会社が提供したマンションの、一LDKの部屋に住んでいる。
 友永武志がリビングルームのラブチェアに坐ってビールを飲んでいると、着替えてくるといって寝室に入っていたリンダが出てきた。
 ドキッとして、友永は眼の遣り場に困った。
 現われたリンダの服装は、さっきまでのスーツ姿とは打って変わって、胸もとも露わな超ミニの黒いボディコンドレスなのだ。まるで黒いバスタオルを巻いただけのような挑発的な格好で、露出した白い肌がいっそう際立ってまぶしい。
 しかもボディコンの生地がジャージーだから、煽情的に突きだしたバストといい、官能的に張った腰つきといい、生唾ものの素晴らしいプロポーションをしたボディラインが手に取るようにわかる。
「ごめんなさい、お待たせして……」
 リンダは友永の横に坐ると、自分と友永のグラスにビールを満たした。
「では、乾杯しましょう」
「あ、ああ……」
 超ミニから露出した白い太腿に眼を奪われていた友永は、あわててグラスを手にした。
「いつも友永サンにはお世話になって、ワタシ感謝しています。ありがとございます」
 外人特有の発音とアクセントでリンダが礼をいい、チャーミングな笑みを投げかけてくる。
「いやァ、行き届かなくて……」
「いきとどかない? ごめんなさい、どういう意味?」
「あ、微妙な日本語だからね。つまりその、パーフェクトではないということ」
「オー、そんなことありません。ワタシ、友永サンがいてくれて、大変助かっています」
「ぼくもリンダといっしょだと、毎日がすごく楽しいよ」
「ワタシもよ。これからもよろしくネ」
「こちらこそよろしく」
 二人はグラスを合わせ乾杯した。
「ま、あらたまったお話はそのぐらいにして、プライベートタイムなのだから、リラックスして飲みましょう」
 居酒屋で飲んだ酒のせいだろう。リンダが少し酔ったようなセクシーな顔つきで笑いかけてくる。うなずき、笑いかえした友永もいくらか酔っていた。
 いい調子になってきた。さて、問題はこれからだ……。
 友永はビールを飲みながら、挑発的な格好のリンダを盗み見て思った。なにか、いいきっかけはないものか。
 そう思いながらも、ほとんど露出した太腿の、抜けるように白い肌に光っている産毛のような金色の毛を見ていると、リンダのアソコの毛もブロンドなのだろうかなどと、つい生々しいことを想像してしまい、いいきっかけどころか、そっちに頭がまわらない。
「友永サン……」
 リンダが話しかけてきた。
「恋人はいないといってたけれど、まだいないの?」
 友永は自嘲ぎみに苦笑いしていった。
「うん。残念だけど、まだ……」
「セックスフレンドは?」
「え!?……そういう女性はいないよ」
 唐突に聞かれ、友永は面食らった。
「でも、それだと困るでしょ?」
 またしてもズバリと聞かれ、返答に窮した。リンダはセックス処理のことを聞いているのだ。まさか、ときどきソープランドにいっているなどとはいえない。
 そのとき、ふと思った。
 なぜリンダがそんなことを聞くのか? まさか!?……
 胸騒ぎをおぼえながら友永はいった。
「うん、困るよ」
「わかるわ、ワタシも友永サンと同じだから。日本にきてから、もう二カ月でしょ」
 思わせぶりにいって、リンダがじっと友永を見つめる。
 友永はドギマギした。あろうことかリンダは欲求不満を訴えて友永を誘っているのだ。
 その青い瞳に吸い込まれるように、友永はリンダを抱き寄せた。待っていたように顔を仰向けたリンダが眼をつむる。セクシーな形をした唇に友永が唇を重ねていくと、リンダのほうから友永の唇を貪って、舌を挿し入れてきた。
 リンダの舌が友永の舌をからめ取り、舌といっしょに口腔のなかをねっとりとこねまわす。その積極さといい、キスのテクニックといい、日本人の女にはないものだ。濃厚かつ情熱的なキスに圧倒されながら友永は舌を入れかえした。
 するとリンダが、せつなげな鼻声を洩らして舌をじゃれつかせながら、友永の股間に手を這わせてきて、ズボンを突きあげている一物を煽情的な手つきで撫でまわす。友永もリンダの超ミニのボディコンの裾から手を入れた。
 たがいに貪り合うようなキスを交わしながら、リンダの手が忙しなくズボンのジッパーをおろしてブリーフのなかにすべり込み、友永の手はビキニショーツのなかに侵入する。
「ああッ、タケシ、すごい!」
 唇を離したリンダが初めて友永のことをそう呼び、興奮しきった顔つきと声でいって、手で肉棒をしごく。
「リンダもだ。もうラブジュースがあふれてるよ」
 しっとりとしたヘアの下の、早くもまるで失禁したように濡れた秘唇の間を指先で掻きあげながら、友永も興奮して唇と舌で耳をくすぐり、さらに舌を耳のなかに挿し入れる。
「おうッ、ああッ!」
 リンダがのけぞって身ぶるいした。
「ああ、いますぐタケシが欲しい。タケシも脱いで」
 欲情した顔つきでいって立ちあがると、ボディコンドレスを引きあげていく。ブルンと大きく弾んでボリュームのある乳房がこぼれでた。
 友永も立ちあがって手早く服を脱いだ。
 脱ぎながらリンダを見ると、白いサイドストラップのビキニショーツを脱ぎおろしている。下腹部のモヤッと煙ったようなブロンドのヘアを見て、ビンビンになった肉棒がズキンとうずいた。
 二人とも全裸になった。
 リンダは外人といっても身長百六十五センチだから、百七十三センチの友永も圧倒される感じはない。それにしても、素晴らしいプロポーションをした官能的な躯には圧倒された。
 Cカップは優にあるボリュームでもってやや反りぎみに突きだした乳房。キュッとくびれたウエストから悩ましく張った腰。下腹部に煙るブロンドのヘア。そしてまっすぐ伸びた長い脚……。
「素晴らしいよ、リンダ。ビューティフルでエキサイティングだ!」
 友永が興奮して英語を並べて賛辞すると、リンダはにっこり笑い、友永の股間に視線を這わせて眼を見張った。
「オー、タケシの、日本刀みたい!」
 友永のペニスは、サイズは並みだが、グッとエラを張って雄々しく反っている。リンダは感動したようにいって友永をソファに坐らせると、膝の上にまたがってきた。
「ワタシ、日本の男性、初めてよ」
 欲情と興味が入りまじった顔つきで肉棒を手にし、ブロンドのアンダーヘアの下にパックリと口を開けている濡れ光ったパールピンクのクレバスを、肉棒の先でゆっくりと掻きあげる。
「ぼくも初めてだよ、外国人の女性は」
 股間の煽情的な眺めを凝視したまま友永は、甘美な感触の粘膜で亀頭をくすぐられて声をうわずらせた。
 ほぼ逆三角形状に生えて煙るように見えるブロンドのヘアの下の秘唇は、薄くて縦に長く、綺麗なピンク色をしている。それがパックリと口を開き、リンダは片手で友永の肩につかまり、一方の手に持った肉棒の先で、クレバスの上端のクリトリスのあたりを擦っているのだ。
 女のほうから仕掛ける行為としては、ずいぶん積極的というか大胆だ。これが日本の女だったら、男は淫乱と思うだろうが、外人だとサマになる。偏見かもしれないが友永はそんな妙なことを思いながら、たまらなく興奮を煽られた。
「ああ、いいッ、もうファックしたいわ。そのあとでシャワーを浴びて、つぎはベッドにいって、ゆっくり楽しみましょうよ」
 リンダが興奮に酔った顔つきで喘ぎながらいう。
「いいね。そうしよう」
 友永がゴムまりのようなヒップに両手をまわすと、いったん腰を浮かしたリンダが、肉棒を膣口に当てがって腰を沈めてきた。
 肉棒が、熱い潤みをたたえた肉筒のなかにゆるゆると入っていく。
「おうッ! あうッ!」
 リンダが�兇辰神爾鯤�って友永にしがみついてきた。
 抱き合ってキスし、舌をからめ合っていると、リンダがセクシーな鼻声を洩らして腰をグラインドさせる。
 初めて外人女とファックする友永は、さっきまで、自分の肉棒のサイズでは太刀打ちできないんじゃないかと不安に思っていたのだが、案ずることはなかった。それどころかピッタリのサイズだ。
 リンダの腰の動きで、吸いついた蜜壷で肉棒がくすぐられてたまらない。このまま攻められたのではあっけなく果てそうだ。
 友永も攻めに出た。リンダの上体を押しやると、掌にあまるボリュームの乳房を両手で揉んだ。揉み応えのある乳房だ。張りがあり弾力もある。
 両手で友永の肩につかまったリンダが悩ましい表情を浮かべ、喘いでのけぞりながら腰を前後に律動させる。
 蜜壷の潤みきった粘膜がからみつき、まとわりつくような感じで肉棒をしごく。
 友永は乳房に貪りついた。乳首を吸い、舌で舐めまわしながら、一方の乳房を掌で揉んだ。
 リンダの乳房の先端は、すこぶるエロティックな形状をしている。大きめのピンク色の乳暈がふっくらと盛りあがり、乳暈に較べると小さめのみずみずしい乳首がツンと突きだしている。
 硬くしこってきた乳首を舌で、そして一方の乳首を指先でこねまわしてやると、リンダは両手で友永の頭髪をかきまわしながら鼻にかかったよがり声を洩らす。たまりかねたように友永の上体を起こすと、貪るようなキスをしかけてきて、ますます煽情的に腰をグラインドさせる。
 その腰遣いから友永は、リンダが絶頂に近づいていることを察した。唇を離して聞いてみた。
「気持ちいい?」
「いいッ、すごく気持ちいいッ」
 リンダは興奮しきっていい、クイックイッとリズミカルに腰を前後させる。性感が高まってきた証拠に子宮口がさがってきて肉棒の先に当たり、グリグリと擦れ合う。
 それがたまらない快感らしく、リンダがなにやら友永にはわからない英語を口走りだした。ただ、何度か「カミング」というのを聞いて、絶頂を訴えているとわかった。
「ぼくもいいよ。リンダ、カミング!」
「オー、タケシ、アイムカム!」
 いうなりリンダは、狂ったように腰を律動させて、よがり声をあげはじめた。
 友永も、もう快感をこらえることができなかった。リンダを抱きしめ腰を突きあげると、ドッと快感液を発射した。同時にリンダが絶頂の痙攣を湧きたてた。


【3】
 リンダの裸を見ながらいっしょにシャワーを浴び、躯を洗い終わると、もう友永のペニスは肉棒と化していた。
「オー、タケシ、すごい!」
 リンダがうれしそうに肉棒に手を伸ばしてきた。
「タケシのペニス、ここが、引っかかる感じがして、すごくいい」
 そういいながら指先で、グッとエラを張った雁をなぞる。
 そういえば、外人の男のペニスは雁が小さい。あれは本体が大きいからそう見えるのだろうかなどと、向こうのポルノビデオで見たそれを想い浮かべながら友永は、リンダにいった。
「そこは、雁というんだ」
「カリ?……ふふ、カリ好きよ」
 リンダは早くも発情した顔つきになって笑っていうと、友永の前にしゃがみ、フェラチオをしかけてきた。
 亀頭部を、アイスクリームを舐めるように舐めまわし、さらに顔を横にして肉棒の先から根元まで、唇と舌で掃くようにして舐めると肉棒を咥え、顔を振ってしごきながら、両手で肉棒の根元のまわりやフクロの部分を撫でまわす。
 その一連のやり方を繰りかえす。
 向こうのポルノビデオを見てもそうだし、外人女は積極的に男を煽情し挑発して自分からすすんでセックスを楽しむというけれど、まさにリンダもそうだ。
 まるでしゃぶり尽くすようなフェラチオにふけりながら、みるみる発情した顔つきになってきて、せつなげな鼻声を洩らし、形よく張ったヒップをもどかしそうにうごめかせている。
 欲望を解き放って余裕をもってリンダのするに任せていた友永も、しだいにたまらなくなってきた。
「ああ、リンダ、これ以上フェラチオされたら、リンダの口のなかに発射しそうだよ。さ、あとはベッドでゆっくり楽しもう」
 抱き起こすと、リンダは発情した顔でニッコリ笑ってうなずき、友永の腰に手をまわしてもたれかかってきた。
 寝室に入り、友永はリンダをベッドに仰向けに寝かせた。見ているだけで肉棒がうずいてくるような素晴らしいプロポーションをした裸身の横に添い寝して、仰向けに寝ていてもこんもりと盛りあがった乳房の頂のみずみずしい乳首を指先でやさしく撫でながら、リンダに話しかけた。
「英語では、オルガスムスに達したとき、カムとか、カミングっていうんだよね?」
「そう。日本語ではどういうの?」
「それがおもしろいんだ。カムは日本語に訳すと、クルだけど、日本語では反対に、イクっていうんだ」
「イク?……ゴー?」
「そう。女性がオルガスムスを表現する言葉ひとつをとっても、これだけちがうんだから貿易摩擦も起こるはずだよ」
 リンダは声をたてて笑った。しかし、ぎごちない笑い顔になって、
「ああ、どうせなら、プッシーとコックの摩擦のほうがいいわね」
 とジョークをいい、裸身をなぞる友永の手に、もどかしそうに躯をうねらす。
「同感だね」
 友永は笑ってうなずくと、乳房に顔を埋めた。両手で乳房を揉みながら両の乳首を交互に舐めまわす。リンダがセクシーな喘ぎを洩らしてのけぞる。
 そのまま友永は、ボディシャンプーのいい香りにまじってかすかに日向臭い体臭のする白い裸身を、両手と唇と舌で賞味しながら下半身に移動し、リンダの両脚を開いた。
 手でブロンドのアンダーヘアを掻きあげ、両側をブロンドのヘアが口髭のように縁取ったピンク色の秘唇を分けると、すでに濡れ光ったパールピンクの粘膜が露わになった。
「リンダもオルガスムスを迎えたら、日本流にイクっていってごらん」
 クリトリスの皮をめくり、綺麗な真珠を露出させて、友永がそういうと、
「少し変な感じだけど、そうするわ」
 クンニを期待してだろう。リンダがときめいた顔に笑みを浮かべて、バストの双丘越しに下腹部の友永を見ていう。
 期待に応えて友永はクンニにいった。リンダのそこは、わずかにチーズ臭がした。いやな匂いではない。むしろ官能をかきたてる匂いだ。
 舌でクリトリスをすくいあげると、リンダはふるえ声を発して腰を持ちあげた。
 そのままクリトリスをこねまわしてやるうち、さっきファックしてイッたときのように、よがり泣くような喘ぎ声をあげて腰をうねらせ、狂おしそうにのけぞる。
 友永は、リンダをクンニで絶頂させてやるつもりで情熱的に攻めた。
 攻めたてる友永の脳裏を、社長の密命がよぎった。せっかくリンダといい関係になったというのに、この素晴らしい躯を社長に提供しなければならないのかと思うと、もったいなさと妬ましさが入りまじった、やりきれないような気持ちになる。
 そのとき、ビンビンに張ったクリトリスを吸いたてて舌でこねまわす友永のクンニで切迫したよがり声をあげていたリンダが、ピーンと突っ張るようにして裸身を反らせた。
「あうッ! イクッ……おおォォォ!」
 絶頂のふるえが湧き起こった。同時に友永の顎が密着している膣口がピクピクと痙攣する。友永が上体を起こすと、
「ああ、タケシ、きて! タケシのたくましいコックを、ワタシのプッシーに入れて!」
 と、リンダが発情した顔つきで友永の肉棒を凝視し両手を差し延べて求めた。
 友永は押し入ることにした。肉棒を手に膣口をこね、腰をすすめる。ヌルリと入った。その瞬間、苦悶の表情を浮かべてのけぞったリンダの顔が、つぎに満ち足りて微笑みを浮かべたようなそれに変わってきた。
 さっきリンダが引っかかる感じがいいといっていた雁で、蜜壷をかきだすようにして抜き差ししてやる。リンダは明らかに快感のためとわかるふるえをおびた声を発して、顎を突きあげる。そうして喘ぎながら、ときおり舌で唇を舐めるようすが、いかにも積極的に快感を貪ろうという感じだ。
 友永はリンダを抱き起こし、両手を後ろについて上体を反りぎみにして支えるよう仕向けた。
 同じ格好で向き合った友永が、そのまま肉棒を抜き差しして見せつけると、股間を凝視したリンダが�兇辰神爾鬚△押⇒П覆領�動に合わせて夢中になって腰を前後に振りはじめた。濡れた秘唇が咥えた、ヌラヌラと濡れ光った肉棒が見え隠れする淫猥な眺めがあからさまに見えるのだ。
 結合が解けない程度に双方腰を突きだしたり引いたりするたびに、淫猥な眺めのそこが、ヌチャッヌチャッと濡れた卑猥な音をたてる。
 夢中になって腰を使っていたリンダが、興奮してたまりかねたように友永に抱きついてきた。
 友永は上体を後方に倒すと、リンダに結合したまま回転して後ろ向きになるよう指示した。リンダがそのとおりにすると、起きあがって後背位にもっていった。
 四つん這いになったリンダの姿態は、すこぶる煽情的だった。ウエストのくびれが際立ってバレーボールを二つ並べたようなヒップがより強調され、淫らなまでの官能美をたたえた、しなやかな白い牝獣を想わせた。
 友永はむっちりと張ったヒップを両手でつかんで、肉棒を突き引きした。ハート形を逆様にしたヒップのワレメで、ピンク色の秘唇が咥えたそれがピストン運動する淫猥な眺めを見て、白い牝獣を犯しているような興奮に煽られながら。
 牝獣がブロンドを振って、咆哮するような歓喜の声をあげはじめた。


【4】
 三日後の夜……。
 リンダ・ローリングはスーツを着て、ラブチェアに坐ったまま横に倒れ込んでいた。
「リンダ……」
 友永は呼びかけてリンダの顔を覗き込んだ。念のために再び呼びかけ、かるく頬を手で叩いてみた。
 リンダはもう完全に眠りこけていた。
 板倉雄三から渡された睡眠薬の効き目は驚異的だった。
 この夜、友永武志は会社からの帰途、リンダといっしょに彼女の部屋にきた。そして、リンダの眼を盗んでビールが入った彼女のグラスにその睡眠薬を入れたのである。
 友永はリンダを抱きあげた。ぐったりとして重い。女体を寝室に運び込むと、ベッドに仰向けに寝かせた。
 寝室から出ていこうとしたところで、友永は振りかえってベッドに寝ているリンダを見た。胸が痛んだ。リンダを可哀相に思う気持ち、申し訳ないという罪悪感、社長の板倉への妬ましさ……それらがごちゃまぜになった胸の痛みだった。
「完全に眠っているのが、せめてもの救いか……」
 友永は自分に言い聞かせるようにつぶやきながら寝室を出ると、リビングルームにある電話の受話器を持ちあげた。ポケットからメモを取りだし、そこに書かれた数字のとおりプッシュホンのボタンを押す。
 一回目の呼び出し音ですぐに相手が出た。
「友永です」
「で、どうだ?」
「もう完全に眠っています」
「よし、よくやった! これからすぐいく」
 リンダの部屋があるマンションのすぐそばに停めたベンツのなかで電話に出た板倉の声は、うれしそうに弾んでいた。
 受話器を置いた友永は、テーブルの上のグラスを手にして飲みさしのビールをあおった。味がやけに苦い。
 そろそろ板倉がくる頃だった。玄関にいってドアを開けると、小肥りの板倉が、気が急くのだろう、前傾姿勢で足早にこっちに向かってきていた。
 板倉は周囲の眼を気にして、左右を見て部屋に入ってくるなり、
「彼女は寝室か?」
 と、息を弾ませて聞いた。
「そうです」
「わかった。じゃあきみはここにいてくれ。俺が出てくるまで寝室には絶対入ってきてはならん。いいな?」
「わかりました」
 板倉はうなずくと、緊張と興奮が入りまじってこわばっていた顔を、ニヤッとヤニ下がった笑いで崩して寝室に入っていった。


 ようやく念願がかなったぞ……。
 ベッドの上で眠っているブロンドの美女を見ると、五十五歳の板倉雄三は初めて女体に接する若者のように胸がときめいた。
 これまで板倉は、外人の女を抱いたことは一度もない。日本人の女とは嫉妬深い妻の眼を盗んで適当に浮気をしてきて、五十歳になるまでは特に外人の女を抱きたいとも思わなかった。
 それが五十歳になったときふと、男として生まれてきて、このまま日本人の女しか知らないで死んでいくのも情けないし淋しいと思った。それからというもの、外人の女、できればブロンドの美女を抱いてみたいと切実に思うようになった。それも水商売や風俗関係の、いわゆる玄人の外人女ではなく、素人の女を抱きたかった。
 そうなると、半導体メーカーの社長とはいえ、シルバーグレーの魅力的なオジサンのイメージとはほど遠い板倉にとっては至難の技だった。まして羽根を伸ばすチャンスともいうべき海外出張には必ず妻が同行し、監視の眼を光らせている。
 願望は願望として、もうこうなったら素人のブロンド美女なんていっていられない。そう思いはじめた矢先、リンダ・ローリングが研修社員として日本にくるという情報が舞い込んできたのである。
 これは神様が与えてくれた、まさに千載一遇のチャンスだ。
 リンダをひと目見たときから、板倉は欣喜雀躍した。そしてこの計画を練り、知り合いの医師を銀座で接待して、非売品の特殊な睡眠薬を手に入れたのである。
 そうしてそのチャンスがやっと現実のものになったのだ。板倉は高鳴る胸を抑えて宝物でも扱うようにしてリンダの服を脱がしはじめた。
 男にとって初めて寝る女に対して抱く楽しみのひとつは、服を脱がして裸にしていくことだから、服を着たままにしておくよう友永に命じておいたのだ。
 徐々に現われてくるブロンド美女の白い肌に、板倉はかつてないほどワクワクしながら脱がしていった。リンダをワインレッドのビキニショーツだけにしたときには額に汗が光り、息が弾むほど興奮していた。そればかりか、五十をすぎてからめっきりポテンシャルが低下してきた股間の一物が、早くもズボンの前を突きあげていた。
 ウーン、たまらん。まるで眠れるビーナスのようだ……。
 形よくボリュームたっぷりに盛りあがった乳房を規則正しく上下させながら眠りつづけているリンダを見て、板倉は唸った。
 残るはワインレッドのビキニショーツだけ。
 このこんもりと悩ましく盛りあがった丘、ショーツのなかのそこは、どうなっているのだろうか?
 リンダの躯のことやセックスの具合などは、楽しみが半減するので友永にはいっさい聞かなかった。板倉は胸をときめかせながら、そろそろとショーツをずりさげた。
「おおッ!」
 興奮が思わず声になった。板倉の見開いた眼は、ふっくらとした丘を飾った煙るようなブロンドのヘアに釘付けになり、股間のこわばりがズキンとうずいた。
 リンダを全裸にした板倉は、女体美の極致のような完璧なプロポーションの裸身を見やりながら、素早く自分も裸になった。
 睡眠薬の効力は、妻に飲ませてテストずみだった。見飽きたバアサンの躯にいたずらするなど気がすすまなかったが、妻は眠ったまま板倉の指戯で濡れそぼり、蜜壷に挿した指を咥え込むと、うわごとのような呻き声を洩らして絶頂した。
 これには板倉自身も驚き、興奮させられて、気がすすまないどころか、久々に妻を抱かずにはいられなくなった。
「フフフ……さあ、リンダ、おまえも女房のように燃えてみろ」
 板倉はリンダのみずみずしくツンと突きでた乳首に舌を這わせた。こねるようにして舐めまわしてやると、悩ましい表情を浮かべてのけぞり、せつなげな声を洩らす。かすかに睫毛をふるわせるが目覚める気配はない。
 板倉は安心して、念願かなったブロンド美女の裸身を味わい尽くすように撫でまわし、舐めまわした。リンダは呻き声を洩らしながら身をくねらせていたが、愛撫で相当性感が高まってきたらしい。大きく胸を上下させて息をしている。
 そこで板倉は、最後に取っておいた美味しいものに手をつけるような気持ちでリンダの両脚を開かせた。
 ブロンドの繁みの下に、綺麗なピンク色をした縦長の唇が露わになり、すでに濡れ光っている。
 両手で秘唇を分けてみた。ヌチャという感じで唇が開き、パールピンクの濡れた粘膜が露出した。
「おおッ、感じやすい躯なんだな」
 驚いたことに秘唇を開いただけで、赤貝に似た柔襞に覆われた膣口が喘ぐように収縮して、そのたびにジュクッと透明な蜜を滲みだしているのだ。
 板倉はもう我慢できなくなり、ひとまず抜身でリンダの蜜壷を味わってみることにした。そのまま射精することは避けなければならない。リンダが目覚めたとき、異変に気づく惧れがあるからだ。欲望を遂げるときはコンドームを装着するつもりだった。
 肉棒を膣口に当てがうと、ソロリと押し入った。熱く潤みきった、エロティックで甘美な蜜壷に没入した肉棒を、吸いついてくるような粘膜がじんわりと締めつけてきた。
「こ、こりゃあたまらん……ナニがとろけそうだ!」
 しびれるような快美感に声をうわずらせてつぶやき、リンダの顔を見た板倉は、仰天した。あろうことか、リンダが眼を開けているではないか。
「こんばんわ、社長さん」
 リンダがにっこりと笑っていった。
「!……と、友永ーッ!」
 奇声を発して板倉はベッドからころげ落ちた。そのまま這うようにして寝室から逃げだすと、なんと友永はラブチェアで眠りこけていた。


 友永武志と板倉雄三がリンダ・ローリングの部屋から解放されたのは、明け方近くだった。
 リンダは、この夜、最初から妙に落ち着きがない友永を不審に思っていた。友永に家族の写真を見たいといわれて寝室に取りに入ったとき、なんとなくいやな予感がして、ドアの隙間からようすを見た。すると、友永があわててビールが入ったリンダのグラスのなかに白い粉を入れるのが見えた。
 そこで、もどってきたリンダは、今度は反対に友永に冷蔵庫からチーズを出してきてほしいと頼み、その隙にグラスを取り替えた。そして、どんな企みがあるのか確かめてやろうと思って、眠ったふりをしていたというのだった。
「まったく、一時はどうなることかと思って、目の前が真っ暗になったよ」
 友永と並んでベンツを停めている場所まで歩きながら、板倉が苦笑いしていった。
「いやあ、リンダにセクハラだなんて騒がれてたら、貿易摩擦どころか、日米下半身摩擦なんてマスコミにも書きたてられて、大事になっていたでしょうね」
「ま、金と躯でことが済んで、万万歳ということだ」
「そうですね。社長も念願のブロンド美女とこれからも楽しめるわけですし」
「きみと交替で、というのがちょっと気にくわないが、リンダのあの精力に太刀打ちするには、二人がかりじゃないと、とても身がもたないしな。しかしきみ、このことは誰にも内緒だぞ」
「よくわかっております」
 並んで歩いていく二人の足取りは、心なしかおぼつかないように見える。
 それもそのはず、友永が目覚めてから男たち二人は、リンダに求められるまま三Pプレイにおよび、友永が三回、板倉が二回、男のエキスを絞り取られたのだ。
 そして、これまたリンダの要求で、板倉は彼女の給料を倍額にアップすること、さらに友永と板倉の二人で彼女の一年間の研修期間中、セックスフレンドとしてその役目を果たすことを約束させられたのである。



【女子大生・淫楽記】


【1】
 夕食前にひと風呂浴びることにして、津川と須山は露天風呂に入った。
 露天風呂は旅館の庭つづきにあって、ログハウスの脱衣場と丸太を立てて連ねた塀で仕切られていた。
 露天風呂といっても、なかなか豪勢な造りだった。岩や植木を配した日本庭園のなかにある大きな池という感じで、すぐ目の前を澄みきった川がせせらぎの音をたてて流れ、川向こうには切り立った山が迫っていて、景色も素晴らしい。
「うーん、いい湯だ」
「お湯もいい景色もいい。これで女がいれば最高なんだけどな」
「ああ……でもまだ早いから、夜遅い時間になれば入ってくるんじゃないの」
 この露天風呂は混浴なのだが、この時間入っているのは彼ら二人だけだった。
「じゃあ、夜中にもう一度くるか」
「そうしよう。ここなら岩陰に隠れて覗き見もできそうだ」
「あまり期待しないほうがいいんじゃないか。ババアしかこないかもしれんぞ」
「そういえば、あの子たちも露天風呂に入るつもりなのかな?」
「あの卒業旅行の二人か。あの子たちなら最高だよ。顔もスタイルも抜群だからな。もし彼女たちといっしょになったら、ダメ元でアタックしてみるか。旅の恥は掻き捨てと思って、ノッてくるかもしれないぞ」
「それにお湯のなかならおたがい裸同士だし、意外にすんなりと裸のお付き合い、てなことになるかもな」
 津川と須山はニヤッと笑い合った。
 二人は、それぞれ学校はちがうのだが東京近郊の中学校の体育教師で、東北のI市で開かれた研修会に出ての帰りだった。ちょうど学校が春休み中でもあり、温泉に一泊して帰ろうということになって、近くのS温泉に立ち寄ったのである。
 二人は、いままで研修会などで顔を合わせているうちに妙にウマが合った。年令も同じ二十七歳で、独身ということもあったが、それよりなによりおたがいに人一倍女遊びが好きという共通点が、二人をより近しくしたといっていい。これまでソープなどにも二人連れ立って、何度となくいっている。
 そんな二人だから、S温泉に立ち寄ったのも、温泉につかるより女を買うのが目的だった。
 いま二人の話に出てきた卒業旅行の二人というのは、この日S温泉にくるとき、旅館の送迎用のマイクロバスのなかでいっしょになった若い女たちのことだ。
「きみたち、女子大生?」
 津川が話しかけると、二人は顔を見合わせて笑っていたが、
「ええ、まあ……」
 といい、そのあと四人はつぎのような会話を交わしたのである。
須山「何年生?」
女A「何年生に見えますゥ?」
津川「二人とも大人っぽいから四年生かな」
女B「ピンポーン、当たりィ!」
須山「じゃあ今年卒業したの?」
女A「そう……」
津川「ていうことは、卒業記念の温泉旅行ってわけか?」
女B「ま、そんなとこ……」
須山「就職は決まってるの?」
女A「一応……わたし、アルバイトでショーなんかのコンパニオンやってたから、そのままつづけるつもり……」
女B「わたしは花嫁修行、なんて。ホントはモデルやってみようかなって思ってるの。この前、渋谷でスカウトされちゃったから」
 実際、二人はコンパニオンやモデルをやりそうなタイプだった。コンパニオンのほうはロングヘアで、お嬢さまタイプ。一方はウエーブがかかったセミロングのヘアスタイルで、ちょっと勝気そうな感じがした。
 それに二人ともプロポーションが素晴らしく、ミニスカートからのぞいた脚がゾクッとするほど綺麗だった。
 そんな会話を交わしていると、逆に津川と須山のことも彼女たちから聞かれた。
 よからぬ目的を抱いている二人は、中学の体育教師であることは隠して、東京のサラリーマンで、出張帰りに息抜きのために温泉に立ち寄ったのだと答えた。そうしているうちに旅館に着き、フロントの前で別れたのである。


 津川と須山は部屋で夕食をすませたあと、ウイスキーの水割を飲んでいた。
 二人とも体育教師だけあって体力には自信がある。アルコールも強い。食事中から飲みつづけていたが、まだホロ酔い程度だった。
 それに精力にも自信がある。
「そろそろ出かけるか」
「へへ、がんばろうぜ」
 座椅子に坐った須山が浴衣の上から手で、ポンと股間を叩いた。
「だけど、あの二人、いい女だったよな。あのクラスの女は、このS温泉にはいないだろうな」
「いくらいい女でも、ヤラせてくれなきゃしようがないさ」
「むこうだって、女二人で退屈してるかもしれないぜ。それこそダメ元で声をかけてみないか」
「なんて?」
「いっしょに飲まないかって。で、盛りあがってきたら、それぞれカップルになって、あっちとこっちの部屋に分かれるんだよ」
「そりゃあ、そううまくいけばいいよ。けど、ああいう女は調子いいんだから。かりに誘いに乗ってきても、飲むだけ飲んで、じゃあお休みなさいってことになってみなよ。それこそ悲惨だぜ」
「そうだな。それから街に出たって、あぶれた女しかいないだろうし、ここは大穴を狙うより、やっぱりガチガチの本命狙いでイッパツ抜いてくるか」
「それが正解だな。そのために温泉にきたんだから。早いとこ繰りだそうぜ」
 二人が立ちあがったとき、電話が鳴った。津川が受話器を取ると、
「あのォ、マイクロバスのなかで会った者ですけど……」
 女の声がいった。
「え!? ああ、あの卒業旅行の?」
 驚いた津川がうわずった声でいいながら、あわてて受話器を指差し、須山に合図する。飛びつくようにして須山も受話器に耳を当てた。
「ええ。もしよかったら、これからわたしたちの部屋で飲みません?」
 女がいくらか酒に酔ったような甘ったるい声でいう。
 二人はパッと表情を輝かせて顔を見合わせた。須山が津川に強くうなずいて見せる。
「喜んで! すぐいきます。あ、部屋はどこ?」
 津川が気負い込んでいうと、
「桔梗です。じゃあ待ってますから」
 そういって女は電話を切った。
「おい、どうなってんだよ!?」
 二人は同時に同じ言葉を発し、驚いたというより信じられないという表情で顔を見合わせた。
「これはただの誘いじゃないぜ」
「ああ、彼女たちの部屋で飲もうっていうんだからな」
「ということは、さっき俺たちがいってたようなことを、彼女たちも期待してる。そう思っていいんじゃないか」
「そういうこと!」
 二人はスポーツ選手がやるように腕と腕をぶつけ合うと、奇声を発して仰向けにでんぐりかえった。
「そうだ。そのときの相手を決めておこう。津川はどっちがいい?」
「俺はコンパニオンのほうがいいなァ」
「じゃあ俺は、モデルでいくよ」
 二人は、これ以上ないヤニ下がった笑いを浮かべて部屋を出た。


【2】
 津川と須山が『桔梗』と書かれた部屋の前までいってドアをノックすると、モデル志願の女が出てきて、にっこり笑って二人をなかに迎え入れた。
 一瞬、二人ともドキッとした。部屋のなかが薄暗いのだ。なぜか天井灯が消され、スタンドの明かりが点いているだけだった。
「このほうがなんとなく、ムードがあるでしょ」
 モデル志願が秘密めかした笑みを浮かべていう。コンパニオンのほうも同じように微笑している。
 いきなり虚を突かれて津川と須山がドギマギしていると、彼女たちのほうが気をきかせて、カップルで座卓を挟んで坐るよう席をすすめてくれた。
 ドキマギしながらも二人は、さっき決めたとおり、それぞれ好みのタイプの女の横に坐った。
 そこでまた、ドキッとした。一間だけの彼らの部屋とちがって、彼女たちの部屋は二間つづきで、開け放った襖の向こうにすでに二組の布団が敷いてあり、ちょうど敷居のあたりに置かれたスタンドの明かりで、それがよけいに艶めかしく見えているのだ。
 座卓の上には、ウイスキーの水割のセットと簡単なオツマミが用意されていた。
 女たちが水割をつくりながら、それぞれ自分の名前をいった。コンパニオンのほうが瑠璃子、モデル志願が由香。津川と須山のほうは、姓を名乗った。
 四人はグラスを合わせて乾杯した。
 彼女たちも浴衣を着ているところを見ると、夕食前にひと風呂浴びたらしい。それでも津川と須山を誘う前にし直したのだろう。綺麗に化粧をしている。
「二人とも、ミニも似合うけど、浴衣姿も色っぽくていいなァ」
「美人はなにを着てもいいんだよ」
 最初に会ったときとはガラリと感じが変わって、若さとしっとりとした色気がミックスした雰囲気をただよわせている二人を、津川と須山がまぶしげに見ながらいうと、女たちは顔を見合わせて笑った。
 そんな彼女たちのこともだが、津川と須山は早々と敷かれている布団のほうが気になって仕方ない。津川が布団に眼をやりながらいった。
「二人なのに広い部屋を取ったんだね?」
「え? ああ……卒業記念だし、ちょっと奮発しちゃったの。ね?」
 由香がいい、瑠璃子がうなずく。
「さっき電話をもらったときは驚いたよ。よく俺たちの部屋がわかったね」
「フロントで聞いたの。いっしょのマイクロバスで着いた二人連れのスポーツマンタイプの人たちの部屋はどこですかって」
「スポーツマンタイプね」
 今度は津川と須山が顔を見合わせて笑っていると、瑠璃子が、
「だってそんな感じでしょ。スポーツとかしないんですかァ?」
「するよ、ふつうの人以上に。学生時代は津川がレスリング、俺は柔道をやってたんだ」
「やっぱり。だから逞しい躯をしてるのね」
「わかった。二人とも寝ワザが得意なんでしょ」
 由香が思わせぶりな顔つきと口調でいう。
「よくわかるね。どうして?」
 須山が調子を合わせて聞くと、
「うふッ、須山さんと津川さん見てたら、なんとなくそんな感じだから……」
「ひょっとしてそれ、スケベそうだってこと?」
「そう。ちがいますゥ?」
 からかうような笑みを浮かべて聞きかえす由香につづいて瑠璃子が、
「だって、男の人だけで温泉にくるってことは、温泉以外にエッチな目的があるわけでしょ? だから……」
 と、フォローする。
「まいったな。ハイ、俺たち二人ともスケベです」
「それに寝ワザも、マットや畳よりベッドや布団の上のほうが得意です」
 津川と須山が開き直っておどけていうと、女たちは声をたてて笑い、
「わたし、エッチな男の人好き。真面目な人って、おもしろくないもん」
 と、酔ってきたのか瑠璃子が顔に似ず大胆なことをいう。
「それは瑠璃子がエッチだからでしょ? 彼女、おとなしそうな顔してるけど、意外に淫乱なの」
「ひどォい。淫乱は由香じゃないのォ」
「淫乱、いいねェ。ブスで淫乱というのは困るけど、きみたちみたいに美人の淫乱は最高だよ」
「ホントホント。それより、これで四人ともみんなスケベだということで一致したわけだ。スケベに乾杯しよう!」
 津川と須山が口々にいってグラスを持ちあげると、瑠璃子と由香も笑いながら乾杯に応じた。
「ふーッ、わたし、気持ちよくなっちゃった」
 グラスを一気にあけるなり、瑠璃子が津川にもたれかかってきた。
「ああ、わたしも……」
 同じく由香も、須山にしなだれかかってくる。
 津川と須山は、シテヤッタリというようにヤニ下がった笑いを浮かべて、女たちの肩を抱いた。
「じゃあ、どっちか俺たちの部屋にいこう」
「ううん、ここでいいじゃなァい」
 瑠璃子が甘えた声でいって、津川の浴衣の前から胸に手をすべり込ませてくる。
「そうよォ。もうお布団も敷いてあるんだしィ……」
 同じように須山の胸にすべり込んだ由香の手が、彼の驚きをよそにそのまま股間に這ってブリーフの前を撫でまわす。
「で、でも、四人だよゥ」
「そ、そうだよ。そりゃあマズイじゃない?」
 津川も瑠璃子に股間をまさぐられ、二人がうろたえていると、
「どうしてェ? だって、そのほうが刺戟的じゃない」
「そうよ。四人で楽しみましょうよ」
 女たちはこともなげにいい、
「あ、もう大きくなってるゥ」
「津川さんも……すごォい」
 嬌声をあげながら、ブリーフのなかにまで手を入れてくる。
 さすがの津川と須山も、予想だにしなかった展開と彼女たちの攻勢に、ただただ唖然とするばかりだ。
 けれども、そこは好き者の二人である。いままで乱交の経験がないために戸惑ったものの、女子大生の美女二人が相手となれば、そんなものはたちまち吹き飛び、持ち前のスケベな血が燃えあがった。
 津川が瑠璃子の顔を起こしてキスにいった。舌を入れて相手の舌をからめ取ると、彼の肉棒を握った瑠璃子のほうも熱っぽく舌をからめかえして、甘い鼻声を洩らす。
 須山も由香と濃厚なキスを交わしている。彼の手が浴衣の上から由香の胸を愛撫し、由香がせつなげな鼻声を洩らす。その手が浴衣の胸もとからなかにすべり込み、じかに乳房を愛撫しはじめるに至って、さらに由香の鼻声が高まってきた。
 津川のほうも、ほぼ須山と同じ手順を踏んで瑠璃子の乳房を愛撫している。女たちの鼻声が交錯して、一気に部屋の空気がなまめいてきた。
「ああん、お布団の上で……ね」
 女たちに誘われて津川と須山は隣りの部屋の布団へ移った。
 瑠璃子が襖を閉める。ちゃんと閉めようという気がないのか、襖は少しずつずれて、中央と両脇にわずかに隙間ができた。
「どうせなら天井の明かりを点けようよ」
「そうだよ。それこそそのほうが刺戟的じゃないか」
 わざわざスタンドを枕もとに持ってきた由香に津川と須山がいうと、
「だめよゥ。女はデリケートなのよ。これくらいの明かりのほうが、ムードがあっていいの」
「そう。あまり明るいと、やっぱり恥ずかしいわ」
 瑠璃子もいっしょになって、さっきまでの大胆な行為とは裏腹なことをいう。
 津川と須山も、無理に明かりを点けようとはしなかった。瑠璃子も由香も本当は意外に恥ずかしがり屋で、薄暗い部屋だからこそ、あんな大胆な行為をしかけてこれたのかもしれない。
 そう思ったせいもあるが、スタンドの明かりだけで布団の上は充分に明るく、彼女たちの裸を観賞するにしても支障はなかったからだ。


【3】
「それにしても驚いたなァ。そんな感じには見えないけど、二人ともいままでに乱交なんてしたことあるの?」
 カップル同士向き合って立ち、津川が興奮した顔つきで聞くと、女たちは顔を見合わせて笑った。
「初めてよ。卒業記念の旅行だし、思いきってこういうことするのも、いい思い出とかになるんじゃないかと思って……」
「津川さんと須山さんは?」
「俺たちも初めてなんだよ。だから、ちょっと面食らっちゃうなァ」
 須山が興奮のためにぎごちない笑いを浮かべた。
「そうだな。で、どういう感じでやろうか?」
 津川が聞くと、由香が、
「やっぱり最初はカップルに分かれてして、途中から四人で、というのがいいんじゃないかしら」
「そうだね。じゃあ瑠璃ちゃん、脱がせてあげよう」
 さっそく津川が瑠璃子の浴衣を脱がしにかかる。それを見て須山も、由香の浴衣の紐をほどきはじめた。
 女たちの浴衣を脱がすと、津川と須山は息を呑み、眼を見張った。ビキニショーツだけになった二人は、想像したとおり甲乙つけがたい素晴らしいプロポーションをしていた。すぐ眼につくちがいといえば、乳房の形とショーツぐらいだ。
 瑠璃子の乳房は、ふくらみ全体が上向きに反って乳暈が小さめなのに対し、由香のほうは、お椀型に盛りあがって乳暈がやや大きい。
 ショーツは、瑠璃子がピンクのサイドストラップのビキニショーツ。由香のほうは、白いシースルーに近いビキニで、前の部分には刺繍が入っているが、黒いものがモヤッと透けている。
「さすがコンパニオン。いいプロポーションしてるなァ」
「由香ちゃんも素晴らしいよ。ああ、たまらないねェ」
 津川と須山が、二人の弾けるような若さとみずみずしい成熟がミックスした裸身に眼を奪われていると、
「今度はわたしたちが脱がせてあげるね」
 女たちが彼らの浴衣を脱がせた。
 二人ともブリーフの前があからさまにテントを張っていた。女たちは楽しそうに手で突起を撫で、ブリーフをずりさげた。二本の肉棒がブルンと弾んで露出した。
「すごォい。立派だわァ」
「逞しいわァ」
 それぞれが嬌声をあげて肉棒を手にし、いきなりフェラチオをしかけてきた。
 津川と須山は、またしても女たちの攻勢にタジタジとなった。
 もちろん、美女たちにフェラチオされて気持ち悪かろうはずがない。しかも二人とも相当のテクニシャンだ。咥えてしごくだけでなく、肉棒全体を口唇で掃くように舐めまわしながら、手で玉袋をくすぐるように撫でまわすのだ。
 たちまち津川と須山はたまらなくなって、女たちを布団の上に押し倒していった。
 二人とも乳房にしゃぶりつき、みずみずしいふくらみを両手で揉みしだきながら、乳首を吸いたて舌でこねまわす。
 女たちが狂おしそうにのけぞる。のけぞりながら、きれぎれに感じ入った声を洩らす。
 津川と須山は、おたがいに自分の相手の反応と隣りのカップルを交互に見ながら行為している。それで刺戟が二倍になって、ますます興奮を煽られた。
 二人は徐々に女たちの下半身のほうに躯をずらしていくと、ワクワクしながらビキニショーツを脱がしていった。
 津川は瑠璃子の両脚を開いた。やや濃いめのヘアの下に、まばらな縮れ毛に縁取られた、波打った感じの秘唇が露わになった。
 まだ綺麗な色をした秘唇を両手で分けると、濡れ光ったサーモンピンクの秘粘膜が露出した。クリトリスを剥きだし、舌を這わせてすくいあげると、ふるえをおびた喘ぎ声を洩らして瑠璃子が腰をうねらす。
 須山も由香をクンニで攻めている。その前に観察した由香の秘苑は、秘唇はほとんどピンク色に近く、文字どおり薄くてすっきりした唇を想わせた。それを分けると、もうだいぶ前から濡れていたらしいパールピンクの秘粘膜がキラキラと光っていた。
 二人のクンニを受けて、女たちが泣くような喘ぎを洩らしはじめた。悩ましい表情を浮かべてのけぞるたびに、若さがいっぱいに詰まった乳房が生々しく弾み、両手が布団の上をまさぐるように這い、腰がうねって、むだな肉がない腹部にときおりさざなみのようなざわめきが走る。
 瑠璃子のクリトリスは、もうビンビンに張ってきている。それを津川が口に含んで吸いたて舌でこねてやると、
「あッ、だめ……あん、だめだめッ……」
 切迫した泣き声を発して、津川の顎が密着している膣口をピクピクと痙攣させる。
 由香のほうも絶頂間近だった。コリッとしたクリトリスを須山が舌で左右に弾くようにしてやると、
「あ、ああッ……それ、いいッ! イッちゃいそう!」
 ふるえ声をあげて腰を揺する。
 津川は瑠璃子を絶頂に追いあげるべく、舌を上下させてクリトリスを弾いた。
 瑠璃子の躯が反りかえった。よがり泣きしながら絶頂を訴えて腰を律動させる。それにつられたように由香も、
「イクッ、イッちゃう!」
 と、絶頂のふるえを湧きたてた。
「ああ〜ん、津川さんの……」
 瑠璃子が津川の股間に顔を埋める。
「ちょっと待って、瑠璃子。今度はみんなでしようよ」
 由香が興奮した顔でいう。
「四人で輪になって、クンニとフェラをし合うってのはどう?」
「うん、それはいい。だったら相手を替えてやろう」
 津川がそういい、
「それにしても由香ちゃん、こういうこと、初めてとは思えないアイデアを出すなァ」
 須山が驚いていると、
「由香って、こういうことだけは頭が冴えてるの」
「それ、どういう意味よォ。ええ、どうせわたしは淫乱だわよ」
 笑っている瑠璃子に由香も笑ってやりかえす。


【4】
 四人は男女入れ違いになり、男は四つん這い、女は仰向けに寝て、輪をつくった。
 そうして津川が由香をクンニで攻め、由香は顔の上の須山の肉棒をオシャブリし、その須山は瑠璃子をクンニで攻め、瑠璃子は顔の上の津川の肉棒をオシャブリする。
 さっきクンニでイッている女たちが、すぐに鼻にかかったすすり泣くような声を洩らしはじめた。肉棒を咥えているためにそういう声になるのだ。せつなげな声を洩らし、うねうねと腰を揺すりながら、津川と須山の肉棒を舌でくすぐりたててくる。
 女たちのなまめいた声に四人が使う舌の湿ったような音がまじり、輪のなかで女たちの裸身がうねる。
 その声や音や裸身のうねりが、乱交ならではの淫猥なムードをいやがうえにも高める。
 たちまち女たちは肉棒を咥えていられなくなって、よがり泣きしながら肉棒や玉袋まで舐めまわしたり、手でしごいたりしはじめた。
 津川と須山のほうも応酬した。片手の指でふくれあがったクリトリスを撫でまわしながら、一方の手の指を蜜壷に挿し、ゆるやかに抜き差ししたり、こねまわしたりする。
「おおッ、由香ちゃんのここは三段締めの名器だ。イキモノみたいに動いて締めつけてくる!」
「瑠璃ちゃんもだ。カズノコみたいなザラつきがあって、クイクイ指を咥え込んでる」
 二人が夢中になって指で攻めているうちに、女たちのほうはますます燃えあがってきた。
「ああッ、またイッちゃいそう! ああん、もうきてェ、してェ」
 瑠璃子がすがるようにいえば、由香も、
「わたしもォ……ああん、指よりこっちがいい。これ、入れてェ」
 と、手にした肉棒をしごきながら、それを発情した顔で凝視していう。
 肉棒をくすぐられながら、そんなことをいわれ手放しでうねる腰を見せられたのでは、酒の酔いのためにいつもより抑制がきいている津川と須山もたまらない。
「津川、そろそろドッキングしようか?」
「ああ。そうだ、じゃあ両方で見せ合う体位でやろう」
 二人は起きあがり、向き合って布団の上であぐらを組んだ。そして、津川が瑠璃子を、須山が由香を、それぞれ彼らに背中を向けた格好にして肉棒をまたがせ、そのまま腰を落とさせた。
 二人は肉棒を手にして女たちの秘唇をまさぐった。秘口を探り当てると、さらに女たちが腰を沈めてきた。
 肉棒がゆるゆると秘唇の間に突き入っていき、女たちが呻きとも喘ぎともつかない声を洩らし悩ましい表情を浮きたててのけぞる。
「ほら、いい眺めだろ」
 そういいながら津川が自分の肩に瑠璃子の腕をまわさせて、その下から顔を出し、片手で乳房を揉み、一方の手で下腹部の繁みを掻きあげる。
 須山も由香に同じようにしている。
「ああ、瑠璃子の、入ってるとこ見えるゥ」
「由香だってェ……ああん、すごォい」
 女たちは興奮しきった顔つきで相手の股間を凝視している。
 後背座位のために、血管を浮きたてた肉棒が反りかえって女たちの秘口に突き入っている生々しい眺めがモロに見え、津川と須山の手が繁みといっしょにクレバスの上端を引きあげるので、ふくれあがったクリトリスも剥きだしになっている。
 津川と須山が、そのまま肉棒をヒクつかせながら、指で乳首とクリトリスをこねてやると、女たちはまた、いまにもイキそうな声でよがり泣く。
「女同士で抱き合ってキスしてごらん」
 須山が両手を後ろについて腰を揺すっていい、津川もそうすると、女たちは肉棒で突きあげられる快感にけしかけられたように抱き合い、濃厚なキスを交わしながら鼻声ですすり泣く。
 ただ、この体位では、男のほうは自由に腰を使うことができない。そこで津川と須山は、背面座位のまま横に並んで女たちの上体を前に倒し、後背位の態勢にもっていった。
 くっきりとハート型に張った煽情的なヒップを見せて四つん這いになった女たちのバックから、ピストン運動をしかけた。
「おおッ、いい気持ちだ」
「たまんないなァ」
 クイックイッと腰を律動させる二人に、女たちがきれぎれに感じ入った声をあげる。
「須山、チェンジしようか」
「ああ。じゃあ今度は瑠璃ちゃんのオマ×コを味見するか」
 須山があけすけにいい、津川に替わって瑠璃子のなかに押し入ると、文字どおり味見するようにゆっくりと深いストロークで抜き差しする。
 津川のほうは由香のなかに入って、同じように腰を使っている。
 女たちはもう四つん這いの態勢を保っていられず、上体を突っ伏して、さらに煽情的にヒップを突きあげ、感泣している。
 津川と須山はもう一度チェンジして、もとの相手にもどったところで、女たちの躯を抱き起こし、仰向けに倒れ込んだ。そのまま女たちに躯の向きを変えさせて、騎乗位の態勢をとらせた。
「ああッ、グリグリ当たってるゥ!」
 津川の上で、瑠璃子が長いストレートヘアを振り乱してクイクイと腰を律動しながら、ふるえ声でいう。
 肉棒の先と子宮口の突起が、したたかに擦れ合うのだ。
 同じく須山の上で腰を使い、みずみずしいお椀型のオッパイを弾ませている由香も、
「あんッ、子宮の奥までビンビン響いちゃう……ああん、躯がとろけちゃいそう……」
 ふるえをおびた泣き声で快感を訴えて夢中になっていたが、須山に抱きついてきた。そして妙なことをいいだした。
「ね、今度は駅弁スタイルでしてェ」
「駅弁スタイルって、あのアダルトビデオでやってる体位のこと!?」
 須山が驚いて聞くと、
「そう。あれをしてみたいの」
 首に両手をまわしてしがみついてくる。
 すると瑠璃子も、「わたしもして」と、津川に抱きついてきた。
 思いがけない要求に、しばし呆気にとられた須山と津川だが、もとより好き者の二人だけにすぐさまその気になった。女たちを抱えて立ちあがり、揺すりはじめた。
 二人にしがみついた女たちが嬌声に似たよがり声をあげる。肉棒が蜜壷をこねまわし、恥骨がクリトリスを擦るのだ。
 体力に自信のある二人は、さらに調子に乗って部屋のなかを駆けまわり、女たちに派手な嬌声をあげさせた。そうして躯を上下に揺さぶったり、腰を浮かして肉棒に叩きつけたりしてやると、女たちはそのたびにイキそうな声をあげる。
 津川と須山も、そろそろ限界だった。体力ではない。いままでこらえてきた快感が股間に押し寄せてきていた。
 二人は女たちを抱えたまま倒れ込むと、クライマックスに向かうことを告げて腰の律動を速めた。すると、瑠璃子と由香がほとんど同時に、息せききって同じことをいった。しかも、またしても妙なことをいうのだ。
「イクときは顔に出してッ」
「顔って、顔面シャワーってやつ!?」
 瑠璃子と由香がうなずく。
「二人とも、よほどアダルトビデオが好きみたいだな」
 津川と須山は彼女たちの意外な一面に驚きながら、フィニッシュに向けて激しく突きたてた。
 女たちの反応が切迫してきた。激しい摩擦で肉棒も蜜壷も燃えるように熱い。瑠璃子と由香が前後して絶頂を訴え、蜜壷を生々しくヒクつかせる。
 津川と須山にも絶頂がやってきた。あわてて腰を引き肉棒を握ると、素早く女たちの顔をまたぎ、肉棒をしごいた。
 二人の美貌に快感液がほとばしった。うっとりと陶酔の色を浮かべた顔面を、粘った白濁液が、トロッと流れ落ちていく。
 二人とも顔面発射は初めての経験だったが、そんな瑠璃子と由香を見て、凌辱的な快感にしびれていた。


【5】
 露天風呂には、四人のほかには誰もいなかった。
 素晴らしいプロポーションをした瑠璃子と由香の裸身が、月明かりを浴びて、より艶めかしく見える。
 四人は、洗い場で躯に石鹸の泡を塗りつけると、前から瑠璃子、津川、由香、須山の順に坐って、乱交のあとの躯を洗い合った。そうして後ろの者が前の者を洗うのだ。
 女たちの躯は、まだ乱交の余韻が尾を引いているらしい。津川と須山がそれぞれ瑠璃子と由香の後ろから、両手で、石鹸の泡ですべりのいいオッパイや股間を撫でまわしていると、二人とも艶めいた声を洩らしながら身をくねらす。
 由香は津川の股間に両手をまわし、石鹸の泡にまみれたペニスを、洗ってるのか煽情しているのかわからないような手つきでしごいている。
 津川のペニスは、みるみる硬度を増してきた。
「あッ!」
 由香が声をうわずらせて肉棒を握った。津川が振り向くと、須山が由香の秘壷に中指を挿している。
「あん……だめ……」
 須山が指を抜き差ししたりうごめかしたりしているのだろう。ふるえ声を洩らした由香が呼吸を乱しながら、津川の肉棒をゆるやかにしごく。
 津川も瑠璃子の秘壷に指を入れた。短い喘ぎ声と同時にジワッと、秘粘膜が指を締めつけてくる。片手で乳房を揉みながら指で秘壷をこねたり、指を抜き差しして指腹でクリトリスを撫であげたりしてやると、瑠璃子は早くも感じ入った喘ぎを洩らしてぐったりと津川に躯を預けてきた。
「お〜い、誰か俺も洗ってくれ。これじゃ不公平だよ」
 須山がぼやく。そこで由香が須山の後ろにまわり、瑠璃子が須山と津川の間に入った。
「ああ、由香ちゃん、上手だなァ……気持ちいいよ」
 由香にペニスを洗ってもらいはじめた須山がうれしそうにいう。
「さあ、瑠璃ちゃんも、いい気持ちにしながら洗ってあげよう。津川の粗チンはいい加減に洗ってやればいいからね」
「コイツ、調子いいんだから」
 津川が苦笑いしていると、彼の肉棒を撫でまわしていた瑠璃子の手がそれを握りしめてきた。
「ああん、だめになっちゃう!」
 須山が秘壷に指を入れているらしい。瑠璃子が感泣するような声を洩らしはじめる。
「ね、もうみんなでお湯に入りましょうよ」
 由香がそういって立ちあがった。それを潮に全員、石鹸の泡を洗い流し、露天風呂に入った。
 お湯のなかでもじゃれ合っていると、須山が立って岩にもたれ、瑠璃子にフェラチオさせはじめた。津川も須山と並んで立ち、由香にオシャブリしてもらった。
 二人のペニスがたちまち肉棒と化してくると、今度は女たちが立って岩にもたれ、津川と須山がクンニリングスでおかえしした。
 それぞれ両手で彼らの頭を抱えた瑠璃子と由香が、せつなげな声を洩らしながら腰をもじつかせる。津川と須山は、彼女たちが充分に濡れてきたところで、露天風呂のなかでのファックを楽しむつもりだった。
 そのとき突然、大きな水音がした。四人が仰天してそっちを見ると、服を着た男がズブ濡れで立っていた。両手で抱えているのは、ビデオカメラだった。
「やだァ、知らないからァ!」
「んもォ、監督ったら……」
 瑠璃子と由香が口々にいう。津川と須山はなにがなんだかわからないまま、茫然としていた。


 津川と須山は自分たちの部屋にもどり、座卓を挟んで座椅子の背にぐったりともたれて坐っていた。
 二人はさっきまで『桔梗の間』にいた。瑠璃子と由香、それに露天風呂に落ちた男もいっしょだった。
 二人とも、彼女たちと乱交したことを、おいしい体験をしたと思うべきか、騙されたと怒るべきか、まだ決めかねていた。
 なんと、瑠璃子と由香はアダルトビデオの女優だったのだ。女子大生というのは本当で、某女子大の二年生ということだった。
 二人は撮影のためにスタッフとはべつに一足先にS温泉にきた。そのとき二人連れの男、つまり津川と須山に話しかけられて、アダルトビデオの撮影できたとも女優ともいえず、卒業旅行ということにした。
 撮影は今夜から開始する予定だった。ところが前の撮影でトラブルが発生し、スタッフがこれなくなった。監督だけやってきた。
 すでに旅館の部屋を取ってあり、女優も確保している。アダルトビデオ業界が不調のおり、無駄な出費は避けたい監督としてはなんとかしなければならない。
 そのとき瑠璃子と由香が、旅館の送迎用のマイクロバスのなかで出会った二人連れの男のことを話すと、監督が「それでいこう!」と膝を叩いた。
 それとは、女優二人が男たちを部屋に誘って乱交を繰りひろげることで、さっそく撮影の計画ができあがった。
 部屋を暗くし、赤外線暗視カメラを使って、最初のうち監督は押入のなかから撮影し、乱交がはじまったら襖の隙間から撮る。
 撮影は計画どおりに進んだ。そして、露天風呂のシーンで終了するはずだった。
 ところが最後にきて、監督が撮影に夢中のあまり露天風呂のなかに落ちてしまったというわけである。
 いま、津川と須山の前の座卓の上には、ビデオテープ三巻がある。
 四人の乱交シーンを撮ったものだ。ビデオを発売するに際しては、四人とも眼を隠して盗撮モノにする。会話のなかで津川と須山の名前が出てくる部分は音を消し、絶対迷惑はかけない。ギャラも払う。そういって監督は津川と須山に泣きついてきたのだが、二人は聞き入れず、テープを持ち帰ったのだった。
「だけど、彼女たちも可哀相だよな」
 津川がつぶやくようにいった。
「ああ。あのぶんでは、まともにギャラが出ないんじゃないか」
 須山も同じことを考えていたらしい。盗撮されていたとはいえ、須山と津川が乱交を楽しんだのは確かなのだ。それを思うと二人とも彼女たちに悪いような気もしてくる。
「監督の奴、もし不安だったら、修整と編集に立ち会ってもらってもいいといっていたよな」
「ああ。で、元のテープは俺たちにかえすといっていた……」
 二人は目の前のテープを見つめたまま、そうつぶやくようにいいながら、だが、まだ気持ちの整理がつかないでいた。


2012/01/12〜

クエスト名必要GR推奨Lv変身Sクリポイントエリアクエスト配信日
����
目覚めし炎魔人283380〜81〜3人60,00071,500移動要塞ガルマンタ2012/01/12
白銀に輝く古代竜273280〜81〜1人60,00071,500レッドホーン島2012/01/26

『女教師・失格』雨宮 慶


第一章 女教師・熟れる


【1】
 教員室の真んなかで、同僚の教師たちが談笑していた。
 机の上を片づけて帰り仕度をしていると、数学教師の金井が談笑の輪のなかから抜けて、野々宮彩子のそばにやってきた。
「野々宮先生、明日は休みだし、みんなでかるくやっていきませんか?」
 酒を飲む仕草をしていった。
「ごめんなさい、わたしはちょっと……」
「まだ怒ってるの?」
 金井は声をひそめていった。彩子が黙っていると、
「もう勘弁してよ、ホントに先生を侮辱するつもりなんかなかったんだから。それどころか、あれからも先生のこと真面目に考えてるんだよ」
 と、懇願する表情と猫撫で声で囁いた。
 一瞬、彩子は気色ばんだ。
 妻子持ちの男がいったい何を真面目に考えているというのか。そんなたわいない甘言で篭絡できると思われているとしたら、ますますもって軽く見られているというほかない。それこそ侮辱というものだった。
 だが、つとめて平静を装い、彩子も声をひそめていった。
「わたし、今日は用事があるんです」
「ひょっとしてデート?」
「そんなこと、金井先生に話す必要ないでしょ」
「それはそうだけど、気になるな」
「はっきりいっておきます。真面目に考えてるなんて迷惑です」
 彩子が毅然としていうと、金井は気押されたような表情を見せた。
 そのとき、ほかの教師が金井を呼んだ。金井は彩子に曖昧な笑みを投げかけてもどっていった。
 
 半月ほど前のことだった。
 ある夜、野々宮彩子は同僚の教師たちと酒を飲んだ。そのなかに金井もいた。
 彩子の夫が三十四歳の若さで胃癌で亡くなって一年あまりたった半年ほど前あたりから、金井はしばしば彩子を食事や酒を飲みに誘うようになった。
 四十半ばで妻子持ちの金井だが、三十歳の未亡人をあわよくばモノにしようという下心があってのことで、そのことは彩子もわかっていた。
 金井はなんとなく爬虫類を想わせる顔立ちをしていて、性格的にも物言いにも粘着質なところがある。もとより彩子はそんな男の誘いに応じる気などなく、そのたびに断っていた。
 ただ、その夜のようにほかの教師たちが一緒のときは、付き合いもあって酒席に顔を出さざるを得なかった。
 そんなときでもいやなことがあった。彩子と金井は帰宅方向が同じなのでタクシーに相乗りすることになるのだ。途中で金井が彩子を落としていくのである。その夜もそうだった。
 ところが彩子が住んでいるマンションの近くにタクシーがさしかかったとき、金井が悪酔いして吐きそうだといいだした。金井は彩子と一緒にタクシーを降り、酔い醒ましにブラブラ歩きながらタクシーを拾い直すから、その前に水を一杯飲ませてほしいといった。それで仕方なく、彩子は金井をマンションの部屋に入れたのだった。
 金井を玄関で待たせたまま、彩子はキッチンにいった。そのときふと、背後に人の気配を感じて振り向くと、金井が無断で部屋にあがってきていた。
 金井の顔を見た瞬間、悪酔いしたというのはウソだったとわかって、彩子はうろたえた。
「好きなんだ、前から好きだったんだ」
 いうなり金井は抱きついてきた。
 彩子は激しく抵抗した。だが獣と化した男の力にはかなわなかった。リビングのマットの上に押し倒された。
「先生だって独りになって淋しいんだろ? この熟れきった躯が疼いてたまらないこともあるんだろ? 慰めてあげるから、ほら、おとなしくしなよ」
 暴れて拒む彩子に、金井は息を弾ませて侮辱的な言葉を浴びせた。
「やめて! こんなことをしてただですむと思ってるの!?」
 押さえ込まれたまま、彩子は顔をそむけていった。声がうわずった。金井以上に息が弾んでいたせいもあったが、暴れているうちにタイトスカートがずりあがってしまい、両脚の間に腰を割り込ませている金井の硬くなったモノが下着越しに局部に突き当たっていたからだった。
「学校や警察に訴えるっていうのか? そんなことはやめたほうがいい。先生も恥をかくだけだよ。そんな強がりをいってないで、ほら、素直になれよ」
 金井はそううそぶいて、エレクトしたモノをグイグイ局部にこすりつけてきた。
 その感触に彩子は思わず喘ぎそうになった。金井を撥ねつけようとして必死に腰を上下左右に振りたてた。
 だが男のこわばりを局部に感じたときから情けないほど全身の力が抜けていて、撥ねつけるどころかなよなよとした腰つきにしかならなかった。そればかりか、まるで彩子のほうからこわばりに局部をこすりつけているような感じになり、そのためますますこわばりの感触を生々しく感じる結果になってしまい、全身がとろけていくような性感に襲われた。
「いやっ、やめてっ」
 彩子はうろたえてかぶりを振った。その声にも相手を撥ねつける力はなかった。
 ふるえをおびた喘ぎ声と媚情を訴えるような腰つきを好ましい反応と見たのか、金井は彩子の下半身に移動するなり局部にしゃぶりついてきた。
「ああっ!」
 局部に金井の口を感じた瞬間、のけ反って、いやあっ、と拒絶の声をあげたつもりの彩子だが、口をついて洩れたのは艶めかしい喘ぎ声だった。ゾク〜ッと身ぶるいさせられたその感触は、ただおぞましいというだけではなかった。
 そのうえ、そのまま金井は下着越しに舌でグニュグニュと局部をこねまわすのだ。抗しきれないうずきをかきたてられて彩子は身悶え、きれぎれに喘いだ。
 そのとき金井が下着に手をかけてきた。彩子は狼狽し、とっさにいった。
「待って。ここじゃいやっ」
 金井が顔をあげた。驚いた表情の顔にすぐに喜色がひろがった。
「そうだな。じゃあベッドにいこうか」
 うれしそうにいって金井は立ちあがった。
 彩子も起きあがった。そして、すぐさまキッチンに向かって走った。包丁を手にして振り向くと叫んだ。
「出てって! 早く!」
「どうして? あんただってその気になってたじゃないか」
 茫然としていた金井が信じられないというようすでいった。
「やめて! これ以上の侮辱は許さないわ。いますぐ警察を呼ぶわよ」
「侮辱なんて、そんなつもりはないよ。俺の言い方が悪かったら謝るよ。な、話せばわかることじゃないか」
 金井は作り笑いを浮かべて近づいてきた。
「来ないで! さっさと出てって。早く!」
 彩子は両手に持った包丁を金井に突きつけて追いたてた。
「わかった、わかったよ」
 金井は怯んで後ずさりしながら、
「あんたはもっと物分かりがいいと思ってたのに……」
 と、苦笑いして部屋から出ていった。
 彩子はすぐに服を脱ぎ、下着を洗濯機に放り込んで浴室に入った。たまらないおぞましさと屈辱にまじって自己嫌悪にかられながらシャワーを浴び、レイプされかかったというのに濡れてしまった局部を丹念に洗った。
 翌日、学校で顔を合わせると、金井は、彩子のことが好きで思いあまってあんなことをしてしまった、侮辱するつもりなんかなかった、許してほしい、といって謝った。
 
 金井が謝ったとき、彩子は何もいわず、その後も金井を無視していた。それでも彩子のことを真面目に考えているといったところを見ると、金井のほうは勝手にあのときのことはそれで片がついたと思っていたらしい。
 そんなことは迷惑だとはっきりいったものの、金井の図々しさに彩子は憤りがおさまらなかった。
 教員室には彩子のほかに古典を教えている年配の女教師が一人残っているだけだった。
 やり場のない憤りを抱えたまま、彩子は椅子に坐っていた。金井のせいで出端をくじかれた感じだった。
 彩子にとって四カ月ほど前から金曜日が特別な日になっていた。すこぶるスリリングな刺戟と興奮がある、教師にあるまじきいけない秘密を愉しむようになったからだった。
 その日は朝から胸がときめいて躯が火照り、教壇に立っているときもそんな状態がつづき、学校を出るときには胸が高鳴って下着が濡れている。
 ところが金井とあんなことがあったおかげで、ここ二週間はそんな気持ちにもなれなかった。だが三十歳の熟れきった女体は、それが限界だった。明日の土曜日は学校が休みのこの日、彩子は我慢しきれなくなって、その気になっていたのだった。
 彩子は立ちあがった。やり場のない憤りによって、熟れきった躯のなかでくすぶっているいけない欲望をかきたてられていた。
 
【2】
 野々宮彩子が英語教師をしているY高校は、都心の御茶ノ水にある。彩子の自宅があるマンションは中野にあるので、通勤はJRの中央線一本で便利がいい。
 だが金曜日にかぎって帰りは四ツ谷駅からいったん東京駅までいき、そのときの気分によって山手線の内回りか外回りかどちらかの電車に乗り、そのまま新宿までいって中央線に乗り換えることにしている。
 この日、二週間ぶりに東京駅の山手線のホームに立った彩子は、いつも以上に緊張して胸が高鳴っていた。ホームは帰宅ラッシュの人であふれていた。
 彩子はホームを歩きながら、見た感じ性格的にさっぱりしていて、気がよくてほどほどに女好き、というタイプの男を探した。そういうタイプなら後腐れがないからだった。
 彩子の目にかなった男がいた。丸の内あたりの大手企業の社員だろう。きちんとしたスーツを着た二十代後半とおぼしき男だった。
 その男と一緒に彩子は電車に乗った。ほかの乗客に押し込まれたが、うまく男に背中を向けて立つことができた。二人が立っているのは、都合がいいことに乗客の乗り降りに邪魔されない電車のなかほどだった。
 車内はすし詰めの状態だった。男がどこで降りるかわからないため、電車が東京駅を出てほどなく、彩子はドキドキしながら男を挑発しにかかった。
 グッとヒップを男の股間に押しつけた。そのまま男の股間をくすぐるように、微妙にヒップを蠢かす。
 男はあわてたようすで腰を引いた。まさか女のほうから挑発しているとは思えず、自分が痴漢と勘違いされるのを恐れたようすだった。
 といっても車内は身動きもままならない。彩子のヒップと男の股間は密着したままだった。
 なおも彩子はヒップを蠢かしつづけていた。
 すると、みるみる男の股間のモノがこわばってきた。ペニスがムクムクと勃つのを感じてゾクゾクする興奮に襲われた。同時に密着した躯を通して、男がうろたえている気配を感じた。
「ウソだろ?」
 突然、男が彩子の耳もとで囁いた。痴女にしては彩子が人並み以上の美人だからだろう。周囲の乗客には聞き取れないほどの小声だったが、うろたえたようすに信じられないというような驚いた感じも声にこもっていた。
 行為の途中で男から話しかけられたのは彩子もはじめてだった。意表を突かれてうろたえ、うつ向いていると、
「マジなの?」
 男がまた小声で囁いた。
 彩子はうなずくこともできず、うつ向いたまま、返事のかわりにヒップを蠢かしつづけた。
 いつもは膝丈のタイトスカートのスーツを着ている彩子だが、金曜日だけはフレヤースカートにしている。そのほうがスカートのなかに男が手を入れやすいからだった。
 柔らかいスカートの布越しに尻朶に突き当たっていた男の勃起したモノが、ヒップを蠢かしているうちに尻の割れ目に分け入ってきて、よけいに生々しく感じられ、もう下半身が興奮というアルコールに酔ったようになっていた。
 男が挑発に乗ってきた。ヒップに手を這わせてきて、スカート越しにそろそろと撫でまわす。
 男の手の動きが止まった。驚いているようすだった。彩子がつけている下着に気づいたらしい。男の指先は、ストッキングを吊ったガーターベルトの止め金に触れている。
 そんな下着をつけて挑発する女なら遠慮はいらないと思ったのだろう。男はスカートのなかに手を入れてきた。太腿の裏側を這いあがってきた手が、ストッキングの切れ目で直接肌に触れ、ヒップのまるみをとらえた。
 剥きだしのヒップに男の手を感じて、彩子は恥ずかしさでカッと全身が熱くなった。男が触りやすいようにガーターベルトを着用するようになったものの、いままではさすがにショーツまで大胆なものをつけることはできなかった。いつもハイレグカットのフルサポートタイプのショーツだった。ところがこの日は二週間ぶりということもあって、はじめて思いきってTバックショーツを穿いていた。
 全身が熱くなるほどの恥ずかしさに襲われながら、それでいて彩子の胸はいままで以上に高鳴っていた。
 男の手はヒップのまるみを撫でまわしている。その感触でTバックショーツとわかったのだろう。撫でまわす手つきに興奮している感じがあって、片方の尻朶に突き当たっている怒張がそれを証明するように生々しくヒクついている。
 彩子のほうもひとりでにキュッ、キュッと尻朶がしこり、とっくに濡れそぼっていた蜜壷がそのたびに収縮して、ジュクッ、ジュクッと蜜があふれていた。そればかりか蜜壷がせつないほどうずきはじめ、たまらなくなってきていた。
 それを察したように男の手が尻朶の間に侵入してきた。
 彩子はめまいがするような羞恥と興奮につつまれて、自分からわずかに脚を開いた。
 男の指先が恥ずかしい部分に触れてきた。ショーツの紐がクレバスに食い込んでぷっくりと迫りだしている秘唇とその周囲の秘肉を、なぞるように撫でる。
 彩子のそこは、秘唇のまわりにもむさくるしいほどではないけれどヘアが生えている。ザラついたヘアの感触と、そのあたりまでヌルヌルするほど濡れていることを確認しているように秘唇とそのまわりの肉をなぞっていた男の指先が、クレバスをまさぐってきた。そして、ショーツの紐の下に分け入ってきた指先が、ヌルッと、いきなり蜜壷のなかに侵入してきた。
 彩子は思わず顔をあげて喘ぎそうになった。
 男があわてたようすで指を抜いた。そうするつもりはなかったのだが興奮のあまりつい指を滑り込ませてしまったらしい。おたがいに合意の上の痴漢プレイとはいっても、まわりの乗客に気づかれて困るのは彩子だけではないのだった。
 男はクレバスに指を当てがったまま、ゆっくりと前後にこすりはじめた。それに合わせて彩子も腰を前後させた。
 喘ぎ声を洩らして身悶えずにはいられないような快感が湧きあがってくる。だがそんなことをすれば大騒ぎになる。必死の我慢とドキドキハラハラのスリル、それに見ず知らずの男を相手にこんなハレンチなことをしているという思いがあいまって、頭がクラクラするような興奮に襲われる。
 ヒクッとして彩子は腰をくねらせた。こんどは彩子のほうがあわてた。自分から腰を前後させていたのは、男の指先が過敏なクリトリスに触れないようにするためだったのだが、男が指を前に滑らせてそこに触れてきたのだ。
 クリトリスを弄られたらひとたまりもなく、声をこらえられなくなる。彩子は腰を蠢かせて男の指先に膣口をこすりつけた。
 男も彩子の意図を察したらしい。そろそろと指を入れてきた。
 燃えるように熱くなってうずいている蜜壷にヌル〜ッと侵入してくる指に、彩子はしびれるような快感を感じてふるえ、それだけでふっと、かるく達してしまった。
 男の指は深々と没していた。ひとりでに蜜壷が収縮してジワッと男の指を締めつけ、咥え込もうとするようにいやらしく蠢く。
 片方の尻朶に突き当たっている男の怒張がビクンと跳ねた。
「すごいな」
 耳もとで男がかすれた小声でいい、蜜壷のなかを指でこねるようにしはじめた。
 彩子は口を開けた。そうしていなければ息ができなかった。自分でも興奮しきった顔つきになっているのがわかった。
 そうやって声を殺して息にして吐き、男の指の動きに合わせて腰を微妙に振りながら、まわりを見まわした。顔を見られたらすぐに異常に気づかれただろうが、幸い眼が合った乗客はいなかった。
 彩子はうつ向いた。胸のなかで戸惑いとためらいが交錯していた。二週間ぶりの痴漢プレイでいつも以上に興奮しているところにもってきて、男に囁かれてどうかしたのか、いままでにない衝動にかられていたからだ。それも男を挑発して痴漢行為に誘う以上に大胆ではしたない衝動だった。それでいて息苦しいほど胸が高鳴ってもいた。
 片方の尻朶に突き当たっている男の怒張がときおり生々しく脈動するのを感じていると、彩子はもうそれを我慢できなかった。こんなはしたないことを……と思うと同時に、めまいがするような恥ずかしさと興奮に襲われながら、おずおずと片手を後ろにまわし、ふるえそうになる手で男の股間をまさぐった。
 男が指の動きを止めた。さすがに驚き、うろたえてもいるようだった。
 彩子の手は、ズボンの上からでもはっきりとわかる怒張をつつんでいた。硬い肉棒の感触にズキンと下腹部がうずき、蜜壷が生々しく蠢いて男の指を締めつける。
 ジワッと湧きあがった性感が、彩子をけしかけた。男のズボンのチャックをゆっくりとおろした。
「やばいよ」
 男が囁いた。
 その怯えたような声が、彩子を大胆にした。突きあがっているブリーフのなかに手を滑り込ませた。こわばった熱い肉棒が手に触れた。指をからめると、頭がクラッとして息が乱れた。
 応酬するように男がふたたび指を動かしはじめた。こんどは抜き挿しする。彩子は口を開け、男の指の動きに合わせて肩で息をした。
 握っている怒張がビクンビクンと脈動する。その生々しい感触と男の指の動きが一つになって、怒張を抜き挿しされているような錯覚に襲われた。興奮と快感で膝がふるえだして立っていられず、男に躯をもたせかけた。
 彩子は怯えた。こんなことをしていたら乗客に気づかれてしまう。それなのに男の行為を振りきることも、怒張から手を離すこともできない。
 怯えながらも泣きだしたくなるほどの快感をかきたてられて、自暴自棄の気持ちになってきた。
 もうどうなっても知らない。かまわない……。
 そのとき男が指の動きを止めた。
「ね、渋谷で降りようよ」
 耳もとで囁いた。彩子は我れにかえった。あわてて怒張から手を離し腰をひねって男の指から逃れた。
 電車が速度を落として渋谷駅のホームに入った。渋谷駅は乗降客が多い。降車客がドアに向かって動きだすと、男は彩子の肩を抱いてうながした。彩子はかぶりを振った。
「どうして? きみだってこのままじゃいやだろ?」
 男が早口で囁いた。
 いままでにも男から途中下車を求められたことはあったが、そんな言い方をされたことはなかった。
 内心うろたえながら、男に背を向けたまま黙っていると、電車のドアが開いてドッと乗客が降りはじめた。その隙に彩子は足早に隣りの車両に移っていった。
 振り向いてホッとした。あきらめて電車を降りたのか、男の姿はなかった。
 
【3】
 彩子は帰宅するなり冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取りだした。
 喉の渇きをいやして一息ついたものの、局部と手にまだ生々しい感覚と感触が残り、モヤモヤしたものが躯のなかでくすぶっていた。
 秘密の行為を愉しんだあとはいつもそうするように、彩子は鏡の前に立って服を脱ぎはじめた。
 下着姿になった。ほとんどがレースの白いブラとTバックショーツとガーターベルトがセットになった下着に肌色のストッキングというスタイルの下着姿のために、彩子も少しは自信を持っているプロポーションのいい熟れきった躯が、悩ましさを通り越して淫らにさえ見える。
 鏡に映っているかるくウエーブがかかったセミロングの髪の間の、彩子自身それほどとは思わないが生徒たちは女優の鈴木京香に似ているという顔がこわばって、眼が妖しい光をたたえている。早くも興奮しているからだった。
 生徒たちも、教壇に立っている女教師が、まさかこんな下着をつけているとは想ってもみなかっただろう。
 授業中、そう思うと躯が熱くなった彩子だった。
 彩子はブラをはずした。露わになった乳房は、ほどよいボリュームがあって、やや上向きに反った形をしている。痴漢プレイの余韻といままた興奮してきているために、ふっくらと盛りあがっている薄赤褐色の乳暈から、乳首が硬くしこって突きだしていた。
 両手で乳房をつつみ、やさしく揉んだ。せつないようなうずきが生まれて息が乱れる。
 指先で硬くしこった乳首をくすぐりながら乳房を揉んでいると、内腿から局部にかけて熱いうずきがひろがって、両脚をすり合わせずにはいられない。
 くびれたウエストから悩ましくひろがった腰が焦れるように蠢く。逆三角形のレースを通してヘアが透けて見えているショーツ、それにガーターベルトにストッキングという下着のせいか、下半身の動きがひどく淫らに見える。
 こらえきれずに彩子は喘ぎ、鏡に後ろ姿を映して見た。褌のようなTバックショーツの紐とガーターベルトしかない剥きだし同然のヒップは、いやらしいほどむっちりして、だけど形よく張りだして盛りあがっている。
 男の手でヒップを撫でまわされたり、ショーツの紐を分けて局部を弄られたり、指を膣に入れてこねまわされたり抜き挿しされたりした感触や感覚が生々しくよみがえってくる。ゾク〜ッとして、思わず彩子は両脚を締めつけた。
 ふたたび鏡と向き合うと、ごまかしようのないほど発情した顔つきになって息が弾んでいた。
 左手で乳房を揉みながら、右手をショーツのなかに滑り込ませた。指先がクリトリスに触れたとたんにズキンと快感のうずきが駆け抜け、ヒクッとふるえると同時に喘ぎ声が口をついて洩れた。
 クレバスはまたビチョビチョになっていた。クリトリスも手触りではっきりわかるほど硬くふくれあがっている。
 だめよ、そこはだめ……。
 彩子は、見ず知らずの男に痴漢されているシーンを想い浮かべて胸のなかで訴えながら、中指の先で、まァ〜るくクリトリスを撫でまわした。
「ああっ、いいっ」
 快感のうずきがひろがって、うわずった声が洩れる。膝がガクガクふるえ、もう立っていられなかった。
 ベッドにいこうとして彩子は足を止めた。ふと、ベッドにいくよりも刺戟的なことを思いついたからだった。ただ、あまりにはしたない考えだったので彩子自身戸惑い、うろたえた。
 はしたないといえば見ず知らずの男を電車のなかで挑発して痴漢行為に誘うことのほうがそうかもしれないけれど、男の痴漢行為だけでは物足りず、そんなことを思いついてしまう自分が空恐ろしくなってきた。
 だが、どうしてそんなはしたないことを思いついたのか、彩子にはわかっていた。そして、もう自分を抑えることができないことも−−。
 この日、彩子ははじめて痴漢行為に誘った男のペニスを手にした。あのときは衝動を抑えることができず無我夢中だったが、そこまではしたないことをする自分が信じられなかった。それでいていままでにないほど興奮もした。
 いまもそのショックと興奮が尾を引いていた。それが彩子をいつも以上にはしたない行為にかりたてているのだった。
 彩子は鏡の前に肘掛け椅子を置き、コードレスフォンを手にして椅子に腰かけた。
 テレクラに電話をかけるのははじめてではなかった。二年前に夫を亡くして半年あまりたったとき、街頭でもらったテレクラのティッシュを見てかけたのが最初だった。
 そのとき電話に出た男に、彩子は年齢だけは正直に伝え、職業はOLだといった。
 男は学生だった。どんなタイプかと聞かれて彩子が女優の鈴木京香に似ているといわれるというと、男は年上の女が好きで、鈴木京香はタイプだなどといって、しきりに会いたがった。
 もとより彩子は男と会うつもりなど毛頭なかった。淋しさからつい戯れにかけてみただけだった。
 最初にテレフォンセックスという言葉を口にしたのは、男のほうだった。「じゃあ目的はテレフォンセックスだけ?」と聞かれて彩子は一瞬躊躇し、「ええ」と答えた。すると男は「そんなの付き合ってられないよ」といって電話を切った。
 それで彩子は、テレクラで電話を待っている男たちは女が会ってくれる可能性がなければ会話に付き合ってくれないらしいとわかった。それでもテレフォンセックスという言葉に刺戟されていた。
 ショーツだけの格好になると胸が高鳴った。ベッドに横になって、再度テレクラに電話をかけた。
 こんど出た男は、二十五歳の会社員だった。自己紹介のあと彩子からテレフォンセックスを持ちかけると、男は交換条件を持ちだしてきた。テレフォンセックスをしてもいいけれど、携帯電話の番号を教えるから必ず電話をかけると約束してくれというのだった。そうすると彩子は約束した。
 彩子にとってはじめて経験したテレフォンセックスは、すこぶる刺戟的だった。夫が病床にあったときからセックスがないまま過ごしてきて、テレクラに電話をかけたときは週に一、二回のオナニーが癖になるまでになっていたのだが、男の声や卑猥な言葉を聞きながらのオナニーは独りでするそれよりもはるかに興奮し、そのぶんオルガスムスも強烈だった。
 その刺戟と興奮が忘れられなくなり、後日、彩子は約束どおり男の携帯電話に電話をかけた。だが男は会ってほしいの一点張りで、もうテレフォンセックスに応じてはくれなかった。そこで、テレクラに電話をかけてテレフォンセックスに応じてくれる男を探すようになった。
 顔を会わすこともない見ず知らずの男たちとテレフォンセックスをしているうちに、彩子もしだいに大胆になってきた。ただ男からあれこれいわれるだけでなく、彩子のほうも積極的に自分の気持ちや状態を話すようになった。
 もともと彩子は異性やセックスについては奥手だった。そういうことに興味がなかったわけではない。それどころか興味ということでいえば大いにあって、その種の知識だけは豊富だった。
 奥手だったのは、経験のほうだった。それもそのチャンスがなかったわけではない。年頃になると言い寄ってくる男には事欠かなかった。ところが性格的に真面目なうえに長所にも短所にもなり得る慎重かつ臆病なところがあって、異性関係はボーイフレンドの域を出なかった。
 それでいてセックスに対する興味はつのっていた。そのために彩子のなかには自己嫌悪のようなものがめばえ、それが異性関係となると逆に自制心として働いているところもあった。
 彩子が結婚したのは、二十三歳のときだった。その歳で早々と結婚に踏みきったのは、そんな事情を抱えていたせいも多分にあった。
 結婚したとき彩子はまだバージンだった。夫は感動した。結婚した当初は毎晩のように彩子を求め、彩子もたちまちセックスの歓びにめざめた。
 その後も夫の情熱は冷めることはなかった。病床に伏すまで週に二、三回は愛してくれて、彩子は身心ともに満ち足りた生活を送っていた。
 それが夫の死によって一転した。しばらくは脱け殻のようになっていた彩子だったが、それでもどうにか立ち直りかけたとき、こんどはべつの苦悩が彩子を待ち受けていた。熟れた女体が哀しいまでにうずくのだった。
 オナニーは中学二年生のときにおぼえ、罪悪感にさいなまれながら、結婚するまでつづけていた。もちろん結婚してからはしなかったし、する必要もなかった。
 だが夫はもういない。うずきを鎮めようとすれば、オナニーにふけるしかなかった。
 とはいえ、それは彩子にとってつらいことだった。そのこと自体もそうだが、それ以上に夫との行為を思いだしてしまうからだった。そのうえセックスの歓びを知った女体のうずきはオナニーだけでは完全に解消されるはずもなかった。
 彩子のなかには欲求不満が澱のように溜まっていた。そのせいもあった。テレクラでテレフォンセックスを愉しむようになった彩子は、夫とのセックスのさなかでも口にしなかった恥ずかしい言葉やはしたないことをいって、それでますます興奮を煽られ、テレフォンセックスがやみつきになっていった。
 だがテレフォンセックスも所詮はオナニーにすぎなかった。そのうちテレクラに電話をかけるのはやめた。といってオナニー以外のことで欲求不満を解消しようという考えがあってのことではなかった。
 今年は夫の三回忌だった。せめてそれをすませるまでは男を寄せつけないようにしようと彩子は自分に言い聞かせていた。
 教壇に立っていると、生徒たちの視線をそれまでになく過敏に感じるようになったのは、テレクラへの電話をやめてからだった。
 Y高校は男子校である。進学校としても名のある高校だから、女教師をからかったりして困らせるような質の悪い生徒はいないが、生徒たちが三十歳の未亡人の英語教師を異性として興味津々の眼で見ていることは、彩子も気づいていた。
 ところが生徒たちの視線を感じていると、まるで裸にされているような気持ちにさせられるのだった。
 それに年頃の男子生徒ばかりの教室は男臭さでムンムンしている。その匂いと熱気のようなものも、彩子には息苦しく感じられるようになった。
 そんなとき彩子は、ショッキングな夢を見た。あろうことか生徒たちに教室のなかで全裸にされて最初はいやがっていた彩子だが、寄ってたかって弄ばれ犯されているうちに快感の声をあげて身悶えているのだった。
 夢から醒めてもあまりのショックに眠れなかった。そのときふと、テレフォンセックスである男にいわれた言葉を思いだした。
「冴子ってマゾッ気があるんじゃないか」
 その男はそういったのだ。「冴子」というのは彩子が使っていた偽名だった。
 そんなことをいわれたのははじめてだった。そのときは否定したが、そんな夢を見たあとにその言葉を思いだして、ますますショックを受けた。少なくとも夢のなかの彩子はそういわれても否定しようのない反応を示していたからだった。
 帰宅ラッシュの電車のなかで痴漢に遭ったのは、そんないやらしい夢を見た数日後のことだった。
 痴漢の手をヒップに感じた瞬間、彩子は撥ねつけようと思った。ところが一瞬、躊躇した。痴漢行為を許そうという気持ちがあったわけではない。なぜそんな気持ちになったのか、あとで考えても彩子自身よくわからなかった。撥ねつけたりしたら痴漢されていたのをまわりの乗客に気づかれて、反対に好奇な眼で見られるのではないか。とっさにそう思ってそのほうを恐れたのだった。
 彩子の一瞬の躊躇いを、痴漢のほうは都合よく解釈したらしい。スカート越しにヒップの割れ目をなぞってきた。
 その感触に彩子は思わず、ゾクッとした。おぞましさだけではないふるえが躯を駆け抜けた。
 そのとき、痴漢の手がスカートのなかに侵入して、太腿の裏側を這いあがってきた。その前に拒もうとする気持ちを挫かれていた彩子は、ますます拒絶できなくなった。痴漢の手は下着越しにヒップを撫でまわしていた。
 彩子は両脚を締めつけた。ひとりでにヒップがヒクついた。
 痴漢は強引に太腿の付け根に手を入れてこようとした。
 うろたえた彩子は必死に太腿を締めつけた。
 ヒップの割れ目と太腿の付け根の間を、痴漢の指先がくすぐるようにしてきた。
 太腿が小刻みにふるえ、締めつけていられなくなった。その隙を突いて痴漢の指が股間に滑り込んできた。恥ずかしい部分に男の指を感じた瞬間、彩子はカッと全身が火になった。
 それからは痴漢のなすがままだった。それどころか、下着越しに指でクレバスをこすられているうちにまるで失禁したように濡れてしまい、彩子のほうも痴漢の指の動きに合わせて腰を微妙に律動させていた。
 その男の痴漢行為はそれだけに止まらなかった。彩子の反応に気をよくして大胆になったのだろう。パンストを引きさげてショーツのなかに手を入れてきたのだ。そして、はしたないほど濡れている局部を弄りまわし、秘めやかな部分のなかに指を侵入させて、こねまわしたり抜き挿ししたりしはじめた。
 彩子は気が遠くなるほどドキドキハラハラしながらも異常なまでに興奮し、翻弄されるまま必死に声を殺して立っているのがやっとだった。
 そのうち、もうそれ以上痴漢行為をつづけられていると耐えられなくなるという状態になって、怯えて電車の外を見ると、彩子が降りる中野駅をとっくに通り越して三鷹駅に着いたところだった。
 彩子はあわてて男を振りきって電車を降りた。
 その夜、彩子は、男の痴漢行為を想い浮かべながら、オナニーした。そのときのオナニーはそれまでにない興奮と快感があった。
 そんなことがあって彩子は男の痴漢行為を待ち望むようになった。
 だが待っているだけでは期待はかなえられなかった。そこで自分から男を挑発し痴漢行為に誘うようになった。それも男が痴漢しやすいようにパンストではなくガーターベルトを着用して−−。
 
【4】
 彩子は椅子に坐って冷蔵庫を見つめたまま、逡巡していた。
 テレクラに電話をかけてテレフォンセックスをしていたときも鏡の前でそんなことをしたことはなかったし、ましていままでオナニーするときも冷蔵庫のなかにあるようなものを使ったことはなかった。
 彩子、あなたってそんなにハレンチで淫らな女だったの!? そうじゃないはずよ。そんなはしたないことはやめなさい……。
 胸のなかで、自分を叱責したしなめる声が響きつづけていた。
 彩子は逡巡しながら、いつもの不安にかられた。不安の正体は、自分のなかに潜んでいる欲望だった。
 夫が亡くなって以来、ほかの男との肉体関係はないが、欲望はどんどんエスカレートしている。自分のなかにこんなにも淫らな血が流れていたのかと思うと、不安だけでなく自己嫌悪のようなものまで込みあげてくる。
 それでいて、ハレンチ、淫ら、はしたない、といったことが、誘惑の悪魔の甘い囁きのように聞こえて胸が高鳴り、興奮を抑えようもない。それ以上に内腿の奥のどうしようもないうずきに耐えられない。
 彩子は立ちあがった。吸い寄せられるように冷蔵庫のそばまでいき、扉を開けた。フランクフルト・ソーセージの包みを取りだしてそのうちの一本を手にすると、寝室に入った。
 そのフランクフルト・ソーセージは、昨日学校の帰りに立ち寄ったスーパーで買ってきたものだった。陳列棚のそれが眼に止まったとき、欲求不満をかこっていたせいかペニスを想像して艶めかしい気持ちに襲われ、そのつもりはなかったのに買ってしまった。それを男の代用にしようなどと思ったわけではなく、衝動的に篭に入れていたのだ。
 淫らなことが頭に浮かんできたのは、さきほどコードレスフォンを手にして椅子に腰かけ、鏡に向かったときだった。
 寝室に入った彩子は、ナイトテーブルの抽斗を開けた。夫が亡くなってからもそのままにしておいたコンドームの箱を取りだした。箱から出したパッケージを開けてコンドームをソーセージにかぶせると、わずかに湾曲しているソーセージがまるでエレクトして反りかえったペニスそっくりに見えて、濡れて熱をおびている秘苑がズキンとうずいた。
 もはや彩子に躊躇いはなかった。誘惑の悪魔に魅入られたように鏡の前にもどってくると椅子に坐り、両脚を開いて肘掛けをまたいだ。
 身につけているのは、ほとんどがレースの白いTバックショーツにガーターベルト、それに肌色のストッキングだけだ。鏡に、はしたない格好と恥ずかしい眺めが映った。
 ショーツの前の逆三角形のレースを通して、押さえつけられた濃密なヘアがモジャとして透けて見え、その下にはまばらなヘアに縁取られた秘部があからさまになり、赤褐色の唇に似た縦長の肉襞の間にショーツの紐が食い込んでいる、生々しい眺めが露わになっている。
 彩子は躯が熱くなるのをおぼえながら、コードレスフォンを手にテレクラの番号をプッシュした。
 呼びだし音が鳴ったかどうかもわからないうちに相手が出た。
 ほとんど形どおりに会話が進んだ。相手の男は堅い仕事−−どうもその口ぶりからすると役所関係らしい−−をしていて、二十六歳で独身、ということだった。
 彩子は包み隠さず自分のことを話した。そんなことをしたのはこれがはじめてだった。あまりにもはしたないことをしようとしている自分に対して自虐的な気持ちになって露出的になってもいた。
「えっ!? 三十歳の未亡人で、高校の英語の先生!? マジに?」
 男が驚いたようすでいった。
「ええ、本当よ」
「未亡人もだけど、先生もはじめてだよ。で、例えば歌手とかタレントとかでいったら、どんなタイプなの?」
 彩子は照れ笑いしながらいった。
「わたし自身はそう思わないんだけど、生徒たちは勝手に女優の鈴木京香に似てるなんていってるわ」
「じゃあすごい美人じゃないの。俺、鈴木京香ってタイプなんだ。ね、いちどデートしてくれないかな」
「それはちょっと……」
 彩子は口ごもった。そして、自分の秘密を話した。欲求不満が嵩じて週に一度、痴漢プレイを愉しんでいることや、今日はじめて自分から男のペニスまで手にしたことも。
「ウソ! 冗談っていうか、作り話じゃないの?」
「本当のことよ。だけどわたし、これでもガードは堅いほうなの。実際、そんなことはしてても、主人が亡くなってからほかの男の人とセックスしたことなんてないし……」
「信じられないなァ。未亡人なんだし、相手の男が気に入ったら愉しめばいいじゃないの。人生は一度しかないんだよ」
「わたしもそう思うことはあるわ。でも性格なんでしょうね、それができないの」
「じゃあなんでテレクラに……そうか、目的はテレフォンセックスってこと?」
「ええ。今日のわたし、どうかしてるみたい。電車のなかでそんな大胆なことをしたこともだけど、それでいつも以上に刺戟されて、いますごくいやらしいことしてるの」
 目的がテレフォンセックスだけとわかれば、すぐに電話を切られる可能性がある。相手の気を引こうとして彩子は、そういいながらコードレスフォンを耳と肩に挟み、片手でショーツを横にずらした。
 秘苑が剥きだしになって鏡に映った。椅子の肘掛けをまたいで大きく脚を開いているため、濡れ光った秘唇がパックリと口を開けてパールピンクのクレバスまであからさまになっている。
 そのまま、その格好を男に話しながら、一方の手に持ったソーセージをクレバスに当てがって蜜壷のなかに挿入していき、うわずった声でそのこともいった。
「ええっ! フランフルト入れちゃったの!?」
 男が驚きの声をあげた。
「ええ……」
 彩子は片手にコードレスフォンを持ち、一方の手で乳房を愛撫しながら、鏡を凝視したまま、弾む息でいった。蜜壷から半分ほど露出しているフランクフルト・ソーセージが、まるでエレクトして反っているペニスのように見えて、異様な眺めを呈している。しかもそれが蜜壷の蠢きにつれて生々しくヒクついている。いやらしい眺めにカッと全身が熱くなった。
「じゃあ、アソコはさっきからグショ濡れだったんだ?」
 男も興奮した感じの声でいった。
「ええ、そう……で、たまらなくなって……」
「鈴木京香に似てるっていわれるほど美人の先生なのに、スケベなんだなァ。でも俺、美人でスケベな女は大好きだよ。そういうタイプのほうが思いきりエッチを愉しめるから。だからさ、一人でそんなことしてないで俺と会おうよ。そのほうがずっと愉しいよ」
「だめよ。ね、もっといやらしいこといったり恥ずかしいことして。おねがい、わたしをメチャメチャにして」
「メチャメチャにって、先生、マゾッ気があるんじゃないの?」
 思わず口をついてでた言葉に彩子自身戸惑っていると、
「よォし、じゃあこういうことにしよう。俺が先生をガーターベルトとストッキングだけの格好にして、椅子に大股開きで縛ってるんだよ」
 男もその気になってくれたらしい。
「で、フランクフルトをオマ×コに入れてズコズコしてるんだ。ほら、そうやって音を聞かせろ」
 メチャメチャにして、といったときから彩子はたまらなくなって、ソーセージを手にしてゆっくりと抜き挿ししていた。男がいった状況と猥褻な言葉に興奮を煽られながら、コードレスフォンを股間に近づけると、抜き挿しの速度を速くした。
 クチュクチュと、生々しい音が響く。卑猥な音といっしょに、久々に味わうペニスそっくりの感触に全身がとろけていくような快感をかきたてられて、彩子は泣くような喘ぎ声を洩らしながら、コードレスフォンをまた耳に当てた。
「いい声だなァ。たまんないよ。すげえいやらしい音がしてたけど、先生もますますたまんなくなってんだろ?」
 男が思わせぶりに囁く。
「ああン、いいっ、たまんないっ」
「どこがいいんだ?」
 聞かれるまま、彩子は男がいったのと同じ卑猥な言葉を口にした。頭がクラクラするような恥ずかしさと興奮をかきたてられながら。
「オマ×コ好き?」
「好きよ、好きっ」
「ね、会って好きなことしようよ。こんなことしててもしようがないだろ? ソーセージなんかより俺のチ×ポのほうがずっといいよ。欲求不満なんてすぐに解消させてあげるからさ」
「だめよ。そんなことできないわ」
「どうして?」
「どうしても……」
「しようがねえな。じゃあ勝手にしなよ。付き合ってらんないよ」
 いうなり男は電話を切った。
 男と会話をしている間もソーセージを抽送していた彩子は、コードレスフォンをそばのテーブルの上に置き、つづけてソーセージを抜き挿ししながら、片手の指先でクリトリスをまァ〜るく愛撫した。男との会話がなくても、このままオナニーしてイキたい、そうせずにはいられない欲求にかられて。



第二章 女教師・濡れる


【1】
 土曜日の昼下がり、彩子は出かける仕度をしていた。
 どうかしていたとはいえ、昨日の電車のなかのことや帰宅してからのことは、彩子にとっても少なからずショックだった。部屋にいると、いやでもそのことを考えて自己嫌悪に陥ってしまう。それで気晴らしに外出してショッピングでもしようと思ったのだった。
 ちょうど仕度を終えたとき、チャイムが鳴った。出てみると、彩子がクラス担任をしている一年B組の生徒の、三枝智彦が立っていた。
「あら、三枝クン、どうしたの?」
「ちょっと、先生に話があって……」
「一人?」
 三枝智彦はうなずいた。
 クラスの生徒たちは、三十歳の未亡人教師を、女優の鈴木京香に似ているといって姉のように慕っていて、ときおり部屋に遊びにくることがある。高校一年生といえば年齢的にはまだ少年だが、肉体的にはもう一人前の男といっていい。教師と生徒とはいえ、女の一人暮らしの部屋に一人で遊びにこられたら彩子も困るが、そのときは決まって数人いっしょで、一人ということはなかった。
 彩子は困惑しながら、聞いた。
「話って、どんなこと?」
「どんなって、まだどうしようか迷ってんだけど……」
 うつ向いてつぶやくようにいう智彦を見て、彩子は思った。まだ進学問題で迷うときではないし、もしかして異性関係のことかもしれない。
「ま、お入りなさい」
 彩子は招じ入れた。部屋に入ってきた智彦をソファに坐らせると、キッチンにいった。
「アイスコーヒーでいい?」
「ええ」
 グラスに二人分のアイスコーヒーを入れてもどってくると、ソファの智彦とテーブルを挟んで向き合い、彩子のほうは一人掛けの椅子に坐った。
「どうぞ……」
「いただきます」
 彩子はアイスコーヒーを一口飲んだだけでグラスをテーブルの上に置き、智彦がそうするのを待って聞いた。
「迷ってるって、相談事?」
 智彦はうつ向いて首を振った。
「ひょっとして異性関係のことじゃないかと思ったんだけど、ちがってたの?」
「そんなんじゃないよ」
「じゃあ何? 迷ってても、結局は先生の部屋まで来たんだから、話してみようと思ったんでしょ?」
「それはまァ……でも、ちょっといいにくいことだから……」
 智彦は落ち着かないようすで口ごもった。
「どうしたの? いつもの三枝クンらしくないわね。無理に話すこともないけど、何か悩んでいることがあるんだったら、いってごらんなさいよ」
「ぼく、見たんだ。昨日、電車のなかで……」
 うつ向いたまま、智彦はうわずった声でいった。
「見たって、何を?」
 彩子の声もうわずっていた。まさか、と思いながらも心臓が張り裂けんばかりの鼓動を打っていた。黙っている智彦に、彩子は重ねて聞いた。
「何を見たの?」
「先生が痴漢されてたの」
 智彦の言葉を聞いて彩子もうつ向いた。狼狽しきっていた。目の前が真っ暗になると同時に、胸苦しさで吐き気がしていた。
「最初、痴漢されてるってわかったとき、なんで怒らないのか、わけわかんなかったんだけど、先生の感じがヘンなの見て、ウソとか思って……で、そばにいって見たんだ」
「やめて」
 たまりかねて彩子は智彦がいうのを制した。
 二人の間に重苦しい沈黙が流れた。
 最初に口をきいたのは彩子だった。
「三枝クン、いまのこと、誰かに話したの?」
 智彦はかぶりを振った。
「どうして先生に話したの?」
「それは……先生があんなことするなんて信じられなかったから、どうしてか聞いてみようとか思って……」
「聞いてどうしようと思ったの?」
「べつに……」
「ウソおっしゃい!」
 思わず声を高めた彩子に、智彦は弾かれたように顔をあげた。彩子は教室でもそんな声を発することがないせいか、驚いた表情をしている。
「本当は先生を脅迫するつもりだったんでしょ?」
「そんな、そんなつもりなんかないよ」
 智彦はうろたえたようすでいった。
「ぼくはただ、あんなこと、先生にしてほしくないと思ったから、それで……それだけだよ」
「ごめんなさい。先生、思わず大きな声出しちゃって」
 智彦の意外な言葉に、こんどは彩子のほうがうろたえさせられて謝った。と同時にいたたまれない恥ずかしさが込みあげてきた。
 あろうことか、見ず知らずの男との痴漢プレイを生徒に見られてしまった。三枝智彦は、まだそのことを誰にも話していないというけれど、もしも話されたらとんでもないことになる。教職という立場にありながら、あんなはしたないことをして、きっとバチが当たったにちがいない。それにしてもこのままではすませられない。かといって、どうすればいいのか……。
 彩子はショックに打ちのめされたうえに追い詰められたような気持ちになっていた。
 そのとき、応接セットの横にある鏡に映っている自分の姿が眼に入った。硬い表情が映っている鏡を見て、不意に昨日の恥態が脳裏に浮かんできた。それといっしょに彩子の胸のなかに、一つの考えが浮かびあがってきた。
 三枝智彦が電車のなかで見たことを、この先、誰にも話さないという保証はない。口を封じるため、秘密にさせておくためには、三枝智彦と秘密を共有するしかない。そのためには……。
 だけど、なんてことを……と、彩子は自分を叱責した。教師が生徒にそんなことをするなんて許されることではない。
 とはいえ秘密を共有するにはそれ以外に方法はない。
 彩子のなかで、罪の意識と追い詰められた気持ちが激しく葛藤していた。それでいてそのシーンを想像していると、どうしようもないほど胸が高鳴ってきていた。
 重苦しい沈黙のなか、智彦がアイスコーヒーを飲み干してグラスを置いた。彩子は声を押しだすようにして聞いた。
「智彦クン、先生のこと、軽蔑してるんでしょ?」
「そんな、そんなことないよ」
「いいのよ、無理しなくても。智彦クンの年齢だと女がどういうものかわからないでしょうから、軽蔑しても当然だわ。智彦クン、まだ女性の経験はないんでしょ?」
「え!?」
 彩子の唐突な問いに、智彦は驚いたようすで顔をあげた。そして、気恥ずかしそうにうなずくと、またうつ向いて、
「でもぼく、先生を軽蔑なんかしてないよ。ホントだよ」
 と、子供が自分の気持ちを母親に必死になってわかってもらおうとしているような口調でいった。
 彩子の胸はときめいていた。母性本能のようなものをくすぐられたせいだけではなかった。三枝智彦は成績の優秀な生徒である。性格も明るく素直だった。それにアイドル系の顔立ちをしていて、女の子にモテそうなタイプである。だが素行の面でも真面目らしい。彩子の胸のときめきは、想ったとおり智彦が童貞だったからだった。
 彩子は聞いた。
「じゃあ智彦クン、先生と約束してくれる? 智彦クンが見たこと、絶対に誰にもいわない、秘密にするって」
 智彦はうなずいた。
「ありがとう。でもそれだと、智彦クンだけが先生との秘密の約束を守るってことになって、先生も智彦クンとの秘密の約束がなきゃ公平とはいえないわね」
 いいながら彩子は熱に浮かされたようになっていた。秘密という言葉にこれほど胸をときめかせられたことはなかった。
 だが智彦は、彩子が何をいおうとしているのかわからないらしく、あいまいな表情を浮かべて彩子を見ている。こんどは彩子のほうがうつ向き、ドキドキしながらいった。
「智彦クン、初体験したいと思ってる?」
「え!?……そりゃあまァ……」
 童貞の少年はしどろもどろになっていった。彩子のほうは息苦しいほど胸が高鳴っていた。
「先生が相手だといや?」
 うつ向いて聞いた彩子にも、驚く智彦のようすが手に取るようにわかった。
「そんな、ぼく、先生好きだから……」
 気負い込んでいう。
「いいの?」
 彩子が顔をあげて聞くと、智彦は強くうなずき、ポッと顔を赤らめてうつ向いた。
「ちょっと待ってて」
 うわずった声でいって、彩子は立ちあがった。智彦を残して寝室に入った。打ち消しがたい罪悪感とそれ以上の胸の高鳴りや気持ちの昂りが入りまじって、雲の上を歩いているようだった。
 チェストの上の、夫といっしょに写っている写真を手に取ると、錐を刺し込まれるような痛みが胸に走った。
 ゆるして、あなた。でも、わたしを独りにしてしまったあなたがいけないのよ……。
 胸のなかで夫に詫び、恨みがましいことをつぶやきながら、写真を抽斗のなかにしまうと、智彦を呼んだ。
 
【2】
 智彦は緊張しきった顔つきで寝室に入ってきた。
「このことは先生と智彦クンの秘密よ。いいわね」
 神妙な顔つきでうなずく。向き合って立ったまま、彩子は着ているものを脱ぎはじめた。
「智彦クンも脱いで……」
 得体の知れない興奮につつまれて、声がかすれていた。智彦も脱ぎはじめた。
 彩子はドキドキゾクゾクさせられた。智彦の視線を感じながら脱衣しているせいもあったが、すぐにブリーフだけになった智彦の股間が早くも露骨に突きだしていたからだ。
 異変をきたしているのは、ブラとショーツだけになった彩子も同じだった。さっきから熱いものがあふれてきていた。四分の三カップのブラとハイレグのフルサポート・ショーツは、外出しようとしたときこの日の気分で下着の色を選んだので、淡いブルーだった。
 彩子の下着姿を見て、智彦のブリーフの前がますます盛りあがってきた。
 それを見ただけで、彩子も内腿から秘苑に向けてざわめきが走り、思わず太腿を締めつけた。ズキンと膣がうずき、ジュクッと熱いものがあふれた。
 彩子はブラをはずした。露わになった乳房を隠そうとはせず、固唾を呑んで凝視している智彦に見せつけた。
 サイズ八十四の、やや反りぎみに形よく盛りあがった乳房に智彦の眼が釘付けになっている。
 その視線を感じて彩子も興奮を煽られ、息が乱れて乳房が大きく前後していた。
 彩子は智彦の前にひざまずいた。
「すごいわ。智彦クンのここ、もうこんなになって」
 うわずった声でいいながら、ブリーフの突起を指先でなぞると、
「そ、そんな!」
 童貞の少年は怯えたようにいい、あわてて腰を引いた。
「見せて」
 彩子はブリーフに両手をかけた。これまで男といえば夫しか知らない彩子は、自分から夫の下着を脱がせたこともなかった。はじめて経験するゾクゾクするような興奮をおぼえながら、ゆっくりとブリーフをさげていく。
 ブルンと生々しく弾んでエレクトしたペニスが露出した。
 その瞬間、頭がクラッとして、また膣がズキンとうずき、身ぶるいに襲われて思わず喘いだ。
「ああ、智彦クンの、立派よ」
 目の前で脈動しているペニスに眼を奪われたまま、彩子は息を弾ませながら、無意識のうちに夫のものと較べていた。智彦のそれは夫のものほど太くはなかったが、そのぶん夫よりも多少長めだった。それに亀頭部分が夫のように赤黒くなく、まだピンクがかっていて、いかにも童貞のそれらしい。
「そんな、恥ずかしいよ」
 智彦がたまりかねたようにいって彩子の肩を押しやった。
 彩子は立ちあがった。
「先生、男の人の見るの、久しぶりなの。主人が亡くなってから、こういうことなかったから……」
 微苦笑していうと智彦の手を取り、ベッドに誘った。
 彩子はベッドに仰向けに寝た。ここでも乳房を隠そうとはしなかった。両腕は躯の脇におろした。相手が童貞の少年でなかったら、恥ずかしくて両手で胸を隠さずにはいられなかったはずだが、恥ずかしさはあるもののそうやって少年の前に裸身を投げだすことに興奮をおぼえていた。
 智彦は彩子の横で正座していた。両手で股間を隠しているその格好がおかしくて、彩子は思わず笑いそうになった。格好は滑稽だが智彦の顔つきと眼つきは真剣そのもので、極度の緊張と興奮からか、怒ったようなこわばった表情で彩子の裸身を凝視している。彩子もすぐに真剣な気持ちに引きもどされて、智彦の視線に躯がざわめくのを感じながら、裸身をくねらせていった。
「ね、智彦クン、脱がせて……」
 智彦は、ハッとしたようなようすを見せた。そして、おすおずとショーツに両手をかけた。ゆっくりと引きおろしていく。
 彩子は腰を浮かせた。ショーツが腰の下までずりさげられた瞬間、カッと躯が熱くなった。両脚をすり合わせながらショーツを抜き取られていったのは、秘苑を見られる恥ずかしさのせいもあったが、躯の火照りといっしょに内腿のあたりがざわめいてそうせずにはいられなかったからでもあった。
 全裸になった彩子は、さすがに片脚を曲げて下腹部だけは隠した。その格好でいった。
「先生は見たことないんだけど、それに先生がこんなこといっちゃいけないんだけど、いまの子はみんな早熟だから、智彦クンも裏ビデオなんか見て、女性の恥ずかしい部分を見たことあるんじゃない?」
 智彦はかぶりを振った。
「ふつうのエッチビデオは見てるけど……」
「じゃあ、女性の恥ずかしい部分は見たことないの?」
 智彦はうなずく。彩子は恥ずかしさとときめきをおぼえながら、聞いた。
「見たい?」
 智彦は強くうなずき、気恥ずかしそうにうつ向いた。
「そう。じゃあ先生、こんなことするの、とても恥ずかしいけど、智彦クンのために見せてあげる」
 そんなことをいって、大胆な行動をとる自分が信じられないと思いながらも、いままでにない興奮につつまれて彩子は起きあがった。ベッドのヘッドにもたれて両膝を立て、ゆっくりと膝を開いた。
 カッと全身が火になって、めまいがした。
 にじり寄った智彦が、ほぼ九十度に開脚してあからさまになっている秘苑を、食い入るように見ている。
 彩子もそこを見ていた。
 逆三角形の濃密なヘア。その下に、まばらに生えたヘアに縁取られて、薄い赤褐色の濡れた秘唇が露わになっている。智彦の突き刺さるような視線を感じて膣がひとりでにヒクつき、こらえようもなく息が乱れる。
「触って、いいのよ。クリトリスはどこ?」
 喘ぎ声でいうと、おそるおそるという感じで、智彦の指先が秘苑に触れてきた。興奮しきった顔つきの智彦も息を乱している。秘苑のまわりをなぞっていた両手の指先が、そっと秘唇を開いた。
「あっ!」
 思わず彩子は声を洩らした。秘唇がパックリと口を開け、濡れ光ったパールピンクのクレバスまであからさまになっているいやらしい眺めを眼にして、ゾクゾク〜ッと、背筋をふるえが走った。
「ここ……」
 智彦の指先が、まだ愛撫もされていないうちから大きくふくれあがっているクリトリスをとらえた。
「ああっ」
 ズキンと快感のうずきが体奥に響き、彩子は喘いでのけ反った。
「そう。じゃあ、智彦クンのペニスを入れる膣は?」
 そんなストレートな聞き方ができるほど、彩子は興奮していた。
「ここ、かな」
 智彦は自信なさそうにつぶやきながら、指先で膣口のあたりをまさぐる。
 その感触をもどかしがって彩子が腰をもじつかせていると、ヌルッといきなり指が侵入してきた。
「あん……そう、そこよ」
 ひとりでに腰が淫らに蠢いて、衝動的にそのまま智彦の指でなかをかきまわしてもらいたくなったが、かろうじてそれをこらえた。
「智彦クン、クンニリングスって知ってる?」
「うん。俺、そういう知識だけはあるから……」
「じゃあ、先生にしてみて」
 智彦はすぐに彩子の股間に顔を埋めてきた。
 過敏なクリトリスに舌を感じた瞬間、彩子は喘いで腰をヒクつかせた。
 智彦の舌がクリトリスを舐めまわす。童貞だから当然といえば当然だがテクニックなどといったものはなく、ただ闇雲に舐めまわす。そんなクンニリングスでも、欲求不満をかこってきた三十歳の未亡人の熟れきった女体を燃えあがらせるには充分だった。
「ああ、いいっ、気持ちいいっ……智彦クン、上手よ……ああン、もう先生、たまらなくなりそう」
 全身がとろけていくような狂おしい快感に、彩子はよがり泣きながら、両手で智彦の頭を抱えて腰をうねらせていた。
 彩子の反応と褒め言葉に余裕が出てきたのか、ただ舐めまわしていただけの智彦の舌が、ふくれあがっているクリトリスを上下左右に弾くようにしはじめた。刺戟の変化に彩子はひとたまりもなかった。一気に絶頂に追いあげられた。
「ああ、だめっ! イクッ! ああン、イクイク〜ッ!」
 オルガスムスのめくるめく快感が躯を駆け抜けていき、泣いてそれを訴えながら腰を振りたてた。
「ああ〜、いい……智彦クンの、見せて」
 ごまかしようがないほど発情した顔つきになって息を弾ませながら、彩子は智彦の股間ににじり寄っていった。
 童貞の少年のペニスは、肉を殺ぎ落としたような腹部を叩かんばかりになっている。それに指をからめ、まだきれいな色をしている亀頭に舌を這わせていくと、
「あ、だめだよ!」
 智彦はあわてて彩子を押しやった。うろたえている。
「すぐにしたほうがいい?」
 聞くと、緊張した顔つきになってうなずく。
「じゃあ、きて。緊張しなくていいのよ」
 彩子は仰向けに寝、膝を立てて脚を開いた。
 智彦が彩子の両脚の間に腰を入れた。いきり勃ったペニスを手にして、クレバスをまさぐる。いちどその場所を確かめたといっても、指ではなくペニスとなると、緊張と興奮のあまり、うまく挿入できないらしい。ヌルッ、ヌルッと、ペニスの先が滑って膣口をはずれる。
 このままでは暴発する。彩子は手を差し伸べてペニスに添え、わずかに腰を浮かして誘導した。
 ヌル〜ッと押し入ってきた。
「ああッ……い、いいっ!」
 夫が死んで以来、久々にホンモノの男のモノで貫かれて、彩子は歓びの声をあげた。全身がしびれてとろけていくような快感といっしょに満たされた歓びが込みあげてきて、涙ぐみそうになった。
「智彦クン、動ける?」
「う、うん。でも、動いたら、すぐに出ちゃいそうだよ」
 智彦は怯えたようにいう。
「いいの、はじめてなんだから。先生も智彦クンに合わせてイクから、できるだけ我慢して動いて」
 おそるおそるといった感じで、智彦が抜き挿ししはじめた。彩子にとってはもどかしい動きだったが、焦れったく感じるぶんますます興奮をかきたてられた。だがよけいに智彦を刺戟しないよう必死に声をこらえた。
「どう? どんな感じ?」
「いいっ、気持ちいいよ……でも、ああっ、もう我慢できないよ!」
 切迫したようすでいうと、智彦は激しく腰を使いはじめた。
「ああン、いいっ……もっとしてっ」
「先生、だめだ、出ちゃうよ!」
 ズンと突き入ってきた智彦に、彩子は夢中になって腰を振りたてた。
「いやぁ、もっと!」
「ウッ……出る!」
 呻き声と同時に彩子のなかでペニスがビクン、ビクンと跳ね、ビュッ、ビュッと勢いよく発射されるものが子宮を叩く。そのたびにふるえながら、彩子も達した。しかし、オルガスムスまでには至らなかった。
 
【3】
 レースのカーテン越しに初秋の陽射しが射していた。
 彩子は思った。すべてが白昼夢のなかで起こったことであってくれたら……。だがすべては現実に起きたことだった。
 教師が生徒と肉体関係を持ってしまったのだ。もとよりそれがどういうことかわかっていて、それでも三枝智彦の口を封じるためにはそれ以外に方法はないと考えた結果だったが、もはや淫行教師という罪の烙印は消せない。
 いま彩子の気持ちのなかにあるのは、安堵よりも、コールタールのようなドロドロした罪悪感だけだった。
 それに、それとはべつの自責の念もあった。それ以外に方法はないと考えたとき、欲求不満を囲っていた躯が、目の前にいる若い智彦の肉体を求めていなかったといったら嘘になるからだった。
 ベッドに横たわったまま、彩子は全裸の躯を見やった。
 この躯が……と、恨めしく思った。だが熟れきった裸身は、充分に満たされなかったとはいえ久しぶりに男の精を受けたせいか、皮肉にもいつも以上にみずみずしく見えた。
 彩子はベッドを出た。先に浴室に入った智彦が使うシャワーの音が聞こえていた。
 浴室に入ったとたんにシャワーをかけられて、彩子は悲鳴をあげた。
「先生、洗ってあげるよ」
「いいわよ、自分で洗うから」
「いいって。ほら、じっとして」
 智彦は笑いながら彩子の肩からシャワーを当てた。
「だめだよ、両手をおろさなきゃ」
「いやよ、恥ずかしい……」
 片手で乳房を、一方の手で下腹部を隠したまま、彩子はいった。智彦の前でそれ以上に恥ずかしいことをしておきながら、いまさらそんなことをいうのはおかしいけれど、それが本心だった。
 そのとき智彦がシャワーを止めた。ボディソープを掌に取ると自分の躯に塗りつけ、彩子の後ろから抱きついてきた。
「ほら、ソープの泡踊りみたいにして洗ってあげるよ」
 そういってボディソープを泡立てたヌルヌルした両手で彩子の乳房を揉みしだく。
「そんな……」
 彩子はうろたえて身悶えた。そんなことをする智彦にもだけど、早くもエレクトしたペニスがヒップに突き当たっているからだった。乳房を揉まれてひとりでにヒップが淫らに蠢いてしまう。
「あなた、ソープなんていったことあるの?」
 彩子の声はうわずった。
「あるわけないじゃないか。いったろ? そういう知識だけはあるって」
 智彦は笑っていうと片手を彩子の下腹部に這わせてきた。首筋にキスしながら、一方の手で乳房を揉み、片方でヘアを撫でまわす。彩子が首をすくめ、くすぐったがっていると、ヘアを撫でまわしていた手が股間に滑り込んできた。
「あっ、そんな……だめン」
 クレバスを指でこすられて彩子は身悶えた。ヌルヌルした指でクリトリスや膣口を刺戟されて、充分に満たされなかった躯にたちまち火がついた。智彦の指の動きに合わせて腰が律動し、きれぎれの喘ぎ声が浴室に響く。さらに腰が淫らな動きを呈してしまう。円を描くように蠢いて、エレクトしたペニスにヒップをこすりつける。
 彩子は立っていられなくなった。と同時に衝動的な欲情にかられて智彦の前にしゃがみ込んだ。両手で怒張を捧げ持つようにすると、発情してこわばっている顔を寄せて、亀頭に舌を這わせた。
 ねっとりと亀頭を舐めまわす。荒い息遣いが甘い鼻声になった。それでその行為がよけいに猥りがわしく感じられて、ますます興奮を煽られた。怒張を咥えると、顔を振ってしごいた。
 そんな彩子に圧倒されたように智彦は押し黙っている。ときおり彩子の口のなかで怒張が生々しくヒクつく。それでもいちど放出したばかりなので我慢がきくらしい。されるがままになっている。
 彩子は咥えてしごくだけでなく、ときどき口から出しては肉棒の先から根元まで、舌をじゃれつかせるようにして舐めまわしてもいた。そうせずにはいられない欲情にそそのかされながら、その猥りがわしさに興奮をかきたてられて。
 そのとき智彦が腰を引いた。
「またしたくなっちゃったよ」
 苦笑いしていうと、後ろにまわって彩子のヒップを抱えあげる。
「そんな、だめよ」
 彩子はうろたえ、身をくねらせて拒んだ。
「ここじゃいや。ね、ベッドで……」
「いましたいんだよ。じゃあちょっと、入れるだけならいいだろ?」
 いいながら智彦がヒップの割れ目に怒張を突きたててくる。
 フェラチオしているうちに欲望が高まってきていた彩子は仕方なく、というより後背位という思いがけない恥ずかしい体位での行為を求められて、戸惑いながらも興奮を煽られ、上体を突っ伏してヒップを持ちあげた。
 怒張がクレバスをまさぐって、ヌル〜ッと押し入ってきた。
「ああっ!」
 浴室に彩子の感じ入った声が響いた。
「ああ、先生のアソコのなか、すげえ気持ちいいよ。うわぁ、キュ〜ッと締まって、咥え込まれるみたいだよ」
 深々と突き入ったまま、智彦がうわずった声でいう。
 ひとりでに膣が肉棒を締めつけて蠢いているのは、彩子も感じていた。恥ずかしい格好で貫かれて興奮をかきたてられ、くわえて膣の動きによってペニスをより生々しく感じて狂おしい性感に襲われ、ハァハァと息を弾ませて身をくねらせていた。
 ゆっくりと智彦が抜き挿ししはじめた。
「ああっ……うんっ……はあんっ……あはんっ……」
 全身がとろけていくような快感をかきたてられて、たちまち彩子はよがり泣きさせられた。
 すると、スルリと肉棒が抜けでていった。いやっ、という声を、彩子はかろうじて押しとどめた。が、焦れてくねる腰の動きは止められなかった。
「これ以上してたら、我慢できなくなっちゃう……」
 そういいながら智彦は手早くペニスを洗い、「じゃあ先に出て待ってるからね」と彩子に笑いかけて浴室から出ていった。
 
 彩子も早々に浴室から出た。
 寝室に向かう途中、等身大の鏡の前で足を止めた。鏡を見てうろたえた。一瞬、欲望に取り憑かれてこわばった表情をしている顔が他人のそれのように見えて、自責の気持ちと罪悪感が込みあげてきた。
 だが、もはや彩子は自分を引き止めることはできなかった。欲望という悪魔に魅入られたように鏡の前を離れた。抑えがたい欲望を宿している身を悪魔に委ねてしまうことに、めくるめくような自虐的な気持ちをかきたてられてもいた。
 寝室に入っていくと、智彦は裸のままベッドに腰かけていたが、すぐに立ちあがった。ペニスは半分萎えた状態だった。彩子と向き合うなり待ちきれないようすで彩子の躯からバスタオルを取り払い、抱きついてきた。
「待って。先生、智彦クンに話があるの」
「何?」
「智彦クンとこんなことになった責任は、すべて先生にあるわ。先生は教師失格よ。だから、せめて智彦クンは、今日あったことはもちろん、こんな先生のことも忘れてちょうだい」
「どういうこと?」
「もう、こういうことは、これっきりにしましょうってことよ」
「そんな……やだよ俺、絶対やだよ」
 智彦は彩子を強く抱き締めた。彩子を裸にしたときから正直な反応を示してエレクトしてきていたペニスが彩子の下腹部を突きたてた。
「おねがいだから、聞き分けのないこと……」
 うわずった声でいいかけた彩子の唇を智彦の唇が塞いだ。
 彩子は呻いて顔を振った。キスという行為に戸惑いがあった。が、智彦の唇は離れない。強引に舌を入れてこようとする。彩子は智彦の首に両腕をまわして受け入れた。
 そういうキスの仕方は知っていても経験はないらしい。ぎごちなく蠢く智彦の舌に、彩子のほうからねっとりと舌をからめていった。
 はじめて経験する濃厚なキスに興奮したらしく、エレクトしたペニスがビクン、ビクンと脈動する。その生々しい動きを下腹部に感じて彩子は鼻声を洩らし、腰をくねらせずにはいられない。
 どちらからともなく二人はそのままベッドに倒れ込んだ。智彦が彩子に覆いかぶさって、乳房にしゃぶりついてきた。興奮をぶつけてくるように両手で荒々しく乳房を揉み、強く乳首を吸ったり舐めまわしたりする。
 彩子は喘いでのけ反りながら、その乱暴ともいえる行為によって、胸のなかにあった自虐的な気持ちをかきたてられた。
「ああっ、もっと、もっと先生をメチャメチャにしてッ」
 智彦が顔をあげた。驚いた表情で彩子を見ると、すぐまた顔を埋め、胸から下腹部に向けて彩子の躯に顔をこすりつけて舐めまわしていき、乱暴に両脚を押しひろげるなり秘苑にしゃぶりついてきた。
 智彦の舌が荒々しくクリトリスを舐めまわす。たまらず彩子は泣き声をあげて、繰りかえしのけ反った。だが荒々しいクンニリングスだけでは、ほとばしりでた自虐的な気持ちは満たされなかった。彩子の気持ちはもっと猥りがわしい行為を求めていた。
 彩子は起きあがって智彦の股間に顔を埋めていった。同時に智彦の上になって顔をまたぎ、シックスナインの態勢を取ってフェラチオをしかけた。
 はしたない格好に興奮を煽られてペニスを舐めまわしていると、智彦の両手がグイと秘唇を押し分けた。
 クレバスまであからさまになっている淫猥な眺めが脳裏をよぎり、そこに智彦の視線を感じて躯がふるえ、彩子は喘いで怒張を咥えた。
 智彦のほうは指を入れてきた。濡れそぼった膣を指で突き引きしながら、べつの指でクリトリスをこねまわす。顔を振って口腔で怒張をしごいている彩子は、すすり泣くような鼻声を洩らして淫らに腰をくねらさずにはいられない。
 そのとき彩子は息を呑んだ。あわてて怒張を口から出し、腰を振りたてていった。
「そこ、だめッ」
「先生もアナルは経験ないの?」
「あるはずないでしょ、そんな異常なこと」
 彩子は態勢を立て直した。そんな異常なことをこともなげにいう智彦に驚かされ、うろたえさせられていたが、それよりも目の前で屹立している肉棒を、泣きたいほどうずいている膣におさめたくてたまらなくなっていた。
「ね、こんどは先生が上になっていい?」
「いいよ、いろんな体位でやってみたいから」
 いちど女を経験したばかりだというのに余裕のようなものを漂わせている十五歳の少年に戸惑わされながら、彩子は腰をまたいだ。中腰のまま肉棒を手にすると、その先を膣口に当てがって、ゆっくりと腰を落としていく。
 ズリュ〜ッと、膣のなかを下から肉棒が突きあげてくる。完全に腰を落としきると、貫かれた感覚と同時に背筋をしびれるような快感が駆け抜け、それまでこらえていた息が喘ぎ声になってほとばしった。
 彩子は呼吸を整えて前屈姿勢を取り、競馬の騎手のような態勢のまま、股間を覗き込んで腰を上下させた。
「ああっ! 智彦クン、見える?」
「うん。すげえ。興奮しちゃうよ」
 智彦がうわずった声でいう。濡れた秘唇がそれ以上にヌラヌラと濡れ光っている肉棒を咥えて上下する淫らな眺めを見て、彩子もめまいがするほど興奮していた。興奮と快感が相まってそうしていられなくなり、ふたたび腰を落とすと智彦の両手を取って乳房に導き、前後左右に腰を振った。
「うっ、グリグリこすれる!」
 乳房を揉みたてている智彦が呻くようにいった。
「そう、智彦クンのペニスの先と、先生の子宮の入口が当たって、こすれてるのよ」
 彩子は腰をしゃくりあげるようにしてグラインドさせながら、息も絶え絶えにその状態を智彦に教えた。
 だが、文字どおり先生らしくしていられたのはそこまでだった。教え子の十五歳の少年の上で、欲求不満を囲ってきた三十歳の未亡人教師は狂ったように腰を振ってよがり泣きしはじめた。



第三章 女教師・媚びる


【1】
 彩子は早めに昼食をすませてシャワーを浴びていた。
 一夜明けても朝からずっと、昨日のセックスの余韻のようなものが頭や躯に残っていた。三枝智彦とのセックスが二年数カ月ぶりということになるのだから無理もなかったが、とりわけ躯がそうだった。朝起きるといままでにない軽やかさがあって、活力がみなぎっているように感じられた。
 そしていまも、いつになく肌に張りがあって、みずみずしさが増しているように見えた。そのうえ躯全体、ひどく過敏になっていて、ふだんでも感じやすい乳房や秘部はもちろんのこと、腰や内腿にシャワーを当てているだけでゾクゾクするような感覚に襲われた。
 もっとも、躯が過敏になっているのは、昨日のセックスの余韻のためばかりではなさそうだった。
 昨日、彩子は、智彦とのことはこれっきりにしよう、そうしなければいけないと思い、あらためて智彦を説得した。しかし、智彦は頑として聞き入れてくれなかった。それで仕方なく、週にいちど日曜日だけ部屋にくることを許したのだった。
 日曜日にしたのは、ウィークデーだと智彦が彩子の部屋にくる時間帯が夕方から夜にかかるうえに、翌日はおたがいに学校があり、土曜日の午後はときおりほかの生徒たちが遊びにくることがあって鉢合わせする恐れがあったからだった。
 ただ、日曜日にしても問題がないわけではなかった。教師と生徒とはいえ、独り暮らしの三十歳の未亡人の部屋に、十五歳の少年が一人で訪ねてくるのがマンションの住人の眼にとまれば、どんな噂をたてられるか目に見えている。そのことは智彦にもよく話し、くれぐれも人目には気をつけるようにいっておいたが安心はできなかった。
 それに彩子自身、罪の意識もなくそんなことをいったわけではなかった。それどころか、仕方なくとはいえこれからも智彦との関係をつづけていくことを認めたことで、ますます強い罪悪感に苛まれていた。
 それでいて、午後には智彦がくると思っただけで息苦しいほど胸がときめくのをどうすることもできない。躯が過敏になっているのはそのためで、そればかりか、シャワーを浴びているうちに火照ってきていた。
 彩子はバスタオルを巻いて浴室を出て、寝室に入った。
 下着が入っているチェストの抽斗を開けたとき、自分でも戸惑うような考えが頭に浮かんだ。と同時にその考えは彩子の胸を高鳴らせた。
 ブラとハイレグのフルサポート・ショーツ、それにガーターベルト。黒いシースルーの三点セットの下着と黒いストッキングを抽斗から取りだすと、バスタオルを取って身につけていった。
 黒い下着の色が罪の意識に苛まれている気持ちに合っていたし、ただブラとショーツだけというよりもより煽情的なスタイルのその下着のほうが淫行教師にふさわしい。それに女を知ったばかりの少年が、こんな下着姿を見てどんな反応を示すか……。
 そんな自虐的な思いと、挑発的な気持ちがないまぜになって、彩子の胸をときめかせていた。
 彩子は下着をつけて鏡の前に立った。
 悩ましいスタイルの黒い下着をつけた、色白な肌をしている躯がドキッとするほど艶めかしいうえに、三点セットの下着はまわりに縁取りがあってシースルーの部分に花柄の刺繍が施されているが、乳房も下腹部のヘアも完全に透けて見えている。
 生徒と肉体関係を持ったばかりか、その生徒をこんな下着をつけて迎えるなんて……彩子、あなた、いったい何を考えてるの? あなたがここまではしたないことをする女だったなんて信じられない。あなたにはもう教師の資格はないわ……。
 それはわかってるわ。でもほら、見てごらんなさいよ、この躯。こんなに悩ましいじゃないの。教師である前に、わたしは女なのよ。それもまだ三十歳になったばかりの女盛りなのよ。性欲があって当然だし、わたしもう耐えることに疲れたの。ううん、欲望に忠実になるって素晴らしいことかもしれないと思ってるわ……。
 鏡を見つめている彩子のなかで、二人の彩子が言い合った。だが、火照った躯に悩ましいスタイルの下着をつけて鏡を見つめている彩子にとって、前者の彩子の言い分はもはや心に響かなかった。後者の彩子のそれのほうが魅力的に聞こえた。
 化粧をすませ、ソニア・リキエルのブルーのベロアのセーターにセミミニのタイトスカートをつけた直後、チャイムが鳴った。彩子はドキドキしながら、部屋のドアを開けた。
 三枝智彦はチラッと廊下を見やって滑り込むように玄関に入ってきた。
「誰にも見られなかった?」
「うん、大丈夫だよ」
 息を弾ませていうなり智彦は彩子を抱き締め、キスをしてきた。
 一瞬制しようとした彩子だが、彩子も気持ちが昂っていた。抱きかえして唇を重ね、智彦が差し入れてきた舌に熱っぽく舌をからめていった。
 彩子は甘い鼻声を洩らして腰をもじつかせた。濃厚なキスをしているうちに早くも智彦の股間の前が硬く突きだしてきたからだった。
 智彦の手が彩子のヒップを撫でまわし、タイトスカートのなかに侵入してきた。その手がガーターベルトのストラップに触れたとたんに智彦が唇を離した。
「これって、もしかしてガーターベルトってやつ!?」
 驚きと興奮が入りまじったような顔つきで聞く智彦に、彩子は艶めかしい笑みを浮かべてうなずき、智彦の手を取って部屋のなかに誘った。
「すげえな、ガーターベルトなんて。俺、写真とかビデオで見てて、いいなァって思ってたんだ。早く見せてよ」
 智彦はソファにも坐らず、気負い込んでいった。
「いやァね。そんなこといわれても、わかった、なんていえるわけないでしょ」
 彩子は笑っていった。
「それより何か飲み物は?」
「そんなものいいよ。じゃあ俺が脱がしてあげるよ」
 いきなり智彦がセーターを引きあげた。彩子は嬌声をあげただけで拒まなかった。セーターが抜き取られ、持ちあがったセミロングの髪がふわりと落ちた。
「わッ、シースルーじゃん」
 黒いブラから透けた乳房に、智彦は眼を輝かせてうわずった声でいうと、すぐにスカートをおろしていく。
「あん、せっかちなんだからァ」
 彩子は腰をくねらせ、足もとに落とされたスカートのなかから交互に足を抜くと、両脚をよじり合わせた。下着姿を見ただけで興奮しきっているようすの智彦に、うれしさをおぼえると同時に彩子も刺戟されながら。
 
【2】
 彩子先生の下着姿に智彦は眼を見張り、思わず固唾を呑んだ。
 ポルノ雑誌やアダルトビデオなどで見る若い女たちのなかには、アイドルに負けない可愛い顔をして、躯もピチピチしてプロポーション抜群の女もいるけれど、彩子先生は女優の鈴木京香に似てる美人だし、躯だって大人の女って感じで、先生のほうがそんな若い女たちよりもずっと悩ましい。しかも黒いシースルーのブラとショーツ、それにガーターベルトとストッキングなんて超悩ましい下着をつけて、オッパイもアソコのヘアも透けて見えてるんだからたまらない。
 さっきからズボンの前を突きあげているペニスが勝手にヒクついた。
「いやだわ、そんなにジッと見ないで……」
 恥ずかしそうに笑って躯をくねらせる彩子先生を見て、智彦はようやく我れにかえり、手早く着ているものを脱ぎ捨てていった。前が露骨にテントを張ったブリーフだけになると、先生に抱きついた。
「たまんないな。興奮しちゃって、もうビンビンだよ」
「ああ、智彦ったら……」
 先生はうわずった声でいって悶えた。はじめて呼び捨てにされて、先生と特別な関係になったのだと思い、智彦はうれしくなっていった。
「先生、もっとよく見せてよ」
「何を?」
「この下着つけてるとこ、見たいんだ」
「まだいってる。好きにすれば……」
 彩子先生はゾクッとするほど色っぽい眼つきでに睨み、微笑した。智彦は笑いかえし、ゆっくりと先生のまわりをまわって見た。
 きれいにくびれているウエストからむっちりとして、だけど形よく盛りあがっているヒップ、すらりと伸びた長い脚。ガーターベルトでストッキングを吊り、ヒップを完全に包み込むタイプのハイレグ・ショーツを透かして尻の割れ目が見える後ろからの眺めも、たまらないほど悩ましい。
 智彦は後ろからブラのホックをはずした。あとは先生が自分でブラを取った。そのまま智彦は先生を抱き、そうしているだけでゾクゾクしてくる乳房を両手で揉んだ。
 先生は感じた喘ぎ声を洩らしてのけ反り、ヒップを智彦のペニスに押しつけてきて、くすぐるようにモジモジさせる。智彦は前にまわって先生の前にひざまずいた。
「そんな……」
 彩子先生は恥ずかしがって両手で下腹部を隠した。
「好きにしていいっていったじゃんか。ほら、見せてよ」
 智彦は無理やり両手をどけた。
「あ、だめ……」
 先生はよろけてサイドボードにもたれる格好になった。両手で顔を覆っている。智彦の前に先生の腰があった。ショーツで押さえられてモジャとしたヘアが透けて見え、ズキンと股間がうずいた。
 智彦がショーツをずりさげると、先生は喘いで腰をくねらせた。太腿をすり合わせているだけで拒んだりはしない。ショーツを足もとまでおろすと、先生が交互に足をあげて抜き取らせてくれた。
 そのほうが刺戟的なのでガーターベルトとストッキングだけはそのままにしておくことにした。
 彩子先生は両手で顔を覆ったままだ。だけど恥ずかしがっているだけではなさそうだった。かすかに息を弾ませて興奮している感じだ。
 見られて興奮しているとしたら、ひょっとしてマゾッ気があるのかも……。そう思うと智彦もますます興奮を煽られて、目の前のヘアを手で撫でた。
 彩子先生がハッとしたようすで腰を振った。
 先生のヘアはかなり濃いけれど、ボウボウという感じではない。きれいに逆三角形の形に生えて黒々として艶があり、見た目も触った感触もビロードみたいだ。智彦はそこに口をつけた。
「あんっ、だめ……」
 彩子先生は戸惑ったように腰を振った。だけどさっきと同じように拒んだりはしない。智彦はヘアの下に舌を強引に滑り込ませた。クレバスに触れた瞬間、腰がヒクッとして先生が喘ぎ声を洩らした。
 先生のそこはもうビチョとするほど濡れていた。そのまま智彦はクリトリスのあたりを舌で上下に弾いた。
 とたんに先生が泣くような喘ぎ声を洩らしはじめた。智彦がクンニをつづけながら見あげると、顔から離した両手でサイドボートの縁をつかみ、悩ましい表情を浮かべて繰りかえしのけ反っている。そのたびに形よく突きだした乳房が生々しく揺れている。
「ああ、智彦……ああン、いいッ」
 彩子先生が片手で智彦の頭を抱え、自分から脚を開いて腰を揺する。智彦にとってはクンニをつづけているのが苦しい態勢だった。それに先生のそこを見たい。
 先生の股間から顔を離すと片手で唇に似た肉ビラを押し分けて、ジットリと濡れたピンク色のクレバスの上端でふくれあがっているクリトリスを、一方の指先でまァ〜るくこねてみた。
 昨日、彩子先生に見せてもらうまで、智彦は女性器を見たことがなかった。それでもどんなものか、およその想像はついていた。ただ、美人の野々宮彩子先生にかぎっていえば、ヘアがあってその下にきれいな唇を縦にしたようなワレメがあって……と、特別に美化していたせいもあったかもしれない。想像していたものと実際は大きくちがっていた。実際は煉瓦色を薄くしたような色の肉ビラが合わさって、そのまわりにもまばらに口髭のようなヘアが生えていて、ひどく生々しくていやらしいものだった。
 といってもそれでがっかりさせられたわけではない。それどころか逆に美人の彩子先生でもアソコはいやらしい形状をしているのだと思うと、智彦はますます興奮させられたのだった。
 智彦は夢中になってクリトリスをこねまわしながら、そこと先生の反応を見ていた。先生はまたきれぎれに泣くような喘ぎ声を洩らして、たまらなさそうに腰を振っている。
 智彦は指先を下方に移した。赤貝に似た部分をまさぐって、指を挿入した。ヌル〜ッと、熱いぬかるみのなかに指が没した。
「うう〜ん、だめェ〜!」
 先生は艶めかしい声を放って焦れるように腰をくねらせた。
「ああン、そんなことしたら、立ってられない……」
 腰をひねってしゃがみ込む。反対に智彦が立ちあがって先生の前に怒張を突きつけた。それを見て先生は興奮しきった顔つきで喘ぎ、怒張に両手を添えて舌をからめてきた。眼をつむり、うっとりとした表情を浮かべて、ねっとりと舐めまわす。
 なにしろ昨日は初体験だったので無我夢中だったが、今日の智彦は余裕をもって先生を見おろしていることができた。それでもクラスのみんなが憧れている彩子先生がガーターベルトとストッキングだけという悩ましい格好で自分の前にひざまずき、うっとりとした表情でペニスを咥えて顔を振っているのを見ていると興奮を煽られて、早く先生のアソコのなかにペニスを入れたくなってしまった。
 智彦は腰を引き、先生を立たせた。さっきからガーターベルトとストッキングをつけている先生とファックするのにふさわしい刺戟的な体位を考えていて、先生をサイドボードのほうに向かせた。
「このまま立ってしようよ。ほら腰を突きだして」
「そんな、だめよ」
 ベッドにいくと思っていたらしい彩子先生は戸惑ったようだった。だけど、智彦がヒップにペニスを押しつけて両手で乳房を揉んでいると感じた喘ぎ声を洩らして躯をくねらせながら、サイドボードにつかまって腰を突きだした。
「ああん、恥ずかしいわ。こんな格好……」
 うわずった声でそういいながらも先生は興奮しているようだった。
 すこぶる刺戟的な眺めを前にして智彦も興奮していた。先生が半歩ほど足を開いてグッと大胆に尻を突きだしているため、黒いガーターベルトをつけているところがひどくエロティックな白いヒップがハートを逆さにした形にいやらしいほど強調されて、しかもその割れ目からもっといやらしい眺めがのぞいているのだ。蕾に似た褐色のアナルと、その下にアソコがぷっくりと迫りだして、ジットリと濡れた、まばらな縮れ毛に縁取られた薄い茶褐色の肉ビラも。
 智彦は怒張を手にして亀頭でクレバスをまさぐった。
 ヌルヌルした感触と同時にクチュクチュと濡れた音がして、彩子先生が喘いで腰をくねらせる。
 入口を探り当てて智彦は押し入った。ヌル〜ッと、ゾクゾクするほど気持ちいい感触といっしょにペニスが侵入して、先生が呻くみたいな声を洩らしてのけ反った。
「ああっ、先生のオマ×コ、すげえ気持ちいいよ。締めつけてきてる」
 快感のあまり、思わず智彦は露骨な言い方をした。
「そんな、そんないやらしい言い方、いや」
 彩子先生はうわずった声でいって躯をくねらせた。
 一瞬智彦は、いやがられたかなと思ったけれど、そうでもなさそうだった。先生の声は、本気でいやがっているというよりも興奮している感じだった。
 もしかして彩子先生、マジにマゾッ気があって、ポルノ小説なんかによく出てくる、いやらしいことをいわれて興奮するタイプなのかも……。
 ふとそんなことを思った智彦だが、先生の蜜壷の、ただ締めつけるだけでなく、締めつけて咥え込んでいくような蠢きがたまらなくなって、両手でヒップをつかみ、ドッキングした部分を見ながらピストン運動をしかけた。
「ああ、智彦、いいっ」
 すぐに彩子先生は快感を訴えた。智彦のほうは、ペニスが先生のアソコでこすられてくすぐられるような快感に襲われると同時に、秘唇の間にズッポリとおさまったペニスがヌラヌラと濡れ光って出入りしているいやらしい眺めを見て、頭がカーッとするほど興奮を煽られていた。
 彩子先生が洩らす喘ぎ声が泣き声のようになってきた。智彦が激しく突きたてているからだった。
「ああん、もう……もうたまらなくなりそうよ」
 そういうときれぎれの泣き声をあげはじめた。
 先生がよがり泣くのを聞いて智彦もたまらなくなってきた。
「俺もだよ。もう発射しちゃっていい?」
「いいわ。ああっ、いっしょに……ね、智彦、イッて!」
 彩子先生が息も絶え絶えにいう。
 智彦は無茶苦茶に突きたてた。先生が泣きじゃくる。ズンと智彦は先生のそこを抉るように突き入った。
「イクッ!」
「ああ、イクッ……イクイク〜ッ!」
 先生の絶頂の声と同時に智彦も呻いて射精した。下半身がとろけていくような快感といっしょに先生の蜜壷の奥深く、ビュッ、ビュッと勢いよく、スペルマを発射した。
 
【3】
 彩子は全裸の躯をベッドに仰向けに横たえ、両手を脇におろして眼をつむっていた。
 智彦を迎えてすぐにリビングで立ったまま、しかも智彦に求められるままに後背位という刺戟的な体位でセックスしたため、そのあとで二人でシャワーを浴びてからも彩子のなかにはまだその興奮がくすぶっていた。
 そんな状態で智彦からヌードを見たいと懇願されて、裸身を投げだしている。仕方なくというよりも彩子自身、見られることだけでなく、見せつけることにも刺戟を感じて。
 事実、そうやって智彦の視線を感じていると、全身を舐めまわされたり撫でまわされたりしているような刺戟を受けて呼吸が乱れ、躯がうねってしまうのをどうすることもできなかった。
 彩子は薄目を開けて見た。
 仰向けに寝ていても形よく盛りあがっている乳房が大きく喘いでいる。智彦は彩子の下腹部を凝視していた。その食い入るような視線を感じて、ぴったりと閉じ合わせている内腿がジーンと甘くうずくように火照り、さっきから早くも蜜をあふれさせている膣がゾクッとざわめいて、思わず彩子は喘いで太腿をすり合わせた。
「ね、もういいでしょ?」
「そんなことないよ、ずっと見てたいよ」
 智彦は笑って彩子の下腹部に手を這わせた。
「ここ、土手っていうんだよね。女の子の水着とかパンティ穿いてる写真とか見てたらいろいろみたいだけど、先生の土手って、すげえモッコリしてるんだね」
「そんな……」
 興味津々の顔つきになっていいながら、ヘアといっしょに恥丘を撫でまわす智彦に、彩子は戸惑わされると同時に、恥ずかしさをかきたてられて身悶えた。
 実際、彩子のそこはグッと盛りあがっていて、そうやって仰向けに寝ているといっそうそれが強調されている。
 そのとき、智彦が彩子の両脚をひろげてその間に坐った。されるがままになって、つぎなる行為を期待して彩子が胸をときめかせていると、いきなり智彦の両手がクレバスを押しひろげた。
 ヌチャという感じでそこを開かれた瞬間、彩子は喘いで腰をうねらせた。
「すげえ。もうビチョビチョだよ」
「ああん、だってェ、智彦のせいよ。智彦がいやらしい眼で見るからよ」
「でも先生、感じちゃったんだ。もしかしてマゾッ気があるんじゃない?」
「そんな……」
 彩子は絶句した。智彦がセックスに関する知識は豊富だということはわかっていたが、そんなことまで知っていることに驚かされると同時に戸惑わされ、そのうえうろたえてもいた。
 というのもテレクラでテレフォンセックスをした男にそういわれて以来、彩子自身、自分でもそういうところがあるかもしれないと思うようになっていたのを、十五歳の少年にズバリと指摘されたからだった。
「だって、いまだってほら、アソコの入口がピクピクして、ラブジュースをジュクジュク出してるよ」
 両手でクレバスを押しひろげて凝視したまま、智彦がいった。彩子を辱しめたり揶揄したりする口調ではなかった。驚き興奮している感じだった。
 智彦の視線を感じて秘苑がどんな反応を示しているか、彩子にもわかっていた。智彦のいうとおりだった。彩子はたまらず腰を振って催促し、その言葉を口に出した。
「ああ智彦、先生のそこ、智彦の口で愛して」
 智彦は素直にクレバスに舌を這わせてきた。クリトリスをとらえて舐めまわす。
 彩子は快感の声を洩らしてのけ反りながら、まるで教壇に立って生徒に授業しているように、どういうクンニリングスのされ方をするとより感じるか、智彦に教えた。すると智彦はいわれたとおり、クリトリスをくすぐるように繊細に舐めまわしたり、強く吸引して舌でこねまわしたり、左右に弾いたりする。
 メリハリをつけた刺戟に彩子はたちまち絶頂に追いあげられて弓なりにのけ反り、泣きながら絶頂を訴えて腰を振りたてた。
「こんどは先生が智彦を気持ちよくしてあげる」
 彩子は息を弾ませながら起きあがった。智彦の股間に顔を埋めていこうとすると、それを智彦は制した。
「その前に、クリームとかオイルみたいなものないかな」
 妙なことをいう。
「そんなものどうするの?」
「ふふ、ヒ・ミ・ツ……」
 智彦は笑っていった。
「そんなこといって、どうせエッチなこと考えてるんでしょ?」
 彩子はかるく睨んで笑いかえすとベッドからおり、ドレッサーの抽斗からベビーオイルが入った容器を取りだして持ってきた。
「これでいいの?」
「うん。じゃあ先生、うつ伏せに寝てよ」
 いわれるまま彩子はうつ伏せになった。
 オイルマッサージのような愛撫をされるのではないかと思っていると、智彦は彩子の両脚をひろげてその間に坐った。その直後、ヌルッとした指先が予想もしなかった部分に触れてきた。
「あっ、だめ。そこ、だめよ」
 彩子はうろたえて腰を振った。智彦の指先がアナルをマッサージするように揉んでいるのだ。
「俺、いちど女のアナルをこうしてみたかったんだ。先生も経験ないっていってたから、ちょうどいいだろ? けっこう感じるみたいだよ」
「そんな、そんなとこいけないわ。智彦、やめてっ」
 恥ずかしさと同時にくすぐったいような、それでいて躯の芯を揉みほぐされて狂おしさをかきたてられるような感覚に襲われて、彩子はうわずった声でいって身悶えた。だが拒もうとして腰を振っているつもりが、なよなよとした動きにしかならない。全身から力が抜けて、こらえようもなく息が弾む。
「ほら、先生、感じるだろ?」
「ううん、だめェ〜……ヘンになっちゃうから、だめェ〜」
 艶めかしい声になって躯をくねらさずにはいられない。ヒップが勝手にいやらしい動きを呈してしまう。
 思わず彩子は息を詰め、躯を硬くした。ヌル〜ッと、智彦の指がアナルに侵入してきたのだ。
 痛みはなかった。それよりも恥ずかしい部分を犯された気持ちのほうが強く、しかも指一本で躯を串刺しにされているような、いままで経験したことがない感覚に襲われて頭がクラッとした。
「はァ〜ん、だめェ〜」
 詰めていた息が昂った艶めかしい声になった。
「すげえよ先生、指を食いちぎられちゃいそうだよ」
 智彦が興奮した声でいって、指先をこねまわすように蠢かす。
「ああん、そんな……智彦、だめっ。ホントにヘンになっちゃうからだめっ」
 彩子は息せききっていいながら悶えた。どうしようもない狂おしさに見舞われて息が弾み、身悶えずにはいられない。クンニリングスなどとはちがった、気持ちも躯もおかしくなりそうな性感に襲われて、戸惑いながらも異常な興奮につつまれていた。
「先生、ヒップを持ちあげて」
 そういって智彦が指を抜き挿ししはじめた。
 そんな恥ずかしい格好……と思いながらも彩子はそれを拒むことができない。そればかりか恥ずかしい格好になることに興奮をかきたてられながら、上体を突っ伏した状態のまま、ヒップだけ高く持ちあげた。
「たまんないなァ。超刺戟的だよ」
 興奮しきっているようすで智彦が指を抜き挿しする。
「うう〜ん、いいっ……ああ〜ん、もう気が狂っちゃいそう……」
 たまらず彩子はうわごとのように快感を訴えながら、猥りがわしく腰を蠢かした。事実、気が狂いそうになるほどの異常な性感に翻弄されていると、智彦が冷水を浴びせるようなことをいった。
「先生、ペニス、アナルに入れてもいい?」
 そういったのだ。彩子はうろたえていった。
「そんな……だめよ。入れるなら前にして」
「どうして? こんなに感じてるのに、アナルでしてみたくないの?」
 彩子はくねくねと腰を振りたてた。正直をいえば、うろたえながらもアナルをペニスで貫かれて突きたてられたいという衝動にかられていた。それほどたまらなくなっていたが、わずかに残っていた理性が、生徒を相手にそこまで異常な行為をしてはいけないと衝動を押し止めていた。
 だがこのままアナルを責めつづけられていれば、理性も雲散霧消してしまいそうだった。彩子は身をくねらせて智彦の指から逃れ、仰向けに寝るとたまならなさを訴えた。
「ああ、智彦、おねがい、前に入れて。ね、もう入れて」
「しようがないなァ……」
 発情した顔つきで淫らに腰を振って催促する彩子に、十五歳の少年も挑発されて我慢しきれなくなったらしく、苦笑いすると彩子の両脚の間に腰を入れて、腹を叩かんばかりになっているペニスを突き入れてきた。
 
【4】
 月曜日の朝のホームルームの時間、彩子先生はいつものように白いブラウスに濃紺のタイトスカートという格好で教壇に立った。
 生徒たちを前にして話しはじめた先生は、たぶん意識的にそうしているのだろう。智彦と眼を合わさないようにしていた。
 そんな先生を、クラスの男子生徒たちはまぶしそうに見ている。
 先週の土曜日までは智彦もそうだった。クラスメートたちと同じように先生を見て、ブラウスをこんもりと盛りあげている乳房やヒップラインが悩ましいスカートのなかや、そればかりか裸まで想像したりして、朝っぱらから股間をムズムズさせていた。
 だけど、いまはちがう。俺はみんなが想像している彩子先生のすべてを知っているのだ。知っているだけじゃない。先生を俺のものにしたんだ。みんなはそんなことは知らない。もちろん先生とのことをみんなに話す気なんてないけど、かりに話してもたぶん誰も信じないだろう……。
 そう思うと智彦はうれしさが込みあげてきて、クラスのみんなに対して優越感をおぼえた。
 とりわけ本間雅樹に対してそうだった。というのもこれまでクラスのなかで女を経験しているのは本間一人だけで、智彦を含めてまだ童貞のみんなはいつも、本間が自慢気に話してくれる女やセックスの話を興味津々、固唾を呑んで聞いていたからだ。
 本間の女の経験は半端ではなかった。初体験は中学一年生のときで、相手は人妻だといっていたし、それから何人もの女を経験したと豪語していた。しかも同じ年頃の女はまだセックスのよさがわかっていないから、やっててもただギャーギャーいうだけでちっともおもしろくない。やるなら熟女にかぎるなどとうそぶいていた。
 その本間がいつか彩子先生のことをいったことがある。
「彩子先生は美人でスタイルもいいけど、絶対アッチのほうもいいぜ。なにしろ結婚してて、セックスのよさはもう充分わかってるからな。年齢的にもやりたくて仕方なくなる頃だし、毎晩のようにダンナを求めていたはずだよ。だけどダンナが死んで未亡人になっちゃって、それから二年ちょっと経ってる。当然、欲求不満でウズウズしちゃって毎晩オナッてるはずだ。俺の経験でいったら、こういう女は最高なんだ。いっぺんチ×ポをブチ込んでやればメロメロになって、あとはこっちのいいなりになるから、調教して奴隷にすることなんか簡単なんだよ」
 本間雅樹にはSMのサド趣味があって、これまでも年上の女をマゾに調教して奴隷にしたこともあるといっていた。
 そのとき智彦は、本間がそんなことをいうのを聞いて、彩子先生にかぎってそんなことがあるもんか、あるはずがない、と憤慨したものだった。
 だけど、調教して奴隷にすることは簡単かどうかはべつにして、本間がいっていたことはかなりの線で当たっていたと、智彦も認めざるを得ない。
 彩子先生がまさかと思うような痴漢プレイをしていたのも、欲求不満でたまらなくなっていたからだろうし、第一、セックスしているときの感じにしたってそうだ。
 そう思って昨日の彩子先生との行為を思いだしていると、ズボンの前がムクムクふくらんできて、智彦はあわてて両手で押さえた。
「何か質問は?」
 彩子先生が生徒たちを見まわして聞いた。智彦は終始上の空だったので先生が何を話していたのか、まったくわからなかった。
 そのとき「はい!」といって一人の生徒が手をあげた。本間雅樹だった。
「本間クン、何?」
「彩子先生、今日はまた一段とおきれいですけど、何か特別にいいことでもあったんですか?」
 本間がおどけていい、彩子先生がポッと顔を赤くして、生徒たちからドッと笑いが起こった。ただ智彦一人がうろたえて先生を見、そのあと本間雅樹を睨みつけただけだった。
 
 その日の深夜、智彦は家族が寝静まるのを待ってコードレスフォンを自分の部屋に持ち込み、彩子先生に電話をかけた。すぐに先生が出た。
「どうしたの? こんなに遅く」
「今朝のホームルームのときのことなんだけど……」
「ああ、本間クンのこと?」
「うん。本間の奴、ムカついちゃったよ」
「あの子、クラスのなかでは一番早熟みたいだから……先生も冗談いってうまく切りかえせばよかったんだけど、突然あんなこといわれたのでドギマギしちゃったわ」
「先生、もう平気?」
「平気って?」
「本間にあんなこといわれたの、気にしてない?」
「そのことだったら、もう気にしてないわ。だけど智彦が先生のところに来るときは、くれぐれも気をつけて。わたしたちのこと誰かにわかったら、先生だけならまだしも、智彦だって大変なことになるんだから。もしもそんなことになったら、先生どうしていいか、智彦のご両親にも申しわけないではすまないし、責任の取り方もないし……考えただけで怖くなるのよ」
「大丈夫だよ、気をつけるから。それよりも先生、本間には気をつけたほうがいいよ」
「どうして?」
 一瞬、本間のことをみんな彩子先生にバラしてやろうかと智彦は思った。だけど、そんなことをすれば、自分よりも本間のほうが女の経験が豊富だといっているようなものだ。それに彩子先生も、本間をそんな眼で見るようになるかも……。そう思うと対抗意識と嫉妬心が生まれてバラすのはやめた。
「あいつ、変わってるからだよ」
 智彦はそういって、ごまかした。
「変わってる?……そうね、高校生とは思えないほどマセてて、少し屈折してるとこもあるみたいだし……」
 彩子先生の言葉を聞いて智彦はまた嫉妬し、話の矛先を変えた。
「先生、いまどうしてたの?」
「え? ベッドに入って本を読んでたところよ」
「どんな格好で?」
「パジャマ着て、上だけだけど」
「じゃあ下はパンティだけなんだ?」
「だめよ、エッチなこと想像しちゃ」
 彩子先生は笑っていった。艶めかしい声だった。
「想像しちゃうよ。ね、パンティの色とか形とかは?」
「色はベージュっていうか、肌色。形はフルサポートタイプのハイレグ……で、シースルーよ」
「じゃあちょっと見た感じ、ノーパンみたいじゃん」
 智彦は興奮していった。パジャマの上だけを着て、パンストをハイレグカットにしたみたいなパンティを穿いている彩子先生の姿を想像しただけでエレクトしてきた。
「たまんないなァ。俺、勃ってきちゃったよ。これから先生の部屋いっていい?」
「そんなこと、だめよ。先生との約束忘れたの? それにさっきいったばかりでしょ。おたがいに気をつけようって。さ、もうお休みなさい」
「だってビンビンになってんだよォ。このままじゃ眠れないよ」
「いけない子ね。だったら自分で処理なさい。いままでそうしてたんでしょ?」
 彩子先生は母親のような口調でいった。
 そのとおりだけど智彦はもう童貞ではない。オナニーなんてやってられない、というよりもったいない。でもこのままでは我慢できない。そう思ったとき、刺戟的なことが頭に閃いた。
「そうだ、いいことがある。テレフォンセックスしようよ」
「そんな……」
「彩子先生だって、いままでエッチしたくなったとき、オナニーしてたんだろ?」
「いやだわ、智彦ったら……」
「ね、先生のオナる声、聞かせてよ」
「いやよ、そんな恥ずかしいこと」
「じゃあ俺、これから先生のとこいっちゃうよ」
「ひどいわ、先生を脅迫する気?」
「そんなんじゃないよ。俺もう我慢できなくて、先生がオナる声聞きながらマスかきたいんだよ」
「しようがない子ね」
 彩子先生はつぶやくようにいった。
 沈黙があって、その間に智彦が胸をときめかせながらティッシュを用意してエレクトしているペニスを取りだしたとき、受話器から悩ましい声が洩れてきた。
「ああッ……はんッ……あはんッ……」
 彩子先生のせつなげな声を聞いて、智彦の怒張がヒクついた。
「先生、どうしてるの?」
「指で、愛撫してるの、クリトリスを」
 うわずった声で先生がいう。智彦も怒張を手でしごきながら、聞いた。
「パンティを脱いで?」
「そう。智彦はどうしてるの?」
「俺もビンビンになってるペニスをしごいてるよ。先生のオマ×コ、どうなってる?」
「ああ、濡れてるわ」
「クリちゃんは?」
「智彦のペニスといっしょよ」
「じゃあ、オマ×コグショ濡れで、クリちゃんもビンビンなんだ?」
「そうよ。智彦がいけないのよ、こんなことさせるから」
「でも気持ちよくてたまんなくなってんだろ?」
「だって、仕方ないでしょ。ああン、たまんない……」
 彩子先生がオナニーしているところを想像しながらそうやって話している間も、悩ましい息遣いが聞こえてきて、智彦は興奮を煽られていた。
「俺もたまんないよ。ギンギンになってるペニスを先生のオマ×コに入れたいよ」
「先生も……智彦の、ほしい」
「よし、じゃあ入れるよ。ほら、指を俺のペニスだと想って入れなよ」
「あんっ……い、入れたわ」
「動くよ。ほら、ズコズコして」
「ああ、いいっ! いいン」
 アソコに指を入れて抜き挿ししているのだろう。興奮した先生の声はすぐにきれぎれの泣くような喘ぎ声になってきた。その声を聞いているとセックスしているときの先生の顔が脳裏に浮かび、アソコの感触がペニスに生々しくよみがえってきて、智彦の股間にしびれるような快感が押し寄せてきた。
「先生、俺、もう我慢できないよ。イッちゃいそう。先生もイッてよ」
「ああ、智彦、先生イクわ。智彦もイッて」
 智彦は怒張をしごきたてた。
 快感の堰が切れる瞬間、発射を伝えると彩子先生も泣き声で絶頂を訴え、その声を聞くと同時にドピュン、ドピュンと快感液がほとばしった。
 
【5】
 つぎに彩子先生の部屋にいくまで、とても智彦は待てそうもなかった。
 なにしろ毎日先生と顔を合わせているのだから、美味しいものを目の前に置かれてお預けを食らっているみたいなものだった。
 たまりかねて昨日の水曜日の夜、明日の夕方部屋にいきたいと電話で先生に訴えたのだけれど、土曜日がちょうど亡くなった夫の三回忌とかで、それが終わるまでは会えないといわれてしまった。
 だけど智彦はもう我慢できなかった。木曜日の英語の時間のあと、クラスのみんなには質問でもしているようなフリをして彩子先生に、「ちょっと話があるので……」といって、放課後を待って図書室の裏にいった。
 そこは、Y高校を囲む塀と図書室が入っている建物との間にできた、人一人がやっと通れるほどの隙間のような場所だった。めったなことでは人などこないうえに閲覧室は反対側にあって、まず人目につく心配はない。
 といっても、放課後ここで待っていると伝えただけで、彩子先生の返事を聞いているわけではなかった。聞けば断られるに決まっていると思い、そのとき困惑した表情を浮かべた先生のそばをすぐに離れて、わざと聞かなかったのだ。
 果して先生はくるだろうか……。
 智彦が胸をときめかせて待っていると、そのとき建物の角からそっと、彩子先生の顔がのぞいた。人目を気にしているらしく、先生は後ろを振りかえって智彦のほうにやってきた。
「こんなところを誰かに見られたらどうするの?」
 それを恐れて緊張しているらしく、彩子先生はちょっと怖いような顔をして声をひそめていった。
「話って何?」
「昨日もいったろ? 日曜日まで待てなかったんだ」
 いうなり智彦は先生を抱き締めた。
「そんな、智彦、やめてっ」
 先生は身悶え、激しく顔を振ってキスしようとする智彦を拒んだ。
 智彦はキスをあきらめ、片手で先生の腰を抱き寄せておいて、一方の手をいきなりタイトスカートのなかに入れた。
「だめよ。いけないわ、こんなところで……」
 先生は小声で息せききっていいながら腰を振りたてる。
 が、智彦の手は強引にパンストをずりさげてパンティのなかに侵入し、ヒップの割れ目の奥に潜む秘苑をとらえていた。
 驚いたことに先生のそこはもうジトッと濡れていた。
「先生だってこんなになってるじゃないか」
 ヌルヌルした感触のクレバスを、智彦は指でこすりたてた。
「ああ、だめっ、だめ……」
 急に先生の躯から力が抜けた感じになって、両手で智彦の肩につかまってたまらなさそうに、それにいやらしく腰を律動させる。
「そうか。先生、俺がこんなことするんじゃないかって予想してて、ここに来る前から濡れてたんだ。そうだろ?」
「やめて! あ、だめ!」
 先生はうろたえたようすで腰をもじつかせ、両手で股間を押さえた。智彦がいったことが当たっていたらしいのと、そういいながら智彦がヒップの側から下着のなかに入れていた手をグルリと前にまわして股間に滑り込ませたからだ。
「そんなことしてるより、早く終わらせたほうがいいと思うけどな」
 智彦がクリトリスのあたりを指でこねながら笑っていうと、悩ましい表情を浮かべていた彩子先生がハッとしたような表情を見せた。そして、顔をそむけると股間から両手を離した。
 智彦は先生の前にひざまずき、両手でタイトスカートを腰の上まで押しあげた。
 先生は太腿をすり合わせるようにして腰をくねらせた。
 肌色のパンストの下に白いハイレグのショーツが透けた、むっちりとした腰が、むうっとするような熟女の官能味を漂わせて智彦の欲情をかきたてた。両手でパンストをショーツごとずりさげた。
「だめ……」
 先生がふるえをおびたような声を洩らした。露わになったビロードみたいなヘアに智彦がしゃぶりつき、クレバスに舌を割り込ませたからだ。
 智彦は責めたてるようにクリトリスを舐めまわした。先生が両手で智彦の頭を抱え、きれぎれに抑えた泣き声を洩らして腰を揺する。
 ほとんど人目につく心配はないといっても学校のなかだ。早く終わらせようという気持ちと、この場所が逆に刺戟になって興奮を煽られたのかもしれない。彩子先生はあっというまに絶頂に達し、「イクッ!」といって腰を揺さぶった。そして、智彦が立ちあがるのと交替に前にしゃがみ込み、興奮しきった顔つきで息を弾ませながら、智彦のズボンのチャックをおろしてブリーフのなかから怒張を取りだすといきなり咥え、しごきたてるように顔を振りだした。
 智彦のほうはそれほど早く終わらせたいとも思っていなかったが、学校のなかでフェラチオしている彩子先生を見て興奮を煽られ、たちまち我慢できなくなった。腰を引き、先生を立たせると片方の脚からパンストとショーツを抜いてその脚を抱えあげ、怒張を手にしてクレバスをまさぐった。
「こんなとこで、誰かに見られたら……ああ、早く……」
 怯えたようにいいながら、彩子先生がペニスに手を添えて入口に導いてくれて、怒張がヌル〜ッと突き入った。
「ああああ、智彦……早く、早く終わらせてっ」
 そういって先生のほうから腰を揺する。
 智彦は夢中になって突きたてた。
 先生がきれぎれの泣き声を洩らす。この前のテレフォンセックスのときよりもずっとゾクゾクする声と、ペニスがとろけてしまいそうな快感がある蜜壷の摩擦感に、智彦はすぐにも我慢できなくなりそうだった。



第四章 女教師・羞じる


【1】
 住職の読経が流れるなか、彩子は胸のなかで夫に詫びていた。
 亡夫への愛の証として、三回忌がすむまでは……と心に決めていたにもかかわらず、こともあろうに教え子と男女の関係に陥り、そのうえ、せめてこの一週間は身を慎もう、慎まなければならないと思っていたというのに、あろうことか校内で淫行にふけってしまった。
 だが、詫び言がいつのまにか、夫さえ生きていてくれたら、こんなことにはならなかったのに……という恨みがましさに変わっていた。
 法要をすませて寺からもどってきた彩子は、マンションの廊下で一瞬、足を止めた。
 部屋の前に若い男が立っていた。智彦かと思ったが、そうではなかった。彩子に気づいて振り向いた若者は、私服に着替えた本間雅樹だった。
「本間クン、どうしたの?」
「葬式だったの?」
「今日は主人の三回忌だったのよ」
 彩子は洋装の喪服を着ていた。
「へえ、そうだったの。先生に相談したいことがあって、ずっと待ってたんだ」
「相談て、どんなこと?」
「それが……ちょっとばかし込み入ったことなんだ」
 本間は口ごもりながらいって、ちらっと上目遣いに彩子を見た。
 彩子は一瞬、逡巡した。本間は高校一年生とは思えない立派な体格をしていて、どことなくオットセイに似た顔立ちをしている。クラスで一番早熟な生徒で、ときおり彩子をドギマギさせるようなことも平気で口にする。それに智彦も、変わったところがある、といっていた。生徒とはいっても智彦以上にすでに一人前の男という感じの本間を一人部屋に入れていいものかどうか。
 でもまさか、智彦のようなことはないだろう。そう思い、マンションの玄関のレターボックスから取りだしてきていた清めの塩を躯に振りかけると、本間を部屋に入れた。
 本間をソファに坐らせておいてコーヒーを入れ、喪服姿のまま本間と向き合って椅子に腰かけた。本間を待たせて着替えることもできなかったからだった。
「で、相談ていうのは?」
 聞くと、本間はコーヒーカップをソーサーにもどしてニヤリと笑い、
「俺、すごいとこ見ちゃったんだよ、先生と三枝の……」
 突然、思いがけないことをいった。
 彩子は智彦のとき以上のショックを受けた。あんなところを他人に、それも生徒に見られたと思うと、卒倒してしまいそうな羞恥と狼狽に見舞われて、カーッと頭のなかといっしょに顔が熱くなり、それでいて顔から血の気が引くのがわかった。
「まさか先生と三枝が関係があったなんて、驚いちゃったよ。しかも図書室の裏なんかでクンニやフェラし合って、ズコズコやっちゃうんだもの。俺、彩子先生見てて洩らしそうになっちゃったよ」
「やめてっ!」
 彩子は悲鳴のような声をあげた。だが顔をあげることもできない。うつ向いたまま、つづいていうべき言葉もなく、狼狽のあまり吐き気に襲われていた。
「でも三枝って童貞だったはずだから、三枝が彩子先生をやっちゃうなんて考えられないもんな」
 本間が独り言のようにつぶやいた。
「最初は先生のほうが三枝を誘惑して初体験させてやったんだろ? 彩子先生がそんなことをするなんて、ちょっと信じられなかったけど、でも俺、先生の気持ちわかるよ。熟女の未亡人だもん、欲求不満でウズウズしてたんだろ?」
「やめてっ!……何がいいたいの!?」
 彩子はいたたまれなさにかぶりを振って悲痛な声でいった。
「そんなこといわなくったって、物分かりのいい彩子先生ならわかってるはずだけどな」
 本間はふてぶてしい口調でいった。
「わたしを脅迫する気なの!?」
「脅迫なんて人聞きのわるいことはいわないでよ。三枝と同じように先生と愉しみたいだけなんだ。ただし俺は童貞じゃないけどね」
 笑いを含んだような声でいって、本間がテーブルの上にスポーツバッグを置いた。バッグを開ける。
 中身を見て彩子は息を呑んだ。ロープの束のなかに、実物を見るのははじめてだが一目でそれとわかった、ペニスの形をした黒いバイブレーターがあったからだ。うろたえると同時に、本間のことを「変わったところがある」といった智彦の言葉が彩子の脳裏をよぎった。
「俺、SM趣味があるんだ。彩子先生そういう経験は?」
「あるわけないでしょ。そんなもの早くしまって!」
 彩子は顔をそむけ、狼狽しきっていった。
「何いってんだよ。これ、彩子先生と愉しもうと思って持ってきたんだよ」
 本間が立ちあがった。ロープの束を解いて手にしているのを見て、彩子も弾かれたように立ちあがった。
 だが、もはや拒めないことはわかっていた。拒めば本間は智彦との関係を言いふらすと脅すに決まっている。脅しですめばいいがすまなかったときは智彦まで学校にいられなくなる。そんな最悪の事態になることだけは絶対に避けなければならない。彩子はかぶりを振って懇願した。
「本間クン、やめて。先生、あなたのいうとおりにするから、そんなアブノーマルなことはしないで」
「ふふ、俺、そういう女の顔見たらゾクゾクしちゃうんだ。彩子先生は美人だから、ますますたまんないよ。ほら、両手を後ろにまわして」
「いや……」
 そういいながらも彩子は逆らえない。本間に両手を背中で交差させられると、されるがままになって手首を縛られ、胸にもロープをまわされて緊縛された。
 かっちりと緊縛された瞬間、彩子はうろたえた。惨めな気持ちが込みあげてくるのと同時にゾクッと、おぞましさとは異なったざわめきに襲われたからだった。
「先生、はじめて縛られた気分はどう?」
 彩子を後ろから抱いた本間が笑って顔を覗き込む。「いや」と、彩子は反対側に顔をそむけた。
「けっこう刺戟的だろ? そういう顔してるよ。それだし喪服を着てる先生もいいな。マジに未亡人って感じでたまんないよ」
 本間が耳もとで囁くようにいって、かぶりを振っている彩子の、上下のロープで挟みだされている胸のふくらみを喪服の上から揉みしだく。
「やめて……」
 彩子はのけ反ってうわずった声を洩らした。そして、正面を見たとたんに、あわてて顔をそむけた。本間は彩子を等身大の鏡と向き合わせて見ているのだった。
 夫の命日にこんなことになるなんて……。
 そう思うと運命を呪わずにはいられない。たまらない気持ちになって、乳房に生じるうずきをやり過ごそうとして身悶えていると、本間の唇がうなじに這ってきた。彩子は喘いで首をすくめた。
 すると、本間の手が喪服のタイトスカートのなかに侵入してきた。
「だめっ!」
 彩子はうろたえて身悶えた。スカートのなかをまさぐる手のせいだけではなかった。
「えっ、彩子先生、ガーターベルトなんてつけてんの!?」
 案の定、本間が驚きの声をあげ、すぐにスカートのホックをはずして脱がせにかかった。
「いやっ」
 両手を縛られている彩子は腰を振るだけでどうすることもできない。簡単にスカートを足もとに落とされて抜き取られた。
「うおっ、黒い下着じゃん。たまんないなァ」
 本間が奇声を発し、興奮したようすでいった。
 この日、彩子は喪服に合わせて、すべて黒い、贅沢にレースがあしらわれた悩ましい下着をつけていた。それも亡き夫に、あなたってこんな悩ましい妻を一人残して逝ってしまったのよ、と見せつけたい気持ちと恨めしさを訴えたいという思いから、ガーターベルトまでつけて。
 夫の命日に悪夢のようなことが起きて、そのうえ皮肉なことに法要のために身につけた下着が本間を歓ばせて興奮を煽ることになろうとは……。
 いたたまれない気持ちの彩子を尻目に本間はさらにバッグからロープの束を取りだし、束を解いて床に投げだした。バサッと音をたててフローリングの床にひろがったロープが、数匹の蛇がからまっているように見えて、おぞましさに彩子は身をすくめた。
 本間は彩子が坐っていた肘掛け椅子を引き寄せて鏡の前に置き、そこに彩子を坐らせた。
 とっさに本間の目的を察して彩子はうろたえ、身じろぎして哀願した。
「いやっ、もう縛るなんてやめて。先生、本間クンのいうとおりにするっていったはずよ。おねがいだから、手をほどいて」
「じゃあ、じっとしてろよ。これが俺のやり方なんだから」
 本間は聞く耳を持たなかった。彩子の両脚を抱えあげるなり椅子の肘掛けをまたがせると、いやがって身悶える彩子にかまわず、馴れた手つきでロープをさばいて彩子の両脚を肘掛けに縛りつけた。
「いい格好だろ、先生?」
「いやっ、見ないでっ」
 彩子は顔をそむけていた。そうしていても後ろから鏡を覗き込んでいる本間にどんな恥態が見えているか痛いほどわかる。全身が火になっていた。
「ほら、もっと刺戟的な格好にしてやるからよく見ろよ」
 本間が喪服の上着の前を左右に押しひろげた。ブラウスのボタンをはずしていき、それもはだけると、黒いブラをグイと押しさげる。
 ブルンと生々しく弾んで豊麗な乳房がこぼれでると同時に、彩子は喘ぎ、思わず鏡を見やった。
 喪服の上をはだけられて上下のロープで痛々しく絞りだされた乳房が露出し、ショーツとガーターベルトにストッキングだけの下半身は両脚をMの字の形に大きく開いている。
 その恥態を眼にしたのは一瞬のことだった。「いやっ」と叫ぶなり、彩子はすぐまた顔をそむけた。
「へえ、彩子先生、プロポーションも抜群だけど、オッパイもボリュームがあっていい形してるじゃん」
 本間の両手が乳房をやわやわと揉みたてる。
 甘いうずきをかきたてられて彩子はこらえようもなく、きれぎれに喘いでのけ反った。
「先生、いやだとかいって、けっこう感じてるじゃないか。ほら、乳首なんてビンビンになってるぜ」
「あんッ、だめ……」
 乳房を揉まれると同時に指先で乳首をくすぐるようにこねられて、艶めかしい声が口をついてでた。
 本間のいうとおりだった。乳首が硬くしこっているのは彩子自身わかる。手首といっしょに乳房をロープで緊縛されたときから充血してきていたのだ。それだけではない。それ以上にうろたえる反応が彩子の躯には現われていた。無理やりにそんな恥ずかしい格好にされながら、濡れてきていたのだ。
 本間が彩子の前にまわってきた。
「彩子先生ってオマ×コも好きそうだし、マゾッ気も充分あるみだいだな」
 興奮をただよわせたオットセイのような顔でニヤリと笑い、乳房に顔を寄せてきて乳首をペロリと舐めあげた。
「ああッ……い、いやあ」
 ふるえ声を洩らして彩子はのけ反った。
 片方の乳首を本間の舌が舐めまわし、一方を指先がこねまわす。
 否応なく感じた喘ぎ声を洩らしてのけ反りながら、乳房から下半身に電流のように流れる甘いうずきに腰をうねらさずにはいられない。
 突然、疼痛に襲われて呻いてのけ反った。本間が乳首を噛んだのだ。また噛む。
「あうっ!」
 彩子は弾かれたようにのけ反った。しびれるようなうずきが走り抜けて躯がガクガクふるえる。本間は乳首を舐めまわしては噛む。それを繰りかえされているうちに彩子はたまらない情動に襲われた。
「ああ、もっと……もっと噛んでッ」
 それまでになく本間が強く噛んだ。
「ああッ、イクッ! イッちゃう!」
 ズキーンと全身を貫かれるようなうずきが走り抜けると同時に、のけ反った彩子の躯は絶頂のふるえを湧きたてた。
 
【2】
 野々宮彩子には充分マゾッ気があるとは思ったものの、これほどあっけなくイッてしまうとは、本間雅樹にしても意外だった。
 雅樹が唖然としていると、ぐったりとしていた彩子が顔をあげた。どこか夢から醒めたような、それでいて興奮した顔つきで息を弾ませている。女優の鈴木京香に似た美人だけに、そういう表情がドキッとするほど艶めかしい。
「ああ、わたし……」
 彩子が戸惑ったようすで雅樹を見た。
「そう、イッちゃったんだよ、俺が乳首を噛んでやっただけで。ていうか、最後は先生のほうから、もっと噛んで、なんていって……先生、マゾッ気充分だよ」
 雅樹は笑っていうと、肘掛け椅子に縛りつけている、すらりとした彩子の両脚を両手で撫であげていく。
 彩子は喘いで躯をくねらせる。雅樹の両手が、上の部分が十センチほどレースになっているストッキングの切れ目から内腿に這うと、しっとりとした感触の白い素肌の内腿がピクピク痙攣した。
 その奥のショーツも裾の部分がストレッチ・レースになっている悩ましいタイプだ。しかもほかはシースルーになっているため、黒々としたヘアが透けて見えている。
「彩子先生がこんな悩ましい下着つけてたなんて、ホント、マジに驚いちゃったよ」
 雅樹は笑いながらも本音を洩らした。
「ああ、だめ……」
 彩子はうろたえたように顔を振って腰をもじつかせる。雅樹の両手がときおり指先をショーツの股ぐりに入れながら、両脚の付け根をなぞっているからだけではなさそうだ。
「じゃあ、そろそろ彩子先生のオマ×コ拝ませてもらおうかな」
 わざと雅樹は恥ずかしさを煽るようなことをいってショーツの股ぐりをつまみ、持ちあげる。
「そんな、いやぁ!」
 彩子はたまらなさそうな声をあげて顔をそむけ、激しく腰を揺さぶる。
「ほら〜、見えちゃうよォ」
「ああ、だめッ」
 つまんだショーツを横にずらすと、雅樹の前にはじめて彩子の秘苑が露わになった。想ったとおり、そこはもうグショ濡れの状態だった。
 雅樹は彩子の秘苑と顔を交互に見やりながら、興奮していった。
「これが彩子先生のオマ×コか。先生、オシッコ洩らしたみたいに濡れちゃってるぜ」
「やめてッ、そんないやらしい言い方」
 顔を赤らめてかぶりを振る彩子の反応が、雅樹の持ち前のサディスティックな欲望をますます煽った。
「美人の女って、意外にオマ×コはブスなんだけど、彩子先生のは三十歳にしては色も形もきれいじゃん。それだし、口髭みたいに見えるビラビラのまわりの毛がいやらしくていいよ」
 女を恥ずかしがらさずにはいない露骨な言い方をして言葉で嬲りながら、ヌルヌルするほど濡れている肉ビラを指先でなぞる。
 彩子は上気した顔で息を乱し、もっと触ってといわんばかりに淫らに腰を蠢かしはじめた。辱しめられて興奮しているのは一目瞭然だった。
 雅樹はバッグからバイブとハサミを取りだした。
「高そうなパンツだけど、ごめんな先生。ロープを解いてパンツ脱がすの面倒臭いから切っちゃうよ」
 彩子は声もなく顔をそむけた。
 雅樹はゾクゾクしながらショーツの脇にハサミを入れると切った。ついで反対側も切り離すと、ショーツはだだの布切れになって彩子の股間を滑り落ちた。
 股間の眺めがあからさまになった。濃いめの艶があるヘアの下で、縮れ毛に縁取られた茶褐色の肉ビラが大股開きのためにわずかに口を開け、ピンク色のクレバスをのぞかせている。そして、肉ビラもクレバスも濡れ光っている。
 雅樹はバイブを手にしてスイッチを入れた。
 電動音を聞いて彩子が弾かれたように顔をこっちに向け、雅樹の手もとを見た。低い音を響かせながら、いやらしく首を振っている黒いバイブを凝視したまま、怯えた顔つきでかぶりを振る。
「いやぁ、そんなもの使わないで」
「バイブもはじめてなのか?」
「おねがい。本間クン、やめてッ」
 うなずいて懇願する。
「じゃあ、ちょうどいいや。彩子先生が三枝に初体験させてやったみたいに、こんどは俺が先生にバイブを初体験させてやるよ」
 いうなり雅樹はバイブの先をクレバスの上端に当てた。
 ヒクッと彩子の躯が跳ね、腰がくねった。クリトリスを責めるバイブに、彩子は昂った喘ぎ声を洩らして狂ったように悶えはじめた。それもそう長くはつづかなかった。たちまち切迫した泣き声をあげて腰を揺さぶりながら、絶頂を訴えて昇りつめた。
 そこで雅樹はいったんバイブのスイッチを切り、片手でクレバスを押しひろげた。ヌチャと音がしそうなほど蜜があふれた割れ目がパックリと開いた。クリトリスがふくれあがり、その下の赤貝に似た部分が、興奮しきった顔つきで息を弾ませている彩子の呼吸といっしょに収縮を繰りかえし、そのたびにジュクッと透明な蜜を滲みだしている。そこにバイブの先を当てがって、ねっとりとこねまわす。
「ほら〜、先生みたいな熟女は、クリちゃんでイッたら、もうここもしてほしくてたまんないんだろ?」
「ああん、だめェ〜……ううんいやァ、焦らしちゃいやァ〜」
 彩子は悩ましい表情を浮かべてゾクゾクする声でいいながら、まるでさかりのついた牝のように淫らに腰をうねらせて催促する。
 雅樹はなおもバイブで膣口をこねて焦らし、それを愉しみながらけしかける。
「ほ〜ら、先生、だったらバイブをどこにどうしてほしいのかいいなよ。ただし思いきりエッチな言い方じゃないとだめだからな」
「そんな……ああ、どういえばいいの? 本間クン教えて」
「先生、三十なんだぜ。そんなことわかってんだろう」
「先生、あなたみたいな変態じゃないから、わからないのよ」
「いってくれるじゃないか。ま、そのうち先生も変態にしてやるよ」
 雅樹は笑っていうと、彩子の耳もとに口をつけて露骨な言い方を囁いた。
 彩子は、一瞬うろたえたような表情を見せたが、すぐにますます興奮したような顔つきになって、雅樹がふたたびバイブの先で膣口を嬲りはじめると、うねうねとたまらなそさうに腰を揺すりながら、
「ああっ、バイブをオマ×コに入れて、ズコズコして」
「いいなァ。彩子先生みたいな美人が変態みたいなこというの聞いたら、チ×ポ汁が流れだしちゃったよ」
 事実、発情した顔つきで露骨なことをいう彩子を見てズボンのなかの怒張がヒクつき、カウパー氏腺液を流していた。雅樹は興奮を煽られてバイブを彩子の蜜壷のなかに挿入していった。
 喘いでいた贅肉のない白い腹が一瞬硬直し、バイブが侵入するにつれて細波のようなふるえを湧きたてた。
 深々と没したバイブを、雅樹はゆっくり抜き挿しした。
「ああ、だめ……」
 彩子が昂った声を洩らした。狂おしそうにのけ反りながら、バイブの動きに合わせて腰をうねらせている。
「いいんだろ?」
 彩子はウンウンうなずく。雅樹はバイブを抽送しつづけながら聞いた。
「どこがいいんだ?」
「ああん、オマ×コいいッ」
「スケベだなァ。彩子はドスケベだ!」
「ああっ、そうよ、彩子はスケベなの、どうしようもないスケベなの」
 淫らに腰を振りながら、快感に酔いしれた顔つきでうわごとのようにいう彩子に、罵声を浴びせた雅樹のほうが一瞬、唖然とした。が、熟女の美人教師の狂態に圧倒されながらも、この調子なら野々宮彩子は完全な奴隷にできるとほくそ笑み、バイブを挿し込んでスイッチを入れた。
 
【3】
 くぐもった電動音が響きづづけている。膣のなかで異物がバイブレーションを湧きたてクネクネ蠢く。躯がピクピク痙攣する。
 ああ、また……またイクッ!……もうだめッ、もう死んじゃう!……
 泣き叫んだ瞬間、目の前が明るくなった。
「ようやく気づいたか」
 声がしたほうを見やると、ぼんやりとしていた視界が徐々にはっきりしてきて、本間がブリーフ一枚で椅子に坐ってふんぞりかえっていた。
「失神してたんだよ。その間もときどき痙攣してたからイッてたんじゃないか」
 笑っていって本間が立ちあがった。彩子はガーターベルトとストッキングだけの格好にされてソファに寝かされていた。起きあがってソファに腰かけた。まだ躯がだるく、すぐには立てそうもなかった。
 失神するまでのことが脳裏に浮かんできた。
 バイブで責めたてられただけではなかった。なんどか絶頂に追いあげられたあとでいったんバイブのスイッチが切られ、これ以上ない恥ずかしい姿を本間に写真に撮られたのだ。バイブを挿入されたままや抜き取られた状態、それにその格好で本間のペニスを咥えているところを鏡を通したりして。それからまた、こんどは失神するまでバイブで責められたのだ。
 本間が前に立った。彩子の目の前にブリーフの露骨な盛りあがりがあった。うつ向いて彩子はいった。
「おねがい。写真だけはかえして」
「だめだよ、あれは彩子が俺の奴隷になった記念写真なんだから。大丈夫、俺のいうとおりにすれば誰にも見せやしないよ」
「わたし、あなたの奴隷になんかなるつもりはないわ」
「自分から俺のいうとおりにするっていったはずだぜ」
「ええ、そうよ。でもそれは、あなたに三枝クンとのこといわれて、こんなことはもうこれっきりにしてもらおうと思ったからよ」
「甘いなァ。これっきりなんてあるわけないじゃないか。ほら、立てよ」
「待って……」
 抱かれて立たされて、彩子は本間の腕のなかでもがいた。
「先生はもう決心してるのよ」
「決心? 何を?」
「わたしにはもう教師の資格はないわ」
「やめるっていうの!?」
 驚いて聞く本間に、彩子はうなずいた。
 本間は一瞬、困惑したような表情を見せたが、苦笑に似た笑いを浮かべた。
「そんなことできっこないよ。だって俺、彩子がそんなことしたら三枝と俺のこと、みんなバラしちゃうもん」
「そんな!……そんなことをすれば、あなたたちだって、退校処分を受けるかもしれないのよ」
「そうだよ。先生のせいでそんなことになってもいいのかよ」
「本間クン、あなたって子は……」
 彩子は絶句した。十五歳にしてSM趣味を持っていることもそうだが、不敵な笑いを浮かべている本間の、少年とは思えない狡猾さが恐ろしくなった。
「ほら、ヘンなこと考えないで愉しもうぜ」
「いや……」
 彩子は腰をくねらせた。さっきから下腹部同士を密着させられているうちに本間のブリーフの前が硬く突きあがってきて腰をもじつかせていたのだが、それを本間が腰を落としぎみにして彩子の局部にグイグイと押しつけてきたからだった。
 本間がキスしてきた。唇を重ねられて彩子は呻いた。無理やりに本間の舌が侵入してくる。下腹部に怒張を押しつけられていると喘ぎそうになってそれを拒むことができない。ねっとりと舌をからめ取られた。
 本間のキスのテクニックにはそれなりの経験を想わせるものがあった。舌ばかりか口腔全体をまさぐるようにして舐めまわし、いやでも濃厚な粘膜の触れ合いを感じさせる。いつしか彩子も興奮して舌をじゃれつかせながら甘い鼻声を洩らし、突き当たっている怒張に自分から下腹部をこすりつける猥りがわしい腰つきになっていた。
「いやらしい腰つきだなァ。さっき自分でスケベだっていってたけど、あれはマジだったみたいだな」
 本間が笑っていった。彩子は羞じらって顔をそむけた。
「いや」
 艶めかしい声になった。
 本間がバッグからなにやら取りだした。手錠とそして、もう一つははじめて見るものだったが、すぐに何かわかって、彩子はうろたえた。
「やめてっ、乱暴はいやっ」
「彩子が俺の奴隷だってことを教えてやるんだよ」
 うそぶきながら本間は彩子に前手錠をかけ、先が房状になった鞭でヒップを撫でる。
 彩子は怯えて身悶えた。
「いやっ、やめて!」
「それにしてもいいケツしてる。見てるだけでゾクゾクして叩きたくなるよ。ほらベッドにあがって四つん這いになれ!」
 バシッ!……
 いきなりヒップを鞭が襲った。彩子は悲鳴をあげてのけ反り、よろけた。
「いやっ! ぶたないでッ」
「そういっているのはいまのうちだけだ。彩子はマゾッ気があるから、もっとぶって、なんていいだすよ」
「勝手なこといわないで」
「じゃあ賭けようぜ。ヒップを鞭打ちして感じなかったら、俺は彩子を奴隷にするのをあきらめる。そのかわり感じたら、彩子が俺の奴隷になるって誓う。どう? おもしれえだろ?」
「そんな……」
 いずれにしても、彩子はヒップを鞭打たれるうえに、そんなことで賭けなどする気にもなれない。
 だが、いやがる彩子を、本間は鞭で追いたててベッドにあがらせた。彩子はいやいや四つん這いになった。
「いやらしいケツだ」
 いうなり本間が打ちすえてきた。
 鈍い打擲音と同時に激痛が走って彩子は呻いてのけ反り、くねくねとヒップを振りたてた。つづけざまに鞭が襲ってきた。そのたびに呻きとも悲鳴ともつかない声を発してのけ反りヒップを振りたてずにはいられない。
 しだいに彩子は戸惑いはじめた。こんなことで賭けなどする気はなかったが、本間は勝手にその気になっていると思うから、よけいにうろたえた。というのも鞭打たれているうちにヒップがジンジンするほど熱く火照ってきて、それにつれて痛みの感覚が薄れ、そればかりか鞭打たれるたびにしびれるような、快感に似たうずきが躯を駆け抜けて、いつのまにか感じ入った声をあげはじめていたからだった。
「たまんない格好をしてくれるじゃないか。感じてきたんだろ? 早くバックからやってっていってるみたいだぜ」
 鞭打ちの手を止めて本間がいった。息が弾み、興奮しているような声だった。それ以上に彩子のほうはハアハア荒い息をしながら、なりふりかまわずヒップを振っていた。
「ああん、いやァ……」
 たまらないヒップのうずきが昂った声になった。
 本間のいうとおりだった。快感に似たうずきを感じはじめたときから彩子は、自分から四つん這いよりも恥ずかしい体位を取っていた。手錠をかけられている両手で支えきれなくなった上体を突っ伏して、ヒップを高々と持ちあげているのだ。
「賭けは俺の勝ちみたいだな」
 本間の勝ち誇った声と同時に強烈な鞭が襲ってきた。その瞬間、彩子は、「クーッ」という声を洩らしてズルズルとベッドの上に伸びていき、完全に突っ伏すと同時に躯の芯から湧きあがる痙攣に襲われて、
「ああァァァ……イクイク〜ッ!」
 と、ふるえをおびた泣き声をあげて身悶えながら達してしまった。
「驚いたな、はじめての鞭打ちでイッちゃうとは」
 言葉どおり驚きと興奮が入りまじったような声でいった本間が、燃えるように熱くうずいているヒップを手で撫でまわす。
「これでよくわかっただろ? マゾッ気があるってことが」
 彩子にはかえす言葉もない。ただ息を弾ませながら、ヒップを撫でまわしている本間の手がたまらないほど気持ちよくて身悶えずにはいられない。
 本間の手が股間に滑り込んできた。恥ずかしい場所をまさぐってくる。
「ビチョビチョだぜ」
「ううん、いや……」
 艶めかしい声でそういいながらも、もっとしてほしいという気持ちに襲われて、クレバスをこすっている本間に合わせて淫らに腰を揺すってしまう。
 本間は彩子の躯を仰向けにした。ふたたび秘苑をまさぐると膣に指を滑り込ませてきた。片手で乳房を揉み、一方では膣に挿した指を抜き挿しすると同時にべつの指でクリトリスをこする。
 彩子は感泣しながらそうせずにはいられず、なりふりかまわずに悶えた。黒いガーターベルトとストッキングをつけただけの色白な熟れきった裸身が、腰を中心にうねうねと波打つのを、本間が興奮した顔つきで見ながら、
「ほらァ、俺のほうが賭けに勝ったんだからいえよ。野々宮彩子は本間雅樹の奴隷になると誓いますって」
 と、けしかけるようにいう。
 鞭打たれて達してしまった、異常な興奮が尾を引いている躯を嬲られて、彩子はどうしようもない狂おしさに襲われて、
「の、野々宮彩子は、本間雅樹の……ああっ、奴隷になると、誓いますっ」
 と、息せききっていった。堕ちていく自分に、戸惑うような、それでいて、めまいがするような陶酔をおぼえながら。
 本間は嬲るのをやめると彩子を抱き起こした。
「これで彩子は俺の奴隷だ。これからしっかり調教して完全なマゾにしてやるよ。ほらまず、おしゃぶりの仕方からだ。四つん這いになってしゃぶりな」
 嗜虐的な笑いを浮かべて居丈高にいうとブリーフを脱ぎ捨て、ベッドに坐って両脚を投げだした。
 屈辱に思いながらも彩子は息を呑み、本間の股間のモノに眼を奪われていた。
 腹を叩かんばかりにいきり勃ったペニスは、とても十五歳の少年のモノとは思えない。赤黒い亀頭が大きくエラを張ってテカテカと光り、茎の部分は黒みをおびてくすんだ色をしている。それよりなにより太くて長い。夫と智彦のモノしか知らない彩子にとって、はじめて眼にする恐ろしいほど巨大なペニスだ。見ているだけで息が詰まって躯がふるえてきそうだった。
 彩子は屈辱的な命令を拒否することができなかった。いわれたとおり四つん這いの格好になって、吸い寄せられるように本間の股間に顔を埋めていった。
 手錠をかけられたままの両手を怒張に添え、眼をつむって亀頭に舌をからめ、ねっとりと舐めまわす。そうしているだけで、野太いペニスで貫かれるシーンと感覚が脳裏をよぎって、頭がクラクラして膣が生々しくヒクつき、せつなげな鼻声が洩れて身悶えせずにはいられない。
「俺のチ×ポ、なかなかのもんだろ? 男に飢えた女はみんな歓んでしゃぶりたがるんだ。彩子も美味しいだろ?」
 本間が笑いを含んだ声で聞く。
 彩子は肉棒を舐めまわしながら眼を開けて本間を見あげ、いやっ、と声もなく睨んだ。
「ふふ、いい顔だ。ゾクゾクするよ。わかってんだぜ、たまらなくていやらしく尻を振ってんだから。美味しいって正直にいいなよ」
 本間がいうとおり、はしたなくヒップをもじつかせていた彩子は、カッと羞恥と興奮を煽られ自暴自棄になって、
「ああっ、美味しい!」
 いうなり肉棒を咥え、夢中になって顔を振ってしごいた。
「三枝のとどっちが美味しい?」
 彩子はせつなげな鼻声を洩らしてしごきつづけた。そうしていると口腔に感じる巨大な肉棒で膣を抜き挿しされているような錯覚と感覚に襲われて、はしたないとわかっていてもひとりでにヒップが猥りがわしく蠢いてしまう。
「決まってるよな。俺のほうだろ?」
 いわれるまま、彩子はうなずきかえした。
「よし。素直になってきた褒美をやろう」
 そういうと本間は両手を後ろにつき、開いている両脚を曲げて持ちあげた。
「ほら、キンタマからアナルまで舐めるんだ」
「そんな……」
 彩子はうろたえた。だが奴隷になるという誓いの言葉を口にしたときから、どんなことを要求されても拒もうとする意思は失せていた。
 命じられるまま、袋の部分に舌を這わせてくすぐるように舐めまわした。だが、袋の部分はもとよりそんな行為をしたことは夫にさえない。さすがに屈辱感とおぞましさが込みあげてきた。と同時に、汚辱に満ちたその行為にめまいがするような興奮をかきたてられて、アナルに舌を這わせていった。
 不浄な排泄孔を舌で舐めまわしていると肉棒がヒクついて顔を叩き、ますます興奮をかきたてられて、彩子は喘いだ。
「アナルも美味しいだろ?」
「ううん、ああもう……」
 彩子は異常な興奮につつまれて、舌でアナルをくすぐりたてるようにしながら、自分でもそうとはっきりとわかる、いやらしいほどうっとりとした顔を肉棒にこすりつけた。
「わかってるよ。もうオマ×コしたくてたまんないんだろ?」
 込みあげてきた衝動を本間に言い当てられて、ウンウンうなずいた。
「じゃあそういいなよ」
 たまりかねて彩子はいった。
「ああッ、オマ×コしたい! もうしてっ」
「ふふ、あの彩子先生がそんなスケベなこというの聞いたら、俺もたまんなくなってきたよ」
 本間が彩子を抱き起こした。胡座をかいて膝をまたがせる。下半身が酔ったようになって中腰になっているのがやっとの彩子は、クレバスをまさぐってくる亀頭を、腰を蠢かせて膣口に当てがうと、そろそろと躯を沈めていった。
 ズブ〜ッと、太い杭が突きあげてくるような強烈な感覚に息を呑んだまま、声をあげることもできない。腰を落としきると、「ハァ〜ン!」と息を吐き、同時に絶頂のふるえに襲われて躯がわなないた。
「なんだよ、もうイッちゃったのか?」
 本間は笑っていうと彩子の手錠をはずした。
「ああん、狂わせてっ。死ぬほど狂わせてッ」
 口を突いてでた言葉どおり、彩子は本間にしがみつくと狂ったように自分から躯を揺すりたてていった。



第五章 女教師・高ぶる


【1】
 彩子にとっては悪夢のような土曜日だった。というよりも本間雅樹から受けた凌辱は、悪夢にさえ見ないだろう、ひどいものだった。
 あろうことか、SM趣味を持った本間の奴隷になると誓わされたのだ。
 しかもその前にもすでに恥ずかしい姿を写真に撮られていたが、それだけではなかった。異常な興奮にかきたてられて彩子自ら「狂わせて」といって、そのとおりに本間の肉棒で翻弄されて狂態を演じさせられた。そのあと、トイレにいこうとすると、こんどは後ろ手に手錠をかけられて洋式便器の上にまたがってしゃがんだ格好を強いられ、排尿するところまで写真に撮られたのだ。
 そればかりか、さらにそのあと鞭で強制されて本間の見ている前でオナニーをさせられ、ふたたびエレクトしてきた本間のペニスで延々と責めたてられたのだった。
 そしてそのさなか、本間は驚くべき性体験を彩子に話して聞かせた。
 本間の両親はともに自営業で、父親は不動産会社、母親のほうはブティックを経営している。その両親からして異常というか型破りの夫婦だった。つねにそれぞれに公認の愛人がいて、しかも相手が頻繁にかわるのだ。
 一人っ子の本間雅樹は、物心ついた頃からそんな放蕩な両親を見てきた。それだけに早熟な子だった。母親もそれを知ってか、もとより常軌を逸した考え方の持ち主というべきか、雅樹が中学生になると、欲求不満を囲っていた人妻の友人に頼み、雅樹の初体験の相手をさせた。
 母親と同年齢のその人妻はちょっとした美人だったが、すっかり雅樹のことが気に入り、セックスについて微に入り細に入り雅樹に教えた。そのことを人妻自身愉しんでいるようだった。
 おかげで雅樹は人妻に夢中になった。だがもとより遊びの人妻は、そのうちそんな雅樹にタジタジとなり、自分のかわりにほかの人妻を雅樹に紹介した。
 二人目の人妻は美人というほどではなかったが、最初の人妻よりも若くて素晴らしい躯をしていた。
 中学一年生で早くもセックスと女にめざめた雅樹がSM趣味を持つようになったきっかけは、その三十二歳の人妻と関係したときだった。
 彼女には結婚前にSM趣味がある男と付き合っていたことがあり、そのことは夫に内緒にしていた。
 ところが結婚して四年ほど経ったちょうどその頃から、SMプレイを思いだして悶々とするようになった。彼女にはマゾッ気があったのだ。
 といって夫にSMプレイを求めることもできず、中学生の雅樹にプレイのあれこれを教えて欲求を満たすようになったのだった。
 雅樹にもその気があったらしい。すぐにサディストとして三十二歳の人妻を翻弄するようになった。そればかりか、ときには最初の人妻ともプレイしたり、さらには二人の人妻を通して刺戟を求めている女たちを紹介してもらったりしているうちに雅樹のサディスティックな欲望はどんどんエスカレートしていき、父親の若い愛人−−二十五歳のOL−−にまで手を出して犯し、最初こそレイプ同然だったが愛人はそれですっかりマゾにめざめ、父親に内緒でしばらく関係をつづけたりもした。
 その一方で、同じ年頃の女の子にも手を出しているようだった。それもナンパした女の子をレイプする、彩子がはじめて聞く「ソフト・レイプ」という遊びとしてやっているらしい。
「でも、ガキはピチピチした躯がいいだけで、やっててもギャアギャアわめくだけで、全然よくもおもしろくもない。やっぱ、やるのは熟女にかぎるよ」
 本間雅樹は彩子を責めたてながらそういってうそぶいた。そして彩子の蜜壷の具合を、ザラザラした感触があって締めつけて咥え込んでいく、カズノコ天井で三段締めの名器だと褒めた。
 
 日曜日の昼下がり、彩子は昨日の本間雅樹とのことを思いだして茫然としていた。
 本間から受けた凌辱行為といい、これまでの驚くべき異常な性経験といい、そしてなによりそのサディスティックな欲望といい、これからのことを考えると空恐ろしくなる。
 そろそろ三枝智彦がくる頃だったが、先週の日曜日のような胸のときめきはなかった。それどころか暗澹とした気持ちだった。
 彩子は昨日、本間雅樹に問い詰められて、智彦とは週にいちど日曜日の昼間、彩子の部屋で会うことにしていることを話した。本間に凌辱された翌日、智彦と会う気にはなれなかったが、といって智彦は聞き入れてはくれないだろうし、本間に押しかけてこられて二人が鉢合わせしても困る。そう思って話したのだった。すると本間は、
「じゃあ日曜日だけは三枝にくれてやるよ。そのかわり、月曜日から土曜日までは、彩子は俺のものだからな」
 と、こともなげにいった。
 本間が帰っていったあとで彩子は思った。
 もしも反対に智彦が彩子と本間のことを知ったとしたら、智彦は本間のようにそんなことを平然というだろうか。おそらく、彩子と本間のことを嫉妬するだろう。本間にはまったくそういうところがない。二人の少年の女性経験の差だけでなく、そこには本間のSM趣味にかかわるものがあるのかもしれない。
 いまあらためてそう思うと、少年らしさやそういう感情というものがない本間のことがますますもって恐ろしくなってくる。
 そのときチャイムが鳴った。玄関に出てみると、智彦だった。
 彩子の後ろについて部屋に入ってくるなり、智彦は抱きついてきた。ブラウスとブラ越しに両手で乳房を揉みながら、うなじに唇を押しつけ耳に向けて這わせてくる。
「うん、だめよ」
 首をすくめてうわずった声でいっただけで、彩子はされるがままになっている。
「だってほら、もうビンビンだよ」
 ヒップに押しつけている智彦のズボンの前は、早くも硬く突きあがっている。
 智彦の手がタイトスカートのなかをまさぐってきた。パンストとショーツの上から下腹部を撫でまわし、這いあがって下着のなかに侵入してくる。ヘアを弄んでいた手の動きが止まった。
「どうしたの?」
 黙ってされるがままになっている彩子のようすを怪訝に思ったらしく、後ろから智彦が顔を覗き込んだ。
「なんかヘンだよ。何かあったの?」
「べつに……」
 彩子がつぶやくようにいうと、下着のなかの手を引きあげ、ブラウスのボタンをはずしていく。疑念よりも若い欲情のほうが抑えがたいらしい。
 せわしない手つきで彩子が身につけているものを剥ぎ取っていく。たちまち彩子はハイレグの両脇がレースになったベージュのフルサポート・ショーツだけにされ、智彦もブリーフ一枚になった。
 そのとき電話が鳴った。彩子は悪い予感がした。
「ベッドにいってて」
 智彦にいって、受話器を取りあげた。
 悪い予感が的中した。本間雅樹からだった。
「三枝が来てるんだろ?」
「え、ええ」
 うろたえながら、彩子はとっさにいった。
「ごめんなさい。わるいけど今夜にでもかけ直して」
「へへ、エッチの真っ最中ってわけか?」
「そんなんじゃないわ」
 彩子はあわてて受話器を手で押さえていった。
「だめッ」
 いたずらっぽい笑いを浮かべて彩子の前にひざまずいた智彦が、ショーツに両手をかけてずりさげていく。
「かまわねえよ。このまま話しながら、三枝にオマ×コ舐めさせてやれよ」
 狼狽して腰を振りたて両脚をよじり合わせる彩子に、本間が笑いを含んだ声でいう。
 太腿の途中までショーツをおろした智彦は、いたずらっぽい眼で彩子の下腹部と顔を交互に見やりながら、ヘアを手で撫でまわしている。彩子は受話器を手で押さえたまま、腰をくねらせて哀願した。
「智彦、やめてっ」
「電話、誰?」
「お友だちよ。おねがい、ベッドで待ってて」
 彩子の哀願を無視して智彦の指が股間をこじ開け、ヌルッとクレバスに分け入ってきた。
 思わず彩子は喘いで腰をくねらせた。もうヌルッとするほど濡れているそこに滑り込んでくるなりヌル〜ッと、蜜壷のなかにまで指が侵入してきたからだ。
「どうした? 舐めさせてんのか?」
 本間が聞く。
「ちがうわ。じゃあまた、あとで……」
 狼狽しきっていって、彩子が電話を切ろうとすると、
「待てよ!」
 本間が鋭い声でいった。
「勝手に切ったら、なんべんでもかけ直すぜ」
 そんな!……
 喉まで出かかった声を彩子はかろうじて押しとどめ、太腿を締めつけて腰をもじつかせながら、おねがいだからやめて、と懇願する表情で智彦を見おろした。
 だが智彦は、スリルと彩子の蜜壷の生々しい反応に興奮しているらしい。ぎごちない笑いを浮かべて彩子を見かえすだけでやめようとしない。
 膣が生々しく蠢いて智彦の指を締めつけ咥え込んでいくいやらしい反応を呈しているのは、彩子にもわかっていた。さすがに智彦も指を挿入しているだけだが、これでもしも抜き挿しされたりこねまわされたりしたら……そう思うと気が気ではない。
「二人とも何やってんだよ。英語のお勉強でもやってんのか?」
 本間が嘲笑うようにいった。
「ま、いいや。それより俺、彩子に話があったんだ」
 その話というのを聞かされて彩子はうろたえた。用件だけいうと本間は一方的に電話を切った。
 彩子は一瞬、目の前が真っ暗になった。智彦に膣に指を挿入されているのも忘れて茫然として送受器を置いたとき、いたたまれない気持ちといっしょに衝動的な情動に襲われた。
 腰をひねって智彦の指から逃れると、自分でショーツを脱いでいった。
「あああ、智彦、先生をいじめてっ。懲らしめてっ」
「いじめて? 突然どうしたの?」
 驚くというよりも唖然とした顔つきで智彦は立ちあがった。
「智彦のこともみんな、先生がいけないのよ。罰を受けて当然なのよ」
「いけないことなんかないよ。俺は先生に感謝してるぐらいだもん」
「ううん、教師がこんなことをして許されるはずがないわ。ね、いけない先生を懲らしめて」
「そんなこといったって、どうしていいかわかんないよ」
「先生の両手を縛って、思いきりお尻をぶって」
「それってSMじゃん。先生、やっぱマゾッ気があったんだ!?」
 少年は驚きと興奮が入りまじったような顔つきでいうとまわりを見まわし、パンストを取りあげた。
「じゃ、縛ってあげるよ」
 彩子は自分から両手を背中にまわして手首を交差させた。そうするだけで自分でも戸惑うほど胸がときめいた。
「彩子先生、縛られたことあるの?」
 ないわ、とウソをついてかぶりを振った。
 智彦はSMプレイの知識もあるらしい。パンストで手首を縛るとそのあまりを伸ばして胸に二重にまわし、乳房を挟みつけ、絞りだすようにした。
 昨日、本間にそうされたときもそうだったが、手首を縛られたときから彩子はゾクゾクする被虐的な気持ちに襲われて、乳房を緊縛されると息が弾んできた。
「じゃあヒップを叩いてやるから、そこに四つん這いになりなよ」
 そういって命じる智彦も興奮した顔つきをしている。後ろ手に縛られているのだから四つん這いは無理で、いやでもはしたない格好になるしかない。そのことに彩子は羞恥と興奮を煽られながら膝をついて高々とヒップを屹立させた。
「たまんない格好だなァ。グショ濡れのアソコがまる見えだよ」
 智彦がうわずった声でいう。
 彩子は羞恥と興奮で頭がクラクラした。
「ああん、見ちゃあいやァ」
 艶めかしい声でいって、猥りがわしくヒップをくねらせて智彦を挑発する。智彦がズボンのベルトを抜き取るのが見えた。
「ベルトで叩くよ」
 彩子はうなずいて息を詰めた。
 バシッ!……
 ベルトがヒップを襲ってきた。鋭い痛みに、詰めていた息が悲痛な声になった。くねくねと振りたてずにはいられないヒップにすぐまたベルトが襲ってくる。早くも彩子の口から感じ入った呻き声がほとばしった。
「うう〜ん、もっとォ、もっとぶってェ〜」
 昂った声でいって彩子は狂ったようにヒップを振りたてた。
 
【2】
 月曜日の朝、教壇に立った野々宮彩子は、めまいがするような羞恥に襲われていた。
 昨日、智彦が来ているときにかかってきた電話で、あろうことか本間雅樹は彩子に、月曜日は白いブラウスを着てその下はノーブラ、そしてタイトスカートの下はガーターベルトとストッキングだけでノーパンで学校にこいと命じたのだ。しかも、命令どおりにしないときは例の写真を学校でバラまくと脅して。
 本間の命令を彩子は拒否することができなかった。いわれたとおりにして教壇に立っているのだった。
 彩子が着ている白いブラウスは、綿とポリエステルの混紡だが、シースルーほどではないにしても、光のかげんや躯の動きによって、乳首の色がわずかに透けて見える恐れがある。それよりも先に、こんもりとブラウスを盛りあげているバストの頂きの部分の異変に生徒たちが気づけば、ノーブラであることは一目瞭然だった。
 めまいがするような羞恥といたたまれなさに襲われながら、それでもそれを生徒たちに気取られないように、そして本間と智彦とは視線を合わせないようにして平静を装って話していた彩子だが、しだいにうろたえてきた。
 それは学校に来るまでもそうだったのだが、いままた、いやでも生徒たちの視線をバストに感じているうちに乳首が充血して勃起してきてブラウスを押しあげ、しかもほんのわずかに躯が動いただけでブラウスと過敏になった乳首がこすれてズキンと甘いうずきが走り、喘ぎそうになるのだ。
 もう生徒たちは気づいているにちがいない。そう思うとますますもって生徒たちの視線がバストに突き刺さってくるように感じられて、よけいに過敏になってしまう。チリチリ燃えるように乳首がうずき、そればかりか乳房全体がムズムズしてきて、思わず太腿を締めつけずにはいられない。
 そのとき彩子は、ああっ、と喘ぎそうになった。乳首が勃起してきたときから濡れてきているのはわかっていたが、火照った太腿を締めつけた瞬間、ジュクッと蜜が滲みだしてクレバスからあふれ、鼠蹊部に流れ落ちてきたからだ。
 しだいに教室のなかがざわめいてきた。もはや生徒たちがノーブラばかりか彩子のようすがおかしいのにも気づいているのは明らかだった。一様に驚き、興奮した顔つきで、彩子を見ながらコソコソ話している。
 彩子はめまいに襲われて昏倒しそうだった。やっと耐えて秋の体育祭の予定について話しながら、ほかの生徒たちと眼を合わさないようにしていると、唖然としている智彦と眼があった。
 あわてて彩子は視線をそらした。すると、本間と眼が合った。最後列の端の席にいる本間だけがニヤニヤ笑っていた。
 彩子は口ごもった。蜜があふれだしたときから膣が勝手に生々しくヒクつきはじめていて、話していられなくなったのだ。
 生徒たちが固唾を呑むようにしていっせいに彩子を見ている。そのときホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。
 チャイムに救われて彩子は逃げるように教室を出た。その場にしゃがみ込んでしまいたいほど足もとがふらついていた。
 教員室の自分の机にたどり着くと、バッグを持ってすぐに教員専用のトイレに駆け込んだ。個室に入ってドアを閉めると壁にもたれかかった。
 息が弾み、膝がガクガクする。ブラウスの上から胸に手をやると、乳房全体がしこって触れると痛いほど乳首が硬く勃起していた。
 ああ、いや……。
 やるせないほどうずいている乳房を、手がひとりでに愛撫していた。そのまま彩子はタイトスカートを引きあげた。
 黒いガーターベルトにストッキングだけの下半身が露わになった。わずかに足を開き、ヘアの下に指を這わせた。いやらしいほど濡れている。こらえきれずに指でクレバスをかきあげた。
「ああ……」
 下半身がとろけていくような快感に、抑えた、感じ入った声が洩れた。学校のトイレでこんなハレンチなことを……そう思うと逆に興奮をかきたてられてたまらなくなった。
 片手で乳房を揉みながら、クレバスに這わせている指先で、ふくれあがっているクリトリスをクルクルとこねまわした。
 異常な状況のなかで異常な興奮につつまれていたせいか、すぐに絶頂感が襲ってきて、彩子は腰をわななかせて達した。
 彩子のノーブラをほかのクラスの生徒や上級生には見せたくなかったのかもしれない。本間は朝のホームルームの時間だけでいいといっていた。
 後始末をすませると彩子はバックから白いブラと黒いショーツを取りだして身につけ、洗面所で薄化粧を直して職員室にもどった。
 そこに智彦が来ていた。こわばった表情を見なくても智彦が何をいいにきたか、彩子にはわかっていた。智彦に補助椅子をすすめ、彩子は自分の椅子に腰かけた。
「なんでノーブラなんかで学校に来たんだよ!?」
 声をひくめて智彦はいった。案の定、非難する顔つきと口調だった。
「みんな気づいていたかしら?」
 彩子が自分でも驚くほど穏やかな表情と口調でいうと、智彦は唖然とした。
「当然じゃないか。みんな気づいて大騒ぎだよ。ビンビンになったといって股を押さえて走りまわってる奴もいたよ。どうしてあんなことしたんだ? 先生、いつから露出狂になっちゃんだんだよ」
「露出狂? そうね、先生のしたこと、露出狂のすることよね。でも智彦を誘惑したいけない先生には、露出狂がちょうどお似合いなんじゃない?」
 彩子は自嘲の笑いを浮かべていった。
「そんな、彩子先生がそんなことするなんて信じられないよ」
 智彦は驚いた表情でいうと、急にまじめな顔つきになった。
「ね、放課後またこの前のところに来てよ」
「そんな、だめよ」
「だって、俺だって興奮してたまんないよ」
 悲痛な顔つきと声で訴える。
「だめよ、日曜日まで我慢なさい。約束を守ってくれなきゃ、先生、もう智彦と逢わないわよ」
 彩子はピシャリといった。
 
 その夜、彩子のところに本間雅樹から電話がかかってきた。
「どうだった? マゾの彩子はたまんなかっただろ?」
「よしてッ」
「みんな歓んでたよ。彩子先生がノーブラで学校にくるなんて信じられないなんていいながら、彩子先生の乳首がオッ勃ってるの見てたら、ビンビンになって漏らしそうになっちゃったって……」
「やめて! 本間クン、あなた、わたしを辱しめてうれしいの!?」
「ああ、うれしいよ。俺が想ったとおり、今朝の彩子はみんなに見られて興奮しまくってたもんな。調教がうまくいってるからうれしいよ。ノーパンのオマ×コだってビチョビチョに濡れて、ジュースを流してたんだろ?」
「そんな……」
 図星を刺されて彩子はかえす言葉もない。
「明日はもっと刺戟的にいこうぜ」
 本間が弾んだ声でいった。
「明日も今日と同じようにノーブラ・ノーパンで来い。で、ブラウスはシースルーだ。ただしジャケットは着てもいい。そのかわり教壇に立ってる間はジャケットのボタンは全部はずすんだ。どうだ、いいアイデアだろ? これって、トー・クンって作家の、彩子と同じ『女教師』ってポルノ小説から盗んだアイデアなんだよ」
「ひどい! そんな恥ずかしいことなんかできないわ」
 彩子はふるえ声でいった。
「ウソをつけ、想像しただけでゾクゾクしちゃってるくせに。ま、俺の命令が素直に聞けなかったときはどうなるか、わかってるはずだ。じゃあ明日を愉しみにしてるぜ」
 そういうなり本間は一方的に電話を切った。
 茫然としたまま、彩子は思った。
 ポルノ小説というフィクションのなかだからこその話であって、そんなハレンチなことが実際にできるはずもない。
 その一方で、そのできるはずもないことを拒絶することができないこともわかっていた。それだけにいたたまれない思いが込みあげてきていた。
 
【3】
 翌朝のホームルームの時間、突然、教室のなかがどよめいた。
 生徒たちが憧れている美人の女教師が、ポッと顔を上気させてジャケットのボタンをはずしていくと、形もボリュームも申し分ないノーブラの乳房がシースルーのブラウス越しに透けて見えたのだから無理もない。
 生徒たちのなかには指笛を鳴らしたり、わけのわからない奇声を発する者もいて、教室のなかは騒然としてきた。
「静かに!」
 彩子は火照っている顔をそむけたまま、声を振り絞っていった。とたんに生徒たちはシーンと静まりかえった。
「今日は、午後から一年生全員による、体育祭の合同練習があります」
 彩子の声はふるえをおびてうわずった。声だけではない。躯が小刻みにふるえ、乳房がフルフルと揺れて、硬くしこって突きだした乳首がほんのわずかにブラウスにこすれているだけでズキズキうずいていた。
 同時に彩子は不思議な感覚につつまれていた。この場のことが現実のこととは思えなかった。というよりもそうやって教壇に立っている自分が、ポルノ小説のなかの女教師を演じているように思えた。
 そのせいかどうか、昨日よりも強烈な食い入るような生徒たちの視線を感じながらも、そして昨日と同じようにめまいに襲われながらも、本間にいわれたようにゾクゾクするような興奮の酔いにつつまれているのだった。
「体育祭の練習なんかどうでもいいよ。うちのクラスだけホームルームにしちゃって、彩子先生のオッパイ拝ませてもらってたほうがよっぽどいいよ。な、みんな」
 本間雅樹が笑っていった。
 生徒たちからドッと笑いが湧いて、「そうだ、そうだ」という声があがった。智彦だけが困惑したような表情を浮かべている。
「彩子先生、ついでにスカートもあげて見せてよ」
 本間がとんでもないことをいいだして彩子はうろたえた。
「そうだよ、ついでに見せてよ」
 ほかの生徒がいうと、みんなが「見せて、見せて」と合唱しはじめた。
「やめろ!」
 突然、智彦が怒声を発して立ちあがった。生徒たちがいっせいに智彦のほうを見やった。
「なんだよ、三枝。どうしておまえだけいい子ぶるんだ!?」
 本間も立ちあがった。
 彩子はあわてていった。
「二人ともやめなさい!」
「じゃあ多数決だ。彩子先生にスカートをあげて見せてほしい者、手をあげろ!」
 本間がいった。智彦を除く全員が声をあげて挙手した。本間と智彦の間に険悪な空気が流れていた。
 本間と智彦がケンカにでもなったら、そして本間が二人と彩子の関係をほかの生徒に暴露したりしたら……。この場をなんとかしなければならない。彩子は覚悟を決めた。
「わかったわ。見ればいいでしょ」
 女教師のこわばった美貌と挑むような口調に、生徒たちは圧倒されたように静かになった。
「ほら、あげて、あげてっ」
 本間が掛け声といっしょに手拍子を打ちはじめた。生徒たちがそれに合わせる。
 彩子はふるえる両手でタイトスカートの両脇をつまんだ。めまいがして掛け声と手拍子が耳鳴りのように聞こえてくる。
 掛け声と手拍子にそそのかされ追いたてられるように、ゆっくり、ゆっくりと、彩子はスカートをあげていく。
 スカートの裾が太腿の付け根近くまで持ちあがったとき、教室のなかにどよめきがひろがった。上端がレースになった黒いストッキングを吊っている黒いガーターベルトの紐が見えたからだ。
「すげえ! 彩子先生、ガーターベルトつけてんだ」
「たまんねえな。ゾクゾクしちゃうよ」
 驚きや興奮の声があがる。そのとき、「もっと、もっと」という掛け声があがりはじめた。
 覚悟はしたものの彩子はノーパンだ。さすがにそれ以上はスカートをあげることはできない。もしもここで、発情した牡の群れのような生徒たちに襲いかかられて、無理やりにスカートを引きあげられたら……。恐ろしいシーンが脳裏をよぎると同時に、頭のなかが真っ白になって彩子はその場にしゃがみ込んだ。
 
 胸がときめいていた。ときめきの正体が何か、彩子にはわかっていて、うろたえてもいた。
 帰宅してからも朝のホームルームの時間の卒倒せんばかりの興奮の余韻がつづいていたせいか、本間雅樹が部屋に来てくれるのを待ち望んでいるのだった。
 だが、本間は来なかった。来たのは電話だった。
 本間は新たな命令を彩子に伝えた。明日は上半身は今日の格好のままで、下もシースルーのショーツをつけて生徒たちの前で完全にスカートをあげて見せろという。それだけいうとこれまでと同じように一方的に電話を切った。
 ひどい……。
 彩子は心のなかでつぶやいた。本間の命令もだが、それ以上に彩子のことを翻弄するだけ翻弄しておいて冷たく放置しているような本間のやり方が、思わず恨めしくなったからだった。
 と同時に、本間がいっていた「調教」という言葉が脳裏に浮かんできて、彩子は戸惑った。これがその調教なのかもしれない。もしそうだとしたら、完全に本間の思惑にはめられているということになる。
 そのときまた電話が鳴った。出ると、智彦だった。なぜノーブラでわざわざシースルーのブラウスなんか着て、そのうえ生徒たちにスカートまでめくって見せたのかと、智彦は彩子を問い詰めた。
「いったでしょ、先生は露出狂だって。智彦も、もうこんな先生のことなんか気にしないで、先生とのことは忘れてみんなと同じようにしてなさいよ」
 ほかにいいようがなく、それにそのほうが智彦のためにもなると思いながら、彩子がそういうと、
「そんなこといって……もしも俺とは終わりにしようと思ってあんなことしてるんだったら、もうやめろよ」
「そんなことは思ってないわ。思ってたら、あんなことをするよりもちゃんと智彦に話すわよ。でも、もう話す必要もなさそうね。先生、智彦に軽蔑されてるはずだから」
「俺、軽蔑なんかしてないよ。でもあんなことをしてたら、みんなもなにをしだすかわからないし、先生だってうちの高校にいられなくなっちゃうよ。俺、それが心配なんだ」
「ありがとう、こんな先生でも心配してくれて」
 智彦の思いやりのある言葉に、彩子はふと涙ぐみそうになった。だがそのやさしさと純粋さは、いまの彩子にとって重荷でしかなかった。
「でも大丈夫よ。そんな心配はしないで。先生、そのときの覚悟はしてるから」
「そんな……いっとくけど俺、先生と別れるの、絶対いやだからね」
「智彦がそんなこというの、先生がはじめての女だからよ。同じ年頃の可愛い子好きになってごらんなさい。先生のことなんかすぐに忘れるわ。そういうものよ」
「何がそういうもんだよ。先生、俺のことちっともわかってないんだな」
 苛立ったようにいう智彦の気持ちが彩子には手に取るようにわかった。十五歳の少年は年上の女を相手にして、はじめて大人の気分になって恋愛をしているのだ。それはだが麻疹のようなものでしかない。
 彩子が黙っていると、智彦が話の矛先を変えてテレフォンセックスを求めてきた。
 テレフォンセックスなどしていたら、今夜はますます寝つけそうもない。調べ物があるからといって、彩子は応じなかった。
「じゃあ我慢するよ。そのかわり日曜日までたっぷり溜めておいて、先生の顔にドバッと顔面シャワーしちゃおうかな。いちどやってみたかったんだ」
 智彦は笑っていった。



第六章 女教師・悶える


【1】
 この日の野々宮彩子は、濃紺のタイトなスーツ姿で教室に入ってきた。
 生徒たちは、毎朝のホームルームの時間を、なによりも愉しみにしている。なにしろ女優の鈴木京香に似た美人でプロポーションも抜群の担任教師が、こんどはどんな刺戟的な姿を見せてくれるか、という期待と興奮でワクワクしているのだ。
 彩子が教壇に立って話しはじめても、生徒たちは誰もまともに彩子の話など聞いてはいない。いつ彩子がスーツの上着のボタンをはずしはじめるか、みんな固唾を呑んでそのときを待ってるのだ。まるでまだ女のヌードを見たことがない男がはじめてストリップ劇場の席に坐ってるみたいに。
 野々宮彩子も、それがわかっているから緊張した顔つきをしている。緊張すると美人の顔はますますきれいになる。見ていてゾクッとするほどだ。
 もっとも、緊張してはいるけれど、彩子の内心にあるのはそれだけではない。卒倒しそうな恥ずかしさに苛まれると同時に、それと同じぐらいのマゾヒスティックな興奮に襲われて、ドキドキハラハラしながらもゾクゾクしているはずだ。そしてもう、乳首がビンビンにオッ勃って、オマ×コはグショ濡れになっているにちがいない。
 そのとき、生徒たちがいっせいに身を乗りだした。彩子がスーツの上着のボタンをはずしはじめたからだ。
 教室のなかがざわめいた。今日も彩子はスーツの下にシースルーのブラウスを着ていたけれど、ブラウスの色が肌色にちかい色なものだから、スーツの間からのぞいている部分がまるで裸のように見えるのだ。
 彩子のオッパイは、プロポーションのいい躯自体そうだけど、とても三十歳には見えない。ちょっと反りぎみに形よく張りだして、まだきれいな色をしている乳暈の部分がこんもりと盛りあがっていて、思わずしゃぶりつきたくなる。
 そこで雅樹は、みんなが期待していることを代弁してやった。
「先生、今日もスカート持ちあげて見せてよ」
 それをきっかけに、ほかの生徒たちが「あげて、あげて」と、掛け声と手拍子ではやしたてた。昨日一人だけ「やめろ」といって一瞬みんなをシラケさせた三枝智彦も、今日は黙って見ている。
 彩子は上気したような、ゾクゾクするほど色っぽい顔つきになって、徐々にタイトスカートを持ちあげていく。
 今日も黒いガーターベルトでストッキングを吊っていた。ストッキングの切れ目からのぞいている白い太腿がたまらないほどエロティックだ。
 昨日は太腿の付け根あたりまでしか見せてくれなかったけれど、当然のことに生徒たちはそれ以上の露出を期待している。みんなの掛け声が「もっと、もっと」に変わって、手拍子にも一段と力がこもってきた。
 それに煽られたみたいに、彩子は恥ずかしそうに太腿をこすり合わせながら、さらにスカートを持ちあげていく。
 一瞬、教室のなかが水を打ったように静まりかえった。生徒たちはみんな、固唾を呑んだのだ。無理もない。彩子が腰の上までスカートを持ちあげて、たまらなく悩ましいスタイルの黒い下着をつけている下半身が剥きだしなのだ。
 しかもハイレグのショーツはシースルーときていて、前の部分に刺繍のようなものが入っているけれど、美貌には似合わない感じの、逆にそれがいやらしくて興奮をかきたてずにはおかない濃いめのヘアも、バッチリ透けて見えている。
「やったァ!」
 誰かが歓声をあげた。とたんにほかの生徒たちも「すげえ!」だの「たまんない!」だのと興奮の声をあげはじめた。
「彩子先生のヘアって意外に濃いんだなァ。先生、ついでにヘアの下も見せてよ」
 ふだんはおとなしい生徒の一人が、興奮のあまり過激なことをいいだした。
 チラッと彩子が雅樹のほうを見た。怯えたような表情をしている。生徒たちの興奮と熱気に恐れをなしたのか、そこで彩子はスカートをおろしていった。
 
 その夜、本間雅樹は野々宮彩子の部屋にいった。
 彩子はこわばった表情で雅樹を迎え入れた。怒っているのかと思っていると、そうではなかった。「ひどい!」というなりしがみついてきた。
 彩子の気持ちを引きつけようとした調教の第一段階は、どうやら成功したようだ。
 男はやさしいだけでは女の気持ちを引きつけることはできない。ときには冷たくすることが触媒に似た効果を発揮して、やさしさを倍加することになる。マゾッ気がある女の場合は、それが倍加するどころか数倍の効き目となって現われる。それは雅樹がこれまでの経験を通して得た、女を操るテクニックの一つだった。
 女教師は早くも興奮して息を乱していた。
 雅樹は抱きかえしてやさしく唇にキスした。密着した胸の感触で、彩子がノーブラなのがわかった。彩子の息遣いがせつなげな鼻声になる。雅樹が舌を滑り込ませていくと、彩子のほうから情熱的に舌をからめてきた。
 彩子の唾液に特有の匂いがこもっている。興奮している証拠だ。いやな匂いではない。発情した牝の匂いを想像させる官能的な臭いだ。
 雅樹の股間のモノもたちまち勃起してきて、彩子の下腹部を突きたてている。彩子のほうからその突起に下腹部をこすりつけるように腰をもじつかせる。たまらなさそうな鼻声を洩らして顔を振り、彩子が唇を離した。興奮が貼りついた凄艶な顔つきで、ハァハァ息を弾ませている。
「何がひどいんだ?」
 雅樹は笑って聞いた。
「決まってるでしょ。あなたがわたしにさせてることよ」
 彩子は顔をそむけていう。
 その表情を見て、それにしてもきれいだ、ゾクゾクすると雅樹はほくそ笑みながら、いった。
「ウソをつけ。それだけじゃないだろう。毎朝恥ずかしい格好を生徒に見られて、オマ×コのなかビチョビチョにしてるのに、俺が全然かまってくれないからだろ?」
「そんな……勝手なこといわないで」
 案の定、図星らしい。彩子の表情にも声にもうろたえた感じがある。
 雅樹はバッグから房鞭を取りだした。鞭の柄の部分を逆さまに持ち、その先で彩子の内腿を、ゆっくりとなぞりあげていく。
「ちがうっていうのか?」
「そんな……」
 彩子は両手で下腹部を押さえ、戸惑った表情を浮かべて両脚をすり合わせる。ストッキングは穿いていない。ナマ脚だ。時間的に見て、もう夕食も入浴もすませているはずで、服装も白いポロシャツにソフトジーンズのタイトスカートに着替えている。
 それでいて薄化粧をしているのは、俺を待ってた証拠じゃないか……。
 雅樹は気をよくしながらズボンのチャックをおろし、ブリーフのなかから怒張を取りだすと、彩子の片手をつかんで怒張に触らせた。
 彩子はハッと息を呑み、手を引きかけた。が、ためらいがちに指をからめてくる。
「そっちの手でスカートをあげて脚を開け」
 一瞬、逡巡するようすを見せたが、すぐに彩子はいうとおりにした。タイトスカートの下は黒いショーツだけだ。しかもTバックときている。
「こんどはこの格好をみんなに見せてやるか」
 笑っていいながら、鞭の柄を彩子の股間に食い込ませてこする。
「い、いやっ」
 彩子はうわずった声を洩らし、悩ましい表情を浮かべて腰をもじつかせる。雅樹の怒張をじんわりと握り、スカートを持った手を握り締めている。
「ほら、正直にいってみろ。俺にいじめてほしくてウズウズしてたんだろ?」
 鞭の柄で股間をこすりつづけながら、ポロシャツをめくりあげるなりノーブラの乳房をわしづかんだ。
 彩子の顔が苦悶の表情を浮かべてのけ反った。
「ああっ、そうよ。いじめてっ」
 昂った表情と声で彩子はいった。
「脱げ」
 命じると、肩で息をしながらポロシャツ、タイトスカートの順に脱いでいく。Tバックショーツだけになった彩子の両手を後ろ手にして手錠をかけた。
「いやらしいケツだな。ほら、いじめてやるからベッドにあがって四つん這いになれ」
 黒いTバックの紐しかない剥きだしのむっちりとした白いヒップを、手で撫でまわして追いたてると、彩子は素晴らしいプロポーションをしている熟れきった躯をくねらせながらベッドにあがり、いわれたとおりにした。
 雅樹の前に煽情的な眺めが露呈された。きれいな、それでいてたまらなく猥褻なハートの形を描いたヒップの割れ目に、ふっくらと盛りあがって迫りだした肉を縦に割った肉ビラがのぞき、肉ビラの間にTバックの黒い紐が食い込んでいる。しかも肉ビラはめくれたようになっていて、茶褐色の縁取りの内側のピンク色をした粘膜はジットリと濡れ、おまけに肉ビラのまわりに生えている短い縮れ毛が、その眺めをよけいに淫猥な感じを与えている。
「彩子、ケツの格好もいやらしいけど、オマ×コの眺めは超ワイセツだよ」
 わざと露骨な言い方をすると、
「いやァ、見ちゃあだめェ〜」
 三十歳の未亡人教師は、恥ずかしがるというよりもマゾッ気を煽られたような嬌声をあげて、くねくねとヒップを振る。
 そのヒップを狙って、雅樹は振りあげた房鞭を振りおろした。
 バシッ!……
 鈍い音と同時に彩子が悲痛な声をあげ、激しくヒップを振りたてる。その声と悶えくねるヒップが雅樹のサディスティックな欲望をかきたてた。
 つづけざまに彩子のヒップを打ちすえた。みるみる白いヒップが赤く色づき、それにつれて彩子は感じ入った声を洩らしはじめた。
「ほらァ、たまんないんだろ!?」
 そういって打ちすえると、
「ああっ!……い、いいっ。お尻が燃えてるゥ。ズキズキしてたまんない……」
 彩子はマゾヒスティックな興奮を持て余しているようにいって身悶える。
「マゾ女! 彩子はマゾ女ですっていってみろ」
「ああ、彩子はマゾ女です。ああん、もっとォ……もっとお尻ぶってェ」
 ますます被虐の興奮を煽られたようになって挑発するようにヒップを振る彩子に、雅樹はたてつづけに強烈な鞭を見舞った。
 すると、それまでにない感じ入った呻き声を放った彩子は、先日のときと同じようにズルズル上体を伸ばしていき、裸身を痙攣させながら絶頂を訴えた。
 荒く息を弾ませて、真っ赤に色づいたヒップをさももどかしそうにくねらせて悶えている彩子の腰から、Tバックショーツを抜き取った。熱いほど火照っているヒップを両手で撫でまわしてやると、彩子は気持ちよさそうな声を洩らす。
 雅樹は秘苑をまさぐってみた。
「オシッコ洩らしたみたいだぜ」
「ううん、だめェ〜」
 艶めかしい声でそういいながらも、ビチョビチョになっているクレバスをこすっている雅樹の指の動きに合わせて、彩子はたまらなさそうに淫らにヒップをうねらせる。そればかりか雅樹の指を入れたがっているかのように腰をくねらせたりする。
「もうオマ×コしたくて我慢できないって腰つきだぜ。そうなんだろ?」
 膣口をこねる雅樹の指先が、クチュクチュという卑猥な音を響かせる。
「ああん、したいッ……してェ」
「何をしたいのか、はっきりいってみろ」
「いやぁ……ああ、オマ×コしたい、したいの」
 眼をつむってはいるがベッドに横たえた顔に興奮に酔いしれた表情を浮かべて、ヒップを波打たせながら、未亡人教師はさかりのついた牝のようなことをいう。
「よォし、してやるよ。その前にしっかりしゃぶれ」
 雅樹も興奮を煽られて彩子を抱き起こした。
 
【2】
 先日のように彩子にアナルまで舐めまわさせた雅樹は、ふたたび彩子に鞭打ちのときと同じ体位を取らせると、小壜からワセリンを指先にすくい取った。
 全裸で後ろ手錠をかけられたまま、バックから犯してくださいといわんばかりの体位を取っている彩子は、あからさまになっている秘苑の上にアナルも露呈している。
 その褐色の蕾に、雅樹は指先を這わせた。その瞬間、息を呑む気配と同時に彩子は背中をまるめ、腰を振りたてた。
「いやっ、そこ、だめ……」
「俺のアナルまで舐めまわしてくれたおかえしだよ」
 いいながら雅樹は、硬く口をつぐんでいる蕾を、まァ〜るくこねてマッサージするようにする。
「そんな、だめよ、いけないわ」
 彩子はうわずった声でいって焦れるようにヒップを振る。アナルがヒクヒク痙攣しながら締めつけを解いていく。
「まだアナルでやったことはないのか?」
 彩子はうなずいた。額をベッドに押しつけているので表情は雅樹からは見えないが、呼吸が乱れてきている。マッサージでアナルがほぐれて性感が兆してきたらしい。ヒップの動きもそんな感じになって、もじもじと蠢いている。
「じゃあちょうどいいや。俺がアナルのバージンを奪ってやるよ」
 雅樹は指を埋めていった。ワセリンのぬめりに乗ってヌル〜ッと、狭い肉孔に指が滑り込んだ。
「はァ〜ん、だめ、ヘンになるからだめェ」
 息せききっていう彩子のアナルがキュ〜ッ、キュ〜ッと、繰りかえし雅樹の指を食い締めてくる。
「ヘンになるって、アナルを責められたことはあるのか? ひょっとして三枝の奴にいじくりまわされたんじゃないか。どうなんだ!?」
 肉孔のなかを指でこねまわして問い詰めると、彩子は狂おしそうに身悶えながらうなずく。
「へえ、三枝の奴もやるじゃん。それだし、いいとこあるぜ。彩子のバージンを俺に残しててくれるとは……」
 雅樹が悦に入っているうちに彩子は自分でいったとおりヘンになってきた。横たえた顔に興奮しきった表情を浮かべて、ハァハァ息を弾ませている。雅樹の指がこねまわしているアナルは、入口の部分がもうゴムのように伸縮自在の感じになってきていた。
 雅樹は指を抜き取った。自慢のペニスにコンドームをかぶせると、その上からたっぷりとワセリンを塗りつけて、彩子のアナルに肉棒を当てがった。
「入れるぜ」
「怖い、裂けちゃうわ」
 三十歳の未亡人が文字どおり処女のように怯えていう。
「大丈夫だよ。ほら、躯の力を抜いてろ」
 そういって雅樹は怒張の先をアナルにねじ込んだ。
 亀頭が狭小な口をこじ開けてヌルリと没し、そのまま突き進めると、強烈な密着感がある肉孔にズリュ〜という感じで、肉棒の根元ちかくまでおさまった。それまで息を詰めていたのだろう。アナルを貫かれると同時に彩子は大きな吐息を洩らした。
「うおッ、締めつけてくる! この締めつけがたまんないんだよ」
 エロティックなイキモノのようにクイッ、クイッと食い締めつけてくるアナルの入口の締めつけにあって、雅樹は興奮した声をあげた。
「どうだ? オマ×コはバージンのときはただ痛いだけだけど、アナルは最初からいいだろう?」
 ゆっくりと肉棒を抜き挿ししたり、肉棒でアナルのなかをこねまわしたりして聞くと、彩子は裸身をよじるようにして身悶えながら、
「うう〜ん、わたし、お尻で犯されてるのね?……うう〜ん、お尻がいいっ……お尻たまんない……」
 アナルにペニスを突っ込まれているのを自分で確認するようにいって、それでますますマゾッ気をかきたてられたらしく、うわごとのようにいって快感を訴える。
「そうだよ、俺のチ×ポが彩子のケツの穴にズッポリ入ってるんだ。いやらしいなァ。ズッポリ入ってズコズコしてるとこ、まる見えだよ」
 雅樹がわざと露骨な言い方をしてその言葉どおり腰を律動させて突きたてると、
「ああ〜ん、いい〜ん、いい〜ん」
 彩子はよがり泣きしはじめた。やがて「イク〜、イク〜」と絶頂を訴えて、イキッ放しの状態になってきた。
 美人教師の狂態にくわえて窮屈な肉孔とペニスの強い摩擦感でくすぐりたてられるような快感に襲われている雅樹も、我慢できなくなってきた。
「イクぞ!」
 いうなり突きあげると、彩子の絶頂の声を聞いて快感を解き放った。窮屈な肉孔のなかにおさまっているために、脈動するペニスから、ドピュン、ドピュンという感じで快感液がほとばしった。
 
【3】
 彩子は当初、アブノーマルな性癖を持った本間雅樹のことを空恐ろしく思っていたが、雅樹の奴隷になると誓わされて、智彦との関係や恥態写真を楯に雅樹のいいなりになっているうちに、しだいに自分自身のことが恐ろしくなってきた。マゾの歓びにめざめて、というよりもマゾヒスティックな快楽の虜になって、いまやその底なし沼のようななかにどっぷりと浸かってしまっているからだった。
 アダルトビデオに影響されたらしい智彦に、はじめて顔に精液をかけられたときも、めまいがするような興奮と陶酔につつまれてかるく達してしまったし、雅樹の命令どおり生徒たちの前で露出することにも、もはやごまかしようのないマゾの快感をおぼえるようになっていた。
 そんな彩子の反応を見てか、雅樹の調教もしだいにエスカレートしてきた。昨日などは朝のホームルームの時間だけでなく、彩子が担任をしているクラスの英語の時間にも、雅樹は彩子に露出を強要した。それも教室に入ってからはジャケットを脱ぎ、シースルーのブラウスにノーブラという格好のまま、授業をさせられたのだ。しかもスカートの下はガーターベルトとストッキングだけで、ノーパンだった。
 そんな辱しめを受けながらも彩子は、それまで以上に生徒たちの視線を感じて、内腿を濡らすほど興奮してしまった。そればかりか黒板に向かっているときなど、恐ろしいシーン−−興奮を抑えきれなくなった生徒たちに襲いかかられて、全裸にされた躯を寄ってたかって弄ばれた揚げ句、智彦から受けた顔面シャワーのように、生徒たちみんなから精液を浴びせられてしまう−−が脳裏をよぎり、怯えながらも躯中が熱くなって、めまいがするような興奮に襲われたりもした。
「大丈夫だよ。三枝以外のクラスのみんなに俺がちゃんといってあるから。彩子先生が教室で俺たちにして見せてくれていることは絶対に誰にもいっちゃいけない。いったら先生は学校にいられなくなって、俺たちの愉しみもなくなるぞって」
 先日、本間雅樹から電話がかかってきたとき彩子が、こんなことをしていたらそのうち大変なことになると怯えると、本間はそういっていたが、どこまで生徒たちが彩子のことを口外しないで秘密にしておいてくれるか、それはわからない。
 それを思うと彩子は、そうなったときのことも恐ろしかった。
 それでいて今夜も本間がくるかもしれないと思うと胸がときめき、風呂あがりに化粧をして下着もセクシーなもの−−白い肌と色の相性がいいアイスグリーンのハーフカップブラとハイレグのフルサポート・ショーツ−−を選んで身につけていた。
 そのとき、チャイムが鳴った。
 胸が高鳴った。出てみると、本間一人ではなかった。同じく彩子が担任をしているクラスの生徒の、望月達也もいっしょだった。
「どうしたの? こんな時間」
「ちょっと彩子先生のとこに遊びにいってみようって、俺が望月を誘ったんだ。いいだろ先生? 来いよ、望月」
 そういうと本間は彩子の返事も聞かないまま部屋にあがってきた。うろたえている彩子にペコンと頭をさげて、ぎごちないような笑いを浮かべて望月もあがってくる。
 彩子は胸騒ぎをおぼえた。本間がいつものバッグを手にしていたからだ。
 不吉な胸騒ぎをおぼえながら、二人にコーヒーを出そうとしたとき、彩子は手にしているトレーを落としそうになった。リビングテーブルの上にロープや手錠や鞭が並んでいたからだ。
「俺と彩子のこと、望月は知ってんだよ」
「そう。本間から聞いたとき、それも彩子先生が本間の奴隷だなんて、最初はウソ〜とか思って信じられなかったけど、マジだっていうんで驚いちゃったよ」
 本間がこともなげにいい、望月が興奮した顔つきでいった。
 彩子は頭のなかが白くなって言葉もなく、ただ立ち尽くしていた。すると本間が房鞭を手にして立ちあがった。彩子の手からトレーを取ってテーブルの上に置き、
「で、今日は3Pをやって盛りあがっちゃおうと思ってさ。彩子もそのほうが刺戟的でいいだろ? さ、脱げよ」
 と、鞭をちらつかせて命じる。
「いやっ。やめて……」
 彩子はうつ向いてかぶりを振った。ショックのあまり思考が停止していた。
「尻を叩かれなきゃいうことが聞けないのか、それとも二人してレイプされたほうがいいのか、どっちなんだ?」
 本間が鞭でかるくヒップを叩く。
「望月の奴、この前童貞を卒業したばかりなんだよ。それも俺が紹介してやった女の子をレイプしちゃって……ていってもソフト・レイプってやつだけど、こいつ、レイプが好きなんだよ」
「本間がそうしろっていったんじゃないか。彼女、犯されるのが好きだからそうしてやれって」
 望月が苦笑いしていう。
「じゃあおまえ、どっちがいいんだ? 彩子先生のストリップを見るのと先生をレイプするのと」
「レイプなんてできないよ」
「おまえずっと、彩子先生の熱狂的なファンだからな。ほら彩子、望月は先生のストリップが見たいんだってよ」
 いうなり本間がヒップを鞭で打ちすえた。
 彩子は呻いてのけ反った。本間に逆らうことはできない。覚悟を決めて脱ぎはじめた。上に着ているトレーナーを持ちあげて脱ぎ、ゆっくりとタイトスカートをおろして脚から抜き取った。
「ガーターベルトもいいけど、ふつうの下着つけてる彩子先生もたまんないな」
 アイスグリーンのブラとショーツだけになった彩子を見て、望月が早くも興奮したようすでいう。
 本間に命じられるまま彩子はブラをはずした。両腕を胸の前で交差して乳房を隠していると、ロープを手にした本間が、両手を背中にまわすように命じた。彩子は黙って従った。文字どおり奴隷のように従順になって、智彦と本間以外の生徒にはじめて剥きだしの乳房をさらす恥ずかしさに、そのときはじめて持ち前のマゾッ気が頭をもたげてくるのをおぼえながら。
 後ろ手に縛られバストの上下にもロープをまわされて、乳房を絞りだすようにして緊縛されると、惨めさと同時に胸が高鳴ってきて息が乱れた。グッと突きだした乳首を、本間が後ろから両手でつまんでこねながら、耳もとで囁いた。
「ああっ……望月クン、先生のショーツ、脱がせて」
 彩子は躯をくねらせながら、喘ぎ喘ぎいった。本間がそういえといったのだ。
「あ、はい」
 興奮して見ていた望月があわてていって立ちあがった。
「おまえな、授業中じゃないんだぞ」
 本間が笑っていう。
 望月は苦笑いしながら彩子の前にひざまずいた。ショーツに両手をかけると、興奮した顔つきになって、そろそろとずりさげていく。
 カッと燃えあがる羞恥に彩子は喘ぎ、太腿をよじり合わせてくねくねと腰を振った。
「望月、あとでたっぷり拝ませてやるよ。俺たちも脱ごうぜ」
 本間にいわれて、ショーツを抜き取って食い入るように彩子の下腹部を凝視していた望月も立ちあがった。すぐに二人はブリーフだけになった。雅樹はそれほどでもないが、望月のほうは早くもブリーフの前が突きあがっている。
 本間に連れられて彩子はベッドにあげられた。さっきから内心では戸惑っていた。これから二人がかりで凌辱される。そう思ったとき、胸がときめいて高鳴ってきたからだ。
 ベッドに仰向けに寝かされた彩子の上体を、本間が後ろから抱きかかえた。
「望月、憧れの彩子先生のオマ×コ見たいんだろ? 好きにしていいぞ」
 両手で乳房を揉みながら、彩子の気が遠くなるようなことをいう。
「じゃ先生、脚開いて……」
 足もとに坐っている望月が、下半身をくの字に曲げている彩子の膝を無理やりに開こうとする。
 彩子は無言のままかぶりを振り、必死に膝を締めつけた。だが本間に乳房を揉みしだかれて性感をかきたてられているため、思うように力が入らない。そればかりか感じた喘ぎ声が口をついて洩れた。望月に膝を押しひらかれた。
「ほらァ!」
 いきなり後ろから本間が彩子の両膝を抱えあげた。
「いやァ、だめェ〜!」
 彩子の口から嬌声がほとばしった。母親が幼い女の子にオシッコをさせるときのような格好にされて、望月の前にこれ見よがしに秘苑を露呈しているのだ。
「これが彩子先生のオマ×コか」
 秘苑を覗き込んでいる望月がうわずった声でいった。
「おまえ、童貞を卒業するまで、先生のそこを想像してマスかいてたんだろ?」
「そうだよ。彩子先生、マジにマゾなんだ。もうグショ濡れだよ」
 笑っていう本間に望月が興奮した声でいって、両手で秘苑を押し開く。
 頭のなかが真っ白になって声もなく顔をそむけていた彩子は、「だめッ」という声が喉に絡んだ。恥ずかしい部分を開かれた感覚と同時にクレバスがパックリと口を開けたいやらしい眺めが脳裏に浮かび、羞恥の炎に炙りたてられながらもそこがゾクッとして躯がふるえだした。
「すげえ! 彩子先生のオマ×コ、ヒクヒクしてマン汁流してる!」
 望月があからさまなことをいうなり秘苑にしゃぶりついてきた。
 彩子は昂った喘ぎ声を洩らしてのけ反った。望月の舌が過敏なクリトリスを闇雲に舐めまわし、本間の両手が乳房を揉みたてる。彩子はよがり泣きしはじめた。
 二人の生徒に責め嬲られる異常な状況が彩子のマゾヒスティックな興奮を煽りたて、あっというまにオルガスムスのうねりが襲ってきた。彩子は反りかえった躯をわななかせて絶頂を訴えた。
「俺、もうたまんないよ。ちょっと入れてもいいだろ?」
「ああ、でもまだ出すなよ」
 息を弾ませながら絶頂感の余韻に浸っている彩子の耳に、二人の遣り取りが聞こえていたかと思うと、望月が彩子のなかに押し入ってきた。快感の声をあげてのけ反った彩子の口もとに、本間が怒張を突きだす。凌辱される歓びにも似た興奮に襲われて、彩子は本間の怒張を舐めまわした。
 本間の怒張を咥えて顔を振っている彩子の蜜壷で、望月の肉棒がゆっくりとピストン運動する。
 二人の少年に上と下の口を犯されて、異常な興奮につつまれながらも彩子は、そのもどかしさにいやらしいほどせつない鼻声が洩れて、猥りがわしく腰をうねらせずにはいられない。
「ほら、先生、もうすっかりその気になっちゃってるぜ。もっとやってって腰つきになってる」
「たまんねえな、このいやらしい腰つき。それだし彩子先生のオマ×コも超気持ちいい。本間がいってたとおりだよ。熟女とやったら若い女の子なんかメじゃないってホントだな。俺、我慢できなくなってきちゃったよ」
「おい、こんなとこで出すなよ。お愉しみはこれからなんだから」
「わかってる。じゃ、抜くよ」
 望月の肉棒が彩子のなかから出ていく。
 彩子は本間の怒張を口腔でしごきながら、思わず、いやっ、と声にならない鼻声を洩らし、焦れるように腰を揺すった。
「見ろよ、こうなったら彩子先生もさかりのついた牝犬だ。これから牝犬らしく、このいやらしいケツをたっぷり鞭で叩いてお仕置きしてやろうぜ」
「俺、女の尻なんか叩いたこともないけどゾクゾクしちゃうよ。生徒が先生をお仕置きするなんてのもおもしれえよな」
 彩子をうつ伏せにしてヒップを手で撫でまわしながらサディスティックなことをいう本間に、望月も興奮している。
 身悶えながら彩子もヒップを鞭打たれることを望んでいた。そうでもされなければこの異常な状況に耐えられないという思いとはべつに、鞭で理性を粉々にされて打ち砕かれて燃えあがらされたあと、二人がかりで犯されて狂態を演じる場面を想ってマゾッ気を煽られながら。



第七章 女教師・堕ちる


【1】
 二人の生徒に凌辱された翌日、彩子は校長に辞職願いを提出した。
 本間雅樹は、彩子が学校を辞めれば智彦との関係をバラすといっていた。そんなことになれば智彦に迷惑がかかる。それを考えると彩子は本間に逆らうことができなかった。だが本間は彩子に望月とも関係させたのだ。もはや本間が彩子と生徒の関係を口外するとは思えなかった。
 残る問題は本間に撮られた彩子の恥態写真だったが、それは彩子だけが責任を取ればいいことだった。
 だが校長は彩子の辞職願いを受けつけなかった。「一身上の都合」という理由だけで、学年の途中で現場を放棄することは認められない、せめて終業式までは責任を果たすべきだ。校長からそういわれると、彩子はかえす言葉もなかった。まさに校長のいうとおりだった。
 その夜、本間雅樹から電話がかかってきた。いつもの命令を伝える電話だった。
 翌日、彩子が担任をしているクラスの英語の時間、教壇に立った彩子がスーツの上着を脱ぐのを見て、朝のホームルームの時間と同様に生徒たちはあからさまに落胆したようすを見せた。彩子が着ている白いブラウスが、シースルーではなかったからだ。
 本間雅樹を除いた生徒たちはみんな、彩子がもう露出するのはやめたと思ったかもしれない。
 シラケたような空気がただようなか、彩子は授業をはじめた。生徒たちに順番に教科書の英文を一段落ごと読んで日本語に訳すよう指示すると、教壇をおりて生徒たちの席の間をゆっくりと歩いていく。
 彩子はドキドキしていた。シースルーのブラウスは着ていないが、タイトスカートのなかはすべて黒のTバックショーツとガーターベルトにストッキングという下着をつけている。そして、そのまま歩いて本間の席のそばで立ち止まるように、本間から命令されているのだ。本間が何をしようとしているのか、彩子にはもう充分すぎるほどわかっていた。
 本間雅樹の席は、本間には都合がいいことに最後尾の端にある。その隣りが望月の席だった。
 二人の席の間のやや後ろ側までいったとき、彩子は立ち止まった。心臓が音をたてて高鳴っていた。
 本間が彩子を見あげてニヤリと、嗜虐的な笑いを浮かべた。案の定、本間の手がタイトスカートのなかに侵入してきた。
 彩子はあわてて片手でその手を制した。一方の手には教科書を持っている。
 彩子があからさまに拒めないのをいいことに、本間の手が太腿を撫であげて、締めつけて小刻みにふるえている内腿に無理やり分け入ってこようとする。彩子が太腿の締めつけを解かないとわかると、内腿の肉をギュッとツネった。
 思わず彩子は声をあげそうになって、すぐに締めつけを解いた。
 そのとき、望月がニヤニヤ笑いながら彩子を見あげているのに気づいた。どちらを向くこともできず、彩子はまっすぐに前を向いた。幸い、最後尾の端の席で起きている異変に気づいている生徒はいなかった。
 本間がTバックショーツの前の布を押しやってヘアを撫で、さらにクレバスに指を這わせてくる。彩子のそこは、すでに教室に入ってきたときから、ジトッとするほど濡れていた。
 彩子は必死に声を殺した。本間の指先がクリトリスをこねる。彩子は腰をもじつかせた。そうせずにはいられない。
 そのとき、望月までスカートのなかに手を入れてきた。やめて、と彩子が懇願する表情で見ると、望月は驚いた表情をしている。Tバックショーツに気づいたらしい。スカートの後ろ側から入れた手で剥きだし同然のヒップを撫でまわし、確かめるようにTバックのラインをなぞる。
 こんなところをほかの生徒に見つかったら、生徒たちみんなに襲いかかられて……。
 恐ろしいシーンが脳裏をよぎって、彩子は気が気でない。
 すると、本間の指が膣口をまさぐってきた。こねまわす。卑猥な音が響きそうなそこに、指が侵入してきた。
 ヌル〜ッと押し入ってくる指の感触といっしょに、躯がとろけるような快感が背筋を這いあがってきて彩子はふるえ、眉根を寄せてのけ反った。
 口を開けていなければ息ができない。本間の指で蜜壷をこねたてられて、込みあげてくる喘ぎを、そうやって吐息にして出した。それでも膝がふるえ、立っていられなくなりそうだった。
 すると本間が指を抜き、スカートのなかから手を引きあげた。
 ホッとしたのも束の間、こんどは望月が手を前にまわして秘苑をまさぐり、蜜壷に指を入れてきた。
 そのとき彩子は息を呑んだ。立ちあがって英文を日本語に訳していた斜め前方の席の生徒が突然、「先生」といってこっちを振りかえったのだ。望月も手を引きあげる暇はなかった。抜き挿ししていた指の動きを止めただけだった。
「ここんとこの訳が、よくわかんないんですけど……」
 彩子はますますうろたえた。そういわれてもその生徒がどこまで訳していたのかわからないのだ。
「どの単語?」
 とっさに当たり障りのない聞き方をすると、生徒が単語をいった。彩子がその意味を教えると、生徒は前に向き直って日本語訳をつづけはじめた。その間、彩子のうわずった声に異変を感じてこっちを見る生徒はいなかった。
 ホッと胸を撫でおろした彩子を、すぐまた性感がおそってきた。望月が蜜壷のなかをこねはじめたのだ。それだけではない。本間がこんどはスカートの後ろから手を入れて、あろうことか指先でアナルをまさぐってきたのだ。
 さすがに彩子はそれまでになくうろたえた。キュッとアナルを締めつけて腰をくねらせた。が、そんなことでは拒みきれない。
 本間の指先が硬く口をつぐんだアナルをマッサージするように押し揉む。それもヌルヌルした感触がある。ワセリンをポケットに忍ばせておいて、手を引きあげている間に指先に塗りつけたのかもしれない。
 彩子の狼狽をよそにアナルがヒクつきながら締めつけを解いていく。本間が指をこじ入れてきた。
 その瞬間、彩子は息を呑んだ。アナルに指が侵入してくる。ゾク〜ッとして躯が小刻みなふるえに襲われ、ハァ〜ンと吐息を必死に殺して吐きだした。
 だが彩子がまともでいられたのは、そこまでだった。皮膜を隔てて蜜壷を望月に、そしてアナルを本間に、同時にこねられているのだ。気が狂ってしまいそうな性感が襲ってきて、もうどうすることもできない。クイクイと腰が淫らに律動する。ハァハァ息が弾む。膝がガクガクふるえる。もう立っていられない。そう思った瞬間、目の前が真っ暗になって、その場にしゃがみ込んだ。
「先生、どうしたの!?」
「倒れちゃったの!?」
 教室が騒然となった。
「みんな、静かに!」
 本間が立ちあがっていった。
「さっきから俺と望月だけがゾクゾクしながら見てたんだけど、彩子先生、信じられないようなことしてたんだよ。な、望月?」
「ああ。もう俺ビックリしちゃって、でも興奮しちゃったよ」
「みんな、彩子先生、何をしてたと思う?」
「本間クン、やめてッ」
 床にしゃがみ込んだまま、彩子はいたたまれずにいった。
「わかんないよ。教えてくれよ、本間」
「そうだよ。彩子先生、何をしてたんだ?」
 生徒たちがいった。
「じゃあ教えてやるよ。みんなも絶対にビックリして興奮しちゃうはずだ」
 本間がもったいをつけて、それを愉しんでいるようにいった。
「彩子先生は、オナニーしてたんだ!」
「そんな!」
 彩子は絶句した。
 また教室中が騒然となった。
「ウソッ!?」
「マジかよォ」
 驚きの声にまじって、
「そういえば、さっから先生のようす、ちょっとおかしかったぜ」
「そうなんだよ。彩子先生って露出趣味があるからさ。さっきからこっそりやってるうちにきっと、授業中にオナってるのが刺戟になって夢中になっちゃったんだよ」
 本間がひどいことをいう。
「どうだい、みんな、先生だけが愉しんでるなんてずるいんじゃないか。こうなったら、先生にみんなの前でオナッてるとこ見せてもらおうじゃないか」
「そんな、そんなバカなことは……」
 狼狽しきっていう彩子の声は、「そうだ、そうだ」とはやしたてる生徒たちの声にかき消された。
 
【2】
 茫然として床に坐ったままの彩子の前で、いたたまれない、恐ろしい状況が展開していた。生徒たちがあわただしく机を並び変えているのだ。教室の中央を大きく開けて、その真んなかに畳二枚分ほどの広さに机を密着させて並べている。みんなを仕切っているのは本間だった。
「よォし、いいぞ。じゃあ彩子先生に登場してもらおう。先生、どうぞ!」
 本間が嬉々としていって、そばにきて彩子の手を取った。
「やめて、本間クン。おねがいだから、先生にそんなひどいことさせないで」
 彩子はかぶりを振って哀願した。
「いまさらそんなこといってもだめだよ。先生は授業中にオナッてたんだぜ。さ、あの舞台にあがってオナニー・ショーをやってみせろよ」
「そんな、あんまりだわ。ウソいわないで」
「ウソかどうか、先生のアソコを見ればわかるさ。ほら、みんな待ってんだ。早く舞台にあがりなよ」
 文字どおり舞台のような机を囲んで待っている生徒たちが、「あがれ、あがれ」とけしかける。
「ここで拒んだりしたら、クラスの連中はみんな、いままでに先生のしたこと、いいふらすぜ」
 彩子の耳もとで本間が囁いた。
 そんなことになれば、淫行教師の烙印を押されて学校を追われる。辞職とはまったく意味がちがうけれど、そういう責任の取り方もあるのではないか。不意に彩子の脳裏をそんな考えがよぎった。
 だが、すぐにべつの考えが浮かんだ。いっそのこと淫行教師なら淫行教師らしく、責任だけは全うすべきではないか。
 その考えと校長の言葉が重なって、そうすべきだと彩子は思った。
 彩子のなかで躊躇いが吹っ切れた。吹っ切れると同時に自虐的な思いが衝動のように込みあげてきた。
 彩子はゆっくりと立ちあがり、自分から生徒たちの輪のなかに入っていくと、中央の舞台にあがった。
「まず、彩子先生のストリップショーといこうか」
 本間がいうと、生徒たちがいっせいに拍手した。
 彩子は、まさにストリップ劇場の舞台に立ったストリッパーだった。それも生徒たちの前で演じる女教師ストリッパー! そのことにもうはっきりとマゾヒスティックな興奮をおぼえていた。
 彩子は机に横座りになってブラウスのボタンをはずしていった。ブラウスを脱ぐ。ハーフカップの黒いブラからのぞいている白い乳房のふくらみに生徒たちの視線が痛いほど突き刺さってきて、まるで緊縛されたときのように胸がときめく。
 ついで、坐ったまま腰を悩ましげにくねらせるようにしながらタイトスカートをおろしていく。彩子自身、本物のストリップショーを見たことはなかったが、生徒たちに視姦されているとひとりでに媚態を示していた。
 白い熟れきった裸身にガーターベルトをつけた悩殺的な黒い下着姿、しかもショーツはTバックだ。生徒たちがどよめいた。
 興奮のどよめきが彩子を突き動かした。思わせぶりにブラをはずす。乳房の芯がしこって乳首が突きあがっている。ふくらみが大きく喘いだ。
「さあ、いよいよTバックだぜ」
 本間がけしかけるようにいう。
 さすがに彩子は頬に血がのぼった。だが恥ずかしさ以上に露出する快感のようなものがあった。
 彩子は両手をショーツにかけた。腰をくねらせて両脚をすり合わせながら、ゆっくりとおろしていく。そのとき突然、生徒たちの輪の後方から駆けだした生徒がいた。彩子の恥態を見るに見かねたのか、智彦が教室から出ていった。
「なんだよ、三枝の奴。一番いいとこで邪魔しやがって。ま、どこのクラスだって変わり者はいるからな。ほっとけばいいさ」
 本間が苦笑していった。
「ほら、先生、つづけようぜ」
 いわれて彩子は腰のなかほどまでおろしていたショーツをそろそろとさげていき、太腿で下腹部を隠しながら交互に足から抜き取った。もはや身につけているものは、ガーターベルトとストッキングだけだった。
「それでいいよ。ガーターベルトとストッキングはつけてたほうが悩ましいからな。さ、オナニーショーのはじまりはじまり!」
 本間がはやしたてた。
 覚悟を決めて机の上にあがったものの、さすがに彩子は逡巡した。同じ演じることでもストリップとオナニーでは羞恥の度合いがまったくちがう。その恥ずかしさを想っただけで、めまいに襲われた。
 だが彩子は眼をつむって机の上に仰臥していた。片手で胸を隠し一方の手で下腹部を押さえて、腰をよじって。
 激しい心臓の鼓動が手に伝わってくる。眼をつむっていても、舐めまわすような生徒たちの視線をビンビン肌に感じて息が乱れ、ひとりでに裸身がくねる。
 彩子は片手で乳房を揉んだ。下腹部の手でヘアをまさぐって、指をクレバスに這わせていく。そこはまるで失禁したようになっていた。
 指先がクリトリスに触れると同時にヒクッと腰が跳ね、「ああっ」と感じ入った喘ぎ声が洩れた。
 生徒たちは固唾を呑んでいるのか、教室のなかは静まりかえっている。そのなかに彩子のせつない息遣いが流れる。
 両脚は股間に手が入る程度にわずかに開いているだけだった。だが、もしも本間かほかの生徒が「もっと脚を開け」なんていいだしたらどうしよう。恥ずかしさのあまりそれだけで失神してしまうかもしれない。そう思ってハラハラしながらも彩子は、きれぎれの感泣を洩らして淫らに腰をうねらせていた。恥ずかしい声や恥態に興奮を煽られ、マゾヒスティックな快感に酔いしれて。
 
【3】
 三枝智彦は、四ツ谷にあるS女子高の正門のちかくに立っていた。
 もうすべてのことが智彦にはわかっていた。彩子先生と本間が特別の関係にあることも、そしていままでに本間から聞いた女の話からして、先生が本間の奴隷にされて調教されていることも。
 畜生! 本間の奴、いまにみてろ!……
 智彦は胸のなかで呻いた。そのとき、S女子高の正門から出てくる生徒たちのなかに、智彦が待っていた女子高生の顔が見えた。
 S女子高二年、工藤美鈴。
 熟女専門で、若い女の子には興味がないといっている本間が唯一付き合っている女子高生だった。
 工藤美鈴は艶のある黒いロングヘアで、どことなく歌手の森高千里に似たタイプの顔をしている。それにグレイのブレザーとフレヤースカートの制服の上からでもプロポーションがいいことがわかる。
 智彦は美鈴のあとを追いかけて声をかけた。
「工藤美鈴さんだよね?」
「え!? そうですけど、なんですか?」
「ちょっと本間のことで話があるんだけど……」
「本間クンのこと?」
 美鈴には連れの女子高生が二人いた。だがそういえば美鈴が興味を示すだろうと智彦は確信していた。案の定、美鈴は連れの二人を先に帰した。
「話ってどんなこと?」
「女のことなんだ。聞けば、きみがビックリするような」
「何よ、もったいつけないで、ハッキリいえばいいでしょ」
「ところがちょっと込み入ってるんだ。で、どこか二人だけになれるところで話したいんだけど……」
「へえ、そういうこと……」
 美鈴はかるく睨み、笑みを浮かべながら、智彦の全身を舐めるように見る。智彦のほうは呆気に取られて聞いた。
「そういうことって、どういうこと?」
「トボケなくてもいいわよ。わたしのこと、本間クンから聞いてんでしょ?」
 美鈴は眼をキラキラさせて妖しい笑みを浮かべていう。
 いわれていることが智彦にはよくわからなかったが、ここはわかったふりをしていたほうがよさそうだと、とっさに判断していった。
「まァね」
「わたしも、あなたならオーケイよ。じゃいきましょうか」
 いうなり美鈴は智彦に腕をからめてきた。
「いくってどこに?」
「え〜ッ!? ホテルに決まってるじゃん。あなた大丈夫? まさか、はじめてってわけじゃないでしょうね。ホテル代持ってんの?」
「あ、ああ。ちゃんと持ってる。じゃいこうか」
 智彦はしどろもどろしていうと、あわててそばを通りかかったタクシーに向かって手を挙げた。
 
 そこは渋谷にあるラブホテルの一室だった。
 いったいどうなっているのか、智彦にはさっぱりわからなかった。わからないままに事は智彦の思惑どおりに運んでいた。
 本間に彩子先生を奪われた腹いせに、なんとかして美鈴をホテルに連れ込んでレイプしてやろうと思っていたのだが、なんとかするまでもなく、美鈴のほうからホテル行きを持ちかけてきたのだ。そこがわからない。
 美鈴が浴室から出てきた。シャワーを浴びたのにまた制服を着ている。
「ふふ、このほうがいいでしょ?」
 思わせぶりな笑みを浮かべて、また意味不明のことをいう。
「あなた、シャワーは?」
「どうしようかな」
 シャワーを浴びて出てきたら美鈴はいなかったなんてことになったら……。
 ふとそう思って智彦は迷った。
「いいわよ、浴びなくても。わたし、そういうのも嫌いじゃないから。でもゴムだけはつけてね」
「そういうのって?」
「ふふ、ちょっと臭うチンチン。あの臭い嗅がされちゃうと、クラッとしちゃうの」
 智彦よりは一つ年上だが、制服を着た可愛い女子高生がすごいことをいう。
 いったいなんだよ、こいつは!?……
 智彦は呆気に取られながらも、そのアンバランスなところに興奮して、美鈴をいきなり抱き寄せた。
「あっ、いやっ、やめて!」
 とたんに美鈴は激しく抵抗する。またまた智彦が呆気に取られていると、
「どうしたの?」
 美鈴が怪訝そうな顔をして聞いてきた。
「そっちこそどうしたんだよ、急に抵抗したりして」
「え!? 何いってんの、レイプごっこに決まってるじゃない。あなた、ホントに本間クンにわたしを紹介されたの?」
 智彦は素早く頭を回転させた。それでやっと大体のことがわかった。おそらく本間に調教されてそのことにめざめたのだろう。この女はレイプされるのが好きなんだ。しかも本間はどうやら、この女に男を紹介してレイプさせているらしい。
 そうとわかればますます遠慮することはない。智彦は美鈴に襲いかかった。
「待ってよォ! あなた誰? どういうことォ?」
 こんどは美鈴のほうが戸惑っていたが、智彦は聞く耳を持たなかった。抵抗する美鈴に馬乗りになると制服を毟り取った。上半身裸にすると、そこにあったホテルの浴衣の紐で美鈴の両手を無理やり後ろ手に縛りあげ、ついで下半身の着衣を脱がしていった。
「いやっ、ゆるして! やめて!」
 戸惑っていた美鈴だが、智彦のレイプ同然の行為にすっかりその気になってきたらしく、白地に黒い小さな水玉がプリントされたビキニショーツだけになった腰を激しく揺すりたてる。
 彩子がはじめての女で、同世代の若い女の子は知らない智彦も、若鮎のように跳ねる美鈴のピチピチした裸身を見て興奮しきっていた。ビキニショーツを抜き取ると、美鈴の両脚をこじ開けるようにして押し開いた。
「だめェ〜、いやァ!」
 美鈴が悲痛な声をあげて腰を振りたて、後ろ手に縛られた上半身をよじる。
 智彦の前に美鈴の秘苑があからさまになっていた。モヤッとした薄いヘアの下のそこは、けっこう遊んでいるにしてはきれいだ。ピンク色をした肉ビラはクレバスに添って埋もれたようになっていて、ツルツルしてみずみずしく、早くも濡れて光っている。
 智彦は押しひろげている美鈴の両脚の間に腰を入れ、両手でクレバスを押しひろげた。パックリと口が開いて白っぽいピンク色をした、濡れ光った粘膜が露わになった。そこにしゃぶりつき、クリトリスを舌でこねまわしてやると、いやがる美鈴の声がたちまち泣き声の喘ぎになって、引き締まった躯が狂おしそうにのけ反りはじめた。
 智彦が彩子に教えられたクンニのテクニックで責めたてると、美鈴はあっけなく昇りつめ、息せききった泣き声で絶頂を訴えながら裸身をわななかせた。
 そこで智彦は全裸になった。ペニスはとっくに腹を叩かんばかりになっていた。興奮した顔つきで息を弾ませている美鈴の口もとにペニスを突きつけると、洗っていない智彦の怒張に、うっとりとした表情の顔をこすりつけながら、チロチロと舌を出して舐めまわす。やがて咥えると、たまらなさそうな鼻声を洩らして顔を振ってしごく。
 たちまち智彦もたまらなくなった。美鈴のなかに押し入ると、すぐに激しく突きたてた。美鈴の蜜壷は彩子のような微妙な味わいはなかったが、窮屈で摩擦感だけは強い。
「ああん、いいっ、たまんないっ……イッちゃいそう!」
 ロングヘアを褥に美鈴がのけ反りながらよがり泣く。
 智彦は美鈴の上体を抱き起こして後ろ手に縛った紐を解いた。とたんに美鈴はしがみついてきた。しがみつかれた瞬間、智彦のなかにそれまでなかった女に対する感情が湧いてきた。
 
【4】
 教室のなかに設けられた舞台の上で、黒いガーターベルトとストッキングだけになった彩子は、とうとうここまでハレンチなことをさせられるようになってしまったと思って、いたたまれない気持ちに襲われていた。
 本間のことだから二度目は最初のようなオナニーの仕方では許してくれないだろうという彩子の予感は当たっていた。こんどは生徒たちの見ている前で、両脚ばかりか両手で局部まで開いて見せろと命じてきたのだ。
 そんな命令を受けていたたまれない気持ちになりながらも、彩子は昨日以上にドキドキハラハラして興奮し、早くもはしたないほど濡れてきていた。
 舞台に仰向けに寝ると、片手で乳房を愛撫しながら、ゆっくりと両脚の膝を立て、ふるえる脚を、そろそろと開いていく。
 生徒たちの視線が、はじめてあからさまにする秘苑に突き刺さってきて、それだけで彩子は躯がふるえ、喘いだ。
 この日、智彦は途中で教室から逃げだしたりしなかった。彩子を囲んでいる生徒たちの輪のなかのどこかで、彩子の恥態を凝視しているはずだった。
 ああ、智彦、見て。先生はこんなハレンチな女なの。だから、ほかの生徒たちと同じようにギラギラした男の眼で先生の恥ずかしいところを見て……。
 彩子は胸のなかでそう智彦に話しかけながら、両手を股間に這わせていくと、そっと秘唇を開いた。
 生徒たちに恥ずかしい部分のなかのなかまで見つめられている。そう想った瞬間、膣がゾクッと脈動してジュクッと蜜があふれ、とろとろと会陰部を流れ落ちていった。
 興奮した生徒たちがなにやらわめいていた。声は聞こえても何をいっているのか、もう彩子にはわからなかった。頭のなかが真っ白になって、躯のなかで吹き荒れている興奮という風に猥りがわしく裸身をうねらせていた。
 そのとき彩子のそばで声がした。本間の声だった。
「みんな、彩子先生のこのいやらしい腰つきを見ろよ。オマ×コオッぴろげて、早くやって、入れてって腰つきだぜ。誰か先生とやる勇気のある奴はいないか」
 本間がそういうのを聞いても彩子はうろたえなかった。生徒たちの見ている前でセックスまでして見せる、こんな淫行教師はどこにもいないだろう。そう思うと、堕ちるところまで堕ちていく自分に陶酔さえしていた。
 いつか智彦は、クラスの生徒たちは本間を除いてみんな童貞だといっていた。だから本間のいう勇気がある生徒はいないのか。誰もいないとしたら、智彦はそんなことはしないだろうから本間か望月が挑んでくるかもしれない。
「俺がやってやるよ!」
 突然、声があがった。
「三枝!? おまえ、マジにやるのか?」
 本間がそういうのを聞いて彩子も驚いた。どよめく生徒たちの輪のなかから、智彦が抜けだしてきた。
「ああ、俺が彩子先生をよがり泣きさせてやるよ」
 そういうなり制服を脱ぎはじめ、素っ裸になると舞台にあがってきた。ペニスはいきり勃っていた。
「先生、入れてやるから、その前にしゃぶりなよ」
 智彦はいままでにない顔つきと口調でいって、彩子の口もとに怒張を突きつけてきた。
 彩子は拒まなかった。そればかりか歓んで怒張に舌を這わせ、ねっとりとからめて舐めまわす。そして咥えると、うっとりとして顔を振った。
「先生、みんなの見てる前で何がしたいのか、いってみなよ」
 腰を引いた智彦が、彩子の顔をペニスで撫でまわしながらいう。
 彩子はめくるめく興奮につつまれていった。
「ああ、オマ×コしたいの。みんなに、先生がオマ×コしてるとこ、見てほしいの」
「よォし、みんなに見せつけてやろうぜ」
 智彦が彩子の両脚の間に腰を入れてきた。肉棒が彩子のなかに押し入ってくる。貫かれた瞬間、彩子はのけ反って快感の声をあげ、それだけで達してしまった。
 すぐに智彦は激しく突きたててきた。
 彩子はよがり泣きをあげはじめた。
「俺、もう我慢できないよ!」
 よがり泣きながらのけ反る彩子の眼に、生徒の一人がズボンの前からエレクトしたペニスを取りだすのが見えた。それをきっかけに「俺も」「俺も」という声があがって、エレクトしたペニスを手にした数人の生徒たちが彩子を取り囲み、怒張を手でしごきはじめた。
 異常な状況のなかで、彩子は、めくるめくオルガスムスの予感に襲われていた。生徒たちが発射するスペルマを全身に浴び、白濁液にまみれて、陶酔して身悶える自分の姿を想い浮かべながら……。



巨大モンスタークエスト名狙えるドロップ狙えるドロップ
I��
スルト(サイクロプス)目覚めし炎魔人炎巨人の心眼炎巨人の心眼
アイアンゴーレム虹玉鋼虹玉鋼

追加装備 ◆

武器名部位素材1素材2素材3基本性能Lv-GR
片手剣
両手剣
両手槌
槍
弓
杖

『人妻が啼いた痴漢通勤』雨宮 慶


1人妻が啼いた痴漢通勤


1
 美也子は電車のドアに肩を押しつけた格好で立っていた。下車する駅まで美也子のいる側のドアは開かない。
 それにしても毎度のことながら通勤ラッシュの車内は殺人的な込みようだった。
 とりわけ夏場のこの時期はたまらない。冷房もあまり効かない有り様だ。この先四十分ちかくも否応なく、見ず知らずの乗客と汗ばんだ体を密着させたままでいなければならないと思うと、うんざりする。
 この苦痛から解放された夫の雅彦を、美也子は羨ましく思った。
 コンピュータ・メーカーでシテスムエンジニアをしている夫は、会社がこの春から採用したシステムによって在宅勤務になった。そのため、都心にある会社への出勤は週に一度でいい。
 そういう生活のスタイルが、夫は性に合ったらしい。それまでそんなことなどしたこともなかったのに、「仕事の合間の息抜きにちょうどいい」といって家事をこなしてくれるようになった。そして、いまではすっかり主夫が板につき、おかげで共働きの美也子は大いに助かっている。
 夫の雅彦は三十二歳。西新宿にある大手家電メーカーの照明器具のショールームに勤務している美也子は、雅彦より三つ年下の二十九歳。結婚して四年になるが、まだ子供はいない。夫婦仲はよく、ある一点を除けばうまくいっている。
 ある一点というのは、セックスのことだ。
 まだ結婚して四年ほどだというのに、今年の初めあたりから雅彦が美也子を求める回数がめっきり減ってきた。一カ月に一回あればいいほうで、それ以上ないこともある。
 それが美也子には不満だった。といって夫がそのことをどう思っているのか聞くことも、ましてやそれとなく自分から求めることもできないタイプの美也子はなす術もない。
 夫のことから夫婦のセックスのことまで考えていた美也子は、そのときハッとして体を固くした。ヒップに異変を感じたからだ。
 なんだか、ソーセージのようなものを縦にして、ヒップに押しつけられているような感じ……。
(男のアレ? やだ、痴漢!)
 うろたえると同時に気色が悪くてゾクッとした。とっさにそれから逃れようとしたが身動きもままならない。ほんのわずかに腰を前に出したにすぎなかった。
 すると男はそれを見越したように、なおもペニスをヒップに押しつけてきた。
 美也子の前には女の、横には男の乗客がいる。二人とも美也子に背を向けているが、新宿駅で電車に乗ったときから後ろに男がいて、美也子のほうを向いていることはわかっていた。
 ペニスをヒップに押しつけているのは、その男以外に考えられない。
 確か男も新宿駅から乗車したはずだ。そのときにちらっと見ただけだが、男の感じは三十前後のサラリーマン風という以外、良くも悪くも印象として残るようなタイプではなかった。
 美也子はまたゾクッとした。ペニスがますます生々しく感じられるようになってきたのだ。それもムクッ、ムクッと脈動している感じがする。
(いやらしい、勃ってる!)
 美也子は狼狽して腰をもじつかせた。もうはっきりそうとわかるエレクトしたペニスの感触にうろたえただけではなかった。それがムクムク硬くなってくるのを感じて、気色悪さからだけではない身ぶるいに襲われたからだ。
 だが男は腰を引こうとはしない。そのためヒップをこわばりにこすりつけているような感じになって、美也子はあわてて腰をもじつかせるのをやめた。
(なんて男なの! 図々しい! いやがってるのがわからないの! だけど、ちょっとお尻を動かしただけだから、そう思ってないのかも……)
 憤慨し困惑していると、ヒップに別の感触があった。
 すぐに手だとわかった。その手がそろそろとヒップを撫でている。うろたえ、あわてて美也子は思った。
(やだ。早く手をつかんで、大声をあげて助けを求めなきゃ……)
 なにすんのよ、と大声をあげた瞬間、驚いた乗客たちがいっせいにこっちを見る。そのシーンが脳裏をよぎって美也子はたじろいだ。痴漢されるのも、みんなに見られて晒し者になるのも、いやだった。
(ああ、どうしたらいいの)
 焦ってそう思ったが、どうすることもできない。
 うろたえながらもあからさまに拒むこともできない美也子に、男は気をよくしたらしい。しだいに大胆にヒップを撫でまわしはじめた。
(やめてッ、いやッ……)
 美也子は胸のなかで叫びながら、ヒップをモジモジさせたり、尻朶をキュッ、キュッと繰りかえし締めつけたりすることしかできない。
 そのとき、男の手がセミミニのタイトスカートの裾をまさぐってきた。そろそろと太腿の裏側を撫であげてくる。
(そんな……やめてッ!)
 美也子はあわてて太腿を締めつけた。が、そんなことで男の手を拒むことはできない。ヒップまであがってきた手が、下着越しに尻のまるみを撫でまわしている。
 当然ながら、スカートよりもパンストとショーツの上から触られるほうがいやだし恥ずかしい。第一、いやらしい男の手の感触がよけいに生々しく感じられる。
 ところが美也子は戸惑うような感覚に襲われはじめていた。それまでとはちがう感じでゾクゾクしてしまうのだ。
(やだ、どうして? なんで?)
 そのことに気を奪われて油断していた。男の手の動きを感じてあわてて太腿を締めつけたときはすでに遅かった。股間に分け入ってきた手を、ギュッと内腿で挟みつけただけだった。
 恥ずかしい部分に男の手を感じたとたん、カッと全身が火になった。
(そんな……いやッ)
 熱くなった体に、ざわめきが湧き起こった。男が指先で下着越しにクレバスを掻くようにしているのだ。
 男の指先が繰りかえしそこを掻く。そのたびにゾクッとしてしまう。
(ああッ、だめ……)
 否応なくムズムズする性感をかきたてられて、美也子は喘ぎそうになった。
 どうにか声は殺せても、男の指の動きに合わせてひとりでに腰がいやらしく律動してしまう。
 それでも懸命に平静を装い、腰の動きを最小限に止めようとした。
 だが、男の指で掻きつづけられている秘めやかな部分の反応だけはどうすることもできない。もどかしい、そのぶんたまらない疼きをかきたてられて膣がざわめき、ジュクッと熱いものがあふれている。そのたびに体がふるえて喘ぎそうになる。
 そのとき、なぜか男が美也子の股間から手を引きあげていった。
 美也子はホッとした。と同時に困惑した。不意に物足りなさをおぼえたからだ。
 ところが男はまたスカートのなかに手を入れてきた。
 美也子はドキドキした。
 男が股間に手を入れてくる。
 美也子はもう拒まなかった。そればかりか、濡れて熱く疼いている恥ずかしい部分は男の指を待ち望んでいた。
 それなのに男は指をモゾモゾさせていただけで、また手を引きあげていった。
(どういうこと?)
 怪訝に思いながら、期待をはぐらかされてがっかりしていると、すぐにまた男が手を入れてきた。
 美也子はひどくうろたえた。股間をまさぐっていた男の指が、あろうことかショーツのなかにまで侵入してきたのだ。
(やだ、なんで?)
 そんなことを考えている暇はなかった。男の指先が、恥ずかしいほど濡れているクレバスに滑り込んできたのだ。息を呑むと同時にカッと頭のなかが熱くなり、ゾクッとして腰がひくついた。
 男の指がヌルヌルしているそこをこする。
(ああ、だめッ、だめよッ)
 胸のなかでそういいながらも、ゾクゾクする快感をかきたてられて、ひとりでに腰が動いてしまう。それも男の指の動きに合わせてクイクイと、小刻みにいやらしく律動する感じに。
 男の指で翻弄されながら、美也子は怯えた。
 これで感じやすいクリトリスを集中的に弄られたら、どうなるかわからない。いや、わかっている。声をこらえきれなくなって、それにもう立っていられなくて……。
 恐ろしいシーンが脳裏をよぎる。すると、男の指先がクリトリスではなく、膣の入口をこねるようにしはじめた。
 美也子はムズムズする性感に襲われて腰をもじつかせた。
(いけない、いけないわ)
 そう自分にいい聞かせながらも焦れったさをかきたてられて、ひとりでに腰がそんな感じに蠢いてしまう。
 ヌルッと、わずかに指が入ってきた。美也子は息をつめた。クッと、膣の入口が指を締めつける。まるで咥えるように。
 美也子は喘ぎそうになりながら、息を吐いた。吐きだす息と一緒にふっと、膣口の締めつけがとけた。
 それを待っていたように、ゆるゆると男の指が侵入してきた。いやらしいほど濡れそぼっているため、滑り込むような感じで。
 男の指が侵入してきたとき、また息を呑んだ美也子は、ふるえそうになりながら、ゆっくりと息を吐いた。
 膣が脈打つように収縮し、ジワッと、深々と侵入してきている男の指を締めつける。それも美也子の意思を離れてひとりでに繰りかえし締めつける。
 そのたびに身ぶるいするような性感に襲われる。もう口を開けていなければ息ができない。
 男がその指を動かしはじめた。ゆっくり、ねっとりと膣のなかをこねまわす。
 狂おしくなるような性感をかきたてられて、喘いでのけぞりそうになりながら、美也子は必死にそれをこらえ、必死に平静を装った。だが、腰がいやらしく蠢いてしまうのは止めようがない。
 それにいくら平静を装っても、興奮してこわばっている表情まではごまかせない。
(ああ、どうしよう。こんなところをほかの乗客に見つかったら……)
 そう思っただけで卒倒しそうになる。それでいて恐ろしいほどのスリルに、めまいがするような興奮をかきたてられてしまう。
(ああッ、もうどうなっても知らない。知らないから……)
 美也子は自暴自棄になった。男にもたれかかり、自分の意思で腰を律動させた。もうそうせずにはいられなかった。そうすることによって男の指がより生々しく感じられて、ますます快感が高まってくる。
(ああ、いいッ。イキそう……)
 もはや美也子は自制することができなかった。それどころかイキたくてたまらない。
 男は美也子が自分から腰を振りだしたのを見て、すっかりその気になってきた。もう遠慮はいらないと思ったのだろう。指でこねまわしたりピストン運動したりしている。
 快感のうねりが津波のようになって美也子を呑み込んだ。
(ああッ、イク!)
 美也子は内腿で男の手を締めつけた。快感が電流のように走り抜けて体がふるえ、頭のなかが真っ白になっていく……。
 ヌルリと指を抜かれて我れにかえった。電車が駅のホームにさしかかっていた。まだ美也子がおりる駅ではなかった。
 そのとき、美也子の手になにか触れた。後ろから男が封筒を差しだしていた。
 美也子はそれを手にした。なにも考えずに、というよりそんな余裕もなく。すると男は、この駅でおりるらしく、乗客を分けて反対側のドアのほうに向かっていった。
2
 美也子は今までにも何度か痴漢にあったことがある。といってもそれは、それとなく腕で胸を触られたり、手で太腿やヒップを撫でられたりした程度のことだった。
 それにここしばらくはそういうこともなかった。
 それが性器に指を挿入されてイカされたのだから、さすがにショックだった。
 いままでの美也子なら、そんなことをされる前に、というより痴漢だとわかった瞬間に撥ねつけていたはずだった。
 なのにあのときは、声をあげることも、毅然として拒むこともできなかった。あのときにかぎって、そんなことをして乗客の晒し者になるのはいやだと思ったからだった。
 どうしてあのときにかぎってそう思ったのか。
 冷静になって考えてみると、いや考えるまでもなく、美也子にはもうわかっていた。
 晒し者になるのはいやだと思ったのも事実だが、あのとき美也子は、男の痴漢行為をいやがりながら、じつは最初から心のどこかでそれを期待していたところもあったと認めざるを得ない。むしろそれを認めたくないがために晒し者になるのはいやだと思った、というのが本当のところだった。
 そして、痴漢のされるままになった。というより途中からは美也子自身、その刺戟と興奮がたまらなくなって、あげくの果てにイッてしまった。
 そんなことになってしまった原因も、もう美也子にはわかっていた。一言でいえば、すべては欲求不満のせいだった。
 あのとき男から渡された封筒のなかには、手紙と現金千円が入っていた。手紙にはこう書かれていた。
『初めまして。痴漢行為を許していただいて感謝、感激です。いかがでしたか?
 きっと貴女も楽しんでいただけたものと確信しています。そこで、お願いです。これからも僕の痴漢プレイに付き合ってください。でもご心配なく。お互いにプライベートなことは秘密にして痴漢プレイを楽しみたいのです。そうでなくちゃ刺戟もスリルもありませんから。これは僕の持論です。だから安心して、ぜひ付き合ってください。お願いしま
す!
 それから同封した千円は、パンストに穴を開けちゃったお詫びの印です。自慢じゃないけど、僕はそういう特技の持主なんですよ。でも今度お会いするときは、できればパンストではなくガーターベルトを着用していただけるとありがたいですね。ガーターベルトとTバックショーツなんて最高です。ぜひそうしてください!
 では、またお会いできることを期待して新宿駅のホームでお待ちしています。                           貴女の秘密の恋人《黄金の指》より』
 まるで人を食ったようなその手紙を読んだとき、美也子は憤慨した。冗談じゃないと思った。
 それでいて「プライベートなことは秘密にして痴漢プレイを楽しみたい」とか、「ガーターベルトとTバックショーツなんて最高」といった手紙の一節が頭から離れなかった。
 そればかりか、胸騒ぎのようなものをおぼえていた。


 翌日、美也子は仕事中も落ち着いていられなかった。
 駅のホームであの男に見つかって、また痴漢されたら……。
 そう思うと気が気ではなかった。
 どこかで暇をつぶして電車に乗る時間帯を遅らせようか。
 そうも思ったが、どうしてあんな男のためにそんなことをしなきゃいけないのかと腹が立った。
 ところが終業時間が近づくにつれて、息苦しいほど胸が高鳴ってきた。
 もはや美也子は自分の気持ちをごまかすことができなかった。本当のところはあの男の痴漢行為を期待していたのだ。昨日と同じように美也子自身そうとわかっていながら、それを認めたくないがためにそうではないと、そのときまで本当の自分の気持ちをごまかしていたにすぎなかったのだった。
 新宿駅のホームに足を踏み入れたとき、美也子はまるで雲の上を歩いているようだった。息がつまるような胸の高鳴りはもとより、男の痴漢行為が頭をよぎってめまいがしそうだった。
 そればかりか恥ずかしい部分が疼いて、早くもいやらしいほど濡れてきていた。
 例によって駅のホームは帰宅ラッシュの人であふれていた。美也子はいつもホームのほぼ同じ場所から電車に乗る。通勤しているうちにそれが習慣になっていた。
 電車に乗る場所を変えれば、男に見つかることはないかもしれない。だが美也子はいつもと同じ場所の乗客の列に並んだ。それは、手紙で痴漢プレイを求めてきた男に対して、オーケイのサインを出したも同然だった。
 乗客の列に並ぶと、すぐに美也子の後ろに男が来た。ちらりと美也子は男を見た。あの男にまちがいなかった。男のほうはどこからか美也子を見ていたらしい。
 男が後ろに来たときから、美也子の心臓の鼓動は相手に聞こえるのではないかと思うほど高鳴っていた。
 そのうえ、これまで以上に昨日の男の痴漢行為が生々しく頭に浮かんできて、内腿のあたりに痛みをともなったような疼きが生まれる。それにつれて恥ずかしい部分がざわめき、膝がふるえそうだった。
 やがて電車がホームに入ってきた。ドアが開いてどっと降車客が出てくる。入れ替わりに乗客が車内になだれ込む。その動きに乗じたようにして、男は美也子を座席の間の通路のなかほどに押し込んだ。
 美也子の前には若い女の乗客がいたが、同性でも向き合うのを避けたのだろう。その若い女は美也子に背中を向けていた。両側の乗客は吊り革につかまって座席のほうを向いている。痴漢にとっては都合のいい状況だった。
 美也子は自分のことがわからなくなっていた。男に痴漢プレイに応じる意思表示をしたことでいたたまれない恥辱をかきたてられながらも、その行為を期待し、スリルを想ってドキドキハラハラしているからだった。
 電車が駅を出てほどなく、男が美也子のヒップに股間を押しつけてきた。
 早くもこわばっているペニスを感じたとたん、美也子はカッと全身が熱くなった。
 その生々しい感触を受けると同時にキュッと引き締めた尻朶が、ひとりでにひくつく。ペニスがムクムク勃っているのを感じてゾクゾクし、喘ぎそうになる。
 男がヒップに手を這わせてきた。
 美也子の胸のうちがわかっているからだろう。昨日の男の行為には、初めのうち美也子の反応をうかがう感じがあったが、今日は昨日よりも大胆にヒップを撫でまわす。
 その手が、まるで当たり前のようにスカートのなかに侵入してくる。
 男は手紙でガーターベルトとTバックショーツの着用を求めていたが、美也子はパンストにハイレグショーツをつけていた。Tバックは持っていたが、ガーターベルトなど着けたこともなかったし、持ってもいなかった。かりに持っていても、さすがにそこまではできなかった。
 男はなぜか昨日のようにパンストに穴を開けようとはしなかった。いつまでも下着越しに指でクレバスをこすったり、指先でクリトリスや膣口のあたりをこねまわしたりしているだけだった。
 ムズムズする性感をかきたてられて、美也子はいやらしく腰を振っていた。そうやって弄られているうちに膣が脈動し、熱い蜜があふれだしていた。
 それにつれて膣が泣きたいほど疼きだして、そのなかを男の指で掻きまわしてほしくてたまらなくなってきた。
 そんな自分に戸惑いながらも焦れったさをかきたてられて、
(どうして? なぜ昨日みたいにしないの? ずっとこのままなんていやよォ)
 思わず胸のなかで不満を訴えた。
 だが男はいっこうにそうしてくれない。
 美也子は我慢できなくなった。パンストに穴を開けないのなら、下着をおろされてそうされてもいいとさえ思った。そう思わずにはいられないほどムズムズがたまらなくなってきていた。
 そのとき、男の指がクリトリスを摘んでこねはじめた。下着越しでも、ビンビンに勃起している過敏なそこをいじられると、鋭い快感の疼きが湧きあがって体を駆け抜けていく。
(ああ、だめッ……イクッ、イッちゃう!)
 全身が硬直してふるえが走り、あっけなく美也子は達した。
 すぐにあわててまわりを見まわした。達した瞬間、必死に体のふるえをこらえて最小限にとどめたせいか、ほかの乗客に気づかれたようすはなかった。
 ホッとしたのも束の間、ますます秘奥が疼いてたまらなくなってきた。
 すでにセックスの歓びを知っている美也子の体は、クリトリスでイッただけでは満足できない。それどころか、そうなるとますます膣が疼き、そのなかを硬い男のモノで突きたてたり、かきまわしたりしてほしくてたまらなくなる。
 ところが男はそれだけで痴漢行為をやめ、さっさと電車をおりていった。
(ひどい!)
 取り残された美也子は、泣きたくなるような疼きと恨めしさから、思わず胸のなかで男をなじった。


3
 翌日も美也子は男の痴漢プレイに付き合った。
 昨日は期待をはぐらかされて体の奥の疼きを鎮めるのに困ったが、それでもスリルと興奮は大変なものだった。
 それに男の手紙にあったように、プライベートなことは秘密のまま、電車のなかでの痴漢行為だけで、最後の一線は越えないのだ。そう思うと、美也子には不倫の経験はないが、そういう罪悪感も湧かず、スリルと興奮を愉しみたいという気持ちがめばえてきていた。
 だがこの日も男はパンストに穴を開けることはしなかった。ただ、昨日と同じように下着越しに秘部を弄りまわしてクリトリスで美也子をイカせると、この日は下着ごと膣に指を押し込んできた。
 指先がわずかに没した程度だが、そのまま膣口をこねまわされてもどかしさをかきたてられているうちに、美也子は膣でもイッてしまった。
 ところがその翌日、男は現われなかった。
 美也子はがっかりしながら、思った。
 なにか都合のわるいことでもあったのか。それとも彼の期待する下着をつけてこないからおもしろくないと思い、もう痴漢プレイをつづける気がなくなってしまったのか。
 次の日、新宿駅のホームに立った美也子は、それだけでドキドキする下着をつけていた。昼休みにデパートの下着売場へ行き、思いきって赤いブラとTバックショーツとガーターベルトの三点セットと、それに肌色のセパレーツのストッキングを買ってきて、ショウルームのトイレで下着をつけ替えたのだ。
 初めてガーターベルトをつけてみると、自分でもプロポーションには自信がある下半身が、ドキッとするほどセクシーに見えた。
 そのうえヒップが剥きだしのTバックだ。あまりに刺戟的すぎて、なんだか娼婦みたいだと思った。そう思うとドキドキした。
 ただ、問題ははたして彼が現われるかどうかだった。
 だが、彼は美也子の期待を裏切らなかった。胸をときめかせている美也子の後ろに張りついて電車に乗り込むと、さっそくヒップを撫でまわし、ついでセミミニのタイトスカートのなかに手を入れてきた。
 太腿を這いあがってくる彼の手が、セパレーツのストッキングの切れ目まできたところで止まった。
「いいね、最高だよ」
 初めて彼が声を発した。美也子の耳もとで、ほかの乗客には聞こえない小声で囁いたのだが、嬉しさと興奮がこもっているような声だった。
 もう膣に指まで入れられている美也子だが、彼の声を聞いただけでカッと全身が熱くなった。声を聞くことによって太腿に触れている彼の手がよけいに生々しく感じられ、急に恥ずかしくなったのだ。
 その手がさらに這いあがってくる。Tバックショーツとガーターベルトのストラップをなぞるようにしながら、剥きだしのヒップを撫でまわす。
 美也子は尻朶をひくつかせながら、Tバックの紐が食い込んでいるクレバスが、もうジトッとするほど濡れてきているのを感じていた。
 Tバックを穿くと、紐がクレバスに食い込み、唇に似た肉びらが分かれて迫りだした感じになる。いやらしい状態になっているそこに、彼の指が這ってきた。
 指先が、ヌルヌルするほど濡れている肉びらをなぞる。いやらしさと恥ずかしさに美也子は体がふるえた。ゾクゾクする興奮のふるえだった。
 まわりの乗客に警戒の視線を走らせながら、美也子はときおり顔をあお向けたり、うつ向けたりしていた。
 もうとっくにビンビンに膨れあがっているクリトリスに彼の指が触れるたびに鋭い快感の疼きに襲われて、のけぞらずにはいられない。
 その瞬間は息を呑み、必死に無表情を装って顔をあお向ける。そして、彼の指がクリトリスをはずれて膣口のあたりをこねだすと、うつ向いて息を吐きだし、ムズムズする性感に腰をもじつかせずにはいられない。
(ああ、だめッ、焦らしちゃいや……もう、してッ。入れてッ)
 美也子はたまりかねて胸のなかで懇願した。ひとりでに腰がいやらしく蠢く。
 そんな反応から美也子の気持ちを察したように彼の指が侵入してきた。ぬかるみ状態の膣にヌル〜ッと押し入ってくる。
(ああン、いいッ!)
 身ぶるいするような快感の疼きが湧きあがる。
 彼の指が美也子のなかをこねる。こねまわしながら、ピストン運動もする。
 腰のあたりがとろけるような快感につつまれて、美也子は彼に体を預けた。そうしないと立っていられなくなりそうだった。
 彼にもたれたまま、まるで騎乗位でセックスしているときのようにクイクイッと腰を律動させた。
(このままイキたい……ああ、イカせてッ)
 美也子はそう切望して、めくるめくその瞬間に向かっていった。


 初めて痴漢されたときと同じように指を入れられてイカされた美也子は、電車をおりて帰宅する途中、ふと思った。
 昨日彼が現われなかったのは、ガーターベルトやTバックをつけてこさせるための策略だったのでは……。
 もしそうだとしたら、まんまと策略にひっかかったことになる。
 それでも美也子は怒る気になれなかった。それどころか、痴漢プレイに新たな刺戟が加わったことで胸がときめき、ひとりでに頬がゆるんでいた。
 帰宅すると、すっかり主夫している夫の雅彦が、すでに夕食を作って待ってくれていた。
「どうしたんだ? やけに嬉しそうな顔してるけど、なにかいいことでもあったのか」
 いきなりそういわれて、美也子はドキッとした。平静を装っていたつもりだが、胸のときめきが顔に出ていたのかもしれない。
 美也子はあわててごまかした。
「ううん、そんなんじゃないの。あなたが主夫してくれるおかげで、わたしのほうは大助かりだと思って……すぐ着替えてくるわ」
 作り笑いを浮かべてそういうと、早々に夫の前から退散して寝室に入った。さすがにチクリと胸が痛んだ。
 こんな下着、夫には見せられないわ……。
 そう思いながら、手早く着替えをしかけたとき、いきなり寝室のドアが開いた。ちょうど下着姿になっていた美也子は隠す余裕もなく、固まってしまった。
「おッ、すごい下着をつけてるじゃないか!」
 夫が驚きの声をあげて寝室に入ってきた。美也子は狼狽しきっていった。
「やだ、いきなり入ってくるんだもの。たまにはちょっと刺戟的な下着をつけるのもいいかなって思っただけよ」
「いいよ。マジにその下着、刺戟的だよ」
 夫が興奮したようにいった。
「でもまさか、浮気のためにそんな刺戟的な下着つけてんじゃないだろうな」
「そんな……ひどいわ!」
 思わず美也子は声を高め、憤慨していった。
「だって、あなたがちっともかまってくれないからじゃないの。だから下着だけでも刺戟的なものをって思っただけなのに」
「ごめんごめん。冗談だよ。俺だって美也子のことは信じてるよ」
 夫はあわてたようすで笑っていい、急に生真面目な顔つきになったかと思うと、いきなり美也子を抱きしめてきた。
「あッ、待って。食事しなきゃ……」
 美也子はあわてた。痴漢の指でさんざん弄ばれた秘部を夫に見られたら困る。
「食事なんかあとでいいよ。それより今、美也子もいったじゃないか。俺がちっともかまってくれないって。俺も気にはしてたんだよ。美也子のことを愛してるのに、どうしてその気になれないんだろうって。愛しすぎちゃってるからそうなのかな、なんて思ったりもして。だけど美也子のこんな下着姿見たら、急にムラムラッときちゃったんだ」
 夫は興奮して一気にいうと、キスしてきた。
 美也子は拒むことができなかった。二人がセックスについてそんな会話を交わしたのは初めてのことだったし、夫も悩んでいたのだと思うと、それまで夫婦の間にあった目に見えないバリアのようなものが氷解したような気がして嬉しくなった。
 美也子からも情熱的に舌をからめていると、みるみる夫の分身がこわばってきた。下腹部にそれを感じて、痴漢の指でイカされた体がまた疼いてくる。
 うろたえながらも美也子が言いわけを考えていると、夫が背中のブラホックをはずして唇を離した。
「せっかく刺戟的な下着つけてんだから、そのままでいいよ」
 そういってブラだけ抜き取ると、夫は手早く服を脱いでいく。裸になると、早くもペニスが突きあがっていた。
 赤いTバックショーツに同じく赤いガーターベルトで肌色のストッキングを吊った格好の美也子を、夫は後ろから抱いた。エレクトしたペニスを剥きだしのヒップに突きたてながら、ベッドにあげていく。
 生々しくペニスを感じながらベッドにあお向けになった美也子も、もう興奮しきった表情で息が弾んでいた。
 美也子の両脚の間で屈み込んだ夫が、ショーツを横にずらしてそこを覗き込む。
「すごいな。もうグショ濡れじゃないか」
 美也子は顔をそむけると、さっき言いわけを考えていて思いついたとおりに、うわずった声でいった。
「いや。だって久しぶりだからよ」
 するといきなり夫がそこに口をつけてきた。
「あッ、だめ、だめよッ。お風呂まだだからァ……」
 美也子はうろたえて身悶えた。だが、まだ痴漢に翻弄された余韻を引きずっている体は、クリトリスを責めたてるようにこねまわす夫の舌で、たちまち火をつけられてしまう。
 きれぎれに感泣してのけぞりながら、美也子はあっけなく昇りつめていった。
 夫が起きあがった。美也子は自分から夫の股間に這い寄っていくと、怒張をねっとりと舐めまわした。
 痴漢の指でこねまわされた秘奥を、逞しいそれで突きたててほしくてたまらなくなり、そうせずにはいられなかった。
 怒張を咥えて顔を振りはじめると、夫が横座りになっている美也子の腰を引き寄せた。ヒップの側からクレバスに指を這わせてきて、ヌルヌルした膣口をこねるようにする。
「指よりもうペニスのほうがいいか?」
 まるで胸のうちを見透かしたようなことをいう夫に、美也子は戸惑った。それでもたまりかねて、大きくうなずきかえした。
 夫はふたたび美也子をあお向けにすると、またショーツを横にずらしてそのまま押し入ってきた。一気に奥まで貫かれて、美也子はそれだけでかるくイッてしまった。
 夫が美也子を抱き起こした。
「ほら、見てごらん」
 夫にいわれるまま、美也子は股間を見やった。ショーツが横にずれて、濡れそぼっている肉びらの間に、まさにズッポリという感じで肉棒が突き入っている生々しい眺めがまともに目に入った。
「ああン、いやらしい!」
「いやらしいとこが刺戟的でいいだろ?」
 ヌラヌラと濡れ光った肉棒を突き引きして夫が見せつける。
「ああ、いいッ……あなた、いいッ」
 いうなり美也子は夫にしがみつき、自分から狂ったように腰を振りたてていった。


 それからも美也子は《黄金の指》と名乗る男との痴漢プレイをつづけていた。
 といっても毎日ではなかった。『これからは週に二回と決めてプレイしよう。そのほうが新鮮だから』と彼が手紙でいってきたため、そうしていた。
 美也子もそのほうがよかった。ただ、不思議なことに、彼と痴漢プレイを愉しんで帰宅すると、決まって夫の雅彦は美也子を求めてきた。
 夫との行為が週に二回もあれば、痴漢プレイなどしなくてもよさそうなものだが、美也子にとってそれが前戯のようになってしまい、やめられなかった。
 そんなある朝、美也子は家を出てほどなく、忘れ物をしていることに気づいた。引きかえすと、夫が誰かと電話で話しているらしく、仕事場から愉しげな笑い声が聞こえてきた。
 美也子は忘れ物を持って、黙って出ていこうとした。そのとき、「痴漢」という声が耳に入って慄然とした。
 恐るおそるわずかにドアを開けて仕事場を覗いて見ると、夫はパソコンのディスプレイを見ながら電話で話していた。
 その夜、美也子は夫が風呂に入っている間にパソコンを操作し、受信メールを調べてみた。
 美也子はショックのあまり茫然となった。あろうことか、《黄金の指》と名乗る男から美也子との痴漢プレイの一部始終が夫に報告されていたのだ。
 メールを読んでいくうちに、彼が痴漢マニアが主宰するパティオのメンバーで、夫もそのメンバーに加わって彼と知り合い、美也子に痴漢行為をしかけるよう頼んだらしいこともわかった。
(二人してわたしを騙していたなんて、ひどい!)
 美也子は怒りが込みあげてきた。


「へえ〜、ご主人そんなことしてたの。そりゃあ美也子にとってはショックよね。美也子が痴漢としてたこと、みんなご主人に筒抜けなんだもの」
 そこまで美也子の話を興奮したようすで聞いていた由起が、唖然とした表情でいった。 二人は女子大時代からの親友で、由起は高校の英語教師をしているが、今でもたまに会って近況やプライベートなことなどを話し合っている。それも事情はちがうが、二人とも結婚していて夫婦のセックスに問題を抱えているところは似ていたので、おたがいにそんな悩みを打ち明けあったりもしていた。
 もっともここしばらくはおたがいに連絡がなかったため、顔を合わせるのは久しぶりだった。
 二人は日曜日のこの日、都心のホテルで落ち合った。そして、ホテルのなかにあるケーキが美味しいと評判の店にきて話しているうち、美也子がそんな話をしたのだった。
「それにしても驚いたわ。美也子にもそんなことが起きてたなんて」
「わたしにも? それってどういうこと?」
 由起が妙な言い方をしたので美也子は聞いた。
「じつはわたしもね、おかしなことになっちゃってるの」
 由起は苦笑いしていった。


4
 早朝、拓也の部屋に向かう由起の胸はときめいていた。
 それは今日にかぎったことではなかった。病院に入院中の拓也を見舞っていたときはそんなことはなかったが、一週間前に退院した拓也の部屋に行くようになってからは、いつもこうだった。
 昨日まで由起は、学校の帰りに毎日のように拓也が入居しているワンルームマンションの部屋に行って、夕食をつくったり身のまわりの世話をしたりしてきた。
 ところがこの日は授業が終わったあとで職員会議が予定されていたため、いつもより二時間ほど早く自宅を出て、学校に出る前に拓也の部屋に向かっているのだった。
 拓也が入院しなければならないほどの重傷を負ったのは、由起の身にふりかかった災難がもとだった。
 由起が帰宅途中、バイクに乗った暴走族風の二人組にからまれていたとき、たまたまバイクで通りかかった拓也に助けられた。
 由起は、拓也が二年生のときのクラス担任だった。
 ただ、拓也は学年の終わりちかくになって中退した。それ以来顔を合わせることもなかったため、そのときが二人にとってはおよそ二年ぶりの再会だった。
 聞けば、拓也は高校を中退したあと、両親とのゴタゴタに嫌気がさして家出し、今は独り暮らしをしながら建築現場で働いているという。
 いわれてみれば、昨今のアイドル風の顔立ちをして、体の線もひ弱だった教え子が見違えるほど男らしい容貌と逞しい体つきに変わっていた。
 ところがそれから数日後、拓也が暴走族風の男たちに襲われて病院に担ぎ込まれた。両親には知らせたくなかったのだろう。警察から由起に連絡があった。
 由起が病院にかけつけると、拓也は痛ましい状態でベッドの上にいた。見る影もないほど顔が青黒くなって腫れあがり、そのうえ肋骨が折れて脚の骨にもヒビが入る重傷だった。
 拓也を襲ったのは、数日前に由季にからんできた二人組とその仲間だった。
 幸い退院した今は松葉杖をついて通院できるまでに回復しているが、もうしばらくは仕事ができない。責任を感じていた由起は、どうにかなるといって援助を断った拓也を押しきり、金銭的な面でも生活の面倒を見ている。
 拓也の部屋を訪ねていった最初の日、由起は胸のときめきに戸惑った。それが二日目、三日目とつづくうち、戸惑いは嬉しさに変わっていた。そればかりか、拓也と二人きりで会えるのが嬉しくて胸がときめいているのだと、はっきりわかってきた。
 とはいっても由起には夫がいる。しかも拓也とは教師と元教え子、年齢も二十九歳と十八歳。由季の立場や拓也の年齢を考えれば、そんな気持ちになるなど許されないことだった。
 由起自身、充分にそのことはわかっていた。それでいてそんな気持ちになる自分に戸惑うこともなければ、困惑することもなかった。拓也には関係なく、自分の胸のなかだけのことだと思っていたからだった。
 それにどうしてそんな気持ちになるのかも、由起にはわかっていた。四年前に結婚した夫が一年あまり前から単身赴任して、二カ月おきぐらいには帰ってくるものの、精神的にも肉体的にも淋しさをかこっていたせいだった。
 この日、早朝に来ることは拓也に伝えていなかった。驚かせてやろうと思い、ドアをノックするのをやめて、由起は合鍵を取りだした。
 合鍵を作る際、それなら負傷したときの連絡先を由起にはしないはずだと思いながらも念のため、恋人はいないのかと聞いたところ、「逃げられちゃった」と拓也は苦笑したものだった。
 音を殺して部屋に入ると、むっとする熱気と男臭い臭いがこもっていた。昨夜は熱帯夜だった。
 ベッドから少し離れた場所で、つけっぱなしの扇風機が緩やかにまわってゆっくりと首を振りながら、片方の脚にギプスを嵌めて柄物のトランクス一枚で眠っている拓也に風を送っていた。
 由起は息を呑んだ。拓也のトランクスが、まるでテントを張ったように突きあがっているのだ。カッと頭のなかから体まで熱くなった。
 いつのまにか由起はベッドのそばにいって坐っていた。突きあがっているトランクスに目を奪われたまま引き寄せられていき、下半身から力が抜けてその場にへたり込んでいたという感じだった。
 由起は拓也の顔を見た。熟睡している。そして、またトランクスに目をやった。
 ひとりでに息が乱れ、呼吸をするのも苦しい。トランクスを露骨に突きあげている肉棒のようなペニスが脳裏に浮かび、体が、というより子宮がざわめいた。
(いけない……いけないわ)
 胸のなかで自分を叱責しながらも、拓也のトランクスに伸びていく両手を止めることができなかった。
 激しい心臓の鼓動に吐き気を催しそうになりながら、トランクスのゴムの部分を両手でつまみ、拓也の顔を見た。
 眠りこけている拓也の顔と、ふるえそうになる手もとを、交互に忙しく見やりながら、そォ〜とゴムの部分を持ちあげた。心臓が止まりそうだった。
 そのまま、ゆっくりとトランクスをおろしていく。ペニスが現われた瞬間、息がつまると同時に頭がクラッとした。
 それはまるで発射寸前のロケットのようだった。腹部の側にやや傾き、ギンギンに勃起して突きだしている。
 由起は口を開けていなければ息ができなかった。息を止め、トランクスのゴムの部分を陰嚢の下までさげた。
 そこで、またそォ〜と、持ちあげているゴムの部分をおろしていき、手を離した。
 剥きだしになっているペニスに目を奪われたまま、由起は止めていた息をゆっくりと吐きだした。そして、固唾を呑んだ。喉がカラカラに渇いていて、喉を伸ばすようにしなければ唾液を呑み込むことができなかった。
 夫とは単身赴任先から帰ってくるたびにセックスしている。ところが夫の帰りを待ちわびているうちに、由起のほうがついよけいに期待が膨らんでしまうせいか、性格と同じにセックスも真面目に取り組む夫との行為になにか物足りなさを感じるようになり、そのぶん欲求不満が増してきていた。
 若い拓也のペニスははちきれんばかりに張って、テカテカ光っている赤褐色の亀頭を突きあげている。
 その鋼鉄のようなペニスを凝視しているうちに、そんな欲求不満を宿していた由起の体は、まるで欲情というアルコールに酔ったようになっていた。
 内腿からその奥にかけて、焼けるような疼きが湧きあがる。拓也のペニスを凝視したまま、由起はこらえきれずにスカートのなかに手を差し入れた。
 パンスト越しに内腿を撫で、その奥の膨らみに指を這わせてクレバスをこする。そこはもうジトッとするほど濡れていて、下着越しにもヌルヌルする感触があった。
 ゾクゾクする性感に襲われて喘ぎそうになりながら、拓也のペニスを凝視していると、それを入れたい衝動にかられた。
(なんてことを! いけないわ、そんなはしたないこと)
(ああ、でもだめ。もう我慢できない……)
 衝動に戸惑い、自制心が働いて自分を叱責しながらも、すぐにまた衝動が込みあげてくる。
 切ないほど疼いている体の奥を、目の前の肉棒で貫かれたい。その瞬間襲ってくるだろうめくるめく快感を、欲情というアルコールに酔っているような体が切望し、指でこすりつづけている秘めやかな部分が泣きたくなるほど疼く。
 しかも、そんなことはしてはいけないと思えば思うほど、背徳的というよりも痴女のようなその行為が、逆に由起の興奮をかきたてる。
 由起は立ちあがった。自分でも顔がこわばっているのがわかった。もはやいつもの由起ではなかった。欲情という魔物に魅入られてしまっていた。
 由起は服を脱いでいった。下着もすべて取り、全裸になった。まともに息ができないほど胸が高鳴りつづけていた。
 十一歳も年下の元教え子が眠っている間に、そのエレクトしているペニスにまたがって挿入する。
 そんな信じがたい淫らな行為も、今の由起にとってはめくるめく興奮をかきたてられるそれでしかなかった。由起は拓也の怒張にまたがった。
 拓也はまだ眠っている。ペニスに手を触れれば、目を醒ますかもしれない。挿入すれば、まちがいなく目を醒ます。そして仰天するだろう。そればかりか、由起の淫らな行為を咎めて怒りだすかもしれない。
 だが由起はもう自分を押しとどめることはできなかった。心臓が止まりそうになりながら、そっと怒張に手を添え、拓也の顔を見た。まだ目覚める気配はない。そろりと亀頭を膣口に当てがった。
 硬いペニスの感触に、膣口から秘奥に向けて焼けるような疼きが走って背筋がふるえる。拓也の顔を凝視したまま、めまいがするような興奮に突き動かされながら、ゆっくりと腰を落としていく。
 ヌル〜ッと怒張が突きあげてくる。快感の疼きに襲われ、思わず由起は呻いてのけぞった。
 あわてて拓也を見た。拓也は目を開けていた。
「先生!」
「なにもいわないでッ」
 由起は拓也にしがみついていった。
「拓也くん、こんな恥ずかしいことした先生、軽蔑してッ。でも、お願い、このままじっとしててッ」
 息せききっていいながら、無我夢中で腰を律動させた。
「そんな、俺、先生を軽蔑なんてしないよ。先生のこと、前から好きだったんだ」
 拓也がうわずった声でいった。
「拓也くん!」
 由起は驚いて動きを止め、顔をあげた。
「でもびっくりしたよ。なんか変な感じがして目が醒めたら、先生とエッチしてるんだもん。夢見てるんじゃないかと思ったよ」
 唖然としている由起に、拓也がいった。
「まさか夢じゃないよね」
 頬をつねり、「マジだ」と笑う。つられたように由起もぎごちなく笑った。
 拓也が貪りつくようにして由起の唇を奪った。由起は小さく呻いた。興奮をぶつけるように舌をからめてくる拓也に、由起も舌を躍らせるようにしてからめかえした。
 切なげな鼻声をもらす由起の腰がひとりでにうねる。その動きによって怒張で蜜壺をこすられる感覚がたまらない。
 そのとき拓也があわてたようすで唇を離した。
「ちょ、ちょっと待って。トイレいってくるよ」
「え?……」
「トイレにいきたいのを我慢してエッチしてたら、すぐ発射しそうになっちゃうんだ」
 拓也が苦笑していった。
 由起はあいまいに笑いかえし、ゆっくりと体を反転させた。ヌルッと怒張が蜜壺から滑りでた。由起がベッドの下の自分の服を取って体を隠すと、
「ごめん。ちょっと待ってて」
 拓也は謝って起きあがった。松葉杖を取ってベッドを出ると、トイレにいった。
 そのとき由起はようやく、拓也のペニスがエレクトしていたのはそのための、俗にいう朝勃ちだったのだとわかった。


5
 拓也がトイレからもどってきたとき、由起は服で体の前を隠してベッドに坐ったまま、うなだれていた。
「先生、どうかしてたんだわ」
 つぶやくようにいうと、
「そんな、別にどうもしてないよ」
 あわてたようすでいいながら拓也がベッドにあがり、四つん這いの格好で由起を押し倒してきた。片方の脚に嵌めているギプスは向こう脛のあたりから足の甲までなので、立つことはできなくても這うことはできるのだ。
「待って。拓也くん、やっぱりいけないわ」
 由起は拓也をたしなめた。
「なんで? 今さらそんなのないよ。先生は俺のアレ、自分でアソコに入れたんだよ」
 そういわれればかえす言葉もない。
 拓也が由起の手から服を奪い、両手をバンザイの格好に押さえ込んだ。乳房にしゃぶりついて、片方の膨らみを顔でこねまわしながら、口に含んだ乳首を吸いたてたり舌で舐めまわしたりする。
「ああ、待って……だめ……」
 由起は押さえ込まれている両手で拓也を押しやろうとして身悶えた。が、乳房を攻められながら怒張を太腿のあたりにこすりつけられると、身ぶるいするような性感に襲われて、すぐに両手からも体からも力が抜けていった。
 そればかりか、欲求不満に陥っていた熟れた体は、もはや由起の意思を離れてどうしようもなく感じてしまう。
 由起はきれぎれに感じた喘ぎ声をもらしながら、のけぞったり下半身をうねらせたりしはじめた。それも由起のほうから太腿を拓也の怒張にこすりつけるようにして。
 拓也が由起の両手を離し、口で乳首を攻めたてながら両手で乳房を揉みたてる。乳首はもうビンビンに膨れあがってきていた。由起は昂った喘ぎをもらして拓也の頭を抱え込んだ。
 拓也が口と両手で、由起の肌と体を舐めまわしたり撫でまわしたりして喘いで身悶えさせながら、徐々に体をずらしていく。
「だめよ、拓也くんの朝食作ってあげなきゃいけないし、学校にだって遅れちゃうから」
 両手で股間を隠し、恥ずかしさに顔をそむけて由起はいった。息が弾んでいた。
「飯なんかいいよ。それならまだ充分時間あるし、先生のほうが飯なんかよりずっと美味しいよ」
 拓也は笑っていうと、由起の股間から両手を引き剥がした。
「あッ、だめ!」
 由起は両手で顔を覆った。両脚の間にうずくまっている拓也の前にあからさまになっている秘苑が、恥ずかしさで熱くなっている脳裏に浮かんだ。
「先生って美人なのにいやらしいオマ×コしてるんだな。ヘアはけっこう濃いし、土手が高くてモッコリして、オマ×コのまわりまでヘアが生えてるからかな」
 拓也が聞くに耐えない露骨なことをいう。
「いやッ、そんないやらしい言い方……」
 火のような羞恥に炙りたてられて悶えながら、由起はそれだけいうのがやっとだった。
「でも先生みたいな美人のいやらしいオマ×コって、よけいにゾクゾクしちゃうよ」
「ああッ、もうやめてッ」
「俺、高校ンとき、先生のオマ×コとか、先生とエッチしてるとことか想像してよくオナニーしてたんだよ」
「そんな、そんな恥ずかしいこといわないでッ」
「だからこんなことしてるの、夢みたいだよ」
 いいながら拓也が両手で肉びらを分けた。ひくっと由起の腰が跳ねる。
「あッ、だめ!」
「うおッ、肉びらがパックリ開いて、オマ×コまる見えだ」
「ああッ、いやッ。いわないでッ。見ないでッ」
 由起は腰をうねらせながら、息せききっていった。それでいて、さっきからどうしようもないほど興奮していた。それも拓也に恥ずかしいところを見られてあからさまなことをいわれればいわれるほど興奮してしまうのだ。
「見た感じはいやらしいけど、先生のオマ×コのなか、きれいなピンク色をしてるよ」
 まるでそんな由起の反応を見透かしたように、なおも拓也が露骨なことをいう。
「でももうビチョビチョだ。ん? すげえ! オマ×コの入口がいやらしく動いてラブジュースあふれさせてるじゃないの」
「ああッ、だって拓也くんがジッと、先生の恥ずかしいとこ見て、いやらしいこというからよ」
 由起は昂った声でいった。いつのまにか顔から両手を離してシーツをつかんでいた。
 自分でもそうとわかるほど興奮が張りついた表情で拓也を見て、由起は驚いた。拓也の顔に笑いが浮かんでいたからだ。そのとき初めて、拓也がわざと露骨なことをいっていたのだとわかって、由起はうろたえた。
「恥ずかしいとこ見られたり、いやらしいこといわれたりして興奮しちゃったんだろ?」
 拓也に聞かれて、うろたえながらも由起は正直にうなずき、
「こんなの初めて。ああ拓也くん、もう見てないで、なんとかしてッ」
 たまりかねて腰をうねうねと波打たせて催促した。
「じゃあ先生が一番してほしいと思ってることしてあげるよ。オマ×コ舐めまわされるのと、俺のペニス入れてズコズコされるの、どっちがいい?」
「そんな……もうしてッ」
「だから、どっちがいいの?」
 聞きながら拓也は、すでに膨れあがっている感じのクリトリスを指先でこねて答えを催促する。
「ああッ、だめ!」
 由起は悩ましい表情を浮かべてのけぞった。腰をうねらせながら、取りすがる表情で拓也を見ていった。
「ああン、入れてッ」
 拓也の顔から笑いが消えた。由起の「入れて」という言葉で拓也も興奮を煽られたらしい。こわばった表情をしている。それでもまだクリトリスをこねまわしながら、
「なにを入れてどうしてほしいのか、ちゃんといわなきゃわからないよ」
 と、言葉でも由起を嬲る。
 由起は顔をそむけた。もう我慢できなかった。なりふりかまわず、いやらしく腰をうねらせながら、めまいがするような興奮に襲われていった。
「ああッ、拓也くんのペニス、オマ×コに入れて、ズコズコしてッ」
「先生がそんないやらしいこというなんて、たまらないよ」
 拓也が怒張でクレバスをまさぐって押し入ってきた。一気に貫かれて由起は呻くと同時にのけぞった。
 さんざん焦らされたあとだけに、深々とおさまっている肉棒がたまらなく気持ちいい。膣が勝手に蠢いて、ジワッと肉棒を締めつける。
 由起が喘いで腰をうねらすと、拓也が突きたててきた。その気持ちよさに、由起はすぐによがり泣きしはじめた。


6
 まるで恋人が待ってる部屋にいってるみたい……。
 スーパーのビニール袋をさげて拓也の部屋に向かいながら由起は、弾む胸のうちでふとそう思い、ひとりでに笑みがこぼれそうになった。
 教師と元教え子という一線を越え、拓也と男と女の関係になって四日目だった。
 初めて関係を持った日を除いてここ二日間、由起は学校の帰りに拓也の部屋に行き、そのたびに拓也と熱いときをすごした。
 初めてのとき、卑猥なことをいったりいわせたりする拓也に驚き、うろたえながら、それでいて興奮をかきたてられた由起は、そんな自分に戸惑った。結婚前に関係があった男――といっても一人しかいなかったが――や夫は、セックスの最中でもそんなことはいわなかった。だから由起自身、あんな経験は初めてだった。
 それでも拓也のことは、それなりにセックスの経験はあるにしても、まだ十九歳だからとタカをくくって見ていたところが由起にはあった。
 ところがその見方は甘かった。拓也はこれが十九歳かと驚くほどのテクニシャンで、年上の由起のほうが翻弄されっ放しだった。
 一昨日など、向き合って坐った体位で行為している最中、「ほら見て」と拓也は由起に結合部分を見せつけた。
 由起がつられたように股間を見やると、生々しい眺めがまともに目に入った。
 肉棒のような拓也のペニスが、文字通りズッポリと由起のなかに突き入っている。
 由起にとってそんな露骨な眺めを見るのは初めての経験だった。見方によっては由起のそこが肉棒を咥え込んでいるようにも見えた。
 そのいやらしさに由起は全身が火になり、頭がクラッとした。それでいてそこから目が離せなかった。いたたまれない恥ずかしさに襲われながらも、それ以上に興奮を煽られていたからだった。
 そんな由起に拓也はなおも見せつけた。ペニスを抜き挿しするのだ。
 いやらしく濡れている唇に似た襞の間で、ヌラヌラと濡れ光った肉棒がピストン運動する。視覚的な刺戟と快感で、由起は興奮のあまりどうにかなってしまいそうだった。
 そのうえ拓也がクリトリスを弄りながら、あからさまなことを聞いてきた。それもつぎつぎに。そのたびに由起は正直に答えた。
「オマ×コいい?」
「ああン、いいッ。たまンないッ」
「はっきりオマ×コがいいっていわなきゃだめだよ」
「ああッ、オマ×コいいッ」
「オマ×コ好き?」
「好きよ、オマ×コ好き。ああもっと、オマ×コもっとしてッ」
 まるで痴女のようなことを口走っているうちに由起はたまらなくなり、拓也にしがみついて腰を振りたてていた。
 さらに昨日はもっと恥ずかしくて刺戟的なことをさせられた。拓也がクンニリングスを途中でやめて由起の指をクリトリスに導き、「オナニーして見せて」といったのだ。
 人前でそんな恥ずかしいことなど到底できない。由起はいやがって拒んだ。しかし、クンニリングスされてたまらなくなってきていたところで中断され、ビンビンに膨れあがっているクリトリスを拓也につかまれた指でこねさせられているうちに我慢できなくなり、自分から指を動かしはじめた。
 オナニーしているところを拓也に見られている!
 めまいがするような恥ずかしさに襲われながらも、由起は異常な興奮に襲われていた。夫が単身赴任してから淋しさに耐えかねて、ときおりオナニーするようになっていたが、見られている恥ずかしさが強烈な刺戟になって、それとは比較にならないほど過敏にもなっていた。
 やがて由起は絶頂のときを迎えてイッた。すると拓也が指先で膣口をこねまわしはじめた。
「ああッ、もう……もうしてッ」
 由起はいやらしく腰を揺すりながら、たまりかねて催促した。
 拓也の思うツボだった。待っていましたとばかりに前日と同じような猥褻な会話のやりとりに由起を誘い込んだ。
 そこで由起は、いおうとしただけで恥ずかしくていたたまれない四文字の言葉を口にして、「してッ」とか「したいの」などとあからさまなことをいわされた。しかも由起自身、興奮をかきたてられながら。
 そのうえフェラチオさせられたあとでさらに、
「拓也のチ×ポ、オマ×コに入れて」
 と、羞恥と興奮でめまいがするようなことまでいわされて拓也に貫かれたのだ。


 拓也とセックスしたのはまだ三回にしかすぎないが、そのたびにそれまでしたことがない経験をさせられた。由起は戸惑いながらも、そして不倫の罪に苛まれながらも、それを凌駕する新鮮な刺戟と興奮を与えられて、拓也とのセックスにすっかり魅せられてしまっていた。
 拓也の部屋にきて、スーパーで買ってきた食料品を冷蔵庫に入れていると、拓也が松葉杖を使わずに足を引きずりながら、由起に近づいてきた。いきなり後ろからタイトスカートを引きあげた。
「おッ、ピンク色のパンティ!」
「やだァ、だめよォ」
 由起は嬌声をあげて腰をくねらせた。
「俺もそうだったけど、授業中、男の生徒はみんな、この先生のスカートのなかを想像してたはずだよ」
「そんな……」
 ヒップを撫でまわす拓也の手とその言い草に、由起はうろたえて両手でスカートをおろした。
 拓也が由起を向き直らせてキスしてきた。
 由起もキスに応じ、滑り込んできた拓也の舌にねっとりと舌をからめていく。早くも拓也のエレクトしたモノが下腹部に突き当たり、ゾクッとした性感に襲われて、切なげな鼻声がもれてしまう。
 拓也が由起の手を取って股間に導いた。由起は熱っぽく舌をからめながら、こわばりをまさぐった。トレーナーのズボン越しなので怒張の感触が生々しく、ゾクゾクする。
 ヒップの側からスカートのなかに侵入してきた拓也の手が、下着越しに秘めやかな部分をまさぐってくる。
 拓也の部屋にくる途中から濡れてきていたそこを指先でこするようにされて、由起は腰をくねらせて唇を離した。
「脱いで」
 息を弾ませて早くも昂った顔つきになっている由起を見て、拓也がいった。
「シャワーを浴びてくるわ」
「シャワーはあとでいいよ。今日はちょっと刺戟的なことをしようと思ってんだ」
 拓也は思わせぶりにいって、ベッドのほうを見やった。つられて見た由起は、初めてそれに気づいて驚愕した。なんと、ベッドの上にはロープやバイブレーターが置いてあったのだ。
「先生って、縛られたこととかないの?」
「そんなこと、あるはずないでしょ」
「俺、前からSMに興味持ってんだ。彼女に逃げられちゃったの、そのせいなんだけど、でも先生ってマゾッ気あるから、わかってくれると思って……」
「そんな、マゾッ気だなんて……」
「あるよ。もうわかってんだから。ほら脱いで」
 スーツの上着を脱がそうとする拓也にくるりと背中を向けて、由起は自分で脱ぎはじめた。ロープやバイブレーターを見たときから、うろたえながらも胸が高鳴って、今はもう息苦しいほどになっていた。
 拓也にいったとおり、由起にはSMの経験などない。だが縛られて責め嬲られるような行為を、どこかで期待していたような気がする。それにそういう行為を受けることが、不倫の罪を犯した自分にふさわしいような気もした。
 その両方の気持ちが一緒になって、由起の胸をときめかせていた。
 拓也に下着も取るようにいわれ、いわれたとおり由起は全裸になった。
「両手を背中にまわして……」
 いわれるとおりにすると、拓也が由起の手首を交差させてロープで縛っていく。両手を縛られただけで息が乱れ、剥きだしの乳房が大きく波打つ。
 その乳房の上下にもロープを巻かれて拘束されると、切ないような、それでいてゾクゾクする性感に襲われた。
「やっぱ、先生ってマゾッ気あるよ。縛られただけで興奮した顔して、息なんか弾ませちゃってるじゃないの」
「やめて。いわないで」
 嬉々として覗き込む拓也から顔をそむけて由起はいった。拓也のいうとおりだった。そのため由起の声もひどくなまめいていた。
 拓也は由起を椅子に坐らせた。そして、さらにロープで両膝を別々に縛り、引きあげて左右に開いていく。
 カッと頭のなかが熱くなる羞恥に襲われて、由起は顔をそむけた。
「いやッ、こんな恥ずかしい格好……」
「だからいいんじゃないか。先生はマゾッ気があるからゾクゾクするだろ? ほらオマ×コ、パックリだよ」
 由起の前に腰をおろした拓也が、あからさまなことをいう。由起は声もなく、かぶりを振った。左右の膝がほとんど体の真横になる格好で両脚を開かされているのだ。
「なんだ、もうグショ濡れじゃないか」
 拓也の声につられて由起は股間に目をやった。
「ああッ、いやッ」
 まるでそこから体のなかを覗き見られているような感覚に襲われて全身が火になり、めまいがした。
 隠しようもない秘苑は、拓也のいうとおり、唇に似た襞がパックリと開き、濡れ光っているピンク色のクレバスまであからさまになっているのだ。
 羞恥の炎に炙りたてられながらも由起は、そこから目が離せなかった。同時に体がふるえるような興奮にも襲われていたからだった。
「もうこういうのがほしくてたまんないって感じだな」
 拓也がバイブレーターを手にした。低い電動音が響き、ペニスそっくりの黒い淫具が首を振るのを見たとたん体奥がざわめき、思わず由起は喘いだ。
 バイブの先をクリトリスに当てられた瞬間、弾かれたようにのけぞった。しびれるような快感の疼きが湧きあがる。たまらず由起は感泣しながら悶え、腰を揺すりたてた。
 だがひとたまりもなかった。たちまち絶頂に追いやられて大きくのけぞった。頭のなかが真っ白になった。
「イク〜ッ! イッちゃう!」
 体を突き抜けていく快感に痙攣しながら、由起は絶頂を訴えた。
 だが拓也はなおもバイブでクリトリスを責めつづける。息つく暇もなく、由起はまた無理やりに絶頂に追いあげられていった。
 それでも拓也はやめない。刺戟されつづけているクリトリスから痛いような疼きが湧きあがる。すぐにそれが快感になって、由起はまたイッた。
「もう死ぬッ。だめッ、死んじゃう!」
 息せききって訴えると、ようやくバイブがクリトリスから離れた。
 ホッとしたのも束の間、由起は呻いてのけぞった。こんどは蜜壺のなかにバイブが滑り込んできたのだ。疼いている蜜壺を、バイブが震動しながらかきまわす。
「おうッ、あうッ、ああッ、だめッ……」
 全身がとろけていくような快感。たまらない狂おしさ。両方が一緒になって一気にめくるめく絶頂に攫われていく。
 よがり泣きながら由起はイッた。オルガスムスの余韻に浸る暇もなく、震動し蠢きつづけているバイブに、すぐまた絶頂に追いやられた。
 それでも、たてつづけにイッているうちにいくらか刺戟に馴れてきた。ただ、バイブの震動と蠢きに耐えられるようになったぶん、それまで以上に快感と狂おしさが膨れあがって体がひくつく。                                「うう〜ん、いいッ……ああン、もうだめェ〜……」
 拘束されて自由がきかない体をうねらせながら、由起は息も絶えだえにいった。
「いいのかだめなのか、どっちなんだよ」
 拓也が聞く。笑っているような声だが、バイブに翻弄されている由起には拓也の表情がぼんやりとしか見えない。
 拓也が立ちあがって由起の横にきた。片手で由起の顔を自分のほうに向けさせると、一方の手に持った怒張で顔を撫でながら、妙なことをいった。
「先生は今日から俺のマゾ奴隷だ」
 確か拓也はそういった。
 マゾ奴隷?……
 初めて聞く言葉に由起は戸惑った。
「でも先生の返事も聞いておかなきゃいけないな。ほら、俺のマゾ奴隷になるって約束するならしゃぶりなよ」
 いいながら拓也が怒張を口許に突きつけてくる。
 バイブの刺戟でイキそうになるのをかろうじてこらえているところにもってきて、ペニスで顔を撫でまわされはじめたときからゾクゾクする興奮に襲われていた由起は、すすんで怒張に舌をからめていった。
 その言葉を聞いたときは戸惑ったが、拓也のマゾ奴隷になるということがどういうことか、由起にもある程度察しがついていた。
 舌をじゃれつかせるようにして亀頭を舐めまわしていると、奴隷という言葉が頭のなかで甘美に響き、いつもよりも猥りがわしいフェラチオへと由起をかりたてる。
 由起はバイブの刺戟に泣くような鼻声をもらしながら、いやらしい音を響かせて怒張を舐めまわした。そして咥えると、顔を振ってしごいた。
 蜜壺で震動し蠢いているバイブと、口でしごいている怒張。
 まるで一度に二人の男に責めたてられているような錯覚に陥って、由起はオルガスムスの波に呑み込まれていった……。


 それから半月ほどになる。すぐに由起のことを「先生」から「由起」と呼び捨てにするようになった拓也に、由起はマゾヒスティックな性の歓びを教え込まれてきている。というより由起自身のなかにそういう欲望が潜んでいて、拓也によってめざめさせられたといったほうがいいかもしれない。
「信じられない。わたしより真面目だった由起がそんなことになってたなんて」
 由起の話を聞いた美也子は自分のことなど忘れたように驚いている。
「でも、その拓也って子、すごいわね」
「そうなの。もうわたしのほうが圧倒されっぱなし……」
 由起は自嘲するような笑いを浮かべていった。
「だけど由起、その子とこれからどうするつもり? つづけるの?」
「じつはそれで悩んでるのよ。そんなこといってる場合じゃないことはわかってるんだけど、正直いってわたし自身、今すぐに別れられる自信ないし、それに別れるといってもあの子がすんなり聞き入れてくれそうもないし……」
「すっかりハマッちゃったみたいね」
 由起は自嘲の笑いを浮かべたままうなずいて、
「自分でも呆れてるわ。それより美也子はご主人と痴漢の彼のこと、どうするの?」
「うん。わたしがもうすべて知ってるってこと、夫にぶちまけてやろうかとも思ったんだけど、でもそれだけだとなんか気持ちがおさまらないのよ。そんなことしたって、まんまと夫の計画に乗せられちゃったことに変わりはないわけだし、もっとギャフンといわせてやらなきゃ気がすまないって感じ。それで思ったの。反対にわたしから痴漢の彼を誘惑して浮気しちゃおうかって」
「痴漢の彼、あわてるんじゃない?」
「でしょうね。夫も彼にそこまでしていいとはいってないと思うから」
 二人の人妻は顔を見合わせ、妖しい笑みを交わした。
7
 浴室から聞こえていたシャワーの音がやんだ。
 由起は息苦しい胸の高鳴りに襲われながら、ナイトテーブルの上の電話器を見た。
 受話器がわずかに横にずれて、フックからはずれている。
 電話は拓也の部屋の電話とつながったままだ。受話器を耳に当てている拓也の姿が脳裏をよぎった。
 このことを拓也に求められたときは、さすがに由起もうろたえて拒んだ。
 単身赴任している夫が帰宅して由起とセックスする前に、夫婦の寝室にある電話と拓也の部屋の電話を通話状態にしておいて、そのときの声を聞かせろと拓也はいったのだ。
 しかも由起が拒むと拓也は、そうしなければその最中を見計らって電話をかけまくると脅した。それで仕方なく、由起はいうとおりにしたのだった。
 それでいて、いま由起が襲われている胸の高鳴りは、夫に対する罪悪感からくるそれだけではなかった。自分でもよくわからない気持ちの昂りもあってのことだった。
 そのとき、夫が寝室に入ってきた。由起を見て目を見張った。
 それもそのはず、下着姿の由起は、先日親友の美也子の話を聞いて思いついた、ガーターベルトでストッキングを吊ったスタイルの黒い下着をつけていたからだ。しかもブラとショーツはシースルーだった。
「どうしたんだよ、その格好……」
「だって、いつも待たされてばかりなんだもの。たまにはこういうのもいいでしょ?」
 目が点になっている夫に、由起は甘えかかるようにしていいながら、夫の腰からバスタオルを取った。
「そ、それはいいけど、でも驚いたよ。おまえがそんな格好するなんて……」
 胸から下腹部に向けて唇を這わせていく由起に、夫はしどろもどろしている。それでも悩ましい下着姿に刺戟されたのだろう。早くもペニスはエレクトしかけている。
 由起はペニスに両手を添え、舌をからめていった。
「ゆ、由起!」
 夫が驚きの声をあげた。妻が生々しい音を響かせてペニスを舐めまわしているからだった。
 夫に自分から行為を仕掛けていくのも、そんな猥りがわしいフェラチオの仕方をするのも、今までの由起にはないことだ。そんな自分と、その音を聞いて嫉妬しているだろう拓也のことを想って、由起はめくるめく興奮につつまれていた。
 夫も興奮をかきたてられたらしい。すぐに由起を押しやって立ちあがらせると、ベッドに押し倒してきた。
「せっかく悩ましい下着をつけてんだから、脱がすのはもったいない……」
 いつもセックスの最中はほとんど言葉を発することもない夫が、らしからぬことをいう。結婚した当初以来見たこともない興奮しきった顔つきで、由起のシースルーのショーツの股間を凝視している。
「ああッ!」
 思わず由起は喘いでのけぞった。いきなり夫が股間に噛みついてきたのだ。ゾク〜ッとする疼きが走って体がふるえた。
「由起、これからはこういう刺戟的な下着をつけろよ」
 指先でショーツ越しにクレバスをなぞりながら夫がまた、らしからぬことをいう。
「あン、気に入ってくれたの?」
 腰をうねらせながら由起がうわずった声で聞くと、
「ああ、興奮するよ。おまえだってそうだろ? もう濡れてるじゃないか」
「ああン、だってェ〜、あなたがいやらしいことするからよ」
 思わず由起は自分でも驚くほど甘ったるい声でいった。
「じゃあもっといやらしいことしてやろう」
 いうなり夫はショーツの股の部分を横にずらした。
「おお、もうグショ濡れじゃないか」
「そんなァ、やだァ……」
 由起は嬌声をあげて腰をうねらせた。恥ずかしくてそうするというよりは夫を挑発するように。
 ショーツから覗いている秘苑に、夫がしゃぶりついてきた。ゾクッとすると同時に由起は喘いでのけぞった。
 夫の舌がいつになくいやらしく、ねっとりとクリトリスを舐めまわす。たまらず由起はきれぎれに泣くような喘ぎ声をもらして体をうねらせた。ショーツを穿いたままそんなことをされることのいやらしさも手伝って、夫の舌がよけいにいやらしく刺戟的に感じられる。
「ああン、あなた……いいッ」
 快感を訴えると、夫が責めたてるようにクリトリスをこねまわす。
 体の芯がしびれてとろけていくような快感が押し寄せてきて、由起は感泣した。その声を拓也に聞かれていると思うとますます興奮を煽られる。息せききって絶頂を訴えながら由起はイッた。
 すぐに夫が押し入ってきた。肉棒の侵入と一緒に身ぶるいする疼きに襲われて由起は呻いてのけぞった。
 夫が突き引きする。そうやって結合部分を見ているらしい。快感に喘ぐ由起を夫が抱き起こした。
「ほら、おまえも見てみろ」
 いわれるまま由起は股間に目をやった。ショーツの股の部分が横にずれて、唇に似た襞の間に肉棒が突き入っている淫猥な眺めが目に入った。
「ああッ、いやらしい!」
 興奮をかきたてられて夫にしがみつき、自分から夢中になって腰を振りたてた。夫も由起の腰を抱え込んで揺すりたてる。
「ああいいッ、ああッ、あなた……」
 オマ×コいいッ……思わずそういいかけて、かろうじてその言葉を呑み込んだ。そのぶんますます夢中になって腰を振ってよがり泣きながら由起は、そんな淫らな自分に、そして夫を裏切っている罪深い自分に、めくるめく酔いのようなものを感じていた。
8
「ご主人もやるじゃないの。だけど男って、どうして女の下着にそんなに興奮しちゃうのかしら。それだし同じようなことをしちゃうのもおかしいわね」
 由起の話を聞いて美也子は笑いながらいった。
 この前、久しぶりに会ってから三日後の夕刻、二人の人妻は新宿駅のそばの喫茶店で会っていた。
「で、そのあと拓也くんとはどうなったの?」
「昨日、さんざん責められちゃったわ。俺と亭主とどっちがいい? とか聞かれて」
「由起、なんて答えたの?」
「だってバイブを止めてくれないんだもの。拓也のほうがいいって」
 苦笑していいながらも由起の表情はなまめいている。
「そのとき拓也にまた約束させられちゃったの。夫の単身赴任が終わってもどってくるまで付き合うって」
「約束させられたっていいながら、由起もそうしたいんでしょ?」
「夫にはわるいけど、どうしようもないのよ。で、美也子のほうはどうなったの?」
「あんなこといってたけど、わたしもどうしようもなくて、昨日も痴漢プレイに付き合っちゃった……」
 美也子は自嘲の笑いを浮かべていうと、目をみはってつづけた。
「それよりうちの彼のパソコン覗いてたら、唖然としちゃったわ。痴漢の彼にわたしをホテルに誘わせようとしてるのよ。それに三Pまで計画してるの」
「三P?」
「そう。痴漢の彼がわたしを誘惑するのに成功したら、次にホテルへ行ったとき、その前に夫がクローゼットかどこかに隠れてて、途中から出てきて三人でセックスするつもりなのよ」
「え〜ッ、そんなことまで……」
「そうなの。でもわたし、思ったの。夫はわたしのこと嫌いになって、そんなことしてるんじゃないっていうか、愛してくれてるのはわかってる。だったら騙されてるふりして、三Pしちゃうのも刺戟的かもって」
「それは刺戟的よ。わたしなんて拓也にバイブで責められながらフェラさせられることがあるけど、そのときでも二人の男に責められてるみたいな気持ちになって、ものすごく興奮させられちゃうもの」
「ね、それでわたし、考えたことがあるの」
 美也子は身を乗りだしていった。
「そのうち由起のご主人がもどってきたら、いつかスワッピングとかできるようになったらいいなって」
「驚いたわ。ご主人より美也子のほうがすごいこと考えてる」
「由起だって興味あるでしょ?」
 由起は笑ってうなずいた。
「それにしてもわたしたち、いつからこんなに淫乱な女になっちゃったのかしら」
「夫のせいだと思うわ。だけど、わたしたちもどこかに淫乱な女になってみたいなんて願望があったのかも」
「そうね。淫乱になるって快感だもの」
 そんな会話を交わす二人の人妻の顔には、ときめきの色が浮き立っている。


2 淫妻が泣いた倒錯電話


1
 仕事の区切りがついたところで、杏子は腕時計に目をやった。
 八時前になっていた。書籍編集部で残っているのは、杏子一人だった。といっても、残業して片づけなければならない仕事をしていたわけではない。時間つぶしのためだった。
 同じフロアにある小説雑誌の編集部は、校了日が近くなっているため、高野美恵子を除く全員がまだ残って仕事をしていた。
「編集長、じゃあわたし、これから森沢先生のところに行ってきます」
「ああ。今日はその足で帰っていいよ。どうせまだ書きあがってはいないだろう。明日午前中に原稿をもらわないと穴が開きますって脅しをかけて、明日朝からつめてくれ。でも気をつけろよ。もうきみもよく知ってると思うけど、奴さん原稿は遅いのに女には手が早いからな」
「ご心配なく。わたしはどこかの女編集者みたいに尻軽じゃありませんから」
 高野美恵子が小説雑誌の編集長とそんなやりとりを交わして原稿取りに出ていってから、大方二時間になる。
 どこかの女編集者みたいに尻軽じゃありませんから……と高野美恵子が聞こえよがしにいったとき、杏子はドキッとして彼女のほうを見た。小説雑誌の編集部から笑い声が起きていた。
 美恵子は杏子のほうを見てはいなかった。けれども杏子は、美恵子が自分のほうを見てわざとそんな言い方をしたのではないか、という気がしてうろたえた。
 それから時間つぶしに仕事をしている間も、そのことが頭から離れなかった。
 それでも時間がたつにつれて、思い過ごしかもしれないと思いはじめた。森沢と秘密の関係をつづけているという負い目から、美恵子の言葉に過剰に反応してしまったのかもしれないと。
 杏子は席を立った。小説雑誌の編集部に声をかけて社を出ると、タクシーを拾った。作家の森沢淳一郎が泊まっているホテルまでは、タクシーで十分ほどの距離だった。
 森沢淳一郎は、現在の風潮や風俗をからめて男女の愛と性を巧みに描く売れっ子作家である。四十一歳で独身だが、これまでに二度離婚している。
 杏子はこの春から書籍編集部に配転されて森沢の担当になった。それまでは入社以来六年間、婦人雑誌の編集部にいた。その間にいろいろな企画モノをヒットさせた実績が評価され、配転に際して二十九歳の若さで副編集長のポストを与えられた。
 小説雑誌のほうの森沢の担当は、高野美恵子だった。美恵子は杏子よりも三つ年上の先輩編集者で、入社以来ずっと小説雑誌の編集部にいる。まだ独身だがあまり浮いた話もないところから社内では、仕事が趣味で男など眼中にないタイプと見られ、陰で「女史」という呼ばれ方をしている。
 だからさきほど編集長が美恵子に「気をつけろよ」といったのは、たぶんにお追従の意味も込められていたといっていい。
 といって美恵子に女としての魅力がないというわけでもない。それどころかいわゆる個性派タイプの美人で、化粧も身なりもアカ抜けている。ただ、多少性格的にキツイところがあって、見るからにバリバリのキャリアウーマンという印象が異性関係から縁遠くしているのかもしれない。
 同じキャリアウーマンでも杏子はすでに結婚して四年になる。もっとも商社マンの夫が結婚三年目にしてニューヨークに単身赴任したため、ここ二年ちかくは別居生活がつづいているけれど。
 いつものように杏子はホテルのロビーから森沢淳一郎の部屋に電話をかけた。すぐに森沢が出た。
「わたし、杏子です」
「今どこ?」
「ロビーです。大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
 杏子は電話を切り、エレベーターホールに向かった。森沢の声も弾んでいたが、杏子のほうも会社を出たときからずっと胸がときめいていた。
 森沢と男と女の関係になってまだ日が浅いせいもあるけれど、そうやって人目を忍んで逢わなければならないことが、杏子にとっては罪の意識と同時にスリルにもなっていた。
 森沢は杏子を部屋に入れると、ノブに『ドント・ディスターブ』の札をかけてドアを閉めた。
 森沢は白いバスローブをまとっていた。シャワーを浴びてビールを飲んでいたらしい。テーブルの上に缶ビールが置いてあった。
「高野女史、来ましたでしょ?」
「ああ。明日原稿をいただかないと穴が開いちゃいますって脅して帰っていったよ」
 苦笑していうなり森沢は杏子を抱き寄せ、キスしようとする。杏子は顔を振って逃れながら聞いた。
「原稿の進行具合は?」
「これから進行するとこだ」
「それじゃあ、こんなことしてる暇なんてないじゃないですか」
「もとより暇で逢ってるんじゃないよ。こんな美人の人妻編集者だもの、逢わずにいられなくて逢ってるんだ」
 森沢は真面目な顔つきで杏子を見つめていいながら、タイトスカートのなかに手を入れてきてヒップを撫でまわす。
「そんな……」
 杏子はうわずった声をもらして腰をもじつかせた。早くも硬くなった森沢の分身を下腹部に感じて体の芯がざわめく。
「大丈夫。杏子と愉しめば、原稿なんて一気呵成に書けるよ」
 思わせぶりに笑いかけてくる森沢を、杏子はかるく睨んだ。
「高野女史、編集長からいわれてましたよ」
「なんて?」
「先生は女に手が早いから気をつけろって」
「ほう。そりゃあまたけっこうな褒め言葉だな」
「それって褒め言葉なんですか?」
「そうだよ。それも男にとっては才能の一つだからな」
 こともなげにいうと森沢はまたキスしてくる。
 こんどは杏子も拒まなかった。腰をもじつかせているうちに、みるみるエレクトしてきた森沢の分身を感じて、下腹部から内腿が甘くざわめくのをおぼえながら、森沢の舌に情熱的に舌をからめかえしていった。
 濃厚なキスを交わしているうちに森沢の手が強引に杏子の下着のなかにまで滑り込み、もう恥ずかしいほど濡れているクレバスをまさぐってくる。ぬるぬるした感触と一緒に過敏なクリトリスを指先でこねられて甘い鼻声がもれ、腰が猥りがわしく蠢いてしまう。込みあげてくる切なさで息苦しくなり、杏子は顔を振って唇を離した。
「だめ。シャワーを浴びてきます」
 息が弾んでいた。
「その前にちょっと見せてくれ」
 森沢はそういって杏子の前にしゃがみ込むなりタイトスカートを押しあげた。
「ほう。スカートのなかはこんな状態で仕事をしていたのか」
「そんな……いやだわ」
 森沢のいやらしい言い方に杏子は恥ずかしさをかきたてられて腰をくねらせ、浴室に駆け込んでいった。
 洗面所の鏡に映った杏子の顔は、早くも発情したような色を浮かべてこわばっていた。
 森沢に抱かれるのはこれが四度目になる。それまでは四、五日おきに逢っていたのが、今回は十日ほど間が空いたせいかもしれない。そこまでとは思わなかったのだけれど、さっき森沢の指がクレバスに分け入ってきたとき杏子自身、戸惑うような性欲の昂りをおぼえた。
 全裸になると、それを証明するように乳首が硬くしこって突きだしていた。それに森沢の指の感触が生々しく残っているクレバスから内腿のあたりに、切ない感じの疼きが残っていた。そのせいか、裸身全体がひどくなまめいて見え、過敏になっているように感じられる。
 杏子は自分でもプロポーションには自信を持っている。身長は百五十八センチで、スリーサイズはバスト八十三、ウエスト五十八、ヒップ八十五だ。やや上向きに反って形よく盛りあがっている乳房と、くっきりとくびれたウエストが特に気に入っている。
 ただ、ヒップだけがちょっと肉がつきすぎじゃないかと自分では思うのだけれど、男から見ると、むしろそのほうがいいらしい。夫を含め杏子が経験した数少ない男たちは、
「この形よく張ってむっちりしているところがいやらしくてそそるよ」
 と、みんな同じような褒め方をする。
 確かに杏子の目から見てもウエストがくびれているぶん、ヒップのボリュームが強調されて、いやらしい感じがする。
 いやらしいといえば、ヘアの生え具合もそうだ。男たちはいやらしいのが好きらしい。これまた、
「顔に似ずヘアは濃いんだな。でもこのアンバランスなところがなんともいやらしくてたまらない」
 と、同じようなことをいう。
 杏子は人からよく、女優の黒木瞳に似ているといわれる。自分ではそれほど似ているとは思わないのだけれど、逆三角形の形に黒々と濃密に生えているヘアが、男たちには杏子の顔立ちとアンバランスに見え、それがいやらしくて興奮を煽られるらしい。
 鏡に映っている裸身にボディチェックの目を走らせてから杏子はバスタブに入り、シャワーのコックをひねった。


2
 杏子はベッドに腰かけている森沢の前に立ったままバスタオルを取られ、両腕を胸の前で交差してバストを隠した。
 バスタオルの下は、ブラとペアの白い花柄のレースがアクセントになっている薄紫色のハイレグショーツをつけている。
「両手をおろしてよく見せてくれ」
 森沢が杏子の両手を胸から剥がす。
「いや」
 小声でいって杏子は顔をそむけた。それでいて森沢のするがままになって両手を体の脇におろす。
「きれいオッパイだ。こんなオッパイは滅多にお目にかかれないよ」
 いいながら森沢が剥きだしの乳房に両手を這わせてきて、ふくらみをなぞる。その指先が乳首に触れただけで杏子は甘い疼きに襲われて息を呑み、悩ましい表情を浮かべて小さくのけぞる。
 森沢の両手が乳房を揉むと同時に指先で乳首をこねる。甘い疼きと一緒に切ない気持ちをかきたてられて、杏子は手を口に当てたり、森沢の腕にかけたりしてきれぎれに喘ぐ。
 まるで両方が電器のコードで繋がれているかのように、乳房に生まれる性感がそのまま下腹部に流れ、体奥がざわめいて内腿がむずむずする。それで太腿をすり合わせているうちに腰が淫らに蠢いてしまう。
 さらに膝がふるえてきた。そうしなければ立っていられそうになくなって杏子は森沢の肩につかまった。
 森沢が両膝を杏子の脚の間にこじ入れた。片方の手を杏子の手と組ませ、一方の手でショーツ越しに股間をまさぐる。杏子は片方の手を森沢につかまれているので逃れることもできず、足を半歩開いた格好でされるままになっているしかない。
 いつも森沢はすぐに杏子をベッドに寝かせようとはせず、そうやって弄ぶようなことをする。
 初めて森沢とホテルにきたときも杏子はそうされてうろたえ、恥ずかしくてたまらなかった。けれども弄ばれているうちに、逆に自分でも戸惑うほど興奮をかきたてられていた。そればかりかつぎに逢ったとき、森沢のそんな行為を期待していた。
「ああン、だめ……」
 ショーツ越しにクレバスを微妙にこする森沢の指に、身悶える杏子の口をついてなまめかしい声がもれる。
 そんな声をもらすと同時に、それまで必死にこらえていた腰の動きが手放しになり、森沢の指の動きに合わせてくいくいと淫らに律動してしまう。
 立ったまま、はしたなく腰を振る自分の姿が恥ずかしくていたたまれない。それでいてめまいがする昂りにも襲われている。
「う〜ん、この粘りのあるいやらしい腰つきは、さすが人妻だ」
 興奮のこもった声でいうと森沢はようやく弄ぶのをやめ、杏子をベッドに寝かせた。バスローブとブリーフを脱ぎ捨て、発情した顔つきで息を弾ませている杏子の腰からショーツを抜き取ると、下腹部に顔を埋めてくる。
 セックスシーンの描写に定評がある森沢のクンニリングスは、どんな舌の使い方をしているのかわからないほど巧みだ。クリトリスをこねたり弾いたりするにしても、強弱だけでなく、舌の表裏や先や全体というように使い分けているのか、感触も微妙にちがう。
 それになにより舐め方そのものがねっとりとしていやらしく、たちまち杏子は感泣しながら絶頂に追いあげられていく。
 オルガスムスのふるえに襲われて杏子はイッた。すると森沢がのっそりと起きあがり、体を重ねてきて杏子を抱きしめる。杏子は森沢にしがみついた。
「ああ〜ッ、イク〜ッ!」
 よがり泣きながらまた絶頂のふるえに襲われる。
 そうやってエレクトしているペニスを熱く疼いている下腹部に押しつけられただけで、すぐまた体を突き抜けていく快感のざわめきに襲われて達してしまうのだ。それも抱きしめられるたびにたてつづけに……。
 森沢が横になった。かわって杏子が起きあがる。欲望に取り憑かれた顔つきになっているのが自分でもわかる。森沢の下半身のほうに移動し、見ているだけで体がふるえそうになるこわばりに口をつけていく。
 ねっとりと亀頭を舐めまわす。さらに怒張全体を、唇と舌でくすぐるようになぞっていく。
 相手がそうだからそれにつられてそうなったのか、あるいはもともと杏子自身のなかにそんな好色性が潜んでいたのか、森沢と関係するようになってから杏子は自分がどんどん淫らな女になっていくような気がする。
 フェラチオ一つを取ってもそうだった。それまではこんないやらしい舐め方はしなかった。それがまるで美味しい肉棒をしゃぶっているように舐めまわしながら、そのいやらしさに興奮を煽られている。
 そればかりか、クンニリングスされてたてつづけにイッて泣きたいほど疼いている秘奥がひとりでにひくついて、熱い蜜をあふれさせているのがわかる。そのたびに腰が蠢き、込みあげてくる喘ぎが切ない鼻声になる。
「しゃぶり方もさすがは人妻だ。同じようにいやらしくしゃぶるにしても、若い女にはない情感がある。杏子が美人の人妻だからよけいそう思うのか、ゾクゾクするよ」
 本気でそう感じているらしく、森沢の声はうわずっている。
 杏子は怒張を咥えて緩やかに顔を振ってしごいたり、そうしていると息苦しくなってそれを口から出して舐めまわしたりしていた。
 森沢が体を曲げて杏子の腰を引き寄せた。杏子は森沢のほうに下半身を向けてフェラチオをつづける格好になった。
 森沢が手でヒップを撫でまわし、指先で秘苑をまさぐってくる。濡れそぼって疼いている膣口の口をとらえて、ねちねちとこねる。それもクチュクチュという卑猥な音を響かせて。
 恥ずかしさと同時に興奮と疼きをかきたてられて、杏子はたまらなくなった。
「ううン、だめ……ああッ、もう欲しいッ」
 腰をうねらせ怒張を手でしごきながら訴えると、
「じゃあいってごらん。杏子のような美人で淑やかな人妻がいったら、どんな男でももらしそうになるいやらしい言い方で」
 森沢はなおも膣口をこねまわしながら、それを愉しんでいるような声でいった。
 森沢がなにをいわせようとしているのか、もう杏子にはわかっていた。初めて森沢と寝たとき、そのときは指ではなく怒張で膣口をこねられながらだったけれど、さんざん焦らされて、まるでトイレの落書きのようなあからさまなことをいって求めさせられたのだ。それまでそんな経験がなかった杏子はそのとき、めまいがするような羞恥に襲われながらも異常なほど興奮を煽られた。
 今もそのときと同じような羞恥と興奮につつまれながら、杏子はいった。
「ああッ、先生のチ×ポ、杏子のオマ×コに入れてッ」
「ふふふ、たまらないねェ、そんないやらしい求められ方をしたら。よし、じゃあ上になってごらん」
 森沢にいわれるまま、杏子は怒張にまたがると、息をつめてゆっくり腰を落としていく。手にした肉棒が泣きたいほど疼いている膣を突きあげるようにして押し入ってくる瞬間のめくるめく快感を想って、ふるえそうになりながら。


 火照った頬を森沢の胸に当てて、杏子は心地よい気だるさに浸っていた。
 騎乗位から対面座位、さらに後背位から側位と体位を変え、最後は正常位でクライマックスを迎えた行為の余韻を生々しく宿している体が、まだときおりひくついていた。
 側位で行為しているとき、森沢は怒張を抜き挿ししながら、そこを杏子に見せつけた。そして、その淫猥な眺めを見て興奮をかきたてられた杏子の指をつかみ、ビンビンに膨れあがっているクリトリスをこねさせた。
 それだけではない。怒張を抜き挿しされながら自らクリトリスをこねて感泣する杏子の耳もとで誘導するように卑猥な言葉を囁き、杏子に「オマ×コ大好き」などという淫乱女のようなことをいわせたのだった。
「次回の書き下ろしのテーマが決まったよ」
 森沢が杏子の汗ばんだ背中から腰に向けて背筋を指先でなぞりながらいった。
「テレクラでいくよ」
「テレクラ、ですか?」
「ああ。今さらって感じがするかもしれないけど、いろいろ問題があってもいまだに生き残っているテレクラを掘りさげてみるのもおもしろいと思うんだ。ぼちぼち取材のほうもはじめているんだけど、杏子の身近なところでおもしろいテレクラの体験をした話を聞いたことはないか?」
「テレクラだったらわたし、書籍部に配転になる前、婦人雑誌をやってたときの最後の号で特集を組んだんです」
「そうか。それならけっこうネタを持ってるんじゃないか」
「ええ、少しは……」
 杏子は口ごもった。
「なんだよ、もったいぶらずにおもしろい話があったら教えてくれよ」
 森沢に催促されて杏子はその話をする気になった。
「そのときまわりの女性たちを取材してるうちに聞いた話なんですけど、学生時代からの親友がテレクラを体験したっていうんです。彼女、わたしとよく似てるんですよ。結婚して仕事を持ってて、ご主人が単身赴任してるとこなんかまで」
「へえ。で、その人妻は美人?」
「え? そんなこと関係ないんじゃありません?」
「大ありだよ。話を聞くにしてもそれによってイメージの膨らみ方がちがうじゃないか」
「わたしなんかよりずっと美人ですよ」
「ほう、ぜひいちど会ってみたいもんだな」
 杏子は森沢の脇腹をツネッた。
「イテッ!」
 森沢が悲鳴をあげた。
「冗談だよ。でも杏子に妬かれるのもわるくない気分だな」
 妬いてツネッたわけではなく、ただ弾みでそうしただけなのに、森沢は嬉しそうにいった。森沢との関係はもとより恋だの愛だのといった要素の介在しない、ただ肉欲だけの関係にすぎないと杏子は割りきっている。
「で、その美人の人妻だけど、テレクラでどんな体験をしたんだ? その前にまず、そんな美人の人妻がなぜテレクラに電話をかけたのか、そういうことも聞いてればそのあたりから話してみてくれ」
 すっかり取材するつもりになってきた森沢に、杏子は詳細に話しはじめた。


3
 ある夜、彼女は単身赴任している夫に電話をかけた。すると出るはずのない女が電話に出た。
 一瞬、彼女は胸騒ぎに襲われた。が、すぐにまちがった番号にかけたのだろうと思い、電話を切ってかけなおした。ところがまた同じ女が出た。
 彼女の頭は真っ白になった。そのとき女に代わって夫が電話に出た。夫は、こっちの会社の連中が遊びにきてパーティをやっているのだといった。
 彼女は黙って電話を切った。ひどく言いわけがましく聞こえた夫の声が耳にこびりついていた。
 彼女は夫を愛していた。彼女と同じぐらい夫も自分を愛してくれていると信じていた。気持ちはもとよりセックスの面でもそういいきれるものが夫との間にはあると思っていたし、彼女自身そのことを信じて疑ってみたこともなかった。だからこそ、おたがいに仕事を持っているためとはいえ、夫の転勤によって余儀なくされた別居生活の淋しさにも耐えていられたのだった。
 ところが夫に女がいた。いきなりその事実を突きつけられた彼女は、ショックに打ちのめされた。彼女を支えていたものが音をたてて崩れていくのを感じながら、血の気が引いていく感覚に襲われて吐き気を催し、そのまま昏倒してしまいそうだった。
 そのとき電話がかかってきた。彼女は出なかった。いつまでも呼び出し音が鳴り響く電話を、ただ茫然と見ていた。
 それから毎晩、夫から電話がかかってきたけれど、彼女は出なかった。留守録をセットした電話器から聞こえてくる夫の声だけを聞いていた。夫は繰りかえし彼女の誤解だと訴えていた。
 三日目だったか四日目だったかに、留守録をセットした電話器から女の声が聞こえてきた。先日電話に出た女の声だった。
 女は自分が電話に出たことで彼女の誤解を招き、夫にも迷惑をかけたことを謝って、今日もこの前のように夫の会社の同僚や部下が夫の部屋に集まってパーティをしているのだといい、ついで男が出て同じようなことをいった。そして最後に夫が出た。
「こんなことはしたくなかったんだけど、いつも留守番電話だから直接話すこともできないし、いつまでも誤解のまま放っておくわけにもいかなくて仕方なかったんだ……」
 夫の低めた声の後ろのほうで談笑する男女の声が聞こえていた。そこまで夫がいったとき、彼女は初めて受話器を取りあげた。
「ごめんなさい。あのときはわたし、疲れててどうかしてたの。このところずっと忙しくて、今日はたまたま早く仕事が片づいてさっき帰ってきたんだけど、留守番電話がかかってて……大丈夫よ、心配しないで。誤解なんかしてないから」
 そういうと、夫は胸を撫でおろしたようすで電話を切った。
 彼女はひどい自己嫌悪に陥っていた。すぐに夫に女がいると決めつけた自分がたまらなくいやになった。いつのまにそんなに嫉妬深い女になっていたのかと思うと愕然とした。
 そのとき彼女の胸に、たとえようもない淋しさが込みあげてきた。
 夫に女がいると思ったのは誤解だった。それなのに胸のなかにぽっかりと穴が開き、埋めがたい空白感があった。
 彼女がテレクラに電話をかけたのは、それから三日後のことだった。
 帰宅してバッグのなかを整理していると、テレクラの宣伝のティッシュが出てきた。
 それを見たとき彼女は、胸のなかにぽっかりと開いたままになっている穴に、なにか心ときめくものがひろがってくるような感じがして、受話器を取りあげた。
 彼女は理知的なタイプだった。まさか自分がテレクラに電話をかけるなど想ってもみなかったし、プッシュフォンのボタンを押しながらも自分のしていることが信じられなかった。
 それでいて抑えようもないほど胸がときめいていた。そんなことは夫との別居生活がはじまって以来なかったことだった。
 電話の呼び出し音がするかしないかうちに男の声の応答があって、彼女はドキッとした。男はすぐに彼女のことをあれこれ聞いてきた。
 彼女はドギマギしながらも男から聞かれるまま、その都度とっさにウソを交えて答えた。それでも年齢や、夫と別居状態にあることなどは正直に話した。
 どうせ相手はいやらしい男に決まっていると思っていた。ところが意外にもその男は紳士的で、話し方も感じがよかった。
 男は彼女より二つ年上で、サラリーマンということだった。
 男もすっかり彼女のことが気に入って、デートを求めてきた。
 さすがに彼女はためらった。まったくそんなことまでは考えていなかったのだった。
 けれども彼女はオーケイの返事をした。デートの場所にいって、どんな男か見てやろう。それでもしも電話の印象どおり感じのいい男だったら、お茶ぐらいは付き合ってもいい。冷やかしのつもりだった。
 翌日、彼女は待ち合わせ場所のホテルのロビーに行った。ロビーの陰からそれらしき男を探した。けれども見当たらなかった。
 そのとき突然、背後から声をかけられて彼女は心臓が止まるほど驚かされた。男の声で彼女がテレクラの電話でいった偽名を呼ばれたのだ。
 彼女の反応は偽名の本人であることを証明したも同然だった。
 男が名前を名乗った。電話の男だった。きちんとスーツを着こなして、電話のときの好印象を裏切らない感じだった。
 男は彼女をホテルのバーに誘った。思惑が狂ってしまってうろたえていた彼女は断ることができなかった。
 バーに入って男はウイスキーの水割り、彼女はカクテルを飲んだ。こんな美人の人妻に会えるとは思わなかったと、男は興奮したようすでいった。もっぱら男が話し、彼女のほうは適当に答えたり相槌を打ったりしているだけだった。そのうちアルコールの酔いがまわってくるにつれて彼女も男の冗談につられて笑うようになった。
 やがて男が妙なことをいった。彼女にホテルのルーム・キーを渡し、プレゼントがあるから先に部屋にいって見てもらいたい。そこにメッセージもある。それを読んでオーケイだったら――いや、ぜひオーケイしてほしい!――メッセージのとおりにして待っていてくれというのだった。
 プレゼントだのメッセージだの、いったいどういうこと?……
 彼女は訝しがりながらも心地よいアルコールの酔いに後押しされて、男の秘密めかした頼みに興味をそそられ、ホテルの部屋に向かった。場合によっては部屋に男を入れないで帰ってくればいいのだからと思って。


4
「おお、おもしろくなってきた。なかなか仕掛けも凝ってるじゃないか。佳境に入る前にちょっと待て」
 森沢は裸のままベッドから出ると、冷蔵庫から缶ビールを二つ取りだして戻ってきた。杏子は毛布を引きあげて上体を起こし、ベッドのヘッドに枕を立てかけてもたれると缶ビールを受け取った。
 ベッドに入った森沢も杏子と同じ格好でビールを開けた。
「で、そのあとどうなった?」
 興味津々の顔つきで聞く森沢に、杏子はビールで喉を潤してまた話しはじめた。


 彼女がホテルの部屋に入っていくと、ベッドの上に包装紙に包まれた週刊誌大の薄い箱と一枚の便箋があった。
 便箋には『プレゼントの品を身につけて待っていてください』とだけ書かれていた。
 彼女は包みを開けてみた。中身を見て戸惑うと同時にうろたえた。シースルーの黒地に赤い縁取りのある下着だった。それもブラとショーツとガーターベルトの三点セットに、セパレーツのシーム入りの黒いストッキングまであった。
 そのうえよく見ると、ショーツのクロッチの部分にスリットが入っていた。
 彼女は顔が火照った。一瞬、そのショーツをつけた恥ずかしい部分の眺めが頭をよぎって、めまいがするような羞恥に襲われた。と同時に体奥を熱いざわめきが走り抜けて体がふるえそうになった。一気にアルコールの酔いがまわってきた感じだった。
 こんないやらしい下着をつけて、しかも今日初めて会ったばかりの男と……。
 いままでの彼女なら、とてもそんなふしだらなことはできないし、まちがってもしない。それなのにそう思っただけで彼女の胸は息苦しいほど高鳴っていた。なぜそんなことになるのか自分でもわからなかった。
 わからないといえば、そのとき彼女をそう仕向けた衝動の正体もわからなかった。
 チャイムの音で我れにかえると、彼女は男から与えられた下着をつけていた。
 そのときから、いやその下着をつけはじめたときから、もう彼女はいつもの彼女ではなかった。妖しい昂りに衝き動かされて、越えてはならないハードルを越えていた。
 部屋に入ってきた男は彼女を見て目を見張り、賛辞の言葉を並べたてた。饒舌な口調とは裏腹に、彼女を舐めまわすように見ている男の目がみるみる粘りつくような鈍い光をたたえていた。
 そのとき彼女は初めて男の異常な欲望を感じて慄然とした。


 杏子がそこまで話したとき、なにを思ったのか、森沢は黙ってベッドから出た。クローゼットの扉を開けると、手提げの紙袋を取りだしてもどってきた。
「いやァ、おもしろい話じゃないか。ディテールもちゃんとしてるし、まるで杏子が書いた小説を読んで聞かせてもらっているようだ。というより体験小説といったほうがいいかな。主人公は杏子自身、そうなんだろ?」
 突然森沢にいわれて杏子は驚き、うろたえた。平静を装う余裕もなく、とっさにかえす言葉もなかった。
「やっぱりそうか」
 森沢の声にも驚きがこもっていた。
「どうしてわたしだと……」
 杏子はそれだけいうのがやっとだった。うつ向いたまま顔をあげることもできなかった。
「この前、高野女史と打ち合わせをやってるときだよ。なにかの拍子に俺がこんどの書き下ろしのテーマにしようと思っていたテレクラの話をしたら、そういえばうちの婦人雑誌で特集したことがありますよ、編集部に聞いて取材できる人を紹介させましょうってことになったんだ。それでテレクラ・マニアの成瀬という男を紹介してもらって、いろいろ話を聞いたんだよ。そのなかに杏子そっくりの女が出てきた。黒木瞳に似ていて、年齢も、人妻で仕事を持っているとこも、それに夫が単身赴任しているところまで。ただ、そのときはまさかと思ったよ。だけどやっぱり気になってきた。で、杏子がどういう反応を示すか試してみようと思ったってわけだ」
 森沢はそこまでいうと、杏子の前に手提げの紙袋を置いた。
「さ、話のつづきを再現しよう。これをつけておいで」
 いわれて杏子は紙袋のなかに視線を這わせた。黒い下着のようなものが入っているのを見た瞬間、あのときの成瀬という男との情痴が脳裏をよぎり、カッと全身が熱くなった。
 杏子はベッドを出た。紙袋を手にすると浴室に向かった。いたたまれない恥ずかしさと同時に、早くも自分でも戸惑うほど胸が高鳴っていた。
 親友から聞いた話として森沢に話したことはすべて、森沢にいわれたとおり杏子自身の体験だった。
 成瀬という男と異常な情痴にふけった数日後、テレクラの取材を依頼していたフリーライターの一人がテレクラ・マニアにインタビューするというので杏子も立ち会うことになった。
 ところが待ち合わせの喫茶店に入ったとたん、杏子は立ちすくんだ。あろうことか、インタビューの相手はあの成瀬という男だったのだ。
 幸い杏子のほうが先に成瀬に気づき、とっさに身を隠したので顔を合わさずにすんだが、杏子は狼狽しきっていた。そこで、フリーライターに急用を思いだしたといい、あわててその場から逃げだしたのだった。
 森沢と男と女の関係になったのは、それから三カ月ほどたってからのことだった。行きずり同然の男と関係を持ったことが、それもふつうではない情痴を体験したことが、杏子のなかに変化をもたらしていた。夫との別居生活の淋しさがそれまで以上に痛切に感じられるようになったというだけでなく、そのことと相まって杏子自身よくわからない欲望の渇きをおぼえていた。
 だが今、シャワーを浴び直して森沢が用意した下着を身につけ、洗面所の鏡に映った姿を見たとき、杏子は初めて自分のなかに潜んでいた欲望の渇きの正体を知った。
 杏子が着けているのは、けばけばしい赤い縁取りはないものの、成瀬という男から与えられたものと同じスタイルの黒い下着――シースルーのブラとショーツとガーターベルトの三点セットにシーム入りのストッキング――だった。
 あのときと同じように杏子は、顔に火照りをおぼえながら、脚を開いて股間を覗いてみた。
 クロッチの部分のスリットから赤褐色の秘唇と一緒にそのまわりに生えているヘアがはみだしている淫猥な眺めを目にしたとたん、あのときと同じようにカッと羞恥の炎が燃えあがった。と同時に頭がクラッとし、ズキンと秘奥が疼いて思わず喘ぎそうになった。
 杏子は浴室を出た。早くも息をするのも苦しいほど胸が高鳴って、足取りもおぼつかなかった。下着と一緒にそれも用意していたのだろう。森沢がロープを手にして待ち受けていた。
「おお、なかなかそそる格好だな。杏子はプロポーションがいいからそういう下着がよく似合ってるよ」
 杏子をまぶしそうに見ていいながら、森沢が杏子の後ろにまわった。
「両手を背中にまわしてごらん」
 杏子はいわれたとおりにした。両手を背中にまわしただけで、自分でも戸惑うほどゾクゾクした。
 手首を交差して縛られ、ブラカップをずりさげられて乳房の上下にもロープをまわし、ふくらみを絞りだされるようにして拘束されると、たまらなく切ない思いが込みあげてきてひとりでに息が乱れた。
「ほう。あの成瀬って男がいっていたとおりだな。縛られただけでもう息を弾ませているじゃないか。それにその色っぽい表情がなんともいえない。まちがいなく、杏子にはマゾッ気があるな」
 いいながら、森沢が一段と突きだしている乳首を両手でつまんでこねる。杏子は苦悶の表情を浮かべてきれぎれに喘いでのけぞり、内腿をすり合わせて身悶えた。乳首に生じる甘い疼きが内腿から秘奥をざわめかせてそうせずにはいられない。
 森沢は杏子を肘掛け椅子に坐らせた。あの成瀬という男と同じようにしようとしているのだとわかって、杏子はめまいをおぼえた。
 案の定、森沢は杏子の両脚を抱えあげて肘掛けをまたがせ、ロープで椅子に拘束した。
「ああ、いやッ、見ちゃあだめェ〜」
 いたたまれずにいったつもりが、杏子の声はひどくなまめいていた。
「この格好じゃ、見るなというほうが無理だよ。いやァ、下手にスッポンポンにするよりこのほうがいやらしくていいな。オマ×コだけがはみだしてるとこがなんともたまらないよ」
 大股開きの杏子の前に腰を落としている森沢が、興奮したようすであからさまなことをいいながら、そこを手で撫でまわす。
「いやッ、いわないでッ」
 見まいとする意思とは裏腹に、杏子は股間を見やった。
 開脚によってクロッチのスリットが開き、恥ずかしい部分がよけいにあからさまに露出している。
 森沢の片方の手の指先がいやらしく開いている秘唇の上端を押しあげてクリトリスをこね、一方の手の指先が早くもジトッと濡れ光っているピンク色のクレバスをまさぐり、卑猥な音を響かせて膣口を撫でまわす。
 もう杏子は股間を見ていられなかった。あの成瀬という男のときと同じように、すすり泣くような声をもらしてのけぞりながら、猥りがわしく腰をうねらせていた。


5
 自宅があるマンションに辿り着いたときは、夜中の十二時をまわっていた。
 杏子の体には、というよりも股間には、まだ生々しく情事の余韻が残っていた。それも性器だけではなく、アナルにも。
 あの成瀬という男から杏子が初めてアナルを犯されたことも聞いたらしく、森沢にもさんざん弄ばれたあげく、アナルも犯されたのだ。押しひろげられる感覚が強いぶんアナルに残っている、まだしびれているような余韻のほうが性器のそれよりも生々しかった。
 部屋のドアを開けてなかに入ろうとしたとき、杏子は一瞬なにが起こったのかわからなかった。突然後ろから突き飛ばされて部屋のなかに倒れ込んでいた。
 が、次の瞬間、息を呑んだ。
「声を出すな! 出したら殺す」
 黒い目出し帽をかぶった男が杏子にナイフを突きつけていった。
 杏子は怯えきってうなずいた。男は杏子の腕をつかんで立ちあがらせると、ナイフを突きつけたまま、部屋の奥に引ったてた。
 暗がりのなか、杏子は怯えながらも暗さに馴れた目で男を観察した。小柄な男で、だぶだぶの服を着て腰にポシェットを巻いていた。
 その格好といい、男が発した声の、やや甲高い、無理にドスを効かせようとしたような感じといい、まだ少年といっていい年頃なのかもしれないと思った。
 男は杏子をリビングルームに拉致した。
「お金ならあげるから、すぐに出ていって」
「裸になれ!」
 杏子の懇願を無視して男がいった。目当てが金ではなく体だとわかって杏子はおぞましさをかきたてられた。
 だが、キレやすい少年だったら、下手に怒らせると殺される。恐怖にかられて杏子は服を脱ぎはじめた。森沢につけさせられたままの黒い下着が相手をよけいに刺戟するのではないか。それにいやらしいショーツを見られたら……と、びくびくしながら。
 下着姿になった杏子を見て、男は驚いたようだった。
「全部脱げ!」
 男がいった。有無をいわせない気迫のようなものと口調に、杏子は恥辱をかきたてられながらも下着を取っていった。
 全裸になると、男がポシェットからなにかを取りだした。手錠だった。
 男は、胸と下腹部を隠している杏子の胸の手を引き離して手錠をかけた。ついで両手を背中にまわさせて一方の手首にも手錠をかけ、杏子を絨毯の上にあお向けに寝かせた。
 後ろ手に手錠をかけられた杏子は乳房を剥きだしにしたまま、脚をよじって下腹部を男の目から隠すのがせいいっぱいだった。
 だがそうしていることもできなくなった。男が杏子のストッキングを使って両方の足首を別々にテーブルの脚に縛りつけたのだ。
「いやッ……」
 思わず杏子は小声でいった。あろうことか、男が手にしているのはバイブレーターだった。
 不気味な電動音が響き、男が手にしているバイブが杏子の乳房を撫でまわす。否応なくかきたてられる疼きに、杏子はのけぞりながらも必死に声を殺した。
 だがバイブが無防備な秘苑に這いおりてくると、もうどうすることもできなかった。きれぎれに昂った喘ぎ声が口をついてもれ、ひとりでに腰が淫らに律動してしまう。
 バイブがヌル〜ッと秘奥に侵入してきた。秘奥をこねまわしながらバイブレーションを湧きたてる淫具に、たちまち杏子は翻弄されはじめた。
 そのとき閃光のようなものが走った。男が悶え狂う杏子を写真に撮っているのだった。そんなことにもおかまいなく、杏子は狂態に呑み込まれていった。


 翌日、出社すると机の上に白い封筒が置いてあった。封筒のなかには、昨夜杏子が撮られた痴態写真と白地の事務用紙が入っていた。
 用紙には、『森沢と別れろ』とだけ拡大したワープロ文字で書かれていた。
 杏子は高野美恵子を見やった。美恵子は机に向かって仕事をしていた。
 杏子は写真と事務用紙を封筒に入れて席を立ち、美恵子のそばにいった。
「高野さん、お話があります。ちょっと屋上まできてください」
 杏子自身、自分でも驚くほど醒めた口調でいうと、高野美恵子は一瞬、たじろいだような表情を見せた。が、すぐに不敵とも思える笑いを浮かべて立ちあがった。
 二人は会社の屋上にいった。
「森沢先生とはいつからなんですか?」
 杏子は聞いた。
「あなたよりずっと前からよ」
 開き直ったような口調で美恵子は答えた。二人ともフェンスに向かってこの場にふさわしくない初夏の陽射しを浴びている街並みを見ていた。
「森沢先生を愛してるんだったら、写真とネガをかえして」
 杏子は、感情を殺していった。
「どういうこと?」
 美恵子が聞きかえした。杏子はいった。
「あなたのいうとおり、わたしは森沢先生と別れるわ。ただし、写真とネガをかえしてくれなかったら、あなたがわたしにしたことを先生に話すわよ」
「どうしてわたしだとわかったの?」
「オーデコロンの匂いよ、いつもあなたがつけてる。もっと早くわかればよかったのに、あなたが部屋を出ていく前にようやく……」
 急に美恵子が意味不明のくぐもったような笑い声をもらした。
「匂いか。そこまでは気がつかなかったわ。それにしてもあなたって、見かけによらず淫乱なのねェ。いくらバイブで弄ばれたからって、あんなによがってイキまくるなんて、わたしまで変な気分にさせられちゃったわよ」
「やめてッ!」
 嘲笑するようにいう美恵子に、杏子はカッと顔が火照って思わず声を高めた。
「いいわ。写真とネガはかえしてあげる。人妻ならこれからはもう下手な火遊びなんてしないことね」
 美恵子は勝ち誇ったようにいって杏子の肩を叩くと、去っていった。
 レイプされたときのことをいわれてからうつ向いて顔をあげることができないでいた杏子は、一人になってようやく顔をあげた。
 そのとき夫の顔が脳裏に浮かんできて、涙ぐみそうになった。が、空をあおいでぐっとこらえ、思った。夫を裏切った身で、うまくやれるかどうかわからないけれど、ニューヨークにいってみようと。


3 淑妻が涕いた黒い下着


1
 朝起きると吐き気に襲われた。体も熱っぽくて、ひどく気だるい。どうやら風邪のウイルスに胃をやられたらしい。用心をとって、石上は会社を休むことにした。
 勤務先のデパートの外商部に病欠の連絡を入れて電話を切ると、
「わたしも出かけるの、よそうかしら」
 妻の淑子が心配そうにいった。
「かまわないよ。風邪だから寝てれば治るさ」
「そう。でもこじらせちゃったら大変だから、ちゃんと食べるものは食べて体力つけなくちゃ」
 そういって妻がつくってくれたお粥を食べたあと、風邪薬を飲んで石上はまたベッドにもぐった。
 いつのまにか眠っていたらしい。目を醒ますと妻は出かける仕度をしていた。石上が眠っている間にシャワーを浴びたのだろう。バスローブをまとってドレッサーの前で化粧をしていた。
 淑子は週三回、カルチャースクールで生け花教室の講師をしている。六年前、石上と結婚するまでは銀行に勤めていたが、女子大を出て銀行員になったときから生け花を習いはじめ、師範の免状を持っていた。結婚と同時に銀行を辞めて専業主婦におさまったのだが子供がいないので暇を持てあますようになり、生け花の師匠の口利きでカルチャースクールの講師を勤めるようになったのだった。
 ところが今日は教室に行く日ではなかった。受講生たちとのお茶会だといっていた。
 教室に行くときの淑子はいつも和服を着る。和服が似合うタイプで、ふだんでもときどき着ているが、今日は洋服らしい。淑子のベッドの上に着ていく洋服が出してあった。
 淑子が立ちあがり、石上のほうを見た。瞬間、石上は寝たふりをした。わけもなく、とっさにそうしただけだった。
 薄目を開けて見ると、淑子は石上の寝たふりに気づかなかったらしい。石上に背中を向けていた。
 その瞬間、石上は目を見張った。バスローブを脱いだ淑子が、石上も見たことがない刺戟的な下着、黒いTバックショーツをつけていたからだ。
 むっちりとして形よく張った剥きだしのヒップと同時に、ドレッサーの鏡に映っているショーツの前も見えた。それも小さな逆三角形のシースルーの布と一緒にモジャとしたヘアまで。
 一瞬のうちに刺戟された石上は、妻に襲いかかりたい衝動にかられた。それを、かろうじて思いとどまった。
 なぜ思いとどまったのか、石上自身よくわからないまま見ているうちに、妻はショーツと同じ黒いブラをつけてパンストを穿き、洋服を着て寝室から出ていった。
 玄関のドアが閉まる音を聞いて、石上は思った。
 お茶会にあんなケバい下着をつけていく必要があるのか。お茶会なんてウソで、男に逢うためでは?……まさか、淑子にかぎってそんなことは……。
 あり得ないと思おうとしたが、Tバックショーツをつけて、むっちりとした尻も露わにヘアまで透けて見えていた妻の腰部が目に焼きついているためか、そうは思えなかった。
 それに「出かけるのをやめようかしら」といったときの妻の表情も、なんとなく疑わしく思えてきた。
 あのときの心配そうな表情は、石上の風邪のことではなく、出かけられなくなるのを心配してのことではなかったのか。
 そのとき石上は、さっきどうして妻に襲いかかろうとして思いとどまったのか、そのわけがわかったような気がした。その瞬間、妻に対する疑惑のようなものが胸のなかに湧きあがってきたからだ。
 それに石上自身にも、妻に対してうしろめたい気持ちがあった。
 妻に対する疑惑とうしろめたさ。両方が交錯して衝動に歯止めがかかったのかもしれない。
 それにしても、本当に淑子に男が……いや、思い過ごしだ。淑子にかぎってそれはない、そんなことがあるはずがない……。
 石上は必死に疑惑を否定した。自分のことは棚にあげ、妻のこととなると、疑惑といってもまだ雲をつかむようなものなのにひどくうろたえている。そんな自分が滑稽に思えてきた。
 バカバカしい。思い過ごしに決まってる。初めてTバックを穿いてるのを見たからといって、それで浮気をしてると疑うほうがどうかしてる……。
 ひとまずはそう思って自分を納得させたものの、Tバックショーツを穿いた妻の腰部が石上の頭から離れなかった。
 石上が妻の下着姿を見たのは久しぶりだった。淑子と結婚して六年になるが、一年あまり前からセックスの回数が月に一回あればいいほうになり、ここ三カ月ほどはセックスレスの状態がつづいていた。
 それでも結婚して四年ほどは相当に励んだ。
 石上は結婚前の淑子の男関係について聞いたこともないし知ろうともしなかったが、二人が深い関係になったとき、淑子はまだクリトリスではイッても膣でイクことを知らなかった。
 石上にとってはそれだけで充分だった。妻にもっと深い歓びがあることを教えてやり、自分が女にめざめさせた男になるんだという意気込みと情熱をかきたてられたものだ。
 それにまだ女としては充分に開花していない淑子だったが、素晴らしく均整のとれた体をしていたので、なおさらだった。
 その甲斐あってほどなく淑子はオルガスムスを知り、夫婦のセックスはいっそう充実したものになってきた。そして結婚三年目を迎えた頃、二人ともそろそろ子供がほしいと思うようになった。
 ところがいっこうに淑子に妊娠の兆候は現われなかった。どちらに原因があるのかわからなかったが、そうこうしているうちに、夫婦のセックスはしだいに間隔が開くようになってきた。といっても、石上が淑子の体にあきたからでも子供ができないせいでもなかった。それまで相当に励んできた反動の、一時休止のようなものだろう。石上はそう思っていた。
 淑子がカルチャースクールの講師になったのは、ちょうどその頃だった。
 石上が一時休止のようなものだと思った状態は、その後もそのままつづいていた。それでも夫婦の間にそれまでと変わったところはなかった。
 そのうち石上のほうに変化が生じた。今年の春先のことだった。同じデパートに勤務している高梨真美と関係を持ってしまったのだ。
 高梨真美はデパートのインテリア部門の、主に絵画や美術工芸品の販売を担当している。まだ入店二年目の二十三歳だが、美大出身でその方面のセンスがあり、仕事ぶりは高く評価されていた。
 外商部の係長をしている石上が真美と親密になったのは、絵画や美術工芸品の企画販売があるたびに、石上が運転する車に真美を乗せて上得意先まわりをしていたときのことだった。
 真美はストレートのロングヘアが似合うコケティッシュな顔立ちをした魅力的な娘で、そのうえプロポーションも素晴らしくよかった。
 といっても石上には、真美の裸や、彼女がどんなセックスをするのだろうといったことを想像することはあっても、なんとかして彼女をものにしてやろうというような下心はなかった。セックスは間遠になっていても妻を愛していたし、石上より四つ年下でまだ三十一歳の妻の、女としての魅力も認めていた。
 それでいて真美と関係を持ってしまったのは、とてもロマンチックなどとはいえない、むしろ今にして思えば滑稽といってもいいようなことがきっかけになったのだった。


2
 その日、石上は真美を車の助手席に乗せて郊外の上得意まわりをしていた。
 昼時になって二人はコンビニで弁当を買い、車のなかで昼食を摂ることにした。どうせなら見晴らしのいい場所のほうがいいだろうと思い、石上は近くの丘に向かって車を走らせた。
 住宅街をはずれて雑木林のなかの道を登って丘の上にあがると、一気に眺望が開けた。あたりにはまだ農地がかなりあって、畑のなかに新興住宅街がひろがっている郊外特有の眺めが一望できた。
「う〜ん、気持ちいい。春の匂いがするわ。あ、ウグイス!」
 車から降り立った真美が両手をひろげて深呼吸した格好のまま、驚きの声をあげた。そばの林のなかでウグイスが啼いていた。
「絶景とはいえないけど、これならコンビニの弁当でもうまいかもしれないな」
「そうですね。ピクニックに来てるみたいだし……」
 二人は車の前後のドアを開けてシートに並んで腰をかけ、弁当を開いた。
 そうやって春の陽射しを浴びながら弁当を食べていると、真美がいったとおりピクニックにきているような気分だった。
 そんな弾んだ気分のせいもあって、たわいないことを話しているうちに石上は初めて真美のプライベートに立ち入った。
「高梨くんは当然、彼氏がいるんだろ?」
「え? なんですか急に……」
 真美は戸惑ったようすを見せながら、苦笑いした。
「残念だけど、そんな人いません」
「ということは最近別れたとか?」
「え〜、どうしてェ?」
 真美は驚いて聞きかえした。石上は笑っていった。
「当たったみたいだな」
「どうしてわかったんですか?」
「きみのように魅力的な人なら、彼氏がいて当然だと思っただけだよ」
「そんな……わたし、魅力なんてないですよ」
「大ありだよ。美人だし仕事もできる。モテて当たり前だよ」
「いやだわ。からかってるんですか?」
「とんでもない。マジだよ」
 そういったあとで石上は照れると同時に年甲斐もなくドギマギした。真美が驚いたような真剣な目つきで石上を見かえしたからだ。
「俺、ちょっと用足しにいってくるよ」
 さっきから尿意を催していた石上は、そういってきまりわるさをごまかして立ちあがった。
 雑木林のなかに入って用を足してもどってくると、真美の姿がなかった。あたりを見まわすと、石上が用を足しにいったのとは反対の林のなかの、灌木の陰からわずかに覗いている真美の頭が見えた。
 草花でも見ているのだろう。ちょっと驚かせてやれ。そう思った石上は足音を殺して林のなかに入っていった。
 灌木のそばまでいって、しゃがみ込んでいる真美を見た瞬間、いきなり剥きだしのヒップが目に入ってドキッとした。真美も用を足していたのだ。
 紺色のタイトスカートから半分ほど覗いている白いヒップに石上が目を奪われていたのは、ほんの二、三秒のことだった。
「やだァ、見ちゃあだめェ〜!」
 足もとにまるまったティッシュを落とすと同時に振り向いた真美が悲鳴をあげた。立ちあがると大あわてで下着をあげ、駆けだして石上の胸に飛び込んできた。
「やだァ、ひど〜い!」
 激しくかぶりを振り、両手で石上の胸を叩く。
「ごめん、ごめん。そんなつもりはなかったんだ。花でも見てるのかと思って」
 石上が困惑していうと、胸にとりすがったまま真美が思いがけないことをいった。
「だって石上さんに恥ずかしいとこ見られたのよ。わたしだけ見られちゃったなんて不公平だわ。石上さんもわたしに見せて」
「そんな……俺の尻を見たってしようがないだろう」
 石上はうろたえながらも苦笑していい、両手で真美の肩をつかんで顔を覗き込んだ。
「見ちゃあいや……」
 真美は恥ずかしくていたたまれないようすで顔をそむけた。それでいてときめいているような表情を浮かべて息を弾ませている。
 そのとき、石上のなかでなにかが弾けた。真美を抱きしめるなり唇を奪った。
 真美はほとんど抵抗らしい抵抗も見せなかった。小さく呻いてわずかに身をくねらせただけだった。そればかりか、石上が舌を滑り込ませていくとすんなりと受け入れ、石上の舌の動きに合わせて真美も舌をからめてきた。
 思いがけない状況で思いがけないものを目にしたせいか、石上は異常なまでに興奮していた。
 熱っぽくからんでくる真美の舌をからめ取りながら、片手をタイトスカートのなかに侵入させて、形よく盛りあがったヒップをパンスト越しに撫でまわした。
 真美が切なげな鼻声をもらして腰をくねらす。ヒップを撫でまわしている石上の手をいやがっている感じではない。それどころか下腹部を石上の股間に、というよりも早くもズボンの前を突きあげてきている分身に、こすりつけているような腰つきだ。
 そのとき、真美がたまりかねたように顔を振って唇を離した。コケティッシュな顔立ちに興奮の色が浮きたっていた。
「お尻なんかより、ここが見たいわ」
 潤んでキラキラ光る目で石上を見つめたまま、弾む息でいいながら、手を石上の股間に這わせて分身をまさぐってきた。
 その妖しい目つきと大胆な行為に、石上は逆上にちかい興奮を煽られた。真美をそばの木に押しやってもたれさせると、その前にしゃがみ込むなりタイトスカートを腰の上まで押しあげた。
「そんなァ……」
 真美は嬌声をあげて腰をくねらせただけだった。
 肌色のパンストの下にハイウエスト・タイプの上半分がストレッチレースになっている白いショーツが透けた腰部が、石上の目の前にあった。ウエストが悩ましくくびれ、そのぶん形よく張ったヒップが際立って、いやらしいほど官能的に見えた。
 石上は一瞬、パンストとショーツがこんもりと盛りあがっている部分に目を止め、興奮を煽られて両手をパンストにかけるなりショーツごと引きおろした。
「あッ、だめ!」
 真美はうろたえたような声をあげると同時に両手で下腹部を隠した。
「誰か来たらどうするのォ」
 石上が見あげると、真美は顔をそむけていた。それも怯えた声とは逆に興奮の色が強まった表情を浮かべて。そのスリルを刺戟に感じているようだ。
 誰か人がくるような場所ではなかったが、野外ということでスリルと興奮をかきたてられているのは石上も同じだった。
「そのときは見せてやればいいさ。さ、手をどけて」
「そんなァ、だめェ〜」
 石上が下腹部の両手を剥がすと、真美は嬌声をあげて両手で顔を覆った。なおも片方の脚をよじって下腹部を隠していたが、石上が両の太腿を押し分けると、昂った感じの喘ぎ声をもらしてされるままになった。
 真美の両脚は半歩ほど開き、適度に肉がついて引き締まった太腿のなかほどまでずりさがったパンストとショーツが伸びていた。
 石上の前に陽射しを浴びて鈍く光っているヘアがあった。真美のヘアは黒々として艶があるが、それほど濃くはなかった。恥骨がこんもりと盛りあげている肉丘をエロティックに飾っていた。
 今さらながら石上は白昼夢を見ているような気持ちになり、これが現実だということを確かめるようにヘアを撫でた。
 真美は両手で顔を覆ったまま腰をもじつかせた。太腿の付け根に分け入った石上の両手の指先に、ジトッとした唇に触れたような感触があった。両手でそこを押し分けるなり石上は貪りつくように口をつけた。
「あッ、いやッ、そんなのだめッ……だめよ、やめてッ」
 放尿した直後とあって真美は狼狽しきって、石上の頭を両手で押しやろうとした。だが石上は強引に口を押しつけ、舌でクレバスをまさぐってクリトリスのあたりをこねまわした。
 かすかに尿の臭いがしたが、まったく気にならなかった。それよりも真美の秘めやかな部分を舐めまわす行為に興奮をかきたてられて、夢中になっていた。
 いつのまにか真美は抵抗をやめ、かわりにきれぎれの感泣をもらして、たまらなさそうに腰を蠢かせていた。
 石上の舌が、錠剤をそうしているような感じにまでなってきたクリトリスを責めたてるようにこねまわしていると、真美の泣くような喘ぎ声が切迫した感じになってきた。
「もうだめッ、イッちゃう!」
 息せききっていって両手で石上の頭を抱え込むと、泣き声で絶頂を告げながら腰を揺すりたてた。
 石上は立ちあがった。真美は興奮に酔った顔つきで息を弾ませながら、木にもたれて立っているのがやっとという感じだった。
 石上がベルトをはずしてブリーフごとズボンをさげると、真美はそのまま腰から滑り落ちてひざまずき、久々に怒張と化している石上のペニスを両手で捧げ持つようにして舌をからめてきた。
 石上は真美がフェラチオするのをじっと見おろしていた。
 真美の技巧はそれなりの経験を感じさせるものだった。ときおり片手でロングヘアを掻きあげながら、ねっとりと肉棒全体を舐めまわすかと思えば、舌をじゃれつかせるようにしてくすぐりたてる。それも雁首や怒張の裏側や尿道口といった男の弱点を巧みに突いてくる。
 石上はぞくぞくする快感をかきたてられながらも、そうやって受け身にまわって初めて、おかしな言い方だが現実感覚のようなものがもどってきた。
 部署はちがっても相手は同じ会社の女だ。面倒なことになるのではないか……。
 そんな危惧が頭をよぎり、妻の淑子に対する罪悪感もちくりと胸を刺した。
 だが、たとえていえば妻とはすべての面で和風と洋風ほどにタイプも魅力もちがう若い女をものにしたときめきのほうが、危惧や罪悪感をはるかに上まわっていた。
 ぞくぞくする快感に襲われながら、目をつむって怒張を咥えたまま緩やかに顔を振っている真美を見おろしているうちに、石上はたまらなくなった。真美を押しやって立たせたとき、ふと思っていった。
「車のなかのほうがいいかな」
「外のほうがいい。こんなの初めてだから」
 真美は笑いを浮かべていった。そのほうが刺戟があっていいという口ぶりだったが、興奮と恥ずかしさのためか、ぎごちない笑い顔だった。
 屋外でセックスするのは石上も初めてだった。真美と同じように刺戟を感じてよけいに興奮を煽られていた。
 石上は真美を木にもたれさせて片方の脚を抱えあげた。怒張を手にしてクレバスをまさぐると、ヌルヌルした感触のなかの的を探り当て、押し入った。
 その瞬間、真美は小さく呻き、苦悶の表情を浮かべてのけぞった。
 ヌル〜ッという感じで怒張が侵入した蜜壺は、かなり窮屈で、そのぶんより強く、エロティックな感触をたたえた粘膜にペニスが包み込まれている快美感があった。
 石上は緩やかに腰を使った。充分すぎるほど濡れていても怒張がくすぐられるような感触があって、甘い疼きに襲われた。
「いいよ。真美のここは名器だな」
「わたしも。ああン、いいッ……でも、誰か来たらって思ったら、ドキドキしちゃう」
 真美はたまらなさそうに快感を訴え、怯えたようなことをいいながらも興奮しきった顔つきをしている。
 石上は真美のブラウスのボタンをはずしていきながら、聞いた。
「でも刺戟があって興奮しちゃうんだろ?」
「そう。ああッ、たまんない……」
 石上は途中までボタンをはずしてブラウスの前をはだけ、白いブラを引きさげた。ブルンと生々しく弾んでボリュームのある乳房が露出した。
 乳房は紡錘形に形よく盛りあがって張りもある。まぶしいばかりの乳房を空いている手で揉みたてると同時に、見るからに感じやすそうに突きだしているピンク色の乳首を指先でこねてやると、真美は悩ましい表情を浮かべて狂おしそうにのけぞり、感泣するような声をもらしはじめた。
 乳房を愛撫することに夢中になっているうちに石上の腰の動きが止まっていたようだ。真美のほうが腰をうねらせていた。
「ああン、もっとしてッ」
 猥りがわしい腰つきと興奮のためにこわばったような顔つきで訴える真美に、石上も興奮をかきたてられた。いったん結合を解き、真美を後ろ向きにすると、木につかまらせてヒップを突きださせた。
 ぐっと突きだしてきれいなハート型を描いたヒップに欲情を煽られて、石上はふたたび真美のなかに押し入った。両手で真美の腰をつかんで突きたてながら、そのとき初めて真美の秘苑をつぶさに見た。
 くすんだ褐色のアナルが剥きだしになり、その下にピストン運動を繰りかえしている肉棒と、蜜にまみれてぬらぬらと濡れ光ってそれを咥えている秘唇があからさまになっていた。
 アナルとちがってくすみのない赤褐色の秘唇は縮れや湾曲がなく、文字通りみずみずしい唇に似ている。性器のまわりにまばらに生えているヘアのために、生々しい眺めがよけいに淫猥に、そのぶん煽情的に見えて、たちまち石上からこらえを奪った。
 真美は狂おしそうにのけぞって黒光りしたロングヘアをうねらせている。のけぞるたびにもらす真美の泣くような声も切迫してきていた。
 石上が発射を予告すると、真美も絶頂寸前であることを訴えた。それを聞いて石上は快感に身を委ね、激しく突きたてていった。
3
 関係が生じてから二人は一度ホテルで逢った。それからは石上が真美の住んでいるマンションの部屋に行くようになった。
 それも三カ月がたった今でこそ週に一回になっているが、当初の一カ月ほどは一日置きに真美の部屋に通っていた。それだけ三十五歳の石上のほうが若い真美に夢中になったわけだが、真美も石上に劣らず情熱的だった。それもベッドのなかでは、石上のほうが圧倒されるほどだった。
 真美はふつうにセックスするだけでなく、いろいろ変わったことをしたがった。
 たとえば、両手を縛られ目隠しをされてレイプされるとか、石上が真美に頼まれて買ってきたバイブレーターを使ったり、これは石上が見たくてそうさせたのだがバイブでオナニーしたり、オナニーといえば石上とセックスしている最中、テレクラに電話をかけてオナニーしているふりをして男とテレフォンセックスしたこともある。
 ほかにも全裸でエプロンだけをつけた格好でキッチンに立って石上を挑発し、そのままセックスしたこともあった。
 そのたびに石上は驚かされながらも興奮させられて、ますます真美との情痴にのめり込んでいった。
 まさに真美との行為は、情痴といっていいものだった。遊び感覚の、よくいうプレイの類で、そういう要素は妻の淑子とのセックスのなかにはなかったし、石上自身も経験がなかった。それだけに石上にとって真美との情痴はよけいに新鮮だった。
 ただ、どうして真美がそんな情痴を求めるのか、石上も不審に思わないわけではなかった。以前付き合っていた男の影響ではないか。そう思うとバカバカしいとわかっていても嫉妬をおぼえ、真美に聞いてみた。
「自分でいうのも変だけど、わたし、見かけによらずエッチなの。石上さんもそう思ったんじゃない?」
 真美はこともなげに笑っていい、逆に聞きかえしてきた。石上は苦笑いしていった。
「正直いってそうだけど、でもそこが真美のたまらない魅力でもある」
 それは石上の本音だった。
 あるときまで真美は、石上の妻の淑子のことをまったく口にしなかった。初めて淑子のことを口にしたのは、全裸でエプロンをつけて石上を挑発したときのことだった。
「奥さんと、こんな格好でしたことないの?」
「ないよ」
 シナをつくって聞く真美に、興奮していた石上は真顔でいった。
「女房とは、真美とエッチするようになってからエッチもしたことがない」
「え〜、どうしてしないの?」
「どうしてって、真美は俺が女房とエッチしたほうがいいのか? 平気なのか?」
「だって仕方ないじゃない。そっちは夫婦なんだもん」
 強がりをいっている感じもなく、真美はさらりといってのけると、揶揄するような目つきで石上を見た。
「もしかして石上さん、わたしのことを思ってくれて奥さんとしないの?」
 一瞬、石上は返答に困った。浴室から出てきたばかりの石上は腰にバスタオルを巻いた格好で食卓の椅子に坐り、その前に真美が立っていた。
 うまい答えを探しながら石上は、片方の手でツンと突きだしている真美の乳首をくすぐり、一方の手をエプロンの下に這わせた。指先でクレバスをまさぐると、すでにジトッとするほど濡れていた。
「そうだな、半分は真美のことを思って、あとの半分は相手が女房だと、真美とエッチするときほど刺戟がないからしなくなったってとこかな。それに真美に精力を吸い取られちゃってるし」
 ヌルヌルしたクレバスを指でやさしくこすりながら石上が笑っていうと、真美は喘ぎ顔になって石上の肩につかまった。
「だって、石上さんの奥さんて、美人なんでしょ? 和服が似合う、淑やかな人だって、いつか茂木さんがいってたわ」
 腰をもじつかせながらうわずった声でいう。石上は驚いて聞いた。
「茂木が?」
「そう。彼、奥さんのファンだって」
「あいつ、真美にまでそんなことを……」
「石上さんにも、いったの?」
「ああ。調子のいい奴だからな」
 石上は苦笑した。
 茂木というのは石上の部下で、二十六歳の独身だ。調子のいい男だが憎めないところがあって、石上はけっこう面倒を見てやっていた。真美と関係ができてからはそういうこともなくなったが、それまではよく飲みに連れていってやり、飲んだあと何度か自宅に連れ帰って泊めてやったこともあった。
「そう。それに、いい加減な男だわ」
 真美がいった。両手で石上の肩につかまり、自ら快感を得ようとするように石上の指の動きに合わせて腰を小刻みに律動させている。
「いい加減な男って、茂木となにかあったのか?」
「べつに……そんなタイプだと思っただけ。ああッ、もうだめ」
 たまらなさそうにいうなり真美は石上の前にしゃがみ込み、バスタオルを分けて股間に顔を埋めてきた。
 真美が妻の淑子のことを口にしたのは、そのとき以外にも二度ほどあった。一度は騎乗位で行為しているとき、
「ね、わたしと奥さんのオマ×コ、どっちがいい?」
 と、あからさまな聞き方をした。いきなり露骨な言葉を発したわけではなく、その前に亀頭と子宮口がぐりぐりこすれ合う快感を訴えた真美に、石上がどこがいいのか聞いて露骨な言葉をいわせ、それでますます真美は興奮していた。
 そのときも石上は返答に困った。正直にいえば、淑子のそこはねっとりとからみついてくる感じで、真美のは窮屈で摩擦感が強く、それぞれに味のちがう具合のよさがある。といっても両方褒めるわけにもいかず、そこは目の前にいる相手を立てて、真美のそこを褒めた。
 あと一度は、先日のことだ。浴室でボディソープの泡にまみれて抱き合い、ふざけ合っていると、真美が石上の指先を自分のアナルに導いた。
「石上さん、ここでしたことは?」
「ん? アナルセックスか? したことはないよ」
「してみる?」
「マジか? したことがあるのか?」
 石上が驚いて聞くと、
「わたしもしたことはないけど、前から興味あったの。それに石上さんが奥さんとしてないとこでしてみたいな」
 真美は早くも昂ってきているような妖しい表情でいった。
 石上も興味はあった。初めての体験を前に興奮して浴室を出ると、真美は手まわしよく、前もってコンドームとワセリンを用意していた。
 石上はさっそく前戯にかかった。クンニリングスで真美を絶頂に追いあげ、代わって真美のフェラチオを受けたあと、真美に四つん這いの態勢を取らせた。
 アナルセックスは初めてでも、その程度の知識は持ち合わせていた石上が、ワセリンでヌルヌルする指でアナルを揉みほぐしていると、それだけで真美は感じてなまめかしい声をもらして身をくねらせた。
 おたがいに童貞と処女なのでうまくいくかどうか心配だったが、意外にも真美のアナルは驚くほどすんなりと石上の怒張を受け入れた。
 そればかりか、とたんに真美は荒い息遣いと一緒に快感を訴え、まるでイキッぱなしのような状態になった。
 石上のほうもペニスを食い締められるような強い緊縮感と、真美のアナルを刺し貫いている異常な行為に興奮をかきたてられて、たちまちこらえを失ってしまった。


4
 妻のことから真美のことを思いだしているうちに、またうとうとしていたらしい。電話の呼び出し音で起こされた。
 石上はナイトテーブルの上の電話器に手を伸ばして受話器を取りあげた。
「はい、石上です」
「わ・た・し。電話しちゃまずかった?」
 石上が出たあと一呼吸置いて、抑えた感じの真美の声がかえってきた。真美が石上の自宅に電話をかけてきたのは初めてだった。
「かまわんよ。女房は出かけてる」
「そう。風邪の具合、どう?」
「大したことはない。今日一日寝てれば大丈夫だ。それよりどこからかけてるんだ?」
「社員食堂の公衆電話。いま昼休みだから」
 石上は寝室の掛け時計を見た。午後一時前だった。
「奥さんいないんだったら、今からお見舞いにいっちゃおうかな」
 真美が秘密めかした口調でいった。石上も真美の調子に合わせて応酬した。
「いいな。真美が来てくれて、しゃぶって上に乗っかって腰を使ってくれたら、風邪なんかいっぺんに治っちゃうよ」
「でもその最中に奥さんが帰ってきちゃったらどうするの?」
「そのときはそのときだ、見せつけちゃおう」
「それ、おもしろいかも。でも石上さんてそんなことできる人じゃないわ」
「どうして? 真美はできるのか?」
「だって石上さん、奥さんのこと愛してるもん。わたしは石上さんがそうしようっていえばできるわよ」
 冗談とも思えない真美の口調に一瞬、石上はかえす言葉がなかった。
「それより奥さんのこと、大丈夫?」
 真美が笑いを含んだような声で妙なことをいった。
「大丈夫って、なにが?」
「もしかして奥さんだって、石上さんと同じことしてたりして」
「女房が?」
「そう。だって石上さん、奥さんと全然してないっていってたじゃない」
 だからといって、まさか女房にかぎって浮気なんかしないともいえず、石上はまた言葉につまった。
「やだ、本気で疑ってるの? 冗談よ。それより風邪早く治して。じゃあバイバイ」
 真美はおかしそうに笑っていうと電話を切った。
 受話器をもどした石上は、妙な胸騒ぎに襲われていた。淑子の浮気を疑ったあとに、真美にまで冗談にせよ同じようなことをいわれたからだった。


 淑子がもどってきたのは三時前だった。真美の電話のあと眠れなかった石上が寝たふりをしていると、淑子が寝室に入ってきて着替えはじめた。
 その後ろ姿を薄目を開けて見ていた石上は、妻が下着姿になるのを待って起きあがった。同時に淑子が振り向いた。それがむしろ動揺の激しさを物語っているような表情のない顔をして立ちつくしている。
 石上は妻のそばまでいった。
「おまえにしてはやけに刺戟的なパンティを穿いてるんで、ムラムラッとさせられちゃったよ」
 そういうなり妻を抱き寄せた。
「そんな、だめッ。寝てなきゃだめよッ」
 ようやく淑子はうろたえたようすでいいながら抗った。
「大丈夫だ。もう寝てられないよ」
 石上は妻の唇を奪った。淑子は呻き、なおも石上を押しやろうとする。石上は片方の腕で妻を抱き、一方の手でヒップを撫でまわした。早くもこわばっている分身が妻の下腹部に突き当たっていた。
 身悶える淑子の体からふっと力が抜けて、同時に石上の舌の侵入を許した。石上が舌をからめていくと妻もからめかえしてきて、久々の濃厚なキスになった。
 石上のこわばりを感じてか、淑子が切なげな鼻声をもらして腰をもじつかせる。その腰つきに煽られて石上は妻を抱いたままベッドに倒れ込んだ。覆いかぶさったまま、妻の下半身に移動した。
 肌色のパンストの下に黒い小さな逆三角形の下着が透け、さらにそのシースルーの下着の下に濃密なヘアが透けて見えている。
 毟り取るようにして石上はパンストを脱がした。Tバックショーツはもったいなくて、すぐに脱がすつもりはなかった。
 石上は妻を見やった。ただの気のせいか、淑子は怯えたような表情を浮かべて顔をそむけていた。
 ぐいと石上は妻の両脚を押しひろげた。その瞬間、白い内腿の付け根に近いところに、うっすらとだがまちがいなくキスマークとわかる跡がついているのが、石上の目に止まった。
「なんだ、これは?」
 石上が発した怒声に、淑子が弾かれたように顔を起こした。淑子自身、そんなところにそんなものをつけられていたとは知らなかったのか、一瞬、怪訝な表情で石上が指し示す内腿を見ていた。が、一転うろたえた表情になったかと思うと、
「いやァ!」
 悲痛な声をあげて跳ね起き、寝室から逃げだしていった。


「どうしたの、こんな時間。それにそんな怖い顔して」
 ドアを開けて石上を部屋に入れると、真美が驚いたようすでいった。夜の十時をまわった時刻だった。
「茂木と付き合ってたんだってな」
 ソファに坐るなり、石上は横に腰をおろした真美を見ずにいった。
「え?……そう、わかっちゃったの。どうして?」
 驚きの声を発したあと、真美はこともなげにいって、逆に聞きかえしてきた。
 石上の胸のなかは、怒りと嫉妬のほかにもいろいろな感情が激しく渦巻いていた。かろうじてそれを抑えながら、石上はいった。
「さっき女房にすべて白状させた。茂木は俺に真美を盗られたといって女房を誘惑したそうだ。どういうことなのか、ちゃんと話してみろ」
「彼と奥さんのこと、わかったのね」
 真美は意外なほど冷静な口調でいった。
「彼とは入店してすぐの頃から付き合うようになったんだけど、そのうちおたがいにマンネリになっちゃって、そんなとき彼がやたらに奥さんのこと褒めたの。だからわたし、頭にきちゃって、いってやったのよ。だったら石上さんの奥さんと不倫しちゃったらって。わたしもあなたなんかより石上さんのほうがいいわって。そうしたら彼、そういえば石上さん、いつか飲んでるときいってたよ、奥さんとはあまりやってないんだって。じゃあ真美、あの夫婦をどっちが先にものにするか競争しようじゃないかっていうの。それでわたしも弾みで、いいわよっていってしまったの。そんなつもりなかったんだけど……」
「で、真美が勝った……」
「結果的にはそうだけど、でもわたし、石上さんとのこと彼には内緒にしてたのよ。だけど彼、石上さんがわたしの部屋に来たところを見たらしくて、先を越されちゃったけど、俺も必ず奥さんをものにするからなって。それからすぐだったわ。彼に奥さんとホテルに行ったって聞いたの。でも彼がわたしと石上さんのこと、そんな言い方して奥さんを誘惑してたなんて知らなかった……」
「今まで真美が俺としたいろいろなことは……」
 と、石上は真美の部屋にくるまで想像していたことを口にした。
「全部、茂木と付き合っているときにしたことなんだろう?」
 横で真美が黙ってうなずいたのがわかった。ということは、茂木は妻にも同じようなことをした、ということだ。石上は身を焼かれるような嫉妬にかられた。
「もう終わりね、わたしたちも」
 真美がぽつりといった。
 突然、石上は得体の知れない激しい衝動にかりたてられた。いきなり真美を抱いてソファから立ちあがると、ベッドに押し倒していった。
「そんなァ。やだ、どうしたのォ」
 戸惑う真美にかまわず、黙ったまま、まるでレイプするように真美の服と下着を剥ぎ取っていき、全裸にして下腹部にしゃぶりつくように顔を埋めた。
 妻とは別れるつもりはない。といって真美も失いたくない。
 どうすればいいのかわからないまま、狂ったように秘苑を舐めまわす石上に、真美が裸身をうねらせてきれぎれに泣くような喘ぎ声をもらしはじめた。


4 艶妻が咽いた魔の発情


1
 化粧をし終わってドレッサーの前に座ったまま、庭を見やった。ガーデニングが趣味の真沙子手造りの庭に、焼けつくような真夏の陽射しが照りつけていた。
 まぶしさに目を細めてその眺めを見ているうちにまた、あのときのことが脳裏に浮かんできて、シャワーを浴びていた最中からつづいていた胸のときめきが、息苦しいような高鳴りに変わってきた。
 あのときも今と同じように、窓の外に真夏のギラついた陽射しが照りつけていた。三十二歳の真沙子が女子大の三年当時のことだから、もう十二年前のことだ。
 その年の夏休み、真沙子は、ゼミを担当していた助教授の藤原と信州に旅行した。藤原は当時三十八歳で妻子があり、文字通りの不倫旅行だった。
 それまでに真沙子は藤原から「好きだ」と告白され、交際を迫られていた。真沙子も藤原に好意以上の気持ちを抱いていた。ところが真面目を絵に描いたような学生だった真沙子には、不倫するなんてとんでもないことだった。
 それなのに自分の気持ちを抑えることができなかった。それまで真面目な性格が災いして異性に対する感情を抑え込んでいたようなところがあった真沙子にとって、藤原に対して芽生えたそれは、初めて経験する恋愛感情だった。
 結局、思い悩んだ末に真沙子は藤原と旅行に出た。藤原の情熱に押しきられたところもあったが、そこには真沙子自身の意思も働いていた。
 藤原は温泉旅館に宿を取った。そのとき真沙子はまだバージンだった。そのことも、それまでの真面目を絵に描いたような自分の性格も、重荷に感じていた。なんとかして自分の殻を破りたい。そんな切実な思いが真沙子に一線を越えさせたのだった。
 まだ午後も早い時刻だったが、二人きりになるなり藤原は真沙子を抱き寄せた。初めて男に抱かれた真沙子は、窓の外に照りつけているギラついた真夏の陽射しが目に入って、めまいに襲われた。
 藤原は真沙子がバージンだと知って驚き、感激したようだった。緊張してふるえている真沙子に、大切なものでも扱うような丹念な性戯を施して、未開の蜜壺に押し入ってきた。
 二人の関係はそれから一年あまりつづき、その間に真沙子は藤原の手で女の歓びを教え込まれた。関係が切れたのは、藤原の妻に知られたからだった。
 大学を卒業した真沙子は商社に就職した。そして、二年ほどして四歳年上のキャリアと呼ばれる省庁勤務のエリート公務員と見合い結婚し、それを機に家庭に入った。
 不倫の顛末に懲りていた真沙子は、藤原と別れて以来、結婚するまで異性関係はなかった。
 結婚生活は順風満帆だった。一年後には男の子に恵まれ、夫はやさしく、夫婦関係も円満そのものだった。
 一粒種のその長男は有名私立小学校に入り、夫は順調にエリート官僚へのコースを進んでいる。真沙子にとって心配や不満といえるようなものはなにもなかった。
 ただ、逆にそのことが、なにか物足りないような気持ちを、真沙子のなかにめばえさせていた。そのせいかどうか、ここ二、三年、夏になると、ときおり胸騒ぎのようなものをおぼえるようになった。
 それも焼けつくような陽射しを浴びたり見たりしているときと決まっていた。しかも胸騒ぎと一緒に、初めて藤原に抱かれたときのことや、その後の情事を思いだして体が熱くなってしまうのだ。
 それと同じようなことは藤原と別れてから結婚するまでの間にもあったが、結婚してからは二、三年前までまったくなかっただけに、真沙子はそんな自分に戸惑った。
 それで今年の夏の初め、高校時代からの親友の翔子に、そのことをそれとなく話してみた。
 翔子は昔から男関係が派手で、結婚してからはしばらく落ち着いていたが、またぞろ相手を取っ替え引っ替えして浮気をしている。子供もいないし、仕事人間の夫とはセックスレス状態だから、浮気でもしてないとやっていられないというのが翔子の言い草だった。 二人はまるっきり正反対のタイプだが、おたがいにそれが磁石のプラスとマイナスのように作用して、今も親友付き合いがつづいている。そんな翔子だから真沙子も話してみる気になったのだった。
 すると真沙子が予想したとおりの反応がかえってきた。
「驚いたわ、真沙子に不倫の経験があったなんて」
 翔子は唖然とし、目をまるくしていった。
「で、その先生のこと、今でも忘れられないの?」
「そういうんじゃないのよ。なのにその頃のことが頭に浮かんできちゃって……」
「それも決まって夏になると?」
「そう。変でしょ?」
「変じゃないわよ。一言でいえば、発情期っていうのかな。人間て時期は関係ないみたいだけど、人それぞれ持って生まれたものとか経験とかで、一年のうちに特にそういう気分になっちゃう時期ってあるのよ。わたしなんか木の芽どきになると、なぜかムラムラしちゃうもの」
「翔子は一年中じゃないの?」
「失礼ね!」
 二人は笑い合った。が、真沙子はすぐに真顔になっていった。
「でもわたし、発情期なんかじゃないわよ」
「ご主人とちゃんとセックスしてるの?」
「そんなこと……」
「前より回数が減ったとか、マンネリぎみとかってない?」
 すべてにオープンな性格の翔子は、口ごもった真沙子になおもストレートに聞く。仕方なく、真沙子は正直にいった。
「確かにそれはあるけど、でもながく夫婦してたら仕方ないことなんじゃない?」
「それって、そう思ってるだけよ。本当は真沙子、刺戟を欲してるのよ。だから夏になると、刺戟的だった先生とのことを思いだしちゃうのよ。それより真沙子もようやく硬さが抜けたみたいね。ね、ご主人以外の男とのセックスに興味あるんじゃない? だったら後腐れのない相手を紹介してあげるわよ」
「そんな……冗談はやめてよ」
「本気よ。ま、そのときはいって」
 真面目な顔つきでいう翔子に、真沙子はかえす言葉がなかった。刺戟を欲しているといわれたことが、自分でも戸惑うほど頭に焼きついていた。
 あのとき翔子にいわれたとおりかもしれない……。
 そう思いながら真沙子はスツールから立ちあがった。胸の高鳴りはつづいていた。
 寝室の窓のカーテンを閉め、クローゼットの一番下の下着が入っている抽斗を開けた。
 下着を選ぼうとしたとき、杉田の顔が脳裏に浮かび、カッと全身が熱くなった。
 真沙子は思った。今日逢ったら一線を越えてしまう。やめるならいまのうちよ。そう、こんなことしちゃいけない……。
 いけないと思ったとき、また息苦しいほど胸が高鳴ってきた。真沙子は下着に手を伸ばした。


2
 ちょうど一週間前のことだった。
 真沙子はそれまで出たことがなかった高校の同窓会に、翔子に誘われて初めて出席した。翔子はときどき出席しているようだった。
 そのとき杉田と再会した。高校時代、杉田は真沙子に交際を求めてきた。だが真沙子は杉田の軽くて遊び人っぽいところがいやで一蹴した。
 もっともその頃の真沙子は、相手が杉田でなくてもそうしていただろう。十何年ぶりかで再会した杉田は、結婚して建築関係の仕事をしているといっていたが、遊び人っぽいところは相変わらずだった。
 その杉田が同窓会の二次会の席で、真沙子をデートに誘ってきた。
「あのときはあっさり振られて、ショックだったよ。だけどあの頃の真沙子、ガードが堅かったからな。それに美人だし……あ、今はぐっと女っぽくなって、もっときれいだけど……落ちこぼれの俺なんかとちがって出来もよかったし、泣く泣くあきらめたんだよ。でもおたがい大人になったんだしさ、せめて俺の長年の夢をかなえてよ」
 懇願されて真沙子は、デートくらいならと誘いに応じた。それと杉田の遊び人っぽいところが、昔とは逆に真沙子の気持ちを軽くしていた。
 三日後の昼間、ホテルのティールームで杉田と逢った。デートの日時を決めたとき、ウィークディだったので杉田には都合がわるいのではと思って真沙子が聞くと、時間はなんとでもなると杉田はいっていた。
 アルコールが入ってもいないのに杉田は照れるようすもなく、真沙子の容貌やスタイルを褒めたてた。そういうところはいかにも杉田らしかったが、話が夫のことからセックスにおよんできて、真沙子は困惑した。
「旦那とはアッチのほうもうまくいってるの?」
「え? そんなこと……」
「いや、真面目な人だっていうから、エッチのほうも真面目すぎておもしろくないんじゃないかと思ってさ。自慢じゃないけど、俺なら絶対そんなことはないよ」
 一瞬、真沙子は唖然とし、つぎにドギマギした。そんな自分に憤りをおぼえ、思わず挑むようにいった。
「それって誘惑してるの?」
「もちろん。だってこれだけの美人だもの、男なら誰でも誘惑したくなるさ。ダメ元でアタックするかしないかのちがいだけだよ」
 臆面もなくいう杉田に、真沙子はまたしても挑発するような聞き方をした。
「じゃあ杉田くん、わたしがいやだっていったら、あっさりあきらめるの?」
「え?……」
 杉田は虚を突かれたような表情をした。が、すぐにときめいたような顔つきになって聞きかえしてきた。
「だけど、なんでそんな聞き方をするんだ?」
「べつに、聞いてみただけよ」
 真沙子はうろたえながらいった。
「俺はあきらめないよ。これであきらめちゃったら二度目だから立つ瀬ないもの。俺ももう三十の大台に乗ったオジサンだから、しつこく真沙子に迫っちゃうよ」
「そんな……」
 笑っていった杉田に、真沙子はそういっただけであとがつづかなかった。すると杉田が秘密めかした表情と声でいった。
「チェックインしてくるよ」
「待って!」
 真沙子はあわてていった。
「だめよ、そんなこと」
「どうして?」
「決まってるじゃない……」
「旦那のこと、気にしてるの?」
「あなただって、奥さんがいるじゃないの」
「だからいいんじゃないか。おたがいに家庭を壊すようなことをしないで浮気を愉しむことができて。そうだろ?」
 真沙子はとっさにかえす言葉がなかった。
「じゃあこうしよう。今日はこれで引きあげるけど、次に逢ったときはお茶だけではすまない。いいね?」
「そんな……そんなこと、勝手に決めないで」
 真沙子はしどろもどろしていった。杉田の勝手な言い草に気が動転していた。かまわず杉田は次のデートの日時を決めた。
 そのときもまた、杉田から顔をそむけていた真沙子の目に、ティールームの外に照りつけているギラついた夏の陽射しが見えていた。


 真沙子はドレッサーの前に立った。鏡に下着姿が映った。ブラもショーツも薄い紫色で、ブラの上半分と、ハイレグショーツの前の菱形の部分以外は、レースになっている。真沙子が一番気に入っているシルクの下着だった。
 真沙子のプロポーションは、子供を一人産んで三十二歳になっても若い頃とさほど変わらない。スリーサイズからしてウエストが一、二センチ増減するだけで、それでも六十一を越えることはなく、バストとヒップは八十三と八十四を保っている。
 それにバストはまだ充分にみずみずしく張りもあり、やや上向きに形よく盛りあがっていて、ときとして真沙子自身いやらしく思うほどむっちりとしているヒップにしても、持ちあがって綺麗な形をしている。身長がちょうど百六十センチだから、プロポーションはほぼ完璧といっていい。
 真沙子は思わず両手で肩を抱き、両脚をすり合わせた。下着姿を鏡に映してボディチェックをしている間に、その下着を杉田の手で脱がされていくシーンが脳裏に浮かんできて、ブラを押しあげている乳房が大きく喘ぐほど胸が高鳴り、ゾクゾクするようなざわめきが内腿のあたりに生まれてきたからだった。
 そのまま、寝室の壁にかかっている時計を見た。一時をまわっていた。
 杉田とのデートの約束は午後二時。時間通りにこの前と同じホテルのティルームへ行くには仕度を急がなければならない。
 真沙子はせきたてられた。そんな気持ちになった自分に嫌悪をおぼえた。同時に夫と息子の顔が脳裏をよぎって吐き気を催しそうになった。それでいて、まるで悪魔にでも魅入られたように、手早く外出の仕度にかかった。
 学生時代の不倫とはちがう。夫を裏切るなんて絶対にしてはいけないことだし、自分には到底そんなことはできない。
 先日杉田と別れてから今日まで、何度となくそう思い、そう自分に言い聞かせてきながら、今初めて、最初からこうなることはわかっていたような気がした。わかっていて、今の今まで、それをごまかそうとしていたにすぎなかったのかも……。
 家を出たとき、焼けつくような陽射しを浴びて、真沙子はかるいめまいに襲われた。


3
 約束の時刻よりも早めにホテルのティールームに来た杉田は、柄にもなくドキドキしていた。
 もっともデートの日時を決めたとき、真沙子は黙っていた。それでもあのようすなら必ず来ると、杉田は踏んでいた。来ればお茶だけですまないことは真沙子もわかっているはずだ。すでに杉田はチェックインをすませていた。
 これまで杉田はけっこう女遊びをしてきた。そんな杉田にとっても、真沙子は特別な女だった。高校時代好きになって振られただけでなく、オナペットだったからだ。
 当時、杉田はまわりから軟派に見られていて、自分もそれを気取っていたが、大方は虚勢を張ってのことだった。すでに女を経験していて、相手は同じ高校生だったが、誰とでも簡単にセックスするようなタイプで、まともに付き合う相手ではなかったし、友だちに吹聴していた美人OLや人妻との華麗な体験談などは、みんな杉田の創作だった。
 そんな創作話が現実のものになってくるようになったのは、杉田が大学に入ってからだった。それから今まで女遊びにかけては、それなりの成果をあげてきた。
 そこに、かつてオナペットだった真沙子が、清楚な美少女からしっとりとした色気をたたえた熟女に変身して現われたのだから、女好きの杉田の血が騒がないはずはなかった。
 杉田は腕時計に目をやった。二時五分だった。視線を腕時計からティールームの入口に向けたとき、杉田の胸はときめいた。
 真沙子が現われたのだ。この前とはデートの意味がちがうから緊張しているのか、かるくウェーブがかかったセミロングの髪の間から覗いたうつ向き加減の顔が、どことなくこわばっているように見えた。サマーウールらしい薄いブルーのタイトなスーツが、素晴らしいプロポーションを引き立てていた。
 杉田は席を立ち、こっちに来ている真沙子のほうに向かって行った。
 お茶など飲んで話していたら、せっかくその覚悟できているはずの真沙子の気が変わらないともかぎらない。こういうときは速攻にかぎる。
 最初からそう考えていた杉田は、真沙子のそばまで行くと、
「じゃあ行こう」
 そういって先に立って歩きだした。できれば肩を抱いてうながしたいところだったが、おたがいに人目を気にしなければならない身だから、それはできない。だが振りかえって見なくても、黙って真沙子がついてくるのがわかった。
 エレベーターに乗っても人目があった。ビジネスマン風の外人と日本人の二人連れで、気にする必要はなかったが、真沙子は杉田から離れて立っていた。
 男たちが先に降り、杉田と真沙子は次の階で降りた。二人は一言も言葉を交わさないまま、部屋に入った。
「やっと二人きりになれたな」
 ツインルームのベッドのそばで向き合うと、杉田はそういうなり真沙子を抱き寄せた。ビクッとして真沙子が体を硬くしたのがわかった。
 杉田はキスしようとした。が、真沙子は弱々しく顔を振って避けた。
「どうして?」
「こんなこと、自分でも信じられない……」
 杉田から顔をそむけたまま、うわずった声でいう。怒ったような表情をして、荒い息遣いをしている。整った顔立ちの女がそういう表情をすると、ドキッとするほど色っぽい。
「浮気、初めてなんだ」
 こっくりとうなずく。
「だろうな、真沙子は堅いから。俺だって信じられない気持ちだよ。でも俺のほうはうれしくって、それだし興奮しちゃって、だからもう、ほら……」
 そういって杉田は真沙子の腰を引き寄せ、早くも突きあがっているズボンの前を彼女の下腹部に押しつけた。真沙子はびっくりしたようすで小さく喘ぎ、
「そんな……」
 うろたえたように身悶える。
 杉田はまたキスにいった。こんどは真沙子は拒まなかった。そればかりか、杉田が舌を滑り込ませて舌をからめていくと、真沙子もためらいがちにからめかえしてきた。
 杉田は濃厚なキスをしかけながら、真沙子の腰を引き寄せていた手で、タイトスカート越しにヒップを撫でまわした。
 むちっとして形よく張ったヒップが戸惑ったようにくねり、さっきから荒い息遣いをしていた真沙子が切なげな鼻声をもらし、熱っぽく舌をからめてくる。それに自分から杉田のこわばりに下腹部をこすりつけているような腰つきになってきた。
 杉田は唇を離した。うつ向いた真沙子は興奮に酔ったような表情をして、ますます荒い息遣いになっている。杉田がスーツを脱がそうとすると、くるりと背中を向けて自分で脱ぎはじめた。
 それをワクワクして見ながら、杉田も手早く服を脱いでいった。
 薄紫色のブラとヒップを完全に包み込むタイプのショーツをつけた真沙子が、パンストを脱いでいく。早々とブリーフ一枚になった杉田は、初めて見る真沙子の体に目を見張っていた。
 真沙子は昔から顔もスタイルもよかったが、三十二歳の人妻になっても素晴らしいプロポーションをしている。そのうえ熟女ならではのムンムンするような色気があって、思わずふるいつきたくなるような体をしている。杉田の分身は早くも若者のそれのようにブリーフを突きあげていた。
 杉田がレースのショーツの下に透けて見えているヒップに目を奪われていると、パンストを脱いだ真沙子が杉田の視線から逃れるようにしてベッドに入ろうとする。杉田は真沙子を抱き止めた。
「あ、だめ……」
 後ろ抱きした杉田の腕のなかで、真沙子の体が焦れるように悶える。
「ようやく夢がかなったんだ。このまま、よく見せてくれ」
「そんな……」
 杉田のいった言葉とヒップに突き当たったこわばりのせいだろう。息を呑んだ感じで体をすくめた真沙子が戸惑ったような、うわずった声をもらした。
 杉田は素早く真沙子の背中のブラホックをはずした。真沙子はまた「だめ」とうわずった声をもらし、あわてたようすで両手を交差させて胸をかばった。
 それでも杉田がその両肩からストラップを滑り落としてブラを取ろうとすると、羞じらいながら交互に胸から手を離して抜き取らせた。杉田はそのまま後ろから真紀子の体を抱き寄せた。
「想像してたとおり、真沙子の体、素晴らしいよ」
 興奮を抑えきれずにいいながら、悩ましく張ってくびれた腰からウエストを両手で撫であげていく。
 乳房をまさぐろうとする杉田の両手を、喘いで身をくねらせる真沙子の両手が押しやろうとする。
 杉田が強引に乳房をわしづかむと、真沙子はそれまでにない昂った喘ぎ声をもらしてのけぞった。
 量感といい張りといい、申し分ない膨らみを杉田は両手で揉みたて、同時に早くもしこって勃起している感じの乳首を指先でくすぐるようにこねた。
 ひとりでにそうなるのか、それとも意識的にそうしているのか、きれぎれに喘いでのけぞる真沙子のヒップが杉田のこわばりをくすぐりたてるようにして蠢く。
 杉田は真沙子の手をつかんで股間に導いた。ブリーフの上からこわばりに手を触れさせた瞬間、真沙子はハッとしたような気配を見せて手を引こうとした。が、杉田が無理やりに押しつけていると、おずおずとした手つきでこわばりをまさぐってきた。
 昔、俺を振った女が……。
 そう思うと杉田は勝ち誇ったような気持ちになり、ゾクゾクしながら真沙子の下腹部に手を這わせた。
 ショーツ越しに撫でまわす手に、こんもりと盛りあがった丘とザラついたヘアの感触があった。さらにその下に手を差し込もうとすると、真沙子は太腿をよじって拒んだ。
「だめ、ね、ベッドで……」
 喘ぐようにいう。杉田の行為をいやがったというよりも、もう立っていられなくなったという感じだ。
 杉田は真沙子を向き直らせた。両腕で胸を隠してうつ向き、興奮しきった顔つきで息を弾ませている真沙子を、ゆっくりとベッドに押し倒していった。


4
 とても小学生になる子供がいるとは思えないほどみずみずしい乳首を舌でこねまわす杉田に、真紀子は切なげな喘ぎ声をもらして狂おしそうにのけぞる。
 さらに杉田が胸から下腹部へと滑らかな肌を唇でなぞっていくと、熟れきった裸身を焦れるようにくねらせて悶える。
 こういうときでもいつもは軽口を叩いたりする杉田だが、真沙子を相手にしていると高校時代、彼女に寄せていた熱い思いが込みあげてきて、寡黙になっていた。
 杉田の目の前に、当時、制服姿の真沙子を見て何度となく想像した煽情的な眺めがあった。もっともあの頃の真沙子はまだ、こんなに熟れていやらしいほど悩ましい腰をしていなかったはずだ。
 杉田は両手をショーツにかけ、ちらっと真沙子の顔を見やった。真沙子は両腕を胸の上で交差し、明らかに興奮しているとわかる表情を浮かべて顔をそむけている。
 杉田はゾクゾクワクワクしながら、ゆっくりとショーツをおろしていった。
 ショーツが腰にかかったところで真沙子は下半身をひねり、杉田がショーツを両足から抜き取ると体をまるめた。杉田はショーツをひろげて見た。
「ん? ショーツが濡れてるぞ」
「そんな! いやッ、見ちゃいやッ」
 真沙子は狼狽しきってかぶりを振った。ショーツのクロッチの部分にはっきりと、楕円形の濡れジミがついている。
「ていうことは、アソコはもう……」
「いやッ、やめてッ」
 杉田の言葉を遮ってたまらなさそうにいう。見られまいとして顔をシーツに埋め、恥ずかしくていたたまれないというようすの真沙子を見て、杉田はようやくいつもの調子を取りもどした。
「あの頃、真沙子は俺のオナペットだったんだ。真沙子の裸とか、オッパイとかアソコを想像して何回マスかいたか……ついにその夢がかなうと思ったらゾクゾクするよ」
 いいながら真沙子の両脚を強引にこじ開けた。
 真紀子はあわてて両手で股間を押さえた。
「そんなァ、いやァ……」
 狼狽しきって裸身をくねらす。
「ほら、手をどけて」
「いやッ、こんなの」
「仕方ない。じゃあ手を縛っちゃおう」
「そんな、そんなこといやよ」
「真沙子のことだから、縛られたことなんてないんだろ? それにどうせ浮気を愉しむなら刺戟的なほうがいいじゃないか」
 こんなこともあろうかと思ってチェックインしたあと部屋にきてベッドの上に取りだしておいた浴衣を取りあげ、その紐を杉田は手にした。
 真沙子はいやがって拒んだ。激しく抵抗するというほどではなかったが、杉田は無理やりうつ伏せにして両手を縛り、あお向けにすると、また強引に両脚を押し分けた。
「ああッ、見ないでッ」
 真沙子は顔をそむけて悲痛な声をあげた。上下左右に激しく腰を振る。
「おお、これが夢にまで見た真沙子のオマ×コか」
 あからさまになっている秘苑に見入ったまま、杉田はいった。わざとらしく聞こえる露骨な言い方が興奮のためにひとりでに口をついて出、声もうわずっていた。
 それがまた、声も出ないほど真沙子の羞恥を煽ったらしい。かぶりを振りたてる。
 真沙子のそこは美人に似ず、ヘアが濃い。黒々として濃密に生え、赤褐色の薄い唇に似た肉びらのまわりにまで口髭のように連なっている。
 それに肉びらのまわりまでジトッと濡れている。そのせいか秘苑全体の眺めがひどく猥褻に見えて、欲情をかきたてる。
 杉田は両手で肉びらを押し分けた。
 息を呑むような気配を見せて真沙子がのけぞる。両脚がブルブルふるえている。
 ぱっくりと口を開けてきれいなピンク色の粘膜をさらけだしているクレバスに杉田が目を凝らしていると、赤貝そっくりの膣口が喘ぐような収縮を繰りかえし、ジワッと透明な蜜液を滲ませている。
 杉田は真沙子のようすをうかがった。案の定、興奮のあまりこわばった表情を浮かべてハァハァ息を弾ませながら、もうなんとかしてといわんばかりにいやらしく腰をうねらせている。
「真沙子は見られて興奮するタイプらしいな。けっこうマゾッ気がありそうじゃないか」
「うう〜ん、いやァ。ああン、もう……もうしてッ」
 驚いたことに、昂った声でうわごとのようにいう。杉田は興奮して聞いた。
「オマ×コ、舐めまわされたいのか?」
 真沙子はウンウンうなずく。ますます興奮の色が強まったようなその表情を見て、杉田は思った。露骨な言葉にも興奮するクチらしい。
「じゃあそういってみろ」
 杉田が命じると、真沙子はそのとおりいった。美人で上品な真沙子に似合わないその言葉を聞いて杉田のほうが挑発されたような格好で、秘苑にしゃぶりついた。
 舌を躍らせてクリトリスを舐めまわすと、真沙子はすぐに感泣するような喘ぎ声をもらして繰りかえし狂おしそうにのけぞりはじめた。
 杉田はわざと卑猥な音を響かせて舐めまわした。それで興奮をかきたてられるらしく、真沙子の反応が切迫してきた。息せききって泣き声で絶頂を訴え、弾かれたように大きく反りかえったかと思うと、よがり泣きながらオルガスムスのふるえを走らせる。


5
 杉田はベッドに座って開いた脚を投げだし、その間にうずくまっている真沙子を見ていた。浴衣の紐を解かれた真沙子は、両手を添えて怒張を口に咥え、緩やかに顔を振っている。
「真沙子にしゃぶってもらっていると思ったら、それだけで興奮するけど、人妻にしてはあまりおしゃぶりの仕方は上手とはいえないな。旦那にするときも、いつもそんな上品なしゃぶり方しかしてないのか?」
「いや、主人のことはいわないで」
 怒張から口を離した真沙子がちらっと、ドキッとするほど凄艶な目つきで杉田を見あげた。杉田は苦笑いしていった。
「わかった。じゃあ俺がしゃぶり方を教えてやろう。まずサオの先から玉袋まで、ツバをまぶしながら音をたててしゃぶるんだ。さ、やってごらん」
 杉田にクリトリスを舐めまわされて絶頂に達した熟れた体が、目の前の怒張を欲して疼いているのだろう。真沙子はいやがらず、杉田がいったとおりにする。うまく音はたてられないが、それでもときおり濡れた音を響かせて懸命に怒張から玉袋まで舐めまわす真沙子に、杉田は感動し興奮した。
「よし、さっきよりはずっといい。咥えてしゃぶってくれ」
 真沙子はまた怒張を咥えて緩やかに顔を振ってしごきはじめた。見ると、きれいなハート型を描いたヒップをもじもじ蠢かせている。そのうえ切なげな鼻声をもらす。
「もうそれが欲しくてたまらないんだろ?」
 怒張を咥えたまま、真沙子は正直にうなずく。杉田も押し入りたくなっていた。
「どうせなら、ドッキングの仕方も刺戟的なほうがいいだろ?」
 杉田は真沙子を連れてベッドからおりた。ベッドの端に腰をかけると、真沙子を後ろ向きにして膝をまたがせた。
「こんなのいや」
 真沙子はうろたえていった。二人の前にちょうどドレッサーの鏡があって、行為がまる映しになるのだ。
「ほら、腰を落として」
「ああだめ……」
 そういいながらも真沙子は、杉田が両手でつかんでおろさせようとする腰を落としてくる。
 杉田は片方の手に怒張を持ってまっすぐ立てた。ジトッとしたクレバスに触れた亀頭で、ヌルヌルしたそこをまさぐって秘口をとらえた。
 真沙子がおずおず腰を沈める。ヌル〜ッと、熱いぬかるみを突きあげるようにして怒張が滑り込む。腰を落としきった真沙子が喘ぎとも呻きともつかない声をもらし、苦悶の表情を浮かべてのけぞった。
「ほら見て……」
 鏡を通して見ながら、真沙子の腕を抱えて杉田はけしかけた。押し入った怒張に魂を奪われたかのような表情で、真沙子が鏡を見やる。とたんにその顔に狼狽の表情が浮きたった。
「ああッ、いやッ」
 そういいながらも、まるで釘づけになったように恥態に見入ったままの顔に、みるみる興奮の色がひろがっていく。
 鏡に映っているのは、文字通りの恥態だ。真紀子の肉びらの間に、杉田の怒張が反りぎみにずっぽりと突き入っている猥褻このうえない眺めが、まともに映っている。
「どうだ、刺戟的だろ?」
 いい匂いのする真紀子の髪に顔を埋めた杉田は、耳もとで思わせぶりに囁いた。
「いやらしい。でも、たまんないッ」
 真沙子は昂った声でいうと、自分から腰を揺すりはじめた。咥え込まれているような吸いつきのいい蜜壺が、杉田の怒張をくすぐる。
「おおッ、この真沙子のオマ×コの感じ、俺もたまらないよ」
 思わずうわずった声でいった杉田に、
「ああン、いいッ……ああッ、気持ちいいッ」
 真沙子もたまらなさそうに快感を訴える。
 杉田は片方の手で乳房を揉みたてながら、一方の手を真沙子の下腹部に這わせた。ヘアをかきあげるようにしてクレバスの上端のクリトリスを剥きだし、膨れあがっているそれを指先でこねる。
「ああッ、それ、だめッ……そんなことしたら、だめになっちゃう!」
 うろたえたようにいいながら、真沙子がクイクイ腰を律動させる。
「気持ちいいんだろ? どこが気持ちいいのかいってみろ」
「ああン、オ、オマ×コいいッ」
 耳もとで囁く杉田に、真沙子は泣くような声で答える。
「旦那とやってるときもそういうのか?」
「こんないやらしいこといったの、初めて」
 真沙子はかぶりを振り、初めての経験を嬉しがっているような口ぶりでいう。
「ホントは真沙子、いやらしいのが好きで、いやらしいこといわれたりいってみたりしたかったんだろ?」
 そう、というように強くうなずく。
「オマ×コも大好きなんだろ? 正直にいってみろ」
「ああ、好きッ、オマ×コ大好きッ……ね、もっと、もっとしてッ」
 杉田の指でクリトリスをこねられて腰を振っている間にもう歯止めが効かなくなったのだろう。まるでさかりのついた牝のようになってきた真沙子に、これがかつて清純を絵に描いたような女子高生だった真沙子かと杉田のほうが圧倒されながら、そのままベッドに倒れ込んでいった。


6
「どうして? どうしてもう逢えないんだ。この前はあんなに燃えてよがってたじゃないか」
 杉田の電話の声は苛立っていた。
「やめて。あのときのことはいわないで。わたし、どうかしてたのよ。ね、お願いだからあのときのことも、わたしのことも、もう忘れて」
 真沙子は懇願した。
「だから理由を聞かせてくれよ。はっきりした理由もないのにそんなこといわれても、俺のほうは納得できないよ」
「わたし、これ以上あなたに逢ってたらどうなるか、自分が怖いの」
「怖いって、なにが?」
「お願い、わたしを困らせないで」
「そんなわけのわからないこといって逢わないっていうんだったら、こんなことはいいたくないけど、この前のあの写真、旦那に見せちゃうぞ」
「そんな! 杉田くん、本気でそんなこといってるの」
 真沙子は思わず受話器を握りしめて声を高めた。
「だって仕方ないだろう。はっきりした理由もなく、もう逢えないっていうんだから」
「ひどい!」
 いうなり真沙子は一方的に電話を切った。目の前が真っ暗になった。
 ――三日前、最初の行為が終わったあと、杉田はポラロイドカメラを持ちだしてきた。ホテルの部屋をチェックインしたとき、前もって部屋に置いていたらしい。
 杉田は、そのカメラで思い出に真沙子の恥ずかしい部分を撮らせてくれといったのだ。当然のことながら真沙子は断った。
 だがあのときも真沙子自身ふつうではなかった。顔は写さないからと杉田にしつこく迫られて、恥ずかしい部分のアップの写真を撮らせてしまった。しかも撮られているうちに自分でも戸惑うほど興奮してしまい、また杉田に抱かれたのだ。
 別れるとき杉田は、次はいつ逢えるか聞いてきた。だが真沙子は、わからないとだけ答えた。
 それから今日、杉田から電話がかかってくるまでの間に、真沙子は、もう杉田とは逢ってはいけないと自分に言い聞かせた。夫に対する罪の意識以上に、このまま杉田と逢っていたら、自分が異常な欲望の虜になってしまいそうな恐れを感じたからだった。
 それにしても同級生の杉田が、まさか脅迫するなどとは思ってもみなかった。
 口だけかもしれない。だけど、もし本気だったら……。
 頭が真っ白になって茫然と立ちつくしていた真紀子は、ビクッとした。電話が鳴りだした。恐るおそる受話器を取りあげると、また杉田だった。
「逢ってくれるだろ?」
「わたしの気持ちは変わらないわ」
「じゃああの写真、旦那に見せてもいいんだな?」
「勝手にすればいいでしょ! でも無駄よ。写真でわたしかどうかなんてわからないんだから」
「ところがわかるんだ。真沙子だって自分のことだから知ってるだろ? オマ×コの横にホクロがあるの。それがバッチリ写ってるんだよ」
 勝ち誇ったようにいう杉田に、真沙子は絶句し、狼狽しきって電話を切った。
 杉田のいったとおりだった。迂闊にもそのことはまったく真沙子の頭にはなかった。
 もしもあの写真を夫が見せられたら、すぐに誰かわかる。どうしよう……。


 真沙子は思いあまって親友の翔子に会い、助けを求めた。
 翔子は真沙子の話を聞いて驚嘆したが、すぐに憤慨した。
「あいつ、そんなこといってるの。脅迫するなんて許せない! いいわ、わたしに任せて。写真を取りかえしてあげるわ」
 杉田は建設会社の社長の娘と結婚していて、隠れて浮気はしているが、それが妻に発覚するのを一番怖がっているのだという。
「じつをいうとね、わたしも一度だけ杉田と寝たことがあるのよ」
 翔子は苦笑して思いがけないことをいった。真沙子が唖然としていると、
「わたしのときもあいつ、エッチな写真撮らせてくれっていったけど、撥ねつけてやったわ。真沙子も気をつけなきゃだめよ。浮気にはルールってものがあるんだから」
 翔子にそういわれると、真沙子は一言もなかった。
 翌日、翔子は杉田から写真を取りかえしてきてくれた。
 恥ずかしい写真を見られた翔子に冷やかされながら、真沙子は顔を赤らめてそれをハサミで粉々に切って捨てた。ホッとすると同時に、なぜか、灼熱の夏がすぎて秋が忍び寄ってくるときの一抹の淋しさのようなものを感じながら。


5 熟妻が歔いた被虐制服


1
 徹夜で仕事をしてこれから寝ようとした矢先、電話がかかってきた。時計を見ると、八時をまわっていた。
 光彦は翻訳の仕事をしている。こんなに朝早くから編集者が電話をかけてくるはずもない。
 ひょっとして兄貴がまた……。
 いやな予感に襲われながら電話に出ると、案の定、義姉の暎子からだった。
「光彦さん、すぐ来て。あの人が出ていったの。わたしが夜勤明けで帰ってみたら、手紙だけ置いてもういなかったのよ」
 看護婦をしている義姉が、切迫した声でいった。
 兄貴が家出?……
 義姉からの電話は当たっていたが、また兄に暴力をふるわれて助けを求めてきたのではないかという予感のほうははずれた。
「わかった。すぐに行くよ」
 思ってもみなかった突発事態に光彦も驚き、そういって電話を切ると、着たばかりのパジャマから手早く外出着に着替えた。
 光彦と兄の照彦は二人きりの兄弟である。二十七歳の光彦はまだ独身だが、四歳年上の照彦は結婚して三年ほどになる。すでに両親とも他界して、兄と二十八歳の妻、暎子の夫婦が実家に住み、光彦は実家から車で十分ほどのマンションに住んでいる。
 兄の照彦は高校の教師をしていた。ところが一年あまり前、教え子の女子高生と関係を持っていたことが発覚して懲戒免職処分を受けた。
 それ以来、兄は仕事もせずブラブラしていたが、しだいに酒に溺れるようになり、ことあるごとに妻の暎子に暴力をふるうようになった。
 そのため暎子が光彦のところに避難し、光彦が義姉を連れて兄をなだめにいくこともたびたびだった。
 そんなことを繰りかえしているうちに光彦は、いけない、いけないと思いながらも暎子に同情以上の感情を抱くようになっていた。
 色っぽい顔立ちといい、素晴らしいプロポーションといい、もともと光彦のなかには暎子に引かれる気持ちがあった。それでも相手が相手だけにそんな気持ちは胸のなかに押し込めていた。
 ところが兄にひどいめにあっている暎子に同情しているうちに、そして体つきにまで熟れた色っぽさが滲みだしてきた暎子を見ているうちに、いつしか義姉を一人の女として意識するようになっていた。
 それに暎子のほうも光彦と一緒にいるとき見せる仕草や表情などに、光彦の暎子に対するのと同じような気持ちがあるのではないかと思わせる感じがあった。
 光彦が実家に車を乗りつけると、近くの家の前にパトカーが停まっていて、道端で近所の主婦らしい女たちが立ち話をしていた。
 もしや、兄貴がなにかしでかしたのでは……。
 危惧しながらなにがあったのか聞くと、その家に泥棒が入って警察が事情聴取にきているのだという。
 ホッとして実家に入っていくと、義姉が困惑したようすで出てきた。
 義姉の話によれば、夜勤明けで帰宅してみるとワープロで打った置き手紙があって夫の姿はなかったという。
 暎子が差しだしたその手紙に光彦は目を走らせた。
『暎子へ
 ずいぶんひどいことをしてすまなかった。俺はもうこの家にいないほうがいい。これから出ていく。俺のことは忘れてくれ。探さないでくれ。 照彦』
 ワープロで打たれた、それだけの簡単な手紙だった。
 光彦はすぐには信じられなかった。義姉のヒモのようになっていた兄が失跡するとは考えられなかった。
 だが、置き手紙を見ながら兄の気持ちを推量しているうちに、不吉な予感に襲われた。
「兄貴も自分を持てあますところまで追いつめられた気持ちになっていたのかもしれない。もしそうだとしたら自殺する覚悟かも……」
「自殺?」
 うなだれて押し黙っていた義姉が顔をあげ、うろたえたようすでいった。
「いや、最悪の場合ってことだよ。まさかそんなことはしないとは思うけど、とにかく、このまま放っておくわけにはいかない。警察に行こう」
 光彦は暎子をともなって警察に向かった。
 二人は警察で事情を話して捜索願いを出し、ふたたび実家にもどってきた。
「あとは警察に任せるしかないよ。それよりあの兄貴のことだ、義姉さんを困らせてやろうなんて狂言かも。案外、明日あたり、平気な顔してひょっこりもどってくるかもしれないよ」
 義姉が入れてくれたコーヒーを飲んで一息つきながら光彦がいうと、
「もしそうだったら、あんまりだわ」
 暎子がうつ向いていった。人騒がせなことをした夫を非難する口ぶりだが、それにしては抑揚のない、つぶやくような声だった。
 義姉は兄貴がこのままもどってこないことを願っているのでは……。
 光彦はふとそう思った。が、あわてて否定した。
「でもまァ、義姉さんもあまり心配することはないよ。兄貴がいない間、骨休めできるぐらいに思って気楽にしてたほうがいい」
 表情の冴えない義姉を慰めるつもりで光彦が笑っていうと、ようやく暎子もふっと微笑した。
 二人はテーブルを挟んでソファと椅子に坐っていた。そうやって暎子と向き合っていると、さっきから光彦は胸苦しさのようなものを感じていた。
 兄のいなくなった家で、義姉と二人きりでいると思うからか、曇った表情をしていても口もとにホクロがある暎子の色っぽい顔や、セミミニのタイトスカートから覗いているすらりとした脚が、ふだんにもましてなまめかしく見える。
 それに徹夜明けで疲れていて、こういうときにかぎってひどく欲望が昂るせいか、そんな義姉を前にしているとムラムラしてしまう。
 このままの状態でいるのがつらくなって、光彦は立ちあがった。
「じゃあ俺はこれで帰るよ。俺も徹夜したんだけど義姉さんも夜勤で疲れてるだろ? 少し休んだほうがいいよ。俺、また明日来るから」
 いいながら居間から出ていこうとすると、
「待って!」
 と義姉が光彦の後ろからしがみついてきた。
「義姉さん!」
 光彦は驚いた。ドギマギした。
「わたし、怖い。あの人がいつ帰ってくるかと思うと怖いの。お願い、ここにいて」
 しがみついたまま暎子が息せききって訴える。
 光彦は向き直った。男好きのする色っぽい顔立ちに怯えた表情を浮かべている暎子を見て、ドキドキしながら、うなずいた。
「うれしい!」
 いうなり暎子が首に抱きついてきた。バランスを失いかけて光彦も思わず暎子を抱いた。
 暎子が顔を引いて光彦をあおぎ見た。二人は抱き合ったまま、至近距離で見つめ合う格好になった。暎子は目をつむった。
 光彦の目の前に、右の口角の下にホクロがあってドキッとするほど色っぽい、鮮やかな赤い口紅を塗っている唇がある。抱いている義姉の体がたまらないほど生々しく感じられる。
 光彦は激しい欲情に襲われて、義姉の唇に唇を重ねた。
 とたんに二人とも堰が切れたようにおたがいの舌をまさぐり合った。まるで貪り合うような濃厚なキスになった。
 義姉が切なげな鼻声をもらして腰をもじつかせる。光彦の分身がエレクトして、暎子の下腹部に突き当たっていた。そうやって下腹部を分身にこすりつけてくるような猥りがわしくて煽情的な腰つきだ。
 濃厚なキスに夢中になっていた光彦は、義姉の腰つきにうろたえて唇を離した。
「いけないよ、義姉さん、こんなことしちゃ」
 弾む息でいった。
「わかってるわ。わかってるけど、どうしようもないの」
 暎子の息も弾んでいる。それに興奮や緊張のためか、表情がこわばっている。
「前から光彦さんのこと好きだったの。光彦さんだって、わたしのこと好いていてくれたんでしょ?」
「そ、それはそうだけど、でも……」
「でもって、じゃあわたしたち、どうしたらいいの? 光彦さんこのままでいいの?」
 すがるような必死の表情で詰問するように聞く義姉に、光彦は圧倒されてとっさにかえす言葉もない。
「わたしはいや。たとえわずかの間でもいい、光彦さんとこうしていたい!」
 激情にかられたようにいうなり暎子がまたしがみついてきた。煽られて光彦も抱きしめた。
 暎子が身をくねらせて光彦の腕を解いた。光彦の前に腰を落としていく。
「義姉さん!」
 光彦は驚き、戸惑った。暎子が光彦のズボンのベルトをはずしチャックをおろしていくのだ。
 驚き戸惑いながらもされるがままになっていると、前が露骨に突きあがっているブリーフがずりさげられた。ブルンと生々しく弾んで怒張が露出すると同時に、暎子が喘ぐような表情を浮かべた。
 勃起したペニスを凝視している暎子の顔に、みるみる興奮の色が浮きたった。
 暎子が怒張に両手を添え、唇を寄せてきた。目をつむり、ねっとりと亀頭に舌をからめてくる。
 光彦は立ちつくしたまま、じっと暎子を見おろしていた。


2
 光彦は混乱していた。
 とうとう義姉と、こんなことに……と恐れおののく気持ちがある一方、夢にまで見たことが現実になって胸が打ちふるえるような歓びもある。どっちが本当の自分の気持ちなのかわからなかった。
 ただはっきりしているのは、ひょっこり暴力的な夫がもどってきて……と怯えるあまりとはいえ、これほど積極的な行為におよぶ義姉に驚かされながらもゾクゾクする興奮と快感をかきたてられていることだけだった。
 暎子は発情したような表情を浮かべた顔を右に左に傾げながら、光彦のいきり勃ったペニスの先から根元まで、唇と舌をじゃれつかせるようにして舐めまわしている。
 そのくすぐりたてられる感触に光彦が怒張をヒクつかせていると、ようやく咥えて顔を振りはじめた。切なげな鼻声をもらしながら、首の支えを失ったようにグラグラと顔を揺らしてしごく。
 光彦はたまらなくなった。両手で暎子の顔を挟んで腰を引いた。口から出た怒張が生々しく弾み、暎子が昂った喘ぎ声をもらした。
 興奮が浮きたった表情と妖しく潤んだ目で怒張を凝視したまま、息を弾ませている暎子を、光彦は抱いて立たせた。暎子はしがみついてきた。
「ああッ、もう待てないッ。光彦さんが欲しいのッ」
 息せききっていいながら腰を挑発するようにくねらせて怒張をくすぐりたててくる。待てないのは光彦も同じだった。
「俺もだ。義姉さんが欲しいッ」
 いうなり暎子のセーターを引きあげ、毟り取るようにして脱がせた。
 光彦が一瞬、上半身ブラだけになった暎子の、白いハーフカップのブラからこぼれそうな乳房のふくらみに目を奪われていると、暎子は自分でタイトスカートを脱いでいく。
 光彦も手早く着ているものを脱ぎ捨てていった。素っ裸になったとき、暎子のほうはパンストごと白いハイレグショーツを脱ぎおろしていた。
 前屈みになって下着を交互に足から抜き取る暎子の両腕の間で、剥きだしになっているボリュームたっぷりの乳房が生々しく揺れる。それを光彦が固唾を呑んで見ているうちに暎子も全裸になった。
 二人はどちらからともなく抱き合い、また貪り合うように舌と舌をからめ合った。光彦の怒張が密着している下腹部を、暎子が切なげな鼻声をもらしながらこすりつけてくる。
 そのまま二人は絨毯の上に崩折れるように坐り込むと、光彦が暎子に覆いかぶさっていった。
「ああ、こんなところにあの人がもどってきたら、わたしたち、殺されるわ」
 暎子が喘ぎ声でいうのを聞いて光彦は現実に引きもどされ、義姉の顔を見た。
 驚いた。殺されるといいながらも暎子に怯えたようすはない。それどころか、ますます興奮した顔つきをしている。
「光彦さん、怖い?」
 ドキッとするほど凄艶な表情で聞く。
「怖いさ。まだ死にたかないもの」
 いうなり光彦は怯えを振りきるように暎子のたわわな乳房に顔を埋め、両手で乳房を揉みしだき、口で乳首を吸いたてた。
「ああッ、わたしは怖くないわ。光彦さんと一緒なら、死んでもいいッ」
 両手で光彦の頭をかき抱いた暎子が喘ぎ声でいいながら狂おしそうにのけぞり、腰をたまらなさそうにうねらせて下腹部を光彦の怒張にこすりつけてくる。
 光彦は顔を暎子の下半身に移動していこうとした。「だめッ」と暎子が光彦を押しやった。
「きてッ」
 と両手を伸ばして光彦を求める。
 光彦にしても本能的にそうしかけただけで、クンニリングスをしているような余裕などなかった。ただ、殺されてもいいといった暎子のほうは、夜勤明けで入浴していない体だからクンニリングスされるのをいやがったのかもしれない。
 すぐに光彦は暎子の両脚の間に腰を入れた。暎子のヘアはかなり濃密だった。怒張でその下のクレバスをまさぐった。
 そこはもう溶けたバターを塗りつけたようになっていた。怒張でまさぐっているとヌルヌルする。
 暎子がなまめかしい喘ぎ声をもらして催促するように腰をうねらす。膣口をとらえて光彦は押し入った。
 侵入していく肉棒がしびれるような快美感を秘めた蜜壺の奥深く突き入ると、暎子は呻き声をもらし、苦悶の表情を浮きたててのけぞった。
 熱くぬかるんだ蜜壺がジワッと肉棒を締めつけてくる。暎子の顔から苦悶の表情が消えて昂ったそれに変わっていく。
 光彦はすぐに激しく突きたてた。肉と肉が叩き合う派手な音が響く。
「ああッ、ああン、いいッ。光彦さんもっとッ、もっとしてッ。わたしをメチャメチャにしてッ」
 暎子が悩ましい表情を浮かべてのけぞりながら、息も絶えだえにいう。罪悪感からそんなことをいっているのだろうが、狂ったように律動している光彦も同じ気持ちだった。
 暎子がきれぎれに泣くような喘ぎ声をもらしはじめた。
「もうイクッ、イッちゃう……このまま出してッ」
 切迫して訴える暎子に、光彦はフィニッシュに向けてがむしゃらに突きたてた。光彦ももう我慢できなくなっていた。
 たわわな乳房がブルブル揺れて、暎子がよがり泣きながらのけぞる。光彦は発射の合図を口にすると同時にズンと抉るように突き入った。
 大きく反りかえった暎子がよがり泣きながら絶頂を訴える。それに合わせて光彦も快感液をほとばしらせた。


 行為のあと二人はすぐに服を着はじめた。光彦はもとより殺されても怖くないといっていた暎子にしても、激しい行為が終わると現実に引きもどされたらしい。
 二人とも服を着終わってソファに並んで坐っていると、暎子が光彦にもたれかかってきた。
「光彦さん、後悔してる?」
「後悔なんかしてないさ。ただ、これからどうしたらいいのかと思って……」
 光彦は口ごもった。このまま義姉と一緒にいることはできないし、といってこの家に通ってきてこんなことを繰りかえすわけにもいかない。
「わたしのことなら心配しなくてもいいわ、光彦さんに迷惑をかけるようなことはしないから。わたしが邪魔になったらそういって」
 肩に火照った顔をもたせかけたまま、指を光彦の指にからめながら、暎子は静かな口調でいった。
「あの人とちゃんと別れることができればよかったんだけど、こんなことになったらそうはいかないし……でもわたし、もうここにはいたくないの。どこかに部屋を借りて一人で住むわ、今の病院も変わって……」
「それまでどうするつもり?」
「部屋が見つかるまで、今日からホテルに泊まるわ。光彦さん連れてって」
 いつのまに義姉がそんなことまで考えていたのか、光彦は驚きながらもうなずくほかなかった。


3
 二人はホテルの部屋にいた。部屋はシングルだった。交替でシャワーを浴びたあと、暎子はバスローブをまとってベッドに腰かけ、光彦は腰にバスタオルを巻いた格好で椅子に坐り、二人でビールを飲んでいた。
 恐ろしい緊張感のなかで禁断の実を食べてしまった二人だが、そうしているとようやくおたがいにふだんの落ち着きを取りもどしてきていた。
「わたし、もう光彦さんに嫌われちゃったのかと思ったわ」
 ビールを飲んでますます色っぽくなった顔に、なまめかしい笑みを浮かべて暎子が唐突にいった。
「え!? なんで?」
「だって一緒にシャワーを浴びてくれないんですもの」
 暎子がそうしたがったのを光彦が応じなかったのだ。
「なんだ、そんなことか。それは誤解だよ」
 光彦は笑っていった。
「さっきは夢中になってて、義姉さんの裸をよく見ることができなかったから、こんどはしっかり見せてもらおうと思ったからだよ。その前にシャワー浴びながら見ちゃったら、せっかくの愉しみが半減するじゃないか」
「いやだわ、光彦さんたら」
 暎子は笑いかえすと同時に、色っぽい、なじるような目つきで睨んだ。
「もう、お義姉さんなんてやめて」
「なんて呼べばいい?」
「暎子でいいわ」
「じゃあ暎子、俺の前に立ってしっかり裸を見せなさい」
「そんな……」
 暎子はいやがるというよりも驚いたような表情をしている。
「どうしたの? そんなビックリしたような顔して」
「ううん、なんでもないの」
 暎子は戸惑ったようすでそういいながら立ちあがり、光彦の前に来た。恥ずかしそうにバスローブを脱ぎ落とすと両手で胸と下腹部を隠した。バスローブの下は全裸だった。
 光彦は固唾を呑んだ。そうやってバスローブを足もとに落として立っている姿は、まるで波間に立っているビーナスのようだ。それも生身のビーナスだ。
「きれいな体してるな。きれいだし、たまらないほど色っぽいよ。とくに腰なんかいやらしいくらいだ」
「いやだわ。そんな言い方されたら褒められてるのか貶されてるのかわからないわ」
 興奮し感動していう光彦に、暎子は恥ずかしそうに笑って身をくねらせる。
「当然褒めてるんだよ。その証拠にほら」
 光彦は立ちあがるなり腰のバスタオルを取り払った。エレクトしているペニスを見て暎子は喘いだ。
「すごい!」
「疲れ魔羅だよ」
「なにそれ?」
「疲れてるとこっちのほうの神経だけ過敏になって、やたらと勃っちゃうんだ。おまけに義姉さんの、いや、暎子の悩ましい裸見たからビンビンになっちゃったんだよ」
 笑っていいながら光彦は暎子の後ろにまわった。いやらしいほどむっちりとしてこんもりと盛りあがっているヒップを目にしたとたんにたまらなくなり、怒張を尻に押しつけて暎子を後ろから抱いた。
 暎子はヒクッと体をふるわせ、昂った喘ぎ声をもらした。
 そのまま光彦は唇を暎子の首筋に這わせて両手で乳房を揉んだ。暎子は喘いでのけぞり、身悶えながら片手を後ろにまわして光彦の怒張をまさぐってきた。
 光彦は暎子を向き直らせた。ほらこうやってよく見せて、と両手をおろさせようとすると、
「いや、どうせなら縛って」
 暎子は顔をそむけて思いがけないことをいった。
「縛る?」
 光彦が驚いて聞くと、そむけた顔にどことなくなまめいたような表情を浮かべて小さくうなずく。
「兄貴にそんなことをされてたのか?」
「ええ。わたしが拒むから……」
「拒むって、セックスを?」
 暎子はまた小さくうなずいた。
 義姉がいやがって抵抗するのを兄が無理やりに縛って犯す無残なシーンが、光彦の脳裏に生々しく浮かびあがった。
 だが暎子は、光彦にも「縛って」といった。
 ということは……。
 脳裏に浮かびあがった無残なシーンがモノクロームからカラーに変わったかのように色めいてきて、そんな目に遭いながらもしだいに感じてよがり泣いている義姉のなまめかしくも妬ましい姿が浮かびあがってくる。
「よし、縛ってやるよ」
 光彦は呻くようにいうとバスローブの紐を手にした。激しい嫉妬と欲情が胸のなかで渦巻いていた。
 暎子はうつ向いて自分から両手を背中にまわした。はっきりそうとわかるほど男好きのする顔が色めいてきている。そのようすがますます光彦の嫉妬と欲情を煽った。
 光彦自身、女を縛った経験はあった。もっともSM趣味があって縛ったわけではなく、たまたまそうしただけで、しかもわずかな経験にしかすぎなかった。それでもそのときの興奮が忘れられず、それ以来SMプレイにも興味をもつようになったのだが、チャンスに恵まれなかったのだった。
 それだけに嫉妬とはべつにゾクゾクする興奮をおぼえながら、暎子の両手をバスローブの紐で縛った。
 両手を縛られただけで、暎子はかすかに喘いで身をくねらせた。向き合って立ったまま、光彦は両手で暎子のたわわな乳房をわしづかんだ。
「ああッ……」
 悩ましい表情を浮きたててのけぞった暎子の口から昂った感じの喘ぎ声がもれた。
 光彦はやわやわと乳房を揉みたてた。暎子は狂おしそうに繰りかえしのけぞりながらきれぎれに喘ぎ、たまらなさそうに両脚をすり合わせるようにして腰をくねらす。そうやって嬲られて明らかに感じて興奮している。
 硬くしこって勃起している乳首を光彦が両手でつまんでこねくりまわすと、暎子の反応はさらにあからさまになった。泣くような喘ぎ声をもらしながら、クイクイと腰を前後に猥りがわしく律動させる。
「いやらしい腰つきだな。いやがってても兄貴にこんなことされたら、そうやっていい声で泣いていやらしく腰を振ってたんだろ」
「そんな……」
 暎子は狂おしそうな表情を浮かべてかぶりを振る。
「ウソをつけ。本当のことをいってみろ!」
 いうなり光彦はギュッと両の乳首をつねりあげた。
「ウッ!……ああッ……」
 暎子は苦悶の表情を浮きたてて呻くと同時に弾かれたようにのけぞり、感じ入ったような声をもらして体をわななかせる。
「だって、気持ちはそうじゃなくても、体が……わかって、どうしようもないのよ」
 息を弾ませながら、発情したような顔つきで訴える。
 光彦はとっさに言葉もなく、やりきれない気持ちになった。が、すぐにそれまでになく荒々しい気持ちに襲われて暎子をベッドに押し倒し、うつ伏せにした。
「この体がいけないんだよ、このいやらしい尻が!」
 激昂していうなり、むっちりとしてこんもりと盛りあがったヒップに平手打ちを浴びせはじめた。
 派手な音が響き、暎子が悲鳴をあげて身悶える。暎子の悲鳴とクネクネとヒップを振って悶える熟れきった裸身、それに尻を叩く手応えが光彦を夢中にさせた。
 絖白いヒップが赤らんでくるにつれて暎子の反応が変わってきた。光彦が叩くたびに感じ入ったような呻きとも喘ぎともつかない声を発してのけぞり、どう見ても感じているとしか思えないようすでヒップをくねらせて悶えるのだ。
「ああ、ぶってッ、もっとォ……もっとぶってェ〜」
 暎子が昂った声でいって、赤らんだヒップを焦れるようにくねらす。光彦も興奮を煽られて、ふたたび激しくヒップを叩いた。
 暎子が喘ぎとも呻きともつかない声のあとに「いいッ」と快感を訴えながら身悶える。夢中になって叩いているうちに光彦のほうは手が痛くなってきた。
 そのとき光彦の見舞った平手打ちで、暎子が異様な呻き声を放って全身を硬直させた。「ああ〜イクゥ……イク〜」
 ふるえをおびた声で絶頂を訴えながら突っ張るようにした裸身をブルブルふるわせる。 暎子のなかに潜んでいる魔性に圧倒されて、光彦は一瞬、茫然とした。


4
「うう〜ん、いや……」
 暎子の焦れったそうななまめかしい声で光彦は我れにかえった。早くなんとかしてといわんばかりにヒップをくねらせている。
 光彦は両手で暎子の腰を抱えあげた。後ろ手に縛られたまま、上体を伏せてヒップを突きあげた格好に暎子はなった。
 そんな恥ずかしい格好にされても、喘ぎ声をもらしただけでいやがらない。そればかりかシーツに横たえた顔に、光彦のつぎなる行為を期待してときめいているような表情を浮かべている。
 光彦の前に煽情的な眺めが露呈していた。暎子が膝を開いてベッドにつき腹部を落としぎみにしてヒップを突きあげているため、いやらしいほどにきれいなハート型を描いている臀部の割れ目に、性器ばかりか排泄孔まであからさまになっているのだ。
 暎子の性器はすこぶる淫猥な形状をしていた。もっこりと迫りだしている船底型の肉を縦に二つに分けている肉びらが大きめで、赤褐色の淫らな花弁を想わせる。そのうえ肉びらを縁取るように陰毛が生えている。おまけに秘苑一帯がベットリと濡れているので、よけいに淫らに見える。
「暎子のここ、いやらしい形してるな。でもゾクゾクさせるいやらしさだよ」
「そんな、いや……」
 光彦が両手の指先でクレバスの両側のヘアと一緒に肉びらをなぞりながら正直な感想をもらすと、暎子は初めて恥ずかしそうにいってなよなよと腰を振る。グイと光彦は肉びらを押し分けた。
「ああッ!」
 暎子が昂った声をもらした。
 パックリと開いた肉びらの間に、濡れ光ったサーモンピンクのクレバスがあからさまになって、赤貝に似た部分が喘ぐような収縮を繰りかえし、そのたびにジュクッと透明な蜜を吐きだしている。
 暎子はハァハァ息を弾ませながら、目をつむって興奮に酔ったような表情をしている。
「こうやって恥ずかしいところを見られるのもいいんだろ? 興奮しちゃうんだろ?」
「そう、そうよ。光彦さんだからよけいに……ああん、だめェ〜」
 詰問するように聞きながら指先で卑猥な音を響かせて赤貝をこねる光彦に、暎子は正直に答え、なまめかしい声をもらして身悶える。
 光彦は妬ましさを口にした。
「暎子がマゾだなんて想ってもみなかったよ。兄貴にめざめさせられたんじゃないか?」
「いやッ、もうあの人のことはいわないでッ……ううん、だめッ、焦らしちゃいやァ」
 暎子は息を弾ませていいながらクネクネと腰を振りたてる。
 そのまま指を挿し入れたいのをこらえて光彦は暎子をあお向けにした。
 暎子は発情した顔つきで荒い息をしながら、ボリュームのある乳房を大きく上下させている。脚を開かせて暎子の股間を覗き込む格好で光彦はうつ伏せになった。
 目の前のこんもりと盛りあがった恥丘に上反りぎみに生えている濃密なヘアを撫であげて、両手で肉びらを押しあげるようにして開いた。
 剥きだしになった、ふくれあがっているクリトリスにしゃぶりつくなり舌でこねる。ヒクッと腰を跳ねると同時に昂った声を発した暎子が、すぐに泣くような喘ぎ声をもらしはじめた。
 クリトリスを舌でこねまわしながら見あげた光彦の目に、たわわな乳房を揺らして繰りかえし狂おしそうにのけぞる熟れた体が見えた。
 暎子のよがり泣きが切迫してきた。リズミカルな舌の動きで光彦は絶頂に追いあげていく。光彦の顎が密着している膣口がピクピク痙攣しはじめたかと思うと、
「ああ〜、イク〜ッ、イクイク〜ッ!」
 絶頂を訴えて暎子が大きくのけぞった。のけぞったまま、感じ入った泣き声をあげながら激しく腰を揺すりたてる。
 光彦は起きあがった。興奮が貼りついたような表情で息を弾ませている暎子のクレバスを指でまさぐって膣口をとらえ、まァ〜るくこねる。
「ううん、だめェ〜、それだめェ〜」
 暎子は泣き顔になって淫らに腰を波打たせる。
「なんだそのいやらしい腰つきは! もう指を入れてほしくてたまらないって感じじゃないか」
 クチュクチュという生々しい音が響き、膣口が迫りだした感じになって光彦の指にカズノコを撫でまわしているような感触を伝えている。
「指いやッ、もう光彦さんのでしてッ」
 暎子が発情した顔つきで息せききって訴え、たまりかねたように腰をうねらす。
 光彦は中指の半分ほど蜜壺のなかに挿し入れた。息を呑むような感じで喘ぎ顔になって暎子はのけぞった。
 膣口がクッと光彦の指を締めつけてくる。そのまま光彦は入口付近を指でこねながら聞いた。
「俺のなにでどうしてほしいんだ?」
「ああッ、光彦さんのペニスでズコズコしてッ」
 なりふりかまわずといった感じで腰をうねらせながら、暎子が懇願する。煽情的な腰つきに興奮を煽られて光彦はなおも言葉で嬲った。
「ズコズコってどこを?」
「そこッ」
「そこじゃわかんないよ」
「ああん……膣……」
「そんな看護婦らしい言い方じゃだめだ。もっといやらしい言い方があるだろ? いってみろ!」
「ああッ、オマ×コ」
 卑猥な言葉を口にしたとき、一段と暎子の表情の興奮の色が強まったような気が光彦はした。
「じゃあはじめからちゃんといってみろ。俺のなにでどうしてほしいんだ?」
「ああん、オマ×コ、光彦さんのペニスでズコズコしてッ」
 暎子は興奮に酔ったような妖しい顔つきになって、便所の落書きのようなことをいう。
「義姉さんがそんないやらしいこというの聞いたら、俺もたまらなくなったよ」
 光彦がわざと義姉さんといって顔を覗き込むと、
「いやッ、意地悪ッ」
 暎子は恥ずかしそうに顔をそむけた。光彦は暎子を抱き起こした。
「じゃあズコズコする前にしっかりしゃぶってもらおうか」
 暎子の前に立って、いきり勃っているペニスを突きつけた。
 暎子は怒張を凝視したまま、坐り直して正座すると、唇を寄せてきた。セクシーな形をした唇が怒張に触れると目を閉じ、うっとりとした表情を浮かべて亀頭に舌をからめてくる。
 暎子の舌がねっとりと亀頭を舐めまわし、じゃれるように蠢く舌と唇が怒張をなぞっていく。後ろ手に縛られているので手は使えない。顔を右に左に傾げながら、怒張全体に唇と舌を這わせていく。
 ゾクゾクする快感をかきたてられてペニスがヒクつき、興奮に酔っている暎子の顔を叩く。そのたびに暎子はふるえをおびた喘ぎ声をもらす。
 それを見おろしながら光彦は聞いた。
「兄貴にもさっきみたいないやらしいことをいったんだろ?」
「だって、いわなければあの人、すぐに暴力に訴えるから……」
 暎子は怒張を凝視したままいった。そのときだけはふっと硬い表情になって。が、すぐまたうっとりとした表情になって怒張を咥え、顔を振ってしごきはじめた。
 そんな暎子を見つめながら、光彦は想った。
 暴力を恐れて仕方なく兄の前でもあからさまなことをいったというが、そしてそのことは義姉にとって思いだしたくもないことなのかもしれないが、本当のところ行為の最中はどうだったのか。マゾッ気がある義姉のことだから、さっきのように興奮を煽られていたかもしれない。いや、きっとそうだろう。そしてこうやって興奮に酔いしれた顔で兄貴のモノもしゃぶったにちがいない。
 そう思うと、妬ましさをおぼえるよりも暎子のなかに潜む魔性に圧倒される。というより、暎子の魔性に怖じ気づきながらもからめ取られていきそうな予感に襲われる。
 思わず光彦は呻いた。怒張を咥えてしごいたり口から出して舐めまわしたりしていた暎子が、袋の部分にまで舌をじゃれつかせてきたかと思うとそれをすっぽり口に含み、舌でくすぐりたててくるのだ。
 身ぶるいするような快感にビクン、ビクンとペニスが跳ねて暎子の顔を叩く。そのたびに暎子は鼻にかかったなまめかしい声をもらす。そしてまた怒張を舐めあげていって咥え、顔を振ってしごく。
 光彦はもう我慢できなかった。暎子を押し倒すと両脚の間に腰を入れ、怒張でクレバスをまさぐった。
「ああ、きてッ……入れてッ」
 暎子が発情しきった顔つきで求め、淫らに腰をうねらす。
 光彦は一気に奥まで抉るように突き入った。達したような呻き声を放って暎子はのけぞった。
「ああ〜ん、いいッ……気持ちいいッ」
 突き入ったまま光彦がじっとしていると、暎子が快感を訴えながら自分からうねうねと腰を波打たせる。光彦はゆっくりと抜き挿ししながら聞いた。
「どこがいいんだ?」
「オマ×コッ。ああッ、オマ×コいいッ。もっと、もっといっぱいしてッ」
 欲望という魔物に取り憑かれたような妖しい顔つきでうわごとのようにいう暎子に、光彦も興奮を煽りたてられて狂ったように突きたてていった。


 二人はたてつづけに激しい情痴にふけったあと、さすがに疲れ果てて朝方まで眠りこけた。
 目覚めてシャワーを浴びているときだった。光彦は刺戟的なことを思いついた。
 白衣を着た暎子とセックスしたい。
 それは暎子を一人の女として見はじめたときから光彦のなかにあった願望だった。さらにいえば、ここしばらく光彦のなかで眠っていた願望がまたぞろ起きだしてきたという感じだった。
「白衣なら家にも置いてるけど、でもどうしてそんなものを?」
「それはあとのお愉しみだ」
 怪訝な表情で聞く暎子に、光彦は笑いかえした。そして、白衣が置いてある場所を暎子から聞きだすと、受話器を取りあげた。
 兄がもどっていたらそんなことはできない。実家に電話をかけると、誰も出なかった。そこで光彦は暎子をホテルの部屋に残し、白衣を取りに実家に向かった。
 その道すがら、二年ほど前の苦い経験を思いだした。


5
 日曜日のその日、光彦は久々に高校の同窓会に出席した。
 同窓会が三年ごとに開催されているのは知っていたが、出席するのは卒業後最初の会に出て以来だから六年ぶりだった。
 そこで、永井里香と再会した。
 光彦は高校時代、里香に熱をあげていた。といっても気持ちを打ち明けることさえできない片思いだった。
 美人でおまけに成績もよかった里香は、名門の女子大に進んだ。
 光彦が里香と再会したのは、最初の同窓会以来のことだった。
 里香は、商社のOLになっていた。相変わらずきれいだったが、女子大生のときよりもアカ抜けして大人っぽくなり、それに色っぽくなっていた。
 同窓会は三次会まで盛りあがった。さすがに人数は減ったが、光彦も里香も残っていた。というよりも光彦は里香がいたから三次会まで付き合い、二人だけで話せるチャンスを狙っていたのだ。
 うまい具合にそのチャンスがきたとき、二人とも相当酒の酔いがまわっていた。
「永井さんて当然彼氏いるんだろ?」
「当然て、どうして?」
 光彦が聞くと、里香はとろんとして一段と色っぽくなった顔つきで聞きかえした。
「だって、ますますきれいになってんだもん」
「え〜、本城くんがそんなお世辞いうなんて信じられない」
 驚く里香に光彦は苦笑いし、真面目な顔つきになっていった。
「お世辞じゃない、マジだよ」
「そういう光彦くんはどうなの? 彼女いるんでしょ?」
「そんなものいないよ、俺は昔からモテないから」
 光彦はウソをついた。すると里香は、
「わたしもいま空き家なの。誰かいい人いたら紹介してよ」
 と、彼女らしからぬことをいった。しかもそれが冗談とも思えないようすだったので、こんどは光彦のほうが驚いた。
「マジかよ」
「本気よ。といってもわたしのいい人って、ある趣味がなきゃいけないんだけど……」
「趣味? どんな?」
「どんなって……そんなこといえないわ。それはヒ・ミ・ツ」
 里香は一瞬困惑したようすを見せたが、言葉どおり秘密めいた笑みを浮かべていった。
 光彦はよけいに聞きたくなった。だがあまり突っ込みすぎていやがられては困ると思い直し、酔った勢いでいった。
「じゃあ俺のほうは逆に秘密にしてたことをいっちゃおう。じつは俺、高校時代、きみのこと好きだったんだよ」
「え〜ッ、ほんとにィ! そんなこと全然知らなかったわ」
 里香は驚いた。
 さらに光彦は、酔った勢いとそれなりの女の経験がなかったらいえなかっただろうことを、ダメ元のつもりで切りだした。
「よかったら、いちど俺とデートしてくれないかな」
「デート?……いいわよ」
 意外にも里香はあっさりオーケイしてくれた。
「よかった、ようやく夢がかなったよ」
「大袈裟ね、夢だなんて」
「俺にとっては夢だったんだよ。で、そのとき頼みがあるんだけど、ほら、女の子って、よく制服とか思い出に持ってるっていうじゃない? うちの高校はセーラー服だったけど、もしあったら持ってきてくれないかな」
 嬉しさから勢いに弾みがついた光彦が思いきっていうと、里香の顔から笑みが消えて硬い表情になった。
 一瞬、やっぱりいわなければよかったと光彦が後悔していると、里香がドキッとするほど妖しい表情でいった。
「いいけど、持っていくだけでいいの?」
 光彦はドギマギしながらいった。
「できれば着て見せてほしいんだけど……」
「ていうことは、ホテルの部屋とかでってこと?」
「だめかな?」
「デートに誘ったときからそのつもりだったんでしょ。いいわよ、着て見せてあげるわ」
 里香は光彦を色っぽい目つきでかるく睨むと、なまめかしい笑みを浮かべていった。


「今日はなににする? やっぱり白衣?」
 クリーム色のブラとショーツだけの格好で、クロゼットのなかのコスプレ用の衣裳を物色しながら、秀美が聞いた。
 顔立ちは十人並みだがプロポーションは抜群の秀美の後ろ姿を、里香とのことを思いだしながら見ていた光彦は、我れにかえって苦笑いしていった。
「いや、今日はセーラー服にしよう」
 秀美が振りかえった。意外だ……というような驚いた表情をしている。
「いいけど、でも大丈夫なの?」
 微苦笑して聞く秀美に、光彦もまた苦笑した。
「たぶんな」
「やァね、たぶんだなんて。ちゃんとなってくれなきゃ、わたしだってショックなんだからァ」
「ショック?」
「だってそうでしょ。わたしって魅力ないのかなァ、なんて思っちゃうもん」
 秀美は光彦をなじるような目で見ている。光彦はソファから立ちあがって秀美を抱き寄せた。
「ショックなんか受ける必要ないよ。秀美は魅力あるし秀美のせいじゃないんだから」
「ほんとに?」
「ああ」
 光彦はうなずいてキスにいった。舌を滑り込ませて秀美の舌をからめ取ると、すぐに秀美も熱っぽく舌をからめてきた。甘い鼻声をもらしながら、先にシャワーを浴びてバスタオルを腰に巻いている光彦の股間に、下腹部を挑発するようにこすりつけてくる。
 ところが光彦のほうは、その程度の刺戟では興奮しなくなっていた。それを秀美に悟られてまたとやかくいわれたくない。光彦は秀美の体を押しやった。
「ほら、シャワーを浴びてこいよ」
「じゃあ待ってて。女子高生に変身してくるから」
 早くもときめきが浮きでた顔つきでいうと、秀美はクローゼットのなかからセーラー服を取りだして浴室に向かった。
 しっかりウエストがくびれて張りも盛りあがりも申し分ない腰高のヒップが小気味よく揺れるのを見送って、光彦はソファに腰をおろし、飲みかけの缶ビールを手にした。ほんとにたぶんじゃなく、今日は久しぶりに秀美をヒイヒイよがり泣きさせてやれるかも……と思いながら。


 もともと光彦はコスチューム・プレイが好きだった。といっても秀美と関係ができるまではもっぱらコスプレ専門の風俗店でプレイを愉しんでいた。
 光彦は当時、区役所の税務課に勤めていた。秀美は一年前、大卒で入所して同じ課に配属になった。光彦のほうが三年先輩だった。
 コスプレ趣味のためとはいえ風俗店の世話になることからもわかるように、光彦は女にモテるタイプではなかった。
 ところが後輩の秀美に仕事を教えているうちに、いい雰囲気がめばえてきて、ほどなく深い関係になった。
 秀美とコスプレを愉しむようになったのは、光彦が里香に市役所の制服を持ち帰らせてセックスしたのがきっかけだった。
 それを機に光彦は、セーラー服を手はじめにいろいろな職種の女の制服を買い求め、本格的に秀美とコスプレを愉しむようになった。
 それにはもちろん秀美の理解もあったからだが、秀美の場合、理解というのとはちょっとちがっていた。
 それというのも、秀美も光彦に負けず劣らずの好き者で、光彦が理解を求めるまでもなく変身プレイに興味を示し、そればかりか大いに刺戟されて、ふつうにするセックスよりも興奮するタイプだったからだ。
 ところが深い関係になって一年あまりたった頃、まだ二十五歳だというのに光彦は容易なことではエレクトしなくなった。
 いつでも好きなコスプレを愉しむことができるパートナーを得て有頂天になり、夢中になってあれこれプレイを愉しんでいたのはいいが、刺戟に対して麻痺してきたらしい。
 いつしか秀美に女医か看護婦の白衣を着てもらうことが多くなった。光彦が患者になって女医からインポテンツの治療を受けるとか、好き者の看護婦に弄ばれるといったシチュエーションで、もっぱら光彦のほうが受け身になる。
 それでも容易なことではエレクトしない。やっとエレクトしても中折れになることもたびたびだった。
 こんなことになったのは、あまりにも妄想や想像をふくらませてセックスしてきたせいかもしれない。
 そう思って光彦はいささか焦りはじめていた。


 秀美が浴室から出てきた。定番ともいうべき白いネクタイに白線が入ったセーラー服を着て、女子高生に変身していた。
 一瞬、秀美と里香をダブらせて見た光彦は、期待したとおり早くも分身に血が滾ってくるのをおぼえながら立ちあがり、腰のバスタオルを取った。
「エーッ、もう、どうしたのォ」
 驚きと喜色が入り交じったような表情で秀美が嬌声をあげ、ブリーフの盛りあがりに手を這わせてきた。くすぐるようにして撫でまわす。
「いきなり男のモノを触るなんて、スケベな女子高生だな」
 笑っていいながら光彦も秀美の襞スカートをまさぐって、ショーツのなかに手を滑り込ませた。
「だってェ、こんな元気印、久しぶりなんだもん」
 秀美は興奮した顔つきで嬉しそうにいって腰をもじつかせた。
 クレバスに分け入った光彦の指は、ヌルヌルした感触をとらえていた。指の腹でクレバスをこすりながら、光彦は秀美の耳もとで囁いた。
「元気印のチ×ポ好きか?」
「あん、好きッ」
 たまらなさそうに腰を振りながら、悩ましい表情を浮かべてのけぞる秀美が、うわずった声でいう。光彦は嬲るのをやめていった。
「じゃあもっと元気印になるようにマジにオナッて見せろ」
 一瞬、秀美は恨めしそうに光彦を見た。だがすぐに満更でもなさそうな表情になって、ベッドにあがった。
 あお向けに寝て恥ずかしそうに顔をそむけると、セーラー服の上から片手で胸を揉んで両脚をすり合わせながら、一方の手をスカートのなかに這わせていく。
 今までに何度となく観賞している秀美のオナニーシーンだが、この日ばかりは光彦にとってひどく新鮮に見えた。秀美をまた、週末にデートする約束をした里香とダブらせて見ていたからだった。


 土曜日の午後、光彦は待ち合わせ場所のホテルのロビーで永井里香と会った。
 里香はタイトなスーツを着て、ハンドバッグのほかに手提げの紙袋を持っていた。
 その紙袋のなかにセーラー服が入っているのだと思うと、先にきてチェックインをすませて里香を待っているうちにときめいていた光彦の胸は、いやがうえにも高鳴った。
「部屋、もう取ってあるんだけど……」
 いいにくそうに光彦がいうと、里香は同窓会の夜のときのような妖しい笑みを浮かべ、揶揄するような目つきで、かるく光彦を睨んだ。
「手まわしがいいのね。本城くんて、この前同窓会で会うまではそんな遊び人だなんて思わなかったわ」
 光彦は笑っていった。
「俺、遊び人というほどじゃないよ。今だって、永井さんとデートしただけでドキドキしてるんだから」
「それならわたしだってそうよ。まさか本城くんとこんなことになるなんて……じゃあお部屋に行ってビールでも飲みましょうか?」
「ああ」
 パッと顔に喜色を浮かべて思わず弾んだ声でいった光彦に、里香は秘密めいた笑みを投げかけて、先に立って歩きだした。
 二人は部屋に入ると、テーブルを挟んで椅子に腰かけてビールを飲んだ。
 光彦自身、多少アルコールが入っていたほうがよかったが、里香もいざとなるとアルコールの力を必要としたのか、一気にグラスを開けた。
「その紙袋のなか、セーラー服なんだろ?」
「ええ。だけど光彦くん、どうしてセーラー服なんていいだしたの?」
 光彦が二人のグラスにビールを注ぎながら聞くと、里香が真面目な顔つきで聞きかえした。一瞬光彦は、コスプレ趣味を打ち明けようかと思った。だが、それはやめていった。
「永井さんとデートできるんだったら、高校時代の夢をかなえたいと思ったからだよ」
「ほんとにそれだけの理由で?」
「そうだよ、なんで?」
「もっとべつの理由があるんじゃないかと思って……」
「べつの理由って、どんな?」
「ううん、いいの」
 里香はあいまいな表情でいうと、また一気にビールを飲み干して立ちあがった。
「じゃあ着替えてくるわ」
 ビールを飲んだせいだけとは思えないなまめかしい笑みを浮かべていう。
 光彦が興奮した顔つきでうなずくと、里香はセーラー服が入った紙袋を持ってバスルームに向かった。
 一人になると光彦もビールを飲み干して立ちあがり、窓辺にいった。
 林立する高層ビル群の無数の窓が、晩秋の陽を受けてキラキラ光っていた。まぶしさに顔をしかめた光彦の脳裏に、高校時代のセーラー服を着た永井里香の姿がまざまざと浮かびあがってきた。
 あの当時、セーラー服の下の里香の裸を想像して、何度マスタベーションにふけったかわからない。もうすぐセーラー服を着て女子高生にもどったその里香と……。
 そう思っただけで、早くも光彦の分身は充血してきていた。
 レースのカーテンを引いたとき、浴室のドアが開く気配がした。振りかえると、セーラー服を着た由香が光彦のほうに向かってきていた。
「なんだか照れちゃうわ」
 里香は恥ずかしそうに笑った。
 光彦は見とれていた。襟の線とネクタイが臙脂色の濃紺のセーラー服を着ている里香を見たときは一瞬、高校時代の里香が現われたような錯覚に襲われてドキッとした。
 だが、二十五歳のセーラー服姿もわるくなかった。それどころか成熟した女とセーラー服とのアンバランスな感じに、ゾクッとするような色気があった。
 光彦は興奮していった。
「照れることなんかないさ。高校時代もよかったけど、色っぽくなってからの制服姿もたまんないよ」
「いやだわ、色っぽいだなんて。不良の女子高生みたい」
 里香はなまめかしい目つきで光彦を睨み、苦笑した。
「不良か、いいな」
 興奮のためにぎこちなく笑いかえしていうと、光彦は里香の後ろにまわった。
「不良の女子高生になってよ」
 うわずった声でいって、里香の肩に両手をかけた。
 ハッとして里香が体を硬くしたのがわかった。光彦のほうは息苦しいほど心臓が高鳴っていた。
 そのまま光彦は里香を抱き寄せた。またハッとしたようすを見せて里香が腰をもじつかせる。襞スカート越しにヒップに突き当たっている光彦のエレクトしたモノが、むちっとしたヒップでくすぐられる。
 セミロングの艶やかな髪に、光彦は顔を埋めた。
 里香は小さく喘いでのけぞった。
 いい匂いが光彦の興奮を煽った。顔で里香の髪を分けてうなじに唇を這わせ、セーラー服の上着の裾からなかに両手を侵入させた。
「そんなァ、だめェ〜」
 嬌声をあげて初めて里香が拒んだ。両手でセーラー服の上から光彦の両手を押しやろうとする。その前に光彦はブラを押しあげ、ボリュームも張りも申し分ない乳房をとらえていた。ゾクゾクしながら、両手で乳房を揉みたてた。
「やッ、いやッ……」
 里香はかぶりを振り、体をくねらせて光彦の腕のなかから逃れようとする。光彦は里香を向き直らせた。
「どうして? こうなることはわかってただろ?」
「いやッ、やめてッ」
 なおも里香はもがいて光彦の腕を振りほどこうとする。
「今さらそれはないだろう」
 いうなり光彦は里香をベッドに押し倒していった。覆いかぶさってキスしようとすると、里香は激しく顔を振って拒む。そのうえ繰りかえし体を反らして光彦の体を撥ねつけようとする。
 思いがけない抵抗にあって光彦は逆上した。
(こうなったら無理やりにでも犯してやる!)
 自分のネクタイを毟り取り、里香をうつ伏せにして馬乗りになった。
「そんなァ、いやァ」
 いやがる里香にかまわず、というよりも逆に興奮を煽られて、両手をひねりあげると後ろ手に手首を縛り、あお向けにした。
「いやッ、ほどいてッ」
 里香は顔をそむけて叫んだ。息を弾ませてセーラー服の胸を大きく上下させている。
「いやがるからだよ。ホテルの部屋に来たのは、里香だってそのつもりだったからじゃないか」
 初めて永井里香を呼び捨てにして光彦はいった。光彦の息も弾んでいた。
 かえす言葉もないのか、そむけた顔にうろたえたような表情を浮かべたまま、里香は黙っている。
 そんな里香を見おろしながら、光彦は手早くスーツを脱いでいった。思いがけない抵抗にあい両手の自由を奪ったおかげで、セーラー服姿の里香をレイプするような興奮をおぼえながら。
 光彦はブリーフだけの格好になった。もうとっくにブリーフの前は突きあがっていた。「せっかくのセーラー服だからな、まずは着たまま里香の体を見せてもらうよ」
 里香の足もとに坐って両手で足首をつかんで押しひろげようとすると、
「いやッ、いやッ!」
 里香はまた激しく抵抗しはじめた。だが両脚をバタつかせて蹴ろうとしても光彦に足首をつかまれているため、意のままにはならない。
 光彦は強引に両脚を押しひろげて間に割り込み、暴れているうちに襞スカートが太腿の付け根ぎりぎりまでめくれている里香の膝のあたりを両膝で押さえ込んだ。
 セーラー服に着替えるとき、女子高生だからと思って脱いだのか、里香はストッキングを穿いていなかった。
 わざわざ無防備な格好をして、こんなに拒むっていうのはどういうことなんだ?……
 光彦は怪訝に思った。ホテルの部屋に来たのだから、もとより里香も合意のうえのことであって、いやがること自体おかしい。
 だがそう思ったのも一瞬のことで、ゾクゾクしながら、ほどよく肉がついている絖白い太腿に手を這わせた。
「あッ、だめッ、いやッ」
 里香は腰をもじつかせた。もはやその程度の抵抗しかできない。
 光彦はすべすべした太腿を両手で撫であげていき、ゆっくりと襞スカートをめくっていった。
 ゴクッと、光彦は固唾を呑んだ。露わになったハイレグの白いショーツをつけた腰がセーラー服には似つかわしくないほど熟れて、いやらしいほど形よく張っていたせいもあったが、かろうじて秘苑を隠しているショーツの股の部分から、わずかにヘアが覗いていたからだ。
 ヘアに縁取られた淫猥なクレバスの眺めが目に浮かび、ブリーフのなかの怒張がズキンと疼いた。
「里香って、意外にヘアが濃そうだな」
「やッ、やめてッ」
 こんもりとショーツを盛りあげている、かすかにヘアのザラついた感触がある丘を撫で、ショーツ越しに股間に指先を這わせていく光彦に、里香は狼狽しきったようすで腰をもじつかせた。
 指先に感じたジメッとした感触に光彦は驚き、里香の股間を覗き込んだ。
「なんだ、いやがってたくせにもうパンツまで濡れてるじゃないか」
「ウソッ、ウソよ」
 里香は顔を紅潮させてかぶりを振った。
「ウソなんかじゃないよ。ほら、しっかりシミがついてる」
 事実、はっきりと船底型の濡れジミがついているそこを、光彦は指先でなぞった。
「いやッ、だめ、だめッ……」
 ふるえをおびたような声を発しながら、里香は腰を上下左右に揺する。
 光彦がそのまま繰りかえしショーツ越しにクレバスをなぞっていると、腰が淫らにうねるような動きを呈し、悩ましい表情を浮かべてのけぞる里香の口から切なげな喘ぎ声がもれはじめた。
「ほら、いいんだろ?」
 光彦の言葉で里香は我れにかえったような表情を見せた。いや……というようにかぶりを振る。
「まだそんなこといってんのか。素直じゃないな」
 さすがに光彦もムッとした。すぐにもよがり泣きさせてやりたくなった。だがその前にもっと辱しめてやりたくなった。
「ま、そのうち素直になる。それよりそろそろ里香のグショ濡れのオマ×コを拝ませてもらおうか」
 わざと露骨な言い方をしてショーツに両手をかけ、これまたわざとゆっくりとずりさげていくと、里香はいやがって腰をひねり両脚をよじり合わせた。
 ショーツを抜き取ると光彦はいったんベッドからおり、ホテルの浴衣の紐を二本手にしてもどってきた。それで里香の両膝をべつべつに縛り、二本の紐をベッドのヘッドにまわして引き絞った。
「いやァ〜、だめェ〜!」
 里香は悲鳴のような声をあげて腰をもじつかせた。襞スカートが腰の上で帯のようになって剥きだしになっている下半身が、ちょうどMの字の格好の大股開きを強いられたのだから無理もない。
 光彦は紐を結ぶとセーラー服の上着を引きあげた。ブルンと弾んで、みずみずしく張ってボリュームがある乳房がこぼれでた。
「どうだ、いい格好だろう? どれ、高校時代夢にまで見た里香のオマ×コを拝ませてもらうとするか」
「いやッ、見ないでッ。見ちゃあいやァ」
 紅潮した顔をそむけたまま、里香は自由にならない腰を振りたてた。これ見よがしにあからさまになっている秘苑の前に、光彦は坐り込んだ。
「これが、永井里香のオマ×コか」
 興奮がつぶやきになった。
「そんな……」
 そういったきり里香は絶句した。見ると、いたたまれないような表情を浮かべて目をつむっていた。
 高校時代、オナニーするたびに想像していた里香の秘苑に、光彦は見入った。
 ほぼ逆三角形の形に生えている黒々とした艶々しいヘア。その下の割れ目の眺めは、まだ童貞のときだから当然といえば当然だが、光彦が高校時代に想像していたものよりははるかに淫猥な眺めを呈していた。
 肉びらのまわりにも口髭のようにヘアが生えて、クレバス一帯がまるで失禁したように濡れているせいばかりではなかった。褐色をおびてやや肉厚な肉びらにも猥りがわしさがあるからだった。
「きれいな顔をしてるわりには、いやらしいオマ×コしてるんだな」
 むしろそれで興奮を煽られ、もっと里香を恥ずかしがらせてやろうと思って光彦がそんな言い方をしても、里香は黙っていた。
 里香の顔を見て、光彦は驚いた。秘苑に見入っていて気づかなかったが、興奮が浮きたった顔つきをして息を弾ませているのだ。
「ああッ、見てるだけじゃいやァ……あのときみたいにしてッ」
 突然、里香がうわずった声で妙なことをいった。
「あのときみたいに?……どういうことだよ!?」
「わたしをレイプしようとしたの、本城くんだったんでしょ?」
「レイプ?……」
 思わず光彦は素っ頓狂な声をあげた。
「冗談じゃないよ。なんで俺が……それよりいつのことだよ?」
「高二の終わり頃、学校の体育館の更衣室で……」
 里香は顔をそむけていった。
「だって、あのときもわたし、今みたいに両手を縛られて……相手はパンストかぶってたから顔はわからなかったけど、本城くんじゃないっていうの?」
「当たり前じゃないか。人違いもいいとこだ。そいつ、うちの高校の生徒だったのか?」
「間違いないわ、制服着てたから」
「でも、レイプしようとしたってことは、やられたわけじゃないのか?」
「ええ。犯されそうになったとき、相手が出しちゃったから。でもその前にいやらしいことされて……」
「どんな?」
「立たされたまま、セーラー服のスカートあげてパンツさげられて……」
「オマ×コ指で弄りまわされたのか?」
「指じゃないわ。口で……」
「舐めまわされたのか?」
 里香は顔をそむけたまま、うなずいた。
「それでおまえ、あのときみたいにしてってことは、もしかして感じちゃったってことかよ」
「まだバージンだったから、犯されるのはいやだったけど、口でされたときは……」
「感じちゃったんだろ?」
 高校生の里香が犯されているシーンを想像させられ歪んだ興奮をかきたてられて矢継ぎ早に聞く光彦に、里香もしだいにさきほどと同じように興奮した顔つきになって、小さくうなずいた。
「でもそのときのことがずっと頭にあって、男の人と付き合っても、うまくいかないの」
 それを聞いて光彦は、ようやくすべてのことがわかってきた。
 同窓会の夜、里香が、ある趣味を持った男でなければいけないといった意味も、それにホテルの部屋まできて、頑に光彦を拒んだわけも……。
 高二のときの体験から、里香のなかにはレイプ願望が根づいた。そして、六年ぶりに同窓会で再会した光彦がデートに誘ってセーラー服を着て見せてほしいといったとき、里香は思った。
 あのときの男は光彦ではないか? もしも光彦なら、拒み通せばあのときと同じように縛って犯そうとするはずだ、と。そして、里香が思ったとおりの展開になった。
 おそらくそういうことだろう……。
 そう思った光彦は、高校時代の由香にそんな体験があったことに驚くと同時に、それがもとであの当時の由香がレイプ願望を持っていたのかと思うと、愕然とするようなショックを受けた。
 それだけではない。今も脳裏に焼きついている清純を絵に描いたようなセーラー服姿の由香が、まるで幻のように思えてきた。
「いや、こんな恥ずかしい格好にされたままなんて」
 茫然としていた光彦は、里香の声で我れにかえった。興奮しきった顔つきの里香が挑発するような目つきで光彦を見て、たまらなさそうに腰をうねらせていた。
 光彦は乱れたセーラー服からこぼれでている成熟した女体を舐めるように見て、あからさまな秘苑に目を止めた。
 肉ビラの間から覗いているサーモンピンクのクレバスの膣口のあたりが、喘ぐように蠢き、あふれた蜜が会陰部に流れ落ちていた。
 いきなり光彦は里香のクレバスにしゃぶりつき、責めたてるように舐めまわしはじめた。
「ああン、いいッ……もっと、もっといやらしく犯してッ」
 里香が初めて快感の声をあげて、息せききって訴えた。
 そのとき光彦の脳裏から、高校時代の永井由香のセーラー服姿が幻のように消えていった。


 里香とはそのあとも関係をつづけた。その一方で秀美とも関係をつづけていた。光彦にとっては両手に花だった。
 ところが好事魔多し。光彦が我が世の春を謳歌していたのは、ほんのわずかの間だった。秀美がそのことに気づき、去っていったのだ。その際、里香に光彦との関係をぶちまけたらしい。それで里香にまで去られて一度に両手の花を失うハメになったのだ。
 それからほどなく光彦は区役所を辞め、それまでバイトでやっていた翻訳の仕事を本業にするようになったのだった。


6
 浴室に入っていた暎子が出てきた。
「おッ、いいな。まるで別人みたいだよ」
「別人てどういうこと?」
「昨日みたいにいやらしいことをする暎子とは思えないってことだよ」
「ひどいわ」
 笑ってからかう光彦を、看護婦の白衣を着た暎子も笑って睨む。
「じゃあさっそく、エッチな看護婦に挑発的なポーズを取ってもらおうか」
「いいわよ。わたし、光彦さんに歓んでもらえるならどんなことだってできるわ」
 ナース帽までつけた暎子がなまめかしい笑みを浮かべていう。光彦はまず、白衣を腰の上まで持ちあげるようにいった。
 暎子は早くもときめいたような表情になっていわれたとおりにした。煽情的かつ挑発的な下着をつけた下半身が現われた。
 肌色のストッキングを吊った白いガーターベルト、それに白いシースルーのハイレグショーツだ。
 これまた光彦の願望ともいえるスタイルの下着で、白衣を取りに実家に行った帰りに買ってきたものだった。
 しかもそのショーツには仕掛けがあり、そうやって立っているぶんには黒々としたヘアが透けて見えているだけだが、クロッチの部分にフリル付きの穴が開いていて、ショーツを履いたままでも秘苑を嬲ることができるようになっている。
「うん、なかなかいい」
 光彦は早くもペニスが充血してくるのを感じながらうなずき、次に椅子に腰かけて肘掛けをまたぐように命じた。
「いやだわ、そんなことしたら見えちゃう」
 暎子は恥ずかしそうにいいながらも、ゾクゾクワクワクしているようすで椅子に腰かけて肘掛けをまたいだ。さすがに両手で股間を隠した。光彦は大股開きの格好の暎子と向き合ってベッドに腰かけた。
「手をどけろ」
「だったら縛って」
「縛ってやってもいいけど、それじゃあオナニーはできないだろ?」
「そんな、オナニーしろっていうの?」
「そうだよ。俺が歓ぶことならなんでもできるんだろ? あれはウソか?」
「ウソじゃないわ。でもそんなとこ見られるなんて、恥ずかしい……」
「恥ずかしいのがいいんだろ?」
「知らないッ」
「ほら、手をどけろ」
 暎子は色っぽい目つきで恨めしそうに光彦を睨み、両手を股間から離した。
「おお、いい眺めだ。たまらないなァ」
「やだァ、いやらしい!」
 顔を赤らめながらも暎子は股間を見やっている。
 伸びきったショーツのクロッチの部分にぽっかりと開いた穴から、ちょうど性器が顔を出している。それでなくても淫猥な形状をしているそれが、そうやって露出しているとよけいにいやらしく見える。
 それを光彦に見られ自分でも見ているうちに暎子は刺戟されたらしい。興奮した顔つきになって息を弾ませている。それにわずかに口を開けているサーモンピンクのクレバスも濡れ光っている。
 光彦がオナニーを命じると、暎子は興奮が浮きたった顔をそむけて股間に右手を這わせた。中指でクレバスをかきあげ、指先にクリトリスをとらえると、まァ〜るくこねる。
「兄貴にもさせられたことがあるのか?」
「ないわ。こんな恥ずかしいこと、光彦さんが初めてよ」
 暎子は悩ましい表情を浮かべていい、きれぎれに切なげな声をもらしてたまらなさそうに腰をもじつかせはじめた。
 白衣を着てオナニーする義姉の恥態に光彦は興奮し、暎子の言葉に気をよくして立ちあがった。もうとっくにズボンの前が突っ張っていた。
 暎子の横にいくとベルトを弛めてチャックをおろした。ブリーフをさげて怒張を取りだし暎子の顔の前に突きつけた。
「ほら、オナりながらしゃぶるんだ」
「ああ……」
 暎子は喘いで左手で怒張を持ち、舌をからめてきた。光彦が命じたとおり、右手の中指はクリトリスを撫でまわしている。悩ましい表情を浮かべて鼻声をもらしながら、怒張を舐めまわす。
 やがて肉棒を咥えると、顔を振り腰を揺すりながら、すすり泣くような鼻声をもらしはじめた。
「オナッてしゃぶってるだけじゃたまらないって感じじゃないか。もうしたくなってきたのか?」
 肉棒を咥えた発情した顔がウンウンうなずく。
「だったら俺を歓ばせるような言い方でなにがしたいのかいってみろ」
「ああッ、オマ×コしたい……してェ〜」
 暎子が怒張から口を離してうわずった声でいったとき、突然チャイムが鳴った。
「なんだよ、いいときに」
 放っておけばいい、と光彦は暎子を椅子から立たせた。白衣から下半身のセクシーな下着姿を露出したまま、椅子の後ろから背もたれにつかまってヒップを突きださせた格好でファックしようと思い、暎子にその態勢を取らせたとき、こんどはたてつづけにチャイムが鳴り響いた。
 光彦は舌打ちして暎子の白衣を引きさげた。その格好では暎子が出るわけにはいかない。光彦が出ていってドアを開けた。
 目つきの鋭い男が二人立っていた。一人が黒い手帳を突きだした。警察手帳だった。
「本城光彦さんだね?」
「そうですけど、なんですか?」
「本城暎子さんも一緒だね?」
 刑事がそういったとたん、光彦の後ろで突然、暎子が悲鳴に似た声をあげた。


 光彦は警察の取調室の椅子に茫然として坐っていた。あろうことか、兄の照彦を殺害した容疑で暎子と一緒に警察に連行されて取り調べを受けていたのだ。
 そのとき取調室のドアが開いて、ホテルに来た刑事の一人がニコニコしながら入ってきた。
「あんたの容疑は晴れたよ。いやァ、本城照彦さん宅の近所に入った窃盗犯がその晩、本城さん宅の庭で死体のようなものを埋めている女を見たなんていうもんだからね。眉にツバをつけて聞いていたんだけど、一応調べてみたら本城照彦さんの捜索願いが出ていた。ところが奥さんと弟さんが行方不明ときた。これは怪しいということになったんだけど、本城暎子がみんな吐いたよ」
「じゃあ義姉が兄を!?」
「ああ。包丁で刺し殺して庭の桜の木の下に埋めたそうだ」
 光彦は頭の中が真っ白になった。
「本城暎子は、亭主にあんたとの関係を疑われて殴る蹴るの暴力をふるわれ、思いあまって殺してしまったといっている。もっとも、殺す気はなかった。自分が殺されると思ってとっさに包丁を手にして、気がついたときには夫を刺していたということだが、それにしても、あんたも罪なことをしたもんだな」
 とがめるように目つきの刑事に、それはちがう、ちがうんだ、そのときは義姉とは関係ないと光彦は胸のなかで必死に否定した。だがそのことを口に出してはいえなかった。ショックに打ちのめされて、がっくりと頭を垂れていた。



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胴
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脚
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盾

アクセサリー名部位素材1素材2素材3基本性能Lv-GR

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【1】
 広いロビーは大勢の人でざわめき、都心のシティホテルにしてはいささか場ちがいな雰囲気を呈していた。
 週末の午後というせいもあったが、それだけではなかった。
 最近はなにかにつけてホテルを利用する若者がふえていて、四月という時期もあって新入生歓迎パーティなどもあるのだろう。ドレスアップした学生らしい男女がロビーにあふれていた。
 そんなロビーの外れの一段下がったフロアに、ゆったりとしたスペースのティラウンジがある。
 伊吹雅彦は、そこの窓際の席に坐っていた。マイホームの設計を依頼してきた客と会い、その客が彼が見せたプランに満足して、いましがた帰ったばかりだった。
 建築家の伊吹は、主に個人住宅の設計を手がけている。独身で、二十八歳の若さだが、同じ建築家だった亡父の設計事務所を継いでいる。
 テーブルの上のパーラメントの箱から煙草を抜いて咥え、ライターの火を吸いつけると、煙を吐き出しながらガラス越しに外を眺めた。
 もう陽は西に傾きかけていたが、ホテルの日本庭園にはまだわずかに陽射しが残っていた。なんとなく胸がときめいてくるような、春の夕暮れ前の柔らかい陽射しだった。
 仕事の区切りがついたので馴染みのバーにいって飲みたいところだったが、それには時間が早すぎた。
 夕暮れまで、映画でも観て時間をつぶそうか……。
 数日前、テレビの深夜番組の中で紹介された映画のシーンを思い出して、伊吹はふとそう思った。
 その映画は、ハードなレイプシーンが話題になっているということだったが、実際、女がバックから犯されるシーンをテレビで見たとき、その迫力には伊吹も思わず興奮させられたものだった。
 その映画のことを思い出したのは、馴染みのバーといっしょにその店の冴子というホステスのことを考えていたからだ。冴子とは、誘えばホテルにいける関係で、この日も伊吹はそのつもりで、このホテルに部屋を取っていた。
 映画を観たあとで冴子のいるバーにいって、今夜は彼女を相手に映画のレイプシーンを再現してみるのもおもしろい。
 その思いつきとその情景が、伊吹の欲望を刺戟し昂らせた。
 ホテルのボーイがティルームの客の反応をうかがいながらテーブルの間を巡って、呼び出しをしている。
「クラハシさま、クラハシ・ミオさま、いらっしゃいますか?」
 客の耳障りにならない声で呼びかけている。
「ミオ」というあまり聞き慣れない、だが伊吹には忘れられない名前が彼の耳を引きつけた。
 そのとき、伊吹の前の同じ窓際の席から、女が立ち上がった。
 いままで後ろ姿を見ていたので気がつかなかったが、女を見た瞬間、伊吹は眼を奪われた。伊吹ならずとも男なら誰しも「いい女だ」という評価を下すにちがいない。それほどの魅力を持った女だった。
 年令は伊吹と同じ二十代後半か。良家の、それも人妻らしい落ち着いた雰囲気をたたえ、いかにもオートクチュールのものらしい上等なスーツを着て、それがスッキリと決まっている。
 女は、ボーイの案内でロビーの一角に並んでいる電話ボックスに向かっていく。服の上からでもプロポーションのよさがうかがえ、膝丈のタイトスカートからのぞく脚も素晴らしくきれいで、そのうえ惚れぼれするほど美しい歩き方をする女だった。
 伊吹は魅せられたまま、電話ボックスに入って受話器を耳に当てている女の横顔を見つめていた。
 ゆるやかにウエーブがかかった髪……なんとなく愁いをただよわせて、それが妙に色っぽく、それでいて知性的な顔立ち……。
 その横顔に伊吹は見惚れ、頭の中で女の名前を反芻していた。
 クラハシ・ミオ……ミオ……澪……森沢澪……。
 まさか!?……
 しかし、クラハシは、夫の姓ということも考えられる。
 伊吹は胸騒ぎをおぼえた。身内が火照るのを感じた。同時に遠い昔の、だが、そのことだけはいまも鮮烈に脳裏に焼きついて離れない情景が、まざまざと目の前に浮かび上がってきた。
 
 席にもどってきた女は、放心したようなようすでホテルの日本庭園を眺めていた。
「ごいっしょしてかまいませんか?」
 伊吹が声をかけると、ふと我に返ったように振り向き、
「……どうぞ。ここ、空きますから」
 と、女はセカンドバッグを手にした。
「信じられないな」
 いきなり伊吹が発した言葉が、立ち上がりかけた女の動きを止めた。
 エッ!? というような聞き返す表情を見せた女の前に伊吹は坐って、いった。
「あなたのような素敵な女性とデートの約束をしておきながら、それを破る男がいるなんて信じられないな」
「デート!?」
 女はかすかに苦笑した。
「さっきの電話、そうだと思ったんだけど、ぼくの勘ちがいかな」
「そのようね」
「おかしいな……」
「どうして?」
「あなたの顔を見てると、そんな感じがしたんだけど……」
「……だとしたら、こんな言い方は失礼かもしれないけど、あなたの眼もあまり当てにならないんじゃありません?」
「参ったな、自信はあったんだけど」
 伊吹は頭に手をやって、一本取られたというように苦笑した。頭の回転の速い、てごわい女だった。
「でも、自信を喪失したままではお気の毒ね」
 女が同情ともからかいとも取れる笑みを浮かべていった。
「あなたの眼、半分は当たっていたわ」
「半分?」
「ええ、待ち合わせがうまくいかなかったということでは」
「つまり、デートというようなことではなかったというわけか」
 伊吹はつぶやくようにいいながら内心、脈アリと思った。その証拠に女は彼との会話に付き合っているのだ。
「それで、あなたのこれからの予定は?」
「べつに……でも、暇がありすぎて困るってわけでもないわ」
 やんわりと女は伊吹の機先を制した。
「じゃあ、その貴重な時間を少しばかり、ぼくにいただけませんか?」
 女は、どうしようかしら、という顔つきになった。男から、こういうアプローチをされたとき、女というイキモノが得意とする余裕のためらいをみせて。
 伊吹は肝腎な話を切り出した。
「さっきボーイが、たしか『クラハシ・ミオさん』といっていましたよね。ミオという字は、漢字でサンズイにゼロと書くんじゃないですか?」
「そうですけど……」
 それがなにか? という聞き返す顔で、女が伊吹を見た。
「やっぱりそうか。失礼だけど、奥さんですか?」
「え? ええ……」
「じゃあ旧姓は?」
「どういうこと!?」
 女があきれたような顔でいう。
「これではまるで戸籍調査だわ」
「わけは、あなたの旧姓を聞いてから話します」
 怪訝な表情を浮かべた女が、伊吹の反応をうかがうようにして、いった。
「旧姓は、森沢ですけど……」
 一瞬、伊吹は耳を疑った。とてもすぐには信じられなくて、というより気が動転して、とっさにいうべき言葉がなかった。
「あなたは?」
 女が、いや澪が、驚きが貼りついたまま茫然としている伊吹の顔を、探るように見て聞いた。
「伊吹、雅彦」
 喉から言葉を押し出すようにして伊吹はいった。
「雅彦だよ。ほら、小学生のとき、きみと……」
 その瞬間、澪の顔にも、まさか! というような驚きの表情が浮かんだ。
 二人は、たがいに顔を凝視し合ったまま、茫然としていた。
「驚いたなァ。まさかきみが、あの澪ちゃんだなんて……」
 ようやく伊吹が口をきくと、
「あなたが、雅彦さん?」
 澪はまだ信じられないというようすでつぶやいた。
 無理もない。小学生のとき以来の再会なのだ。込み上げてくる懐かしさといっしょに伊吹は、だが、気まずさと気恥ずかしさをおぼえていた。
 それは澪も同じらしい。うつ向いた顔の、戸惑いを隠せない表情が、それを如実に物語っていた。
 たがいにその理由がわかっている気恥ずかしさと気まずさの中で、二人はしばらく沈黙していた。それぞれに遠い過去の出来事に思いを馳せるように……。
 
【2】
 伊吹雅彦が、まだ小学五年生のときのことだった。
 近所に、森沢という外交官の家があった。その家には、美しい母親と女の子が住んでいた。
 女の子の名は澪。伊吹と同級生で、母親似の可愛い子だった。
 母娘は、一年ほど前アメリカから帰国して、その家に越してきた。外交官の父親はどこの国だったか単身赴任しているらしく、ときおり帰国していたようだが、めったに姿は見かけなかった。
 そのあたりの事情はよくわからないが、新しく赴任した国では、娘の教育や家族を同伴することについて、なにか問題があったのかもしれない。
 澪は美少女であるうえに頭がよく、同じ年頃の子供たちより早熟な子だった。
 そんな澪に伊吹は恋をしていた。そのことに澪自身は気づいていたかどうか、伊吹のほうは学校から帰ると毎日のように彼女の家に遊びにいったものだった。
 ある日、伊吹は思いがけない場面に出食わした。
 部屋を出ていった澪がなかなかもどってこないので階下にいってみると、居間から、
「ごめんなさいママァ。もうしないから、お尻ぶたないでェ」
 という澪の悲鳴にまじって、バシッ、バシッという鈍い音が聞こえてきたのだ。
 少年の伊吹はわけもなく、見てはならないようなものを見るような気持ちで、扉の陰から居間の中を覗いた。
 澪の美しい母親がソファに坐っていた。その膝の上に澪がうつ伏せになり、スカートをめくられパンティをずり下げられて、クリッとした可愛い尻がむきだしになっていた。そして、母親がその尻を平手打ちしているのだった。
 伊吹は立ち竦んでいた。
 澪が何かいけないことをしてお仕置されているのだろう、とは思ったものの、ふだんはやさしい澪の母親がそんな乱暴なことをするなんて信じられなかった。
 それでいて、お仕置が終わるのを見届けてすぐに部屋に引き返した伊吹は、なぜか異常に興奮していた。澪が尻を叩かれ悲鳴をあげるのを見ているうちに、自分でも得体のしれない胸の高鳴りのようなものをおぼえていたのだ。
 しばらくして、澪がもどってきた。
「ママにお仕置されちゃった……」
 意外にも屈託なく笑っていた。
「お仕置って?」
 盗み見したうしろめたさもあって、伊吹はとぼけた。
「ママは、わたしがいけないことをすると、お尻をぶつの」
「なにをしたんだよ」
「うふっ……気持よくなること」
 澪はいたずらっぽく笑っていった。
「気持よくなることって?」
「雅彦くんだけなら教えてあげてもいいけど、約束守れる?」
 秘密めかしていう美少女に、伊吹は神妙にうなずいた。
「絶対、誰にもいわない?」
 念押しされて、またうなずくと、
「こうするの……」
 澪は、机の角に下腹部を押しつけた。そして、ゆっくりとこすりつけるような仕種をしてみせた。
「手でしても気持よくなるのよ。そういうの、雅彦くん、知ってる?」
 おくての少年でも、それがなんとなく恥ずかしい行為だというぐらいのことはわかった。ドギマギしながら首を振ると、
「アメリカにいたとき、友だちの女の子に教えてもらったの。見たい?」
 澪が瞳をキラキラ輝かせて聞く。
 伊吹がつられたようにうなずくと、澪はツルリとパンティを脱ぎ、ベッドに坐って膝を立て、両脚を開いた。
 伊吹はドキドキしながら、桃のようなワレメに眼を奪われていた。ひとりっ子で、それまで女の子の性器を見たこともなかったのだから無理もない。
 すると澪は、人差し指を口に咥えてツバで濡らし、「こうするの」と、その指をワレメに這わせて、ゆっくりと繰り返し上下にこすりはじめた。
 その指の動きと澪の顔を、伊吹は固唾を呑んで、交互に食い入るように見ていた。
 すると澪は、上気したように顔を火照らせて、ハァハァ苦しげに喘ぎだした。
 伊吹はオロオロしていた。そんな澪のようすが異様に思え、何だか恐ろしくなってきた。それでいて全身が熱くなった。
 そのとき澪がいった。
「雅彦くんもしてごらんなさいよ」
「ぼ、ぼくは、いいよ」
「意気地なし! わたし、そんな男の子、きらいよ」
 澪はなじるようにいった。
 好きな澪にきらわれたくはない。少年は仕方なく半ズボンとパンツを脱ぎ、下半身を露出した。
「わたしが気持よくしてあげる……」
 いきなり澪の手が、少年の唐辛子のようなペニスをつかみ、しごきだした。
「い、痛いッ!」
「あ、ごめんごめん。じゃあ、そっとしてあげるね」
 澪の手が、ゆっくりとペニスをしごく。それにつれてジーンと熱くしびれるような感覚がひろがってきた。オシッコをしたくなるような感じに似ていたが、それとも少しちがう気持のよさだった。
「ほら、雅彦くんの、硬くなってきたわ!」
 澪の弾んだ声につられて見ると、唐辛子がふくらんで硬直していた。
「気持いい?」
「……うん」
「ね、雅彦くんも、わたしにして……」
「ああ……」
 伊吹は、さっき澪が自分でやっていたのを真似て指をツバで濡らすと、ドキドキしながらワレメに当てがって、ゆっくりとこすった。
「気持いい?」
「うん、いい気持……」
 澪は鼻にかかった声でいい、いたずらっぽく笑いながらペニスをしごく。ペニスに押し寄せてくる気持よさにうっとりして、伊吹のほうもドキドキワクワクしながらワレメをこすりつづけた。
 
【3】
 伊吹は澪と、ホテルのロビーの奥にあるバーにいた。誘ったのは伊吹で、澪もそれを断らなかった。
 二人はカウンター席に並んで坐っていた。開店したばかりのバーの客は、ほかに二人連れの外人の男がいるだけだった。カウンターの中では、バーテンダーが馴れた手つきでグラスを磨いていた。
 二人とも、マティーニを一杯あけて、マンハッタンを飲んでいた。
「何年ぶりかしら」
 澪がグラスを手に、茜色の夕焼け空を想わせる液体の中で揺れる夕陽のようなマラスキーノチェリーを見つめて、ポツリといった。
「小学校の五年のとき以来だから……十数年、一昔半てとこかな」
「雅彦さん、結婚は?」
「俺はまだ……縁がなくてね」
 伊吹は苦笑していうと、煙草に火をつけた。
「ご主人は、なにをしてる人?」
「役人なの、外務省の……」
「それはまた堅い……そうか、澪さんのお父さんは外交官だったね。その縁で?」
「ええ……」
 澪はマンハッタンを一口飲んで、
「それにしても、おかしな偶然……」
 と、独り言のようにつぶやいた。
「おかしなって?」
「本当はわたし、夫と会うことになっていたの。それが……いつものことなんだけど、都合がつかないって電話があって、そのために十数年ぶりにあなたと再会することになるなんて」
「なんだ、やっぱりデートだったんじゃないか」
「デートといえるようなものじゃないわ」
 澪はふっと自嘲めいた笑みを浮かべ、残りのマティーニを飲み干した。なにかわけありらしいが、そのことについて伊吹が口を差し挟むのを制するように、
「もう一杯いただいていい?」
 小首を傾げていう。
「じゃあ、ウイスキーにしようか?」
「おまかせするわ」
 伊吹は、バーテンダーにアイリッシュのシングルを二人分頼んだ。
「誰だったか、何かの本に『胸の燠火をかきたてたかったらアイリッシュがふさわしい』って書いてたけど、わかるような気がするな」
 いまの二人にぴったりだと思いながら、思わせぶりにいうと、伊吹を見ていた澪が視線をカウンターに落とした。その顔に艶めいた気配がただよっているのを見て、伊吹の胸はときめいた。
 バーテンダーが二人の前にウイスキーの入ったグラスを置いた。
「ともあれ、ご主人に感謝しなくちゃ」
 伊吹が笑って乾杯の仕種をすると、澪は苦笑して伊吹をかるく睨み、花びらのような唇にグラスを運んだ。
「こんどは、わたしのほうが聞いていいかしら?」
「どうぞ……」
「さっき、わたしの旧姓をたしかめる前に、理由はあとで話すっていってたでしょ、なぜなの?」
「ああ。あのときは、まさかこんな偶然の再会があるなんて、ちょっと信じられなかったし、もし万一そうだったとしても、俺のほうから、森沢さんじゃないですか、なんていったら、きみは否定するかもしれないと思ったからだよ」
「どうして?」
 澪が艶めかしい眼で伊吹を見て聞く。いくらか酔ってはいても、そのせいだけではなさそうなその眼にそそのかされるように、伊吹は本音を吐いた。
「それは、あんなことがあったから……」
 それだけで二人には充分通じることだった。
 澪は手にしたグラスをジッと見つめていた。
「そういえば、俺たちが口をきくのは、あれ以来のことじゃないか?」
「あのときのこと、おぼえてる?」
 澪が伊吹を見ていう。一瞬、伊吹は息を呑んだ。その眼には、女が性的に昂ったときに見せるのと同じような妖しい光があった。
「ああ、よくおぼえてる……きみは?」
「わたしも……」
 二人は眼と眼を見つめ合った。おたがいの気持を探り、たしかめ合うように。
 
 澪から“性的な遊び”を教えられた伊吹は、それからというものますます澪と二人きりでいるのが愉しみになった。二人きりのときはいつも、おたがいに性器を愛撫し合って、気持のいい秘密の遊びにふけることができたからだ。
 もっとも、伊吹にはまだ精通がなく、二人の行為も“お医者さんごっこ”が進んだ程度のものだったが。
 伊吹とそんな遊びをするようになってからも澪は、ときおり例のわるい癖を母親に見とがめられて、お仕置されていた。そのあと伊吹の前に眼をキラキラさせて現われると、なぜかいつもより秘密の遊びに熱中した。
 あれは澪が、お仕置されたいばかりにわざと母親の前でオナニー行為をしていたのではないか。澪自身、幼い頃から外国流の折檻をされているうちに尻を叩かれることに性的な快感をおぼえるようになっていたのではないか。そのあとの小悪魔的な眼の輝きはそのせいで、その性的な昂りがいっそう伊吹との遊びに駆りたてていたのではないか。
 そう伊吹が分析してみるにいたったのは、もちろん、ずっとあとになってからのことだった。
 それよりもそんなある日、二人は偶然、ショッキングな光景を目撃することになった。
 その日、澪の家には、母親は久しぶりに帰国する父親を迎えるために出かけていて、澪と伊吹の二人しかいなかった。
 そんな解放感のようなものがそうさせたのかもしれない。いつものように秘密の遊びをしかけたとき澪が、年令には関係なく、子供でも女が身につけている男を挑発する本能を発揮して「つかまえたら、いいことさせてあげる」といって駆けだしたのだ。
 追い駆けっこになって、澪が両親の寝室に入っていき、伊吹もあとを追った。二人は息せききってウォークインクロゼットの中に倒れ込み、そこで戯れ合った。
 パンティを脱がそうとすると、澪が焦らすように拒み、伊吹はムキになった。強引にパンティをずり下げると、それまで考えてもみなかった行為におよんだ。
 澪の下腹部に顔を埋め、ふっくらとした桃のようなワレメに口を押しつけていたのだ。誰に教えられたわけでもなく、それが男女の性行為の一つであることも知らないまま、弾みというか、まさに本能的に。
 その瞬間、ピクンと澪の躯がふるえて、抗いが止まった。顔を起こして見ると、澪は眼をつむっていた。
 澪ちゃんは、いまのようにしてほしがってる!……
 少年はそう思った。
 もういちど桃に口をつけ、指でこするときのやり方を思い浮かべながら、ワレメを舌で舐めつづけた。すると、全身を硬くしていた澪が、ハァハァと荒い息遣いになってきた。
 伊吹は夢中だった。何がなんだかわからないほど興奮していた。
 そのときだった。寝室に人声が入ってきた。はじめに伊吹が、すぐに澪も飛び起きた。澪の両親が帰ってきたのだ。
 二人はクロゼットの中から出るタイミングを完全に失った。
「澪はどこにいるのかしら」
「友だちの家にでも遊びにいってるのだろう」
「でも玄関に、いつも遊びにくる雅彦くんの靴があったわ」
「ほうっておけばいい。そのうち現われるよ」
 澪の両親の会話を、クロゼットの中の二人は息をつめて聞いていた。
 そのとき突然、それまでとはちがった澪の母、登志子の声がした。
「あなた、だめよ。澪たちがきたら、どうするの!?」
「大丈夫だよ、ドアはロックしてある」
 クロゼットの中の二人は、鎧戸の隙間にへばりつき、寝室のようすをうかがった。
「登志子、久しぶりに鞭を味わってみるか」
 森沢の手には、あろうことか乗馬用の鞭が握られていた。その鞭が勢いよく、空を切って振り下ろされた。
 ビュッ!……
 不気味な唸りに伊吹は思わず身を竦めた。が、その異常な光景から眼をそむけることができなかった。そばの澪も同じように食い入るように寝室を覗いていた。
 鞭が唸りを放った瞬間、登志子は「ああっ」と喘ぎ、子供たちの前では見せたことがない、艶めかしい表情を浮かべて服を脱ぎはじめた。
 全裸になった登志子に伊吹は圧倒された。
 大人の女の裸は母親を見て知ってはいたが、他人だからだろうか、それと見方にもよるのだろうか、まるではじめて見るような衝撃を受けた。
 豊かに張った乳房、むっちりとした腰つき、下腹部の黒い繁み……。大人の女の裸身は、少年の眼にもドギマギするほどの艶めかしさと悩ましさがあった。
 そのときまた、森沢の鞭が空を切った。さっきと同じように喘いだ登志子がベッドに上がり、四つん這いになった。
「ああ、あなた……」
 白い豊満な尻が、いやらしいイキモノのようにくねった。その姿は伊吹に、はじめて見る、女という獣を想わせた。
 その尻を狙って森沢が鞭を振り下ろした。ビシッ!……鈍い音と同時に登志子が呻き声を放って尻を振りたてた。
 森沢はつづけざまに妻の尻を鞭で打ちすえた。
 鞭の唸り、尻を打擲する鈍い音、呻き声、激しい息遣い……。
 息づまるような異様な空気が部屋に充満し、ベッドの上の女体が豊満な尻に赤い条痕を無数に浮きたてて、悶えくねる。
 どのくらいつづいただろう。ハァハァと全身で息を弾ませている妻を見下ろしながら、森沢は自分も服を脱ぎ、裸になった。
 伊吹は息を呑んだ。猛々しく勃起した、グロテスクとも思える森沢のペニスが眼に飛び込んできたのだ。
 うろたえて澪を見ると、美少女は怖いような顔をして寝室のようすを凝視していた。
 そんな二人の前で、そのとき、見てはならない光景が展開しはじめた。
 夫の森沢が、そのグロテスクなペニスを突きつけると、美しい妻は犬のように這ったまま、うっとりとした顔で、まさに犬のようにペロペロと舐め回すのだ。そして、口に咥えると、悩ましい鼻声を洩らしながら、顔を振ってしごくのだ。
 そんなことをする登志子が、伊吹には信じられなかった。異常な夢でも見ているようだった。
 それだけではない。クロゼットの鎧戸に張りついたまま石のようになって寝室を覗いていた二人の子供は、さらに見てはならない光景を目撃してしまったのだ。
 夫のペニスをしゃぶっていた澪の母は、自分からベッドに仰向けに倒れ込むと、「あなたァ」と、ドキッとするほど甘い声でいって、夫に両手を伸ばした。
 森沢が登志子の両脚を開いた。が、クロゼットからは、登志子の両脚の間にひざまずいた森沢の躯が邪魔をして股間の眺めは見えなかった。
 そのとき登志子が「ああん、おねがい、ちょうだい!」と、さっき以上に甘えた喘ぎ声でいった。うねうねと焦れるように腰を揺すっていた。
 これは伊吹が女を知ってから思ったことだが、このとき森沢はペニスで登志子のクレバスをこすって焦らしていたにちがいない。
 が、まだセックスのなんたるかを知らなかった伊吹は、そのとき森沢がなにをしているのか想像もつかなかった。
 ただ、そのあと登志子が森沢に聞かれて、ますます焦れったそうに「オマ×コに入れてェ」と、子供たちの間でもそれがひどく卑猥なことを意味するというぐらいはわかっていた言葉を発したのは、十数年たったいまでもはっきりとおぼえている。
 そのとき、それ以上にショッキングな眺めが眼に飛び込んできた。森沢のペニスが登志子の中に突き入った、そのものズバリの眺めだ。
 恐ろしく大きな袋を垂らした森沢のグロテスクなモノが、唇を縦にしたような登志子のアソコの中へ、まるで棒を突きたてるようにズコズコと入ったり出たりする生々しい眺めがまともに見えた。
 少年の伊吹にとって、それは怖いような眺めだった。喉がカラカラに渇いて息をするのも苦しく、躯がふるえていた。
 ズコズコと突きたてるたびに森沢の袋が鈍い音をたてて登志子の股間を叩くのだ。森沢のペニスはヌラヌラと濡れ光って、登志子のアソコもまるでオシッコを洩らしたように濡れていた。
 それなのに登志子はなんども「気持いい」といって喘ぎながら、森沢に「どこがいいんだ?」と聞かれると、またあの卑猥な言葉を発して、ついには泣きだした。
 そうして森沢の動きと登志子の泣き声が激しくなったかと思うと、二人は抱き合ってぐったりとなった。
 クロゼットの中の伊吹と澪は、やがて夫婦が寝室を出ていったあと−−たぶんシャワーを浴びにいったのだろう−−ようやく部屋から抜け出した。
 澪の部屋の前まできて、彼女ははじめて口をきいた。
「雅彦くん、帰って!」
 怒ったような、驚くほど強い口調だった。
 その日以来、澪は学校で伊吹と会っても口もきかなかった。伊吹のほうも話しかけることができなかった。そうしているうちに半年ほどして、澪は父親の新しい赴任先となったフランスにいってしまったのだった。
 
【4】
 伊吹雅彦は、澪とホテルの部屋にいた。
 澪を抱き寄せた。澪は眼をつむって、されるがままになった。唇が触れたとたん昂りが堰を切り、伊吹は舌を入れて、貪るようなキスをしかけた。
 かすかに呻いた澪のほうも狂おしく舌をからめてきた。
 たがいに貪り合うような濃厚なキスを交わしながら、伊吹は澪の服を脱がしていった。スーツの上着、ブラウス、タイトスカートと、ボタンやホックを外すのももどかしく脱がし終えて、ようやく二人の唇が離れた。
 伊吹は眼を見張った。
 すばらしくセクシーな下着を澪はつけていた。黒い下着で、ブラとビキニショーツは刺繍入りのシースルー。しかもパンストではなく、黒いガーターベルトにそれだけが肉色のストッキングという悩殺的なスタイルだ。
「ご主人のために、いつもこんなセクシーな下着をつけているのか?」
 思わず妬ましさをおぼえていうと、
「夫のためじゃないわ」
 澪は羞じらって俯き、つぶやくようにいう。
「わたしたち、いま別居中なの」
「え!?……なぜ?」
 伊吹が驚いて聞くと、
「理由はいろいろあるわ。でもそのうちの一つは、雅彦さんならわかってもらえるんじゃないかしら」
 思わせぶりにいう。
「……ということは、ひょっとして性の不一致?」
 胸がときめくのを感じながら伊吹が聞くと、澪はそうだというような妖しい笑みを浮かべて、
「でも、それは夫のせいじゃないわよね?」
 伊吹に同意を求めるようにいう。
「今日は、主人と離婚の話し合いをすることになっていたの」
「で、ご主人のほうは?」
「すんなりと応じてもらえそうにないの。夫婦の愛情とか生活じゃなく、世間体を優先する人なのよ。今日も急用ができたとかいって、話し合いに応じてもらえなかったわ」
「世間体だけかな?」
「え?……」
「きみと、この躯にも未練があるんじゃないか?」
「そんな……」
 羞じらって、またうつ向いた澪を見て、伊吹はズボンのベルトを抜き取った。二つ折りにすると、ベルトを宙で振り下ろした。十数年前のあのとき、クロゼットの中で二人が見た澪の父親を真似て。
 ビュッ!……という音と同時に、澪はハッと息を呑むような気配を見せて竦んだ。
「あのとき見たようなことは、ご主人との間にはなかったのか?」
 うつ向いたまま、うなずく。
「ご主人以外の男とは?」
「ひどいわ。そんな女だと思ってたの!?」
 問い詰めるようにいった伊吹を澪は睨み返した。ドキッとするほど艶めかしい眼にたじろぎながら、伊吹はまたベルトを振り下ろした。
「じゃあ、どうして性の不一致なんだ?」
「別れたいという理由はそれだけじゃないけど、やっぱりわたしの中にも母の血が流れているのよ」
 訴えるようにいう澪の顔に、それまでにない昂りがただよっていた。その妖艶さに伊吹は気押されながら、ベルトで空を切った。
「ブラを取れ!」
 喘ぐ顔になった澪は、はっきりと性的に昂ってきているとわかる硬い表情になって、両手を背中に回してブラを外した。
「両手を下ろすんだ!」
 命令のたびに宙でベルトを鳴らす。
 胸を隠していた澪の両腕がゆっくりと両脇に下りる。むきだしになった乳房は、形よく紡錘形に張り、ほどよい大きさの乳暈と乳首もきれいな色をして乳首がツンと上向きに反っている。
 みずみずしく張った乳房が、大きく、生々しく喘ぐ。
「つぎはパンティだ!」
 ベルトの唸りに突き動かされるように澪の手がビキニショーツに這い、ウエストが締まって、そのぶんムッとするような官能美を見せて張った腰からショーツをずり下げていき、みごとな脚線から抜き取った。
「昔は澪ちゃんのほうから見せてくれたぞ」
 伊吹が笑ってからかうと、
「いじわる!」
 両手で下腹部を隠したまま、艶めかしい眼つきで睨む。
「仕方ない……」
 伊吹はホテルの浴衣の紐を手にして澪の後ろに回った。両手を背中にひねり上げると、手首を交叉して紐で縛った。澪はされるがままになっている。
 身につけているのは、黒いガーターベルトと肉色のストッキング、それに黒いハイヒールのパンプスだけだ。黒いガーターのストラップと、むっちりと形よく張ったヌメ白いヒップのコントラストがすこぶる悩ましい。
 そのヒップを手で撫で回しながら、伊吹は澪の首筋から耳に唇を這わせて囁いた。
「あのときのお母さんのようにされたいんだろ?」
「ああ……」
 喘いで身悶える。が、後ろ手の縛めを伊吹ががっちりとつかんでいるので、逃れることはできない。
「さっきもいってたじゃないか。俺ならわかってくれるだろう、澪にもお母さんと同じ血が流れているって。そう、俺にはわかってる。あの頃からもう澪は、オナニーだけじゃなく、尻を叩かれる快感を知っていた。だから、わざとママの前でオナニーして、お仕置されていたんだ。そうだろ!?」
 バシッ!……ベルトでヒップを叩いた。
「ああッ!」
 悲痛な声を洩らして、くねくねとヒップを振りたてる。
「そうよ、雅彦さんぶって!」
 昂った口調でいうと、上体を椅子の背にもたせかけてヒップをグッと突出し、伊吹を挑発するようにくねらす。
 熟れきったヒップといい、すばらしい脚線美といい、ガーターベルトとストッキングをつけた悩殺的な下半身が、ムンムンするような官能臭をふりまく。
 そのヒップを狙って、伊吹はベルトで打ちすえた。交互に左右の尻朶を払うように、つづけざまに打擲した。
 そのたびに澪は喘ぎとも呻きともつかない声を放って、まるでそこだけがべつの淫らで艶めかしいイキモノのようにヒップを振りたてる。
 打擲するにつれて、ヌメ白いヒップがみるみる桜色に染まり、澪が放つ声も苦痛がこもったようなそれから明らかに昂りを感じさせる喘ぎや呻きにかわってきた。
 疼きと火照りのせいだろう。凄艶なヒップがさもたまらなさそうに悶えくねる。
「どうした?」
「ああ……いいッ!」
「子供の頃を思い出したか?」
 上体を引き起こすと、美貌に興奮の色が浮きたって、あの頃母親から尻を叩かれたあと必ずキラキラ輝いていた瞳が、いまは妖しく潤んだような光をたたえている。
 伊吹は熱く火照ったヒップを撫で回しながら、乳房をわしづかんだ。手に快い弾力を返すふくらみを揉みしだき、硬くしこってきている乳首を指でこね回すと、澪は昂った顔でせつなげな声を洩らし、太腿をすり合わせるようにして身悶える。
 手を太腿の間に分け入れて、艶やかな繁みの下をまさぐってみると、まるで失禁したような濡れ方だ。
「派手に濡らしたな」
「いや……」
「子供の頃の澪のここは、よく見せてもらったけど、大人になってからははじめてだからな、じっくりと見せてもらおうか」
「そんな……うッ!」
 いいかけた澪が悩ましい表情を浮きたてて呻き、全身を硬直させた。いきなり伊吹が指を蜜壷に突き挿したのだ。
「ああッ……」
 ふるえ声を洩らして身をくねらせる。熱く潤みきった蜜壷が、伊吹の指を引き込むように生々しく締めつけてくる。
「ほう! 澪のは名器じゃないか」
 躯が、というより下半身がガクガクふるえだして、もう立っていられない。
 伊吹は椅子に坐らせると、両脚を抱え上げて、大胆に肘掛けをまたがせた。
「ああッ、こんな……」
 澪は恥ずかしがって顔をそむけた。その両脚を素早く浴衣の紐で縛りつけた。
「恥ずかしがることはないだろう。昔は澪のほうからこうやって見せてくれたじゃないか。もっとも、あの頃はまだ毛も生えてなかったけど」
「うん、いやッ」
 笑ってからかう伊吹を、あからさまな露出ポーズを強いられて羞じらい戸惑う澪が、すねたようにいって睨む。
 あの当時、桃のようにふっくらとしてワレメがあっただけのそこは、いまは艶々しい繁みが秘唇の周囲にまで口髭のように生え、大胆な開脚によってパックリと開いた秘唇の間にサーモンピンクの肉溝を見せて、濡れ光っている。
 伊吹は、両手で、そろりと繁みを掻き上げて、秘唇を押し分けた。ふるえをおびた喘ぎといっしょに濡れ光った粘膜が生々しくうごめき、ジュクというように蜜がにじみ出してきた。
 クレバスの上端に、真珠のようなクリトリスが覗いている。クロゼットの中で夢中になって澪のワレメを舐め回したときのことが脳裏をよぎって、伊吹は吸い寄せられるように股間に顔を埋めていった。
 舌でクリトリスをすくい上げると、戯れるように舌を躍らせてこね回した。
「あッ……あんッ……」
 ふるえ声を洩らす澪の腰が、ピクン、ピクンと跳ねる。その声がきれぎれの感じ入った喘ぎになり、さらにすすり泣きになる。
 真珠がたちまちふくれあがってきた。
 伊吹は顔を上げると、勃起したクリトリスを親指の腹でとらえ、じんわりと撫で回しながら、中指を蜜壷に挿入した。そうしてゆっくりと中指を抽送し、同時に真珠をこねる。
「ああッ……ううんッ……」
 興奮して悩ましい表情を浮きたてた澪が、縛られた躯を狂おしそうにうねらせる。
 しばらく伊吹は指にからみつきまとわりついてくる名器の感触を味わったのち、蜜に浸かっていた指をアナルに這わせた。
「あッ、そこ……だめッ」
 澪は戸惑いをみせた。
「ここは、はじめてなのか?」
 必死に噤もうとするすぼまりをマッサージするように押し揉み、揉みほぐしながら聞く伊吹にうなずき、
「だめよ、そんなとこ、いけないわ」
 弾む息でいって腰をもじつかせる。
 揉みほぐれてきたアナルに伊吹はゆるゆると指を埋めていった。呻いて苦悶の表情を浮きたてた澪が開ききった両脚をブルブルふるわせる。狭小な肉孔が痛いほど伊吹の指を締めつけてきた。それを押しやるように指を抽送しつつ肉孔をこねる。
「ううんッ……はんッ、ああッ、あはんッ……」
 狂おしそうにのけぞり、性感の高まりを感じさせる声を洩らしはじめると、もう歯止めはきかなかった。妖しい興奮に取り憑かれたような顔つきで荒い息をしながら、淫らに腰をうねらす。
「アナルもいいんだろ?」
 みるみるひろがってきたアナルに指を抜き挿ししながら伊吹が聞くと、澪はウンウンとうなずき、
「ああッ、もう気が狂いそう……」
 異常な快感に酔いしれたようにいう。
「俺にここのバージンをくれ」
 伊吹も興奮を煽られていうと、澪はまた、強くうなずき返す。
 そこで伊吹はアナルから指を抜き、澪のそばを離れた。浴室にいって、泡立てたセッケンとカミソリを持ってもどってくると、セッケンを澪の下腹部のヘアに塗りつけた。
「雅彦さん!」
 澪は驚いた顔つきで伊吹の手元を見ている。
「澪、おまえは今日から俺のものだ。これはその証だ。澪のここに毛がないというのは、再会した俺たちの門出にぴったりじゃないか」
 伊吹は自分の思いつきとその言葉に酔ったようにいいながら、繁みにカミソリを這わせた。澪は拒まなかった。そればかりか、念入りに剃毛していく伊吹の手元を見つめる顔には、はっきりとときめきの色が浮かんでいる。
「亭主と別居してどれくらいになる?」
「もう半年……」
「その間にいい男は現われなかったのか?」
「ええ、今日までは……」
「だったら当然、自分で慰めたこともあったはずだな」
「…………」
「ないとはいわせないぞ」
 そういって伊吹が見上げると、澪は恥ずかしそうにうなずいた。
「ほら、きれいに剃れた……」
 伊吹がいうのにつられたように澪は下腹部を見やった。
「ああ、いやッ」
 羞じらって顔をそむける。すっかりヘアを失ったそこは、赤褐色の、まだ形状は整った唇を想わせる肉襞とサーモンピンクのクレバスをより露骨に見せている。が、こんもりと盛り上がった肉丘はツルリとして、少女のそれのように見える。
 伊吹は後手に縛った紐を解き、開脚の拘束はそのままにして命じた。
「澪、昔を思い出して気持がよくなることをしてみろ!」
「そんな……」
 そんな恥ずかしいことはできないというように澪はかぶりを振る。伊吹はベルトを手にして振り上げると、勢いよく振り下ろした。ビュッ!……という音と同時に澪はビクッとして、おずおずと手を股間に這わせた。
 恥ずかしそうに顔をそむけて眼をつむり、鮮やかな赤いマニキュアを塗った指先でクレバスの真珠をとらえ、まるく撫で回す。片手は乳房をつつみ、やさしく愛撫している。
 それを眺めながら伊吹は手早く服を脱ぎ、裸になった。股間のモノはもうとっくにエレクトして、先端に透明な液が光っていた。
 オナニーをつづける澪が悩ましい表情を浮かべ、せつなげな声を洩らしはじめた。昂って潤んできた眼で伊吹の股間でいきり勃っているモノを凝視して、マニキュアと同じ色の口紅を塗った端整な唇を喘がせている。その口許に伊吹が肉棒を突きつけると、澪はためらいなく片手を添えて、ねっとりと舐め回す。そして咥えると、うっとりとした表情の顔を振ってしごく。
 その顔と股間で蠢く指先を見下ろす伊吹の脳裏を、かつて幼い二人が秘密の遊びにふけっていたときの情景がかすめていった。
 ようやく俺の女に出会った……。
 伊吹は感動と興奮につつまれていた。
「はんッ……はあんッ……」
 肉棒を舐め回す澪が鼻声を洩らしながら淫らに腰を揺すりだした。伊吹は澪の開ききった両脚の間に回り、手にした肉棒で濡れそぼったクレバスをまさぐると、貫くように突き入った。



【人妻・眉子 迷宮の性】


【1】
 午後の一時すぎに東京を発ち、江ノ島方面にドライブして、海の見えるホテルの部屋で二時間ほど過ごしたあと、ふたたび東京にもどってくると、もう九時を回っていた。
 海のシーズンとはいってもウィークディなのでそれほど道は混んでないだろうと予想していたのだが、途中、事故のために渋滞して思いのほか帰りの時間がかかってしまった。 南川が運転する車は幹線道路を左折して住宅街に入った。
 都心から車で一時間たらずのこの地域は、以前から高級住宅地として知られ、昼間も閑静だが夜ともなると人も車もめったに通らない。緑が多く、庭の一部が区の保護樹林に指定されているような豪邸もあちこちに見受けられる。
 このあたりでも一際鬱蒼とした森のような一画の、一方通行の道に入ったところで、南川は車を停めた。両側から樹木が道に覆い被さるように繁っていて、トンネルのように見える場所だった。
 道の片側には寺院があり、一方は公園になっている。寺院の裏には寺が経営する幼稚園がある。
 昼間、毎日この道を通って幼稚園に子供を連れていっている眉子は、ここを子供と「緑のトンネル」と呼んでいた。
 突然、こんな場所に車を停めた南川を、眉子は助手席から怪訝な顔をして見た。
 眉子が夫の野々村と一人息子と義母の四人で住んでいる家は、この緑のトンネルを抜けて二百メートルほど先にある。南川が眉子を送ってきたときはいつも、このあたりは不用心だからといってトンネルの先で車から降ろしてくれることになっていた。
「こんどはいつ?」
 南川が眉子の膝の上の手を握って聞いた。
「いつといわれても……」
 眉子は口ごもって俯いた。
 今日も学生時代の女友だちに会うと偽って義母に娘のことを頼み、罪悪感に苛まれながら家を出てきたのだ。そう頻繁に口実をつくるわけにもいかない。それでいて、いつといわれても困るとは、とっさにいえなかった。
「じゃあ来週の今日、同じ場所と時間で、いいね?」
「そんな……約束はできないわ」
「どうして? ご主人のことを気にしてるの?」
「あなた、平気なの?」
「俺だって悪いとは思ってるさ。だけど仕方ないじゃないか」
「仕方ないって?」
「もう俺たちはおたがいに禁断の実を食べてしまったんだ。しかも、その味がどんなに美味しいかも知ってしまったんだよ」
 そういいながら南川は眉子を抱き寄せた。
「いやだわ、そんな言い方」
 なじるような口調でいった眉子の顔を仰向けると、
「もちろん俺は純粋だよ、本気で眉子が好きだ」
 と、いささか取ってつけたような口ぶりでいって唇を重ねてくる。
「だめよ」
 眉子は抗った。が、強引に唇を奪われ舌を入れられると、ふっと拒む気が失せた。
 南川の濃厚なキスに自分からも熱っぽく舌をからめ返しながら眉子は、おたがいに禁断の実を食べてしまったのだという彼の言葉を頭の中で反芻していた。
 そのとおりかもしれないと眉子は思った。
 おたがい夫も妻も、それに子供もある身で男と女の関係に落ちてしまい、いまの生活を捨てるまでの覚悟も勇気もないまま不倫の関係をつづけている以上、純粋だの本気だのといったところで、所詮まやかしでしかない。
 はっきりいってしまえば、二人を結びつけているのは、南川が禁断の実に譬えて本音を洩らしたとおり、男と女の肉欲だった。
 それを純粋だの本気だのと言葉で飾って、恋愛という甘いオブラードにくるんでいるにすぎない。
 それも“不倫”という言葉が頭になかったなら、眉子自身、南川との情事にここまで溺れ込まなかったかもしれない。おそらく、魔がさしたということで後悔し、二度と南川に会うこともなかっただろう。
 ところが不倫という罪の意識が、南川との情事のなかで眉子を猥りがわしいまでに大胆にさせた。
 眉子は自分から求めて破廉恥になった。罪の意識から自虐的になり、そうすることで自分を蔑み罰しているつもりだった。
 だが皮肉なことに、そんな情痴によって逆に夫の野々村からは決して得られない享楽的なセックスのありようや歓びを教えられ、いつしか眉子は南川とのデートを心待ちにするようになっていたのだった。
 この日、江ノ島の海の見えるホテルの部屋でも、はじめのうちこそ南川の愛撫や執拗に秘裂を舐め回す舌によがり泣きながら身悶えていたが、たてつづけに絶頂に追い上げられたあとは眉子のほうから貪るように彼のペニスを咥えた。
 そして、思い出すと顔が火照るようないやらしさでそれをしゃぶり、さらには行為の最中、彼の肉棒が入ったり出たりする淫らな眺めを見たがったり、彼に求められるまま夫の前ではいちどもいったことがない猥褻な言葉を口走ったり、そのあげくに「後ろからもしてェ」といって四つん這いになり、せいいっぱい腰を突き上げたハレンチポーズで彼を迎え入れたのだった。
 そのときの、両手で腰をつかんで激しく突きたててきた南川の肉棒の感覚と子宮がうずいてとろけるような快感の余韻が、まだ膣に生々しく残っていた。
 いま南川と濃厚なキスを交わしていると、瞼にそのシーンが浮かび、その余韻が躯にひろがってくるようだった。
 南川の手が膝から太腿へとスカートの中を這い上がってきた。締めつけた両脚の間にその手が強引に割り込んできて、パンストの上から指先がクレバスをなぞりクリトリスのあたりをこねる。
「だ、だめッ……」
 眉子はうわずった声を洩らして南川の手を押さえ込んだ。
 南川は手を引くとズボンのチャックを下ろし、ペニスを取り出した。それはすでに肉棒と化していた。
 眉子の手をつかむと、南川は怒張を握らせた。熱い硬直の感触が眉子の躯の底のほうに艶めかしいざわめきを生み出した。
 肩を抱いた南川が、眉子に屈み込むよう促した。
 眉子は拒まなかった。南川の股間に顔を伏せていくと、グッとエラを張ってはち切れんばかりにふくらんだ亀頭にねっとりと舌をからめて舐め回し、それを咥えた。
 ゆっくりと顔を振って肉棒をしごく。そうしているうちに興奮してきて息苦しくなり、鼻声を洩らしながら、顔を振ってしごくだけでなく、肉棒の先から根元までじゃれるように舌で舐め回す。
「ああ、もうだめよ」
 眉子は喘いで訴えた。これ以上フェラチオをつづけていると、このままでは収まらなくなる。それにそんなことになれば、ますます帰りが遅くなる。だから、だめだという両方の意味を込めて。
 そのとき南川がズボンをブリーフごとずり下げた。
「眉子も脱いで、俺の膝にまたがれ」
「そんな、だめよ、こんな所で。誰かに見られたらどうするの!?」
 うろたえて眉子はいった。
「大丈夫、誰もきやしないよ」
 二人で前と後ろを見てればいい、もし車か人がきてもすぐに眉子が横になればわからないと南川はいいながら、眉子を抱き寄せてスカートの中に手を入れ、強引に下着を引き下ろそうとする。
「だって、もう遅いわ」
 言い訳して弱々しく拒む眉子に、
「ご主人はこのところほとんど午前様だといってたじゃないか。第一、このまま俺を帰すなんて残酷だよ」
 そういって南川は手にした肉棒を揺さぶって見せつけた。それを見て眉子のすでに潤んできていた花芯がズキンと甘くうずき、
「そんな、義母にだって怪しまれるわ」
 という声がうわずった。
「だから、さ、早く!」
 南川が急かしてまた強引に下着を下げながら、このままでは帰さないよ、と怒ったように耳元で囁く。眉子はあきらめて自分から下着に手をかけた。
 
【2】
 眉子はパンストとパンティを膝まで下ろすと、中ヒールのパンプスを片方だけ脱ぎ、下着を片脚から抜き取った。一方の脚にパンストとパンティがよれてからんだ。
 南川に導かれるまま膝をまたぎ、向き合って坐ると、南川がスカートを腰の上までたくし上げた。そして手にしたペニスの先で、眉子のクレバスを上下にこする。
「何だ、もうグッショリじゃないか」
「い、いや、ああッ……」
 眉子は喘いで焦れるように腰をくねらした。ペニスの先でふくれあがったクリトリスをこすられ膣口をこねられるたびに身ぶるいするような甘いうずきが湧き上がるだけでなく、クチュクチュと耳を覆いたくなるような濡れた卑猥な音がたつのだ。
「ああ、ね、早くゥ!」
 眉子はすがるようにいった。早く行為を終わらせてほしいという気持でいったのだが、
「早く何?」
 と、南川は笑って聞く。焦らしているのだ。そうとわかっていて、眉子はたまりかねて訴えた。
「……してッ」
「何をするの?」
「いやッ、ね、早くしてッ」
「何をしてほしいのか、いつものようにいってごらん。いうまではお預けだ」
 愉しそうにいいながら南川はなおもペニスでクレバスをこすりたてる。
 かきたてられるうずきにつられて股間を見た眉子の眼に、繁みの下の生々しい唇がそのたびにいやらしくうごめくのが見えた。クチュクチュという卑猥な音がますます大きくなってきた。
 眉子は一気にアルコールの酔いが回ってきたように淫らな気持になって、
「ああんいやァ、焦らしちゃいやァ」
 と、自分でもはしたないと思って頭の中が熱くなるのを感じながら、夢中になってペニスを花芯に収めようと必死に腰を突き出しうねらした。が、南川の片手で腰を押しやられているために眉子のほうからはペニスを収めることはできない。
 たまりかねて眉子はいった。
「ああ、入れてッ」
「どこに何を入れてほしんだ? ちゃんといってごらん」
 南川が耳元で卑猥に囁く。眉子の頭の中は淫らな思いでいっぱいになり、
「ああん、あなたのチ×ポ、オマ×コに入れてェ」
 と興奮しきっていうと、ズブッと南川が押し入って腰を引き寄せた。
 グニューッと眉子の中に南川が深々と突き入ってきた。貫かれると同時にイキそうな快感に襲われ呻いてのけぞった眉子は、だがすぐに眼を見開き、リアウインドーから後方を凝視したまま、南川にしがみついて自分から腰を律動させた。
 動くたびに肉棒の先でグリグリ奥の突起をこねられ、泣きたくなるような甘美なうずきがビンビン子宮にまでひびく。必死に声をこらえようとしたが、そのたびにすすり泣くような喘ぎになった。
「痛いほど当たってるよ」
 と、南川がうわずった声でいう。
「いいのッ、ああいいッ」
 眉子は快感を訴えた。すかさず、どこがいいのか聞く南川に、オマ×コがいいの、もうたまんないとうわごとのようにいい、狂ったように腰を前後に振りたてた。
 それでも眼だけは見開き、本物のトンネルのように見える道の向こうを凝視しつづけていた。
 道には街灯がついていた。その仄白い水銀灯の明かりが、興奮のためにしだいにぼやけて見えてきた。
「おねがいッ、もうイッて、ね、いっしょに!」
 眉子は懇願した。
「まだまだ、ほら、もっと腰を使って……」
 笑いを含んだ声で南川がいう。ホテルでいちど欲望を解き放っているのでまだ余裕があるらしい。眉子をシートの上に上がらせて、しゃがんだ恰好を取らせた。そして、両手で眉子の腰を抱えて上下させる。
「ほら、いい眺めだ」
「いや、こんなの」
 そういいながらも眉子は両手で南川の肩をつかみ、股間を覗き込んで腰を上下させた。
 繁みの下でパックリといやらしく口を開けてペニスを咥えた恥ずかしい唇が上下にスライドして、唇以上にヌラヌラと濡れ光って棒杭のように突き立ったそれが見え隠れする淫らな眺めがまともに見え、頭がクラクラするほど興奮した。
 が、すぐまた後方に眼をやると、南川に興奮をぶつけるように腰を上下させた。腰を落とすたびに躯を貫かれる快感に襲われて、もうイキそうだった。
 よがり泣きながら眉子は腰を上下させていられなくなり、ストンと腰を落とした。と同時に絶頂感に襲われ、
「ああ、イクッ……イクゥ!」
 と、南川にしがみついて全身をわななかせた。
 まだ果てていない南川が唇と舌で耳を嬲りながら、もっと腰を使えと催促するように肉棒を突き上げてくる。眉子は夢中になって腰をグラインドさせた。
 絶頂の快感をとどめた子宮口を肉棒でグリグリこねられて、すぐまたイキそうになる。荒い息遣いでそれを訴える声がすすり泣きになり、視界がぼやけてきた。それでも眉子は夢中になって腰を律動させた。
 めったに通らないとはいえ、いつ人や車が突然現われるかもしれない。それを思うと気が気ではなかった。少しでも早く南川が果ててくれることを眉子は願った。願いながら、そのスリルに異常なほど興奮を煽られてもいた。
「ああ、気持いいッ……オマ×コ、いい……このままずっと、もっと、もっとしていたい……もう見られたってかまわないわ、どうなったっていい……」
 うわごとのようにいいながら腰を振りたてる眉子に、
「眉子!」
 南川が切迫した声でいった。と同時に眉子の中の肉棒がググッと大きくふくれあがってきた。
「イクよ!」
 南川が呻くようにいった。
「ああイクッ、イクッ!」
 泣き声をあげて南川にしがみついた眉子の中で肉棒がビクン、ビクンと弾むように脈動し、熱い迸りが繰り返し激しく体奥を叩いた。そのたびに眉子は絶頂し痙攣した。
 絶頂の余韻にひたっていた眉子は、そのとき何かが近づいてくるのを見た。
 人だった。とっさにどうしていいかわからなかった。というより躯が動かなかった。
「人よ、誰かきたわ!」
 そういって、あわてて南川の胸に顔を埋めるのがせいいっぱいだった。
「……大丈夫だよ」
 という南川の声で眉子は顔を上げて振り返った。車の前方をジョギングウエアの男が遠ざかっていった。
 眉子は心臓が吐き気がするほど高鳴っていた。一瞬だったが見えた男の顔が眼に焼きついていた。相手も眉子のほうを見ていたような気がした。
「見られたわ」
「平気だよ。顔はわからないよ」
「眼と眼が合ったのよ。それもお隣の息子さんだったわ」
「相手は気づいてないよ。気にすることはないさ」
 欲望を解消したからか、それに自分には関係ないと思ってか、南川はこともなげにいう。
 そんな南川を眉子はちょっぴり腹立たしく思いながら、手早く身繕いした。ショックで萎縮した胃の中に重い鉛を呑み込んだような気持になっていた。
 
 眉子が南川と不倫の関係に落ちたのは、この春、大学時代に同じ放送部に籍を置いていた二人が部の同窓会で顔を合わせたのがきっかけだった。
 二次会で散会したあとで南川は、眉子をほかの店に飲みに誘った。午後も早いうちからの同窓会だったので、すでに日は暮れていたがまだそれほど遅い時間ではなかった。
 眉子はためらったが南川の誘いに応じた。O省でエリートコースを歩んでいる夫の野々村の帰宅はほとんど毎日夜中だった。
 そんな野々村との生活には、たまには夫婦で食事や映画に出かけるといった潤いのようなものはまったくなかった。仕事が忙しくて疲れているせいもあるかもしれないが、眉子はそれだけではないと思っていた。真面目で堅実なぶん、夫にはプライベートでも遊び心がないせいだ、と。
 眉子と野々村は見合い結婚だった。双方の父親同士が同じO省のOBで、といってもすでにそのときには野々村のほうの父親は他界していたのだが、その縁で結ばれたのだった。
 結婚前の眉子は、いささか堅苦しくて面白みに欠ける野々村のことを、夫となる相手として見た場合、むしろそのほうがよく思えた。
 実際、結婚しても野々村の印象は変わらなかった。ところが、そんな夫に眉子のほうはしだいに物足りなさを感じるようになってきていた。
 ふと南川の誘いに応じる気持になったのは、そのせいだった。
 南川は眉子をアダルトな雰囲気のピアノバーに連れていった。
 ウイスキーの水割を飲みながら、南川は学生時代の眉子のことを話した。当時眉子は放送部のアイドル的存在で、南川自身、眉子に憧れていたと打ち明けて、
「だけど、奥さんになったいまのほうがもっと魅力的だ」
 と熱っぽい眼で見つめ、眉子を戸惑わせた。
 眉子のほうは学生時代、南川は眼中になかったのだった。
 その南川はいま、ある大手の洋菓子メーカーの娘と結婚して、一族が経営する会社の重役に収まっている。学生時代から軟派がかったところがあった南川には、いまも相変わらずどこかそんな感じがあったが、社会的地位と自信のせいだろうか、それが軽薄ではなく地についた印象で、女を迷わせる魅力のようなものに変わってきていた。
 そこに眉子は夫にないものを感じながら水割を飲んでいるうちに、ピアノバーを出たときはかなり酔っていた。アルコールに酔っていただけではなかった。南川との間にただよう雰囲気にも酔っていた。
 南川は眉子をタクシーに押し込むと、ホテルに乗りつけた。都心の一流ホテルだった。夫の野々村以外に男を知らない、もちろん不倫の経験もない眉子は戸惑い、ためらった。が、耳もとでまた、
「昔からきみのことが好きだったんだ」
 と熱っぽく囁かれると、もういやとはいえなかった。
 南川のセックスは、そういうことは暗がりの中でただ黙々と行うものだと決めつけているような夫のそれとは、まるでちがっていた。
 煌々とした明かりの下で、熟れきった裸身をまぶしげに見て絶賛しながら巧みに愛撫し貪るように舐め回す南川にかかると、眉子は我を忘れて燃え上がった。
 そうして一夜にして南川とのセックスの虜になり、はじめて経験した不倫の情事にのめり込んでいったのだった。
 
【3】
 幼稚園から帰った子供が近所に遊びにいくのを送り出した眉子は、ついでに門扉の脇の郵便受けまでいった。
 南川と会って三日経っていた。
 あれから眉子は隣家の息子の田坂康夫のことが頭から離れなかった。いまも隣家を見て康夫のことを考えていた。
 昨日、眉子は買物帰りに康夫と出会った。
 康夫は浪人中で、予備校に通っている。痩身で背が高く、神経質そうな顔つきをしているが、眉子と顔を合わせると、いつもはにかんだような笑いを浮かべてペコンと頭を下げる。
 そんな、康夫が野々村の出身校と同じ名門のT大を目指していると康夫の母親から聞いたとき、眉子はふと、夫もこの年頃はこんなタイプだったのではないかと思い、そう思って見ると、なんとなく二人が似ているような気がして、思わず苦笑したものだった。
 だが、昨日は前夜あんなことがあっただけに眉子はドギマギしてしまった。それでも平静を装って反応をうかがっていると、康夫はいつものような笑いを浮かべて頭を下げただけだった。
 ただ、思いすごしかもしれないが、眉子には、康夫の自分を見る眼が妙に粘っていたように感じられ、その眼が「見たぞ」といっていたようでもあり、その笑いが「秘密を知ってるぞ」といっていたようにも思えて、三日前のあのときのように胃が萎縮した。
 真夏の強い陽射しが照りつけるなかを郵便物を取ってもどり、玄関に立ったまま見ていると、その中に妙な封書が入っていた。表書きは眉子宛で親展となっていたが、差出人は書かれていなかった。
 怪訝に思いながら開封して便箋を取り出し文面に眼を走らせた眉子は、サーッと頭から血が引いていくのと同時に吐き気に襲われた。
 気が動転したまま二階の寝室に駆け込むと、もういちど封筒の宛名を見て、文面を読み返した。
 宛名も手紙の文字もすべてワープロで打たれ、そこにはこう書かれてあった。
『奥さんの秘密を知っている。夫に知られたくなかったら、明日の夜十時、S公園の指定した場所に来い。約束を破ったときは秘密をバラす!』
 その文章の横に公園の地図が書いてあり、指定場所が記入されていた。S公園というのは、三日前の夜、南川が車を停めたあの場所の公園だった。
 眉子は手紙を手にして放心していた。脳裏で、あの夜見た康夫らしい男の顔と、昨日出会ったときの笑い顔が交錯した。
 やっぱり、あのとき見られたんだわ!……
 そう思ったとき、はじめて怒りをおぼえた。
 だからといって脅迫するなんて……それも夜、公園に呼び出すなんて……。
 しかも、あの神経質そうで気弱そうな感じの康夫がこんなことをしたと思うと、信じられないだけによけいに卑劣で陰湿な感じがして、ますます怒りが込み上げてきた。
 だが、相手の目的がわからない。それだけに不気味でもあり不安でもあった。
 眉子は受話器を取り上げると、プッシュフォンのボタンを叩いた。南川に相談してみようと思ったのだ。
 南川は会社にいた。眉子が脅迫の手紙がきたことを話すと、さすがに驚いたが、それよりもそのあとで南川の口から出てきた言葉に眉子は一瞬、耳を疑った。
「じつは俺、俺たちの関係もそろそろ潮時だと思っていたんだ。このあたりで、もう終りにしようじゃないか」
 恐ろしいほど醒めた口調で南川はそういったのだ。
 たとえ絆は肉欲でしかない不倫の関係とはいえ、三日前まで純粋だの好きだのといっていた男の言葉とは思えなかった。
 とっさに返す言葉もない眉子に南川は、
「脅迫なんてどうせただの嫌がらせだよ。放っておけばいい。これから俺たちが会わなきゃ、どうってことはないさ。じゃあきみも元気で」
 と、まるで他人事のようにいって、一方的に電話を切った。
 眉子は受話器を手にしてベッドに腰かけたまま、凍りついたようになっていた。胸の中を収拾がつかない思いが駆け巡っていた。
 ただ、これだけはわかっていた。
 脅迫と聞いて南川は保身のためにあたふたと逃げ去ったこと。その身勝手さを憤ってみたところで人妻である眉子にはどうにもならないこと。そして、そんな卑劣な男と不倫の関係に落ちたツケが脅迫されるハメになり、それはもう眉子一人で解決する以外に方法はないということだけは。
 
【4】
 翌日の夜、眉子は二階の寝室から隣家のようすをうかがっていた。
 だが康夫はすでに自宅にはいないのかもしれないし、いても眉子が出かけるのを見届けて、あとをつけてくるつもりなのかもしれなかった。
 眉子は逡巡していた。
 年老いた義母は九時には床に就き、子供もすでに眠っていた。それにこのところ帰宅の遅い夫は、今夜も十二時ちかくになるといっていた。
 指定された十時ぎりぎりまで迷っていた眉子は、だがほかになすすべもなく、こっそりと自宅を抜け出した。
 脅迫の目的がはっきりとはわからないまでも、眉子にはいやな予感があった。恥辱的でおぞましい予感だった。
 深夜の公園は青白い月明かりが射していた。
 それほど広い公園ではないが、中央には噴水のある池があり、四方の出入口に向かって放射状に通路がのび、そのあいだには鬱蒼と樹木が繁っている。
 園内に人影は見当たらなかった。
 指定された場所は背の高い木立の間だったが、木洩れ日のように射す月明かりでそれほど暗くはなく、周りを灌木に囲まれていた。
 現われる相手はわかっているとはいえ、不気味なほど静まり返った夜の公園の木陰に一人立っていると、眉子は脅えと不安で胸が締めつけられるようだった。
 月明かりに照らして腕時計を見ると、十時を五分ほどすぎていた。
 そのときになって眉子は不意にべつの脅えと不安をおぼえた。
 もしも夫から電話がかかってきたり、予定より早く帰宅したりしたら……。
 その瞬間、眉子は息を呑んで身構えた。突然、灌木を押し分けるようにして男が現われたのだ。
 男は目出し帽を被って完全に顔を隠し、黒ずくめの服を着ていた。
「こんなことをしてもむだよ! あなた、康夫さんでしょ!?」
 驚き脅えながらも眉子は機先を制していった。
 いきなり正体を見抜かれたためか、康夫はたじろいだように黙って突っ立っていた。
「脅迫するなんて卑劣だわ! どういうつもりなの!?」
 眉子は激昂していった。そのとき突然、康夫が襲いかかってきた。あっというまに眉子は抱き竦められ、喉元にピタリと冷たいモノを押し当てられた。
 ナイフだった。眉子は脅えてのけぞった。
「い、いや、やめてッ」
「脱げ!」
 ふるえをおびてうわずった眉子の声に、康夫のくぐもった声が重なった。
 康夫は眉子の髪をつかんだ。ナイフは胸のあたりに突きつけたままだった。
「おねがい、康夫さんやめてッ」
「服を切り裂いてもいいのか!」
 康夫が怒声を発した。
「やめてッ」
 眉子はかぶりを振った。
 そんなことをされて家に帰り着くまでに万一人に出会ったら……それに、そんな恰好で帰ったとき、もしも夫のほうが先に帰宅していたら……。
 眉子はおずおずとブラウスのボタンを外していった。これから起こることを想うと、おぞましさと恥辱が込み上げてきて、指先が小刻みにふるえた。
 ブラウスを脱ぎ、上半身白いブラだけになると、康夫が、つぎはスカートだというようにナイフで指示した。
「いやッ……康夫さんやめて。あなた、自分が何をしているかわかってるの? 犯罪を犯してるのよ。ね、おねがいだから、もうバカなことはやめて」
「黙れ! 刺されたくなかったら、さっさと脱げ!」
 康夫は眉子の髪をつかんだまま怒鳴りつけ、ナイフで腹部を刺す恰好をした。ヒッ! と悲鳴を洩らして眉子は竦み上がり、
「やめてっ。いうとおりにするから、乱暴はしないで」
 と、ガクガクふるえながらタイトスカートのホックを外した。
 必死の懇願も説得も通じなかった。絶望感に打ちひしがれながら眉子は、三十二歳の、熟れきってむっちりした、それでいて形よく張った腰から窮屈そうにスカートを脱ぎ下ろした。
 スカートの下には、おぞましい予感のためにコルセットをつけていたが、もはやなんの役にも立たなかった。
 そのコルセットも康夫にナイフで脅されながら脱ぎ、さらにブラ、パンスト、ビキニショーツと取らされて眉子は全裸になった。いたたまれない恥辱の炎に焙りたてられて両手で胸と下腹部を隠して立っているのがやっとだった。
 そのとき康夫がポケットから何やら取り出した。
 手錠だった。
 康夫は眉子の両手を後ろ手にして手錠をかけると、ナイフで脅しながら草むらの上に仰向けに寝かせた。
 薄闇の中に熟れきったヌメ白い裸身が横たわった。腰をひねるようにして片膝を曲げ、かろうじて下腹部を康夫の眼から遮ったが乳房は隠しようもなかった。
 幼稚園児を持つ母親とは思えない、みずみずしく張って盛り上がった乳房が、男の欲望を煽るように大きく喘いでしまう。
 康夫が、開け! というようにナイフでたおやかな太腿を叩いた。
 いやッ! と顔を振りながらも眉子はおずおず両脚を開いた。ブルブルふるえる両脚を、康夫はグイと大きく押しひろげ、その間に腰を入れてきた。
「い、いやッ」
 眉子は弾かれたように顔をそむけた。
 大声をあげて助けを求めることはできない。神経質そうで気弱な感じの康夫だけに逆上したら何をするかわからない怖さがあったが、それより何よりこんな状態のところに誰かが助けにきてくれても眉子自身が困る。
 全身を焼かれるような恥辱にひとりでに躯がうねった。両脚を開いて股間を康夫の前にあからさまにしたまま、どうすることもできないのだ。南川との情事のさなかにたびたび見せられた、想い浮かべただけでカッと全身が熱くなる恥ずかしい眺めが、顔をそむけた眉子の眼に浮かんだ。
 あからさまな股間は、艶々しい繁みの下の唇に似た柔襞までいやらしく開き、サーモンピンクのクレバスを露出しているはずだった。
 ヒッ!……と眉子は息を呑んだ。康夫が胸にナイフを這わせてきたのだ。乳房を、ふくらみの裾のほうから頂に向けて殺ぐように繰り返しナイフでなぞる。眉子は脅えきって全身を硬直させ、
「いやッ、いやッ」
 と喘ぐようにいいながら、弱々しくかぶりを振った。みずみずしく張って盛り上がった乳房だけがプルプル揺れた。
 康夫はそれを見て愉しむようにナイフで嬲りつづける。
 脅えながらも眉子は、しだいに乳房の芯がしこり、乳首が充血して硬く尖ってくるのを感じて戸惑った。いやがる声も、自分でも戸惑うほど艶めいてきていた。
 そんな反応を嘲笑うように康夫は乳首をナイフで弾き、眉子に艶めかしい声をあげさせると、さらに悩ましい曲線を描いたウエストから腰をナイフでなぞっていく。
「ああ、いや……」
 裸身をぎこちなく悶えさせながら眉子はナイフから眼が離せなかった。脅えきった顔をもたげて、その動きを凝視していた。
 ナイフが繁みを撫で上げ、クレバスに滑り込んだ。
 ゾクッとする冷たい感触に裸身が異様なふるえを湧きたてた。クレバスに分け入っているのは、ナイフの背のほうだった。
 ゆっくりと康夫がナイフを動かす。ナイフの背で鋭敏なクリトリスをこすり、膣口をくすぐりながら、片手で乳房を責めたてるように揉む。
「あ、ああッ……」
 感じ入った声を洩らした眉子は、もうじっとしていられなかった。乳房とクレバスでかきたてられるうずきに裸身がひとりでにうねる。
「何だ、そのスケベったらしい腰つきは!」
「いやッ……ああ、だめッ……」
「グショ濡れじゃないか」
 康夫の乳房を揉みたてる手つきとクレバスをこするナイフの動きが、さらに荒々しく忙しなくなった。
 やめて! という言葉が眉子は声にならなかった。かわりに息せききった喘ぎがすすり泣くような声になり、ナイフの動きに合わせて腰が淫らにうねってしまう。
「あの男にも、こうやっていやらしく腰を振って、オマ×コにチ×ポを入れてといったんだろう!?」
 ちがう、と眉子はかぶりを振った。
 康夫がズボンをずり下げた。ブルンと、肉棒と化したペニスが弾んで露出した。
「ほらァ、俺にもそういって頼んでみろ!」
 肉棒の先でクレバスをこすりたてる。クチュクチュと耳を覆いたくなるような卑猥な濡れた音が響いた。
「ああッ、い、いやッ」
 眉子はかぶりを振りたてた。それでいて、かきたてられるたまらないうずきのために腰が肉棒の挿入を催促するようにうねるのをどうすることもできない。
「毛を剃られてもいいのか!?」
 康夫がナイフで繁みをかき上げた。眉子はうろたえた。
「いえ!」
「ああ、あなたのチ×ポを、オマ×コに入れてッ」
 自暴自棄になっていった言葉に眉子はカーッと全身が火になった。
「入れてくださいだろ? 最初からちゃんといえ!」
 ナイフで繁みを嬲られペニスでクレバスをこすられながら、眉子はこれ以上ない恥辱的な言葉を繰り返した。
 康夫は眉子の上体を起こすと、後ろ手錠の片方だけを外し、前手錠にかけ直して眉子を四つん這いに這わせた。
 眉子が焦れるように振る腰が引き寄せられた。クレバスをまさぐるペニスが、ヌルッと押し入ってきた。
 貫かれた瞬間、眉子は呻いてのけぞった。ごまかしようもない、しびれるような快感が躯を突き抜けた。
 眉子の腰を両手でつかんだ康夫が、ズコズコと突きたててくる。ピストンのように突いては引くペニスの動きに眉子は息が弾み、快感をかきたてられて、すすり泣くような声をこらえることができなくなった。
 さっきから眉子に浴びせていた責め嬲るような言葉といい、三十二歳の眉子を翻弄するこの行為といい、これがあの予備校生の康夫とはとても思えない。
 眉子は四つん這いの姿勢を取っていられなくなって草むらの上に上体を突っ伏し、腰をそそり立てた。
 康夫が責めたてるように突きたててくる。そのたびに奥まで抉るように突き入ってくるペニスの先でしたたかに子宮の扉を叩かれて、痛いほどだった。
 それに激しい摩擦のために眉子の中は焼けるように熱くなっていた。全身がとろけるような快感に襲われて眉子はよがり泣きながら、もう康夫が爆ぜれば、いっしょにイッてしまうのがわかっていた。
 ズコッと、康夫が突き入ってくると同時に呻いた。
 勢いよく迸ったものが眉子の体奥をしたたかに叩いた。つづけてビクン、ビクンとペニスが跳ねて、ビュッ、ビュッと迸る男の精で子宮を叩かれ、そのたびに眉子は泣くような呻き声を洩らしながら昇りつめていった。
 
【5】
 眉子が公園でレイプされて二日目、また差出人不明の封書が届いた。
 こんどは普通のより大型の封筒で、中にはこの前とほとんど同じ文面の手紙のほかに黒いレースのガーターベルトとストッキングが入っていて、手紙の末尾にその下着をつけて公園にくるよう書いてあった。
 二日前にレイプされたあと、康夫はアブノーマルな欲望の持主ではないかと思っていた眉子だが、送られてきた下着を見てますますその思いが強くなり、おぞましさが込み上げてきた。
 それでいて、その下着を手にして見ているうちに眉子は躯の変化に戸惑ってもいた。それをつけて犯される自分を想ったとき、ひとりでに躯が熱くなってきたのだ。
 そのとき電話が鳴った。出ると、応答がないまま切れた。まちがい電話かと思って受話器を置くと、すぐまたかかってきた。
「はい、野々村ですが……」
「…………」
「もしもし?」
「……奥さん、ですか?」
 男の声が探るように聞いてきた。
「そうですけど、どちらさまですか?」
「あの、僕、隣の康夫ですけど……」
 眉子は自分でも顔が強張るのがわかった。
「ちょっと、おばさんに話があるんです」
「いまさらどんな話があるっていうの!? 電話なんかかけてこないで!」
 激昂して眉子はいった。
「え!?……いまさらって、よくわかんないけど、でも、大事な話なんです」
 康夫は眉子をレイプしたときとは別人のようなオドオドした口調でいうと、駅前に車を停めているから出てきてほしいといって一方的に電話を切った。
 そういえば出てくるだろうといわんばかりの電話の切り方に眉子は怒りをおぼえた。が、大事な話があるという言い草も気になった。それにこの日もまた脅迫の手紙がきている。しかもガーターベルトとストッキングまで入れて。
 そこまで考えて眉子は妙に思った。
 今夜また公園に呼び出した康夫が、なぜわざわざ電話をかけてきて会おうとするのか?大事な話とは、そのことで何か変わった事態が生じたとでもいうのだろうか?
 いずれにせよ、脅迫がつづいている以上、会って決着をつけるべきではないか。眉子はそう思い直して出かける支度をしはじめた。
 
 駅前のロータリーの端に康夫の車はあった。
 車の後方から近づいていく眉子をバックミラーで見ていたのだろう。助手席側のドアが開き、眉子が乗ると、康夫はすぐに車をスタートさせた。
「どこへいこうっていうの?」
 硬い表情で眉子は前を見たまま聞いた。康夫は黙っている。
「あなたがこんなに卑劣な人だとは思わなかったわ」
「…………」
「脅迫しつづけて、それですむと思ってるの!?」
「…………」
 康夫は押し黙ったまま車を走らせた。
 やがて車は多摩川に出た。眉子は険しい顔で康夫を見た。車が多摩川沿いのモーテルに入っていくのだ。ハンドルを握った康夫は、どこか思いつめたような顔つきをしている。
「話があるって、ウソだったのね!?」
 眉子は気色ばんだ。
「本当だよ。俺についてきてくれたら、みんな話すよ」
「みんな!?」
 モーテルのガレージに車を乗り入れた康夫が神妙な顔つきでうなずいた。
 そんな康夫を見て眉子は、はじめて不審を抱いた。あの夜の公園に現われた男は康夫ではなかったのでは!?
 康夫が車から降りた。眉子も降り、康夫のあとについて二階の部屋に上がっていった。
 部屋に入った二人は椅子に坐り、テーブルを挟んで向き合った。オドオドしたようすで眼を伏せている康夫をせきたてるように眉子はいった。
「どういうこと? 話してちょうだい」
「あの夜、俺、いつもよりジョギングに出るのが遅くなって……で、公園までいったら、野々村さんが……」
「主人が!?」
 眉子は思わず声を高めた。
 うなずいて康夫はつづけた。
「公園に入っていくのが見えたんだ。野々村さんは大きなバッグを持ってた。俺、何をしているんだろうと思って、あとをつけてみたんだ。驚いたよ。公衆便所から出てきた野々村さん、目出し帽を被って強盗でもやるみたいな恰好してるんだもの。で、またあとをつけてみたら、そこにおばさんがいて……」
「やめて!」
 ショックに打ちのめされて康夫の話を聞いていた眉子はあわてていった。あとのことは聞かなくてもわかっていた。男が夫とも知らず、康夫だとばかり思ってレイプされる眉子を、康夫は覗き見ていたのだ。
 眉子は悪夢でも見ているようだった。
 自分を脅迫しレイプした犯人は、あろうことか夫だったのだ。信じがたいことだったが、だが考えてみれば、いかにも野々村のやりそうなことだった。
 あの夫が……と思うと信じられないような気もするが、逆にいえば、あの夫でさえ不審を抱くほど、南川と関係が生じてからの眉子は自分では気をつけているつもりでも、どこか浮わついていたのかもしれない。
 それに気づいた野々村は、興信所に眉子の素行調査を依頼したのかもしれない。そして不倫の証拠をつかみ、自分を裏切った眉子に復讐するために脅迫しレイプした。
 真面目な野々村らしからぬ行動ともいえるが、逆にそういう野々村だからこそ、そんな形でしか自分の怒りを表せなかったのではないか。
 そして、それが偶然にも、あの夜眉子が南川の車の中にいるところを康夫に見られたと思ったあとだったために、眉子はその犯人を康夫とばかり思い込んでいたのだった。
 ショックで茫然としていた眉子だが、そのとき、それまで想ってもみなかったことが頭に浮かんできた。
 これも信じがたいことだが、もともと野々村は密かにサディスティックなセックスの欲望を抱いていたのではないか。いくら復讐のためとはいえ、そうでなければあのような計画は思いつかないのではないか。
「でもわからないんだよね、どうして野々村さんがあんなことをしたのか。それにおばさんがなぜ、あのとき野々村さんと俺をまちがえたのか」
 康夫が怪訝な顔をしていった。
 それを聞いて眉子は、あの夜、南川の車のそばをジョギングしながら通りすぎていった康夫が何も見ていなかったのだとわかった。
「わからなくていいのよ」
 眉子はつぶやくようにいうと、康夫に聞いた。
「それより康夫くん、あなたこそどうしてわたしをこんな所に連れてきたの?」
「え!?……それはあの、俺、前からおばさんのこと、好きだったから……」
 康夫は顔を赤らめてしどろもどろしていう。
「主人と同じようにわたしをレイプしてやろうと思ったの?」
「そんな!……まだ俺、経験がないから、それで……」
 おかしいほどうろたえて康夫は口ごもった。
 康夫が童貞だとわかって、そのとき眉子は衝動的に自分でも思いがけない気持になった。自分をレイプした犯人がわかったのと、犯されているところを康夫に見られたという二つのショックのせいだったかもしれない。
「康夫くん、秘密守れる?」
 まっすぐ康夫を見てそういった眉子は息苦しいほど胸が高鳴り、声がかすれていた。
「秘密?」
「そう、わたしたち二人の、いちどだけの秘密」
 ようやく眉子がいっている意味が康夫にもわかったらしい。パッと表情を輝かせると、神妙な顔つきになってうなずいた。
 眉子は椅子から立ち上がって康夫に背中を向けると、
「脱がして」
 と甘えるようにいった。眉子自身、そんなことをする自分が信じられないような気持だった。それでいて自分でも驚くほど興奮していた。
 康夫の手がおずおずとワンピースの背中のファスナーを下ろした。
 眉子は向き直ると、交互に肩を竦めるようにして袖から腕を抜き、おどおどして見つめている康夫を挑発するような仕種でワンピースを脱ぎ下ろし、ブラを外した。
「ね、あなたも脱いで」
 みずみずしく張った乳房に見惚れていた康夫が我に返ったようにハッとして、あわてて脱ぎはじめた。
 二人とも裸になった。康夫の仮性包茎ぎみのペニスは早くもエレクトしていた。
 眉子は康夫の手を取ってベッドに誘うと向き合って坐り、膝を立て、両脚を大胆に開いた。
「女性がどうなってるか、よく見て」
 興味津々、興奮と緊張が入り交じったような顔つきで康夫は眉子の股間を覗き込んだ。食い入るような視線を感じて眉子は花芯がヒクつき、それだけでもうジュクと熱いものがあふれてきた。
 眉子は両手を股間に這わせて左右の秘唇を開いた。そして、
「ここがクリトリス、そして、ここがペニスが入るところよ」
 と説明しているうちにますます興奮して、トローッと蜜が流れるほど濡れてきた。
 康夫の砲弾のような形をしたペニスは、もう苦しそうに喘いでいた。
「焦らないで……」
 眉子は肉棒に手を添えて康夫を導いた。ヒクつくそれが眉子の中に滑り込んできた。
 
 その夜、眉子が公園の指定された場所で待っていると、男(野々村)が先日の夜と同じ目出し帽に黒ずくめの恰好で現われた。そして、この夜は眉子を園内の公衆便所に拉致していき、密室に連れ込んだ。
「脱げ!」
 命じられるまま眉子はワンピースを脱いだ。
 野々村が送ってきた黒いガーターベルトにストッキング、それに合わせた黒いブラとビキニショーツという悩ましい下着姿になった眉子を、目出し帽からのぞいた眼が舐めるように見る。
 視姦するように見られて眉子は躯がふるえ、恥ずかしいほど濡れてくるのがわかった。俯いたまま野々村の股間を見やると、夫もズボンの前がふくれ上がっていた。
「ブラジャーとパンティを取れ」
 野々村がくぐもった声でいった。眉子はいわれたとおりにした。
 ガーターベルトにストッキング、それに黒いハイヒールのパンプスだけを身につけた裸身が、上向きに形よく反った乳房と、悩ましく張った腰の中央に漆黒の繁みを見せ、熟れきった女体のむせるような官能美を匂いたたせた。
「今日はやけに素直だな」
 すでに眉子に発覚しているとも知らない野々村は意外そうにいうと、眉子の後ろから無造作に両手で乳房をわしづかみ、荒々しく揉みたてた。
「あ、ああッ……」
 眉子は抗わなかった。されるままになって喘いで身悶えていると、両手に後ろ手錠がかけられた。
「読んでみろ」
 野々村にそういわれて眉子ははじめて壁の落書きに気づいた。
『私は淫乱な不倫妻です。いつもオマ×コがうずいて夫だけでは満足できず、ほかの男のチ×ポが欲しくてたまりません。どうぞ私のはしたないオマ×コを気のすむまでいじって犯して下さい』
 前もって野々村自身が書いたにちがいない。きれいな文字を書く野々村の筆跡とはちがっていたが、それをごまかすためだろう、乱れた文字が躍っていた。
「おまえにぴったりだろう。声に出していってみろ!」
 野々村がけしかけるように眉子の乳房とクレバスを嬲りながらいう。
 自暴自棄になっていた眉子は身悶えながら、喘ぎ声でその屈辱的な落書きを読んだ。復讐のためだけではなく、妻にそういう恥辱的な言葉をいわせてサディスティックな欲望を満たそうとしているにちがいない夫を、自分から挑発するように。
 読み終わると同時に、そうしてやるというように、野々村の指が花芯に突き入ってきた。深々と侵入してきて、グニュグニュと子宮の突起をこね回す。
 眉子は荒い息遣いといっしょに感じ入った呻き声を洩らして淫らに腰を振った。たちまち膝がガクガクしてきて立っていられなくなった。
 崩れるようにひざまずくと、野々村が前に回ってズボンを下ろした。生々しく弾んで露出した硬直を眉子の顔の前に突きつけてくる。
 ためらいもなく眉子はそれを咥え、攻めたてるように顔を振ってしごき、貪るように肉棒を舐め回した。
 眉子の貪婪なフェラチオに、やがて野々村はたまりかねたように腰を引いた。そして眉子を壁に向かって立たせ、尻を突き出させると、肉棒でクレバスをまさぐるなりズブッと刺し貫くように突き入ってきた。
 両手で腰をつかんでズコズコと突きたててくる。眉子の感じ入った喘ぎ声と床をこするハイヒールの軋むような音が交錯した。
 先日レイプされたときもそうだったが、いまもまた、夫がこんなに逞しいセックスをしたことは結婚して以来なかった。
 それもこれで最後になる……。
 そう思いながら眉子はその快感に耐えきれずよがり泣きしていた。
 そのときズコッと野々村が突き上げてきた。眉子の中の肉棒が一段と膨張し生々しく脈動して、野々村が発射した。同時に眉子のふくれあがった快感も爆ぜた。つづけざまに勢いよく迸る精を受けて眉子は、
「イクゥ、イクーッ!」
 と泣きながら絶頂のふるえに襲われた。
 ゆっくりと野々村が出ていく。とろりと、眉子の内腿を男と女の精と蜜が溶け合った生温かいものが流れ落ちた。
 眉子は向き直って壁にもたれ、喘ぐようにいった。
「あなた、これで満足?」
 目出し帽を被った野々村の眼に、あからさまな驚きの色があった。その眼を見すえて眉子は挑むようにいった。
「これでわたしを許してくださるつもりなの?」
「許さないッ、許すもんか!」
 野々村は突然激昂していうと、ポケットからナイフを取り出した。取り出すなりナイフを眉子の股間にグサッと突き刺した。
「ヒッ!……死、死ぬッ!」
 眉子は竦みあがった。ふるえの止まらない脚を、たらたらと生温かいものが流れた。眉子はそれを凝視していた。
 血ではなかった。
 眉子は失禁していた。
「これでいままでのおまえは死んだ」
 そういって野々村は目出し帽を取り、眉子の前でナイフを振った。
 ブルブルふるえるそれは、ゴム製のナイフだった。
「あなた!」
 胸に倒れ込んでいった眉子を、野々村は抱き締め、貪るように唇を重ねてきた。



【人妻・亜矢子 飢えた性】


【1】
「そろそろ時間だわ」
 腕時計に眼をやった宏美が長い髪を振り払うようにして顔を上げ、真治を見た。ふっと自嘲するような、それでいて秘密めいた感じもある笑みを浮かべて。
「どんな奴がくるのか、見てやるよ」
「妬いてるの?」
 宏美が真治を見たまま、からかうような眼つきでいう。
「妬いてほしいのか?」
「……ほしい?」
 宏美は聞き返すと、真治を睨み、
「あなた、いつだってそういう言い方しかできないのよね。ひねくれてんだからァ」
 と、からむような口調でいう。
「ひねくれ者でわるかったな」
 真治は苦笑いして席を立った。
 ウィークディの午後三時。シティホテルのティルームには、客はまばらにしかいなかった。
 宏美から離れて別の席につくとすぐにウエイターが注文を聞きにきた。真治が宏美のいる席を指差して、あっちですませたからもういいと断ると、ウエイターはあからさまにいやな顔をして、水だけ置いていった。
 真治は舌打ちして煙草に火をつけた。煙を吐き出しながらガラス越しにティルームの外を見やった。街にはギラついた真夏の陽射しが照りつけていた。
 宏美の“仕事”が終わるまで、どうやって暇をつぶそうか……。
 そう思いながら真治は、艶めかしい気持になって宏美を見た。宏美は煙草をくゆらしながらティルームの入口のほうを見ていた。
 宏美は真治より五つ年下の二十二歳。整った顔立ちというのではないがそこそこの美人で、やや切れ長の眼や華やいだ印象を与える形の唇に特長がある顔には、その若さに似ず男を惑わすような色気があって、いわゆる男好きのするタイプだ。
 そのうえプロポーションが素晴らしくいい。
 それにセックスもわるくない。かなり好色で、宏美自身、自分の欲望にも忠実だが男を歓ばせるテクニックも心得ている。
 そんな宏美の横顔と、背中の中程まである長い艶のある髪がタンクトップからむき出しの白い肩で波打っているのを眺めていると、真治の胸の底のほうで、かすかに嫉妬する気持が揺らめいた。
 宏美の横には小型の旅行鞄ぐらいのバッグが置いてある。バッグの中には、宏美が勤めているSMクラブが持たせた、プレイ用具が入っている。
 これから彼女は馴染みの客とホテルの部屋でプレイするのだ。
 客の男はマゾヒストで、彼女のほうがいじめ役のサディスティン。つまり、その世界でいう「女王様」なのだった。
 胸の底のほうで揺らめく嫉妬心は、だが真治にとって、いやなものではなかった。むしろ彼はそれを愉しみ、宏美とのセックスの刺戟剤にしているのだった。
 SMクラブは金を稼ぐには効率がいい。それにマゾヒストの男が相手ならセックスを求められる心配もない。そういって宏美に女王様役をやるようすすめたのは、ほかならぬ真治自身だった。
 やっぱり俺はひねくれてんのかな……。
 そう胸の中で自嘲するようにつぶやき苦笑いしたとき、宏美が煙草を喫いかけた手を止めた。
 真治は宏美の視線の先を見やった。ティルームの入口にスーツを着て鞄を持った男が立っていた。
 男を見た瞬間、真治はあわてて顔を伏せた。
 まさか!?……
 そう思いながら自分でもうろたえるほど驚いていた。
 真治が盗み見るように視線を上げたとき、男はもういなかった。見ると、宏美がレジのほうに向かいながら真治に秘密めかした笑いを投げかけてきた。
 真治は急いで席を立って駆け寄ると宏美の腕をつかみ、気負い込んで聞いた。
「おいッ、いまの男がそうなのか?」
「そう……知ってる人なの?」
「……いや、似てたけど、たぶん人ちがいだ」
「やァね、ビックリするじゃない」
「ただ、俺を呼び出すのは、客が帰ってから十五分後ぐらいにしろ」
 とっさに考えて真治がそういうと、宏美は怪訝な顔をしながらも、
「わかった。じゃああとで、ね」
 と、思わせぶりに笑って囁き、レジにいって勘定を払うとティルームから出ていった。その後ろ姿を真治は茫然として見送っていた。
 席にもどった真治は、おもむろに煙草に火をつけ、吸い込んだ煙を勢いよく吐き出した。そのときようやく落ち着きを取りもどした。
 あの兄貴がマゾヒスト、それも宏美の客だったとは! エリートを鼻にかけて、いつも聖人君子みたいな顔をしているあの兄貴が、女にいじめられてヒイヒイ泣いて歓ぶマゾなのかよ。こいつァ傑作だ!……
 そう思うと噴き上げるように笑いが込み上げてきた。こらえようとしてもひとりでに横隔膜がヒクヒク引き攣れ、椅子に坐ったままつんのめるようにして、くッ、くッ、と声を殺して笑いこけた。
 そばにいた客がそんな彼を見て、薄気味悪そうに席を立った。
 それでも真治は笑いをこらえることができなかった。おかしくて涙がこぼれた。
 
 真治は、兄の誠一と二人だけの兄弟だった。
 両親は敬虔なクリスチャンで、父は高校の、そして母は小学校の、ともに教師だった。 一家は日曜日になると教会にいってお祈りを捧げるのが習慣になっていた。そんな空気が家の中まで漂っているような厳格な家庭だった。
 真治と誠一は歳が六つ離れていた。二人は対照的な兄弟だった。
 誠一は学校の成績がズバ抜けて優秀で、性格も素直で聞き分けがよく、いわゆるよくできた子供だったが、真治のほうは反対に勉強が嫌いなうえにいじけた子供だった。
 もっとも、はじめからそうだったわけではない。少なくとも真治自身はずっとそう思いつづけてきた。原因は両親と兄にある、と。
 誠一は両親も自慢の子供だった。進学もエリートコースを突き進み、大学院を出ると同時にミッション系の女子大に講師として迎えられ、やがて理事長の娘と結婚し、いまや三十三歳の若さで助教授になっている。
 真治のほうは、ことあるたびにそんな誠一と引き較べられてきた。両親の話や小言の中には必ずといっていいほど、「兄さんのように……」とか「兄さんは……」という一言が入るのが常で、それが真治にはズシリとこたえた。そのたびに両親に反撥をおぼえ、誠一の存在をうとましく思った。
 いつか真治は、誠一とまったく反対の存在になって両親に背くことこそが、もっとも自分にふさわしいと考えるようになった。誠一を自慢する一方で世間体ばかり気にする両親に、そうすることで反撥しようと思ったのだった。
 それに真治自身、誠一が本当に両親が手放しで褒めそやすような理想的な子供なのかどうか、そのことにも不審を抱いていた。同じ子供から見ると、誠一にはどうすれば両親が喜ぶか見透かしたようなところがあり、そこに醒めきった冷たい一面があるような気がしてならなかった。
 そんな見栄や虚飾に満ちた家族の厄介者になることで、みんなに一泡吹かせてやろう。子供の頃から真治はそう思いつづけてきた。
 それがいかにばかげたことか、真治自身よくわかっていた。わかっていてそうするしかなかった。その頃からよく、ひねくれ者といわれたが、どうせ俺はそうだと開き直っていた。
 高校を出ると真治は、大学へはいかず自動車の修理工になった。案の定、両親はもちろん大学院生だった誠一も反対したが頑として聞き入れず、家族の困惑ぶりを見て、ざまあみろと、仇を取ったような気分を味わった。
 自動車修理工は、だが一年ほどでやめ、その後定職に就かず、フリーターとしていろいろなバイトをしていた。そして、二十一歳になって遅ればせながら前から興味があった写真の専門学校に入った。
 写真学校を出てもすぐにカメラマンとして一本立ちできるはずもない。それにもともと協調性に欠ける性格のためにアシスタントのような仕事も務まらない。
 そこで手っ取り早く、一応カメラマンとして金が稼げる“ビニ本”の写真を撮るようになった。
 モデルの女たちは真治のいいなりだった。ストリッパーより大胆に性器を露出したり本番行為はもちろん、要求すれば器具はおろか大抵の異物を性器に受け入れ、排泄行為さえいやがらなかった。
 ただ、そういう仕事も最初のうちは刺戟的だったが、やがてウンザリしてきた。宏美に出会ったのは、ちょうどそんなときだった。
 宏美は小さな劇団に所属していて、アルバイトでヌードモデルの仕事を引き受けたらしい。それも、ただきれいなヌードを撮るだけという話だったとかで、ビニ本の撮影の現場で約束がちがうといって怒りだしたのだ。
 そんな宏美をスポンサーの男が逆に脅して無理やり撮影を強行しようとした。そこで、こんどは真治が頭にきた。そういう仕事にウンザリしていたのと、いつも真治が撮る写真に口うるさく注文をつけていたその男への鬱憤が一気に爆発して、口論しているうちに男をぶん殴り、その場から宏美を連れ出したのだ。
 そして、それが縁で宏美と同棲するようになり、その後真治はカメラマンとしてまともな仕事をしたいと思いながらもチャンスに恵まれないまま、芝居をやりながらSMクラブでバイトしている宏美のヒモのような生活を送っているのだった。
 
【2】
 午後五時ちかくになって、ホテルのロビーは客で混みはじめていた。
 真治はロビーのソファに坐っていた。そこからエレベーターホールが見えた。彼はエレベーターから出てくる人を見ていた。
 もうそろそろ宏美の客が出てくるはずだった。
 客は宏美を指名してきたとき、規定時間の九十分を二時間に延長していた。相当宏美のことが気に入っているらしい。
 宏美はこれでもう今日は客を取らないことにしていた。もう少しゆっくりして帰るといって、この客からホテル代を受け取って帰し、そのあと真治とホテルの夜を愉しもうという魂胆なのだった。
 さっきまで真治はポルノ映画を観ていた。兄の誠一の思いがけない秘密を知って、そのことばかり考えていたために映画のストーリーはほとんど憶えていなかった。
 そのとき真治は、一カ月ほど前、屈辱を承知で誠一に金を無心にいったときのことを思い出していた。
 真治は写真を撮るためにどうしてもインドにいきたかった。その金を借りるために彼としては精一杯の言葉をつくし、誠一に熱意のほどをわかってもらおうとした。が、誠一の返事は素っ気なかった。あっさり断られたばかりか、いまだに定職にも就かずブラブラしていることを手厳しくなじられた。
 そのときの冷たい仕打ちとマゾヒストという秘密の性癖を重ね合わせて、真治は、ざまあねえやと、誠一を嘲笑していた。
 そして、誠一のことといっしょにあのときその場に居合わせた義姉の亜矢子の、さも蔑んだような表情を思い出していると、スクリーンに映し出された裸でからみ合った男と女の、その女の顔が義姉の顔とダブッて見えてきて、真治は自分でも思いがけないことを考えていた。
 その思いつきは彼を激しく欲情させた。それからは映画のことなどそっちのけで亜矢子のことばかり考えていた。
 
 エレベーターのドアを見つめていた真治は、手にしていたスポーツ紙でとっさに顔を隠した。
 誠一らしい男が出てきたのだ。
 スポーツ紙を半分下げて覗き見ると、まちがいなかった。誠一は周りを気にしながら足早にホテルから出ていった。
 女子大の助教授が、それも理事長の娘を女房にしたエリートが、昼間からSMクラブの女王様を相手に変態ごっこかよ、呆れたもんだぜ。
 真治はまた笑いが込み上げてきた。勝ち誇ったような嘲笑だった。
 しばらくしてボーイがソファに坐っている客を見回しながら真治の名前を呼んだ。真治は立ち上がってフロントにいき、電話の受話器を取った。
 宏美からだった。ルームナンバーを真治に教えると、
「ねえ、早くきてン」
 と、鼻にかかった声でいった。
 真治が部屋に入っていくと、気のせいか栗の花に似た生臭い匂いが鼻先をかすめ、いきなり宏美が抱きついてきた。
 もう少しも待てないというように甘い鼻声を洩らしながら腰を真治の股間にすりつけてくる。身につけているものは黒いガーターベルトにストッキング、それにハイヒールの靴だけで、プレイが終わったまま待っていたらしい。
「さかりがついた牝犬みたいじゃないか」
「だってェ、あいつ、しつこいんだもん」
「まさか、やらせたんじゃないだろうな?」
「冗談じゃないわよ。これでもわたし女王様よ」
 宏美は怒ったような顔でいうと、真治の手を取って繁みの下に導いた。
「やらせてたら、こんなにならないわよ」
 柔襞の間はヌメッとして、熱く濡れそぼっていた。真治はいきなり蜜壷にヌルッと指を突き入れた。
「あうッ!」
 ふるえをおびた声を洩らした宏美が悩ましい表情を浮きたててのけぞった。
 真治は宏美の唇を奪った。妬ましさにかられて貪るように舌をからめながら、熱いぬかるみの中の指先で奥のコリッとした突起をこね回した。
 宏美が泣くような鼻声を洩らして狂おしそうに舌をからめ返しながら、さももどかしそうに腰をくねらせる。ぬかるみの中で、かすかにザラついた感触を秘めた粘膜が真治の指をジワーッと締めつけてくる。
「オマ×コはやらせなくても、舐めさせたんだろう?」
「だって仕方ないでしょ、それぐらいサービスしてやらなきゃ」
 宏美は昂った顔つきで恨めしそうにいう。
 真治はコットンパンツとブリーフをいっしょに脱ぎ捨てると、両手で宏美の肩を押さえ込んだ。すでに彼の肉茎は、ぐっと怒ったようにエラが張って反り返っていた。
 ひざまずいた宏美は、興奮のために強張った顔つきになって彼の肉茎を見つめ、両手を添えると、その先にちろちろと舌を戯れさせながら深々と咥え込んだ。
「あいつ、何回発射したんだ?」
「……三回よ」
「よくやるよ。その調子じゃ女房の相手なんかできないんじゃないか」
「ほとんどしないんだって、奥さんとは」
「あいつ、女房のことも喋るのか?」
「わたしが、奥さんとはどうしてるのって聞いたときだけ……」
 宏美は発情した顔つきになって真治の肉茎の周りを舐め回しながら喘ぐようにいう。
 聞けば、誠一は宏美に対して、当然のことながら偽名を使っていた。
「ああん、ねえ、もうちょうだい」
 宏美がたまりかねたようにいって、真治をすがるように見上げた。
 真治は椅子に腰かけた。唾液で濡れ光って屹立している肉茎を宏美がまたぎ、それを手に持って、その先を濡れそぼった柔襞の間にこすりつけるようにして花芯に当てがうと、ゆっくりと腰を落としてきた。
 ペニスが下から串刺しにする感じで蜜壷に収まると、宏美はそれまでこらえていた息を感じ入った喘ぎにして吐き出した。そして、苦しげな表情から一変して艶めかしい顔つきになって、
「ああッ、いいッ!」
 と、ふるえ声を洩らして自分から腰を前後に揺すりはじめた。
 真治は宏美のするにまかせながら、両手でみずみずしくたわわに張った乳房を揉みしだいた。
 宏美はますます夢中になって、なおも激しく腰を律動させてよがりながら、
「ね、イッてもいい?」
 と、真治の耳元で切迫した声で聞く。真治が許すと、腰を振りたてて感泣しながら絶頂を訴えた。
「あいつ、おまえにどんないじめられ方をして歓ぶんだ?」
「あの人、後ろのほうが好きなの」
 絶頂した宏美はまるで憑き物が落ちたように、それまでの欲情して強張っていた顔から穏やかな顔つきにもどっていう。
「アナルか?」
「そう。アナルを責めてやったら、女みたいになっちゃって、いやッ、いやッ、なんていって悶えちゃうの」
 ほかに誠一の好みはオシッコを飲むことと、ペニスの大きさを侮蔑されることで、それが標準サイズよりかなり小さいんだから笑っちゃうと、宏美はおかしそうにいう。
 真治も思わず吹き出した。あの聖人君主のような誠一のそんな姿を想像すると、まったく痛快だった。
 そんな真治にかまわず、宏美のほうはまたその気になってきたらしく、結合したままの股間を覗き込んで腰を前後に振りはじめた。
 蜜にまみれてヌラヌラと光ったペニスが、グショ濡れになって縮れ毛が貼りついた秘唇の間で、宏美の腰の動きに合わせて見え隠れする淫猥な眺めがモロに見えた。
 それを見て宏美はみるみる興奮した顔つきになって、
「ああッ、ねえ、してッ、もっと!」
 と求める。
 真治は両手で宏美の両脚を抱えて椅子から立ち上がった。両腕を真治の首に巻いてしがみついた宏美をそのまま揺さぶって、突き入った肉棒の先で子宮口をグリグリこすり、よがり泣くような嬌声をあげさせながらベッドにいくと、四つん這いに這わせた。
 宏美は上体を突っ伏すと、ハート型に形よく張った尻をグッと突き上げた。
 その背後から真治は押し入った。快感のこもった声を洩らした宏美が、自分から躯を前後に律動させて、またよがりはじめた。
 真治の眼に、唇を想わせる秘唇が開ききって肉棒を咥え込んでいる淫らな眺めがあからさまに見えた。その上の褐色のすぼまりに真治はベビーオイルを垂らした。
 肉の蕾がキューッと縮みあがって、喘ぐような収縮と弛緩を繰り返し、そのたびにペニスを蜜壷が生々しく締めつけてくる。
 真治はゆるやかに肉棒を抜き挿ししながら、指先で宏美のアナルをマッサージするように押し揉んだ。すぼまりが徐々に弛緩して、苦もなく指が埋没していく。
 前のペニスと薄皮一枚をへだてて指が収まると、宏美が急に息遣いを荒くして身悶えはじめた。
 細くくびれたウエストからむっちりと張った尻が淫らにうごめくのを見て真治は、目の前の宏美と義姉の亜矢子をダブらせていた。
 肉棒のピストン運動といっしょに指でアナルをこね回していると、
「ううーん、もっとォ、もっと強く突いてッ、狂わせてッ」
 宏美が呂律のあやしくなった声でいい、狂いはじめた。
 真治は両手で宏美の腰をつかむと、激しく突きたてた。宏美が躯を弾むように揺らしながら、きれぎれによがり泣く。
 その声と亜矢子の取り澄ました美しい顔を頭の中でダブらせながら真治は、熱く粘ってきた宏美の蜜壷をさらに激しく、攻めたてるように突き上げた。
「いいッ、いいのォ、ああもうッ、ねッ、イコッ、いっしょにイッて!」
 宏美が息せききった声ですがるようにいう。真治もその気になって合図し、ズコッと突き入った。宏美の絶頂の声を聞きながら、快感液をぶちまけた。
 
【3】
 ベランダに焼けつくような陽射しが照りつけていた。
 時間は正午をすぎたばかりだった。
 突然訪ねてきた真治に、マンションの部屋の玄関先で義姉の亜矢子は露骨に迷惑そうな顔をした。ちょうどこれから出かけるところだったといい、それは本当らしく白い麻のスーツを着ていたが、その口調は真治を追い返すにうってつけの口実があったといわんばかりだった。
 平均以上の生活を送っている兄夫婦にとって、いつまでも定職にも就かずブラブラしている真治は歓迎されない客なのだった。
 そんな亜矢子に向かって、真治はあらかじめ用意していたウソをついた。
 運よくスポンサーが見つかったので、近々インドにいけるかもしれない。そのことでちょっと義姉さんに相談に乗ってもらいたいことがある、と。
 亜矢子は兄さんではだめなのかとしぶったが、真治が兄貴は苦手だからと苦笑すると、腕時計を見て、じゃあ十分ほどなら……と、ようやく真治を部屋に入れたのだった。
「それにしても」
 カウンターの向こうから亜矢子がいった。
「スポンサーが見つかってよかったじゃないの」
「まあね。ただ、まだ実際に金を出してもらったわけじゃないから……」
 真治はリビングルームのソファから亜矢子の後ろ姿を見ていた。
 亜矢子はコーヒーメーカーでコーヒーをいれてくれていた。スーツの上着を脱ぎ、ノースリーブのブラウスになっている。ゆるやかにウエーブがかかったセミロングの髪の間から、ときおり横顔が見える。
 いつ見てもきれいだ、と真治は思った。本人も、美しさと育ちのよさを充分自覚していて、そのため自然に人を見下したような取り澄ました顔になるのだろう。それが気にくわないのだ、と。
 いままで真治は、亜矢子と会うたびにその美貌に重ねて、ほかの女たちと同じように彼女にもある性器を想像し、せせら笑いながらも欲望をそそられてきた。
 こうなることは前からわかっていたのだ……。
 そう真治が胸の中で自分に言い聞かせるようにつぶやいたとき、亜矢子がこちらを向いてカウンターの上にトレーを置いた。
「相談て、そのスポンサーのこと?」
「うん、まあ……」
 亜矢子がまた背中を向けるのを見て真治は立ち上がった。ベランダに照りつける陽射しが眼に入ってしかめ面をした真治の胸の中で、そのとき何かガラス細工のようなものがガシャンと砕け散るような音がした。
 真治は足音を殺して素早く夫婦の寝室に向かった。ゆったりした間取りの二LDKのマンションの二つの個室は、一つが誠一の書斎で、もう一つが寝室だった。
 寝室に入ると、ドアをかすかに開けておいた。窓にはブラインドが下りていたが、わずかに羽根が上がっていて、寝室の中は真昼の明るさそのままだった。
 クーラーは作動していなかったが、亜矢子が外出の支度をしている間つけていたのだろう。まだ部屋の中に冷気が残っていた。
「真治さん?」
 亜矢子の声がした。不審げに真治を呼ぶ声が近づいてきた。
 寝室のドアの陰に隠れた真治は、すでに素っ裸になっていた。
「真治さん、どこなの?」
 探るような声がドアのすぐそばまできた。
 息をつめた真治は、さすがに緊張していた。息苦しいほど胸が高鳴った。それでも欲望だけは高まっていて、股間のモノはすでにエレクトしていた。
 そのとき音もなく、ためらいがちにドアが押された。
 亜矢子が入ってくると同時に真治はドアを押しもどした。「ヒッ!」という声を洩らした亜矢子の背後で、ドアが軽い音をたてて閉まった。
 亜矢子は声も出せなかった。立ち竦んだまま、大きく見開いた眼で、全裸の真治の股間で勃起したペニスを凝視していた。
「やめてッ!」
 ようやく悲鳴に似た声をあげ弾かれたように顔をそむけると、逃げ出そうとした。その前に真治は立ち塞がった。
「よしてッ、何の真似なの!」
 亜矢子は真治を睨みつけた。顔はだが、うろたえているというより脅えていた。いつも冷たいぐらいに取り澄ましている義姉の、真治がはじめて見る顔だった。
 黙って真治は一歩踏み出した。亜矢子は後退った。
「やめてッ、こないでッ!」
 かぶりを振りながら後退っていく亜矢子を、ゆっくりと真治は追い詰めていく。後ろはベッドだった。
「いやッ!」
 バシッ!……いきなり真治の顔に平手打ちが飛んできた。かわそうと思えばかわせたが真治はよけなかった。その瞬間亜矢子が見せた怯んだような表情と頬の痛みが、ますます真治の歪んだ欲望を煽った。
「義姉さん、これでも俺、子供の頃はマジにクリスチャンだったんだぜ」
 笑っていうと、顔を突き出した。
「ほら、反対の頬も叩きなよ」
「やめてッ!」
 と突き飛ばそうとした亜矢子の手を真治はつかんだ。
「さすがだな。敬虔なクリスチャンとしては叩けないか」
 誠一と亜矢子は、いまも日曜日には夫婦そろって教会に通うクリスチャンなのだった。
「よしてッ、手を離してッ!」
 真治が手を離すと、抗っていた亜矢子の躯がバランスを失ってストンと落ちた。ベッドに腰かける恰好になった亜矢子は、おぞましそうにあわてて顔をそむけた。目の前に真治が肉棒を突きつけたのだ。
「何の真似かって、これのことかよ義姉さん?」
 真治は肉棒を手にしてブラブラ揺さぶった。
「男が裸になってチ×ポおっ立ててるんだ。何が目的かぐらい、すぐにわかっただろう」
「やめてッ。あなたのしてることは獣のすることよッ。バカなことはやめてッ」
 亜矢子は睨みつけるように真治を見上げて必死に説得した。
「獣か……」
 ふっと真治は冷たく笑い返した。
「俺はその獣になりたいんだよ、義姉さん」
 みるみる亜矢子の顔に脅えがひろがった。真治は襲いかかった。ベッドに倒れ込んだ二人の躯が大きく弾んだ。真治は馬乗りになった。
「いやッ、やめてッ!」
 息せききって叫ぶ亜矢子の拳が真治の胸や肩を叩いた。真治はするがままにさせていきなりブラウスの前を力任せに押し開いた。ボタンが弾け飛んで、白いブラをつけた胸があらわになった。
 荒々しくブラを引き下げた。ブルンと弾んで乳房がこぼれ出た。ちょうど掌にすっぽりと収まるボリュームの乳房は二十八歳の人妻とは思えないほどみずみずしい張りを持ち、乳首も乳暈も小振りで、まだきれいな色をしていた。
 それに予想していたことだったが、亜矢子の肌は抜けるように白く、肌理が細やかだった。
 真治は乳房にしゃぶりついた。
「いやッ、いやッ」
 顔を振りながら亜矢子は必死に両手で真治を押し退けようとする。同時に腰を跳ね上げて撥ねつけようとする。それでもかなわないとわかると、真治の頭といわず肩といわず拳で叩く。
 真治は乳首を咬んだ。
「ヒィーッ!」
 悲痛な声を発してのけぞった亜矢子が叩くのをやめた。咬みつづけていると、絞り出すような呻き声を洩らして硬直した躯をブルブルふるわせる。
 真治は咬むのをやめると、こんどはねっとりと乳首を舐め回したり口に含んで吸いたてたりした。
 亜矢子の反応が変わってきた。両手でベッドカバーをつかみ、悩ましい表情を浮かべてハァハァ息を弾ませながら、うねうねと胸を反らす。
 みるみる乳首がしこって勃ってきた。真治の掌が揉みしだいているふくらみも、中に芯ができたようにしこってきている。
 真治は馬乗りの向きを変えて後ろ向きになると、スカートを脱がしにかかった。
「いやッ、いやァ」
 また亜希子は暴れだした。ベッドを蹴る足から真治はスカートを抜き取った。亜希子が両脚をよじり合わせる。肌色のパンストの下に白いビキニショーツが透けて見えた。真治はパンストといっしょにショーツを押し下げ、それもバタつく脚から抜き取った。
「いやッ、いけないわ真治さん、やめてッ!」
 また躯の向きを変えた真治に、亜矢子は息を弾ませて懇願するようにいう。両手でブラウスの前を掻き合わせて、すらりとした脚を曲げて腰をよじっている。
「義姉さん、どうせなら胸の前で十字を切りなよ」
 真治はせせら笑って亜矢子の両脚をこじ開けると、その間に楔を打ち込むように腰を割り込ませた。
「いやーッ!」
 一際高い絶望的な声を放って亜矢子は顔をそむけ、腰を波打たせる。両脚はブルブルふるえている。
 股間の眺めはあからさまだった。
 ヘアはかなり濃い。白い肌を欺くような艶々しい黒い翳りが、こんもりと悩ましく盛り上がった丘にハート型に繁茂して、縮れ具合も強い。
 真治の手がヘアを掻き上げると、亜矢子の躯がヒクッとわななき、白い腹部に漣のようなふるえが走った。
 驚いたことに亜矢子のそこは、まるで失禁したように濡れていた。それに乳首同様、まだ子供を産んだこともないせいか、秘唇は形も色もきれいだった。
「何だよ義姉さん、いやだいやだっていいながら、オッパイ吸われただけでオマ×コはもうグッショリじゃないかよ」
「いやァ、やめてッ!」
 亜矢子はいたたまれないような声をあげると同時に両手で顔を覆い、激しく腰を揺すりたてる。
「その腰つきは何だよ。早くオマ×コやってくれって催促か!?」
 嘲笑いながら真治はクリトリスを剥き出して、指先でこね回した。
「あッ、うッ、だ、だめッ……」
 亜矢子は両手で顔を覆ったまま、顎を突き上げるようにのけぞる。ふるえをおびた声がたちまち真治も驚くほど艶めいてきて、腰がさもたまらなさそうに、そして猥りがわしくうねりだした。
 やっぱり欲求不満か。ざまえねえや……。
 ふくれあがってきたクリトリスを撫で回しながら真治は、宏美が誠一から聞いた、女房とはほとんどしていないという言葉を思い出した。
「入れて欲しくてたまらないって腰つきだぜ義姉さん」
「いやァ、ああだめェー」
 まるで淫らなイキモノのようにうねる腰を見て真治は興奮を煽られ、指を蜜壷に突き挿した。ヌルッと入った。
「ああッ!」
 亜矢子は昂った声を放ってのけぞった。顔から離した両手でベッドカバーをわしづかみ、悩ましい表情を浮きたてて、みずみずしく張った乳房を大きく上下させている。
 蜜壷の中は熱く、とろけそうだった。そればかりか亜矢子のそこは、真治の指を何度も咥え直すように締めつけてくる。
「すごいぜ義姉さん。よほど飢えてんじゃないのか。あんたのオマ×コは俺の指を咥え込んでるぜ」
 真治が驚き興奮していうと、
「ああん、いやァ、ああッ……」
 亜矢子は弱々しくかぶりを振りながら、それまでにない甘い昂った声をあげて、うねうねと腰を波打たせる。口ではいやだといいながらその口調にも腰つきにも、もう拒む意志がないのは明らかだった。
 
【4】
 真治は指に代えて肉棒をクレバスに当てがった。肉棒の先で秘唇の間を上下にこすってやると、亜矢子はそれに合わせてさももどかしそうに腰をうねらす。
「ほらァ、欲しいんだろ? 俺のこの硬いヤツがよォ」
「ああッ、いやッ」
 亜矢子は顔をそむけた。が、その表情はもうごまかしようもなく発情の色を浮きたてて強張り、それより何より真治が肉棒をクレバスに当てているだけで腰は催促するように淫らにうねっている。
「もう俺のチ×ポをオマ×コにブチ込んでもらいたくてウズウズしてるくせによ。それならそうとハッキリいってみな」
「そんな……!」
 亜矢子は戸惑ったような羞じらいを見せた。
「育ちのいい義姉さんには、そんなハレンチなことは口が裂けてもいえないか?」
 真治は嘲笑いながらいうと、亜矢子の手をつかんで肉棒に導いた。
「いやッ」
 亜矢子はあわてて手を引いた。
「持ってみろ!」
 手首をつかんで無理やり引き寄せると、亜矢子はおぞましそうな表情の顔をそむけて眼をつむった。しなやかな白い指がためらいがちに肉棒に触れ、からんできた。とたんに表情が艶めいて、
「ああッ」
 と亜矢子は喘いだ。肉棒に指をからめた手がかすかにふるえている。
「俺と兄貴のと、どっちが大きい?」
「ああ、あなたのほうが……」
 亜矢子は顔をそむけて眼をつむったまま、ふるえ声でいう。目許が欲情のためか桜色に上気してきている。
「俺の何がだ?」
「いやッ」
「気取るなよ。チ×ポといってみな!」
「ああ……チ×ポ」
 亜矢子は喘ぐようにいうと、さらに興奮の度が強まって、酔ったような艶めかしい顔つきになってきた。息遣いまで忙しくなってきて、乳房も同じように上下する。
「そうだ、その調子だ。ほらァ、俺のチ×ポをオマ×コにブチ込んでほしいといってみろよ」
 真治は肉棒に指をからめたままの亜矢子の手をその上からつかみ、亀頭をヌルッと蜜壷に押し込んだ。
 うわずった喘ぎ声を洩らして亜矢子がのけぞる。
「ほらァ、こうしてほしんだろうが!? いってみろ」
「ああッ、真治さんの、チ、チ×ポ……」
 そこまでいうと、亜矢子はたまりかねたようにかぶりを振る。
「つづけろ! いつまでも気取ってると下の毛を剃って、ツルツルにしちまうぞ」
「そんな……!」
 ヘアを手で引っ張って脅す真治に亜矢子はうろたえた。
「はじめからいってみろ。義姉さんは俺にどうしてほしんだよ」
「ああ……」
 亜矢子は絶望的な声を洩らして顔をそむけ、眼をつむっていたたまれないような表情を浮かべると、
「真治さんのチ×ポ、ああ、オ、オマ×コに、ブチ込んで」
 と、恥辱にふるえるような声でいった。
「義姉さんの口から、そんな便所の落書きみたいな言葉が聞けるとは思わなかったぜ」
 真治は勝ち誇ったように笑っていうと、それを振り払うようにかぶりを振る亜矢子をズコッと一気に貫いた。
「あうッ!」
 一際昂った声を放った亜矢子の躯が弓なりに反り返った。深々と突き入った真治の肉棒を、さっき指で感じたのと同じ咥え込むような収縮が襲ってきた。
 真治は亜矢子に覆い被さっていくと、叩き込むような突きを送り込んだ。そのたびに泣き声に似た喘ぎを発してのけぞる亜矢子が真治にしがみついてきた。
 激しく突きたてながら真治が「いいか?」と聞くと、亜矢子は「いいッ」と泣き声で答える。
「どこが?」
「全部よォ、全部……ああッ、たまんないッ、いいのォ」
「オマ×コがいいんだろ? いってみろ!」
「ああいいッ、オマ×コいいッ」
「オマ×コ好きなんだろ? 正直にいえ!」
「ああん、好きッ、オマ×コ大好きッ……ああ、いいッ、もう、もうどうなってもしらないッ」
 突きたててはこね回す真治に亜矢子は興奮という魔物に取り憑かれたような顔つきで息せききってあからさまなことを口走る。もはやレイプではなかった。
 そうしてよがり泣きしはじめた亜矢子を、真治はたてつづけに絶頂に追い上げた。亜矢子はそのたびに「イクーッ」と感泣しながら全身をわななかせる。クーラーの冷気が引いた寝室の中はムッとした熱気がたちこめて、からみ合って律動する二人の躯は汗みどろだった。
「義姉さん、俺もイクぜ」
 真治はフィニッシュブローを叩き込んだ。亜矢子の中の潤みが激しい摩擦でクリームのように粘って、微細な襞を持った粘膜の感触がより生々しく肉棒をくすぐり、しびれるような快感が押し寄せてくる。
「ああ、だめッ、またよ、また……」
 亜矢子のふるえをおびた泣き声に真治の呻き声が重なった。
 真治の中からドピュッと快感が迸った。ビュッ、ビュッとつづけざまに迸って、二人の痙攣が一つに溶け合い、亜矢子が「イクッ、イクーッ!」と泣き声を張りあげる。
 
【5】
 二人はベッドに並んで仰向けになっていた。亜矢子は、その躯の上から真治が下りたままの恰好で、放心したようにぼんやりとして天井を見つめている。
「どうだった? 獣になった気分は」
 真治が顔だけ横に向けて聞くと、亜矢子もゆっくりと顔を向けてきて、なじるような眼で睨んだ。
「義姉さんのオマ×コは、なかなかの名器だったぜ」
「やめて」
 亜矢子は甘さを含んだ声でいうと恥ずかしそうに真治の胸に火照った顔を埋めてきた。
「ひどい人ね、あなたって……」
 気だるい口調でつぶやき、真治の胸に何かを書くように指先を這わせながら、
「相談することなんて、なかったんでしょ?」
「ああ……」
「最初から、わたしを犯すつもりだったのね、どうして?」
「べつに理由なんかないさ。ただ義姉さんと一度やってみたかっただけさ」
「ウソ……あなた、兄さんとわたしのこと、恨んでたんでしょ?」
「恨む? どうしてだよ」
「だって、こんなひどいことするなんて、そうとしか思えないわ」
「そんなことどうでもいいじゃないか。それともほかに理由をつけてほしいのか?」
「ほかに……?」
「例えば、俺が義姉さんを好きだから犯したとか」
「そんなこと……」
 亜矢子は顔を起こすと、笑っている真治を睨みつけた。
「冗談はよしてッ」
「だから理由なんてどうだっていいといってるだろ」
 真治は亜希子を抱き寄せると、下腹部の繁みの下に手を滑り込ませた。
「それより義姉さんが、こんなにアレが好きだとは思わなかったよ」
「やめてッ」
 恥ずかしさのこもった声でいって身悶えながらも亜矢子はされるままになって、クレバスをまさぐる真治の指で、もうせつなげに息を乱しはじめた。
「兄貴とは、いつやったんだ?」
「……忘れたわ、ああッ……」
「それぐらいやってないってことか?」
 亜矢子は喘ぎ顔でうなずく。
「それでも夫婦なんだから、まったくないってわけじゃないだろう」
「彼は、淡白なの。一カ月、ううん、二カ月に一度あるかないか……」
 亜矢子は昂ってきて、うわずった声でいうと、自分から真治のふたたび勃ってきたペニスに手を這わせてきた。
「それじゃあこの躯が持つわけないな。さっきだって義姉さん、さかりのついた牝犬みたいだったぜ」
「いやッ」
 亜矢子はからかう真治を艶めかしい眼で睨むと、手にしたペニスを、ギュッと握り締めた。
「義姉さん、あんたは本当はスケベなことされるのが好きなんだろ?」
 ふくれあがってきたクリトリスをこすり上げながら、真治は思い入れたっぷりに亜矢子の耳元で囁いた。
「いまさら俺の前で気取ったってはじまらないぜ。あんたは本当は淫乱なんだ。人前では上品ぶってるけど、兄貴が満足させてくれないから躯がうずいて、いつもアレのことばっかり考えてる、そうなんだろ?」
「ああッ、ええそうよ、わたしって、本当はいやらしい女なの」
 真治の暗示にかかって胸の奥に鬱積していたものを一気に吐き出すように亜矢子はいった。そういう亜矢子からはもう、ふだんの取り澄ました顔はうかがいようもなかった。ただ欲望にのみ忠実な女の顔になっていた。
 そんな亜矢子を見て真治は、もっと淫らに責め嬲ってやりたくなった。この女に自分の本性を思い知らせてやる、という嗜虐的な欲望が込み上げてきた。
 ベッドの下に落ちていたパンストを拾い上げると、起き上がってベッドに坐っている亜矢子の両手を背中にひねり上げた。
「あッ、何をするの!?」
 亜矢子は驚いて聞いただけだった。抗おうとはしなかった。
「義姉さんにピッタリのことをしてやるよ」
 真治はパンストの中央で亜矢子の両手首を縛ると、その両端をそれぞれ膝裏にかけて引き上げ、背中で括った。
「こんなの、いやッ」
 さすがに亜矢子は狼狽し、羞じらって顔をそむけた。膝を立てた両脚はほとんど真横に蟹のように開ききっているのだ。当然、股間の眺めはあららさまだった。それも秘唇までパックリと口を開け、濡れ光ったサーモンピンクの秘粘膜をさらけ出している。
 真治はベッドから下りてドレッサーの鏡をベッドの亜矢子の正面に向けると、そこから真紅の口紅を持ってきた。
「義姉さん、下の唇にも化粧をしてやるよ。もっといい眺めになるぜ」
「そんな……ヘンなことしないで」
 うろたえる亜矢子だが、どうすることもできない。口を開けた秘唇を、真治は真紅の口紅でていねいになぞった。
 唇に似た襞が一層それらしくなったが、左右に疎らな口髭のように生えた縮れ毛で縁取られているために、鮮やかに濡れ光った赤い唇がよけいに生々しく猥褻に見える。
「見ろ。いい眺めじゃないか」
 真治は亜矢子の後ろに回って両手で顔を挟み、正面の鏡に向けた。
「ああッ、いやァ」
 鏡に映った猥褻感漂う股間の眺めを見て、亜矢子は恥ずかしくていたたまれないというような顔と声でいった。それでいて、みるみるその顔に興奮の色が浮きたってきた。
 真治は亜矢子の後ろから両手を股間に這わせた。秘唇を鯉の口のようにパクパク開閉させて見せつける。
「見ろよ義姉さん、これがあんたのいやらしいオマ×コだ」
「そんなッ、いやッ、いやッ」
「ほら見ろ。もう物欲しそうに涎を垂らしてるじゃないか」
 パクパクする秘唇の下方から、クレバスをあふれた蜜がとろとろと会陰部を流れ落ちている。口ではいやだといいながら興奮した顔でそれを凝視している亜矢子が、ハァハァと息を乱しはじめた。
「義姉さん、兄貴にはここを舐められるんだろ?」
 真治が真珠のようなクリトリスを指先でこねて聞くと、亜矢子はせつなげに喘いで腰をもじつかせながら、うなずく。
「兄貴のをしゃぶったことは?」
 ないわ、というように亜矢子はかぶりを振る。
(当然だろうよ、あんたの亭主はマゾなんだからな)
 真治は胸の中で嘲笑いながら立ち上がると、亜矢子の顔の前にエレクトしたペニスを突きつけた。
「しゃぶりたいか?」
 亜矢子は目の前の肉棒に熱っぽい視線を注いで喘いだ。
「こいつを下の口に入れてもらいたかったら、俺のチ×ポをしゃぶらせてっていってみなよ」
 真治は肉棒を手にすると、興奮して美貌がますます冴えた義姉の顔を、それで撫で回した。亜矢子は顔をそむけようともせず、そればかりか艶めかしすぎるほどの恍惚の表情を浮かべて、
「ああ、真治さんのチ×ポ、しゃぶらせて」
 と、うわごとをいうようにいう。
 真治は亜矢子を縛ったパンストを解いた。こんどはそれで首を縛り、亜矢子を紐付きの犬のようにしてベッドから下ろした。
「ほら義姉さん、お祈りの恰好でしゃぶるんだ」
 パンストを引いて命じると、亜矢子は素直にひざまずき、真治の肉棒に両手を添えた。唇を寄せてきて咥えると、眼をつむり、ゆっくりと顔を振ってしごく。
 はじめてだから無理もないが、二十八歳の人妻のぎこちない、そのぶん処女のように初初しいフェラチオが、真治の征服感を満たし興奮を煽る。
「咥えてしごくだけじゃなく、ときどきチ×ポを口から出して、アイスクリームを舐めるように先から根元まで舐め回すんだ。で、同時に手でキンタマを手でくすぐるように愛撫する。それが男を歓ばせるコツだよ義姉さん。やってみろ」
 そういって真治がテクニックを教えると、亜矢子はいわれたとおりにする。呑み込みよく、肉棒に片手を添えて先から根元まで舐め回しては咥えてしごくことを繰り返しながら、一方の手で袋をくすぐるように撫で回すのだ。そして亜矢子自身、興奮に酔った顔つきになってきて、さもたまらなさそうに甘い鼻声を洩らす。
「義姉さん、またチ×ポが欲しくなってきたんだろ?」
 そういう真治自身興奮を煽られて聞くと、亜矢子は肉棒を咥えたままうなずく。真治は腰を引くと、亜矢子を四つん這いに這わせた。
「だったら、ほら、さかりのついた牝のように尻を振って俺を挑発してみろ!」
 ハート型にみごとに張った尻を、バシバシ手で叩く。
「ああッ、ああんッ……」
 亜矢子はひどく艶めいた声をあげて、くなくなと熟れた尻を振りたてる。尻を叩いていた手を、真治は尻朶の間に滑り込ませた。口紅を塗った秘唇の間の、ますます濡れが派手になった蜜をすくった指を、きれいに褐色の皺を畳んだアナルに這わせた。
「あッ、そ、そこは……だ、だめッ」
 うろたえて腰を振る亜矢子にかまわず、まるくマッサージするように揉みたてる。「だめ」という亜矢子の声がうわずり、腰つきがもどかしそうにうごめきだした。必死に口を噤もうとするすぼまりが徐々に締めつける力を失ってきた。
 真治はゆるゆると指を埋めた。呻いた亜矢子が背中をまるめる。すぼまりの口が真治の指を食い締めてきた。締めつけと窮屈な肉孔を揉みほぐすように指でこねてやると、亜矢子はハァハァと妖しい息遣いになってきて、なよなよと淫らに尻をくねらす。
「ここにチ×ポを入れられたことはないんだろ?」
 ウンウンと亜矢子はうなずく。
「じゃあ俺が義姉さんのアナルの処女をいただくか。いいだろ?」
「ううーん、そんな、そんなこと、無理よ」
 アナルをこねるだけでなく指を抜き挿ししている真治に、亜矢子は身悶えながら息を乱して狂おしそうにいう。
 いやだといわず無理だという言い方に真治はニンマリして指を抜き取ると、亜矢子の尻を手で一打ちして、そのままの態勢で待っているよう命じてドレッサーのそばにいった。コールドクリームと自分が脱いだズボンのポケットからコンドームを取り出して義姉を見やると、興奮しきった顔で真治を見ている。
「アナルの処女をいただく前にほら、もう前のほうにブチ込まれたくてウズウズしてるんだろ?」
 四つん這いの亜矢子の後ろに回った真治が肉棒でクレバスをこすると、
「ああッ……きて、入れてッ」
 亜矢子はなりふりかまわず淫らに腰を振って求める。
 真治は突き入った。真紅の口紅を塗った秘唇が肉棒を咥え、上体を突っ伏して腰を突き 上げた亜矢子が真治の動きを催促するように自分から躯を前後に揺する。
 その淫猥な眺めを見下ろし亜矢子の律動に合わせて肉棒を抜き挿ししはじめた真治は、北叟笑みながら思った。
 兄貴と義姉の両方から金を出させて、宏美を連れてインドにいこう。二人から金を取ってもバチは当たらないだろう……。
 よがり泣く亜矢子の蜜壷から肉棒を抜くと、コンドームを被せてクリームを塗りつけた。充血してふくらんだアナルにもクリームをたっぷりと塗りながら、真治は聞いた。
「義姉さん、兄貴と結婚したとき処女だったのか?」
 亜矢子はうなずいた。
「ということは兄貴に前、弟の俺に後ろの処女を奪われるってわけか」
 クソッ、俺はやっぱり兄貴の後ろというわけか……と自嘲しながら、真治は肉棒をアナルに当てがった。
 グッとすぼまりに押し入った。
 陽射しが翳ってきた寝室に、亜矢子の獣に似た呻き声が響いた。



【人妻・千草と美由紀 秘密の性】


【1】
 指定された時間通りに都心にあるホテルのバーに入っていくと、午後七時という時間帯のせいか、ほぼ満席の状態だった。
 すでに伊村千草はきていた。
 シャネルらしいスーツ姿の千草が織部に気づいて微笑みかけてくると同時に、彼女と並んでカウンター席に坐っていた男が織部のほうを振り返った。
 三十代半ばのビジネスマンらしき男は、織部を見ると、いささかうろたえたようすで席を立ち、そそくさとバーから出ていった。
「いまのは……?」
 男が坐っていた椅子に織部が腰かけながら聞くと、
「こういう場所に女性がひとりでいるのを見ると、放っておけない人らしいの」
 千草は微苦笑していった。
 どうやら男は、千草と親しい織部でさえ、ふだんからとても大学講師とは思えない艶めかしすぎるほどの色気をたたえた彼女を見て、口説きにかかっていたらしい。
 織部がバーテンダーに千草が飲んでいるのと同じカクテルを注文して、
「無理もないな、千草さんなら」
 と、笑い返すと、
「それお世辞? それともわたしって、男性から見ると、誘惑できそうな女に見えるってことかしら?」
 千草は揶揄するような顔つきで聞く。そういう茶目っ気も彼女にはある。
「本音だよ。それに男ってのは、千草さんのような美人を見ると、前後の見境がなくなる困った動物だってこと」
 織部がそういうと、クスッとおかしそうに笑って小首をかしげ、
「先生でも、そういうことってあるのかしら?」
「僕も一応男だからね」
「でしたら、先生にもそうなっていただきたいわ」
「!?…………」
 思わせぶりなことをいう千草に織部が戸惑っていると、バーテンダーがカクテルを織部の前に置いた。
 グラスを持ち上げて織部が乾杯の仕種をすると、
「わたし、もう三杯目をいただいてるのよ」
 千草は婉然と笑ってグラスを合わせた。
 そういえば酔いのせいか、人妻でもある美人講師の顔はいっそう艶めかしく見える。織部はカクテルを一口飲んでから、いった。
「昨日は驚いたよ」
 千草は急に恥ずかしそうにうつむいた。
「伊村は……」
 と、織部は昨日から気にかかっていたことを聞いてみた。
「僕が診察したことを知ってるの?」
 案の定、千草はかぶりを振った。羞じらいといっしょに秘密めいたようすを見せて。
「そうだろうな」
 織部がつぶやくようにいうと、
「え?……」
 千草が聞き返した。
「伊村にすれば、医師といっても友だちの僕に美人の奥さんを診せるのは、やはりためらいがあるだろうし、たぶん、千草さんの独断だろうとは思ってはいたんだけど……」
「だけど?」
 その先を催促するように千草がいう。その濡れたような、ドキッとするほど色っぽい眼で見つめられると、織部は一瞬たじろいで、
「いや……」
 と、口ごもった。
「わかってるわ。どうしてわたしが、わざわざ織部先生に診察していただいたかっておっしゃりたいんでしょ?」
 千草のいう通りだった。織部がうなずくと、
「意地悪ね、先生はもうわかっていらっしゃるくせに」
 なじるような、それでいて甘えるような口調でいう。
 驚いて織部は千草を見た。見返す千草の眼は妖しく燃えていた。ドギマギしながら織部はそのとき不意に、昨日診た千草の秘めやかな部分を生々しく想い出した。
 それと同時に織部の胸は息苦しいほど高鳴りだした。そればかりか、めくるめく快感を約束する千草の秘苑を想い浮かべると、男として抗しがたい欲望に襲われて、織部の理性は背徳の悪魔に魅せられていった。
 
 昨日のことだった。
 産婦人科の開業医をしている織部は、診察室でつぎの患者のカルテを見て驚いた。看護婦が書き込んだ初診の患者の氏名が「伊村千草」となっていたからだ。
 とっさに同姓同名の別人だろうと思った。
 が、年令と住所を見て、さらに驚いた。それも織部が知っている伊村千草と同じだったのである。
 それでもまだ、信じられなかった。というのも織部と妻は、伊村夫婦と一年ほど前から夫婦ぐるみの親しい付き合いをしていたからだった。
 伊村夫婦は、夫の伊村が弁護士で、妻の千草は来年にも助教授に昇格するらしい、将来有望な女子大の講師である。
 一方、織部の妻の美由紀も仕事を持っていて、それほど名を知られたファッションデザイナーではないがオートクチュールをやっている。
 それぞれに仕事を持った二組の夫婦は、偶然にも共通した点がほかにもいろいろある。 ともに夫同士は三十代の後半で、妻たちは美由紀が二十九歳、千草が三十歳と、年令も似通っているうえに双方子供はなく、そして妻たちがそろって美人であることも共通していた。ただ、華やいだ世界で仕事をしている美由紀のほうが理知的な、反対に講師という堅い職業の千草がいささか艶めかしすぎるほどの、それぞれに意外で対照的な美しさのちがいはあったが。
 そういう共通点のせいか二組の夫婦は、ハイクラスの利用者を対象にした会員制アスレチッククラブで出会って以来、親しく付き合うようになったのだった。
 織部が千草の突然の来院に驚き、信じられないと思ったのは、そういう関係があったからだった。
 いくら織部が医師とはいえ、婦人科医ということを考えれば、千草はもちろん、夫の伊村にしても織部に診てもらうのをためらい、むしろ避けるのではないか。
 唯一考えられるのは、妊娠ということだ。千草に妊娠の可能性があったとすれば、信頼がおけて親しい織部にかかろうというのもわからなくはない。ただ、それならそれで、事前にそういう話があるはずだった。
 わずかの間にそんなことを思っていると、看護婦が伊村千草を診察室に呼び入れた。
 診察室に入ってきた千草は、たいていの患者がそうであるように恥ずかしそうにうつむいていた。相手が織部だけになおさら恥ずかしかったにちがいない。
「どうしました?」
 医師らしく平静を装って聞いたものの、千草と向き合うと織部も戸惑っていた。
「あの……少し下り物がある感じなんですけど……」
 妊娠ではなく、千草が羞じらいながら消え入るような声でいった愁訴に織部は驚きながら、さっそく型通りの問診を行った。
 月経周期の性状−−順・不順、量、凝血の有無。中絶手術の経験の有無。これまでの性器の疾患の有無。さらには下り物についての発生時期や量などを聞く。
 その間、千草は終始うつむきかげんで恥ずかしそうに答えつづけた。
 いつもは厭味のない自信と誇りに満ち、それでいて過剰なほどの艶めかしさをただよわせている美人講師のそんな姿を見たのは、織部ははじめてだった。
 問診の結果は、下り物以外には何ら問題はなかった。下り物に気づいたのは、つい最近のことで、量はさほど多くないという。
「それでは一応、内診してみましょう。看護婦さんの指示に従ってください」
 織部はそういいながら、診察室ではめずらしく胸の高鳴りをおぼえた。職業柄、うんざりするほど女の性器を診てきて、少なくとも診察する際のそれはモノとしか思えないのだが、千草が患者だと、医師というより一人の男としての興味をくすぐられていた。
「先生、お願いします」
 看護婦の声で織部は内診台の前に立った。
 内診台に仰臥した千草は、脚を固定する台に両脚をのせて大胆に開いている。
 上半身はカーテンで遮られているため、織部に見えているのは、その下半身だけだ。ほどよく肉がついたヌメ白い太腿の間を覗き込んだ織部は、ズキンとズボンの中のモノがうずいた。
 こんもりと盛り上がった恥丘を飾った逆三角形状の陰毛は、かなり濃密だが艶やかで、生え方も品がいい。それにまばらな縮れ毛に縁取られた赤褐色のラビアは、みずみずしい張りをもった唇を想わせた。
 それが千草の性器だと思うと、そこをモノとして見慣れた織部の眼にも、ひどく煽情的に見えた。
 そのとき織部は千草の開いた両脚が小刻みにふるえているのに気づいた。
 ん?……
 それだけではない。よく見ると、赤褐色の秘唇がわずかに開口してのぞいたサーモンピンクのクレバスが光っていた。
 それも尋常な濡れ方ではなかった。
 彼女は見られただけで刺戟を受けて興奮しているらしい。
 もっとも、たまにこういう露出症ぎみの患者はいる。ただ、千草にもそういう性向があるのかと思うと、驚きと同時に織部は興奮させられた。
 ともあれ、とりあえず触診してみることにした。
 両手にゴム手袋をはめて、左手で秘唇を分けると、ピクッと千草の腰が浮いた。
 濡れ光ったサーモンピンクのクレバスがパックリと口を開けて、いくらかふくらんだ感じのクリトリスも赤貝に似た膣口部分もあからさまになった。
 すると、膣口のあたりが喘ぐように繰り返しうごめき、そのたびにジュクという感じで透明な蜜が湧き出してクレバスの下の窪みに溜まり、そこからあふれてトローッと会陰部から慎ましいアナルのすぼまりに流れ落ちていく。
 そして、蜜を感じてアナルがキューッと収縮し、そのためにバギナとアナルを取り巻く8の字状の括約筋が締まって、また膣口がジュクと蜜をあふれさせるのだ。
 まちがいない。彼女は見られて感じている!……
 織部はますます興奮を煽られながら、右手の人差し指と中指の二本を、指の腹を上に向けてバキナに挿入していった。ヌルッと入った。
 驚いた。
 指を挿入すると同時にヒクッと引き攣れたように腰をわななかせた千草のバギナが、まるで艶めかしいイキモノのようにうごめくのだ。それもキュッと入口が締まって、ググッと指を引き込む動きといっしょに内部がザワザワーッと蠢動するのだ。
 そうして、ふっと締めつけが解けたかと思うと、指を押し返すようにうごめいて、また咥え込んでいく。
 それを、押しては返す波のように繰り返すのだ。
 これは名器だ! それも大変な名器だ!……
 織部は生々しいバギナの蠢動に仰天しながら、膣の内部から子宮頸部、子宮体部、さらには膀胱や直腸の具合を触診していった。
 すると千草は、たまらなさそうに腰をうねらせて−−といってもほんのわずかに上下させるだけだが、そのぶん必死にじっとしていようとしてもひとりでにそうなってしまうという感じを与える腰つきで、ときおりせつなげな息遣いを洩らしはじめた。
 性行為にちかい刺戟を与えられているのだから無理もない。こうして触診をしていると、不感症でないかぎり、たいていの患者がそれなりの反応を示す。まして千草のように見られただけで尋常ではない濡れ方をする感じやすい躯は耐えられるはずもない。
 触診では、とくに異常は認められなかった。つぎに織部は、クスコを使って視診することにした。
 クスコを挿入して膣を開き、内部を覗いた瞬間、
 おッ!……
 思わず眼を見張って唸った。
 濡れ光ったサーモンピンクの膣壁にびっしりと微細な襞があるのだ。それも上側とか下側とか特定の部分ではなく、膣壁の周囲にぐるりと、そして入口から奥まで全体に密生しているのだ。
 何千、いや何万だろう。おびただしい襞を持ったバギナが、生々しくうごめいて収縮を繰り返している。触診したとき織部の指が感じた、ざわめくような感触と寄せては返す波のようなうごめきの正体はそれだったのだ。
 それまでにいろいろな名器を見てきた織部だが、千草のような、まるでそれ自体が妖しいイキモノのようなバギナははじめてだった。
 織部はほとんど感動にちかい興奮をおぼえながら、千草の膣から粘液を採取すると、クスコを抜き取った。
 そのときになってはじめてズボンの前があからさまにふくれあがっているのに気づき、戸惑った。診察中こんなことになったのは、医学生になりたての若い頃をのぞいてなかったことだった。
 内診を終え、採取した粘液を検査してみると、これにも異常はなかった。着衣を整えた千草とふたたび椅子に腰かけて向き合い、そのことを伝えると、
「わたしの思いすごしだったのかしら……」
 千草は内診する前よりも恥ずかしそうな、それでいて明らかに興奮の余韻がただよった艶めかしい顔つきでつぶやき、
「でも安心しましたわ、先生に診ていただいて」
 ホッとしたようにいうと、スーツのポケットから何やら取り出して机の上に置いた。
 メモ用紙を二つ折りにしたようなそれを、織部が怪訝な顔をして手に取ってひろげて見ると、
『明日午後七時、××ホテルのバーでお待ちしています』
 と書いてあった。
 織部は驚いて千草を見た。千草も織部を見ていた。秘密めいた、燃えるような眼差しで。そして立ち上がると、黙って一揖して診察室から出ていった。
 驚きながらも織部は、そのときになってようやく、なぜ千草が診察を受けにきたのか、そのわけがわかったような気がした。
 下り物があるというのはウソで、それは診察を受けるための口実だったにちがいない。しかも類稀な名器を織部に見せて誘惑するために−−。
 それにしても美貌も知性も兼ね備えた人妻の千草が、なぜそんなことまでして俺を誘惑しようとしたのか?……
 織部は唖然とするばかりで信じられなかった。
 
【2】
 ホテルの部屋に入った織部と千草は立ったまま、どちらからともなく抱き合い、貪り合うように唇を重ねた。たがいに不倫の罪の意識を激しい情動によってふっ切ろうとするかのように……。
 織部が挿し入れた舌で千草の舌をからめ取り、じゃれつかせていると、こんどは千草のほうが舌を入れてきて、狂おしくからめてくる。そうしておたがいに官能の高まりを確かめ合うように粘膜の感触を貪り合っていると、
「ふん……うふん……」
 千草がせつなげな鼻声を洩らして腰をもじつかせる。織部のズボンの中で勃起したモノが千草の下腹部に突き当たって、濃厚なキスをよけいに官能的にしているらしい。
 やがて千草が唇を離した。ふだんでも艶めかしい顔が興奮のために一層その色を強め、息を弾ませている。
「いけない人妻だ」
 笑っていった織部も興奮のためにぎこちない表情になっているのを感じながら千草の上着を脱がし、シルクのブラウスのボタンを外していった。
「めったにお目にかかれない名器を見せて、婦人科医を誘惑するんだからね」
「だって、そうでもしなければ、わたしたち、こんなことにはならなかったでしょ?」
 されるままになっている千草が燃える眼で織部を見ていう。ブラウスの前がはだけ、これまたシルクのゴージャスな刺繍入りの淡い紫色のブラを、形よく張ったふくらみを想像させるバストが悩ましく持ち上げている。
「だけど、千草さんがそんなことを考えていたなんて、思ってもみなかったよ」
 そういって織部がブラウスを脱がすと、千草は明らかに彼の眼を意識した仕種で自分からタイトスカートを脱ぎながら、
「先生ったら、ちっとも気づいてくださらないんですもの」
 と、なじるように見る。
 男の虚栄心をくすぐるようなことをいわれて織部は内心満更でもない気持になり、自分も服を脱ぎながら笑っていった。
「その先生はやめよう。おたがいに先生なんだから」
「そうね」
 千草は笑い返しながらパンストを脱いだ。ブラと、そしてブラとペアのビキニショーツだけになった躯は、素晴らしいプロポーションをしている。骨細の躯つきにほどよく肉がついてウエストがほっそりとくびれ、いかにも熟女らしく悩ましく張った腰からすらりと美しい脚が伸びている。
 セクシーな仕種でブラを外すと、千草はベッドに入って仰向けに寝た。胸の上で両腕を交叉し、伸ばした脚に片方の脚をすり寄せて膝を曲げて下腹部を隠し、羞じらうというより織部を挑発し誘うような仕種を見せる。
 ブリーフ一枚でベッドに上がった織部は、千草の胸から両手を剥いだ。そっと千草は顔をそむけた。艶めかしい顔に興奮と期待が入り交じったような色を浮かべている。
 あらわになった乳房は仰向けで寝ていてもみずみずしく張ってお椀型の形を保ち、ゆっくりと大きく上下している。そのふくらみを掌につつんだ織部が、ほどよい弾力を味わうように揉むと、
「ああッ……」
 千草は眉根を寄せてのけぞって喘ぐ。
「ご主人が、こんなに魅力的な奥さんを放っておくとは思えないけど……」
 昨日診察したとき見たラビアの赤褐色より薄い色をした乳暈がふっくらと盛り上がり、感じやすそうにツンと突き出した乳首を、指先でまるくくすぐるように撫で回しながら織部がいうと、
「ええ、主人に不満はないの」
 と、千草は悩ましい表情を浮かべてうわずった声でいい、もどかしそうに胸を反らす。
 それならなぜ−−と聞きかけて織部はやめた。夫の伊村に不満がないにもかかわらず織部を誘惑してきたということは、千草自身、それだけ織部に引かれたということだ。もっとも、だからといって人妻の身でここまで大胆なことをする千草に、いまもまだ織部は驚き、信じられないような思いを抱いていたが、それをここで詮索するのは野暮だと思ったからだった。
 みるみる硬く勃起してきた乳首を口に含んで舌で転がしながら、一方の乳房を手で揉み、乳首を指先でくすぐっていると、
「それより織部さん、美由紀さんとはどうなの?」
 と、胸を上下させ両脚をすり合わせて悶える千草が喘ぎ声で聞いてくる。
 織部は顔を上げ、苦笑していった。
「そういわれると、彼女のほうは欲求不満ぎみかもしれないな。婦人科医をやってると、一種の職業病みたいなものがあって、女房とはご無沙汰することが多いからね」
「でも、それだと、美由紀さんがかわいそう……わたしがこんなこというの、おかしいけど」
「おたがい、もうそういう話はやめよう」
 織部はそういうと、千草の脇腹から腰へ、掌に吸いつくような滑らかな肌を撫で、ビキニショーツをずり下げていった。
「それにしても、昨日見せてもらった千草さんの名器には感動したよ」
 早くも濡れているクレバスを指で上下にこすりながらいうと、千草は感じた喘ぎを洩らして、たまらなさそうに腰をうねらす。
「正直いって、医者という立場を忘れて興奮したよ」
「ああッ、あのときは、死にたいほど恥ずかしかったわ」
 織部の指の動きに合わせて腰をうねらす千草が喘ぎ声でいう。
「それなのに、いまと同じぐらい濡れていたじゃないか」
 クチュクチュと卑猥な音がたちそうなほど濡れてきたクレバスをこすりつづけながら織部が揶揄すると、喘いでのけぞっていた千草が、昂った顔にドキッとするほど色めいた表情を浮かべて、
「うんッ、いや」
 と、すねた。
 そんな千草に挑発されたように織部は、目の前で大きく上下している乳房に顔を埋めた。勃起した乳首とクリトリスを、それぞれ舌と指先でこねると、きれぎれに感じ入った喘ぎを洩らして全身をうねらせる千草が、そのとき思いがけないことをいった。
 一瞬、耳を疑った織部は、驚いて顔を上げた。
「おねがい、縛って」
 聞きまちがいではなかった。千草はもういちど同じことをいった。さすがに恥ずかしいのか、興奮して強張った顔をそむけている。
「縛るって……」
 織部が呆気に取られてつぶやくと、千草は横を向き、自分から両手を背中で交叉してみせた。
「伊村さんは、そういう趣味があるの?」
「ええ……」
 背中を向けているので千草の表情は見えないが、ときめきが感じられる声でいう。
 織部にはその種の趣味はなかった。が、目の前に横たわった千草の背中で交叉した両手や、ひときわくびれたウエストから豊かに盛り上がったヒップの悩ましい曲線を見ていると、はじめて経験する欲望がむらむらと込み上げてきた。
 いつか医師会の旅行でSMビデオを観たことがあり、そのときパンストを使っていたのを思い出して、織部はパンストを使うことにした。
 まず、パンストの中央で千草の両手を縛った。
 つぎに千草を仰向けにして、パンストの両端で、それぞれ膝を縛る。膝を深々と曲げた恰好で大胆に両脚が開き、下腹部があからさまになった。
「ああッ、いや、見ないでッ」
 千草は顔をそむけた。自分から縛ってくれといったのだから、もちろんいやがっているわけではない。羞恥を表わす言葉でしかないことは明白だ。そればかりか口ではそういいながら、そむけた顔には、羞じらいと興奮がミックスしたような色がある。
「これじゃあ見るなというほうが無理だよ」
 織部は笑っていいながら、パックリと秘唇を開いて濡れ光ったサーモンピンクの粘膜をあらわにしたクレバスに指を這わせ、大振りな真珠のようにふくれているクリトリスをこねた。
「あッ、ああッ……そこ、だめッ」
 ふるえ声を洩らしてのけぞる千草が、開ききった両脚をピクピク痙攣させる。
「どうやら、千草さんには露出願望ばかりかマゾッ気も相当ありそうだな」
「そんな……ああッ……」
「もうごまかしはきかないよ。昨日も内診台に上がる前から濡れていたようだし、こんな恥ずかしい恰好に縛られて、こうやって嬲られるのがいいんだから。そうなんだろ?」
「ああ、そう……そうよ……ああん、ね、もっといやらしいこと、いったりしたりして、うんといじめてッ」
 千草が開き直ったように、そして自分の言葉にますます興奮したようにいう。それに煽られて織部もサディスティックな欲望に襲われた。
「何だ、はしたない腰つきをして! クリトリスをいじられただけでは物足りないって感じじゃないか」
 乳房をわしづかみ、揉みたてた。同時にはちきれんばかりにふくれあがったクリトリスをいじっていた指を膣口に這わせ、赤貝に似たそこをこね回した。
「ううんッ、そこ……入れてェ」
 たまらなさそうに千草が腰を揺すって求める。
 ぬるりと織部は指を挿入した。あの無数の襞を持った蜜壷が、グニューッと軟体動物のようにうごめいて、指を締めつけてくる。
「千草さんのバギナは、いや、こういうときはオマ×コといったほうがいいな、まるでいやらしい生き物みたいだね」
「ああいやッ、そんないやらしい言い方」
 すねたようにいいながらかぶりを振る千草だが、その顔には興奮に酔った色が浮きたってきている。
 オマ×コという言葉をいったとたんに千草の顔の艶めかしさがいっそう強まってきたのを、織部は見逃さなかった。自分からいやらしいことをいってほしいというだけあって、その種の言葉には鋭く感応するらしい。
「ほうら、こうして指を入れているだけでオマ×コがいやらしく締めつけて、咥え込んでいくじゃないか」
「ああんッ、わたしのそこ、そんなにいやらしいの?」
 さもそういってほしいといわんばかりの口調で聞くと、興奮しきった千草はもどかしそうに腰をうごめかす。
「中にミミズがいっぱい詰まってるような、たまらないほどいやらしいオマ×コだよ」
 織部がわざと卑猥な言い方をすると、千草のほうは昂った喘ぎを洩らして、ますます興奮してくる。
 名器に指を入れたまま、織部はブリーフを下げた。ブルンと弾んで露出した肉棒を千草の口許に突きつけた。
 それを待っていたように千草は舌をからめてきた。亀頭をねっとりと舐め回し、そのまま先から根元まで、エレクトしたペニスの感触を確かめ味わうように唇と舌でまんべんなくなぞる。
 そして咥えると、顔を振ってしごく。しごきながら、蜜壷に入ったままの織部の指をもどかしがるような鼻声を洩らして、うねうねと淫らに腰をうねらす。
 それを見て織部は興奮をかきたてられ、指を使った。ピストンのように抽送したり、奥まで入れてこね回したりすると、そうやってかきたてられる快感を訴えるように千草がせつなげな鼻声を高め、夢中になって口で肉棒をしごく。
 織部が同時にクリトリスも指でこね回しはじめると、千草はたまりかねたようにペニスから口を離して、
「あはんッ、ああッ……おねがい、笑わないで……後ろのほうも、アナルもしてェ」
 と、熟れきった裸身をうねらせながら、またしても思いがけないことをいう。
 織部は驚いた。アナルへの性技を求められたからではなく、求めたのが千草だったからだ。千草にそんな好みもあったのか、伊村は彼女にそんなことまでしていたのか、という驚きだった。
 織部自身、医師だからもちろん、男にかぎらず女体におけるアナルの性的な機能については充分知っていたが、これまでアナルを愛戯の対象にした経験はなかった。まったく興味がなかったというわけではなく、とくに意識することもないままにきたのだった。
 が、千草に求められると、興味と伊村に対するライバル意識のような気持をかきたてられて、蜜にまみれた指をアナルに這わせた。
 ヒクヒク喘ぐように収縮するすぼまりをマッサージするように愛撫していると、千草はさももどかしそうな声を洩らして腰をもじつかせる。
 そのとき織部は、“三所攻め”という言葉を思い出した。
 そこで、右手の人差し指をバギナに、そして中指をアナルに挿入した。その薄皮一枚をへだてて触れ合った二本の指をこすり合わせながら、左手で、ふくれあがったクリトリスをこねた。
 千草の反応は眼を見張るほどだった。喘ぎとも呻きともつかないよがり声を洩らしながら、イキッ放しのような状態になって、織部の二本の指を、無数の襞を持ったバギナと窮屈なアナルが締めつけて咥え込む。
 異常な興奮に酔いしれている千草に織部も我慢できなくなった。指を引き上げると、名器に肉棒を当てがって突き入った。
 千草が悩ましい表情を浮きたててのけぞる。昨日内診したとき見た千草のバギナのようすと動きが生々しく脳裏に浮かんだ。挿入したままじっとしていると、そのバギナが織部の肉棒を締めつけ、寄せては返す波のようにザワザワとくすぐりたてて、咥え込んでいく。
 ただ挿入しているだけで、あっけなく暴発してしまいそうだった。そんなことになったら、まるで童貞だ。あわてて織部は腰を使った。すると、こんどは無数の襞が肉棒にからみついてくる感じがある。いずれにしても持久力を誇ることはできそうもなかった。
 千草のほうは織部が突き引きするたびにすすり泣くような声を洩らしている。もう織部に合わせていつでもイケる感じだった。
「いいか?」
「いいッ、ああん、たまらないッ」
 千草が泣き声で快感を訴える。
「どこがいい? 千草が好きないやらしい言葉でいってごらん」
 織部が動きを速めると、千草は例の四文字言葉を口に出し、それでますます興奮して感泣しながら「オマ×コがいいのォ」とか「オマ×コ、もっとしてッ」だのと、卑猥な言葉を連発する。
 美人の大学講師のものとは思えない露骨な言葉を聞きながら、肉棒にまといつきからみついてくる襞の中に激しくピストン運動をしかけていると、織部のほうはもう限界だった。ふくれあがった快感を解き放って一気に迸らせた。
 
【3】
 二人の男の間には、さっきから重苦しい沈黙が流れていた。
 そこは、千草の夫の伊村の行きつけらしいバーで、カウンターの端の席に並んで坐っているのは、その伊村と織部だった。
 あろうことか昨日の織部と千草の情事がその日のうちに伊村に発覚して、そのことを織部は今夜、伊村に呼び出されていわれたのだ。
 伊村がいうには、昨夜千草の手首にうっすらと残っていた縛られたあとに気づき、問い詰めると、千草は織部の名前を白状したらしい。
 伊村から電話があって「会って話したいことがある」といわれたとき織部は、まさかとは思いながらも、なんとなく悪い予感がしていた。予感が的中して冷汗とも脂汗ともつかないものが毛穴からドッと吹き出すのを感じた。
 ところが、なぜか伊村はそれっきり黙ったままだった。
 もとより織部のほうは謝ってすむことではないだけに、いうべき言葉もなかった。
 それにしても伊村は何を考えているのか、さっきからウイスキーの水割が入ったグラスを手にチビチビやっているだけだった。
 織部の前にも同じものが入ったグラスが置いてあったが、彼のほうはまったく手もつけず、借りてきた猫のように悄然として、全身が汗にまみれたような不快感と息が詰まるような息苦しさをおぼえていた。
 そのとき伊村がグラスをカウンターの上に置き、
「責任の半分は千草にもあるわけだけど、困ったねえ」
 と溜め息まじりにいった。
「きみとは同世代だし、おたがい仕事はちがっても同じ自営業だ。おまけにうちのと奥さんの美由紀さんも共通してるところがある。だから、知り合ってすぐに旧知の間柄のような付き合いをしてきた。俺はそう思って、これからもずっと、夫婦ぐるみで付き合っていけるいい友だちだと思っていたんだ。それがこんなことでだめになってしまうなんて、残念でならない……」
 項垂れて目の前のすっかり氷が解けてしまった水割を見つめていた織部は、伊村の言葉に胸を突かれて、
「謝ってすむことではないけれど、申し訳ない。このとおりだ」
 と呻くようにいって頭を下げた。
「そう、謝ってもらってすむような問題じゃない。だから俺は、できればいままでどおり、夫婦ぐるみで付き合っていきたいと思ってるんだ」
 思いがけない言葉に織部は弾かれたように顔を上げて伊村を見た。
「できれば!?」
 伊村は真剣な顔つきでうなずいた。
「そのための方法は、ただ一つ。きみが千草としたと同じことを、俺が美由紀さんとすることだよ」
「!…………」
 織部は驚き、うろたえた。伊村は美由紀を抱きたいといっているのだ。妻を寝盗られた腹癒せにそんなことをいいだしたのか。自分でも顔が強張っているのがわかった。
「そんなバカなことができるかっていいたいんだろう?」
 伊村は穏やかな顔つきと口調でいった。
「きみの気持はともかく、確かに俺が美由紀さんを誘惑しようとしても彼女は乗ってこないだろう。まして、きみと千草のことを話して、だから俺たちも……といったって、彼女がその気になる可能性も薄い。それより最悪の場合、美由紀さんはきみと別れるといいだすかもしれない。それで俺は考えたんだ……」
 そこまでいって伊村は水割を一口飲んだ。そして、何をいいだすのかと思って落ち着きなく待っている織部を見て、いった。
「これも方法は一つ。スワッピングだよ」
「スワッピング!?」
 思わず織部は声を高め、あわてて周りを見回した。
「そうだ。それでみんな、うまく収まる。ただし、美由紀さんを説得するのは、きみの役目だ。それだけの責任はあるはずだよ」
「まさか、本気でいってるのか?」
「もちろん本気だよ」
 事も無げにいう伊村に織部は返す言葉もなく、茫然とした。
 
 その夜、織部が帰宅したのは、午前零時を回っていた。伊村と別れたあと、一人で飲んでいたのだが、あんな話のあとだけに飲んだわりには酔えなかった。
 まるで美人局にでも遭ったような気持に織部はなっていた。
 妻の美由紀はすでにベッドの中だったが、シャワーを浴びたあと織部が居間でビールを飲んでいると、起き出してきた。
「飲んでらしたんでしょ? それなのにまた?」
「ああ、寝つけそうにないんでね」
「何かあったの?」
 織部は一瞬、スワッピングの話を打ち明けてみようかと思ったが、
「いや……」
 といっただけで、やめた。
 織部自身迷う、というより迷う以前の問題だった。もちろん伊村にはイエスともノーとも返事はしていない。といって千草との不倫の事実は消せない。伊村がそれと引き換えに美由紀を抱かせろといっているのであれば、即座に断っていた。そうではなく、二組の夫婦がこれまでどおりうまくやっていくためにスワッピングをやろうといっているのだ。先に千草を抱いてしまった織部としては、返答に困ってしまったのだった。
 美由紀がテーブルを挟んで織部と向き合ってソファに坐った。
 そのときになってようやく織部は、寝るときはたいていパジャマを着る妻がいつになく悩ましい恰好をしているのに気づいた。ゴージャスにレースをあしらった白いシルクのキャミソールとフレアパンティという恰好だった。
「今夜はまた、どうしたんだ?」
「週末の夜くらい、たまにはいいでしょ?」
 美由紀は艶めかしい笑みを浮かべている。
 織部は驚いた。妻は織部を求めているのだった。そんなことはいままでになかったことだ。美由紀はそういう女だった。
 色気がないわけではない。表に出るより内に秘めているとでもいえばいいか。それがベッドの中では滲み出し漂い出てくる。女としての機能も、婦人科医の織部が妻にしたぐらいだから恵まれている。容姿にしてもデザイナーかモデルになるか迷ったほどだから、人並み以上の魅力がある。
 そんな妻の悩ましい姿を眩しげに見ながらビールを飲んでいる織部の脳裏に、そのとき、やりきれない嫉妬をかきたてられるシーン−−妻が全裸で縛られ、すべてをさらけ出して伊村に弄ばれている−−が生々しく浮かび上がってきた。
 織部は突然立ち上がった。驚く妻の手をつかむと、拉致するように寝室に連れ込んだ。
「パンストはどこにある?」
「そんなもの、どうするの?」
「いいから出せ!」
 織部の剣幕に妻は驚き、怪訝な顔をしてパンストを出してきた。
「急にどうしたの?」
「たまには変わった遊びもいいじゃないか」
 いうなり織部は妻のキャミソールを剥ぎ取るようにして脱がした。上向きに形よく反ってみずみずしく張った乳房が生々しく弾んで、あらわになった。
「両手を背中に回してごらん」
「いやだわ。今夜のあなた、変だわ」
「いいから、さ……」
 織部が両手を背中に回して交叉させると、美由紀はされるままになった。パンストの真ん中で手首を縛ると、ベッドに仰向けに寝かせてフレアパンティを毟り取った。美由紀は喘いで全裸になった躯をくねらせただけだった。
 織部は千草のときと同じようにパンストの両端でそれぞれ膝を縛り、両脚を大胆に開かせた。
「ああッ、いやッ」
 美由紀は羞じらって顔をそむけた。が、その声も顔もひどく艶めいていた。
 織部は内心、おや? と思った。相手が夫とはいえ、はじめて縛られ、しかもすべてがあからさまなった恥ずかしい恰好にされれば、もう少しいやがるのではないかと思ったのだが……妻にそんなようすはない。そればかりか見方によっては、むしろそうされて興奮さえしているように見えなくもない。
「どうだ? はじめて縛られて、いい恰好にされた気持は」
 そういいながら無防備な股間に手を這わせた織部は、不意打ちを食らったような気持になった。驚いたことに、千草よりも色も形状もまだきれいな秘唇をパックリと開いてサーモンピンクのクレバスをあからさまにしたそこは、早くもジットリと濡れている。
「おい、縛られただけでグッショリじゃないか。そのケがあるんじゃないのか!?」
 驚きながらもからかうようにいって、指先でクリトリスをくすぐるようにこね回してやると、
「そんな……あんッ、ああッ……」
 美由紀は戸惑ったようにいい、ふるえをおびた喘ぎ声を洩らして腰をもじつかせる。そのまま嬲っていると、みるみるクリトリスがふくれあがってきて、悩ましい表情を浮きたてて狂おしそうにのけぞりながら、みずみずしく張った乳房をプルプルふるわせて、きれぎれに感泣するような声を洩らしはじめた。
 織部は蜜壷に中指を挿した。短く呻いた妻の上体が大きく反った。
 美由紀のその部分は、婦人科医の見立てに叶っただけあって、味わいに富んでいる。俗にいう“カズノコ天井”に“三段締め”という構造と機能にGスポットもある。
 熱くぬかるんだ蜜壷を、織部は指でこねたりこすったりしながら、同時に親指でクリトリスをいじり、一方の手で乳房を揉んだ。
 美由紀はたちまち狂おしい反応を見せはじめた。織部の欲情を煽らずにはいない悩ましい表情と声で感泣しながら、淫らに腰をうねらす。
 嬲りつづける織部の指を、ザラつきを持った蜜壷が繰り返し生々しく締めつける。それもその締めつけが入口から中程、さらには奥というように移動していく感じで指を咥え込んでいく。
 美由紀の感泣と息遣いが切迫してきた。顔が表情を失い、潤んだ眼は絶頂を直前に見ているそれだった。
 織部の指を咥えた蜜壷がピクピク痙攣する。
「ああッ、あなたッ!」
 一際昂った声を発した美由紀がまた悩ましい表情を浮きたて、胸を突き上げてのけぞると、
「だめッ、イクッ、イクーッ!」
 泣きながらガクガク腰を揺すりたてる。その瞬間、織部の掌に、ビュッ、ビュッと愛液が迸った。
「ああッ、あなたァ、ああん、もうきてッ」
 興奮しきった顔つきで腰をうねらせて求める。織部はだが、応じてやろうとはしなかった。かわりにあのときの千草の狂態を想い浮かべながら、はじめて妻の、赤褐色のオチョボ口のようなアナルに、蜜にまみれた指を這わせた。
「あッ、そ、そこは……!」
 美由紀の顔が戸惑いの表情に変わって、焦れるように腰をもじつかせる。
「ここは、いやか?」
「ううん、だめよ、いけないわ」
 美由紀は「いや」とはいわない。「だめ」とか「いけない」というのは、女の場合、消極的応諾も同然だ。
 アナルをいやがらない妻を、そして、そればかりかもどかしそうに腰をもじつかせながら、みるみるまた昂った顔つきになっている妻を、織部はいささか意外に思いつつ、揉みほぐれてきたアナルにゆるゆると指を侵入させていった。
 妻の開ききった両脚が小刻みにふるえ、窮屈な肉孔の口が織部の指を食い締めてきた。織部が、その緊縮力をほぐすように指で肉孔をこねると、みるみる妻の息遣いが荒くなって、
「はんッ……ううーん……あはんッ……」
 と、織部もはじめて聞くような艶めかしい声を洩らす。妖しい表情を浮かべて狂おしそうにのけぞる顔は、疑いもなく、アナルで快感をおぼえているそれだった。
「アナルがそんなにいいか?」
 織部自身、異様な興奮につつまれている妻に欲情を煽られながら、その一方でいままで自分が知らなかった別人の妻を見ているような複雑な気持で聞くと、妻はウンウンとうなずき返し、
「ううーん、いい……ああん、もう躯がヘンになりそう……」
 うわごとのようにいう。
「美由紀……」
 織部はそんな妻につられたように切り出した。
「スワッピングをどう思う?」
「どうって……そんなこと、急に聞かれても、わからないわ」
 美由紀は息を弾ませながらいう。織部がアナルに収まった指を抜き挿ししているのだ。
「もしも、俺がやってみようといったら、どうする?」
「あなた、してみたいの?」
「おまえに聞いてるんだ」
「わたしは……あなたが、どうしても、したいっていうなら……あなたといっしょだったら……」
「してもいいっていうのか!?」
 妻はうなずいた。それを見て織部のほうがうろたえた。当然、妻は頑なに拒むものとばかり思っていたのだ。
「いいっておまえ……かりに相手が、伊村だったらどうする?」
「あなたが、そうしたいというなら……」
「かまわないっていうのか!?」
 美由紀はまた、興奮した顔で腰をうねらせながらうなずく。織部はますますうろたえながらいった。
「伊村は、こうやって女を縛って弄ぶSM趣味を持ってる男だぞ」
「それで、あなたもこんなことをしたの?」
 逆に妻にゾクッとするほど艶めかしい眼でなじるように見て聞かれると、織部は一瞬言葉に詰まった。
「そんなことより、そんな伊村でもいいのかと聞いてるんだ」
「わたし、あなたのいうとおりにします」
 妻は狂おしそうにのけぞっていう。ふだんから従順な妻だが、ここまでとは思わなかった織部が茫然としていると、
「ああん、あなた、このままじゃいやァ」
 美由紀が嬌声をあげて縛られた裸身を焦れったそうにくねらす。織部は萎えかかったペニスを妻の口許に突きつけた。それを咥えた妻が、吸いたてながらじゃれるように舌をからめてくる……。
 
【4】
 伊村の家の居間に二組の夫婦が顔をそろえていた。
 これまでもよく、そうやってホームパーティを愉しんできた四人だが、この日ばかりはいままでのそれとはちがっていた。
 オードブルが並んだテーブルを挟み、片方のソファに織部と千草が、一方に伊村と美由紀がそれぞれパートナーを換えて向き合って坐り、四人ともウイスキーの水割を飲んでいる。
 織部の気持は複雑だった。
 元はといえば、織部と千草の浮気が原因なのだが、誘ったのは千草のほうだった。それでも不倫の罪を犯したことに変わりはないと思い、伊村に求められてあいまいな気持のまま妻にスワッピングのことを打診してみたのだ。ところが、言下に拒絶するものとばかり思っていた妻が、意外にもそうではなかった。その結果、ズルッとトコロテン式にスワッピングに踏み切ったのだが、いざとなると、まだ気持は揺れていた。
 伊村に抱かれる妻−−そのシーンを想っただけで気が狂いそうな嫉妬をかきたてられながら、それでいて思いもよらなかった夫婦交換という情痴に胸が高鳴っている。織部の胸の中で相反する二つの思いが交錯し、激しくせめぎ合っていた。
 そんな織部の前で、いま、妻の美由紀は伊村に肩を抱かれ、恥ずかしそうなようすを見せながらも伊村にすすめられるまま水割を飲んでいる。
「織部はやっぱり、美由紀さんが気になるみたいだね」
 伊村が笑いながら、織部の気持を見透かしたようにいう。
「俺は、何もそんな……」
 織部が狼狽していると、
「美由紀さん、彼は平気なんだって。少し見せつけてやろうよ」
 伊村はそういって美由紀を抱き寄せ、唇を重ねていく。美由紀はされるままになって唇が合った瞬間、ちらっと織部のほうを戸惑ったような表情で見たが、すぐに眼をつむって伊村のキスに応じた。
 織部はカッと全身が熱くなった。
 二人は濃厚なフレンチキスを交わしはじめた。見ているだけで、たがいに舌をからめ、まさぐり合っているのがわかった。
「ね、織部さん、わたしたちも……」
 織部の耳元で千草が囁き、躯をすり寄せてきた。
 我に返った織部を、眼を閉じて顔を仰向けた千草の、ピンクのルージュを引いて濡れ光った蠱惑的な形の唇が誘っていた。
 織部は荒々しく唇を重ねた。唇を割って滑り込ませた舌で、貪るように千草の口腔をまさぐる。それに応じて千草も熱っぽく舌をからめ返しながら甘い鼻声を洩らす。
 織部は伊村と妻のほうをちらちら見ていた。二人に対抗するように千草と濃厚なキスを交わしながら……。
「おたがいにいいムードになってきたみたいだね」
 伊村がいった。
「そろそろみんな、生まれたままの恰好になろうよ」
 最初に伊村が脱ぎはじめ、促されて三人も従った。そうして全員が全裸になると、男たち二人は早くもエレクトしていた。
「とりあえず、俺と美由紀さんが先に寝室にいくから、そっちはそのあと少し経って入っておいでよ。それでいいだろう?」
 暗にそれぐらいの権利は自分にあるというような口ぶりで伊村にいわれると、織部と千草はそうするしかない。
 それにしても伊村はなぜ先に美由紀と二人きりになりたがるのか。
 まさか!……
 恥ずかしい恰好に縛られた妻の姿が織部の眼に浮かび、嫉妬の炎が燃え上がった。
 そんな織部を尻目に「さ、美由紀さん」と、伊村は美由紀の腰に手を回して寝室に向かっていく。妻の恥ずかしそうに俯いた横顔や、悩ましく揺れるヒップがたまらなく艶めかしく見えて、織部の胸を締めつけた。
 二人が寝室に消えると、
「うらやましいわ、美由紀さん」
 千草がつぶやいた。
「ご主人にこんなにも思われているんですもの」
 まだ寝室のほうを見やって茫然としていた織部を色っぽい眼で睨む。織部は無理に笑っていった。
「俺だけじゃないさ。伊村だって、内心は同じはずだよ」
「そうかしら。うちは二人ともクールなの。それに主人、歓んでるのよ」
「歓んでる?」
「彼は前から美由紀さんがお気に入りなの。わたしが織部さんのこと思ってたのと同じように。だからわたしも、こういう関係が理想的だと思うわ」
 千草がそういうのを聞いて織部は、不意に自分でも驚くようなことを思った。
 すべては伊村と千草が仕組んだことではないのか!? ……
 そう思ってみると、千草のほうから織部を誘惑したことといい、そしてすぐにあっけなく浮気が発覚したことといい、それに伊村が突然スワッピングの話を持ち出してきたこといい、すべて辻褄が合う。
 しかし、そこまでは二人の計画だったとしても、美由紀がスワッピングを拒否すれば、二人の思惑は外れていたはずだ。
 そう思った瞬間、織部は手にしていた水割グラスを落としそうになった。
 信じがたいことだが、逆にいえば、美由紀の協力があれば、計画は成功するのだ。
 そのとき織部の脳裏に三日前の夜のことが禍々しく浮かび上がってきた。
 織部の帰宅をいつになく悩ましい恰好で迎えた妻。はじめて織部が縛るという行為を仕掛けたにもかかわらず、さして驚きもいやがりもしなかった妻。そればかりか早くもジットリと濡れていたクレバス。それにアナルを攻めたときも同様だった。あのときの、はじめてとは思えないほどの燃え方……。
 そして、それより何より夫唱婦随を前提にしながら−−考えてみれば、それはもっとも都合のいい言い訳ではないか−−あっさりとスワッピングに賛成した妻……。
 美由紀は伊村たち夫婦からスワッピングの計画を持ちかけられて、すべてを承知して協力したのだろうか。いや、ただの協力者ではないのかもしれない。
 まさか、美由紀は美由紀ですでに伊村と……。
 織部の胸の中で、想像の黒い雲がつぎからつぎに湧き上がってきて、それはもう想像ではなく、禍々しい現実そのものの黒い塊になって、重くのしかかってきた。
「うんッ、織部さんたら……」
 すねたようにいいながら千草が織部の手からグラスを取り、
「飲んでばかりいないで、わたしたちも愉しみましょうよ」
 としなだれかかって、手で股間をまさぐってきた。そのままスルリと千草はソファから下りて、織部の前にひざまずいた。
 千草のしなやかな指が萎えたペニスにからみ、華やいだ形の唇がそれを咥え込む。吸いたてながら、舌がちろちろとそよいでくすぐりたててくる。
 織部は千草のするがままに任せていた。ショックで頭の中が白っぽくなって、ほとんど上の空だった。
 それでも分身のほうは勝手に意志を持ちはじめていた。千草はウットリとした表情を浮かべて、肉棒と化したペニスの先から根元まで舐め回している。ちらっと織部を妖しく潤んだ眼で見上げ、股間から顔を起こすと、唾液にまみれた肉棒を興奮した顔つきで凝視して喘ぎ、立ち上がって織部の膝をまたいだ。
「美由紀さんたち、どうしてるのかしら」
 織部に色っぽく笑いかけ、手にした肉棒を見やって、すでに濡れ光っているクレバスにそれをこすりつける。肉棒はだが、みるみる萎えていった。
「いや、どうしたの?」
 千草が焦れったそうにいって腰を振ったとき、突然、寝室から艶めかしい声が聞こえてきた。
 織部は弾かれたように顔を上げて寝室のほうを見た。悩ましい喘ぎ声がきれぎれに洩れてくる。
「ね、もうわたしたちもいってみましょうよ」
 膝から下りた千草に手を取られて、織部は夢遊病者のようにふらりと立ち上がった。
 千草のあとにつづいて寝室に入った織部は、その場に立ちつくした。
 二つ並んだベッドの一方の上で、美由紀は仰向けに寝かされ、両脚を大きく開いてロープで拘束されていた。乳房の上下にもロープが巻きつき、みずみずしいふくらみが絞り出されているところを見ると、両手は後ろ手に縛られているらしい。
 それよりその両脚の間に陣取った伊村の手で、黒々としたバイブが蜜壷に挿入され、羽音のような音を響かせているそれを伊村が抜き挿しするのに合わせて美由紀はよがり泣きながら、人の字を描いた熟れた裸身を狂おしそうにのけぞらせて悶えているのだった。
 美由紀の顔は、そうして弄ばれて快感に酔いしれている。どう見ても、はじめてそういう遊びを経験した顔ではなかった。
 茫然と立ち尽くしたまま織部はそれを見て、さっきから胸の中にある黒い塊がまちがいなく現実のものだと確信した。そのとき伊村が振り向いて笑いかけてきた。
「そこにプレイ道具はそろってるよ。きみのほうも千草を好きに責め嬲ってやってくれ」
 いわれるまでもなかった。得体の知れない激しい衝動に駆りたてられた織部は、ロープやいろいろな種類のバイブや、それに鞭や犬の首輪まである中から、まずロープを手にすると、千草を後ろ手に縛りあげた。そしてベッドに追い上げると、妻がされているのと同じように両脚を大きく開いてベッドに括りつけた。
「うまいものじゃないの」
 隣のベッドから伊村が笑っていう。
「おたがいにパートナーをたっぷり歓ばせたら、そのあとは二人を奴隷にして、いっしょに愉しもう。美由紀さんにも、そのケは充分あるようだよ」
 織部は千草の濡れそびれたクレバスを手で押しひろげ、蜜壷にバイブを突き入れていった。もうこうなったら、あとには退けない。いくところまでいってやると、なかばヤケ気味に思いながら……。



【人妻・美帆 背徳の性】


【1】
 今西夫婦の案内で、秋たけなわの京都の史蹟をめぐり、そのあとで木屋町にある京料理の店で夕食をすませ、北白川の今西夫婦の家に帰ってくると、もう釣瓶落としの秋の日はとっぷりと暮れていた。
 柴崎祐三は、そういう観光趣味はまったく持ち合わせない男で、史蹟よりも俗っぽい盛り場のような場所を好むタイプなのだが、親友夫婦がせっかく案内してやろうというのをむげに断ることもできず、好意にしたがったのだった。
 そんな柴崎を知っていたからだろう。
「史蹟めぐりなんかに引き回したりして、かえって退屈したんじゃないか?」
 今西英夫は居間のソファに腰を下ろすと、そういって気づかった。
「いやァ、こういう機会でもなければ、京都にきてもなにも見ずに帰ってしまうところだよ」
「おまえに気に入ってもらう場所となると、俺はちょっとうといんでね」
 今西は苦笑した。
「あら、柴崎さんがお好きな場所って、どんな所ですの?」
 今西の妻の美帆が、華やいだ顔にいたずらっぽい微笑を浮かべて口を挟んだ。
「きまってるじゃないか。きれいな女性がいる所だよ」
「おい、よせよ。美人なら、目の前にいるじゃないか」
「お上手ね。いつも、そんなことをおっしゃって女性にモテていらっしゃるのね」
「そうだよ。おまえも気をつけなさい」
「おいおい、夫婦そろってからかうなんてひどいじゃないか」
 三人は笑い合った。が、美帆だけはなぜかすぐに生真面目な顔つきになって、じっと柴崎を見ている。
 人妻が夫以外の男を見るにしては、妙な誤解をうけても仕方ないような、どこか熱っぽい眼つきだ。
 柴崎は戸惑った。
 そういうことは、だが、このときがはじめてではなかった。昨夜の夕食のときにもあったし、今日、京都を案内してもらっているときも、ふと気づくと、熱い眼差しで美帆が柴崎を見ているのになんどか出くわした。
 そんな妻に今西は気づいているのかどうか、
「ウイスキーでいいかい?」
 柴崎に聞く。
「ああ」
 柴崎がうなずくと、
「その前にお二人とも、お風呂になさったら?」
 美帆がふだんの顔つきにもどっていった。
「俺は、今夜はやめとくよ」
 今西も柴崎も夕食のときから酒を飲んでいた。柴崎より酒に弱い今西のほうは、もういくらか酔っているようだ。美帆だけはクルマを運転しなければならなかったので飲んではいない。
「柴崎さんは?」
「じゃあ、ざっとシャワーを浴びてくるか」
「そうなさって、その間にお酒の用意をしておきますから」
 キッチンに入っていく美帆に、柴崎は、この日なんどもそうしたようにチラッと盗み見るような視線を投げかけた。
 ピッタリとフィットしたスリムパンツが、すばらしくプロポーションのいい人妻の、熟れて形よく張ったヒップと脚線美をたまらなくセクシーに見せている。
 観光趣味など持ち合わせない柴崎だが、この日の史蹟めぐりの間も退屈しなかったのは、そのセクシーな下半身を観賞しているだけでも飽きなかったからだった。
 
 柴崎がはじめて美帆を見たのは、五年前の今西との結婚式のときだった。
 昨日、柴崎が上洛してきたのは、それ以来だから、ちょうど五年ぶりになる。
 柴崎と今西は、東京で学生時代を送ったときからの親友だが、その頃から二人は対照的なタイプだった。
 軟派の柴崎に対して今西のほうは勉学一筋のカタブツで、それでも妙にウマがあったのは、おたがいに自分にないものを持った相手を認め合える、そういう相性のよさがあったからだろう。
 それから十数年。三十五歳になったいまも、タイプのちがいだけはかわらない。そのちがいが、そのまま二人の現在の仕事にもつながっている。
 柴崎は小説家−−といってもポルノ専門の作家になり、今西のほうは生まれ育った京都に帰ってきて、大学の助教授になっている。
 五年前、今西の結婚式に出席した柴崎は、花嫁を見て驚いた。カタブツの今西からは想像もできない美人だったからだ。
「おまえが、あんな美人をどうやって口説いたんだ?」
 そのとき今西にいった柴崎の言葉は、冷かしというより半分は嫉妬まじりの本音だった。
 実際、花嫁姿の美帆は美しかった。
 若々しさと初々しさの中に、長い歴史の間に育まれ磨き上げられた、これが京女かと思わせる上品な艶があった。
 それから五年……。
 その間も今西からたびたび遊びにくるように誘われた柴崎だったが、その気はあっても仕事に忙殺されてきた。それがたまたま暇ができ、こんどの上洛になったのだった。
 五年ぶりに会った美帆は、たしか二十八歳になっているはずだったが、再会を密かに愉しみにしていた柴崎の期待を、その美貌はいささかも裏切らなかった。
 そればかりか若々しい初々しさのかわりに、人妻らしい落ち着きの中に妖艶といってもいい熟れた色香がただよう、ますますいい女になっていた。
 柴崎を迎えたときの今西夫婦は、二人とも和服姿だった。艶やかな髪を結い上げ、すっきりとした襟足を見せた美帆を、柴崎はまぶしげに見て、このときもまた今西に嫉妬をおぼえずにはいられなかった。
 その美帆が、クルマを運転するためもあったのだろうが、この日うってかわって活動的なスリムパンツを穿いて現われたときは、柴崎も意表を突かれた。しっとりとした和服もいいが、そういうスポーティなスタイルも美帆には似合っていた。
 そのとき、いまなお独身の柴崎は、ふと思ったものだ。これほどの女を今西のなにが魅きつけているのだろうか、と。
 
【2】
 それにしても……と、柴崎はシャワーを浴びながら不審に思った。
 美帆の、あの眼差しはいったい、どういうことなのだろう。ひょっとして、俺に気があるのかも!? しかし、まさかあの貞淑な美帆にかぎって……。
 都合のいい想像を打ち消して浴室を出た。用意されていた浴衣を着て半纏を羽織り、居間にもどると、そこへ美帆が酒の肴を載せたワゴンを引いてきた。
 一瞬、柴崎はその姿に見惚れた。昼間のスポーティなスタイルから一変して、すばらしいプロポーションをチャイナドレスにつつみ、悩ましいボディラインを見せているのだ。
 グラスには、すでにウイスキーの水割が入っていた。それぞれグラスを手に、三人は乾杯した。
「明日は、あいにく講義があるんだ」
 今西が申し訳なさそうにいった。
「いっしょにいければいいんだけど、残念ながらそうもいかない。美帆のクルマで、高雄の紅葉を見にドライブでもしたらどうだ?」
「気を使わないでくれ。美帆さんを毎日運転手として駆りだしてはわるいよ」
「そんなこと、わたしはかまいませんわ」
「そう、遠慮することはない。もっとも、おまえのほうに特別な予定でもあるなら、べつだけど……」
「いや、これといった予定はない……」
 だからといって昼間、今西のいない家に美帆と二人きりでいるわけにもいかない。こういうこともあろうかと思って、そのときは雄琴まで足を伸ばしてソープにでもいってみようかと考えていた柴崎だった。
 ただ柴崎は、ソープはあまり好きになれない。すべてが都合よくできていて、おもしろみがないのだ。そのために相手にする女は、バーやクラブの女かシロウトの女ということになる。
 だから、場合によっては京都の街中でハントを試みてもいいと思っていたのだが、
「ね、そうなさったら?」
 美帆に重ねてすすめられて、
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
 柴崎はそうすることにした。しぶしぶというわけではない。そればかりか美帆と二人きりでドライブできるなら、そこになにがなくとも気持がときめいた。
 飲みながら昼間の史蹟めぐりのことなどを話していると、今西は酔いが回って眠くなってきたらしい。しきりに欠伸を噛み殺しているようだった。
「眠いんじゃないのか?」
「おかしいな、急にたまらなくなってきた……」
 そういいながら、こらえきれなくなったらしく、大きな欠伸をした。
「いやだわ、あなた、お客さまの前で……」
 美帆が困惑した顔でいう。
「ごめんなさい。酔うと、いつもこうなんです」
「かまいませんよ。もう寝かせてやってください」
「すまんな……」
 今西が眼をつむったまま呂律のあやしい口調でいって立ち上がった。
「じゃあ、俺はさきに休ませてもらうよ」
「あなた!」
「おい、しっかりしろ!」
 歩きかけるなりよろけた今西を、美帆と柴崎があわてて両脇から支えた。
 今西はもう眠りかけていた。柴崎と美帆は、ぐったりとなった今西を抱えて二階にある寝室まで運んでいった。
 夫婦の寝室に入ったとき柴崎は、悩ましさと妬ましさが入りまりったような気持ちになった。今西をダブルベッドに寝かせると、
「あとはわたしがやりますから、下でお飲みになってて」
 美帆がいい、柴崎は寝室を出た。
 ひとり居間でグラスを傾けていると、やがて美帆がもどってきた。
「今西は?」
「もうぐっすり。すみません。主人のかわりにわたしがお相手しますわ」
 申し訳なさそうにいいながら、妙に口調が弾んでいる。
「うれしいね。今西にはわるいけど、彼が眠くなってくれたことに感謝しなきゃ」
 柴崎は冗談めかしていってグラスを持ち上げると、美帆に乾杯をうながした。
 まァ、というように艶冶な笑みを浮かべて美帆はグラスを合わせ、美しい脚をさりげなく組んで、華やいだ花びらを想わせる唇にグラスを運ぶ。
 柴崎はドキッとした。チャイナドレスのスリットから、肌色のストッキングにつつまれた太腿が覗き、いやでも眼を奪われる。
「さすがだね」
 つぶやくように柴崎がいうと、
「え!?」
 美帆が顔を上げた。
「チャイナドレスは、よほどプロポーションがよくないと似合わないけど、美帆さんが着ると、ますます素敵だ」
「そんな……お世辞でも褒めていただくとうれしいけど、なんだか恥ずかしいわ」
 艶めかしく笑って、柴崎をたしなめるようにやんわりと睨む。いくらか酔っているようだが顔に色が出ないタチらしく、眼だけがとろんとして、その眼差しが柴崎もドギマギするほど色っぽい。
 そういいながらも美帆は柴崎の視線をさして気にしているふうもなく、脚は組んだままだ。
 まさか、挑発しているのでは!?……
 柴崎も少し酔ってきたのを感じながら、そのせいだろうか甘く胸をくすぐられるような背徳的なときめきが酔いのようにひろがってきた。
 なんとなく重苦しい、それでいて艶めかしい沈黙が流れた。
 そのとき、ゆっくりグラスを傾けていた美帆が「わたし……」と、視線を落としたままいった。
「柴崎さんの小説、ほとんど読ませていただいてますのよ」
 唐突な言葉に柴崎が驚いていると、
「ただ、主人には内緒ですけれど……」
 酔って色っぽさがました顔に秘密めいた笑みを浮かべていう。
「今西に内緒で?」
「ええ。だって、主人が知ったら、はしたない女だと思うにきまっていますもの」
 たしかに美帆のいう通りだ。あのカタブツの今西が、妻が柴崎の書くようなポルノ小説を愛読していると知ったら、そう思うにちがいない。
「しかし驚いたな。美帆さんが、ぼくの書くポルノの愛読者だったなんて……」
「柴崎さんも、はしたない女だとお思いになって?」
「とんでもない。それどころか美帆さんのような魅力的な女性に読んでもらうなんて、作者としては、これ以上ない光栄の至りですよ。でも、なぜぼくの小説を?」
「それは……」
 いいかけて羞じらったようにうつ向き、
「わたしの知らない、いろいろなことを書いていらっしゃるから……」
「知らないって、セックスのこと?」
「え、ええ……」
「だけど、美帆さんは人妻なんだし、今西からいろいろ教えられてるでしょう?」
 酔いのせいで、ふだんなら聞きにくいことも、スラスラと口を突いて出る。
 すると美帆が、視線を膝に落としたまま、
「人妻でもわたし、あまりいろいろなことは知らないんです」
 と、つぶやくようにいう。
 カタブツの今西が夫だから、ありうることだ、と柴崎は思った。そう思いながら、そういうことをためらいもなく答える美帆に驚いた。ふだんの美帆からは想像もできない。
 もっとも、もとはといえば美帆が柴崎のポルノ小説を愛読しているという告白から、こんな話になったのだが、そのこと自体、意外だった。
 それに多少酔ってるとはいえ、なぜ美帆はこんな話をするのか、なにか意図することがあるのではないか?……
 そう思うと、不可解な気持とはべつに柴崎の胸はますますときめいてくる。
 そのとき、それまで我慢していた尿意がこらえられなくなった。
「失礼。ちょっとトイレへ……」
 柴崎はソファから立ち上がった。
「興味深い話なので、もどってきたら、ぜひもっとくわしく聞きたいね」
「わたし……見たいわ」
「えっ!?」
 驚いた柴崎は、うつ向いている美帆の顔を見て息を呑んだ。思いつめたような表情のために美貌がいっそう冴えて、しかもなぜか昂っているように見えたからだ。
 が、美帆がなぜ彼が放尿するところを見たいなどといいだしたのか、そしてどうして見るからかに興奮した顔つきになっているのか、いままでの話以上に驚くべきことだったが、すぐに察しがついた。
「美帆さん!……」
「わたし、柴崎さんの小説の中で、『淑妻淫乱』が一番好き……」
 うつ向いたままの美帆が、抑揚のない、そのぶん胸の中に秘めていたものを吐き出すように聞こえる口調でいう。
 柴崎が想った通りだった。
『淑妻淫乱』という小説のヒロイン奈津子は、貞淑な美貌の人妻で、カタブツの夫と平穏な結婚生活を送っている。そして、ワンパターンのセックスしかしない夫から、セックスとはそういうものだと教え込まれている。
 ところが、夫の親友に巧みに誘惑されて、半ば犯されるようにして躯を奪われ、そのまま関係をつづけていくうちにしだいに自分の中に潜んでいた好色性にめざめ、夫の前では相変わらず貞淑な妻を演じながら、その男との情事のときだけは人がかわったように淫乱な女になるまでに変貌していく。
 あるとき奈津子は、ホテルのバスルームで男が放尿するのを見て欲情する。そして、たまりかねて貪るようにフェラチオにふけりはじめるのだ。
 じつをいうと、その『淑妻淫乱』という小説は、柴崎が自分と今西と美帆をモデルに密かな願望を込めて書いたものだった。
 そのことに美帆自身、気づいているのかどうか……そんなことよりも「淑女淫乱」という作品が一番好きで、柴崎の放尿を見たいというのだから、美帆が奈津子のような体験をしてみたいという願望を抱いていることは、もう疑いようもない。
 しかも美帆の中にも、奈津子と同じような好色性が潜んでいることになる。
 柴崎は、思いがけない事の成り行きに酔夢でも見ているような気持だった。が、目の前で起こっていることは、まぎれもなく現実だった。
 早くも股間に熱いうずきが生じてくるのをおぼえながら美帆の手を取る。美帆のほうも、はっきりと興奮のためとわかる上気した顔つきでソファから立ち上がった。
 
【3】
 柴崎が便器の前に立つと、その横に美帆がひざまずいた。
 浴衣の前をはだけてブリーフをずり下げる。ブルンと弾んでペニスが露出した。同時に美帆が息を呑むようなようすを見せて、半立ちのペニスを食い入るように凝視する。
 半立ち状態でも、柴崎のモノはかなり立派だ。長さはふつうなのだが、太さとカリの大きさに見るべきものがあって、勃起すると、赤黒い亀頭がグッと大きくエラを張り、茎もさらに太くなる。
 それを美しい人妻がどんな気持で見ているのかと思うと、ますます見せつけてやりたい露出的な衝動に駆られて、柴崎は放尿しはじめた。
 その瞬間、
「ああッ……」
 美帆は喘いだ。美貌にごまかしようのない興奮の色が浮きたって、水音を響かせながらつづく放尿に食い入る眼が妖しく潤んで輝いている。
 放尿は長々とつづき、その間、美帆は興奮に酔った顔つきで、なんどとなく蠱惑的な唇を喘がせた。
 ようやく放尿し終わると、柴崎はペニスを手にして、ブラブラと揺すって見せつけた。美帆はまた、声に出して喘いだ。
「ほら、美帆さん、おしゃぶりしたいんだろ?」
 柴崎は、ペニスを美帆の顔に触れさせて、美貌をゆっくりと撫で回した。
「あ、ああッ……」
 美帆はウットリとした表情を浮かべて、ふるえをおびた喘ぎ声を洩らす。
「当然、今西のモノをおしゃぶりするんだろ?」
 かぶりを振る。
「え!?……じゃあ、いままでフェラチオの経験はないの?」
 驚いて聞くと、うなずく。
「これが初体験とは……いかにも今西らしいな」
 柴崎は新鮮な欲望に駆られて、ペニスを突きつけた。顔を撫で回している間に、それはもうビンビンに硬直していた。
「好きなようにおしゃぶりしてごらん」
 恐る恐るという感じで人妻はペニスにしなやかな指をからめてくると、欲情しきった顔つきで息を乱しながら、硬直の先から根元までなぞるようにして撫でる。そして、たまらなくなったようすで美しい花びらのような唇を寄せてくると、口に含んだ。
 チロチロと舌を戯れさせるようにして亀頭を舐め回していたかと思うと、ますます興奮を煽られたようすで顔で前後に振りながら、口腔全体を使って肉茎をしごく。
 テクニックとしてはぎこちない。が、かえってそれが初々しく、むしろ柴崎を刺戟した。
 興奮ということでは、美帆のほうが柴崎以上だった。硬直を咥えて揺れる顔が興奮に酔いしれて凄艶な表情を浮かべ、首の支えを失ってぐらついている。
 柴崎は、美帆を抱き起こした。
「夫の親友を誘惑するなんて、いけない奥さんだ」
「ええ、わたし、わるい妻なの」
 思いつめた燃えるような眼で見返されて、柴崎のほうがたじろいだ。美帆の手がチャイナドレスの下腹部に突き当たっているペニスをまさぐって、指をからめてきた。
「二人とも、今西を裏切ることになる」
「じゃあ、どうすればいいの?」
 こんどはからむような眼差しと口調で問われて、柴崎は言葉につまった。この場におよんで、いまさらなにを分別臭いことをいってるんだ、据膳じゃないか、と自分をけしかける気持と、今西に対する罪悪感が胸の中で激しくせめぎあっていた。
「柴崎さん、わたしのこと、きらいなのね」
 うつ向いて、かすれた声で美帆がいう。
「そんな……正直いうと、あの『淑妻淫乱』という小説の奈津子は、美帆さんをイメージ して書いたんだ。さらにいえば、奈津子が浮気する相手の男は俺自身で、俺の願望を込めて、美帆さんのことを想いながら書いたものなんだよ」
「小説の通りになったのね。おねがい、わたしを奈津子にして……」
 うつ向いたまま、ときめきのこもった、喘ぐような声でいって、人妻の手がジンワリとペニスを握り締めてくる。
 柴崎は美帆を抱き締めると、今西に対する罪悪感を振り払うように荒々しく唇を重ねた。舌を差し入れていくと、美帆のほうもねっとりと舌をからめてきて、せつなげな鼻声を洩らす。
 チャイナドレスの脇のスリットから手を入れ、太腿を撫で上げていくと、直接肌に手が触れた。
 驚いた柴崎は、同時に欲望を煽られて、ドレスの裾を引き上げた。思わず息を呑むセクシーな下半身が現われた。熟れきった腰から美しい脚を飾っているのは、黒いガーターベルトにビキニショーツ、それに肌色のストッキングだった。
 それは柴崎が好きな下着のスタイルで、小説の中でもよく、そういう下着の女を書き、『淑妻淫乱』の奈津子も、それと同じ下着をつけて登場するのだ。
「いつも、こんな悩ましい下着をつけているのか?」
 恥ずかしそうに太腿をすり合わせて、美帆はかぶりを振った。下着まで奈津子を真似たらしい。
 挑発されたように柴崎がビキニショーツに手を這わせていくと、美帆はわずかに腰をもじつかせて、額を柴崎の肩に押しつけてきた。
 柴崎の手は、ショーツの脇から中にすべり込み、しっとりとした感触の繁みを撫で上げて、秘唇の間に分け入った。
「ああ……」
 たまらなさそうに腰がくねる。クレバスはもうグッショリだ。
 濡れそぼった生温かい秘唇の間を、繰り返し指で掻き上げていると、たちまち荒い息遣いになって、淫らに腰が前後に振れはじめた。
「すごいな、いやらしいほど濡れている」
 耳元で囁くと、
「いやっ……」
 美帆はうわずった声を洩らす。が、腰の淫らな動きは止まらない。
 小説の中の奈津子には、好色でマゾヒスティックなところがあって、情事のさなか男から卑猥なことをいわれると異常に興奮するタイプの女だ。美帆にも、そんなところがあるのかどうかはわからないが、「いやっ」というその声はひどく艶めいていた。
 柴崎は、中指で膣口をまさぐり、ヌルリと挿入した。
「うッ!」
 呻いた美帆がのけぞって、眉根を引き寄せた悩ましい表情を浮きたてた。そのまま身じろぎもせず、ブルブルと太腿をふるわせている。蜜壷は指一本でもかなり強い密着感があって、喘ぐように生々しく収縮して、柴崎の指をジワーッと締めつけてくる。
「おお、咥え込むようだ。たまらないな……」
 感動し興奮しながら、指を抽送した。わずかにザラついた粘膜がからみついてくるようだ。
 また柴崎の肩に額を押しつけてきた美帆が、すすり泣くような喘ぎを洩らしながら、指の動きに合わせて、さもたまらなさそうに腰を揺する。
「ああッ……だ、だめッ!」
 焦れるように身をくねらせると、
「ここじゃいや……ね、お部屋で待ってて」
 発情した凄艶な顔で、すがるようにいう。柴崎は、いつになく夢中になっていた自分に苦笑いしながら、バギナから指を抜き取った。
 
【4】
 柴崎は布団に仰向けになっていた。
 二階建の今西の家は、階下の客間だけが和室になっている。シンと静まり返った中に、すだく虫の音が聞こえてくる。
 部屋で待っていてくれといったが、美帆はこないのではないか。酒のうえの戯れだったのではないか。
 天井を見つめながら、柴崎はそう思った。
 二階の寝室にもどって夫の顔を見たとたん、戯れの気持が醒めたということも考えられないではない。
 それなら、今西を裏切らないですむ……。
 ホッとする気持の一方で、だが、さきほどの美帆の蜜壷の感触が生々しく残っている指をかざして見ていると、背徳的な、ひりつくような欲望といっしょに、美帆にきてほしいという気持が込み上げてくる。
 そのとき、人の気配を感じて、柴崎は起き上がった。そっと襖が開くと、淡いピンクのネグリジェを着た美帆が、うつ向いて入ってきた。
「今西は?」
「眠っています」
 さっきはむしろ美帆のほうが挑発して大胆な行為におよんだのだが、夫が眠っている階下の、それも夫の親友の部屋に夜這いをしかけるようにしてくるというのは、さすがに罪の意識に苛まれるのだろう、その口調も顔つきも硬い。
 が、うつ向いて突っ立っている美帆の表情に、それだけではない、緊張しきった中にもときめくような色がただよっているのを見て柴崎は、その手を取ると布団の上に引っ張り込んだ。
 崩折れるように倒れ込んできた美帆は、早くも息を弾ませている。シャワーを浴びてきたらしい。躯から、ほのかにセッケンの匂いがただよった。
 柴崎が唇を合わせると、甘い声を洩らして美帆のほうから積極的に舌をからめてきた。胸の中にあるだろう激しい情動をぶつけてくるように……。
「今西が起きてきたら、どうする?」
 しっとりした首筋に唇を這わせながら柴崎が、自分自身恐れていることを口にすると、
「起きては、こないわ」
 のけぞりながら、美帆がうわずった声でいう。
「こない?」
「主人の水割には、睡眠薬が入っていたの」
 そういえば、一杯目の水割は、美帆がキッチンでつくってきたものだった。
「驚いたな、すべて計画通りというわけか」
「わるい女だとおっしゃりたいんでしょ?」
「ああ、おそろしく魅力的な悪女だよ」
 いうなり柴崎は美帆を組み敷くと、荒々しくネグリジェの前をはだけた。
 あッ、と美帆は息を呑み、顔をそむけた。あらわになった乳房は、仰向けに寝ていてもみずみずしくお椀型に張って、まだきれいな色の乳首をツンと突き上げている。
「おねがい、明かりを消して……」
「今西とは、いつも暗闇でやってるの?」
 わざと柴崎が直截的な言い方をすると、
「いや、主人のことはいわないで……」
 羞じらい戸惑うような表情の顔をそむけたまま、大きく胸を弾ませながら喘ぐようにいう。
「どうなんだ?」
 問いつめるように聞くと、美帆はうなずいた。
「今西ももったいないことをするなァ。美帆さんのほうは、この女ざかりの躯を見てほしがっているというのに……」
「そんな!」
「ちがうというの?」
 柴崎はネグリジェの前をすっかりはだけて脱がせると、美帆の両脚を押さえ込んだ。
「ああ、だめ……」
 美帆は両手で顔をおおった。
「ほうら、美帆さんは、こうやって男から見られたいんだろ?」
「いやッ……いやッ……」
 たまらなさそうにいいながら、悩ましい白いビキニショーツ−−前のVカットの部分がレースでヘアが透けて見えている−−だけの裸身を悶えくねらす。
 煌々とした明かりの下で悶える裸身は、熟れきって息づまるような官能美をたたえている。
 二十八歳とは思えないほどみずみずしい乳房、引き締まったウエストから悩ましく張った腰、太腿にほどよく肉がついてすらりと伸びた脚、それにしっとりとしてヌメ白い肌が、全身の曲線美をいっそう悩ましく見せる。
 柴崎はゾクゾクするような興奮につつまれながら、ゆっくりとショーツをずり下げていった。
 両手で顔をおおったままの美帆はわずかに腰をもじつかせただけで、されるがままになっていた。ショーツを抜き取っても、息を弾ませているだけで、じっとしている。
 繁みは、濃くも薄くもない。こんもりと盛り上がった恥丘が透けて見える。逆三角形に品よく、エロティックな感じで生え、ただ、いかにも熟女の官能の深さを暗示するように縮れて、漆黒に艶光っている。
 ムッと官能臭が匂い立ってくるような女体を前に、柴崎は固唾を呑んで浴衣を脱ぎ、ブリーフも脱いで裸になった。
 ペニスはすでにいきり立って、異常に興奮していた。相手が顔も躯も申し分なく魅力的な人妻で、しかも親友の妻だからかもしれない。それに睡眠薬で眠っているとはいえ、二階には、その今西がいるからかもしれなかった。
 大きく喘ぐように上下している乳房を見て、美帆も同じような気持と興奮につつまれているのではないかと思いながら柴崎は、いかにも感じやすそうな乳首を口に含んだ。
 ピクンと胸が反って、美帆がかすかに喘いだ。
 乳首を吸い上げ舌でこねながら、一方の乳房を手で揉みしだいていくと、美帆は両手を顔から離してシーツをつかみ、せつなげなきれぎれの喘ぎを洩らして、悩ましい表情を浮かべた顔をしきりにのけぞらせる。
 想った通り感度のいい乳房は、舌と手の交互の刺戟で、みるみるふくらみ全体がしこってきて、乳首が勃起してきた。
「感じやすいんだな」
 美帆は息を弾ませ、もう欲情した顔つきになっている。
 柴崎は、手を下腹部に這わせて艶のある繁みを撫で、土手高の感触を味わった。ぴったりと両脚を合わせたまま、腰が焦れるようにくねる。
「美帆さんのここを、じっくり見てみたいな」
「いや、そんな言い方……」
 腰をうねらせて、さも恥ずかしそうにいう美帆の足元に柴崎はひざまずくと、両脚を強引に押しひろげた。
「アッ……い、いやッ」
 とたんに美帆は腰を波打たせて、また顔を両手でおおった。口では「いや」といっているが、声は明らかになまめき、開ききった両脚をふるわせながらも抗うようすはない。
「恥ずかしい……見ないでッ」
「いや、見てやる。美帆さんの恥ずかしいところを穴が開くほど見てやる!」
「アアッ、いじわるッ!」
「もっとも、穴は開いてるか」
「そんな……いやッ」
 笑ってからかう柴崎に、美帆は両手で顔を隠したまま、駄々をこねる子供のようにかぶりを振る。
 あからさまになった秘苑は、すでに秘唇が濡れ光るまでになっていたが、人妻とは思えないほど初々しくみずみずしい。
 まだ子供を産んだことがないせいかもしれないし、それが今西との夫婦のセックスのありようを物語っているようでもあった。
 その秘めやかな唇は、さすがに多少色づいてはいるが美帆自身の綺麗な花びらを想わせる上の唇に似て、みずみずしい張りがあり、その間にピンク色のクレバスをのぞき見せている。
 ただ、その眺めが熟女のそれを思わせるのは、その秘唇が縮れ毛で口髭のように縁取られて、淫猥で煽情的な眺めを呈しているところだろう。
 柴崎は、両脚で美帆の脚を押しひろげておき、濡れそぼったクレバスに指を這わせた。ヒクッと腰が跳ねた。
「綺麗だよ、美帆さんのここ……」
 クリトリスを露出させて、指先で、その周囲をまるく撫で回す。ふるえをおびた喘ぎといっしょに腰がもどかしがるようにうねる。
「今西も、クンニはしてくれるんだろ?」
 美帆は両手で顔をおおったまま、かぶりを振る。
 カタブツとはいえ、あまりにも貧しい親友の性技にあきれつつも、柴崎はクリトリスを指でくすぐるように愛撫しながら聞いた。
「こうして指で触るだけなの?」
 感じ入った喘ぎを洩らして腰を悶えさせながら、美帆がうなずく。そんな人妻を見て柴崎は、新鮮な欲望といっしょに持ち前の嗜虐的な気分が頭をもたげてきた。
「じゃあ、俺にはじめて舐めてもらいたんだな?」
「そんな……」
「いやなのか?」
「しらないッ」
「オマ×コを舐めてほしいんだろ?」
「ああッ、そんないやらしいこと……」
 恥ずかしくてたまらないというように、美帆は激しくかぶりを振る。
「そんなことをいってるけど、本当はいやらしいことをいわれたりされたりするのが好きなんだろ?」
 柴崎は、顔の両手をはがして押さえ込んだ。
「あっ、いやッ!」
 美帆は顔をそむけた。恥ずかしそうに眼をつむった顔は、ごまかしようがないほど興奮している。
 小説の中の人妻奈津子は、不倫の相手の男から猥褻なことをいわれると燃え上がり、彼女自身、それで興奮するタイプであることに気づいていくのだが、奈津子に憧れる美帆の中にも、そういう欲望や願望があるらしい。
「本当のことをいってごらん!」
「……好き」
 眼をつむったまま、喘ぐようにいう。
「じゃあ、ちゃんといってごらん」
「なんて?」
 眼を開け、顔をそむけたまま、興奮でゾクゾクしているような妖艶な表情で、柴崎が押さえ込んでいる手を見やって聞く。
「オマ×コを舐めてって。そうしてほしいんだろ?」
「ああ……オマ×コ、舐めて」
 眼をつむった美帆がますます興奮の色が強まった顔つきになって、ふるえ声でいう。
 柴崎は下腹部に移動していった。両手で濡れた秘唇を分けて舌を這わせると、その瞬間、人妻の躯はまるで処女のようにひくついた。
 舌でクリトリスをすくい上げて、こね回していると、感じ入った、糸を引くような喘ぎが洩れ、うねうねと腰が波打つ。
「ああッ……いいッ……」
 泣き声になって、両手でシーツをわしづかんだり、片手を口に持っていったりしながら、狂おしく悶える。
 やがてすすり泣きが切迫してきて、「イクッ、イクーッ!」とよがり泣きして反り返ったかと思うと、腰をガクガク揺さぶりながら絶頂に達した。
 柴崎は横になると、シックスナインの態勢を取った。発情した顔つきの美帆が、ビンビンにそそり立ったペニスを手にして、ためらいもなく口に含み、興奮を訴えるように舌をじゃれつかせてくすぐりたててくる。
 美貌の人妻が貪るようにフェラチオにふける煽情的な眺めを見やりながら、柴崎のほうも、ふくれあがったクリトリスを指で嬲っていると、すぐにまた、すすり泣くような鼻声と腰の律動が切迫してきて、
「ああッ、また……」
 と、全身をふるわせてイッてしまう。
 柴崎は、濡れた指をアナルに這わせた。
「あッ、そこは……」
 うろたえたように腰を振るのもかまわず、キュッと硬くすぼまったアナルを指でマッサージするように揉みほぐす。
「人妻なのにフェラチオもクンニも経験がないというぐらいだから、当然、ここもはじめてなんだろ?」
 美帆はうなずき、
「恥ずかしいから、だめ……」
 狼狽しきっていいながらも、アナルを愛撫されて感じるのだろう。もどかしそうな腰つきになって、顔つきもみるみる艶めいてきた。
「奈津子のようにされたいんだろ?」
 小説の中の奈津子も、男からはじめてアナルの快感を教えられて、それがやみつきになっていくのだ。
 美帆は返事のかわりにふたたびペニスを口に含んだ。アナルで掻きたてられる性感をせつなげな鼻声にして、せわしなく舌をそよがせる。
 すっかり揉みほぐれてきたアナルに、柴崎はゆるゆると指を挿入していった。
 ペニスから口を離した美帆が息を呑むようなようすで悩ましい表情を浮きたて、全身を硬直させる。
 柴崎の指が狭小な肉孔に深々と埋没すると、ハァハァと荒い息遣いになってきた。
「どうだ、ここは?」
 入口の部分が強い緊縮力で締めつけてくる肉孔の、奥のほうをまさぐるように指先でこね回す。
「ううんッ……だ、だめッ……」
「だめになるぐらい感じるんだろ?」
 腰を上下左右にうねらせたりくねらせたりしながら、美帆はうなずき返すと、
「ううんッ……ああんッ……」
 荒い息遣いの中から、妖しい興奮に酔いしれたような声を洩らして悶える。
「ううーん、もうだめ……気が狂っちゃう!」
 たまりかねたようにいったかと思うと、
「ああん、いいッ、いいのォ」
 アナルで錯乱したように興奮して、熟れきった裸身が蛇のように布団の上を狂おしくうねる。それを見ているうちに柴崎のほうも欲望をこらえきれなくなって、美帆の両脚を肩に担ぎ上げると、濡れそぼった花芯に押し入った。
 短く呻くような声を洩らして美帆がのけぞる。苦悶の表情を浮かべた顔が、みるみる色めきたってきた。
「ほら、見てごらん」
 ゆっくりと抜き差ししながら、結合部分を見せつけた。
「ああッ!」
 潤んだ眼で食い入るように見た美帆が昂った声を洩らす。
「見える?」
 興奮しきった顔がウンウンとうなずき返す。
「なにが見える?」
「ああ、入ってるの……」
「なにが、どこに入ってるんだ?」
「いやっ。柴崎さん、いって。うんといやらしいこと、いって!」
 秘唇の間に見え隠れする濡れ光ったペニスを発情した顔つきで凝視したまま、美帆は息を弾ませていい、みずから夢中になって腰を揺する。
「俺のペニスが、美帆のオマ×コにズッポリと入ってる……いやらしいねェ」
「ああッ、だめ!」
 突然、美帆は昂った声を放って顎を突き上げるようにしてのけぞると、ふるえを湧きたてた。柴崎がいった卑猥な言葉だけでイッてしまったらしい。
「なんだ、もうイッたのか?」
「ああ、だって……」
「いやらしい奥さんだ」
「いや、奥さんだなんて……」
 すねるようにいって、自分から股間に手を這わせてペニスを指に挟み、その動きをたしかめると、また発情したように顔つきになってきて、
「ああ、いいッ!」
 感じ入ったふるえ声でいう。
「どこがいい? こんどは美帆がいってごらん」
「恥ずかしい……」
「恥ずかしいのが好きなくせに!」
「ウン、いや……」
「いうんだ! どこがいい?」
「ああッ、オマ×コ!」
 いうなりしがみついてくる。
 そのまま柴崎は激しく突きたてていった。
 
【5】
 翌朝、柴崎は、今西と顔を合わせているのが苦痛だった。
 それにひきかえ美帆のほうは、少なくとも外見上、夫に対する罪の意識のようなものはどこにも感じられなかった。
 柴崎に対しても、昨夜、その落ち着きはらった美貌からは想像しがたい情痴に狂ったことなど、まるで何事もなかったように振る舞っていた。そればかりか一夜明けて、美帆の美しさはいちだんと冴えているように見えた。
 女は魔物だ、欲望に取り憑かれた女は怖ろしい。
 いまさらながら柴崎はそう思った。ただ、そんな美帆を見ていると、なんだか昨夜のことが夢のように思えてきて、多少は罪の意識が薄らいできたから不思議だった。
 もっとも、そのこと自体、魔物に魅入られている証拠かもしれなかったが……。
 三人はその日、遅い朝食をすませてから、美帆の運転するクルマで北白川の家を出た。今西を大学まで送って、そのあと柴崎は美帆と高雄へ紅葉を見にドライブすることになっていた。
 その帰りに、講義が四時に終わる今西を大学まで迎えにいって、三人で夕食を共にする予定だった。
 大学の正門で今西を降ろすと、クルマはふたたび京都の街中を走りはじめた。
「今日はまた、いちだんときれいだ」
 助手席の柴崎が人妻の横顔を見ていうと、セーターにパンツという軽快なスタイルの美帆は、前方を見たまま、羞じらうような笑みを浮かべただけだった。
 そのとき柴崎は、クルマがあらぬ方向に向かって走っていることに気づいた。
 京都の地理にそれほどくわしくない柴崎でも、高雄がどの方向かぐらいはわかる。クルマはまったく反対の方向に向かっているのだった。
「高雄とは方向がちがうけど……」
「だって柴崎さん、紅葉見物なんて、興味はないでしょ?」
 美帆は秘密めいた笑みといっしょにチラッと柴崎のほうを見やった。
「ほう、もっと愉しいところに案内してもらえるの? だったら、行き先は奥さまにおまかせしよう」
 笑っていう柴崎を、また美帆がチラッと見て、こんどはかるく睨んだ。その眼に、妙に艶めかしい光がある。
「どうやら、俺だけじゃなく、奥さまも愉しめるところみたいだね」
「いや、奥さまなんて……」
 すねたようにいう。
「じゃあ、どう呼べばいい?」
「美帆でかまいません」
「今西の前でも?」
「……いじわるね」
「今頃、夫は学生の前で講義しているというのに、いけない奥さんだ」
「そう、わたし、いけない妻です」
 自嘲するようにいうと、美帆はアクセルを踏み込んだ。
 やがてクルマは山科に入った。道の両側にモーテルが並んでいる。そこで美帆はクルマを停めた。
「なるほど……高雄にいくより、はるかにいい」
「わたし、でも、はじめてなんです」
 羞じらっていう。柴崎が要領を教えると、美帆はクルマをスタートさせてモーテルに入った。
 ガレージの中に入っていくと、背後でシャッターが下りた。
「奈津子にして……」
 ハンドルを握ったまま、視線を膝に落とした美帆が、つぶやくようにいった。
 柴崎は抱き寄せると、唇を重ねた。昨夜と同じように美帆のほうからも、ここにくるまでの思いが堰を切ったように狂おしく舌をからめてくる。
 早くも欲情して美貌が強張ったように見える人妻を、柴崎はクルマから連れ出すと、二階の部屋にいった。
「とんだ紅葉見物だ」
 冷蔵庫からビールを取り出してきて、笑っていうと、
「そうだ、美帆さんのストリップショーを見せてもらおう。同じ見物でも、こっちのほうがずっといい」
「そんな……」
 戸惑った美帆は、さっそく観客を決め込み椅子に坐ってビールを飲んでいる柴崎を、恥ずかしさと恨めしさが入り交じったような表情で見ていたが、覚悟を決めたようにセーターを両手でたくし上げていく。
 胸のふくらみがのぞいたベージュのハーフカップブラだけの上半身が現われて、持ち上がった艶のあるロングヘアがフワリと繊細な肩に落ちた。
 つづいてパンツを下げていくと、肌色のパンストの下にブラとペアのビキニショーツが透けて見える悩ましい下半身が現われた。
 美帆はパンストを脱ぎ、つぎにブラ、ショーツの順に取って全裸になった。
 ストリップと称して見られている恥ずかしさにも異質なものがあるらしく、うつ向いた顔に、羞じらいながらもときめくような色をただよわせて、両手で胸と下腹部を隠している。
「手をどけてごらん」
「いや……縛って」
 うつ向いたまま、うわずった声でいう。
 柴崎は、だが、さして驚かなかった。奈津子に憧れている美帆だけに、あるいは……と予期していたからだ。
 奈津子という人妻は、これまた浮気相手の男から縛られて責め嬲られるという体験をさせられ、サド・マゾ的な情事に溺れていくのである。
 柴崎は浴衣の紐で美帆の両手を後ろ手に縛った。
「奴隷になった気分はどうだ?」
 いうなり手にした紐の端でピシッと、ヒップをしばいた。
「あッ!」
 美帆は喘いでのけぞった。
 浴衣の紐だから、さして痛みはないはずだ。それでも鋭く反応して、みずみずしく張った乳房が弾み、むちっとした尻が悶えくねる。
 そのむちむちした女ざかりの尻を見ていると、征服するにはもっと激しく打ちすえてやるしかない気持になってくる。
 柴崎は加虐的を欲望にかられながら美帆をベッドに這わせると、ヒップを高々と持ち上げさせた。
「ほらァ、そのはしたない尻をいやらしく振ってみろ!」
「ああ……」
 いわれるまま美帆は尻を振った。
 ウエストが絞ったようにくびれて蜂のように重たげに張った尻が柴崎を挑発するようにくねる。
 柴崎はズボンのベルトを抜き取ると、尻を打ちすえた。
 鈍い音がたち、美帆は悲痛な呻き声を放ってなおも尻を振りたてる。
 その尻を狙って柴崎は、つづけざまにベルトを浴びせた。
 そのたびに美帆は呻き、苦痛を振り払うようにヒップを悶えくねらす。
 ヌメ白い尻にみるみる赤い条痕が浮かびあがって交錯する。
 それにつれて美帆は荒い息遣いになり、うずきにたまりかねたように腰を振りはじめた。もどかしさを訴えるような淫らな腰つきだ。
「なんだ、その腰つきは!?」
「ああァ、お尻が、熱い……」
「はしたない尻だ」
 猥りがわしく悶えつづける尻を、柴崎はなおもベルトで叩いた。
「うーッ、ああッ……」
「ほらァ、こうやって叩かれるといいんだろ?」
「いいッ、ああぶって、もっとォ!」
 美帆は息せききっていい、屹立させたヒップを振って催促する。
 どうやらマゾヒスティックな官能の火がつき燃え上がってきたようだ。
 柴崎は手加減なくベルトを揮った。打擲する柴崎自身、興奮して股間のモノはビンビンに勃起していた。
「ああッ……ウウーンンン!」
 突然、美帆が長く尾をひく呻き声を洩して伸びたように突っ伏した。同時に引き攣るようなふるえを湧きたてる。
 両手を縛った紐を解き、熱く火照った尻朶に口づけしながら、
「イッたのか?」
 聞くと、興奮に酔いしれた凄艶な横顔を見せ、息を弾ませてうなずく。
「尻を叩かれてイクとは、マゾッ気充分だな」
 柴崎は会心の笑みを浮かべていいながら美帆を仰向けにすると、両手両足を大の字にしてベッドに縛りつけた。
 大の字の、むしゃぶりつきたいほど熟れきった裸身が、天井の鏡に映っている。
「この躯が、これから今西で我慢できるかな」
 柴崎の手が美帆の裸身をなぞる。
「ああ……責任取って、柴崎さん」
 美帆は繁みをかき上げる柴崎の手を妖しく潤んだ眼で見ながら裸身をうねらす。
「俺にどうしろというんだ?」
「わたし、口実をつくって、ときどき東京にいくわ」
「これから先ずっと、俺にも今西を裏切りつづけろというのか?」
「主人にはわるいと思うわ。でもわたし、ふだんはいい妻でいるつもり……」
「驚いたな。そこまで奈津子そっくりにやるつもりか」
「そう……いけない?」
「いけないね」
「あ、いや」
 柴崎は秘唇を乱暴に押しひろげた。
「ああ、だめ……」
 秘唇がパックリと口を開け、濡れ光ったパールピンクの秘粘膜をさらけ出して鏡に映っている。
「尻を叩かれて、こんなに濡れている。はしたないオマ×コだ」
「うんッ、いやァ」
「これが欲しくて涎を垂らしてるんだろ?」
 裸になった柴崎は、エレクトしたペニスで秘唇の間をなぞった。
 美帆はせつなげに喘ぎながら腰をうねらせて鏡を見ている。鏡に映った淫らな眺めと腰つきを見て、ますます興奮ともどかしさを煽られているようだ。
「欲しいか?」
「ああッ……入れてッ」
 すがるようにいう。
「俺の何を、どこに入れて欲しいのか、ちゃんといってみろ」
 柴崎の肉棒がふくれあがったクリトリスをこすり、クチュ、クチュという淫猥な音をたてて膣口をこねる。
 美帆はうねうねと猥りがわしく腰を波打たせながら、一気に興奮の酔いが回って発情した顔つきになって、
「ああん、柴崎さんのペニス、美帆のいやらしいオマ×コに入れてン」
 と、そのものズバリの露骨な言い方で求める。
 柴崎はヌルーッと押し入った。感じ入った呻き声を洩らして美帆がのけぞる。そのまま肉棒で蜜壷をこね回しつつ柴崎が手足の紐を解くと、しがみついてきた。
「ああ、いいッ、いいわァ、子宮がとろけちゃいそう……」
 柴崎の耳元で息せききっていいながら、美帆のほうから軟体動物のように腰をうねらす。肉棒を甘手でしごかれるような快感といっしょに柴崎の耳を感泣するような喘ぎがくすぐる。するにまかせていた柴崎も攻めに転じて、激しく腰を使いはじめた。
 
【6】
「高雄はどうだった?」
「ああ、愉しかったよ。紅葉はともあれ、美貌の人妻とドライブだからな」
 今西に聞かれて柴崎はチクリと胸に痛みを感じながらいった。すると美帆が、
「あんなことおっしゃって、本当は柴崎さんたら、ひどいの。わたしなんか眼もくれず、観光客の若い女性ばかり見てらしたのよ」
 と夫に訴えるようにいって、柴崎を睨んでみせる。
「それはそうだ。柴崎は独身なんだから、人妻より若い女性に眼がいくのは当然だよ」
「いやだわ。あなた、柴崎さんが羨ましいんじゃなくて?」
「おいおい、それは八つ当たりというものだ」
 ふくれてみせている美帆を見て今西は笑っていう。まさか目の前にいる自分の妻と親友が、ほんの一時間あまり前まで裸でからみ合っていようなどとは思ってもいない。
 その夜、三人は予定どおり外で夕食をすませてから帰ってきた。
 美帆が運転する車で北白川の家に着いたときは、もう今西はリアシートの柴崎の横で寝入っていた。食事中に今西がトイレに立った隙に美帆がまたウイスキーの水割の中に睡眠薬を入れたのだ。
 柴崎と美帆は眠りこけた今西を二階の寝室まで運び、ベッドに寝かせた。
「このベッドでいつも今西とやってるんだな?」
「いや、そんな言い方」
 わざと露骨な言い方をした柴崎を、美帆はなじるような、だが艶めかしい眼で睨み、
「早くゥ、下にいきましょ」
 と甘えていう。
 柴崎は美帆を引き寄せて抱き締めた。
「そんなッ、だめッ」
 寝入っているとはいえ夫の前ではさすがの美帆も小声でいって抗う。そのためにますます歪んだ欲望を煽られた柴崎は抱き竦めたまま、強引に唇を奪った。拒んでいるうちに夫が眼を醒ますことを恐れたのか、美帆は躯の力を抜き、柴崎のキスを受け入れた。
 柴崎が舌を入れていくと、だが、夫が寝ている前でほかの男に抱かれることにむしろ異常に刺戟され興奮しているとしか思えない甘い鼻声を洩らしながら、熱っぽく舌をからめてきた。
「脱げよ」
「えッ!?……ここで?」
「刺戟的だろ?」
「だって……」
「脱ぐんだ!」
「……わるい人」
 美帆は柴崎もゾクッとするほど凄艶な眼で睨み返すと、昼間のモーテルと同じように着ている物を順に脱ぎはじめた。柴崎も手早く脱ぎ、裸になった。
「紐があるだろ?」
 柴崎の股間で早くもエレクトしているモノを、全裸になって、ねっとりとからみつくような眼で見ている美帆に聞くと、
「縛るの?」
 うわずった声で聞き返す。
「いやか?」
「知らない」
 なじる眼で柴崎を見てそういいながらも、美帆はタンスの抽斗を開けると、和服用の細紐を何本か取り出した。
「縛って、どうするの?」
「いまにわかる……」
 柴崎は不安気に聞く人妻を後ろ手に縛りあげ、胸に回した上下の紐で乳房を括り出した。乳房が絞り出されると、美帆はせつなげに息を乱しはじめた。不安気な顔が一変してときめきの色を浮きたてている。
「舐めろ。夫の前でおしゃぶりするんだ」
「そんな……」
 美帆は狼狽して夫を見た。今西は完全に寝入っている。ひざまずいた美帆が柴崎のモノに両手を添え、咥えると、顔を振ってしごきだした。
「夫の前で、夫にもしたことがないおしゃぶりをする気分はどうだ?」
 いやいやとかぶりを振って怒張を口から出し、その先から根元までしゃぶるようにして舐め回す。美しい人妻は異常な状況に興奮を煽られて酔いしれている。
 柴崎は美帆に聞いてドレッサーの抽斗からコールドクリームを取り出した。そして、ひざまずいたままの美帆に、上体を突っ伏して尻を持ち上げた恰好を取らせた。
「こんなところで……いやだわ」
 そういいながらも美帆の顔も声も艶めいている。
「いやだといいながら、もうグショ濡れになっているのはどういうことだ?」
 汗が噴き出したようになって光っているクレバスを、柴崎は肉棒でまさぐると、ズブッと突き入った。
 美帆は低く呻いた。柴崎が律動しはじめると、必死に声をこらえたようすで、息遣いだけが荒くなった。それでもときおり我慢できなくなったように感じ入った喘ぎを洩らす。泣くような声だ。
 柴崎はコールドクリームを指にすくい取ると、美帆のアナルに塗り込めた。塗り込めながら、きつく噤もうとするすぼまりをマッサージするように揉みほぐす。
「おねがい、お尻はゆるしてッ」
 熟れて猥りがわしいほどに張った尻をもどかしそうにくねらせて美帆が哀願する。それを無視して柴崎の指は揉みほぐれたアナルにゆるゆると収まり、薄皮一枚をへだてて前の蜜壷に収まっている分身に触れた。
「モーテルで後ろのほうでもセックスしてみたいといったのは誰だ?」
 美帆は昼間、モーテルで柴崎が三所攻めで玩弄したとき、狂ったようによがりながらそういったのだ。
「ここじゃいや、ね、下で、下でして」
 前後の秘花を同時に犯され、肉棒と指でこねられ抜き挿しされて、美帆は息も絶え絶えにいい募る。
 そこでいったん柴崎は美帆から離れた。椅子に坐ると、愛液で濡れ光っている肉棒にコンドームを被せてクリームを塗りつける。放心したようにそれを見ている美帆を立たせると、後ろ向きの恰好で膝をまたがせて、怒張をアナルに当てがった。
「は、入らないわ」
 脅えていって腰を浮かせかける美帆を引き寄せ、なかば無理やりに怒張の先をアナルの中にグイッとねじ込んだ。
 呻いた美帆が、もうそうするより仕方ないというように荒い息を吐きながら恐るおそる腰を落としてくる。窮屈な肉孔に、クリームの滑りに乗って、肉棒がヌルーッとスムースに収まっていく。
 美帆が完全に腰を沈めきると、柴崎は両脚を抱え上げた。
「ほら、今西に見せてやれ」
 美帆は火のような息を吐きながらかぶりを振りたてる。柴崎の肉棒をアナルが痛いほど食い締めてくる。
 柴崎は美帆の片脚を抱え上げて開いたまま、あからさまな股間に這わせた手でグショ濡れのクレバスをなぞった。指腹にもはっきりと感じ取れるほどふくれあがったクリトリスをこすり、膣口をこねていると、
「ああッ、出、出るッ!」
 突然美帆がふるえ声を洩らした。柴崎の腕の中で美帆の躯がふるえを湧きたてた。と同時に股間から生温かい液体が迸って柴崎の手を濡らした。
 一瞬、柴崎は美帆がGスポットの持主だったのかと思った。が、ちがった。かすかにアンモニア臭がただよって、なおも液体は放物線を描いて迸りつづけている。異常な興奮のあまり失禁したらしい。
 放尿しながら理性が切れたような顔つきになっている美帆に柴崎も倒錯した興奮をかきたてられて、後ろから貪るように美帆の唇を奪うと、アナルを肉棒でこねたてた。



詳細攻略 ◆


目覚めし炎魔人 ◆

  • 必要GR、推奨Lv: ��GR:28〜Lv.80〜��GR:33〜Lv.81〜
  • 制限時間:60分
  • エリア:移動要塞ガルマンタ
  • クリア条件
    ・ターゲットとなるモンスターを討伐する
  • 失敗条件
    ・制限時間内にクリア条件を満たせない
    ・ボスとの戦闘時にプレイヤーが全滅

  • 攻略チャート
  1. ★の所にいる兵士に話しかけてボス戦。スルト(サイクロプス)、トロルガード×2
    トロルガードは無限湧きする。
    スルトを倒せばクエストクリア。

  • 解説

  • ミッションボーナス
    ミッション内容ポイント
    I��
    ptspts

  • クリアランク
    Rポイント報酬金ダリア
    I��I��I��
    S48,00050,00012,00013,0004850
    A
    B
    C
    D

  • モンスター討伐ポイント
    名称ポイント弱点耐性ドロップ
    I��I��
    スルト(サイクロプス)刺 水斬 火巨獣の上革 炎巨人の金髭 炎巨人の頭頂骨 炎巨人の心眼巨獣の上革 炎巨人の金髭 炎巨人の頭頂骨 炎巨人の心眼
    トロルガード刺 土斬 風トロルの銀鎧 トロルの銀爪 巨人の堅棍棒 トロルの金仮面 トロルの銀盾トロルの銀鎧 トロルの銀爪 巨人の堅棍棒 トロルの金仮面 トロルの銀盾

  • 獲得アイテム
    ��ファイヤーハート
    巨獣の上革 炎巨人の金髭 炎巨人の頭頂骨 炎巨人の心眼
    宝玉【二級】 ○○の星石
    ???の杖 ;???の腿鎧 ???の盾
    ��バーニングハート オルキデコットン
    巨獣の上革 炎巨人の金髭 炎巨人の頭頂骨 炎巨人の心眼
    宝玉【二級】 ○○の星石
    ???の杖 ;???の腿鎧 ???の盾


白銀に輝く古代竜 ◆

  • 必要GR、推奨Lv: ��GR:27〜Lv.80〜��GR:32〜Lv.81〜
  • 制限時間:60分
  • エリア:レッドホーン島
  • クリア条件
    ・ターゲットとなるモンスターを討伐する
  • 失敗条件
    ・制限時間内にクリア条件を満たせない
    ・ボスとの戦闘時にプレイヤーが全滅
    『制服レイプ』雨宮 慶
    【第一章 聖域犯す】
    【1】
    「ウウッ……!」
     呻いた巫女が必死に顔を振ってもがいた。が、肩をつかんだ北原の両手が背後の杉の大木に男の力でがっちりと押さえつけているので、逃れることはできない。
     そのうえ口にはアスコットスカーフで猿轡が噛まされ、両手はズボンのベルトで後ろ手に縛られている。
     そこは、初詣の人であふれた都心にあるH神社の境内の、かすかにそのざわめきが伝わってくる拝殿の裏だった。樹齢を経た樹々のなかでも一際大きな、注連縄が巻かれた神木の陰で、あたりに人気はないが、もし人がきて呻き声に気づけば、大騒ぎになる。
    「ウッ、ウウッ……」
     巫女はなおも『やめて』というように呻いてしきりに顔を振った。
    「おとなしくしろよ!」
     うろたえていうなり北原は巫女の白い着物の胸元を両手でつかみ、グイッと力まかせに押し分けた。
     ブルン!−−乳房が生々しく弾んでこぼれ出た。絖白いみずみずしい双つのふくらみが冷気に晒されて、大きく喘いだ。
    「ほら、この恰好じゃあ、もう人は呼べないだろう」
     巫女は顔をそむけた。狼狽と羞恥と脅えが入り交じったような表情で……。
    「きみが変なことをいわなければ、ここまで乱暴なことをするつもりはなかったんだ」
     そこまで無我夢中だった北原がようやく余裕を取りもどして、ふと言い訳めいた言葉を口にすると、巫女がキッとした眼で睨んだ。
     一瞬怯んだ北原は、
    「そう恐い顔をするなよ」
     と顔では苦笑しながら、
    (何だ、その眼は! よし、巫女だって、生身の女だということを思い知らせてやる!)
     内心カッとなっていきなり両手で乳房をわしづかみ、みずみずしく張ったふくらみを揉みしだいた。
     巫女が『イヤッ、イヤッ』というように顔を左右に振りたてて身悶える。必死にこらえているのか声は洩らさない。が、猿轡を噛んだ顔がしだいにせつなげな表情を浮かべて、たまらなさそうにのけぞりはじめた。

 都内にある私立J女子大の助教授北原正夫と、H神社の巫女をしている美穂が会ったのは、この日がまだ二度目だった。
 最初は去年、といっても一週間ほど前の夜、六本木のピアノバーで出会ったのだが、そのとき美穂には同性の連れがいた。女同士で退屈していたらしく、北原がそれとなく声をかけると、たちまち話がはずんだ。それに、北原が女子大の助教授という身分を明かしたせいか、二人ともすっかり打ち解けてきた。
 二人は高校時代の友人で、同窓会からの帰りだった。
 年は二十一歳。片方はOL、一方は巫女だとわかると、北原は美穂のほうしか眼に入らなくなった。持ち前の、制服の女とみると猟色的欲望を抑えきれなくなるという、大学の助教授にあるまじき秘密の“虫”が騒ぎだしたのだ。
 そして、そのとき初詣にいくと約束し、年が明けた元旦の今日、社務所でお札や破魔矢などを売っていた巫女姿の美穂と再会したのだった。
 その前に北原は、初詣の人波の陰からこっそりと美穂を観察した。
 長い艶やかな髪をふんわりと後ろで束ね、白い着物に赤い袴姿の美穂は、先日の私服のときとは別人のようだった。とくに美人というのではないが、いくぶん腫れぼったい目許と形のいい唇がなんとなく男好きのする印象を与える顔立ちも、そして全体の雰囲気も、神聖なイメージそのものの巫女の衣装によってキリッと引き締まり、禁断の香りをただよわせていた。
 そんな美穂の巫女姿に、いやでも北原の胸は高鳴った。
「やあ、おめでとう」
 北原が前に立って声をかけると、美穂はびっくりして、
「あっ、おめでとうございます」
 ピョコンと頭をさげた。
 その驚いたようすからすると、先日の約束を社交辞令ぐらいに思っていたようだ。それでも北原に好感を持っていたらしく、うれしそうな顔つきになった。が、そばにいる巫女の眼を気にしてか、すぐにきまりわるそうに俯いた。
 その巫女が美穂の耳元で何事か囁いた。気をきかしてくれたのだろう、美穂が社務所から出てきた。
「忙しいときに、かえって迷惑じゃなかったかな」
「いえ、まだお昼休みも取っていなかったから、少しぐらい休憩してもいいんです」
「そう。それにしても巫女さんといっしょだと人目につくな」
 北原は周りを見回していった。
「確か、拝殿の裏に大きな神木があったね。あそこなら、人目を気にしなくてもいい。僕がさきにいくから、きみのほうはあとからきてくれないか」
 美穂は一瞬、『え?』というような顔をしたが、北原の困惑した顔を見て、おかしそうに笑ってうなずいた。
 北原が神木の陰で待っていると、ほどなく美穂がやってきた。
「ここなら安心だ」北原は笑っていった。「それにしてもこの前とは別人みたいだね」
「恥ずかしいわ。そんなにじろじろ見ないでください」美穂は俯いた。
「何も恥ずかしがることはないさ。巫女の衣装を着てるほうがもっと魅力的だよ」
 北原が肩に手をかけると、ビクッとして美穂が顔を上げた。眼と眼が合って、美穂のほうが戸惑ったように視線を伏せた。
 そのようすを見て、そっと北原がキスをしかけると、美穂は弱々しく顔を振りながらも眼をつむって唇を許した。舌を侵入させた北原がこね回すようにしていると、せつなげに息を乱しながら美穂のほうからも、ためらいがちに舌をからめてきた。
 初詣の人のざわめきが聞こえてくる拝殿の裏で人目を忍び、神聖な巫女を抱き寄せて狂おしいキスを交わしている……。禁断の欲望に駆りたてられた北原がそのまま巫女の袴の脇から手を入れていこうとすると、突然美穂が激しく顔を振って唇を離し、抗った。
「いやっ、だめっ!」
「どうして?」
「だって、こんな所で……」
 その気になっていたのにいまさら何を……と北原が強引に手を入れようとすると、美穂は必死になって抵抗しながら、
「いやっ、大声を出して、人を呼びますよ」
 いまにも本当にそうしかねないようすでいう。
 そんなことをされたら、身の破滅だ。北原は美穂の突然の豹変にうろたえると同時に逆上した。
 それからは無我夢中だった。アスコットスカーフを毟り取って猿轡を噛ませ、すかさず巫女を神木に後ろ向きに押しつけて両手をひねり上げた。そして、ズボンのベルトを抜き取って後ろ手に縛りあげたのだった。
 
 さきほどから北原が両手で揉みしだいている乳房に生じるうずきのせいだろう、それまで必死に声をこらえていた美穂がせつなげな表情を浮かべてのけぞるたびに、鼻にかかった甘い呻き声を洩らしはじめた。
 乳房の量感は掌にあまるほどだ。北原の手を弾き返すような張りがあり、乳暈も乳首もまだきれいなピンク色をしている。
 北原は、美穂の躯が徐々に感応しはじめていることに気づいていた。みずみずしい乳首が硬くしこって、ツンと突き出してきて、それを指でこねるたびに、さももどかしそうに腰をうごめかす……。
 左手で乳房を揉みながら、右手で赤い袴の脇をまさぐった。
 呻いた美穂がじれるように腰を振った。北原の手が袴の中にすべり込み、着物の裾前から分け入ったのだ。
 北原は、パンティの上から生々しい丘を撫で回した。美穂がうろたえたように顔を振って腰をよじった。
 パンティの上ゴムの下に手を潜らせ、しっとりとした繁みの感触をとらえた。が、『イヤッ』というように呻いた美穂が必死に太腿を締めつけたために、その下に指を這わすことができない。
 硬く尖った乳首をつまんでこね回しながら、膝を、美穂の両脚の間に割り込ませていった。小刻みにふるえながら脚が開いていき、北原の膝が分け入った。と同時にパンティの中の指も……。
 ヌメッとした感触があった。−−驚いたことにレイプされるようにして胸を揉まれたというのに、それだけでもう柔襞の狭間はグッショリと濡れている。
「これは何だ? どうやら巫女は上と下の口でいうことがちがうらしいな」
 北原はホッとすると同時にほくそ笑みながら、濡れそびれたクレバスを指で掻き上げるようにしてまさぐった。
 はじめのうち美穂は、恥ずかしそうに顔をそむけたまま必死に感じまいとしているようだった。が、たちまち鼻にかかったすすり泣くような呻き声を洩らして、顎を突き出すようにしてのけぞりながら、たまらなさそうに腰をもじつかせはじめた。
 それだけではない。みるみるクリトリスが硬く勃起してきて、北原の指にもはっきりと感じ取れるほどになると、自分から淫らがましく腰を前後させながら、神木を背にそのままズルズルとしゃがみ込んでいった。
(もう猿轡は必要ないだろう……)
 北原はアスコットスカーフを解くと、すでにいきり立っている股間のモノを取り出して美穂の顎をつかみ、口許に突きつけた。
「ほら、こんどはきみがお返しをする番だ。いっとくけど、下手な真似をすると、この神木に素っ裸にして縛りつけて晒し者にするぞ」
「いやっ。境内で、こんなこと……」
「神聖な場所で、こんなはしたないことはできないか?」
 北原は笑っていいながらコックの先で美穂の唇をなぞった。
「だから刺激的でいいんだよ。きみだって、それでよけいに感じてるんだろ?」
「あ、ああっ……」
 おぞましそうな表情を浮かべた美穂の顔がみるみるなまめいてきて、おずおずと唇が開き、北原のズボンの前から突き出したコックをくわえた。
 生温かい口腔粘膜につつみ込まれた北原の肉茎を、ためらいがちに舐めていた舌がしだいに戯れるようにうごめいてくすぐりたててきた。
 無理やり強いられたとはいえ、フェラチオをする巫女の顔には、はっきりと興奮の色が浮きたっている。そのなまめいた顔と、白い着物の胸元からこぼれたみずみずしい乳房を見下ろしながら、北原は背徳的な征服感に酔いしれていた。
 そのとき口を離した美穂が、「ああっ、もう……」と喘ぐようにいった。
「手をほどいて……」
 昂った顔で、唾液で濡れて硬直しきった肉茎を食い入るように見ている。
「それよりもうコイツがほしいんだろ?」
 北原がコックを振って見せつけると、「ああっ」と興奮に酔ったような顔で喘ぐ。
(意外に好き者らしいな……)
 北原はニヤリとして美穂を抱き起こすと、神木に向かって後ろ向きに立たせた。
 袴の紐をほどいた。ハラリと袴の後ろが垂れた。
「いやっ……見られたら、どうするの?」
 美穂が脅えていう。
「そのときは二人とも、神聖な境内を汚したという罪で警察沙汰だろうな」
 いうなり北原は、一気に着物の裾を腰の上までめくり上げた。
「アッ」−−小さく声をあげて美穂が腰をくねらした。白いビキニショーツを穿いたヒップが露出した。ショーツをむき下ろすと、ブルンと弾んで、むっちりとした絖白い尻がむきだしになった。
「いやっ」−−そういいながらも美穂はもうされるままだ。
 北原は美穂の両手を縛っているベルトを解いた。神木に向かって両手をつかせると、グイッと、形よく張ったヒップを突き出させた。
 北原も手早くズボンとブリーフをずり下げた。エレクトしたコックを手に、尻朶の間から覗いた、ハンバーガーを縦にしたような秘苑を、その先でまさぐった。
「ああっ……境内で、こんなこと……」
 罪悪感に苛まれているようなことをいいながら美穂が腰をもじつかせる。コックの先で濡れた膣口をとらえ、北原は押し入った。
「ウッ!」−−呻いた美穂が神木にしがみついた。
 北原はすぐさま突きたてるように律動しはじめた。躯を揺らしながら美穂が、押し殺した、感じ入った声を洩らす……。
 ねっとりと熱く潤みきった窮屈な女芯が、突き引きのたびに北原のコックをくすぐりたてる。それにつれて美穂の声がすすり泣く感じになってきた。
 そのとき、「シッ!」といって、北原はあわてて美穂の口を手で押さえた。……神官がこっちに向かって歩いてきたのだ。
 交接したまま息をつめていると、美穂のそこだけが生々しくうごめいて北原を締めつけてきた。そのまま神官が二人の前を何事もなく通りすぎていくと、
「アアッ、早く……早く、終わらせてっ!」
 とたんに美穂が切迫したようにいって自分から腰を振りはじめた。それに応えて北原も激しく突きたてた。
「いいッ……ああっ、もうイッちゃう!」
 息せききって絶頂を訴える美穂の両手が神木を掻きむしるように這う。緊張の一瞬が彼女を異常に興奮させたらしい。
 それは北原も同じだった。神木にしがみついて感泣する美穂の声を聞きながら、濡れた柔襞の狭間にピストンのように突き入る自分のモノを見ていると、むず痒いような快感が押し寄せてきて、もうこらえきれなくなった。
「だめっ、だめっ、イクッ、イクーッ!」
 美穂が抑えた泣き声で絶頂を告げながら躯をヒクつかせ、腰を落としかける。それを抱え上げてズンと突き入ると、北原も一気に快感を迸らせた。
 ビュッ、ビュッと勢いよく発射した精が美穂の体奥に打ちつける。
「アッ、アアッ……ウッ、ウウ〜ン」
 ブルブルふるえながら、美穂が感じ入った呻き声を洩らす……。
「よかったよ。きみはどうだった?」
 北原が、股間にティッシュペーパーを当ててパンティを上げてやりながら訊くと、
「ひどい、大学の助教授が、こんなことをするなんて……」
 美穂は自分でも身繕いしながら、息を弾ませてなじるようにいう。
「怒っているのか?」
「しらない……」
 すねたようにいうのを抱いてキスをすると、拒みかけた美穂だが、北原が舌をからめ取ると、レイプされるようにしてファックされたことを怨んでいない証拠に、ねっとりと舌をからめ返してきた。
 
【2】
 北原正夫は、以前から、制服を着た女に対して特別の思い入れがある。
 本来、男というのは、少なからず制服の女に憧れるものだが、それは恐らく制服が持っている、ある種ストイックでタブーの香りが女をより魅力的に見せ、男の征服欲をくすぐるからにちがいない。
 ただ、北原の場合は、そこにもっと根深いものがあった。
 −−彼が中学三年の夏のことだった。
 ある地方都市に生まれ育った北原は、夏休みのある日、母の言いつけで隣り街に住む叔母に小荷物を届けにいった。
 もともと母方の実家は、その街に小さな教会を建てて布教に勤めてきたクリスチャンだったが、そのときは母の妹が修道女となって、跡をついでいた。
 北原は、異性を意識するようになってからというもの叔母に会うと、妙に胸がときめいてドギマギするようになっていた。
 理由はわかっていた。密かに叔母に憧れていたのだ。三十半ばになっても独身で、近寄りがたいほどの慎ましさと美しさをそなえた叔母が、春にめざめたばかりの少年にとっては、どこかミステリアスで魅力的な存在に思えてならなかったのだった。とりわけ僧衣をまとっているときの敬虔な雰囲気をたたえた叔母の姿が……。
 叔母は、教会の敷地の中にある小じんまりとした家に、ひとりで住んでいた。
 その日、北原が訪ねていくと、玄関の鍵がかかっていた。留守なのかと思い、裏口に回ってみると、勝手口の戸が開いた。
 叔母さん−−と声をかけようとして北原は言葉を呑んだ。静まりかえった家の中から、その瞬間、ドギマギするような、なまめいた喘ぎ声が聞こえてきたのだ。
 きれぎれに聞こえてくる声に引き寄せられるように、北原は黙って家に上がり、叔母の寝室の前に立っていた。心臓が破裂しそうに高鳴っていた。
 ほんのわずか、寝室のドアが開いていた。
 恐るおそる覗いた瞬間、北原は息を呑んだ。−−もろに、むきだしの女の下半身が眼に飛び込んできたのだ。
 それも、ただそれだけではなかった。ベッドに寝た叔母が、黒い僧衣をめくって大胆に両脚を開き、あからさまになった生々しいものを指でいじりながら、軟体動物のように腰をうねらせているショッキングな光景が……。
(あの美しい、敬虔なクリスチャンの叔母が!)
 少年の北原は茫然として、その淫らな光景がとっさには信じられなかった。
 それでいて眼だけは、あの美しく慎ましい叔母のものとは思えないほど生々しすぎる女陰に釘付けになり、いつのまにか若い彼のズボンの中のモノは硬直しきっていた。
 無理もない。北原が母親以外の女のそこを見たのは、このときが生まれてはじめてだったのだから。
 もっとも、すでに自慰は経験していた。だから叔母が何をしているかもわかっていた。ただ、叔母にかぎって、そんな淫らなことをするとは思えなかったのだ。
 叔母の股間に伸びた手は、黒々とした繁みの下の、生々しく濡れた襞のあいだをしきりに指先で掻き上げていた。そうしてすすり泣くような喘ぎ声を洩らして腰をうねらせながら、片手で僧衣の上から胸を揉みしだいているのだった。
 そのとき、指が柔襞の奥につるりとすべり込んだかと思うと、呻き声をあげた叔母が痙攣するようなふるえを湧きたてた。
 その瞬間、興奮しきっていた北原も、ズキンと股間がうずき、硬直した肉茎が跳ねるように脈動して快感が迸った。クラッと眼の前がかすみ、思わず前につんのめった。
 ゴトッ−−。
 ドアにぶつかった北原があわてて顔を上げると同時に、叔母がベッドから跳ね起きた。一瞬、眼が合った。とっさに北原は逃げ出そうとした。
「正夫ちゃん……待って!」
 叔母の声が呼び止めた。と、十五歳の少年はなぜか立ち竦んでいた。
 寝室から出てきた叔母は、どうしていいかわからないまま項垂れている彼の手をそっとつかむと、黙って部屋に連れて入った。
 叔母は北原をベッドに坐らせると、その横に並んで腰かけた。
「正夫ちゃん、叔母さんのこと、はしたない女だと思ったでしょ?」
 硬い口調で訊く叔母に、北原は俯いたまま、必要以上に強く首を振った。
「いいのよ。無理しなくても……。神に仕える者としてあってはならない、いけないことをしていたんですもの」
 叔母は沈んだ声でいうと、
「そのうえ、そんな恥ずかしいところを、あなたに見られてしまって……ああ、神様!」
 と、クルスをかけた僧衣の胸の前で十字を切り、両手を組んで祈った。
 少年の北原は、ただ言葉もなく項垂れていた。ふだん美しく慎ましい修道女の叔母からは信じられないオナニーシーンを目撃したショックと、それを見ながらズボンの中に思わず精を迸らせてしまった恥ずかしさで、自分も何か悪いことをしたような気持ちで……。
 そのときだった。
「どうしたの?」
 と訝しそうにいった叔母が、ズボンの前を押さえていた北原の両手を取ったのは。
 少年は真っ赤になった。
「あら、じゃあさっき……」
 叔母はズボンの湿りに気づいて驚きの声を洩らした。
「そうだったの。でもこのままでは気持ち悪いでしょ? 叔母さんがいけないんだから、きれいにしてあげましょう」
 なぜか叔母は妙に弾んだ声でいって、ベッドの枕元からティッシュペーパーを持ってくると、あわてて「いいよ」といった北原にかまわず、彼の前にしゃがんでズボンのファスナーを下ろした。
 プンと精液特有の栗の花の匂いが漂い、少年は消え入りたいような恥ずかしさに襲われながらもされるままになって、顔をそむけていた。
 ところが、ますます北原を狼狽させる変化が表れてきた。叔母の指を感じているうちに若い彼の肉茎はみるみる硬直してきたのだ。
「ああ、またこんなに……」
 叔母はうわずった声でいうと、うろたえている北原を見て、それまで彼が見たことのない妖しい顔つきになって、
「正夫ちゃんは、まだ女の人のこと、知らないんでしょう?」
 北原は小さく頷いた。
「約束できる? 今日のことはすべて、永遠に二人だけの秘密にするって……」
 エレクトした肉茎を指先でなぞるようにしながら、真剣な顔で北原を見つめる美しい修道女の叔母に、彼はわけもなく胸騒ぎを覚えて、つられたようにまた頷いた。
「ああ、神様。わたしは何という罪深い女でしょう」
 叔母は、手にした北原のいきり立った肉茎を凝視したまま、かすれた声でいうと、ふたたび胸の前で十字を切り、そっと彼のモノに口を寄せてきた。
 北原は眼をみはっていた。憧れていた修道女姿の叔母が、うっとりとした顔で彼のペニスを口に含んでいくのを見て、ドギマギしながら……。
 十五歳の少年の勢いよく怒張した肉茎を、叔母の口がつつみ込んだ。
 生温かい粘膜と、ちろちろとうごめく舌の感触に、北原は快感を感じる余裕もなく、むしろ脅えて落ち着きなく視線を宙に泳がせた。
 蝉しぐれが耳鳴りのように聞こえ、眼に入った壁の聖母マリアの絵や棚のキリスト像がグルグル回りだした。
 それは、だが、ほんのわずかの間だった。
「だめだよ」−−童貞の彼はあわてて腰を引いていた。
 ゆっくりと立ち上がった叔母は、北原のTシャツも脱がして全裸にすると、胸に下げたクルスを取って、彼の首にかけた。
「修道女はね、イエス様の花嫁なの。正夫ちゃんはイエス様よ」
 そのときの北原はまだ少年で、そのうえ平静を失っていて、叔母が何をいおうとしているのかわからなかったが、あとにして思えば叔母は、彼をイエス・キリストに見立てることで、多少なりとも罪の意識から逃れようとしていたのかもしれない。
 そうして叔母は無言のまま、服を脱ぎはじめたのだ。ドギマギして俯いた北原の眼に、まるでスローモーションでも見ているように叔母の足元に黒い僧衣がすべり落ち、つづいて白いブラと丸まった小さなパンティが落ちるのが見えた。
 叔母は黙って北原の手を取るとベッドの上に導き、仰向けになった。
 そのときはじめて北原は叔母の裸を見た。美術の教科書で見たアングルの裸婦像のようなふくよかな裸身と、下腹部の黒々とした繁みを眼の前にして、彼の頭の中はもうパニック状態だった。
 どうしていいかわからないでいると、叔母の手が北原の肉茎をつかみ、濡れた柔襞の狭間にこすりつけながら、熱いぬかるみの中に導き入れていった。
「アアッ……イエス様!」
 叔母が苦しげな表情を浮かべてそういったとたん、だが北原のほうはあっけなく射精してしまった。
「ごめん……」
 バツが悪くて思わず謝った。
「いいのよ。男の人って、はじめてのときは誰でもそうなんだから……」
 叔母は慰めながら自分と北原の後始末をすると、彼の耳元で囁くようにいった。
「それより正夫ちゃん、まだ女の躯、よく見たことがないんでしょ?」
 北原は頷いた。
「いいのよ、見ても……」
 叔母は眼をつむっていうと、膝を立てて脚を開いた。驚きながらも北原は、叔母のそこを覗き込んだ。
 まばらな恥毛に縁取られた褐色の襞の間から生々しい柔肉を覗かせた眺めは、美しい叔母のものとは思えない、何か得体の知れない別の生きものに見えた。
 それでいて勢いの盛んな少年の肉茎は、みるみるうちにまたしても充血してきた。叔母も彼の変化に気づいたらしい。
「ああっ、正夫ちゃん……」
 喘ぐようにいって起き上がるなり覆い被さってくると、中腰になって北原のモノを手に柔襞の間にこすりつけて、アッというまに熱いぬめりの奥に彼を呑み込んだ。
 前に二度射精している北原は、こんどは多少余裕があった。
 そんな彼に馬乗りになった叔母が、三十代なかばまで独身のみずみずしく盛り上がった乳房を弾ませ、熟れきった腰を揺すりたてながら、ふだんの美しく敬虔な修道女からは想像もできないケダモノじみた声をあげはじめた。
「アアッ、正夫ちゃん、まだよ、まだ……ああ、気持ちいいっ、いいわ、正夫ちゃんはどう?」
「ぼ、僕も、気持ちいい……」
 叔母は泣いていた。狂おしくのけぞって快感を訴えながら、目尻から涙を流していた。
 熱く潤みきった叔母の女芯でしごきたてられる北原のほうも、女のバギナが秘めている甘くとろけるような快美感をはじめて知って無我夢中だった。たちまちしびれるような快感が突き上げてきた。
「叔母さん、出ちゃうよ!」
「出して、出していいのよ!」
 息せききっていいながら腰を前後に揺すりつづける叔母の中に、北原は一気に快感を噴き上げた。馬乗りになった叔母が異様な呻き声をあげて北原に抱きついてきた。
 
 北原の初体験の相手となった叔母との関係は、だが、その日かぎりだった。
 その後叔母は、まるで何事もなかったかのように、それまで通りの慎ましく敬虔な修道女にもどったのだ。そればかりか明らかに北原と二人きりになるのを、ことさら避けるようになった。思いあまった北原が教会に訪ねていっても会ってはくれなかった。
 あの日のことは永遠に二人だけの秘密にする……それが約束だったとはいえ、十五歳の少年にとって、叔母のあまりの豹変ぶりは信じられなかった。
(あれほどヨガッてケダモノのようになったのに……)
 そう思うと、裏切られたような気持ちだった。
(女なんて、修道女の恰好をしていても、中味はみんなケダモノなんだ!)
 少年時代のそんな苦い経験が、制服の女に猟色的な欲望を掻き立てられる北原正夫の原体験になっていることはまちがいない。
 ただ、愛憎は紙一重というが、北原の場合はそれが交錯していたようだ。早い話、美しい修道女の叔母を怨みながらも、同時にそれ以上に絶ちがたい思慕を抱きつづけていたのだった。
 その証拠に、修道女ではないがクリスチャンの女と北原は結婚した。妻の実家は、有名私立大学の名誉教授の父親を筆頭に兄二人も大学教授という学者一家で、全員がクリスチャンという家柄だった。
 ところが結婚してしだいにわかってきたのだが、クリスチャンとは名ばかりの妻に、北原はウンザリしていた。
 妻は、北原が二流の私立女子大の、それも教授でなく助教授であることが不満なのだ。まだ三十九歳だから、べつに昇進が遅れているというわけでもないのだが、ことあるごとに実家のことを引き合いに出して、あからさまに厭味をいうのだった。
 それに、子供にはモーレツな教育ママぶりを発揮する一方で、自分は家事そっちのけでいろいろな会合とかヘルスクラブ通いに余念がない。
 要するに見栄っ張りで虚栄心の塊りなのだ。
 とりわけ妻のそういう面に拍車がかかってきたのは、結婚七年目を迎えた去年あたり、子供を有名幼稚園に入れてからだった。
 それからだった。それまで北原の中に潜んでいた制服の女に対する屈折した思いが、猟色的な欲望に変わってきたのは……。
 
【3】
 元旦早々、初詣の人があふれたH神社の拝殿裏で巫女の美穂をレイプまがいにファックしてから一週間あまりたった日曜日の昼下がり−−。
 北原正夫は、都心にあるシティホテルの一室のドアをノックした。
 ドアが開くと、美穂が私服のままで立っていた。
「巫女の衣装はどうした?」
 部屋に入りながら訊くと、
「ウソでしょ……?」
 美穂はこともなげにいう。
「持ってきていないのか?」
「だって、冗談だと思ってたから……」
 北原が、先に部屋に行って巫女の衣装に着替えて待っているように電話でいったのを、美穂は本気で受け取っていなかったらしい。
 北原はガッカリした。この日は巫女の衣装をつけた美穂とホテルの部屋でこころゆくまで情痴にふけるつもりだったのだ。
「でも、どうして……?」
 落胆の色が隠せないでいる北原を見て、美穂が不思議そうに訊いた。
「そのほうが刺激的じゃないか。きみだって、この前は巫女の衣装を着て、神聖な境内であんなことになったから、罪悪感とスリルでよけいに燃えたんだろ?」
「うん、いや……」
 恨めしそうに睨む美穂を北原は抱き寄せ、唇を重ねた。舌と舌が狂おしくからみ合った。そのとき北原の頭に、あることがひらめいた。
 立ったまま抱き合って濃厚なフレンチキスを交わし、唇を離すと、美穂はもう眼を潤ませ、息を乱していた。
「巫女の衣装を持ってこなかった罰として、ストリップショーを見せてもらおうか」
「そんな……」
「お遊びだよ、お遊び」
 笑っていいながら北原は手早く服を脱ぎ、ブリーフだけになると、椅子に腰かけた。
「さ、やってごらん」
「やだァ……」
 美穂は恥ずかしそうに笑っていたが、拒みはしないだろうという北原の予想通り、俯くとカーディガンを脱いでブラウスのボタンを外しはじめた。
(本人は気づいているかどうかわからないが、彼女の場合、大抵の女が多少は持っている露出症的なところとマゾヒスティックな面が、ふつう以上に強いようだ)
 北原はそう思っていた。
(そうでなければ、まわりに人気はなかったといっても、初詣の人でいっぱいの神社の境内の裏で無理やりにファックされて、あれほど燃えたりはしない)
 いまもそんなことを思いながら、ブラを外している美穂の眼を盗んでホテルの浴衣の紐を手に隠し持った。
 一週間ほど前のあのときは巫女の衣装を着たままだったので胸と下半身しか見ることができなかったが、白いシンプルな形のビキニショーツだけになった二十一歳の裸身はみずみずしい若さにあふれ、プロポーションもなかなかのものだ。
「いや、そんなにジッと見ないで……」
 胸を両手で隠した美穂は恥ずかしそうに、それでいてどこか媚びた口調でいうと、逃げるようにベッドに入って、毛布にくるまった。
 北原は毛布を剥いだ。
 アッ!……というように躯をまるめた美穂の両手をつかむと背中にひねり上げ、俯せにして馬乗りになった。
「いやっ、どうして……!」
「ちょっと刺激的なお遊びをしよう。これも巫女の衣装を持ってこなかった罰だ」
 浴衣の紐で、後ろ手に交叉させた両手首を縛った。
「縛られるなんて、いやっ」
「そうかな? 美穂にはレイプ願望があるんじゃないのか」
 北原は悶える躯を仰向けにすると、脚に跨がって押さえ込んだ。
「そんな……そんなもの、ないわ」
「じゃあ試してみよう」
 いきなりパンティを引き下ろした。
「アッ……いやっ!」
 顔をそむけた美穂の上体が反って、むきだしの形よく盛り上がった乳房が生々しく弾んだ。俗にいう土手高のこんもりと盛り上がった丘を飾った、やや濃密な繁みがあらわになった。
 北原がパンティを抜き取っている隙に、美穂はあわてて躯をくの字に折り曲げた。
 この前は抵抗されてとっさに美穂の両手をズボンのベルトで縛った北原だが、それ以外にいままでこのような一種の遊びとして女を縛ったことは、いちどもない。美穂が巫女の衣装を持ってこなかったと聞いてふと先日のことを思い出して、「縛ってやれ」という気になったのだが、北原自身、多少はその気があったのか、やってみると新鮮な興奮を覚えていた。
 北原は、もう一枚の浴衣の紐を手にすると、その両端で別々に膝も縛った。
「サァ、いくら隠そうとしても、もう隠せないぞ」
 紐の真ん中をグイと引き上げて、首にかけた。
「アアッ、いやっ……だめっ、見ないでっ!」
 美穂は狼狽しきって、顔を振りたてた。
 両手を後ろ手にして膝を折り曲げた恰好で縛り、膝頭を北原の両手が押しひろげているので、股間の眺めはあからさまだ。まだきれいな色の柔襞まで開き、生々しいサーモンピンクのクレバスが覗いている。
「いい眺めだ……」
 北原が股間を覗き込むと、
「いやーッ!」
 美穂が弾かれたように躯を反らして腰を揺さぶった。が、ようやく抵抗してもムダとわかったのか、ひとしきり悶えて抗うのをやめた。両膝が小刻みにふるえている。
「どうした……?」
「いやっ」
 声がうわずって、恥ずかしそうにそむけた顔にどこか興奮の気配がある。
(想った通りだ。見られているだけで感じてきたらしい)
 そう思いながら北原の眼は、その証拠を確認していた。サーモンピンクの秘裂が蜜で光ってきている。
「やっぱりレイプ願望があるようだな。こうして見られているだけで、もう濡れてきているじゃないか」
 羞じらい狼狽したような表情を浮かべた美穂が、ちがうというように顔を振った。
「ここがそうだといってるよ」
 いうなり北原は、あからさまな秘苑に顔を埋めた。舌先で柔襞を割って、クレバスの蕾をすくい上げた。
「ああっ……!」
 ビクッと躯を弾ませてのけぞった美穂がふるえ交じりの声を洩らして、腰を左右に振りたてる。
 北原の舌がクリトリスをこね回した。狂おしそうにのけぞる美穂が、そのたびに昂った喘ぎを洩らしはじめた。
 クリトリスがみるみる勃起してきた。美穂の喘ぎが切迫してきて泣き声になった。
 うねっていた腰の動きが止まった。両脚がブルブルふるえだした。北原の唇が触れているクレバスがざわめくようにヒクつく。
「だめっ、だめっ……アッ、イクッ、イクーッ!」
 痙攣するようなふるえを湧きたてて美穂は昇りつめた。
 北原はブリーフを脱いだ。興奮しきった顔で悶えている美穂の口許に、硬直した肉茎を突きつけた。
「ああっ……」
 喘いだ美穂が、戯れるようにコックに舌を這わせて舐め回す。そうして口に含むと、こんどは舌を躍らせてくすぐりたてたり、口腔全体を使ってしごいたりしはじめた。
 ひとしきりフェラチオを堪能して、北原は美穂の股間に移動した。コックでクレバスをまさぐった。硬くふくれあがったクリトリスをこすりたてた。
「ううん、ああっ、もう……」
 美穂が焦れったそうにいって腰をもじつかせる。
「もう何だ?」
「ああ……入れてっ」
「若い娘がそんなはしたないことをいって、恥ずかしくないのか」
「うんっ、いや!」
 からかう北原に、すねて昂った顔をそむけ、なおもたまらなさそうに腰を上下させる。
 北原は挑発されたように突き入った。感じ入った呻き声を洩らしてのけぞった美穂の拘束を解き、体勢を入れ替えた。
 縛ったままファックしても面白味がない。それより美穂が自分から乱れるところが見たい−−そう思ったのだ。
 騎乗位の体勢を取った美穂は、すぐに自分からクイクイと腰を前後に振りながら、きれぎれに喘ぎはじめた。
「巫女のくせに、その腰つきは相当男を知ってるな」
「そんな……男の人なんて、そんなに知らないわ」
「男の人なんて……? どういうことだ?」
 妙ないい方が気になって訊くと、もう美穂は行為に夢中になっていて、北原のいうことなど聞いてはいなかった。
「だめっ、またイクッ! ね、イッて、いっしょに……」
 長い髪を振り乱して狂ったように腰を律動させる。潤みが粘ってきたバギナと北原のコックが激しく摩擦して、二人のそこはもう燃えるように熱い。
 北原のコックに、むず痒いような甘いうずきが押し寄せてきた。
 ユサユサと乳房を揺らし、形よく張った腰をせりあげるように振りながら、美穂がまた絶頂を訴える。
 そんな美穂に、北原は巫女の衣装を着た姿をダブらせた。その瞬間、コックを甘いうずきが走り抜けた。しがみついてきた美穂の体奥に向けて、北原の快感が噴き上げた。
 
【4】
 冬休みも終わって学生たちがもどってきたJ女子大のキャンパスは、ふたたび華やいだ活気を取りもどしていた。
 その日、午前中で講義を終了した北原正夫は、足早にキャンパスの中にある駐車場に向かった。
 先日、美穂とシティホテルで逢ったとき以上に、胸が高鳴っていた。あのときは美穂が巫女の衣装を用意していなかったために、巫女と情痴にふけるという北原の期待は叶えられなかった。
 だが、今日はちがう。元日に初詣の人目を避けて美穂をレイプ同然にして犯したあの場所−−H神社の拝殿裏の神木の陰で逢うのだ。
 それに、北原は先日、情事のあとのベッドの中で、美穂から思いがけないことを聞いていた。
 あのとき、行為中の美穂の反応といい、腰づかいといい、二十一歳にしては相当男を知っているのではないかと思って訊いてみると、驚いたことに、美穂が女としてめざめさせられたのは男ではなく、同性からだというのだ。
 しかも相手は、二歳年上の同じ巫女だという。
「でも、二人ともホンモノのレズってわけじゃないの。たまたま慰安旅行でいっしょの部屋になって、酔っぱらってお布団の中に入ってたら、なんとなくヘンな感じになっちゃって、それから……」
 美穂は火照った頬を北原の胸に持たせかけたまま、指先で彼の乳首の回りをまるくなぞりながら、そういって秘密のレズビアン・ラブを告白したのだった。それ以来、二人は神社の中でもときおりこっそりと乳繰り合っているらしい。
 神聖なはずの神社の中で禁断の快楽にふける二人の巫女−−北原は美穂の話を聞いて妖しい興奮を覚えたものだった。
(そのうちその巫女もどうにかできないものか……)
 そんなことを思いながら駐車場まできたとき、北原は立ち止まった。
 駐車場の外れの木陰で抱き合ってキスをしている若いカップルの姿が眼に入ったのだ。女が背伸びするようにして男の首に両手を回し、男の手がスカートをたくし上げて尻を撫で回していた。パンストの下に白いパンティが透けて見えた。
 それは、だが一瞬だった。男のほうがキスをしながら周囲を気にしていたらしく、すぐに北原に気づき、あわてて女の手を引いて逃げ出していった。
 女はJ女子大の学生にまちがいない。
(うちの学生もお盛んなことだ)
 北原は苦笑しながら車に乗り込んだ。学生のことはいえない。助教授自ら、これから淫行に出かけようというのだから……。


 H神社の境内には、木洩れ日が差していた。
 一月の初めにしては比較的暖かい日だった。
 神木の陰に立って待っていると、あたりを窺うようにしながら、一人の巫女がこちらに向かってくるのが見えた。
 北原は、だが、その顔を見てうろたえた。
(美穂ではない……!)
 見覚えのある顔だった。
(あれは確か、元旦に社務所で美穂の隣りにいた巫女だ)
 巫女はまっすぐ北原の所にやってきた。
「北原先生ですね?」
 気が動転したまま、北原はうなずいた。
「あいにくですけど、美穂はきませんよ」
 巫女はいきなりそういうと、北原をなじるような眼で睨んだ。
 その眼にたじろぎながら北原は、そのときふと、美穂から聞いていた章子というレズの相手のことが頭に浮かんだ。
「きみ、章子さん……?」
「どうしてわたしのことを?」
「やっぱりそうか。彼女から聞いたよ」
 驚いた巫女の顔を、わずかに狼狽の色がかすめた。キツネ顔だが陰険な感じではなく、むしろそれが個性的な魅力になっている容貌だ。
「わたしも、北原さんのこと、すべて美穂から聞きました」
 章子という巫女は、態勢を立て直すように、ふたたび北原を責めるような眼で見ると、
「最初は元旦に、このご神木の陰で縛って、無理やりに犯したってことも、それに、この前はホテルに呼び出して、また……。大学の先生なのに、そんなひどいことをしたって」
「ちょっと待ってくれよ」
 北原はあわてて相手を制した。無様なほどうろたえていた。
(この女、こちらの出方しだいで、事を公にでもするつもりなのか)
 一瞬、『大学助教授、神社の境内で巫女に乱暴』という新聞の見出しが脳裏をよぎった。
「確かに最初は強引だったかもしれない。でも、彼女だってその気になって……、いや、少なくとも僕を怨んでなんかいないはずだよ」
 言葉を選びながら言い訳する北原を見ていた章子が突然、ふっと笑みを浮かべた。
「何がおかしい……?」
「美穂のいってた通りだわ。先生って、それほど悪人じゃないのね」
「どういうことなんだ?」
 からかわれているような気になってムッとしていうと、
「それよりこんなところを誰かに見つかったら、それこそ大変だわ」
 そういってあたりを見回した章子が、急に妖しい顔つきになって北原を見た。
「わたし、先に行って、神楽堂の中で待ってますから、あとから誰にも見つからないようにきてください。あそこなら誰もきませんから……」
 驚いた北原が呆気に取られているうちに、もう章子は神楽堂のほうに向かっていた。
(一体、どうなってるんだ)
 そう思いながらも北原の胸はまだ動悸が打っていた。
 しばらくして北原が神楽堂の中に入っていくと、そこに章子の姿はなかった。
 舞台の脇に板戸があった。戸を開けると、小部屋の中に章子が背中を向けて立っていた。中に入った瞬間は暗いと思ったが、明り取りの窓があって、それほどでもなかった。
(こんな所に誘って、どういうつもりなんだ……?)
 不審な思いと同時に北原の胸はかすかに高鳴っていた。章子の後ろに立って、白い着物の背中に流れている、ふわりと束ねた艶やかな髪を見ながら訊いた。
「僕のことは、美穂が自分からいったのか?」
 章子はかぶりを振った。
「手首に赤い痣のような跡がついてたから、問い詰めたの」
 ホテルの浴衣の紐で縛ったときの跡らしい。
「美穂はいま、どこにいるんだ?」
「外出してます。用事で……」
「きみがそうさせたんだな?」
 章子は頷いた。
「それで、きみの役目は? 美穂には何ていってきたんだ?」
「あなたを、追い返すって……」
「なるほど、そういっておいて、神楽堂に連れ込んだわけか」
 北原がそっと肩を抱くと、ビクッとして章子が躯を硬くした。
 矢継ぎ早に訊いているうちに、しだいに章子の声が息苦しそうにうわずってきたのに気づいて、北原は章子の胸のうちがもう手に取るようにわかっていた。
 そのまま振り向かせると、案の定、というより驚くほどはっきりと興奮しているとわかる章子の顔が首の支えを失ったようにグラついた。
 北原が唇を重ねて舌を入れていくと、それを待っていたように章子のほうからも狂おしく舌をからめてきて、早くもせつなげな鼻声を洩らす。
 巫女の袴の脇から侵入した北原の手が着物の前を分け、すべすべした太腿からパンティの上を這い回った。
 くねくねと腰をもじつかせながら、すすり泣くような鼻声を洩らして粘っこく舌をからめつづけていた章子が、苦しげに唇を離した。
「アアッ……」
 昂った喘ぎを吐き出すようにしてのけぞる。
「俺を追い返すどころか、本当は美穂と同じようにしてほしかったんだろう!」
 章子はせつなげな表情を浮かべた顔をそむけたまま、眼をつむって小さく頷いた。
「美穂に嘘をついて俺を誘惑するなんて、わるい巫女だな」
 いうなり北原は着物の胸元をつかんで押し分けた。章子が喘いでのけぞると同時に、ブルンと弾んで乳房がこぼれ出た。美穂のよりは一回りたわわなふくらみが大きく喘いだ。
 そのまま北原は床の上に章子を押し倒していった。
 章子は恥ずかしそうに両手で顔を覆った。
 好きにしてくださいというように仰向けに寝た巫女……。
 神楽堂の中だから人目につく心配はないが、突然誰かが入ってくる可能性が百パーセントないとはいえない。禁断の香りが匂うスリリングな興奮につつまれた北原は、巫女の白い着物の胸元からこぼれたマシュマロのような感触のふくらみをわしづかんで揉みしだいた。
「ウッ……アアッ……」
 両手で口を押さえた章子が悩ましい表情を浮きたててのけぞった。
 北原は一方の手を、赤い袴の脇からすべり込ませた。着物の前をはだけてパンティの中に手を侵入させた。指を繁みの下に這わせると、驚いたことに、失禁したような濡れがひろがっていた。
「はしたない巫女さんだな。もうオシッコを洩らしたようにグッショリじゃないか」
「いやっ、いわないで……」
 章子はまた両手で顔を隠した。そのくせ乳房を揉みしだきながらクレバスの鋭敏な蕾をなぶる北原の指の動きに合わせてたまらなそうに腰を上下させ、きれぎれに喘ぎはじめた。
 硬くふくれてきたクリトリスをなぶっている指を、ぬかるみの奥に挿し入れた。
「ウッ!」−−うわずった呻き声を洩らしてのけぞった章子の、顔から離れた両手が床をまさぐるように這い、腰がうねうねと波打つ。
 熱いぬかるみの中の、からみつきまといついてくるような粘膜が、生々しく北原の指をくすぐった。その奥の硬い子宮口を、指でこねるようにしてやると、
「アアッ、そこ、だめっ……」
 ふるえ声をあげて、腰を揺すりたてる。
「指よりもっと太いモノのほうがいいか……」
 いいながら指を抜き取ると、北原は、巫女の袴の紐を解いた。袴の前を下げ、着物の裾前をはだけた。
 章子は、縁にフリルのついた白いビキニショーツを穿いていた。ショーツをずり下ろすと、デルタ状にかなり濃密な繁みが現れた。
 繁みの下に覗いた柔襞からその周辺まで濡れ光っている。
 北原は、起こした章子を跪かせた。興奮した顔の前に、猛々しく硬直した肉茎を突きつけた。
 章子はためらいもなくコックを口に含むと、舌で舐め回したり、顔を振って口でしごいたりしはじめた。そういう行為をすることで興奮するタイプなのか、ますます昂った顔つきになって腰をもじつかせている。
 乱れた巫女の衣装をつけたまま男をくわえた淫らな姿が、北原の分身を直撃し、うずかせた。腰を引くと、唾液で濡れた肉茎で章子の顔を撫で回した。
「ほら、もうコイツを入れてほしくてたまらないんだろう?」
「……入れて」
 喘ぐようにいう章子のクレバスを指でまさぐりながら、北原は耳元で囁いた。
「そういうときは、オ××コして、というんだ」
「ああっ……オ××コして」
 興奮しきった巫女は、そんなことまですがるような顔でいう。
「真っ昼間から、それも神様に奉納する神楽を舞うこんな場所で、巫女がそんなはしたないことをいっていいのか」
 北原がからかいながら、濡れそびれたクレバスをコックでこすりたてていると、
「いいの、前からいちど、こんなこと、してみたかったの。ううん、焦らしちゃいや」
 章子は大胆なことを口走って、欲しそうに腰をうねらす。
「ハレンチな巫女だ!」
 北原は荒々しく突き入った。呻いてのけぞった章子がしがみついてきた。
「いままでだってやってるじゃないか。人目を盗んで美穂とレズッてたんだろ?」
「でも……ああっ……やっぱり男の人のほうがいいわ」
「美穂がいってたように、レズはただ、欲求不満を解消するためだったというわけか」
 うなずいた章子は、北原が突き入るたびに苦しげな表情を浮きたててのけぞる。声が外に洩れるのを恐れて必死にこらえているためだ。そのぶん荒い息遣いになって、自分からも腰を揺すりはじめた。
 微妙なザラつきを秘めたバギナが突き引きのたびにコックを甘くくすぐってくる。
「ああっ!」たまらなさそうに北原の首に両手をからめてきた章子が、そのとき耳元で思いがけないことをいった。−−「わたしたち、見られてるの」
「エッ!」−−北原は弾かれたように後ろを振り返った。わずかな戸の隙間から、スッと白い影が消えた。
 跳ね起きて、あわててズボンを上げながら戸を開けた。
「美穂……!」
 興奮した顔をして立っている美穂を見て、北原は、ほかの者でなくてホッとした。そしてすぐに二人の巫女の思惑が読めた。黙って美穂の手をつかんで小部屋に連れ込んだ。
 乱れた恰好のまま床に坐った章子と顔を合わせると、二人の巫女はバツがわるそうに俯いた。北原の思った通りだった。
「なるほど、そういうわけか。最初から、二人いっしょに愉しもうと思って、計画していたんだな」
 思いがけない展開に驚いたが期待通りになって、北原は北叟笑みながら、立ち尽くしている美穂を後ろから抱き寄せた。
 美穂はされるままになっていた。袴の脇から手を入れ、着物の裾前を分けてパンティの中をまさぐってみると、繁みの下はすでにじっとりと濡れていた。
「何だ、これは!」
「だって、章子さんたら、知ってて見せつけるんですもの」
 クレバスを掻き上げる北原の指に、美穂は声をうわずらせて恨めしそうにいいながら腰をもじつかせる。
「まったく好き者同士の巫女だな。よし、二人いっしょにやってやる!」
 北原は二人を四つん這いにした。袴の後ろを下ろして着物の裾を腰の上までめくり上げると、美穂のパンティもずり下げた。
「巫女が二人尻を並べて、いい恰好だ!」
 淫らで贅沢な眺めに北原は興奮して、はじめに章子のぬかるみの奥に押し入った。粘ってからみついてくるようなバギナの感触を味わうようにピストン運動をしかけ、章子が昂ってくると腰を引いた。
「ううん、だめっ、もっとォ……」
 焦れて腰を振りたてる章子から、こんどは美穂のほうに移って、突き入った。
「アアッ……いいっ!」
 美穂がそれを待っていたように上体を突っ伏して尻をそそり立て、北原の律動に合わせて腰を揺する。そうして美穂がすすり泣くような声を洩らしてよがりはじめると、コックを抜き取って、また章子の中に押し入った。
「ああん、いやっ……」と美穂が腰を振りたてる。
「アアッ、もっと、ずっとしてっ!」
 章子が貪欲にいうと、美穂が、
「そんなの、ずるいっ!」
 北原は章子に律動をしかけながら、焦れる美穂に指を挿し入れた。
 甘苦しく肉茎と指をくすぐりたててくる二つの花芯を攻めなぶりながら、それを何度か交替に繰り返して、きれぎれにすすり泣きを洩らす二人の巫女を前に、北原は凌辱の興奮に酔いしれていった。
 やがて北原自身、もう我慢できなくなると、章子に、仰向けに寝かせた美穂のクレバスを舌で攻めさせながら、その後ろから激しく突きたてた。
 章子が感じ入った声を洩らしながら美穂のクレバスを舐めたてる。舐めていられなくなって自分だけの快感に夢中になりかけると、美穂のほうがたまりかねたようにうねうねと淫らがましく腰をうねらせながら章子の舌を求める。
 そうして二人の巫女が絶頂に達するのを見ながら、ようやく北原も抑えに抑えた快感を章子の中に吐き出した。


【第二章 死角の淫欲】


【1】
(神様のバチでもあたったかな……)
 H神社の神楽堂の中で二人の巫女と淫行にふけった翌日の昨日−−急に歯が痛みだして、激痛のあまりふと殊勝なことを思ったりした北原だったが、痛み止めの薬が効いたのか今朝になると、ほとんど痛みはなくなっていた。
(これなら、休講にしなくてもよかったな)
 大学へは昨日のうちに休講届けを出していたため、十一時ちかくになってやっとベッドを抜け出した北原は、掲示板を見てハシャイでいる学生たちを想像して苦笑いしながらコーヒーを煎れ、書斎に入った。
 妻は知り合いの告別式があってすでに出かけ、子供は幼稚園に行っていない。
 土曜日だったが、午後には、妻もかかったことがある歯科医院の特別のはからいで診察してもらうことになっていた。が、出かけるまでにはまだ時間があった。
 CDプレイヤーから流れる好きなモーツァルトを聴きながら、北原はワープロに向かった。
 フロッピィをセットして、【ファイル・13】巫女−−という文書を呼び出した。
 ディスプレイに並んだ活字は、去年の暮れ偶然、六本木でH神社の巫女美穂と知り合ったときから、今年の元旦早々、初詣のさなか神木の陰でレイプまがいにファックしたこと、さらにはその後のいきさつなどがポルノ小説さながらの描写をまじえて日記ふうに打ち込んだものだ。
 それにつづいて、キーボードを叩く北原の指が、先日、むしろ彼のほうが誘惑されたような形で、美穂のレズの相手の章子もいっしょに二人の巫女を神楽堂の中で犯したときのことを打ち出していく……。
【ファイル・13】があるということは当然、それまでに十二のファイルがあって、そこにはいままで北原がハントしてきた女たちのことが同じように打ち込まれている。
 そういうこと自体、第三者からみればいささか異常だが、それ以上に驚くのは、それらの女たちがみんな、デパートの店員や喫茶店のウエイトレスなど、それぞれに制服に関係のある女たちばかりだということだろう。
 ただ、いままでの北原は、巫女の美穂のときのようにレイプまがいの行為によって女たちをハントしてきたわけではない。あくまで紳士的なアプローチなり誘いの手順を踏んできた。それも彼女たちに頼んでホテルで制服を着てもらって欲望を満たすというやり方だった。
 それだけに、美穂を神木の陰でレイプまがいに犯したときは北原自身、前後の見さかいもつかないほど興奮したものだ。それが【ファイル・13】の文面に表れていた。
 フーッ。二人の巫女との情痴の模様を打ち終えた北原は大きく息を吐き出すと、自分だけの秘密がつまったフロッピィを机の抽斗の中にしまった。
 そろそろ歯科医院にいく時間だった。
 支度をしながら、北原は妻の真紀子がいった言葉を思い出して、密かに胸をときめかせていた。
「三十二、三でまだ独身なんだけど、美人の女医さんだから、あなた、へんな気を起こさないでくださいよ」
 釘を刺すように、真紀子はそういったのだ。
 
 その高瀬歯科医院は、赤坂のテナントビルの中にあった。
 院長の高瀬和子は、たしかに真紀子がいった通り、知的な雰囲気と上品な色気を兼ねそなえた美人だった。
 虫歯という診断で治療を受けはじめた北原は、そのうちドキドキしながらも面食らっていた。
 治療台に寝た北原の肘が偶然、ちょうど女医の下腹部に触れたのをいいことにそのまま押しつけているというのに、女医はなぜか避けようともせず無言で治療をつづけているのだった。
(どういうつもりなんだ。彼女だって、気づいているはずだけど……。それともまさか、こんな美人の女医が触られるのを歓迎しているのだろうか)
 北原のほうが戸惑って、ときおり女医の顔を盗み見ていると、女医はあいかわらず彼の口を覗き込んで治療に専念している。もっとも、マスクをかけているので、知的で上品な色気をたたえた顔の半分しか見えない。
(それにしても、このこんもりとした感触は何ともいえない。この白衣の下にどんな下着をつけているのか、そして、アソコは……)
 白衣を通して肘に生々しく感じ取れる美人女医の下腹部のふくらみが北原の妄想をかきたてた。
 女医の顔を盗み見ながら北原は、しだいに大胆になって、同時に何気なさをよそおい、肘でジワッとふくらみをこすり上げた。
 アッ!−−というように女医がせつなげに眉根を寄せた瞬間、
「ウッ……!」
 北原も呻いた。ズキンと歯の奥に突き抜けるようなうずきが走った。
「はい、今日はここまで。お口をすすいでください」
 女医がくるりと背を向けていった。
「北原さんは、まだほかにも治療の必要な歯がありますから、この際、完全に治しておいたほうがいいと思いますよ」
「お願いします……」
 いささかバツのわるい思いで北原が診察台を下りると、
「奥様によろしく……」
 高瀬和子は背中を向けたまま器具を片づけながら、暗に北原の行為に気づいていたといわんばかりに、取ってつけたような口ぶりでいった。
 
 高瀬歯科医院を出た北原がモヤモヤした気分のまま、渋谷にあるマンションの自宅に帰ってくると、ちょうど妻の真紀子も告別式から帰ったばかりらしく、まだ黒いアフタヌーン・ドレスの洋装喪服を着たままだった。
「正彦は……?」
「お友だちの家に遊びに行くって……。お茶でも入れましょうか」
「いいよ、それより……」
 キッチンに立った妻を、北原は向き直らせると、いきなり喪服のスカートをめくり上げた。妻に対して久しく欲望を抱いたこともないのに、喪服姿を見たとたん、歯科医院からつづいていたモヤモヤが一気に爆発したのだ。
「いやっ、突然どうしたのよ!」
 驚いて抗う妻を調理台に押しつけると、その前にしゃがみ込み、黒いパンストとパンティをいっしょに剥き下ろした。
「だめよっ! 正彦が帰ってきたら、どうするの?」
 いいながらも真紀子は、北原が舌でクレバスを割って攻めたてるように舐めだすと、たちまちなまめいた声を洩らして腰を揺すりはじめた。
「ああっ、昼間っから、こんな所で……」
 そのこんな所が刺激になったらしく、そのうえ夫に久々に情熱的に求められて満更でもないらしく、真紀子はすっかりその気になってきて、自分から脚を開き、北原の頭を両手で抱え込んだ。そうしてグイグイ腰をせり出すようにしながらふるえを湧きたて、たちまち北原の舌で昇りつめた。
 北原は妻を調理台に向かって後ろ向きに立たせた。
「うう〜ん、ああっ……あなた、正彦が帰ってくるわ、早くしてっ!」
 むしろそのことも刺激になって興奮を煽られたように、切迫していいながら、三十五歳の熟れきったヒップをくねらす。
 そんな妻を見て、北原はふと、サディスティックな欲望に駆られた。
 ズボンをずり下げると、すでに肉茎はいきり立っていた。グイと妻の尻を突き出させ、手にしたコックで、濡れた褐色の柔襞の狭間をまさぐった。
 こすり上げるたびに、濡れた生々しい音がして、
「ううん、いやっ、早く……」
 焦れた真紀子が淫らがましく腰を振る。
「早く、何だ?」
「いやっ……きて」
「入れてほしいのか?」
「いやっ、そんな言い方……」
(相変わらずだな。セックスのときぐらい下手なプライドを捨てて、素直になったらどうなんだ)
 北原は内心うんざりしながら、腹立ちまぎれになおも焦らしつづけた。
 妻は北原に対して育ちのよさを鼻にかけたところがあって、そのせいかセックスのときも身も世もなく乱れるというようなことはついぞない。それでいて燃えきっていないのかというとそうではなく、夫婦ならそうなって当然なのに気持ちのうえで裸になりきれないのだ。
 そういう面が、北原の気持ちが妻から離れていった要因の一つにもなっていた。
「いやっ、いやっ……ね、早く!」
 焦れて腰を振りたてる妻に、北原としてはあからさまな言葉の一つもいわせてやろうと思っていたのだが、諦めて、濡れた花芯の奥に突き入った。
 そうして、そのぶん荒々しく、叩きつけるように突きたてながら、喪服の女を犯しているという想像で興奮を掻きたて、妻が呻くように絶頂を告げると同時に北原も屈折した欲望を解き放った。
 
 翌日の日曜日−−妻と子供が実家に行って留守なのを幸いに、北原は秘密のフロッピィをワープロにセットし、
【ファイル・14】女医
 と打ち込んだ。
 そのとき、電話がかかってきた。
 受話器を取ると、
「北原先生……?」
 女の声が探るようにいった。
「そうですが……」
「先生って、制服の女性がとてもお好きなようですわね」
 笑いを含んだような声で、いきなり妙なことをいった。
 北原はうろたえた。
「きみは……だれ?」
「わたしも制服を着るから、そうね、ミステリアスに『謎の制服の女』とでもいっておこうかしら」
「わるい冗談はやめたまえ。いたずら電話なら、切るよ」
「どうぞ。わたしはただ、ご忠告しておこうと思っただけですから。知らぬは誰かさんだけってことを……。では、失礼」
 そういうなり電話は切れた。
 聞き覚えのない声だった。
(知らぬは……とはどういうことなんだ? それに誰が? どうして? 何のために?)
 受話器を置くと、いくつかの疑問符といっしょに何かいやな予感が、北原の胸をよぎった。
 
【2】
 それから三日後の夜、北原正夫は六本木のホテルのインナープールが見えるバーにいた。
 その日、高瀬歯科医院にいって治療中に、こっそりと女医の高瀬和子を食事に誘ったのだ。
 ところが、約束の時間から一時間あまりたっても、和子は来なかった。
 もっとも北原が一方的に決めた約束だった。
 ただ、そのとき和子も、
「奥様がいらっしゃるのに、よろしいんですか」
 と牽制しながらも断りはしなかったので、OKしてくれたものとばかり思っていたのだが……。
(どうやらフラれたらしい)
 苦笑した北原は、だが、退屈はしていなかった。いながらにしてプールサイドを闊歩するハイレグ水着のピチピチギャルを観賞していたということもあるが、すぐそばに食指をそそる女がいたのだ。
 年は二十代なかばか。一見OLふうで、ワンレングスのヘアスタイルに都会的な個性派美人というタイプの顔だち。濃紺のボディコンシャスのスーツをすっきりと着こなして、タイトミニからすらりと伸びた脚が一目でプロポーションのよさを感じさせた。
 その女は、カウンターの椅子に腰かけた北原の後ろのテーブル席にいて、ぼんやりと頬杖をついている。
 そのとき女が驚いたような顔で北原のほうを見た。北原が女が飲んでいるものと同じカクテルをボーイに運ばせたのだ。
「グラスが空になっていたんでね」
 トゥールチェアから下りて、北原は笑いかけた。
「ご一緒してもいいかな?」
「せっかくだから、カクテルはご馳走になりますけど、いま、そんな気分じゃないの」
「薄々事情は察しているよ。そんなつもりはなかったんだけど、さっき帰って行った彼との話が、聞くともなしに耳に入ってきたんでね」
 その会話からすると、不倫の関係がこじれて、家庭持ちらしい男のほうが女に別れ話をもちかけていたようだった。
「悪趣味だわ」
「確かに……。でも、だから、きみの邪魔にはならないと思うよ。第一このままじゃ、いい年をして罰を受けて立たされてるみたいで恰好がつかないよ」
 その言い種がおかしかったのか、顔をそむけてプールのほうを見ていた女がプッと吹き出して北原を見上げた。
 北原はジンジャーエールの入ったグラスを手に女と向き合って椅子に坐った。
「ご自分では、お酒飲まないんですか?」
「ドライブするつもりだったんだけど、じつは僕もフラれてね。どう? 気晴らしにこれから高速環状線を一回りしてこないか」
 いくらか酔った感じの女の眼が明らかに興味を示した。
 
 車は夜の高速都心環状線を走っていた。
 北原の横にいる女は三田純子といい、二十五歳で独身。大手ファッションメーカーの企画部に勤めているという。ホテルのバーで逢っていたのは、取引先の男で、やはり不倫の関係を清算したいといっていたらしい。
 そんなプライベートなことを最初から純子が喋ったわけではない。北原がJ女子大の助教授という身分を明かしたからだ。
 北原は、だが、純子の男関係のことなど、あまり興味はなかった。
「ファッションメーカーの企画部だと、会社では私服なんだろうね?」
「そう思うでしょう? ところがうちの会社は、いまだに制服なの」
 不満そうにいう純子とは反対に、北原は内心北叟笑みながら車を停めた。−−そこは事故車などを退避させる場所だった。
「こんど一度、きみの制服姿を見てみたいものだな」
 いいながら北原はミニから覗いた膝に手を這わせた。
「そんなこと、だめ……大学の助教授なんでしょ?」
 純子は笑ってたしなめるようにいった。
(本気でいやがっているわけではなさそうだ)
 北原は気をよくしてリクライニングシートを倒した。
「アッ!」という声と同時に、ガクンと純子の躯が四十五度に仰向いた。
 いきなり北原は両手でタイトミニを腰まで押し上げた。肌色のパンストの下に、白いビキニショーツが透けて見えた。
「イヤッ!……こんな所で、だめよ」
「僕には、もう一つ悪趣味があってね。こういうスリルを愉しむのが好きなんだ」
 いいながら強引にパンストとショーツを引き下ろした。
「そんな、だめっ!」
 あわてて両手で下腹部を押さえた純子の口を北原の口がふさいだ。
「ウウン……」
 純子の舌が北原の舌を押し返そうとする。が、不倫の関係がこじれてなかば自暴自棄な気持ちがあったのかもしれない。いったん北原の舌が侵入すると純子のほうからも狂おしく舌をからめてきた。
 北原は濃厚なキスをつづけながら、ブラウスの前をはだけた。白いハーフカップブラをずり下げると、みずみずしい乳房が弾んでこぼれ出た。
 すぐそばを、ほとんどひっきりなしに走り抜ける車のライトが、そのたびに車内をかすめていく。
 純子がせつなげな喘ぎを洩らしてのけぞった。胸に顔を埋めた北原が乳首を舌でこね回しながら、クレバスに分け入った指で鋭敏な蕾を掻き上げたのだ。
 フレンチキスですでに濡れていたクレバスがぬめってきて、乳首もクリトリスも、みるみる硬くとがってきた。
 クリトリスをこね回す北原の指に合わせて、純子が切迫した喘ぎを洩らしながら、腰をうねらす。
「アアッ、……もう、だめっ!」
 ふるえをおびた泣き声をあげた純子が躯を反り返らして腰を揺すりたてた。イッたらしい。
 北原はズボンとブリーフをずり下げた。コックはもう硬直しきっていた。
 純子の頭を押さえてフェラチオを求めると、息を弾ませながら素直にコックを口に含んだ。ちろちろと舌を戯れさせるようにしてくすぐりたてたり、顔を上下に振ってしごいたりしてくる。
「さ、きてごらん」
 北原は純子の上体を起こすと、膝を跨がせた。対面座位のスタイルだ。
「だめよ、見られるわ」
 タイトミニを腰の上までずり上げて中腰のまま、純子がうろたえていう。
「見せてやれよ。スピードが出てる車からだから、見えても一瞬だよ」
 そういって北原は手にしたコックを濡れたクレバスにこすりつけた。逆三角形にきれいに生えた濃密な繁みの下の、唇のような柔襞の狭間から、クチュクチュという湿った生々しい音がたつ。
「ううん、だめっ」
 純子がたまりかねたようにいってくねらせた腰を、おずおずと沈めてきた。そそり立った肉茎が、熱く濡れた花芯に、下から突き入った。
「ウッ……アアッ!」
 しがみついてきた純子を、北原は押しやって、
「ほら、見ろ!」
 と腰を使った。
 柔襞の間に突き入った肉茎がピストンのように出入りする。花芯の蜜にまみれて、テカテカとコックが濡れ光る。
 その生々しい眺めを食い入るように凝視して、ハァハァ荒い息遣いの純子が発情したような顔つきになってきた。
「見えるだろ?」
 興奮しきった顔で、ウン、ウンと頷き返す。
「何が……?」
「入ってるのが……」
「それだけじゃないだろ。純子のオ××コに、ペニスが入ったり出たりしているだろ?」
 それを見せつけながら北原が、指で、真珠のようにふくれあがったクリトリスをとらえてまるくこね回すと、
「アッ……だめっ!」
 昂った声をあげてしがみついてきて、狂ったように股間をこすりつけてくる。
 駐車した車の中で抱き合っている二人に気づいたのだろう、通りすぎていく車がクラクションを鳴らしたりスピードを落としたりしていく。
「見られてるぞ」
「だって……アアッ、たまんないっ!」
 いったん火がつくと、女のほうが大胆になる。というより大抵の女が多少は持っている露出願望によって、見られることが刺激になるらしい。純子はますます興奮してきて、夢中になってクイクイと腰を振りたてる。
「ああ、純子のオ××コは、ザラザラした舌で舐め回されているみたいだよ」
 北原も両手で純子の尻を抱え込み、腰を律動させた。
「アアッ、当たってる!……アッ、だめっ、イクッ……イッちゃう、ね、いっしょに……」
 純子が切迫した泣き声で訴える。
 北原は貪るように唇を奪って、なおも激しく純子の腰を揺すりたてた。グリグリとコックの先が子宮口に当たって、痛いほどだ。
「ウッ、ウウ〜ン」
 純子が泣くような呻き声を洩らしてふるえを湧きたてた。バギナが生々しくヒクつく。同時に北原も、尾骨のあたりから湧き上がったしびれるようなうずきが尿道に押し寄せてきて、脈動といっしょにたてつづけに快感を迸らせた。
 
 その夜、北原が純子を送って渋谷のマンションに帰ってくると、浴室から湯音が聞こえてきた。
 冷蔵庫からビールを出して飲んでいると、浴室から妻の真紀子が出てきた。
「あら、帰ってらしたの?」
 バスタオルを巻いた恰好のまま食堂にきて、
「のどが渇いちゃった。わたしも一杯いただいていい?」
「ああ……」
 北原がビールをグラスに満たしてやると、真紀子は一気に飲み干した。そのときバスタオルが持ち上がって、ヌメ白い太腿の奥が見えそうになった。
「おいしい……。お風呂、あなたもお入りになったら?」
 妙になまめいた笑みをたたえていう妻を見て、北原はいやな予感を覚えた。
(それでさっきはわざと見せつけて挑発したつもりなのか。この前、喪服姿に眼がくらんでキッチンでやってしまったのがまずかった。あれで眠っている子を起こしちまったかな)
 そんなことを思いながら風呂に入った北原は、だが、この夜会ったばかりでカーセックスまでいった純子とのことを考えて、ひとり北叟笑んでいた。
(近いうちに彼女の制服姿を見たいものだ……)
 風呂から上がって寝室に入っていくと、真紀子はネグリジェを着てドレッサーに向かい、髪にブラシを当てていた。北原がガウンをまとうのを鏡を通して見て、
「お休みにならないの?」
「ああ、ちょっと調べものがあるんだ」
 一瞬の気まずい沈黙のあと、寝室から出ていこうとすると、
「お仕事に熱心なのは結構ですけど、今日、父がきていってたわ。『正夫君は今年あたり教授になれそうか』って」
 北原の背に、妻の尖った声が突き刺さってきた。
 チッ!−−北原は舌打ちしてキッチンにいくと、冷蔵庫からビールを取り出して書斎に入った。
 
【3】
「この前は待ちぼうけを食わされて、みごとにフラれたね」
「ごめんなさい。突然、お客さまが見えたものですから……」
 治療台に寝た北原が小声でいうと、高瀬和子はマスク越しに声を低めて謝った。ほかの者の耳を気にしてのことだ。
 高瀬歯科医院には、院長の和子のほかに三人の看護婦がいて、いまは一人が受付けのほうにいき、一人は患者に歯の磨き方を指導し、もう一人は別の患者の歯石を取っている。
「じゃあ今日は……?」
「今日はちょっと……」
 和子は小声でいうと、
「さ、お口を開けてください」
 あんぐりと口を開けさせられた北原は、もう喋ることができない。そのかわりこの前と同じように肘が女医の下腹部に当たったままになった。北原のほうから何気なさを装って、故意にそうしたのだ。
 すると、女医のほうもこの前と同じように避けようとはしなかった。むしろ彼女のほうから押しつけてきている感じだ。
(この前のデートをすっぽかしたんだから、彼女には貸しがある……)
 都合のいい考えに勢いを得て、北原は大胆になった。手を下ろすと、そっと白衣の裾からスカートの中に入れていった。
 ハッ−−とマスクをつけた女医が息を呑む気配をみせ、うろたえた顔つきになって治療の手を止めた。
「だめっ!」
 小声で北原を制した。
「そのまま治療してる恰好をつづけて!」
 北原はいい返して太腿まで撫で上げた。
 驚いた。女医は太腿までのストッキングをガーターベルトで吊ったセクシーな下着をつけている。
 痴漢行為には好都合だ。いきなり北原はパンティの脇から手をすべり込ませた。
「だめっ、いけないわ!」
 狼狽しきって囁いた女医は、だが、逃げようと思えば逃げられるのに脚を締めつけているだけだ。
 北原は眼だけ看護婦やほかの患者のほうに向けて、和子の繁みをまさぐった。和子はほかの者に背を向けて立っている。
 眼をつむって、せつなげに眉根を寄せた女医が、『だめっ』というように小さく顔を振った。それでいて、繁みの下に分け入ろうとする北原の指を拒んでいた太腿が、小刻みにふるえながら徐々に締めつけを解いていく……。
 指が柔襞に触れた。和子が恥ずかしそうに顔をそむけた。
(オッ、濡れてる!)
「先生……」
 不意に看護婦が呼んだ。一瞬、北原も和子も凍りついたようになった。
「ちょっと診てください」
 息詰まるような行為はそこまでだった。
 高瀬歯科医院から大学に出た北原は、指先に残った和子の生々しい感触のために講義をしている間も上の空だった。
 その夜、帰宅して書斎に入り、ワープロに向かってからも秘めやかな興奮が尾を引いていた。
(あのハイミスの女医は、やっぱり自分から俺の肘にアソコを押しつけていたんだ。そのうち必ず落としてやる!)
 ディスプレイに表示されている、【ファイル・14】女医−−の文字を見ながら、そう思ってるとき電話が鳴った。
 例の『謎の制服の女』と名乗る女からだった。
「今夜は淋しい女なの。先生、お相手してくださらない?」
 アルコールが入っているのか、いくらか呂律のあやしい口調でいった。
 それだけではない。その声が妙になまめいてうわずっているのに気づいて、北原はとっさに女が何をしているのか察して胸が高鳴った。
(自分で慰めてるらしい……!)
 が、すぐに思い直した。
(正体もわからない女なのに、下手に相手はできない。こっちの声を録音でもされたら、それこそ厄介だ)
「あいにくだな。うちはテレクラじゃないんだ」
 そういうなり電話を切った。
 
 午後の一時限目でこの日の講義を終えた北原は、すぐに大学を出て、都心を車で走りながら、昨夜かかってきた電話のことを考えていた。
『謎の制服の女』と名乗る女からの電話は、これで二度目だ。しかも昨日はおそらくオナニーしながらかけてきて、彼にテレフォンセックスの相手になってほしいという口ぶりだった。
 あのあと北原は、最初の電話で女がいった言葉を考えていた。
 女は、北原が制服を着た女が好きなことを知っていて、「知らぬは誰かさんだけということを忠告しておく」といったのだ。
 その言葉をまともに解釈すると、北原の『秘密』がその女も含めた何者かに知られているということになる。
 かりに秘密が洩れたとすれば、二つの経路しか考えられない。一つは北原がいままでにハントした制服を着た女たちのことを日記ふうに打ち込んでいる例のフロッピィから、もう一つはその女たちから、の二つだ。
 しかし、フロッピィの場合、秘密を盗み出すとしたら妻の真紀子のほかにはいないはずだが、その可能性はないといっていい。というのもいままで真紀子はワープロに触ったこともないし、かりにもそんな北原の秘密を知ったとしたら黙っているはずがない。
 となると、あとは北原が関係した女たちの誰かということになるのだが、彼女たちとの間にトラブルのようなものはなかったし、怨みに思われたりいたずらをされるような覚えもない。
 とはいえ、得体の知れない女から妙な電話があったことだけは事実なのだ。
 ただ、わからないのは、何のためにわざわざ忠告してこなければならないのかということだ。それとも何か厄介なことが起きるという警告だとでもいうのか……。
「まさか……」
 北原はそう口に出してつぶやくと、胸の中に鉛を呑んだような気分を振り払って、車をファッションメーカーの駐車場に乗り入れた。
 受付けで、企画部の三田純子を呼んでもらい、ロビーで待っていると、やがて純子が驚いた顔をして出てきた。
 会社のイメージカラーなのかロイヤルブルーの地にグリーンの細い縁取りをしたワンピースの制服を着ている。
「どうしたんですか、突然……」
「この前いってたように、急に純子の制服姿を見たくなってね」
「いやだわ。本気だったの」
「私服のときも素敵だけど、制服を着てるとキリッとしてますます魅力的だね。また悪い趣味が出そうだ」
「そんな……」
 先日、出会ったその日のうちに高速道路でカーセックスにおよんだとき北原が、「俺にはこういうスリルを愉しむ悪い趣味があるんだ」といったのを思い出したらしい。純子は羞じらうような笑いを浮かべて、かるくなじるような眼で睨むと、
「ちょっと待ってて。お茶を飲むぐらいの時間ならあるから」
「そうじゃないんだ」
 いったん引き返そうとする純子を、北原は引き止めた。
「俺は仕事できたんだ」
「仕事……?」
「そう。企画部に仕事の打ち合わせでね。この会社なら、個室のミーティングルームぐらいあるだろ?」
「ええ……」
 頷いてからようやく北原の思惑を察したらしく、純子は戸惑った顔になった。
「でも、そんな……困るわ」
 かまわず北原は先に立って、エレベーターのほうに向かって歩きだした。
 北原が先にエレベーターに乗り込むと、純子も仕方なさそうについてきた。
 そのとき男の社員が駆け込んできた。そのために純子は何もいうことができず、ただチラチラと北原に恨めしそうな視線を向けるだけだった。
 純子の所属する企画部は、六階にあった。エレベーターを降りると、
「全部使用中かもしれないわ」
 北原以上に緊張した顔つきになって、純子はそれを願っているような口ぶりでいった。
「そのときは空くまで下で待ってるよ」
「そんな……」
 うろたえるというより呆れたような顔で純子が北原を睨む。
 ミーティングルームは、社員たちのいる部内とパネルで仕切られた廊下の横に、小部屋が三つ並んでいるだけだった。
 北原にとっては運よく空き室があった。純子はほかの社員たちの眼を気にしながらドアのプレートを『使用中』にして北原を中に入れると、ホッとしたように後ろ手に閉めたドアにもたれかかった。
「うまくいったな」
 会心の笑みを浮かべて北原が純子を抱き寄せると、
「あっ、待って、だめっ!」
 顔を振って拒もうとする。北原は強引に唇を重ねた。純子は口を閉ざして北原の舌の侵入を拒んだ。が、北原が制服の上から胸をわしづかむと、
「んんっ!」
 せつなげに呻いて口を開いた。北原が舌をすべり込ませると、あきらめて覚悟を決めたように純子のほうからも舌をからめてきた。
 ワンピースの制服をずり上げパンストの上から尻を撫で回すと、だが純子は焦れるように腰を振って身悶え、唇を離した。
「だめよ。鍵がかかってないのよ」
「誰かきたらノックぐらいするだろう。声さえ出さなければ大丈夫だ」
「まさか……!」
「そう、まさかだよ。ここでファックするんだ」
「そんな!……気づかれるわ」
「それよりグズグズしてると、よけいに怪しまれるぞ」
 いうなり北原は純子の前にしゃがんで制服の下に両手を突っ込むと、一気にパンストとパンティを引き下ろした。
「アッ!……だめっ……」
 腰をくねらせた純子が、うろたえた声を洩らした。かまわず北原は下腹部に顔を埋めると、両手でクレバスを分けて舌を這わせた。
「だめよ、いけないわ」
 純子はふるえ声でいって、北原の顔を押しやろうとした。このとき拒んだのは、それまでとちがった意味があったようだ。純子のそこは、かすかなアンモニア臭がして、酸っぱい味がした。
 だが、クリトリスをこねるように舐め回していると、みるみる荒い息遣いになってきた純子の両手が北原の頭を抱え込み、うねうねと腰を揺すりはじめた。
「ああっ、だめっ!」
 抑えたふるえ声を洩らして、純子はしゃがみ込んだ。
 その顔の前に、北原は、エレクトしたコックを取り出して突きつけた。ためらいもなく純子の口がそれをくわえた。早く北原をその気にさせてコトを終わらせようというつもりなのだろう、しごきたてるように興奮した顔を振りながら、眼だけドアのほうを凝視している。
「ほかの社員はみんな、まさかここできみがこんなことをしてるなんて夢にも思わないだろうな」
「いや、へんなこといわないで……」
 そういいながらも純子は、ふたたび北原のコックを口に含むと、発情したようになった顔を振りながら、攻めたてるようにしごきたててきた。
 そのままでは口内発射をしかねない。北原は純子を抱き起こした。
「下着は脱いでおいたほうがいい。万一のとき引き上げる手間がはぶける」
 純子はいわれた通り、パンストとパンティを取ると制服のポケットにしまった。
 北原は純子を椅子に坐らせた。両脚を抱え上げ、肘掛けをまたがせた。
「いや、こんな恰好……」
 純子はあわてて両手で股間を押さえた。が、開ききった両脚は、肘掛けをつかんだ北原の両手が邪魔になって下ろすことができない。
「ほら、手をどけてごらん。そのままだと入れられないじゃないか」
「ああ……見ちゃあいや」
 たまらなさそうにいって顔をそむけた純子が、股間からしぶしぶ両手を離した。
 局部はあからさまだ。扇状にひろがった繁みの下に、薄い褐色の柔襞が半びらきの唇のように開き、生々しいサーモンピンクの濡れたクレバスまで覗かせている。
 大股びらきでOLの制服の下半身だけを露出した恰好は、むしろ裸よりも淫欲をそそる眺めだ。
 ズボンのファスナーの間からエレクトした肉茎を突き出した北原は、そのまま純子のあからさまな花芯に突き入った。
「ウッ!」−−呻いてのけぞった純子が両手で口を押さえた。
 両手で肘掛けをつかんだ北原は、米搗きバッタのように腰を律動させて、熱く潤んでからみついてくる粘膜の奥に突き引きを繰り返した。
 指を噛んで必死に声を殺していた純子が、それも苦しくなったように口を開けてハァハァ荒い息を吐く。
「ほら、見えるだろ?」
 北原のコックが柔襞の狭間に見え隠れするのを凝視したまま、純子が興奮しきった顔で頷く。が、二人の眼はすぐにミーティングルームのドアに釘付けになった。ノックがあればとっさに離れて身繕いすることもできるが、いきなりドアを開けられたらどうすることもできない。
「アアッ……早くっ、ね、もうイッて……」
 純子が切迫した顔と声で自分から腰を律動させる。
「もうイキたいほどいいのか?」
 北原が訊くと、必死の形相で頷く。
「どこがいい?」
「いやっ、誰かきたらどうするの、早くして!」
「だめだ。純子がはっきり、オ××コがいいというまでイカないよ」
 そう北原が耳元で囁くと、
「そんな……いやっ!」
 純子はすねて顔をそむけたが、「オ××コがいいの」と恥ずかしそうに小声でいったとたん、ますます興奮してきて、
「おねがい、イッて、ね、イッて!」
 すがるように訴えながら、夢中になって腰を揺すりたてる。
 そのとき不意に笑い声が起こった。二人はギョッとして動きを止めた。笑い声は隣りの部屋からだった。
「ああっ、早く、早くしてっ!」
 純子が急き立てるように腰を弾ませる。その腰遣いと北原のピストン運動で、バギナとコックが激しくこすれ合い、そこがもう燃えるように熱く、ムズ痒い。
「イクぞ!」−−北原はさらに律動を速めた。純子が躯を弾ませながら、すすり泣くような小声で絶頂を訴える。生々しくヒクつく花芯の奥に、北原も押し寄せてきた快感を一気に発射した。
 北原が断続して精を放つたびに、純子が痙攣するようなふるえを湧きたてた。
「勤務中に会社でファックした感想はどうだった?」
 北原がハンカチで後始末をしてやると、
「それどころか心臓が止まるかと思ったわ」
 純子は下着をつけながら、何事もなくてホッとしたようにいうと、スリリングな情事の異常な興奮の余韻がただよう顔に、秘密めいた笑みを浮かべた。
 
【4】

 その夜、書斎でワープロに向かった北原がいつものように、秘密のフロッピィの中の、【ファイル・15】ファッションメーカー・OL−−という文書に、昼間、三田純子と会社のミーティングルームでファックしたことを打ち込んでいると、電話が鳴った。

 すでに零時を回っていた。
(こんな時間にかかってくる電話といえば……)
 そう思いながら受話器を取ると、案の定、例の『謎の制服の女』と名乗る女からだった。
「先生って、冷たいのね」
 女はなじるような口ぶりでいった。昨日、北原が相手にせず一方的に電話を切ったのをいっているらしい。
「ワイセツ電話の相手をするほど暇じゃないんでね」
「あら、先生って、ワイセツなことが特別お好きなんじゃありません?」
「きみ、失礼じゃないか! こんな夜更けに電話をかけてきて、人をからかうなんて」
 北原はカチンときて声を荒げた。といっても眠っている妻の耳を気にして声を低めてだが。
「それに卑劣な真似はやめろ。自分の名前ぐらい名乗ったらどうなんだ」
「ごめんなさい、怒らないで。からかうつもりもないし、名前を名乗らないのも、べつに悪意があってのことじゃないの。これでもわたし、先生の味方のつもりよ」
「味方……? どういうことなんだ?」
「それは……そのうち先生ご自身でもおわかりになると思うわ」
「じゃあ何のために電話をかけてくるんだ?」
「昨日もいったでしょ。先生にお相手していただこうと思って……」
 昨日と同じように、しだいに女の声がうわずってなまめいてきた。
 北原は警戒しながらも妖しい気持ちになって、訊いた。
「何をしているんだ?」
「さっきから、自分で慰めてるの。ねえ先生、うんといやらしいこといって……」
「その前に、何歳で、何をしているのかぐらいいえよ」
「……二十八歳で、スチュワーデスよ」
「スチュワーデス……? 僕はスチュワーデスに知り合いはいないぞ」
「そんなことより……ああっ、何かいって……」
「どこで、どんな恰好で慰めているんだ?」
「お部屋のベッドの上で、先生の好きな制服をきたまま、下着だけ脱いで、スカートを上げて、指でしてるの」
 スチュワーデスの制服を乱してオナニーにふけっている女の姿が、北原の脳裏に生々しく浮かんできて、股間をくすぐった。
「どこを触っているんだ?」
「……クリトリスよ」
「その声の感じでは、もう指を入れたいんだろ? 入れてみろ」
「ああっ……入れたわ」
「どこに……?」
「あ・そ・こ」
「そんな上品な言い方じゃなくて、はっきり、オ××コといってみろ!」
「オ××コ……アアッ、先生、いいわ、たまんない……」
 指を出し入れしているのだろう、女の昂った喘ぎがすすり泣くような声になってきて、北原の耳をくすぐり、充血してきたコックをうずかせる。
 そのとき受話器から、クチュ、クチュ−−という、生々しい濡れた音が聴こえてきた。電話の送話器の部分を、指を出し入れしているアソコに近づけたらしい。その音に交じって、女の絶頂間近を想わせる切迫した喘ぎがつづき、北原が淫らな想像を掻きたてられていると、
「聴こえた?」
 息せききった女の声が訊いてきた。
「ああ、はしたない、いやらしい音だ」
「だって、もうたまんないの。先生はどうしてるの?」
 いきなりそういわれて、北原はかすかにうろたえた。いい年をして……と思いながらもいつしか女の声でくすぐりたてられてエレクトしたコックを、手でかるくしごいていたのだ。
「僕の役目は、ただ聴いていればいいんだろう?」
「そんなのだめ。ね、イッて、いっしょに。わたし、もうだめ、もういつだってイケるわ、イキたいの」
 荒い息遣いですがるようにいう。
「イケよ、聴いててやるから」
「うん、いじわる!」
 すねながらも女はその気になったらしい、みるみるまた喘ぎ声が切迫してきた。それに呼吸を合わせて北原は手でコックをしごいた。受話器から女がすすり泣くような声で絶頂を訴えてくる。同時に北原も、抑えていたうずきをティッシュペーパーの中に発射した。
「満足したかい?」
「え、ええ。でも、やっぱり……」
 女がアクメのあとの気だるい声でいう。
「やっぱり、指より男のほうがいいか」
「ええ……」
「だけど、スチュワーデスなら、男に不自由はしないだろう」
「それはまあ……でも、これでもわたし、ふだんは自分でもいやになるくらい男性関係に臆病で、真面目なの」
「だったら僕が、そういう面のカウンセリングをしてやるよ」
「でも、先生のカウンセリングだったら、スチュワーデスの制服を着て、へんなことするんじゃありません?」
 揶揄するような笑いを含んだ声で女がいう。
「かりにそうだとしても、満更いやでもないんじゃないか」
「そうね、そのうちお願いしようかしら」
 女は思わせぶりにいうと、あまりお仕事のお邪魔をしてもいけないから、といって電話を切った。
 
【5】
 研究室の窓辺に立った北原正夫は、見るともなくテニスコートを眺めていた。
 脆い冬の陽射しがそそぐコートでは、テニス部員たちが白いスコートの裾をひるがえしてボールを追い、軽やかなラケットの音を響かせている。
 いつもなら双眼鏡を覗き、テニスウェアを着た彼女たちの成熟した若い躯や、汗ばんでどことなく官能的な表情を眺めて、あまり褒められない愉しみにふけることもある北原だった。
 もっとも、ただそれだけのことで、いままで北原は自分の大学の学生に食指を伸ばしたことは、一度もない。教師という立場上、抜き差しならない厄介なことをさけるためにも、そう自分を律してきた。
 しかしいまは、そんな些細な愉しみのことも頭になかった。
「美穂さんも章子さんも、もうこちらにはおりません。二人ともやめました」
 電話に出たH神社の者がそっけない口調でいった言葉がまだ耳に生々しく残っていた。
 あのとき−−H神社の神楽堂の中で、二人の巫女と情痴にふけって以来、北原のほうから何度か電話をかけていたのだが、そのたびに二人とも「休み」とか「不在」ということだった。
 それがこの日、久し振りにどちらかにでも逢いたいと思って電話をしてみると、意外な返事が返ってきたのだ。
(二人いっしょに巫女をやめたとは、どういうことなんだ? それもあれ以来、まるで忽然と姿を消したように……)
 テニスコートを眺めながらそう思ったとき、不意に北原は胸騒ぎをおぼえた。
(そういえば、前にも同じようなことが何度かあった……!)
 そのときは特別不審も抱かなかったが、いままで関係のあった女たちのうち何人か、美穂や章子のように、なぜか突然勤め先をやめたり、理由もいわず北原と逢うのを避けるようになったりしたことがあった。それも北原が一度だけでなく何度か逢おうとした、つまりそれなりの魅力を持った女たちにかぎって……。
 そのことと、あの『謎の制服の女』−−先日の夜の電話でスチュワーデスということだけはわかったが−−のいっていた、「知らぬは誰かさんだけ」という忠告が、いまはじめて北原の中でからみあい、得体の知れない胸騒ぎとなって込み上げてきたのだった。
(俺の知らないところで何かが起きている−−あの女の忠告はそういうことなのか……) そう思うと、そのことについて手がかりが得られるかどうかわからなかったが確かめずにはいられなくなって、研究室を出た北原は、都心にあるSデパートに向かった。
 店内に入ると、まっすぐインフォメーションコーナーに行った。芥子色の、スタイルはスチュワーデスのそれに似た制服を着た案内嬢の一人が、北原を見て、アラッ−−というような笑みを浮かべた。
「相変わらずきれいだね」
「そんな……お相手をまちがっていらっしゃるんじゃありません?」
 ロングヘアの、何となくマルチーズに似た顔つきの女が、からかうような笑みと口調でいった。
「勤務中でわるいんだけど、晴美のことでちょっと訊きたいことがあるんだ」
 北原は苦笑いしていった。彼女の同僚だったその晴美もしばらく前、二人の巫女同様、突然デパートをやめて北原の前から姿をくらましたのだ。
「じゃあ、晴美とはあれっきり……?」
「ああ。きみのほうは?」
「一度だけ会いましたよ。去年の暮れに偶然、銀座でバッタリ……。そのとき立ち話をしただけなんだけど、でも晴美、ずいぶん変わったみたい……」
 案内嬢の胸には、「安井」という名札がついている。フルネームは確か、安井美恵子。彼女と一番親しかった晴美から、北原はそう聞いていた。
 その美恵子から、もっと詳しい話を聞きたいという気持ちと同時に、そのとき北原は制服姿を見ているうちにまた、例の悪い『虫』が騒ぎだした。
「すまないけど、ちょっと席を外せるかな」
「……?」案内嬢は聞き返す顔つきになった。
「晴美のことを、もう少し訊きたいんだ。−−七階の貴金属売り場の奥にトイレがあったよね。あそこの前なら、立ち話もできると思うんだけど……」
「少しぐらいの時間でしたら……」
 美恵子はあっさり応じた。
 七階のフロアは半分が貴金属売り場、ほかは外国ブランドの高級ブティックが並んでいる。そのため休日でもそれほど客で混むことはなく、この日のように平日だと閑散としている。だから当然、トイレを利用する者も少ない。
 それが北原の狙いだった。しかもトイレはフロアの外れの奥まった場所にある。その前まできて、北原は訊いた。
「さっき、晴美が変わったっていってたけど……?」
「ええ。何だか優雅な生活してるみたい。ただ、彼女が何となくあまりいいたくないって感じだったから、くわしくは聞かなかったんだけど、パーティとかのコンパニオンのような仕事をしてるとかいってたわ」
 そのとき中年の女が現れて、二人を怪訝そうに見てトイレに入っていった。
 それまでどうやって美恵子をトイレに連れ込むか考えあぐねていた北原は、その瞬間、いい口実が頭にひらめいた。
「ここも人眼につくな」
 呟きながら通路を覗くと、
「マズイな、男の店員がきた。ひとまず隠れよう!」
 いうなり美恵子の手をつかんで男子用トイレの中に引っ張り込んだ。
「そんな! こんな所にいたらよけい怪しまれるわ」
「だから、早く隠れるんだ!」
 うろたえる美恵子を、北原はボックスの中に押し込んでドアを閉め、ロックした。
「シッ!」−−何かいいかけた美恵子の口を手で押さえた。が、トイレに人が入ってくる気配はない。当然だ、すべて北原の芝居だったのだから。
 眼をシロクロさせていた美恵子が必死に顔を振って北原の手を振りほどいた。
「イ、イヤッ! ウソだったのね。離してっ!」
「二人きりになるためには、こうするしかないだろ?」
「そんな……出してっ!」
 抵抗する美恵子を壁に後ろ向きに押しつけると、北原は素早くズボンのベルトを抜き取った。両手を後ろにひねり、ベルトをからめて縛りあげた。
「イヤッ、乱暴はやめてっ!」
 早いとこ、人がきても助けを求められない恰好にしなければならない。ネクタイを解いて猿轡を噛ますと、スカートをめくり上げてウエスト部分に挟み込み、パンストごと一気に白いビキニショーツも引き下ろした。
 密室の中に呻き声が響いた。猿轡を噛んだ美恵子が太腿をよじり合わせながら、ベルトで後ろ手に縛られた両手を解こうと必死に身悶える。
「こんなところを人に見られたくなかったら、もうおとなしくするんだな」
 北原は、制服の上着の前を開くと、ブラウスのボタンを外していった。白いレースのブラが重たげに張った胸が現れた。ブラをずり下げると、ボリューム満点の乳房が生々しく弾んでこぼれ出た。
 香水と体臭が入り交じったような甘い匂いが北原の鼻をくすぐった。年は晴美が同じだといっていたから、二十二歳のはずだ。
「ほう、躯は晴美よりもずっといいようだな」
 北原は片手で乳房を揉みしだきながら、一方の手でスカートの中をまさぐった。すでに下着は膝までずり下がっている。裸の腰を撫で回した。
 実際そうだった。晴美は十人並み以上の美人であの部分の味わいも悪くはなかったが、躯のほうは年相応の若さにやや欠けていた。それに比べて美恵子はマルチーズに似た顔立ちで、美人というより憎めない容貌だが、躯は細身のわりに胸と腰がムッチリと張って、全体にピチピチしている。
 美恵子は太腿を必死に締めつけて北原の手の侵入を拒んだ。
 しっとりとした感触の繁みはそれほど濃くはない。北原はその前にしゃがみ込むと、両手で太腿をこじ開け、舌を、繁みの下に突き入れた。
 呻いた美恵子がうろたえたように腰を振る。太腿がブルブルふるえながら締めつけを解き、舌がクレバスに分け入った。クリトリスをすくい上げるようにしてこね回すと、きれぎれにすすり泣くような声を洩らして腰をもじつかせはじめた。
 そのとき北原はあわてて立ち上がり、猿轡の上から手で美恵子の口をふさいだ。−−話し声と靴音がトイレの中に入ってきたのだ。
 ドアの外で放尿する音が響いた。二人の男の声が話しているのは仕事のことらしく、どうやらこのデパートの社員のようだ。
 ドアを見やる美恵子の顔は脅えて緊張しきっている。それを見て北原は大胆で危険な欲望に駆られた。こういうときの彼は、なぜか自分でもよくわからないのだが、まかりまちがえば身を亡ぼすような、あとから思うとゾッとするような破滅的な衝動に駆られるのだった。
 北原は美恵子の濡れたクレバスに指を這わせた。『イヤッ!』というように顔を振った美恵子が狼狽しきって腰をくねらす。かまわずゆっくりと、潤んだ花芯に指を挿入した。
 太腿が北原の手を挟みつけた。ブルブルふるえている。花芯に収まった指を、秘めやかな粘膜がジワッと握り返すように締めつけてくる……。
 さすがの北原も指を抜き差しすることはしなかった。
 すると、脅えきって顔を振っていた美恵子が、それでいて明らかに興奮した眼つきになってきて、じっとしていられなくなったように自分から腰をもじつかせはじめた。
 そのとき男たちの声と靴音がトイレから出ていった。
 指を挿し入れたまま、北原は片手で猿轡を解いた。このさき猿轡を噛ませていると乱れた息が鼻声になるからだ。
「ああっ、だめっ……いやっ……アッ……アアッ!」
 攻めたてるように指を抜き差しすると、こらえきれず昂った声を洩らしながら美恵子は言葉とは裏腹に淫らがましく腰を前後に揺する。その口を口でふさいだ北原が舌を入れていくと、鼻声を洩らしながら美恵子の舌が狂おしさを訴えるようにからんできた。
 深々と花芯に突き入った北原の指が子宮口の硬いとがりをとらえて、こね回した。
「アアッ、そこ、だめっ……」
 唇を離してのけぞった美恵子が、ふるえ声でいって、うねうねと腰を律動させる。北原が肩を押さえると、トイレの壁にもたれかかったままズルズルと腰を落としていった。
 ハァハァと荒い息遣いで、制服の胸元からこぼれた豊満な乳房が大きく喘いでいる。
 北原はズボンの前を開き、すでに硬直している肉茎を取り出すと、発情したような顔で見上げている美恵子の前に突きつけた。
 美恵子は諦めたように眼をつむると、素直に口に含んだ。
(ふふっ、どうやらその気になってきたらしいな。これはもうレイプじゃない。−−和姦だ)
 戯れるようにうごめく舌の感触を味わいながら、男のモノをくわえたデパートガールを見下ろしていると、
「ああ……もう手をほどいて」
 コックから口を離して、たまらなさそうに訴えた。
「下の口にほしくなったか」
 北原が笑っていうと、「いやっ」と美恵子は顔をそむけた。
 両手を後ろ手に縛ったベルトを解いてやると、
「晴美にも、こんなひどいことをしたの?」
 なじるような眼で見上げる。
 苦笑いしたまま北原はいいかけた言葉を呑んだ。−−また靴音がトイレに入ってきたのだ。
 かわりに美恵子を立たせて片足だけ下着を抜いた。北原が洋式の便器に坐って、膝に跨がるよう促すと、『だめよ!』というように美恵子は顔を振って腰を引いた。
 北原は強引に腰を引き寄せ、膝をまたがせた。
 ドアの外で、男が鼻唄まじりに放尿する音が聞こえた。
 無理やり腰を落とさせようとする北原に、必死にかぶりを振っていた美恵子も下手に抵抗すると外の男に気づかれると思ったのか、両手で口を押さえると恐るおそる腰を下ろしてきた。
 北原は肉茎を手に濡れたクレバスをまさぐった。肉茎の先が入口をとらえた。ハッと息を呑むような気配をみせた美恵子。腰の動きが止まって、そうっと下りてきた。美恵子の熱い潤みの奥に、ゆるゆると北原の硬直が突き入っていく。
「ウッ……!」
 悩ましい表情を浮きたてた美恵子が小さく呻いた。と、外の鼻唄が止まった。
 二人は顔を見合った。北原同様、美恵子も緊張しきって、全神経を耳に集中しているような顔つきをしている。……と、足音がして、水道の水が流れる音がしはじめた。
 北原は美恵子の腰を抱えて律動させた。
「アッ、だめよ、まだいるわ」
 しがみついてきた美恵子が耳元で切迫した声で囁く。
「大丈夫。もう出ていったよ」
「アアッ、早くっ……誰かくる前に早く終わらせてっ!」
 美恵子が狂ったように腰を前後に振りはじめた。潤みきった粘膜が北原のコックをしごきたててくる。
「何だ、その腰つきは。いやがってたんじゃないのか? 最後までいっていいのか?」
 勝ち誇ったようにいいながら、北原も両手に抱えた恵美子の腰を揺すりたてた。
 ウンウンと夢中になってうなずいた美恵子が、昂った短い声をきれぎれに発しながら、
「だめっ……だめっ、もうイッちゃう!」
 と息せききって訴える。
 さきほどから、引き寄せた美恵子の腰を律動させるたびに子宮口と肉茎の先が痛いほどこすれ合い、北原のほうもしびれるようなうずきに襲われていた。
 美恵子が絶頂に達した。同時に北原も爆ぜた。コックから快感が迸るたびに、アクメの表情を浮きたてた美恵子がふるえにつつまれる……。
「どうだった? スリル満点のファックは」
「……ヒドイ!」
 なじるようにいって、美恵子は恨めしそうに睨んだ。が、昂ったその顔には、満更でもなかったような、かすかな笑みが浮かんでいた。
 
【6】
 北原のもとに思いがけない話が舞い込んできた。研究室にやってきた学生たちが、「新体操同好会」を結成したので、顧問になってほしいというのだ。
「しかし僕は、新体操のことなんて何も知らない門外漢だからねえ」
 面倒なことは避けたいと思って渋っていると、
「かまいません。こんなことをいったら、お気をわるくされるかもしれませんけど、形だけですから……」
 ときた。そうアッサリいわれると、断る理由もなくなる。それに同好会の趣旨も、いかにも今時の女子大生らしく、スポーツというよりシェイプアップが目的で、大袈裟なことではないというし、結局引き受けることになってしまった。
(この俺が、新体操クラブの顧問とは……)
 学生たちが帰ったあと、北原は思わず自嘲した。と同時に、厄介なことになったと思った。
(たまには練習中のところに顔を出すことにもなるだろうし、そうなると、いやでもレオタード姿が眼に入るし……これは困ったものだ)
 制服を着た女とみると、性欲をコントロールできなくなるタチの北原だが、いままではさすがに立場を考えて、自分の大学の学生には一度も手をつけたことはない。が、若いピチピチギャルたちのレオタード姿を見せつけられたら、眼の前に好餌をぶらさげられたも同然だ。
 それを思うと、愉しみというより厄介なことになったという気持ちのほうが強い。
 まして先日−−Sデパートの案内係、安井美恵子をトイレの中でレイプまがいに犯したように、制服を着た女に対する欲望は、北原自身、自分でも戸惑うほどますます過激になっていくばかりだ。
(といっても、こればかりはどうすることもできない。俺自身のアイデンティティのようなものなんだから……)
 いかにも大学の助教授らしい理由をつけ、自分の欲望を正当化した北原は、キャンパスをあとにして、六本木に出た。
 ホテルに入り、チェックインをすませてバーを覗くと、すでに三田純子はきていた。そこはインナープールが見えるバーで、最初に彼女と出会った場所だ。
 引け時の店内は客でほぼ満席の状態だった。テーブルを挟んで純子と向き合った北原は、彼女と同じドライマティーニを一口飲んだだけで、
「泳ごう……」
 といって、すぐに立ち上がった。
 レオタードのことが頭にあったせいか、ふと純子の水着姿を見たくなったのだ。水着は宿泊客にホテルが貸してくれる。
 純子も北原の思いつきに乗ってきた。
 トランクスに着替えた北原が待っていると、やがて濃紺のシンプルなワンピースの水着を着た純子がプールサイドに出てきた。
 ワンピースの水着が、プロポーションのいい、二十五歳の熟れた躯をよりセクシーに見せている。
「なかなか悩ましいね」
「プールで、ヘンなことしないでね」
 これまでの北原との情事が、高速道路に停めた車の中や会社のミーティングルームだったことを思ってか、機先を制するように秘密めいた笑みを浮かべて言うと、純子は勢いよく温水プールに飛び込んだ。浮き上がると、見事なクロールでグングン突き進んでいく。
 北原もすぐにあとを追った。やっと追いつくと息が弾んでいた。
「おじさま、息切れですか?」
 純子が笑ってからかう。
「コイツ!」
 と北原は腰を抱き寄せた。
「アッ、だめよ……」
 純子があわてて腰をひねった。尻を撫でた北原の手が、水着の裾から中にすべり込んだのだ。
「大丈夫。水の中までは見えないよ」
「でも、上から見えるわ」
「じっとしていれば平気だ」
 温水プールの上は吹き抜けになっていて、それを取り囲む形のホテルの客室からプールを見下ろすことができる。が、二人がいるのはプールの端だから、北原の手は側壁と純子の躯の間に隠れる。純子さえそのまま何食わぬ顔をしていれば、プールにいる者たちからも怪しまれることはない。
 尻の間に分け入った北原の指先が、小さなすぼまりに触れた。
「いやっ、そこ、だめっ!」
 不意に純子が焦れるように腰を振った。
 北原もアナルに触ろうと思ったわけではない。偶然だった。が、純子の妙になまめいた声とうろたえた様子を見て、いたずら心が起きた。
「じっとして! ヘンに動いたりすると怪しまれるぞ」
 キュッとイソギンチャクのように口をつぐんだすぼまりを、指先で、まるくこねるようにして押し揉んだ。
「そんな……だめよ、いけないわ……」
 狼狽しきって腰をもじつかせながらも、純子は人目を気にしてそれ以上抵抗しようとはしない。そればかりかアナルがエロティックな生き物のようにヒクヒク収縮して締めつけを解いてくると、北原も驚くほどの反応を見せはじめた。
 昂った顔つきで俯いたまま、ハァハァと荒い息遣いになって、北原がつかんでいる手で逆に彼の手を握り返し、さもたまらなさそうに腰をもじつかせる。
「アナルがそんなに感じるのか?」
「だめ、そこ……弱いの」
 妖しい興奮をただよわせた顔で、せつなげにいうと、純子のほうから北原のトランクスの前を手でまさぐってきた。純子の腰に押しつけていた北原のコックもこわばってきていたのだ。
「ということは、ここも経験があるのか?」
 驚いて聞きながら、前からも水着の中に手を入れ、指先でクレバスを掻き上げると、純子は悩ましい表情を浮きたてた顔で小さくうなずく。
 北原はとっさに純子が不倫の関係をつづけていた男のことを思った。
「あの男に教えられたのか?」
 またうなずいた純子が、
「だめっ、あの二人、こっちを見てるわ」
 うろたえていう。見ると、プールの中央から、若いカップルが好奇な視線でこっちを見ていた。
「いいから、見せつけてやれよ」
「ううん、だめ……。あとはお部屋で、ね」
 純子はなまめいた顔と口調でいうと躯をくねらせて北原から離れ、ゆっくりと泳いでいった。
 プールから上がると、二人はひとまずホテルのレストランにいって、ワインを飲みながら夕食を取った。
「さっきは、あの男にアナルまで経験させられたといっていたね」
 北原が気になっていたことを訊くと、純子は羞じらって、いいにくそうにしていたが、
「……あの人、ちょっとSMっぽい趣味があったの」
 と、意外なことを呟いた。
 北原は驚くより胸が騒いだ。−−彼もこの日ちょっとした仕掛けを考えていたのだ。
 
【7】
 食事がすむと、北原は、純子だけ先に部屋にいかせた。
 あとから、しばらくして部屋にいき、ドアをノックすると、ブラウスにタイトミニの、いかにもキャリアウーマンらしいスタイルの純子が北原を迎え入れた。
「メモを見ただろ?」
「ええ……」
 純子は秘密めいた顔つきで北原をかるく睨んだ。
「大学の先生なのに、ずいぶんヘンな趣味があるのね」
「あの男ほどではないだろう」
「あの人のことは、もういわないで……」
 そういうと純子のほうから北原の首に両腕をからめてきた。
「その前に、スカートをめくってごらん」
「うん……いやァね」
 恨めしそうにいいながらも、純子は恥ずかしそうに顔をそむけてタイトのミニを両手でずり上げた。
 ハイヒールを履いて、すらりと伸びた脚線美を見せる下半身があらわになると、セクシーな下着スタイルが現れた。太腿までのストッキングをガーターベルトで吊り、パンティは紐パンというスタイルだ。ストッキングとガーターベルトは黒。紐パンは鮮やかな赤だ。
 それらの下着は、歯科医の高瀬和子がつけていた下着から北原が思いついて用意してきたのだった。そしてさっき、食事の前に部屋にきて、純子にその下着をつけて待つようメモを置いていたのだ。
「なかなかそそる眺めだ」
「こんなハレンチな下着、はじめて……」
 純子がなじるような眼で北原を見る。そのくせストリッパーか外国の売春婦のような下着をつけて刺激的な気分にもなっているらしく、その顔が妙になまめいている。
「そういいながら満更でもなさそうじゃないか」
 ゆっくりと後ろのほうにも回って見ながら、北原がからかうようにいうと、
「縛って……」
 純子は突然そういって、両手を背中に回して重ね合わせた。赤い紐がタテに一筋、フンドシのようにかかっているだけの、むっちりと張った尻をくねらせながら。
「あの男のことを思い出したのか」
「そうじゃないわ。忘れたいから、先生にそうしてほしいの」
「ようし……」
 北原は呻くようにいうと、ホテルの浴衣の紐で純子を後ろ手に縛った。
「こうしてあの男はどんなことをしたんだ?」
「ああ、お尻をぶって……」
 純子は自分から椅子の背に上体を預けると、裸同然の尻を、北原を挑発するように振りたてた。
 北原のほうもすっかり純子のペースにはまって、はじめて経験するアブノーマルな行為に興奮を煽られた。
 ズボンのベルトを抜き取ると、みずみずしい桃のような尻を狙って打ちすえた。−−バ シッ!
「ウッ!……ああっ、もっとォ」
 純子はなおも腰を振って催促する。
 つづけざまに北原はベルトをふるった。打ちすえるたびに純子の呻きや喘ぎがしだいに昂ってきて、感じ入ったような気配をおび、同時に妖しい官能が燃え上がってきたように尻がウネウネと淫らにうねりはじめた。
 興奮しきってベルトをふるっていた北原が、ふと我に返ると、純子はその場に崩折れていた。
「ウウーン……ああっ……」
 荒い息をしながら酔いしれたような呻き声を洩らし、赤々と色づいた尻をくねらせて身悶えている。
 北原も息が弾んでいた。床に突っ伏した純子を抱き上げると椅子に坐らせ、両脚を、肘掛けをまたいで大胆に開かせた。
 椅子の上で大股開きのポーズを取った純子の股間をさえぎるものといえば、かろうじてデルタゾーンを隠す、紐パンの小さな三角形の布だけだ。しかも、その布も真ん中にスリットが入っているので、そうして派手に開脚していると、唇のような襞ばかりか、開いた襞の間から覗いたサーモンピンクのクレバスまで見えてしまう。
「スッポンポンより、このほうがいやらしくていいだろう?」
 笑っていいながら北原がクレバスを指でなぞると、
「ああ、いやっ……」
 純子はたまらなさそうにのけぞって、口とは反対に、もっとォ−−というように腰をうねらす。
「何だ、もうグッショリじゃないか。尻を叩かれて、こんなに濡れるほどあの男に仕込まれたのか」
 実際、柔襞の周辺にまで濡れがひろがっている。妬ましい気持ちになると同時に、北原のなかにサディスティックな欲望が込み上げてきた。
 後ろ手に縛った紐を解き、両手を前にして縛り直すと、
「ほら、もう何とかしてほしいんだろ? 自分の手でオナッてみろ!」
 純子の指先を濡れた柔襞の間に押しつけた。
「自分でやって、気持ちよくてたまらなくなったら、そういえ」
「ああ……」
 純子は喘いで恥ずかしそうに顔をそむけると、それでもそんなことを命じられること自体、いやではないらしく、というよりむしろ興奮を煽られるらしく、自ら指をクレバスに這わせて慰めはじめた。
 それを見て北原は、いままでの情事で純子がみせた反応も理解できるような気がした。
(相当マゾッ気を開発されているらしいな……)
 そうは思っても驚きと興奮につつまれながら、服を脱いでいった。
 純子の息使いがしだいに乱れて、ときおりせつなげな喘ぎになってきた。腰がゆるやかに上下し、赤いマニキュアを塗った指先がまるくこねているクリトリスはもう真珠玉のように勃起してきている。
「いいっ、もうたまんない……」
「コイツがほしいか?」
 素っ裸になった北原は、エレクトしたコックを手で振って見せつけた。
「ああっ……ほしい」
「どうしてほしいのか、ちゃんといってみろ」
「入れて……」
「どこに?−−あの男も、そう訊いただろ? そういうときはどういってたんだ?」
「いや……」
 純子は興奮しきった顔で北原のコックを凝視したまま、かぶりを振る。
「いってごらん。そうじゃないと、あの男のことは忘れられないぞ」
「ああっ、先生のおちんちんを、オ××コに入れて……」
 北原の一言がきいたのか、純子は便所の落書きのような卑猥なことをいった。と同時にそういう言葉に刺激されるらしく、ますます興奮して顔が強張っていた。
「その前に、上の口でオシャブリだ」
 北原が椅子の横に立ってコックを突きつけると、純子は縛られた両手を添え、すすんで口に咥えた。男のモノを口にしていると、それがバギナに突き入ってきた感じに襲われるのか、熱っぽく舌を戯れさせながら腰をうねらす。
 北原のほうも女の尻を叩くという初めてのアブノーマルな行為を経験して異常に興奮していたために、いつになくこらえをなくしていた。
 腰を引くと、純子の両手の紐を解き、ブラウスとスカートを脱ぐよう命じた。
 黒いガーターベルトにストッキング、それに赤い紐パンだけになった純子をベッドに上げると、四つん這いにした。
 クレバスを、手にしたコックの先でまさぐり、花芯をとらえると、一気に突き入った。
 四つん這いの純子が呻いてのけぞった。
 潤みきった甘美な粘膜が、喘ぐように収縮してコックを締めつけてくる。
 北原は、腰を前後に律動させて抜き差しした。赤い紐パンの、バタフライのような布のスリットから覗いた柔襞の狭間を、濡れ光ったコックがピストンの軸のように出入りするさまがモロに見える。
 突き引きのたびに感じ入った喘ぎを洩らす純子が、四つん這いの姿勢を保っていられなくなってベッドに上体を突っ伏し、両手でシーツをわしづかんだ。
「純子のここは、ちょっとした名器だな。カズノコ天井ってやつだ」
「カズノコ天井って……?」
「オ××コの上のほうにたくさんの襞があって、カズノコみたいにザラザラした感じがするってことだよ」
「それ、いいの?」
「ああ、くすぐられてるようでいい気持ちだ。純子のほうは?」
「いいわ、たまんない……」
 息せききっていいながら、純子がしきりにシーツを握り直す。
 ピストン運動につれて潤みが粘り、カズノコ天井のザラつきが強まってきた。後背位だから、コックの裏側がくすぐられる。しだいに快感をこらえるのが苦しくなった北原は、動きを止めると、尻朶の間の紐をずらして、アナルに指を這わせた。
「じゃあもっとたまらなくしてやろう……」
「アッ、そこは……!」
 キュッとアナルをすぼめて腰を振る純子にかまわず、指でマッサージするようにして押し揉んだ。
「あの男に、アナルセックスもやられたのか?」
 純子はうなずいた。ヒクヒクとアナルが収縮するたびに、八の字の括約筋でつながっているバギナのほうもヒクつき、北原の肉茎を締めつけてくる。
「でも、だめっ……気が狂ったみたいになるから……」
 喘ぐようにいって腰をもじつかせる。アナルがみるみる開口してきた。
 北原はゆるゆると指を挿し入れた。
「ううん……ア、アアッ……」
 昂った喘ぎを吐いた純子のバギナとアナルが、北原の指と肉茎をくわえ込むように繰り返し締めつける。
 はじめて女のアナルを攻める北原は、興奮しきって指を抜き差しした。それにつれて純子は荒い息遣いになって、狂おしく悶えはじめた。
 ちょうどペニスの形のように見える背中から尻をくねらせながら、もどかしそうに両手でシーツをまさぐる。……と、そのままズルズルと躯が前に伸びていった。
 北原はいったん結合を解くと、妖しい興奮につつまれた純子を仰向けにしてふたたび押し入った。両膝を曲げて腰を浮かすようにさせ、ほとんど真上から、叩き込むように激しく突きたてた。
 北原のほうも純子の妖しい興奮に煽られて、異常なほど興奮していた。
 ふるえ声で快感を訴えていた純子が、切迫した泣くような声で絶頂を告げる。肉を叩きつけるような音をたてながら、北原も快感をぶちまけた。
 
【8】
 北原がシャワーを浴びていると、純子もバスルームに入ってきた。
「洗ってやろう。おいで」
 はにかんだような笑みを浮かべてバスタブの中に入り、北原に背中を向けて立った。
「今日はこのまま泊まっていけばいい」
 シャワーをかけてやりながらいうと、
「だめよ。このまま出社したら、『昨日は外泊しました』っていってるようなものだわ」
「そうか。OLっていうのは、そういうこともあるんだな」
「そうだ。会社っていえば、この前、ヘンなことがあったの」
 セッケンを塗りつける北原の手を、くすぐったそうにして躯をくねらせながら、純子が何かを思い出したようにいった。
「突然、知らない女の人が訪ねてきて、確か『ユニフォームクラブ』とかいってたわ。そのクラブに入って、アルバイトをしないかっていうの」
「『ユニフォームクラブ』……?」
 北原は純子の尻の間にすべり込ませた手を止めて、訊き返した。
「で、アルバイトというのは、どんな……?」
「それがおかしいのよ。いろいろな職業の制服を着て、パーティなんかに出て、コンパニオンみたいな仕事だってことなんだけど、どうもそれだけじゃないらしいの。クラブには男性の会員がいて、メンバーはみんな、社会的地位のある人ばかりだから、自由恋愛をしても信用が置けるし、かなりの報酬があるっていうの」
「つまり、売春の斡旋か……」
「そうでしょ? そうとしか思えないから、わたしアタマにきちゃって、冗談じゃないっていったの」
「そうしたら……?」
「電話番号をメモに書いて、気がかわったら、連絡してくれっていって、帰ったわ。ほんと失礼しちゃう」
「そのメモはあるのか?」
「すぐ捨てたわ。だって、最初から連絡する気なんてないもの」
 北原は、憤っていう純子の言葉を聞きながら、先日Sデパートの案内係の美恵子から聞いた話を思い出していた。美恵子の同僚で北原と関係があった晴美も、Sデパートをやめて、コンパニオンのような仕事をしているということだった。それも優雅な生活をしているらしいと……。
(その『ユニフォームクラブ』とやらと晴美も関係があるのか。あるとしたら、俺の関係した女が、その妙なクラブに狙われたように勧誘されているということになる。しかし、どうしてそんなことができるんだ? しかも女たちにいろいろな制服を着せて、売春の斡旋をしているとは……)
 北原の胸に、不吉な予感が泡のように湧き上がってきた。
「イタイッ……!」
 突然純子が悲鳴をあげて、北原は我にかえった。無意識にセッケンをつけた指を花芯に挿入してまさぐっているうちに、乱暴な手つきになっていたらしい。
「ゴメン、ゴメン……」
 苦笑しながら、指を抜き取ると、
「アンッ……いや」
 純子はすねたようにいって腰をくねらせ、北原の前にひざまずいた。そして、昂った顔つきで半立ちのモノをすくうようにして口に咥えると、じゃれるように舌を絡めてきた。


【第三章 白衣乱れる】


【1】
「何かお考えごとでも……?」
 マスク越しにいった高瀬和子が眼で笑いかけていた。
 歯の治療を受けながら北原は、昨日、純子から聞いた『ユニフォームクラブ』という妙なクラブのことを考えていたのだが、そう訊かれてとっさにいった。
「そう、悩みごとがありましてね」
「悩みごと、ですか?」
 探るような口調で訊く和子に、北原はうなずき、笑っていった。
「美人の歯科医の先生にフラレっぱなしで、このところ悶々としているんですよ」
 和子はかるく北原を睨むと、
「それは、先生の日頃の心がけに問題がおありになるんじゃありません?」
「というと……?」
 北原が訊き返すと、女医は一瞬戸惑ったような様子をみせて、
「よくは存じませんけど、でも先生には、奥さんも子供さんもいらっしゃるじゃありませんか」
「いまどき不倫をとやかくいうなんて古いよ」
「ええ、どうせその歯科医は古い女なんでしょ」
 和子は自分のことを人ごとのように、それでいてからむような口調でいうと、北原の口を開けさせた。
(どうも様子がおかしい。ハイミスの先生、ひょっとして生理か欲求不満かも……)
 あんぐりと口を開けたまま、北原は眼だけ動かして女医の後ろを見やった。三人いる看護婦のうち一人は休みなのか、一人が受付にいるので、診察室にはこちらに背中を向けて歯磨きの指導をしている看護婦と子供の患者がいるだけだった。
 北原は、いつかのように女医の白衣の裾から手を入れてみた。ハッとうろたえた気配をみせて、和子の手が止まった。
 北原の手は大胆に太腿まで這い上がった。和子は戸惑った表情を見せたが眼をつむり、脚を締めつけただけだった。
 女医はこの前と同じようにセクシーな下着をつけていた。太腿までのストッキングにガーターベルトというスタイルだ。
(本気で拒むつもりはないらしい……)
 北原は、太腿の付け根に指先をこじ入れるようにして、パンティの柔らかいふくらみに這わせた。薄い布の上から、クレバスをなぞるようにしていると、女医のほうから脚の締めつけを解いた。
「それ以上はだめ……」
 顔を近づけてきた和子が、せつなげに訴えるように囁く。
 エロティックな感触のパンティのふくらみに、何となく湿った感じがある。北原はかまわずパンティの脇から指を入れた。
 あわてて和子が太腿を締めつけた。が、一瞬早く北原の指先が、ジトッとした柔襞の間に分け入った。
 驚いた。女医のそこはもう、失禁したように濡れていた。
「だめっ!」
 うろたえた和子の叱責するような囁きを、北原は無視して花芯に指を挿し入れた。
「ウッ!」−−苦しげに眉根を寄せた女医がマスク越しに押し殺した呻きを洩らした。もう締めつけていられない太腿が小刻みにふるえだした。
「すごい……!」
 北原は思わず小さく呻いた。ジットリと蜜をたたえたバギナは、その周囲にぐるりとおびただしい襞があって、そうして指を入れているだけでザワザワとうごめいて締めつけてくるのだ。
(名器だ。ミミズ千匹というヤツだ!)
 興奮して女医を見ると、顔をそむけるようにして、後ろの看護婦と子供の患者のほうを凝視している。脅えた表情だが、瞠いた眼が妖しく濡れ光っている。
 北原のなかに、さらに大胆な欲望が込み上げてきた。
 美人歯科医のミミズ千匹の名器に挿入した指を、ゆっくりと抽送した。
「だめっ、動かさないで!」
 屈み込んだ和子が切迫した声で囁く。哀願するような表情でかぶりを振りながら、すぐまた緊張しきった顔で、眼だけは後ろの看護婦と子供の患者のほうに釘付けになった。
 それは北原も同じだ。背中を見せている看護婦と子供に警戒の眼を向けながら、ゆっくりと指を抜き差ししていると、繊毛のような襞が吸いつき、まといついてくる。
 北原は女医の手をつかんだ。無理やりに下腹部に導き、こんもりと盛り上がったズボンの前に触らせた。
 触るのを必死に拒んでいた和子の手が、ためらいがちに北原の股間のモノをなぞるように這いはじめた。
 和子は後ろの看護婦のほうを凝視したまま、北原の指の動きに合わせて腰を揺すっている。せつなげに眉根を引き寄せ、眼が妖しく潤みきっている。声を我慢するために口を開けて息をしているらしい。マスクが口の形にせわしなく出たり凹んだりしている。
(ああ、この名器の中に俺のモノを突っ込みたい……)
 北原はそう切望した。
(彼女だって、もうそうしてほしくてたまらないはずだ。グッショリになって、こんな腰つきをしているんだから……)
 が、どう考えても、これ以上の行為は無理だ。
「いけないわ……もう、だめっ!」
 北原の耳元に顔を近づけた和子がふるえ声で囁いた。太腿を締めつけてブルブルふるえながら、ギュッと北原の股間のモノを握り締めた。
「ウッ!」−−思わず北原は呻いてのけぞった。
 女医が腰を引いた。濡れた凄艶な眼が北原を見て笑っていた。
 
【2】
 その夜、北原は、高瀬歯科医院の診察時間が終わる頃を見計らって電話をかけた。
「昼間はひどい目にあって、まだ後遺症が残ってるよ」
 冗談めかして恨みがましくいうと、
「あら、何のことかしら?」
 和子はとぼけた。
「先生のほうも、かなりの後遺症があったはずだよ」
「北原先生こそ、治療中に眠ってらして、変な夢でもご覧になったんじゃありません?」
「参ったね」北原は苦笑していった。「どう、これから食事か酒でも付き合わない?」
「あいにくですけど、きょうは予定がありますの」
 昼間、北原の指で内腿まで濡らしたとは思えない素っ気なさで和子は電話を切った。
(チッ、あの女医、気取りやがって、どういうつもりなんだ)
 電話口に立っていると、
「先生、これからディスコにいきましょうよ」
 背後から学生の一人が声をかけてきた。−−この夜は、先日北原が仕方なく顧問を引き受けた『新体操同行会』の発足会なのだった。
 ディスコは苦手の北原だが、カフェバーを出ると、十数人の女子大生たちに押し切られた恰好で、ディスコに連れ込まれた。
「先生、踊りましょ!」
「いや、僕はだめなんだ」
「わたしに任せて……」
 渋る北原を、部長の大井良子が手を引っ張って、無理やりフロアに連れ出した。
 ディスコサウンドに乗って踊ってみせる良子にけしかけられ、仕方なく北原も、なかばやけくそになって、ぎこちない仕種で踊りはじめた。
「先生、お上手だわ」
 良子のお世辞に、北原は苦笑した。
(やれやれ、これだから、柄にもない顧問なんて引き受けるんじゃなかった……)
 大井良子は、取り立てて美人ではないがプロポーションだけはいい。グラマーだがよぶんな肉がなく、タイトのミニから伸びた脚もすらりとしている。踊っていると、ボリューム満点のバストが生々しく弾み、形よく張って引き締まった腰がセクシーにくねって、張ち切れそうな若さがまぶしいほどだ。
 そもそもJ女子大というのは、二流のお嬢さん学校として有名な私立大学なので、派手で、遊び好きな学生が多い。大井良子は、その典型的なタイプだ。
 そのとき、めまぐるしい照明が仄暗くなって、スローテンポの音楽に変わった。と、良子が躯をすり寄せてきた。
 チークダンスになって、北原は戸惑った。指を深くからめた良子が、ぴったりと躯を密着させてきたのだ。
 かすかに汗ばんだ若い女の甘い匂いが北原の嗅覚をくすぐった。重たげに張ったバストの感触が手に取るようにわかる。それに何を思ってか妙に腰をくねらせて、下腹部を北原にこすりつけるようにしてくる。
 北原はうろたえた。年甲斐もなく股間のモノが硬直してきたのだ。昼間、歯科医の高瀬和子に治療中にいたずらをしかけ、指でミミズ千匹の名器を味わったもののそれ以上のことはなく、満たされない欲望がくすぶっていたせいかもしれない。
 クスッ、と良子が笑った。
「先生ったら……」
「どうかしたか?」
 北原がとぼけていうと
「だって、すごい元気印になっちゃってる」
「僕だって、男だよ」
「わたし、先生とだったら、不倫してもかまわないわ」
 良子は冗談とも思えない口ぶりでいうと、驚く北原を、アルコールのせいだけではない、妖しく潤んだ眼で見上げた。
 思わず北原もグラリときた。
 だが、自分の大学の学生には手をつけないという、今まで自ら課してきた不文律を守り、かろうじて踏み止まった。そして、学生たちより一足先に切り上げてディスコを出た。
 
 帰宅すると、キッチンのテーブルの上に、妻がメモを置いていた。
『明日の準備はしておきました。お帰りになるまで、実家のほうにいっています』
 北原は明日から二泊三日の予定で人間ドックに入ることになっていた。
(何も前の晩から実家にいくこともないだろうに……)
 ふだんなら、そんなことは思わない北原だったが、今夜ばかりはいささか事情がちがっていた。久し振りに妻と……そう思っていたのだ。
 そのとき電話が鳴った。
 出ると、またしても例のスチュワーデスからだった。すぐに北原は気になっていたことを訊いた。
「きみも、『ユニフォームクラブ』のメンバーなのか?」
「………」
 電話の向こうで、一瞬驚いているような気配を、北原は感じ取った。
 すると、
「『ユニフォームクラブ』のこと、ご存じなの?」
 反対に、女のほうが探るような声で訊き返した。
「名前だけは……」と答えて北原はいった。「やっぱり、メンバーなんだな」
「いいえ、わたしはメンバーじゃないわ」
「じゃあ、どうしてクラブのことを知ってるんだ?」
「それは、ちょっと……」
「ちょっと何だ? 自分のことはいえないというなら、『ユニフォームクラブ』について知ってることを教えてくれないか」
「どうしても『ユニフォームクラブ』のことをお知りになりたいなら、先生ご自身にも関係があるようだし、ご自分でお調べになったほうがいいんじゃありません?」
 女は北原の問いには答えず、なぜか挑発するような口ぶりでいうと、
「それよりわたし、今日、いやなことがあったの」
 それまでとはちがって、甘く、訴えるような口調でいった。
「フライト中に、いやらしい男のパーサーにいたずらされたのよ」
「どんな……?」
「いうのも恥ずかしいこと……」
「いわなきゃわからないよ。それをいいたくて電話をしてきたんだろう?」
「だって、スカートの中に手を入れられて……。それに、アソコにも……」
「アソコって、どこだ?」
「うん、わかってるでしょ。プッシーに……」
 すねたようにいう女の声が、うわずって、なまめいてきている。
「指まで入れられたのか?」
「……ええ」
「そういいながら、きみのほうも悦んでいたんだろう?」
「そんな……抵抗すると乗客に気づかれるから、拒めなかったの」
「それでもいたずらされているうちに、きみのほうも感じて濡れてきたんじゃないのか」
「だって、どうしようもなかったんですもの」
「で、どうなった?」
「あとで彼に誘われたわ。断ったけど……。これでもわたし、身持ちは堅いほうなの」
「なるほど。それで、いじられただけでは物足りなくて、僕に電話をしながら、さっきから自分で慰めているってわけか?」
「気づいてらしたのね。そう……」
 しだいにうわずってきていた女の声が、急にせつなげな息遣いにかわってきた。
 北原は驚いていた。偶然とはいえ女の話が、昼間、彼が高瀬和子にしかけたいたずらとそっくりだったからだ。
「先生、何かおっしゃって……」
 女の声が、甘く訴える。
「いってほしかったら、何でもいいから、『ユニフォームクラブ』のことを教えろよ」
「ウン、焦らしちゃいや。わたし、もうこんなになってるのよ」
 すねたようにいうと、受話器を股間に持っていったらしい。クチュクチュという、湿った生々しい音が聴こえてきた。
「聴こえたでしょ? ね、このままイッていい?」
 昂った喘ぎ声で、女が囁くようにいう。
「勝手にしろ!」
「アアッ……いいっ……先生もいっしょにイッて……」
 感じ入った声がすすり泣きになるのを聞きながら北原は、エレクトしてきた股間のモノをしごきたくなる衝動をかろうじてこらえていた。−−明日からは看護婦のいる人間ドックに入るのだから、と自分にいい聞かせて……。
 
【3】
 翌日、北原は、学生時代の友人が事務長をしている、都心にある総合病院の人間ドックに入った。
 本格的な診察は明日からということで、その日は午前中に脈拍や血圧を計っただけだった。
 個室に入ってべッドに横になった北原は、ほんのわずかの間、大学で教えている情報社会学の専門書に眼を通しただけで、もうよからぬことを考えていた。
 さきほど事務長室で、友人から紹介された、彼の面倒を見てくれるという看護婦のことだ。
 名前は、倉田冴子。彼女が退席したあとで友人から聞いた話では、二十四歳で独身ということだった。
 北原は、倉田冴子を一目見て胸がときめいた。白衣という制服のせいだけではない。涼しげな目許とにこやかな口許が印象的な、ちょっとした美人だったからだ。
(あの看護婦、どうにかできないものか……)
 ベッドに横になって、そんな邪なことを思っていると、ドアをノックする音がした。
 まるで北原の思いが通じたように、バラの花束と花瓶を抱えて倉田冴子が入ってきた。
「事務長からの、お花です」
「それはどうも……。よろしく伝えておいてください」
 そういいながら北原は、窓辺に立って花瓶にバラを活ける看護婦の後ろ姿に、好色な眼を走らせた。
 ナースキャップの下に束ねて編んだ髪を垂らした冴子は、容貌だけでなく、プロポーションもいい。すらりとした脚をして、足首が引き締まっている。それでいて、こんもりと盛り上がった白衣の尻が、二十四歳の熟れ頃の躯を、生々しく想像させた。
 北原は胸がドキドキしていた。白衣の下は下着だけらしく、ヒップのまるみにパンティラインが浮いて見えるのだ。
「きれいだね」
「ほんと……。バラはお好きですか?」
 そういって振り向いた冴子が、すぐ後ろに立っていた北原に戸惑ったように、あわててまたバラのほうを向いた。
「花じゃなく、冴子さんだよ」
「え……?」
「事務長にお礼をいいたいのは、バラの花よりも、きみのような美人の看護婦さんをつけてくれたことだよ」
「そんな……」
「でも、冴子さんのような美人の看護婦さんだと、患者の中には、ふざけてお尻に触ったりとか、いたずらする者もいるんじゃないの?」
「ええ、美人じゃなくても、入院してる患者さんて、退屈してますから……」
 北原に背中を向けた看護婦は笑っていいながら、いちど活けた花瓶のバラをいじっている。
「そういうときは、どうするの?」
「ちゃんと叱るんですけど、でもそういう人って、懲りなくて……」
「じゃあ僕も叱られるかな」
 そういうと北原は、そっと白衣の肩を抱き寄せた。
 ハッ!−−と冴子が躯を硬くした。
「そんな、いけません!」
「冴子さんなら、どんな叱られ方をされてもかまわない……」
 いいながら北原は、身悶える看護婦の首筋から耳に唇を這わせ、白衣の上から両手で胸のふくらみをわしづかんだ。
 同時に、重たげに張り出した白衣の尻に、早くも勃起したモノを押しつけた。
 ビクッ! とした冴子が、一瞬立ちすくんだ。すかさず北原は白衣の裾をたくし上げて手を入れ、パンストの上から下腹部をまさぐった。
「だめっ……いやっ、やめてください……」
 冴子は抗った。が、そういって拒む口調も悶えも、それほど必死という感じではない。それに勢いを得て、北原はパンストの上ゴムに手をかけた。
 その瞬間、二人とも弾かれたように離れた。突然、ドアがノックされたのだ。
 ほとんど同時にドアが開き、看護婦が顔を覗かせた。
「やっぱり、北原先生だったのね」
 笑って入ってきたのは、島田昌枝という看護婦だった。表の名札を見たらしい。
「……失礼します」
 冴子は一言いうと俯いたまま、昌枝と入れ代わりに足早に病室から出ていった。
「何だ、やめたのじゃなかったのか?」
 北原が驚いた顔でいうと、
「出戻りなの」
 昌枝はそういいながら、とっさに何かを感じ取ったらしく、意味ありな笑いを浮かべて北原を睨んだ。
「お邪魔だったみたいね」
「別に、そんなことはないさ」
「ごまかしてもだめよ。ちゃーんと証拠が残ってるわ」
 笑い顔のまま昌枝が北原の股間を指さした。見ると、パジャマの前がまだモッコリとふくらんでいる。
「マイッタな」
 北原は苦笑して頭を掻いた。
「ホント、大学の先生なのに、手も、ここも早いんだから」
 なじるようにいいながら、なまめいた顔つきになった昌枝の手が、スッと北原の股間に伸びて、半立ちのモノをつかんだ。
「オイオイ、人のことはいえないじゃないか。人妻がそんなことをしていいのか?」
「だって、こんなモノを見せつける先生がいけないのよ」
 昌枝は思い入れたっぷりに北原のモノをまさぐりながら、みるみる興奮した顔つきになって、恨めしそうに北原を見る。北原が抱き寄せて唇を重ねると、すぐに昌枝のほうからも、せつなげな鼻声を洩らして舌をからめてきた……。
 −−二年前この病院の人間ドックに入ったとき、北原は、この島田昌枝という看護婦と関係を持った。彼のほうが手を出したのがきっかけだったが、結果的には昌枝もそれを待っていたようなフシがあった。それも、あとでわかったことだが、すでに区役所に勤めているという婚約者がありながら。
 そのことでもわかるように、昌枝は持っている雰囲気からして好色な感じのする女だった。ただ、その後結婚して看護婦をやめたはずだったのだが……。
「出戻りだといってたけど、もう亭主と別れたのか?」
 北原が、「島田」という名札を見ていうと、
「ああ、これ? 面倒だから、旧姓のままで勤めてるの」
 昌枝は興奮のためにぎこちない笑いを浮かべて、
「専業主婦って柄でもないし、暇だから、職場復帰したの。それに、うちの人は夜のほうも暇なの」
「結婚二年目なのに、もう欲求不満てわけか?」
「だって、月に一回あるかないかなのよ。ああ、もうこんなに……」
 手で北原のモノをまさぐっていた人妻看護婦は、喘ぐようにいうと、その前にひざまずき、パジャマのズボンごとブリーフをずり下げた。
 ブルンと弾んでエレクトした肉茎が飛び出した。
「ああっ……こんなの、久し振りよ」
 欲求不満の人妻看護婦は興奮しきった顔つきでコックを手にすると、全体を舐め回しながら口に咥えた。そして、狂おしく舌を戯れさせたり、うっとりとした顔を前後に振ってしごきたてたりする。
 ひとしきり濃厚なフェラチオに見入っていた北原は、たまらなくなって腰を引いた。
「相当、不満がたまっているらしいな。ほかの患者のも味見しているんじゃないのか」
 立ち上がらせて、からかうと、
「そんな……だったら、こんなこと、しないわ」
 昌枝はすねたようにいって、手にしたままの北原のモノを振りたてた。
「ね、さっき、あの倉田って看護婦に、どんなことをしてたの?」
「こうして手を入れただけだ」
 北原は昌枝を後ろ向きにすると、白衣の下から手を入れ、
「こんなことまではしていないよ」
 と、裾を、一気に腰の上までめくり上げた。バランスを失った昌枝が前のめりになって、ベッドに両手をついた。
「亭主にかまってもらえないといいながら、結婚してますますいやらしい腰つきになったな」
「オバアちゃんになったといいたいんでしょ? もう三十よ」
 白いパンストにつつまれた、むっちりとした腰を、挑発するようにくねらす。
「いい年だよ。三十させ頃というじゃないか」
 グイッとパンストを剥き下ろすと、肌色のシースルーのビキニショーツを穿いた、熟れきった尻が現れた。
 ショーツも引き下ろして、むっちりとした白い尻をむき出しにすると、昌枝は自分から上体をベッドに突っ伏し、腰をグッと持ち上げた。
 双つの丘の間に覗いた、縮れ毛に縁取られた褐色の襞がもう濡れ光っている。
「こんなところに誰か入ってきたら、ヤバイんじゃないのか」
 北原が、怒張の先でクレバスをまさぐりながらいうと、
「ううん、だから、早くしてェ」
 昌枝は焦れて、淫らがましく腰を振る。
「早くどうしてほしいんだ、ん?」
 花芯の入口をこね回す肉茎が湿った生々しい音をたてた。
「アアッ、先生の、オ××コに入れてェ」
「二年前もそういって、俺を挑発したんだったな」
「うそ、先生がいわせたのよ。ね、早くゥ……」
 北原は突き入った。生温かいぬかるみの奥に、そのまますぐに激しい突きを叩き込んでいくと、両手でつかんだシーツを口に噛んで呻いていた昌枝が、たちまちきれぎれに昂った喘ぎを洩らしはじめた。
「オイ、外に声が洩れるぞ」
「だって……ああ、いいっ……もう、どうなってもいいわ……もっと、もっとしてっ!」
 昌枝は歯止めがきかなくなった。北原のほうはそうはいかない。病室の外の気配に耳を研ぎ澄まして、熟れた花芯に突きたてた。
 それでも白衣から下半身だけ露出した看護婦の淫らがましい後ろ姿と、昌枝の感泣するようなヨガリ声が、熱く粘ってきたバギナで甘くくすぐられる肉茎をうずかせ、しびれるような快感が尿道を突き上げてきた。
 昌枝が絶頂を迎えた。泣きながらイッた。それに合わせて北原も爆ぜた。脈動するコックが精を迸らせるたびにふるえを湧きたてる昌枝が、つづけて昇りつめた。
 
【4】
 病院の夜は退屈だ。
 人間ドックに入る前は、何か理由をつけて宿直の看護婦を個室に呼び寄せることも考えていた北原だったが、昼間、結婚してやめたものとばかり思っていた島田昌枝と再会し、欲求不満の熟れた人妻看護婦の中に欲望を放ったあとだけに、さすがにそんな気も起きなかった。
 ただ、昌枝が突然現れたおかげで、美人看護婦の倉田冴子をもう少しでものにできるチャンスを逃してしまった。
 手持ち無沙汰のまま、例の『ユニフォームクラブ』のことを考えていた北原は、ふとあることに気づいて、胸騒ぎをおぼえた。島田昌枝に『ユニフォームクラブ』のことを聞くと、そんなものは知らないといっていた。
 最初に昌枝と関係があったのは、二年前のことだ。北原は、その当時はまだワープロを使っていなかったし、女たちとの関係を記録していたこともない。
 ところが北原と関係したあとで、なぜか突然勤め先をやめた巫女の美穂と章子、Sデパートの案内係の美恵子、それに『ユニフォームクラブ』の者だと名乗る女から会員になるよう誘われたファッションメーカーのOLの純子にしろ、みんなフロッピィの中に記録している女たちばかりだ。
(やっぱり、あのフロッピィを誰かに見られているということか……そうでなければ、何者かが俺の行動を監視していることになる。しかし誰が、何のために……?)
 前者の場合、犯人は妻の真紀子しか考えられない。
「といっても、真紀子はワープロを操作することはできないはずだ……」
 口に出して呟いた北原は、待てよ、と思うと同時に黒い不吉な予感が胸にひろがっていくのを感じた。
(もしも真紀子が、ワープロは打たないまでも簡単な操作ぐらいはできるとしたら……)
 が、その疑惑は、前にも思った理由から、すぐに打ち消した。
(第一、真紀子が俺の秘密を知って黙っているはずがないし、それに真紀子と『ユニフォームクラブ』だって、つながりようがないじゃないか)
 そう考えると、疑惑はまた闇の中に紛れ込んでしまった。
 
 翌日、朝食のあとで、倉田冴子が部屋にきた。
 昨日、あんなことがあったというのに、冴子は何事もなかったような顔で、この日の診察の予定を北原に伝えた。
(昨日のことを、どう思っているのか。本気でいやがっているとは思えなかったが……)
 ベッドを降りた北原が、後ろに回り込むようにして立つと、
「十時に迎えにきますから、それまで待っていてください」
 早口でいった冴子が、何となく白衣の両肩を強張らせたような緊張した気配をみせた。
「十時までには、まだ一時間あまりあるね」
 いうなり北原は冴子の肩に手をかけて、クルリと向き直らせた。同時にいきなりキスにいった。
「イヤッ、だめっ……ウッ、ウウン……」
 必死に顔を振って拒もうとするのを強引に唇を奪い、腰を引き寄せた手で尻を撫で回しながら、舌を押し込んでいった。……と、ためらいがちにだが、意外にあっさりと冴子のほうからも舌をからめてきた。
 北原の、こね回すような舌の動きに合わせて、しだいに冴子の舌が熱っぽくからんでくる。それにつれて、せつなげな息の乱れが、甘い鼻声になってきた。
 北原が両手で抱え込んだ腰が焦れるようにうごめく。さっきからみるみるエレクトしてきた股間のモノが、白衣の上から冴子の下腹部を突き上げているのだ。
 相手の反応に安心して、北原が唇を離すと、
「だめっ……また島田さんがくるかもしれないわ」
 冴子は息を弾ませながら、北原をなじるように見た。怒っている眼ではない。明らかに興奮のためとわかる潤んだような眼に、媚びるような感じがあった。
 冴子のいう通りだった。病室の前を通りかかれば、「おはよう」の声をかけようとして島田昌枝が部屋を覗く可能性は充分ある。
「じゃあ、どうしたらいい? こんなになっているんだよ」
 そういうなり北原は冴子の手を取ると、テントを張っているパジャマのズボンの前に導いた。
「……困った患者さんね」
 二十四歳の美人看護婦は、一回り以上年上の北原を、子供をたしなめるような眼で睨むと、ジンワリと彼のコックを手につかんで、
「夜まで待って……」
 と、秘密めいた妖しい笑みを浮かべた。
「夜まで……?」
「きょうはわたし、宿直なの」
「わかった」
 と、北原も共犯者のような笑みを返したが、
「でも、このまま夜まで待てというのは酷だよ。男がこうなると、もう我慢できないことぐらい、きみも看護婦だから、よく知ってるだろ?」
 そういうと、ロッカーを指差した。
「あの中なら、見つかる心配はないよ」
「そんな……」
 驚いた、というより呆れたというような顔をしている冴子を、北原は、ロッカーに押し込んだ。中は、大人二人が腰を屈めて、やっと入れるほどのスペースしかない。
 パジャマのズボンをブリーフごとずり下げた北原があぐらを組んで坐り、膝を跨がせた冴子の白衣の裾から両手を入れて、下着を引き下ろした。
「あっ、だめ……」
 両手で北原の肩をつかんだ冴子が焦れるように腰を振った。が、本気で拒もうとするようすではない。
「信じられないわ。大学教授がこんなことをするなんて……」
「残念ながら、まだ助教授だよ」
 いうなり冴子の腰を下ろさせた。
「同じことだわ。……ああっ」
 喘いだ冴子が戸惑ったように腰をもじつかせた。北原がエレクトした肉茎を手に、柔襞の狭間をまさぐったのだ。肉茎でこすりたてるにつれて、すでに潤んでいた粘膜が、みるみる濡れてきた。
 悩ましい表情を浮かべた冴子がせつなげに喘ぎながら、コックの動きに合わせて、もどかしそうに腰を前後に振る。
「そう、同じことだ。教師と看護婦がスケベだということも……」
「そんな……ああっ、もう……」
 たまりかねたようにいうなり冴子が腰を沈めてきた。ズブリ−−と北原の肉茎がぬかるみの奥に突き入った。
「ウッ!……ああっ……」
 感じ入った呻き声を洩らした冴子が北原の首にしがみついてきた。自分から腰をこすりつけるようにして揺すりはじめた。
 シッ!−−北原はあわてて手で冴子の口をふさいだ。
 そのまま眼をシロクロさせていた冴子が、ハッとして緊張した顔になった。ふたたびノックがあって、病室のドアが開く音がしたのだ。
「ん?……、いないのか」
 その声は、事務長の声だった。
 ロッカーの中の二人は、ファックを中断したまま、緊張しきってじっと息をつめ、声のするほうを凝視していた。
 ……と、すぐにドアの閉まる音がした。
「事務長だったらしいな。見つかってたら、大変だ」
「ああ、心臓が止まるかと思ったわ」
 美人看護婦はホッとしたようにいうと、北原にしがみついてきた。
「こんどは、島田看護婦に邪魔をされるかもしれないぞ」
「だから、早くして!」
 急き立てるような口調と腰つきで、冴子が自分から腰を振る。
(こういうときの女は、みんな同じようなことをいう……)
 北原は内心北叟笑みながら白衣の裾をめくった。むっちりとして、それでいて引き締まった裸の尻を両手に抱え込むと、腰を引きつけたまま、こすりつけるように律動させた。
 熱く潤みきった花芯の奥深く突き入ったコックが、子宮の入口をこね回す。
「アアッ、いいっ……いいわァ……」
 しがみついた冴子が、北原の耳元で、ふるえをおびた喘ぎ声で囁くようにいう。
「ここらでやめて、夜のために取っておこうか?」
「イヤッ……このままイッて……」
 からかう北原に、冴子はすがるようにいうと、腰を浮かして上下させはじめた。夢中になって、反対に北原を攻めたてるように腰を律動させる。
 粘ってきた花芯の粘膜が、コックに吸いつきからみついて、甘くくすぐるようにしごきたててくる。
(ここはもう発射して、夜はジックリ愉しむか……)
 そう思っていると、腰を落とした冴子が、
「アアッ、イクッ!」
 と狂ったように股間をこすりつけてくる。
 甘美な粘膜でこね回されるコックに、突き抜けるようなうずきが押し寄せてきた。冴子がイクと同時に、北原も快感を発射した。
 
【5】
 午前中の診察を受け終わった北原が食堂で昼食を取っていると、看護婦の島田昌枝がやってきた。
「今日は、また一段ときれいだね。やけにすっきりしてるじゃないか」
「お世辞でも、うれしいわ」
 人妻のベテラン看護婦はサラリといってのけると、意味ありな笑いを浮かべて、
「おかげさまで、昨日はグッスリ眠れたせいじゃないかしら」
 昨日病室で北原とファックして、欲求不満が解消したせいだといっているのだった。
「ねえ先生、お食事のあと、お部屋のほうにお邪魔していい?」
「ん? それはちょっと……」
 なまめかしい笑みを漂わせていう昌枝に、北原はいいよどみながら、下手にお世辞をいったことを後悔した。今夜は冴子と愉しむことになっているのだ。スタミナの浪費は避けたい。
「あいにく、これから事務長に会うことになってるんだ」
「今夜は……?」
「夜は、やらなきゃいけない仕事があってね」
「ウンッ、何だかわたしを避けてるみたい。あの倉田という看護婦と何かあったんじゃない?」
「そんなことはないさ」
 欲求不満を囲っている人妻看護婦の攻勢にタジタジとなっていると、
「じゃあ、ちょっとだけ、レントゲン室にきて……」
 昌枝はそういうなり食堂から出ていった。
(まったく、これでは人間ドックどころか寿命が縮まっちまうな)
 ぼやきながら食堂を出た北原は、レントゲン室の前までいくと、人目がないのを確かめて中に入った。
 かなり広いスペースの内部は薄暗く、その中に診療機器が並んでいる。
 室内を見回していると、
「こっちよ」
 潜めた声がした。見ると、暗幕の陰から昌枝が顔を覗かせている。
 北原がそばにいくと、甘えかかるように昌枝の両腕が首にからんできた。
「突然誰かきたら、どうするんだ?」
「大丈夫。昼休みは誰もこないわ。それよりどうしたの? 今日の先生、おかしいわよ」
 怪訝な顔をしていいながら、昌枝は北原のガウンの紐を解くと、
「昨日は、無理やりにわたしを犯したっていうのに……」
 恨めしそうに北原を見て、パジャマのズボンの前をまさぐってくる。
「おいおい、人聞きのわるいことをいうなよ。そっちだって、その気は充分あったじゃないか」
「あら、そうだったかしら」
 昌枝はわざとらしく笑っていうと、北原の前に跪いた。
「ちょ、ちょっと待て……」
 北原はあわてて昌枝を引き上げた。股間のモノは、今朝、冴子とファックしたままなのだ。それに今夜、冴子との情事が待っているので、ここで昌枝の求めに応じることはできない。
「最近、パワーが落ちてね、連チャンとなると、容易に役に立たないんだ」
「だから、役に立つようにしてあげようとしたのよ」
「そうじゃないんだ……」
 苦しい言い訳をしながら、そのときとっさにいい考えを思いついた。
「それなら、フェラチオより、女のアソコを見せてもらったほうが感じるんだよ。そこのベッドに上がって、見せてくれないか」
「そんな……」
 さすがの昌枝も戸惑ったようだ。が、根が好色なだけに見せるという行為に刺激されたのか、妖しい顔つきになってきて、
「そうじゃないとだめなの?」
「ああ……」
 北原は苦笑いして頷いた。
「仕方ない人ね」
 昌枝は笑いながらベッドに上がると、白衣を腰の上までたくし上げ、白いパンストとパンティをいっしょにずり下げ、立てた膝を開いた。
 婦人科の内診台に上がったスタイルだ。ぬめ白い太腿の間に、秘苑があからさまになった。−−縮れの強い、かなり濃密な繁みが、まばらだが褐色の柔襞の周囲を縁取って、淫猥な眺めだ。
 北原が柔襞を指で分けると、息を呑むような声といっしょにピクッと腰が跳ねた。ネチョッとした感じがあって、サーモンピンクの粘膜があからさまになった。
「何だ、もう濡れてるじゃないか。しようがないな」
「だってェ……」
 好色な人妻看護婦はうわずった声でいって、早く何とかしてほしいというように腰をうねらす。
 北原は昌枝の手を取ると、指先を、ジットリと濡れた粘膜の蕾に導いた。
「こうして自分の指でして見せてくれ。女がオナニーするところを見ると興奮してくるんだ」
「いやだわ、人前でこんなこと……」
 そういいながらも、恥ずかしそうに顔をそむけた昌枝の指がためらいがちにクリトリスを掻き上げる。そして、まるく円を描くようにしてこねはじめると、きれぎれにせつなげな喘ぎを洩らしながら、顎を突き上げるようにしてのけぞり、もどかしそうに腰をうねらせはじめた。
 みるみるクリトリスが真珠のようにふくらんで、勃起してきた。
「ああっ、もうきて……先生ので、して……」
 北原は、指二本を、昌枝の花芯に挿し入れた。
「ウウンッ……指は、いやっ」
 太腿で北原の手を締めつけて焦れるように腰を振るのを、ぬかるみに収まった二本の指で花芯をこね回すようにしていると、しだいに昌枝は太腿の締めつけを解いていき、昂った喘ぎ声といっしょに腰を揺すりはじめた。
「いまはこれで我慢して、あとは亭主にねだってみろ」
 そういうと北原は、昌枝の口を手で押さえ、指の動きを速めて攻めたてるように抜き差しした。そのたびに濡れた生々しい音がたって、やがて、すすり泣くような声を洩らしてのけぞる昌枝が痙攣するように腰を律動させながらアクメに達した。
 
【6】
 その夜−−。
 明かりを消した病室のベッドの中で、北原は胸をときめかせていた。
 が、冴子はなかなか現れない。時刻はもう深夜の零時を回っていた。
(ナースステーションを、こっそり覗いてみようか……)
 しだいにジリジリしてきて、そう思っていると、ドアのノブを回す音がして、すべり込むように白衣が部屋に入ってきた。
「ごめんなさい。いっしょに仮眠を取っていた看護婦さんが眠るのを待ってたの」
 緊張していたらしく、美人看護婦は息を弾ませている。
「おいで……」
 北原が布団をめくると、ベッドに上がってきた。
 冴子を仰向けに寝かせて、北原はスタンドの明かりを点けた。冴子は顔をそむけた。まぶしさのせいだけではなく、その顔には、かすかにときめきも交じったような羞じらいがあった。
「きみのことは、ほとんど何も聞いていなかったな」
 北原は静かな興奮をおぼえながら、白衣の胸のボタンを外していった。
「恋人は?」
「付き合っている人はいますけど、でも……」
 冴子は声をうわずらせていいながら、のけぞった。胸元をはだけた白衣の下に這った北原の手が、いきなりブラの中にすべり込んだのだ。
「恋人というほどじゃないってことか」
「……ええ」
 グイッと北原は両方のブラカップをずり下げた。こぼれ出た乳房は、仰向けの状態でも紡錘型にみずみずしく張っている。
「それにしても、今朝はどうして俺を拒まなかったんだ?」
 乳房を揉みしだきながら訊くと、
「拒みました……」
 冴子はせつなげな表情を浮かべてのけぞり、喘ぐようにいう。
「確かに最初は拒んだ。でも、あれは形だけのことで、本気じゃなかった、そうだろ?」
「そんな……」
「ごまかさなくてもいい。どうしてだ、ん?」
 ツンと尖ってきた乳首を舌ですくい取って、こね回していると、せつなげに喘いで胸を反らしていた冴子が、
「アアッ、噛んで……」
 思いがけないことを口走った。
「噛んで? 付き合っている彼にも、そんなことをいうのか?」
 驚いて訊いた北原は、いわないというようにかぶりを振る冴子の顔が異常に興奮しているのを見て、また驚いた。
(この女、マゾッ気があるんじゃないのか! それなら、俺が無理やりに迫ったときの反応もわかる……)
 秘めやかな興奮に衝き動かされるように北原は、硬く尖った乳首に歯をたてた。
「ウッ……もっとッ!」
 苦痛の表情を浮かべてのけぞった冴子が、両手にシーツをわしづかんで小刻みなふるえを湧きたてる。
 北原はキリキリと歯をたてながら、舌で乳首を転がした。
「アッ、ウッ、ウウ〜ン……」
 昂った声をあげながら、白衣がうねって、反り返った。
「イッたのか……?」
 うなずく冴子の表情は興奮しきっている。
「こんなこと、はじめて……」
「はじめて? じゃあどうして噛んでほしくなったんだ?」
「自分でもなぜだかよくわかんないけど、前から、胸に触られたりしてるとき、そうしてほしいって感じ、あったの」
「そうか、やっぱり……」
 北原はしたり顔でつぶやくと、片手でみずみずしく張った乳房を揉みながら、一方の手で白衣の裾をずり上げていった。
「やっぱりって……?」
 仰向けに寝たままの冴子が、喘ぐような顔と声で聞き返しながら、胸を反らし、形よく伸びた脚をすり合わせる。
「いままで自分では気づかなかったんだろうが、冴子には、こうして……」
 北原はギュッと乳房をわしづかんだ。
「アアッ……!」
 感じ入った喘ぎを洩らして冴子がのけぞる。
「男から乱暴に扱われたいという、マゾッ気があるんだよ」
 いうなり北原は一気に両手で白衣の裾を腰の上までめくり上げた。スタンドの明かりの中に、白いパンストにつつまれた下半身があらわになった。下腹部の丘だけが、こんもりと生々しく盛り上がっている。
「だから、オッパイを噛んでほしくなったり、俺が無理やりに迫ったときだって、本気で拒みきれなかったんだ」
「そんな……マゾッ気だなんて……」
 冴子は戸惑ったようにいいながら両脚をよじった。
 その両脚を、北原はグイと押しひろげ、両手でパンストの股間の部分をつかむと、いきなり力まかせに引き裂いた。
 ビリッ! 派手な音をたてて裂けたパンストを、さらに大きく破って、サイドストラップの白いビキニショーツをほとんど露出させた。
「ああっ……そんな……」
 狼狽したようにいいながらも冴子はされるままになっている。そればかりかそれまでにない興奮の気配が、はっきりと顔に表れている。
「これでは、いま付き合っている彼も含めて、いままで経験した男とのセックスでは、何となく満足できなかったんじゃないのか?」
 硬く勃起した乳首を左手の指で弄び、右手の指先で、ショーツの上からクレバスにそってなぞっていると、冴子は乱れた白衣をまとった躯をもどかしそうにうねらしながら、頷いた。
「それは、こんなことをしてほしかったからだろう!」
 いきなり弾力のある乳房と局部をわしづかんだ。
「アッ!」−−昂った声を洩らして躯を反らすと、
「ああっ……そう……」
 冴子は身悶えながら、昂った顔つきでいう。そうしているうちにも湿った感じになってきたショーツの脇から、北原は指を侵入させた。
「……らしいな。もうグッショリだ」
「い、いやっ……」
 口ではそういいながらも腰のほうは、おびただしく濡れた柔襞の狭間をこすり上げる北原の指の動きに合わせて、淫らがましくうねっている。
「何だ、そのはしたない腰つきは!」
 罵声を浴びせると、
「ああ……」
 冴子はますます興奮した顔つきになってきた。
 それを見て北原はある考えが閃いた。
 いったんベッドから下り、ロッカーの中からズボンのベルトを抜き取ってくると、それを冴子の首にはめた。
「いや、何をするの?」
「マゾッ気がある看護婦にふさわしいゲームだよ。ほら、メス犬のように四つん這いになるんだ」
 ベルトを引っ張ると、苦しげに呻いた冴子はいいなりになって、白衣が腰の上までめくれた恰好で四つん這いになった。
「いい恰好だ。メス犬になった気分はどうだ?」
 北原は、引き裂いた白いパンストといっしょに、サイドストラップのビキニショーツもむき下ろした。ハート型に形よく張った尻があらわになった。
「あっ!」−−小さく喘いだ冴子が腰をくねらした。北原の指が、尻の谷間を這って、おびただしく濡れたクレバスに分け入ったのだ。
「こういうゲームはいやか?」
 硬くふくれたクリトリスを指でなぶりながら北原は、冴子の手を取ると、パジャマのズボンの前に導いた。
 いやじゃない、というようにかぶりを振った冴子が、きれぎれに喘いで腰を振りながら、すでにエレクトしている北原のモノを手でまさぐってきた。
「そいつがほしかったら、メス犬のように這ったまま、おしゃぶりしろ!」
 首のベルトを引っ張ると、冴子は昂った顔を北原の股間に寄せてきた。自分で北原のパジャマとブリーフをずり下げ、ブルンと弾んで露出した肉茎を、舌をからめるようにして舐め回しはじめた。そして、くわえ込むと、顔を振ってしごいたり、くすぐりたてるように舌を戯れさせたりする。
 北原を挑発するつもりなのか、それともフェラチオをしているうちにますます興奮してきて、ひとりでにそうなるのか、そそり立ったハート型の尻がもどかしそうにくねる。
「何だ、その腰つきは! もうブチ込んでほしくなったのか」
「ああっ、もう……」
 興奮に酔いしれたような顔を上げた冴子を坐らせると、北原はパンストとショーツを脱がせて、グイと両脚を押しひろげた。
 若い美人看護婦の繁みは、逆三角形の形に整然と生えてエロティックな眺めを呈している。それにその下に覗いた柔襞の色も濃い肌色にちかく、形もみずみずしい唇のようだ。
「もう何だ、ん?」
 首から垂れたベルトの端を持って、濡れたクレバスをなぶるように叩いた。
「ウッ……アアッ……」
 叩くたびに悩ましい表情を浮きたてた顔がのけぞって、ぬめ白い太腿がブルブルふるえる。
「俺のペニスをオ××コにブチ込んでほしいんだろ? 自分の手でオ××コを開いて、そうしてくださいといってみろ」
「ああ、こんなこと……」
 たまらなさそうにいいながらも冴子の両手は下腹部に這って、柔襞を左右に分けた。ジットリと濡れたピンク色の粘膜があからさまになって、花芯のあたりが生々しくうごめいている。
「ほ〜ら、物欲しそうにヒクついてるじゃないか。ん? どうしてほしいんだ?」
 指先で、真珠玉のように勃起したクリトリスを撫で回していると、
「アアッ……もう先生のペニス、オ××コに入れてッ」
 興奮してますます冴えた美人顔が、首の支えを失ったようにグラグラしながら、すがるように訴える。
 北原は押し入った。そのまま仰向けに寝て、冴子に騎乗位の体勢を取らせ、白衣の裾をめくり上げた。
 北原の胸に両手をついた冴子が、紡錘形の乳房を弾ませながら、クイクイと腰を前後に振りたてる。そのたびに北原のコックと子宮口の硬い突起がグリグリとこすれ合う。同時にコック全体を、微妙な襞を持ったバギナがくすぐりたててくる。
 ついに冴子は快感を訴えて泣き出した。
 白衣を着たまま乱れに乱れる看護婦をたっぷり観賞した北原は、ナースキャップだけを残して白衣を脱がせ、はじめて冴子を全裸にした。そして、騎乗位ですすり泣きを洩らす冴子の、美しく熟れた躯が狂おしく揺れるのを見て、襲いかかるように押さえ込むと、激しく突きたてていった。


【第四章 危険な情事】


【1】
 タクシーのシートに疲れた躯をぐったりともたせかけて、キラキラしたガラスのような冬の陽射しが降りそそぐ街を見ていると、眼の芯が痛んだ。
 明らかに睡眠不足だった。
(健康チェックどころか、とんだ人間ドックだった……)
 北原正夫は苦笑しながら、フーッと大きく溜め息をついた。
 無理もない。二泊三日の人間ドックに入っている間、二人の看護婦を相手に四度もファックして精力を使い果たしたのだ。
 とりわけ昨日の−−というよりすでに日付は今日になっていたが−−深夜から明け方にまでおよんだ倉田冴子との情痴が、三十八歳の身にはこたえた。
 あのまま北原は冴子の中に欲望を解き放ったあと、ふたたび二十四歳の美人看護婦の躯をベッドの中でネチネチといじり回しながら、もう一度ファックしたのだ。
 冴子の、粘ってからみついてくるようなバギナの感触が、まだ股間に生々しく残っていた。
 この日北原は、午前中で病院を出て、午後は大学にいって後期の試験の採点をすることにしていた。が、睡眠不足と疲れのために予定を変更して、自宅に直行することにしたのだった。
 タクシーが渋谷にあるマンションの前まできたとき、ちょうど玄関から、コートの襟を立てながら一人の男が出てきた。
(おや……?)
 同僚の黒沢助教授だった。
(このマンションに、知り合いでもいるのかな……)
 そう思いながら北原が運転手に料金を払っているうちに、黒沢はマンションから少し離れた場所に駐車していた愛車のBMWに乗り込み、走り去った。
 黒沢は、北原と並んで次期教授候補と目されている人物で、学内にも二人をライバル視する空気がある。北原自身はそれほどでもないのだが、黒沢のほうはそのことを相当意識しているようだった。
 そのせいか二人に次期教授候補の噂がたちはじめてからは、親しく口をきくこともなくなっていた。
(知り合いというより、女がいるのかもしれないな)
 エレベーターの中で、北原はふとそう思った。
 北原より一つ年下で、三十七歳の黒沢には離婚歴があり、現在は独身だった。BMWに乗って、いつもパリッとしたオーダーメイドのスーツを着て……ふだんから派手な私生活の匂いを漂わせている黒沢なら、そんな浮いた話の一つや二つあっても不思議ではなかった。
 自宅に入ると、浴室からシャワーの音が聴こえてきた。
(モーニングシャワーにしては遅すぎる。どこかに出掛けるつもりか……)
 寝室に入った北原は、だが、ツインの妻のほうのベッドが不自然に乱れているのを見て、とたんに不吉な想像にとらわれた。不意に、さっき見かけた黒沢と妻が裸でからみ合うシーンが、脳裏に浮かび上がってきたのだ。
(まさか……!)
 足早に浴室にいくと、いきなりドアを開けた。
 真紀子が悲鳴をあげた。
「あなた!……帰ってらしたの?」
「ああ……」
「驚かさないでよ。午後は大学じゃなかったの?」
 両手で胸を押さえ、息を弾ませている妻の顔は、明らかにうろたえていた。
 シャワーの飛沫が流れ落ちる下腹部を見つめた北原の胸に、その漆黒の繁みのような黒い疑惑が込み上げてきた。
「俺が突然帰ると、何か不都合なことでもあったのか?」
「何も、そんな……」
 妻は口ごもった。
「じゃあ驚いても、うろたえることはないだろう」
「うろたえてなんかいないわ」
 真紀子はクルリと背中を向けると、
「閉めて、寒いわ」
 努めて感情を抑えたような口調でいって、ふたたびシャワーを浴びはじめた。
 湯が流れ落ちる三十五歳の熟れきった尻のまるみが、そのとき北原の眼に、ひどくしたたかで凶悪なものに見えた。と同時にまたしても、眼の前の裸の妻と黒沢がからみ合うシーンが脳裏に浮かび上がってきた。
 衝動的に北原は、むしり取るようにして服を脱ぎ、裸になると、驚いて振り返った妻に襲いかかった。
「あなた……いやっ!」
「何がいやなんだ!」
 後ろから抱き締め、腰を引き寄せた。妻の手から落ちたシャワーの蛇口がバスタブの中に転がって、飛沫をはね上げた。
「いやよ、よしてっ!」
 激しく拒んで腰を振る妻の尻が、いつのまにかエレクトした北原のモノをこすりたてた。
「どうして? 俺だからか?」
「そんな……!」
 一瞬、怯んだように抵抗するのをやめた妻の中に、北原の硬直が突き入った。かすかに軋むような感じがあった。
「ウッ!」−−呻いた真紀子が両手でバスタブの縁をつかみ、のけぞった。
「何で……? どうしてそんな言い方するの?」
 バックから突き引きをしかける北原に、うわずった声で抗弁するように訊き返す。
「訊いているのは、こっちだ。なぜそんなに拒まなきゃいけない?」
「だって……あなた、いつだって、愛情なんて関係なく、ただ欲望のために、それも気まぐれにわたしを抱くだけじゃないの」
 息せききってなじるように言い募る妻に、一瞬北原は言葉に詰まった。いわれてみればその通りなのだ。
「おまえこそ、何だ。まるで愛情たっぷりに抱いてくれる相手が、ほかにいるような口ぶりじゃないか」
「よして!」
 交接を解こうとするように腰をくねらすのを、北原は両手で引きつけて、なおも突きたてながら、
『ごまかすな! その相手は、黒沢だろう? 俺がいないのをいいことに奴を連れ込んで、さんざん愉しんだあとでシャワーを浴びていたんだろう?』
 と喉まで出かかった言葉を、かろうじて呑み込んだ。
 真紀子のバギナが潤んできた。柔襞の狭間にピストンのように突き引きをしかけるコックが濡れて光っている。
 その生々しい眺めが、北原をまた禍々しい想像に駆り立てた。自分と黒沢がダブり、妻の中に突き入っているコックが黒沢のモノになった。
「ああっ、だめっ……」
 それまで必死に感じまいとして、声を出すのもこらえていた真紀子が、昂った声でいうなりたまりかねたように喘ぎはじめた。ようやく躯の力を抜き、自分から尻を突き出して、北原の突き引きに合わせて躯を律動させる。
 ……と、反対にみるみる北原のモノは勢いを失ってきて、ツルリと抜け落ちた。
「イヤッ」−−真紀子が焦れるように腰を振った。
 北原は苦笑いするしかなかった。
「ひどいっ!」
 妻のなじる声を背中に、黙って浴室を出た。
 突然、不如意になった理由は自分でもわかっていた。人間ドックで精力を使い果していたにもかかわらず、妻の浮気を疑って、挑発されたように一時的に勃起したにすぎなかったのだ。それが妻が燃えてきたとたん、ソノ気がなくなってきたのだった。
 
【2】
 それから三日後、北原正夫は、探偵事務所に妻の真紀子の浮気調査を依頼した。
 まさか−−という気持ちはあったが、あの日たまたま予定を変更して帰宅したとき、マンションから出てきた黒沢を見かけたこと、乱れた妻のベッド、昼間からシャワーを浴びていた妻、それに北原を見てうろたえた妻の反応……それらがただの偶然とか、わけもないこととは、どうしても考えられなかったのだ。
 だが、かりに妻が浮気をしていた場合のことを考えてみても、そして、たとえその相手が黒沢だったとしても、北原自身、怒りや嫉妬のような感情は不思議なほど湧いてこなかった。
 あのときシャワーを浴びている妻を見て襲いかかったのも、そんな感情からではなかった。一瞬妻が別人というか、ほかの男の女のように思えて、そのことに刺激されたにすぎない。
 それほど北原の気持ちは、すでに妻から離れていた。それでいて妻の浮気にこだわったのは、
(真紀子が本当に浮気をしているとしたら、真紀子のほうも同じような気持ちからかもしれない……)
 そう思った瞬間、ハッと虚を突かれたからだった。
 −−いままで北原自身、真紀子は彼の秘密については何も知らない、知っていれば黙っておくはずがない、と思っていた。
 だが、かりに真紀子も北原のことを醒めた眼で見ていたとしたら、その前提は崩れる。
すべてを知っていて黙っている可能性もある。そうなるとワープロだってわからない。いままで真紀子はいじらないと思っていたが、簡単な操作ぐらいできるとしたら、北原の秘密が詰まっている、例のフロッピィを見られている可能性も出てくる……。
 そこまで考えたとき北原は、妻が本当に浮気をしているのかどうか、どうしても調べてみなければすまない気持ちになったのだった。
 とはいえ、理由はともかく、探偵に自分の妻の行動を監視させるというのは、あまりいい気持ちのことではなかった。
 そんなスッキリしない気分のとき、北原が顧問をしている新体操同好会の会長大井良子が、相談ごとがあるので夕方ロッカールームまできてほしいといってきた。
(これだから、顧問なんて面倒な役を引き受けるんじゃなかった……)
 ボヤキながら体育館の奥にあるロッカールームの前までいくと、ドアがわずかに開いていた。
 何となく中を覗いた北原は、思わず息を呑み、あわてて通路を見回した。体育部の学生たちはもうみんな帰ったのか両脇に並んだロッカールームはシンと静まりかえっていた。
 その瞬間、ドアを開けるタイミングを失ってしまった。というのも大井良子が一人、ハイレグのレオタードのまま、練習のつもりなのかベンチの上に仰向けに寝て、煽情的なポーズを取っていたのだ。ピンと真上に伸ばした両脚を左右に開いたり閉じたりして……。
 しかもレオタードの下には、なぜかタイツを穿いていない。そのために、両脚を思いきり開いたときなど、股布の脇から柔襞が覗きそうなきわどさだ。
 息を詰めたまま北原が眼を奪われていると、ベンチから起き上がった良子がアッというようなポーズを取った。
 ブリッジのポーズだ。レオタードが食い込んでモッコリと盛り上がった、生々しい局部のふくらみが、思わず固唾を呑んだ北原の股間を直撃し、ドッと充血させた。
 そのとき−−上体を起こした良子の眼と北原の眼が合った。
「誰!……先生?」
 良子が駆け寄ってきてドアを開けた。
「いやだわ。見てらしたんですかァ?」
「いや、そういうつもりではなかったんだけど、邪魔をしてはいけないと思って……」
 その場に突っ立ったままの北原が、柄にもなくドギマギしていると、
「入ってください。そんな所に立ってるのを見られたら、ヘンに思われますよ」
 良子のいう通りだった。あわてて北原がロッカールームに入ると、プンと若い女たちの甘酸っぱいような匂いがこもっていた。−−と、ドアを閉めた良子がなぜかロックした。
「相談ごとって……同好会のメンバーもいっしょじゃなかったのかね?」
 ハイレグのレオタードを着た良子を前に、北原が落ち着きなく訊くと、良子はどこかいたずらっぽい笑みを浮かべてロッカーにもたれ、
「ごめんなさい。ウソついちゃったんです、先生と二人っきりになりたくて……」
 北原はうろたえた。そういいながら良子が、スーッと片脚を顔の横まで持ち上げていき、両手で抱え込んだのだ。きわどい股間の眺めが、もろに北原の眼に飛び込んできた。
 恐ろしく柔らかい躯をしている。どちらかといえばシェイプアップが目的の新体操同好会の中でも、この大井良子だけは高校時代から本格的に新体操をやっていたらしいのだ。
 一瞬北原が唖然としていると、
「お忘れになったんですか? あのとき、わたしがディスコでいったこと……」
 良子が媚びたような眼つきで北原を睨みながら脚を下ろした。−−新体操同好会の発足パーティをしたあの夜、ディスコでチークを踊っていると、良子のほうから北原の股間に腰をすりつけてきて、「先生とだったら、不倫してもかまわないわ」と囁いてきたときのことをいっているのだった。
「ああ、あのわるい冗談なら覚えてるけど、こんなことをして教師をからかうもんじゃないよ」
「からかってなんかいません」
 良子はすねたようにいうと、こんどはロッカーに片手をつき、後ろに上げた片方の足首を一方の手でつかんで、上体を弓なりに反らした。
 ハイレグのレオタードからこぼれ出そうな尻がコリッと盛り上がって、股間に食い込んだ股布が局部のふくらみをクッキリと見せつける。
「そうやって挑発して、誘惑するつもりかね?」
「いけません?」
「いけないね。少なくとも学生が教師に対してすることじゃないよ」
「わたし、いけないこと、したいんです」
 秘密めいた顔つきになって北原の首に両腕をからめたきた良子が、囁くようにいいながら、いきなり片手をズボンの前に這わせてくる。
「キミィ……!」
「先生だって、いけないことしたくなってるわ」
 北原の硬直しかけたモノをまさぐりながら、良子は妖しい笑みを浮かべていうと、北原の前にひざまずいた。そしてあっという間に、ファスナーを下ろしてブリーフの中からエレクトしかけたコックを取り出すと、舌をからめてきた。
 北原は狼狽し逡巡していた。いままで自分の大学の学生にだけは手をつけないでおこうと、みずからを律してきたのだ。
 それが……みるみるエレクトしてきたコックを、アイスクリームでも舐めるように舐め回す良子の舌を感じながら、そのうっとりとした顔や、レオタードの胸元から覗いた豊満なふくらみや、それにハイレグから露出した腰の張りなどを見下ろしていると、危うくなってきた。
 なおもフェラチオをしかけてくる良子を、北原は、ついに我慢しきれなくなって抱き起こした。
「教師を誘惑するなんて、まったく困った学生だな」
 ロッカーに押しつけ、苦笑いしていうと、
「ああ……」
 甘えるように北原の首に両腕をからめてきた良子が、そのまま唇を求めてきた。
 さきに舌を入れてきたのは、良子のほうだった。
 挑発されたように北原も舌をからめていくと、鼻声を洩らしながら、彼のズボンの前から露出した硬直にレオタードの下腹部を思わせぶりにこすりつけてくる。
 そのせつなげな声、狂おしくからんでくる舌、淫らがましい腰つき……それらがいっしょになって、北原から最後の自制心を奪い去った。
「あっ……」
 良子が小さく喘いだ。いきなり北原が脚を抱えて肩に担ぎ上げたのだ。
 片脚がほとんど真上に上がって、ハイレグのレオタードの股間が無防備な状態になった。
「こういうことをされたかったのか!」
 いうなりレオタードの胸元を引き下げた。ボリュームたっぷりの乳房がブルンと生々しく弾んでこぼれ出た。
「ああっ……そう……」
 良子が喘ぎ声でいう。
「ほう、スリムなわりに大きなオッパイだな」
 張りのある乳房を手で揉みしだきながら北原は、以前アダルトビデオで見た、小林ひとみという女優を思い出した。大井良子の躯つきは彼女とよく似ているのだ。
「あっ、ああん……」
 せつなげに喘ぐ良子の手が、北原の股間をまさぐってきた。硬直をつかんで、かるくしごくようにする。
 北原も良子の股間に手を這わせた。レオタードの股の部分をつかむと、上げた脚の付け根のほうに、グイとずらした。
「アッ……!」
 よじれた股の部分が紐のようになって脚の付け根に食い込んで、局部がむきだしになった。
「おお、パックリじゃないか」
 大胆な開脚によって、縮れ毛で縁取られた唇のような柔襞もあからさまに開いているそこを見て、北原がからかうと、
「うん、いや……」
 良子は恥ずかしそうにすねたようにいいながらも笑って、北原の肩に片脚をかけたままにしている。
 クレバスを指でまさぐると、ヌルッとした感触があって、躯をヒクつかせた良子が、
「ああっ……!」
 と、ふるえまじりの喘ぎ声を洩らして腰をくねらした。
「おいおい、大きな声を出すなよ。ここをどこだと思ってるんだ」
「だって……ああ……」
 指先でクリトリスのあたりを掻きあげてやると、声は低めたがこらえきれないらしく、せつなげに喘ぎながら、たまらなさそうに腰をもじつかせる。
 ドアはロックしているとはいえ、キャンパスの中だ。誰かに妖しい声を聞かれでもしたら、とんでもないスキャンダルになる。
 脅えながらも北原は、だが同時にスリリングな興奮に衝き動かされて、ギンギンにエレクトしたコックを手に、その先で濡れたクレバスをまさぐった。鋭敏な蕾をこすったり、花芯をこねるようにしたりしながら……。
「ああんっ……だめっ……」
 顔つきも声も泣くような感じになった良子が、たまらなさそうに淫らがましく腰を振って、「入れてェ」とあからさまな言い方ですがるように訴えた。
「入れて?……どこに?」
 唇と舌で耳をなぶりながら、北原が囁くと、
「ううん、そこっ……」
 くすぐったそうに首をすくめた良子が、北原のコックをほしがって、グイグイと腰を突き出してくる。
「そこじゃないだろ? オ××コに入れてほしいんだろ? はっきりいってみろ」
 卑猥なことを囁きながら、濡れそびれたクレバスをこすりたてる北原のコックが、クチュクチュと生々しい湿った音をたてる。
「ああっ、オ××コに入れてェ」
 昂った顔つきでいって、うねうねと腰を揺する良子に、北原は突き入った。
「ウッ!」−−呻いた良子が悩ましい表情を浮きたててのけぞる。とっさに北原が手で口をふさぐと、そのあとの感じ入ったような喘ぎが甘い鼻声になった。
「大きな声を出すなよ」
 興奮した顔で良子がうなずいた。北原は、ねっとりと吸いついてくるような花芯に収まったコックを、甘美な感触を味わうようにゆっくりと突き引きした。
 ロッカーにもたれた良子は両手で北原の肩をつかみ、その間から片脚をピンと真上に上げたままだ。北原の肉茎が感じる抽送感は、ちょうど松葉崩しの体位でするときのそれに似て、抜き差ししていると、バギナの天井部分のザラつきが肉茎の側面をくすぐってくる。
 必死に声をこらえていた良子が、北原が突きたてるたびに、きれぎれに抑えた泣き声をあげはじめた。
「アアッ……だめっ、もう膝がガクガクして、立ってらんない……」
 息せききっていう。北原のほうも、立ったままのファックにそろそろ飽きてきたところだった。
 いったん交接を解くと、良子のレオタードを肩からムキ下ろして全裸にした。
 形よく張ったバストとヒップ以外はほっそりとした、みずみずしい裸身を見ながら、北原も下半身だけ裸になった。
 ドアはロックしてあるので、声さえ外に洩れなければ、スキャンダラスな危険を招く心配はないだろう。そう思ってしだいに大胆になってきたのだった。
 ベンチスタイルのソファの上に良子を仰向けに寝かせた。
「柔らかい躯だから、ヨガみたいなポーズも取れるだろう」
 両脚の足首をつかんで、そのままエビ状に押さえ込み、頭の後ろであぐらに組ませようとすると、良子の躯はまるでタコのようにグニャリと二つ折りになって、苦もなくアクロバットのような体位になった。
「ああん、いや、こんな恰好……」
 それまで北原を挑発していた良子がはじめて恥ずかしそうにいって腰をもじつかせた。
 無理もない。こんもりと盛り上がった尻の間に局部があからさまになって、しかも腰が浮いた状態だから、良子自身も生々しい眺めがもろに眼に入るのだ。
「さすがは新体操同好会の会長だな。ほら、見てごらん」
 おおい被さった北原が、ほとんど真上から花芯にコックを挿入するのを見せつけると、それを凝視していた良子の顔が、またみるみる昂ってきた。
 ふたたびコックを抜き差ししはじめた。濡れた柔襞の狭間を、愛液で濡れ光った肉茎が淫らがましく出入りする……。
「アアッ……もっと奥までしてっ!」
 良子がたまりかねたようにいう。
 焦らしてそういわせるために、北原は、抽送を中程まででとめていたのだ。そこで、ズンッと奥まで突き入った。
「アンッ!」−−苦悶の表情を浮きたてた良子がふるえまじりの声を洩らす。北原のほうもアクロバット的な体位に興奮しきって、そのまま杭を叩き込むように激しく突きたてていった。
 良子が息も絶えだえの泣き声になってきた。摩擦し合うコックとバギナはもう燃えるように熱い。切迫した息遣いのなかから、良子が「イクッ、イクーッ!」とふるえ声をあげた。それにタイミングを合わせて北原も背徳のひりつくような快感をぶちまけた。
 
【3】
「『ユニフォームクラブ』?」
 看護婦の倉田冴子が怪訝な顔で訊き返した。
「ああ、それが、いまのところまだ、どういうクラブなのかはっきりしたことはわからないんだけど……」
 そういって北原は、クラブから誘われた、ファッションメーカーに勤めている三田純子がいっていたことを冴子に話した。
 −−そのクラブは名前の通り制服を着た女たちを集め、表向きはパーティ・コンパニオンのような仕事をさせているらしいこと。それに、男の会員がいて、それがみんな社会的地位のある者たちばかりで、クラブがかなりの報酬と引き換えに女たちに彼らとの自由恋愛をすすめているらしい……と。
「自由恋愛って……売春ってこと?」
 驚いた冴子が声を潜めていう。
「……だろうな」
 二人がいるのは、先日北原が人間ドックに入った病院の喫茶室だった。
 この日北原が冴子に会ったのは、美人看護婦の彼女にも、三田純子のときのように『ユニフォームクラブ』からの勧誘があるかもしれない。もしあれば、そのときは純子のように断らないで、その気があるふりを装って、クラブと接触してもらいたい。そう頼むためだった。
 北原の話を聞いた冴子は、
「何だかサスペンスドラマの主人公みたい」
 と妙に興奮した口ぶりでいった。
「じゃあ、誘いがあったら、興味がありそうにすればいいのね?」
「そうだ。そのときはすぐに連絡してくれ」
 北原は吸っていたタバコを灰皿で揉み消すと、もう一つの用件を切り出した。
「どう? 今日は天気がよくて温かそうだし、屋上にでも上がってみないか」
「屋上……何かヘンなことを考えてるんでしょ?」
 冴子が秘密めいた笑みを浮かべて睨んだ。すでに北原の思惑を察して、拒む意志のない顔つきだった。
 病院は都心にあるのだが、小高い地形の上にあって、周囲のビルもせいぜい同じ高さかそれ以下なので、まわりから屋上を覗かれる心配はない。
 風もなく、春めいた陽射しがふりそそぐ屋上に、人気はなかった。
 二人が給水用タンクの陰に向かっていきかけた瞬間、北原はとっさに冴子を引き止め、手で口をふさいだ。
「シッ!」
「……どうしたの?」
「誰かいる……!」
 −−と、タンクの陰から、押し殺したようなきれぎれの喘ぎが聞こえてきた。
 二人は顔を見合わせた。
「どうやら先客のようだ」
「誰かしら……」
 囁き合った二人の顔には、どちらも驚きと好奇心が入り交じっていた。
 足音を殺してタンクのそばに近づき、そっと覗いてみると、アッと驚くような光景が眼に入った。
 白衣の裾を腰の上までめくり上げた看護婦が、むきだしの豊満な尻を突き出して鉄柵をつかみ、その後ろから男が必死に腰を使って突き入っているのだ。白い尻の間にピストンのように突き引きを繰り返す肉茎もあからさまに見えた。
「島田さんよ……!」
 タンクにもたれた冴子が白衣の胸を大きく弾ませながら、北原に囁いた。
 もちろん北原もわかっていた。あの人妻看護婦の島田昌枝と、パジャマの上にガウンを羽織っている男は入院患者らしい。
 昌枝の感泣するような声がしだいに切迫してきた。
 今にもイキそうな昌枝の声につられて、北原と冴子はまた給水用タンクの陰から覗いた。
 鉄柵をつかんで裸の尻を突き出した昌枝も、バックから突き立てる男のほうも、もうクライマックス寸前らしい。あたりを気にする様子もなく、行為に夢中になっている。
(昌枝の奴、俺のかわりにもう欲求不満を解消する相手を見つけたらしい。どうしようもない人妻だ。それにしても、人の情事を覗くというのは、こんなにも興奮するものか……)
 冴子の後ろから折り重なるようにして覗いていた北原は、そのときふと、冴子が腰をもどかしそうにもじつかせていることに気づいた。エレクトした北原のモノが白衣の上から尻を突き上げているのだった。
 −−と、両手で昌枝の腰をつかんで激しく律動していた男が上体を反らして、ズンッと腰を押しつけた。
「ウッ……!」
「アアッ……イ、イクッ!」
 北原と冴子はあわててタンクの陰に隠れた。果てた男が周囲を見回したのだ。
「ああっ、いい……うう〜ん」
 昌枝の快感に酔いしれたような声が聞こえてきた。
 やがて二人は、何やら囁き合ってクスクス笑いながら、肩を抱き合うようにして屋上から下りていった。
「さきに見せつけられるとは、驚いたな」
「ああ、もう……」
 北原が抱き寄せると、冴子のほうから唇を求めてきた。たがいに貪るように唇を重ね、狂おしく舌をからめ合っていると、冴子の手が北原の股間をまさぐってきた。
「看護婦はみんな好き者だな」
「だって、あんなの見せつけられたら、たまんないわ。人のを見たの、はじめて……」
 興奮しきった顔の冴子を、北原は、給水タンクの鉄梯子につかまらせて、さっきの昌枝と同じように白衣の裾を一気に腰の上までめくり上げた。
 白いパンストとパンティをムキ下ろした。ブルンと弾んで形のいい尻がむきだしになった。
「ああっ……」
 喘いだ冴子が自分から尻を突き出し、北原を挑発するように腰をくねらす。
「さっきの島田看護婦よりいやらしい腰つきじゃないか」
 エレクトした肉茎の先で、ぬめ白い尻朶の間から露出した生々しいワレメをまさぐっていると、
「いやっ……」
 焦れったそうに腰を振る。
「人のを見て、すっかり刺激されたらしいな。グッショリだ。これならもう前戯の必要はない」
 ヌルヌルするほど濡れそびれたクレバスを、なおもコックでこすりたててやると、
「アンッ、だめ……きてっ……いや、入れてっ」
 たまりかねたようにいいながら、必死に北原を迎え入れようとする冴子が突き出した尻をもどかしそうに振りたてる。
 コックの先が花芯にからみ、そのまま北原は押し入った。呻いた冴子が鉄梯子をつかんでのけぞった。
「また誰かがくるかもしれないぞ」
「いやっ……」
 冗談半分にいった北原だが、その可能性がないとはかぎらない。激しく突きたてる北原に合わせて冴子のほうも夢中になって躯を揺する。
「イッて、ね、いっしょに!」
 思いがけない前戯と、いつ誰かが現れるかもしれないスリルが冴子を異常に興奮させ、一気に燃えあがらせたようだ。息せききって訴えると、たちまち荒い息使いの泣き声になってきた。
 粘ってきたバギナを激しくこすりたてるコックがムズ痒い。北原は冴子の奥深く突き入った。絶頂に達した冴子の花芯がざわめくようにヒクつく。その中で脈動する北原のコックを甘いうずきが走り抜けた。


【4】
 翌日、学部長室に呼ばれた北原が部屋に入っていくと、
「北原君、困ったことをしてくれたね」
 いきなり学部長が苦虫を噛みつぶしたような顔でいった。
「困ったことといいますと、何か……?」
「きみが顧問をしている『新体操同好会』の大井良子という学生のことだよ。そういえば思い当たるフシがあるはずだ」
 北原はうろたえた。
「やっぱり本当だったのか。何てことだ」
「待ってください。誰がそんなことを……」
「黒沢君のところに匿名で電話がかかってきたんだよ。−−新体操同好会のロッカールームから妖しげな声が聞こえてきて、きみと、あとから大井良子が出てきた。キャンパスの中で、助教授と学生が情事にふけるとは何事かって、抗議の電話がね」
「………!」
 北原は茫然となった。
「僕はこんどの教授選考会で、滝川先生にも頼まれていたし、きみを推挙しようと思っていたんだ。それがこんなスキャンダルを起こされたんじゃ、どうしようもないよ。滝川先生に、どう説明したらいいか、第一、きみ自身の立場だって微妙だ」
 学部長はにがりきっていった。
 滝川先生−−というのは、T大学の名誉教授をしている、北原の妻真紀子の父親で、学部長はその教え子なのだった。
 北原が教授に昇進しないのを歯痒く思っている義父と、何かといえばエリート一家の実家のことを鼻にかけ北原を叱咤してきた妻−−二人の罵る顔が北原の脳裏をかすめた。
 そのことに北原は脅えたわけではない。ただ、そのシーンを想像しただけで、やりきれない屈辱感が込み上げてくる。
 そんな妻にも妻の実家にも、うんざりしている北原なのだ。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
 北原は学部長に頭を下げた。
「僕自身のことは大学にお任せします。推挙の件については、義父には、僕のほうから辞退したとおっしゃってください」
 相変わらず苦虫を噛みつぶしたような顔の学部長に一礼して、北原は部屋を出た。
(これでもう教授昇進の道は断たれた。この大学にもいられなくなるかもしれないな)
 そう思いながら……。
 それでいて自分でも驚くほど気持ちがスッキリしていた。−−妻や義父の期待を裏切ることに快感のようなものを感じていたせいかもしれない。
 それにしても、何とも皮肉なことだった。いままでこの種のスキャンダルを恐れて自分の大学の学生にだけは手を出さないできた北原が、みずから課した禁をはじめて破ってこんなことになるとは……。


 そんなツキのなさを払い落とすつもりで、その夜北原は久し振りに、ファッションメーカーに勤めている純子と逢った。
 東京湾の夜景を眺めながら、ウォーターフロントのロフトの中にあるレストラン・バーで食事をしたあと、人気のない暗い埠頭に車を停めて、純子を抱き寄せた。
 数日前から逢いたがっていた純子は、北原のキスに狂おしく応じながら、ストッキングをガーターベルトで吊ったセクシーなスタイルの下着の中を、早くもジットリと濡らしていた。
 そのとき突然、ライトで照らし出された。
 抱き合っていた二人は弾かれたように離れ、顔を伏せた。周囲を煌々とした明かりで取り囲まれていた。まぶしくてライトの後ろは見えない。
 派手な排気音と嬌声があがった。バイクの一団だった。二人が乗った車の周りを、グルグル回りはじめた。
「暴走族よ!」
 純子が脅えた声でいった。
 狂ったように走り回る一団はまるで駅馬車を襲うインディアンのようだった。
 緊張と恐怖が北原を襲った。アクセルを踏み込んだ。バイクの間に突っ込んでいった。
 衝突を避けてハンドルを切った北原の車と、急ブレーキをかけたバイクが、タイヤが軋む鋭い音を発して、間一髪すれちがった。
 横転するバイクがバックミラーに写った。
 逃げる北原の車を、バイクの群れが追ってきた。
 ふたたび取り囲まれれば、何をされるかわからない。北原は必死になってブッ飛ばした。
 どこをどう走ったのかも覚えていなかった。ようやくバックミラーからバイクの姿が消えてホッとしたとき、前方にモーテルの看板が見えた。
 そのままモーテルに入った。ガレージのシャッターが下りると、
「恐かった……!」
 純子が抱きついてきた。まだ小刻みにふるえていた。
 二人は車から下りた。階段を上がりかけて、北原は振り向くなり純子を抱き締めた。恐怖と緊張がとけて、異常に興奮していた。
 純子も同じだったらしい。貪るように唇を奪って舌を突き入れた北原に、すすり泣くような鼻声を洩らして狂おしく舌をからめてきた。
 抱き合って濃厚なキスを貪り合いながら、北原はタイトスカートを腰の上まで引き上げた。スカートの下は、ガーターベルトとストッキングというスタイルだ。荒々しい手つきでビキニショーツをむき下ろした。
 純子は息を弾ませながら、自分からパンティを脱いだ。
 北原もズボンとブリーフをずり下げた。分身はもういきり立っていた。
 二人とも、部屋にいくまで待てないほど昂っているのだった。
 北原は、純子を車のボンネットの上に坐らせると、両脚を押しひろげた。
「ああっ……!」
 興奮した顔つきで喘いだ純子が、黒いガーターベルトとストッキングをつけただけの下半身を、催促するようにうねらした。あからさまな股間は、繁みの下に、サーモンピンクの粘膜を覗かせて開いた柔襞まで濡れ光っている。
「さっき以上に濡れてるじゃないか。暴走族に襲われて輪姦されることでも想像して、興奮していたんじゃないのか」
 北原がエレクトしたコックを手にクレバスを上下にこすりたてていると、それを発情したような顔になって凝視していた純子が、
「いやっ……ああっ、貫いて!」
 と、たまりかねたように腰を揺する。
 そのまま北原は突き入った。「ウッ!」−−息を呑むような声を洩らしてのけぞった純子がボンネットの上に仰向けになった。
 開ききった両脚をつかんだ北原は、潤みきった花芯に激しくコックを突きたてた。
 感じ入った喘ぎを洩らす純子が狂おしそうにのけぞりながら、北原の律動に合わせて腰をうねうねと波打たせる。
「ああん、いいっ、たまんないっ……」
 ふるえをおびた声でうわごとのようにいい、「もうイキそう」と泣き声になった。
 その泣き声を聞きながら北原もフィニッシュブローを叩き込んだ。
「アッ……ウッ……ウンッ……アアッ……」
 一突きごとに苦しげな声を放ってアクメへの階段を昇りつめていく純子が、大きく全身を反らし、「イクッ、イクーッ!」とガクガク腰を揺さぶった。
 その瞬間、北原も爆ぜた。ピクピク引き攣れるバギナに、ビュッ、ビュッとたてつづけに快感を迸らせた。
 
【5】
 歯科医院の治療台に寝た北原は、美人女医の高瀬和子の治療を受けながら、その前に近くの喫茶店で会った探偵がいった言葉を思い返していた。
「奥さんの浮気の証拠は、この写真だけでも充分だとは思いますけど、最近は女性もしたたかになりましてね。いや、奥さまがそうだというわけではないんですが、こういう写真を見せても、『ただホテルで話をしていただけなのに、それがどうして浮気なのよ』なんて開き直られちゃうケースが結構あるんですよ」
 妻の真紀子の調査にあたった探偵は、そういって苦笑した。
 調査の結果は、北原の疑惑通りだったのだ。
 テーブルの上には、ホテルのカフェテラスで逢っている妻と黒沢、それにエレベーターに乗り込む二人の写真が並んでいた。
 妻は浮気をしていた。それもあろうことか夫の同僚と……。
 その事実を知っても北原は、疑惑を抱いたときと同じように怒りや嫉妬などという感情はまったく湧いてこなかった。
 それほど真紀子に対する気持ちが醒めていたことを、あらためて知っただけだった。
 それよりもほかに気になることがあった。
 真紀子は北原と黒沢が教授候補としてライバル視されていることは知っている。それでいて黒沢と不倫の関係をつづけているのはどういうつもりなのか。それだけではない。先日、学生との淫行が大学側に発覚して教授の椅子を棒に振った北原のことも、すでに黒沢から聞いて知っているはずだった。
(一体、真紀子の奴、何を考えているのか……)
 そう思いながらテーブルの上の写真を見つめていると、探偵は北原が写真だけでは充分ではないと思っているとみたのか、
「ま、もし北原さんの場合も、もっとハッキリした証拠がほしいとおっしゃるんでしたら、それもできないことはありませんよ」
 そういったのだ。
「というと……?」
「まず簡単な方法としては、奥さんと相手の男の電話を盗聴することですな。それでも確かな証拠がつかめないときは、少々生々しくはなりますが、情事の現場を盗聴することもできます」
「盗聴……か」
 つぶやいた北原の胸に、そのとき、屈折したときめきのようなものが込み上げてきたのだった……。
「何だかずいぶん紳士におなりになったのね」
 北原の口を覗き込んでいた美人女医が、チラッと揶揄するような眼で彼の顔を見て、マスク越しに囁いた。
 このところ北原は治療中に痴漢行為のような真似をしていない。そのことをいっているのだった。
(皮肉か、それとも挑発のつもりなのか……)
 計りかねていると、女医が北原の気を引くようなことをいった。
 
 翌日−−金曜日の夜、北原は高瀬和子に誘われて、青山の高級マンションの一室で開かれたパーティに出席した。
 広々としたリビングルームでは、十数人の男女が談笑していた。
 昨日、治療中に和子がいったのは、このパーティへの誘いで、
「有名なインテリアデザイナーのご主人と、奥さんがスチュワーデスをしているご夫婦が開くホームパーティなの」
 そういったのだった。
 人妻とはいえスチュワーデスと聞いて、北原の胸はときめいた。
 例の、テレフォンセックスまでした、謎のスチュワーデスのことがあったから、よけいにそうだった。
 が、北原以外はみんな常連らしいパーティそのものは、北原にとっては退屈だった。
「ルミって、魅力的でしょ?」
 ウイスキーの水割りを作ってくれた和子が、グラスを差し出しながらいった。
 和子とは高校時代からの友達だという、人妻スチュワーデスの高木ルミは、確かに色気のある男好きのする顔立ちをしていた。スタイルのいい躯をチャイナドレスでつつみ、華やいだ笑顔で客と話している。
「ああ、セクシーな女性だね。といっても先生ほどではないけど」
「そのお世辞、美人の人妻スチュワーデスを紹介して差し上げたお礼だと思っておきますわ」
「相変わらず素直じゃないな」
 苦笑していると、主催者の高木夫妻がきてダンスに誘った。
 ダンスは苦手の北原が辞退すると、高木は和子を誘い、ルミはほかの客と踊りはじめた。
 北原は、高木にかすかな嫉妬を覚えながらトイレに立った。
 用をすませて、
(帰りに、今夜こそあの美人女医をものにしてやる……)
 そう思いながら手を洗って顔を上げた北原はドキリとした。−−だらしない笑いを浮かべた自分の顔と、妖しい笑みをたたえたルミの顔が、洗面所の鏡の中に並んでいたのだ。
「奥さん……!」
 うろたえて振り向くと、
「ダンスにお誘いしたのに振られちゃったから、追いかけてきたの」
 人妻がなまめかしい、秘密めいた笑いを浮かべて、北原の首に両腕をからめてきた。
「ルミさん……」
 ドギマギしながらも北原は人妻の躯を抱き締めた。
 眼をつむったルミの、赤いルージュで濡れ光るセクシーな唇が喘いだ。北原が誘われるように唇を重ねていくと、ルミのほうから舌を入れてきた。
 たがいに貪るように舌をからめ合いながら、二人ともカッと眼をみひらいて、洗面所の入口を凝視していた。いつ誰かが入ってくるかもしれない……。
「ああっ、先生……」
 唇を離した人妻が腰をもじつかせて、せつなげな顔と声でいった。早くも北原のズボンの前が硬く盛り上がって、チャイナドレスの下腹部を突き上げていたのだ。
「寝室にいらして」
「寝室に……?」
「早く!」
 ルミに手を引かれて、北原は戸惑ったまま洗面所を出た。
 パーティのざわめきと音楽が聴こえてくるリビングルームのほうを気にしながら、二人は小走りに奥の部屋に駆け込んだ。
 寝室に入って後ろ手にドアを閉めると、ルミはドアにもたれかかった。荒い息使いでドレスの胸を大きく弾ませながら、
「ああ、心臓が止まるかと思ったわ」
「こんな所にいるのを、ご主人に見つかったら、それこそまずいんじゃないの?」
 落ち着きなく北原がいうと、
「ここなら、すぐには見つからないわ」
 ルミはまた北原の手を引いて、キングサイズのダブルベッドの奥の扉を開けた。−−そこは高木夫妻の洋服が並んだ、ウォークインクロゼットだった。
 甘えかかるようにして人妻の両腕が北原の首にからんできた。
 北原を見つめる潤んで燃えるような眼といい、どこか強張ったような表情といい、明らかにアルコールのせいだけではなかった。女が発情してきたときの顔だ。
 北原は、だが、まだ戸惑っていた。
 相手は人妻。しかもこの夜はじめて会ったばかりで、ろくに会話さえも交わしていないのだ。それもパーティのさなか、夫の眼を盗んで男を寝室に連れ込む人妻の心理が読めないのだった。
「どうして僕を……?」
「突然、人妻のわたしのほうから誘惑したかっておっしゃりたいのね?」
 ルミは北原のズボンの前を突き上げているコックに思わせぶりに下腹部を押しつけながら、艶然としていった。
「女の直感、というより似た者同士とでもいえばいいかしら。先生にはじめてお会いしたときから、この人は動物的なセックスができる人だとピンときたの」
「動物的なセックス?」
 驚きながら北原はドレスをずり上げていった。
「ええ。後腐れのない、獣のようなセックスをする人だって……」
 人妻が喘ぐようにいいながら腰をくねらす。その前にひざまずいた北原は、ドレスが腰の上までたくれた下半身を見て、また驚いた。
 下着はパンストだけなのだ。いきなり藻のように貼りついた繁みが透けて見えた。
「こうかね!」
 いうなりパンストを引き下ろした。
「ああっ!」ふるえまじりに喘いだルミが北原の肩をつかんだ。グイと両手で柔襞を押し分けた北原が、犯すようにクレバスを舐め上げたのだ。
 北原の舌は、早くも濡れているクレバスの、とりわけクリトリスのあたりを攻めたてるようにこね回した。
 いつ夫の高木がパーティの席からいなくなったままの妻を不審に思い、探しにくるかもしれない。突然寝室のドアを開けられてもすぐには見つからないとはいえ、気が気ではない。それはルミにしても同じはずだ。
「アッ……ウッ……アンッ」
 ルミが必死にこらえた声をきれぎれの感じ入った喘ぎにして、北原の肩をつかんでいた両手でいつのまにか頭を抱え、一刻も早く燃え上がろうとするようにグイグイと彼の口に局部を押しつけてくる。
「アアッ……だめっ!」
 ふるえを湧きたてたルミが腰をくねらすようにして崩折れていき、仰向けになった。
 ハァハァ荒い息使いの人妻の脚から、北原は荒々しくパンストの片方だけを抜いた。
 チャイナドレスが腰の上までずり上がって、熟れて悩ましく張った腰からすらりとした脚線美をみせた下半身だけがむきだしの状態だ。
 手早くズボンを脱ぎ下ろす北原の脳裏を、一瞬、スチュワーデスだという人妻の制服姿がよぎった。
 コックはもういきり立っていた。
 ルミが興奮しきった顔でそれを見て、催促するように腰をうねらす。
 その蠱惑的な形をした唇に硬直をくわえさせてみたい衝動に駆られた北原だったが、そんなことをしている余裕はない。人妻の両脚を押しひろげると、一気に突き入った。
「アアッ!」−−昂った声を発してしがみついてきたルミを抱き起こした。対面座位のスタイルだ。
 ルミのほうから激しく腰を振りはじめた。潤みきったバギナが北原のコックを甘美にしごきたてる。
「アアッ……いいっ!」
 クイクイと淫らがましく腰を振りながら、たまりかねたようにいう。
「ほら……」
 と、その腰を押しやって、北原は結合部分を見せつけた。
「ああ……入ってる」
 恥毛に縁取られた柔襞が肉茎をくわえた生々しい眺めを見て、ルミがふるえ声でいう。
「奥さんのいやらしいオ××コが俺の魔羅をくわえ込んでる」
 北原が耳元で囁いてやると、
「アアッ、オ××コ、もっとしてっ、メチャメチャにしてっ!」
 獣のようなセックスが望みらしい人妻は発情したようになって腰を振りたてる。
 北原は押し倒すと抉るような突きを叩き込んだ。
「アッ、ウッ、アアッ……」
 全身を弾ませながら、人妻の短く感泣するような声がしだいに切迫し、やがてハァハァという息使いだけになってきた。
 北原の激しい突きで、ズルズルとルミの躯がずり上がっていき、頭がウォークインクロゼットの壁にぶつかった。
 息も絶えだえの人妻の奥深く、北原はズンッ! と突き入った。
「ウッ!」−−ルミが苦悶の表情を浮きたててのけぞった。そのまま北原が腰をグラインドさせてコックで子宮口をこね回すのに合わせ、夢中になって腰をうねらす。
「当たってる! 主人のよりずっと大きいわ……こわれそう……アアッ、いいっ!」
 昂ったふるえ声をあげるルミの口を、北原はあわてて口でふさいだ。
 すすり泣くような鼻声になったルミが躯を反らした。感じ入った呻き声といっしょにざわめくようなふるえを湧きたてた。−−イッたらしい。
「声を出しちゃだめだよ。ご主人にバレたらどうする」
「ウウーン、もうどうなってもいい、このまま殺されたってかまわない……」
 興奮しきってうわごとのようにいいながら、「ああ、もっとォ」となおも淫らがましく腰を振って催促する。
 北原はうろたえながらも人妻の狂態に煽られ、もうやけくそになってふたたび激しいピストン運動で攻めたてた。
 きれぎれに泣き声をあげるルミが快感を訴え、「どこがいい?」と聞く北原に、四文字言葉を連発しながら、ハッ、ハッと絶頂間近の切迫しきった息使いになってきた。
 激しい摩擦で粘ってきたバギナが燃えるように熱い。北原のコックもムズ痒いような甘いしびれにつつまれてきた。
 いま夫の高木が寝室に入ってきたら、もうどうしようもない。
 ルミが達した。同時に北原も危険と背中合わせのめくるめくような快感に襲われ発射した。
 ビクン、ビクンと脈動しながら快感を放つコックを、全身をわななかせてつづけざまに達する人妻のバギナがヒクヒク締めつけてくる……。
 北原はすぐに起き上がった。
「奥さん、早く!」
 まだグッタリとしているルミに声をかけて、急いでクロゼットを出た。
 平静を装ってリビングルームにもどると、そのままパーティはつづいていた。ホッとしているところに、高木がにこやかな笑みを浮かべてやってきた。
「先生、探してたんですよ」
「ちょっとタバコをきらしちゃいまして……」
 内心ドギマギしていうと、
「そうでしたか。いや、退屈でお帰りになったんじゃないかと心配していたんです」
 そこにルミがもどってきた。
「もういいのか?」
「ええ……」
 ルミは何事もなかったかのように夫と北原に艶然と笑いかけて、ほかの客のほうにいった。
「何だか具合がわるいといって寝室で寝てたんですよ」
 高木にいわれて、北原はドキリとした。
 
 パーティからの帰り、北原は高瀬和子を送っていった。
 二人を乗せたタクシーは青山から原宿に向かっていた。
 北原は得をしたのか損をしたのかわからないような気持ちだった。当初の思惑は、はじめて二人きりになれるこのときを狙って美人女医に迫り、今夜こそものにするつもりだったのだ。
 ところが思いがけない成り行きから、人妻スチュワーデスとファックしてしまったあとだけに、さすがにその気も起きなかった。
(せっかくのチャンスなのに……)
 満腹感で美味しいご馳走を前にしているような気分になっていると、
「いかがでした? 今夜のパーティ……」
 高瀬和子が前を向いたままいった。
「楽しかったよ」
 北原が何食わない顔でいうと、和子は意味ありな笑みを投げかけてきて、
「でしょうね。でも、それもいうなら、人妻とのスリリングな情事がってことでしょ?」
 運転手の耳を気にして声を低めていった。
「そんな……」
 北原はうろたえた。
「ルミから聞いたわ」
 和子はこともなげにいう。
「彼女から?……参ったな」
 北原は苦笑いすると、なかば開き直って、そっと和子の膝からスカートの中に手を這わせた。和子は拒まなかった。
「だけど、どうして彼女がそんなことまで……」
 いいながら指先をパンティの脇から中にすべり込ませた。女医はこの夜もストッキングにガーターベルトというセクシーな下着をつけていた。
「あの夫婦、何でもオープンなの」
 囁くようにいう声がうわずって、腰をもじつかせる。北原の指がクレバスに分け入ったのだ。
「オープン? ということは……!」
 思わず北原はつぶやいた。
「そう。北原さんと彼女がいなくなったあと、ご主人もパーティの席にはいなかったの」
(じゃあ、高木はあのとき寝室に忍び込んで、自分の妻と俺がファックする声を聞いていたのか! しかもそのことを、ルミも最初から知っていて……だから、夫を挑発するために、わざとあんなことをいったのか!)
 うろたえるというより北原は高木夫婦の妙な性癖に驚き、呆れた。
 ルミから北原との情事を聞かされて刺激されたのか、美人女医のクレバスはもう潤んでいた。
 ヌメッとしたそこを北原が指でまさぐりかけたとき、和子が太腿をしめつけて運転手に停車を命じた。
 北原の手を押しやると、
「お休みなさい……」
 女医は妖しい笑みを残してタクシーを下りた。


【6】
 北原は興奮していた。この日研究室に看護婦の倉田冴子から電話があって、北原が予想した通り、例の『ユニフォームクラブ』から勧誘にきたというのだった。
 冴子は北原の指示通り、むげに断らないで先方に気を持たせるよう応対したらしく、返事は後日するということで、クラブの電話番号を聞き出したという。
 ようやく『ユニフォームクラブ』と接触する手がかりがつかめたのだ。
 すぐにも冴子と逢って詳しい話を聞きたかったが、あいにくこの日北原には外せない予定があった。
 妻の真紀子のことを調べさせていた探偵と会い、先日自宅の電話に仕掛けた盗聴器の録音テープを聞くことになっていたのだ。
 待ち合わせの喫茶店に出向くと、すでに探偵はきて待っていた。
 さっそくテープレコーダーを取り出して、北原が渡されたイヤホンを耳にはめると、再生ボタンを押した。
 くぐもった声の妻と男の会話が流れ出した。−−男の声はまちがいなく黒沢だった。
 北原は全神経を耳に集中した。
「ね、こんどはいつ逢えるの?」
「そのうち連絡するよ」
「そのうちっていつ? このところあなた、変だわ」
「そんなことはないさ。いまは大切な時期なんだ。しばらく逢うのは控えたほうがおたがいのためだ。二人の関係がバレたら北原と同じことになるんだよ」
「主人と……? それ、どういうこと?」
「何だ、まだ知らなかったのか。北原はもう教授昇進レースから脱落したよ。よりにもよって自分が顧問をしていた新体操同好会の学生を相手に、大胆にもロッカールームで淫行にふけっているところを誰かに気づかれて、大学に通報されたんだ」
「北原が、学生と……!」
「そういうわけだ。だから、俺たちもしばらくおとなしくしていたほうがいい」
「まさか……あなたが、その学生をけしかけたんじゃないでしょうね?」
「おいおい、妙なことをいうなよ。どうして俺がそんな卑怯なことをするんだよ」
 笑いまじりの黒沢の声を聞いていた北原の胸に、黒雲のような疑惑がひろがってきた。


 その夜北原は、新体操同好会の大井良子が住んでいるマンションを訪ねた。が、良子はいなかった。
 一時間ちかくも部屋の前で待っていると、ようやく帰ってきた。
「あら、先生!……どうしたんですか?」
 友だちとでも飲んでいたのか驚いた顔も口調もいくらか酔っていた。
「ちょっと話があって待ってたんだ。部屋に入れてもらえないか」
「お話?……どうぞ」
 良子は一瞬戸惑った表情で訊き返したが、媚びるような笑みを浮かべて北原を部屋に入れた。
 ワンルームの部屋には、何となく甘い匂いが漂っていた。実家から充分な仕送りを受けているのだろう、いかにも若い女が好みそうなインテリアがそろっている。
「お話って、何ですか?」
 冷蔵庫を開けた良子が、ラブチェアに腰かけた北原に背中を向けたまま訊いた。
 北原が黙って、タイトミニにつつまれたコリッとしたヒップから、すらりと形よく伸びた脚を見ていると、缶ビールとグラスを持ってきた良子が北原の横に坐った。
 ビールをグラスにそそぎ、北原が飲むのを見ながら、
「でも驚いちゃった。先生がわざわざ訪ねてきてくださるなんて」
 うれしそうにいって、しなだれかかってきた。
 北原はテーブルの上のものを下ろした。
「テーブルの上に寝てごらん」
「え、どうして?」
「この前のように、躯の柔らかいところを見たいんだよ」
「いやァね」
 そういって北原を睨みながらも良子は秘密めいた笑みを浮かべると、ゆっくりとガラス張りのテーブルの上に仰向けになった。
 北原は、タイトミニから露出した太腿を両手で撫で上げて、ミニを腰の上までずり上げていった。
「ああん」−−甘ったるい声を洩らして良子は両脚をすり合わせた。パンストの下に、白地に黒い水玉のビキニショーツが透けて見えた。
 パンストをパンティごとむき下ろした。
「アンッ」良子が両手で下腹部を押さえた。
 北原は両脚を抱え上げた。嬌声をあげる良子の躯を二つ折りに押さえ込んだ。新体操できたえた躯は苦もなくエビ状に曲がった。
 その上にまたがって、まず片方の足首をパンストでテーブルの脚に縛りつけた。つづいて一方の足首もテーブルの反対の脚に−−。
「ああん、どうしてェ?」
 両手で股間を押さえた良子が戸惑って腰をもじつかせる。
 その両手も、足首を縛ったパンストの端で、両脚と同じようにテーブルの脚に括りつけた。
「アアッ、見ちゃあだめ!」
 さすがの良子も恥ずかしがって腰を振りたてた。
 無理もない。両手両足を顔の両脇で拘束された状態なので尻が真上に持ち上がり、ふたつの丘の谷間があからさまなのだ。
 北原は指を舐め、その指でクレバスをなぞった。「アッ」−−息を呑むような喘ぎと同時に、ビクッと良子の躯が弾んだ。
「何も恥ずかしがることはないだろう。あのときもこういうポーズを取って見せてくれたじゃないか、ん?」
「ああっ、だめっ……」
 柔襞とクレバスをなぞるように這う北原の指で、良子が腰をもじつかせながら、うわずった声でいう。それでいて明らかに興奮した顔できれぎれに喘ぎ、北原になぶられる局部を凝視している。
「なぜ?……どうして縛るの?」
 良子がもどかしそうに腰をくねらす。北原は指を引いた。
「これから訊かれたことに正直に答えるんだ。この前のことは、黒沢助教授と関係があるんじゃないのか?」
 良子が驚きの表情をみせた。明らかに戸惑い、うろたえていた。
「やっぱりそうだったのか。黒沢に俺を誘惑するように頼まれたんだろう?」
「そんな……」
「何だ? いってみろ!」
「………」
 声を荒げた北原に、良子はますますうろたえて顔をそむけた。
「いわないつもりか!」
 いきなり北原は両手で柔襞を押し分けた。「アッ」−−のけぞった良子のサーモンピンクのクレバスがあからさまになった。
 指先でクリトリスをとらえ、まるくこね回した。きれぎれに感じ入った喘ぎ声をあげる良子がたまらなさそうに腰を振る。
 みるみるクリトリスが硬く勃起してきて、クレバスに蜜があふれて光りはじめた。
 北原は両手を使った。左手の中指でクリトリスをなぶり、右手のこれも中指で膣口の周りをこねるように撫で回した。
「アッ、だめっ、だめっ!」
 良子が昂った声をうわずらせて焦れるように腰を振りたてる。
「黒沢と関係があるんだろ? いうんだ!」
「わたし、ただ、試験の結果がよくないっていわれて……」
 腰をもじつかせながら、息を弾ませていう。
「黒沢先生に呼ばれたんです。そうしたら、北原先生のこと、どう思うかって……」
「それで?」
 北原が先をうながすと、
「どうして突然そんなことを聞くのかと思って黙ってたら、黒沢先生のほうから、『北原先生はきみのレオタード姿が好きらしいよ』って……」
 良子は顔をそむけたまま、つぶやくような口調でいった。
「で、北原をうまく誘惑したら単位をやろう−−黒沢にそういわれたんだろう?」
 良子は小さくうなずくと、
「でもわたし、北原先生のこと好きだったから、だから……」
 そうしただけだというようにいいつのった。
(黒沢の奴、卑怯な手を使いやがって!)
 北原は、妻と黒沢の関係を知ったときにもなかった怒りが込み上げてきて、いきなり良子のバギナに指を突き入れた。
「アウッ!」−−呻くと同時に良子は苦しげに顎を突き上げた。
 北原は攻めたてるように指を抜き差しした。
 潤みきったバギナを激しいピストン運動で攻める指が、濡れた生々しい音をたて、ときおり空気が入って、ブッ、ブブッと派手な膣屁が響きわたった。
 昂った喘ぎを洩らしていた良子が「イヤーッ」と恥ずかしそうな声をあげ、
「ゆるしてっ、指はいやっ」
 腰を振りたてて訴える。
「じゃあ何がいいんだ?」
「先生のでして、先生の、入れてェ」
 息せききって、すがるようにいう。とっさに北原は、さっきテーブルから下ろした籠の中にバナナがあったのを思い出した。
「単位欲しさに教師を誘惑するような悪い学生には、これで充分だ!」
 皮をむき取ったバナナを、ゆるゆるとバギナに挿し入れた。
「ウッ……そんなの、いやっ」
「いい恰好だ」
「ああん、だめェ」
 柔襞の間から半分ほど突き出たバナナが異様な眺めだ。露出したクリトリスを、北原は指でこね回すようにして攻めなぶった。
 感じ入った喘ぎがたちまち切迫した泣き声になって、バナナがヒクヒク淫らがましくうごめく。……と、
「だめっ、だめっ、イッちゃう!」
 全身をわななかせながら、良子は一気に昇りつめた。
「ああ……うう〜ん」
 アクメの余韻に浸っている良子の股間から、北原はバナナを抜き取った。湯気が出そうなそれは、中程でひょうたんのようにくびれていた。
「見ろ!」
「いや……」
 良子は昂った顔を恥ずかしそうにそむけた。
 北原は良子の両手両足を縛ったパンストを解くと、そのまま部屋を出た。
 
【7】
「でも、奥さんの浮気のこと、平気なんですか?」
 助手席に坐った倉田冴子が驚いた顔つきのままいった。
「ああ、そういう夫婦なんでね」
 ハンドルを握った北原が苦笑いしていうと、美人看護婦は、こんどは信じられないというような表情になった。
 その前に冴子が驚いたのは、北原が、これから妻の浮気の現場を盗聴するといったからだ。
 −−この日の朝、北原はいったん自宅を出て、すぐに大学にきょうの講義を休むという連絡を入れた。そして、前もって「おもしろい体験をさせてやる」といって病院を休ませておいた冴子を途中で車に乗せ、自宅のあるマンションに引き返してきたのだった。
 それというのもこの日、北原が大学に出て子供も幼稚園にいったあと、妻の真紀子が自宅で黒沢と逢うことがわかっていたからだ。
 ちょうどこの日は、北原には午前中に受け持ちの講義があったのだが、黒沢のほうはフリーなのだった。
 そのことを北原が知ったのは、先日探偵から、自宅の電話にしかけた盗聴器の録音テープを聴かされたときだった。あのとき黒沢のほうは、しきりに逢いたがる真紀子に、しばらくは用心したほうがいいといって逢おうとはしなかったのだが、テープの最後のほうで真紀子に押し切られるような恰好で、この日の密会を約束したのだ。それも、用心が必要だといいながら、わざわざ北原の自宅で逢うことを……。
 そのとき北原は、それまでにも抱いていた黒沢への疑惑を一層強めたのだった。
(二人の関係が俺にバレるのを警戒しながら、わざわざその危険を犯してまでウチで逢うというのは、奴に、そうする必要があるからじゃないのか。−−俺の、あのフロッピィを盗み見るという……)
 マンションの近くまでもどってくると、すでに前方に黒沢のBMWが停まっていた。
(しまった! 遅かったか)
 北原は道路脇に車を停めると、あわててカーラジオのスイッチを入れた。あらかじめFMにセットして、チューナーも書斎と寝室の二箇所に仕掛けた盗聴器の周波数に合わせてあったのだが、すでに黒沢が書斎に入って例のフロッピィをワープロにセットして見終わっていたら、それこそ後の祭りだ。
 ラジオからは何も聴こえてこない。
「感度がわるいのかな……」
 探偵から教えられた通り、チューナーをわずかに左右に移動してみた。それでも何の音も入ってこない。
 北原は焦った。
 ……と、突然、ドアの開閉するような音が聴こえてきた。
『亭主の留守に男を引っ張り込むとは、まったく、仕様がない奥さんだな』−−黒沢の声だ。
『うん、だって、ウチなら逢ってやるといったのは、あなたのほうなのよ』−−甘えた真紀子の声。どうやら寝室のほうらしい。
『それに、あなたがいけないのよ。わたしたちのこと、そのうち北原に話すっていいながら、いつまでもちゃんとしてくれないんですもの。わたし、もうウソの生活には耐えられないわ』
『わかってるよ。だからいってるだろ? 教授昇進の件が一段落するまで待てって』
『その言葉、信じていいのね?……あっ、ううんっ』
 黒沢が不満を訴える真紀子にキスをしかけて口を塞いだらしい。
 二人の会話から北原は、妻と黒沢の関係がただの不倫ではないらしいことをはじめて知った。もっとも、真紀子ほど黒沢のほうは真剣でもなさそうだが……。
 寝室のベッドの下に仕掛けた盗聴マイクはすこぶる感度良好だった。妻の甘い鼻声や生生しいキスの音まで聴こえてくる。
 北原は耳に全神経を集中してカーラジオを見つめていた。助手席の冴子を見ると、冴子のほうも緊張しきった顔でラジオを凝視している。
 そのとき黒沢の声が聴こえた。
『北原とは、いつからしていないんだ?』
『いや、そんな言い方。……もう忘れたわ』
『だろうな。顔にそう書いてあるよ。欲求不満でウズウズしてるって』
『そんな……あっ、自分で脱ぐわ』
 二人とも服を脱いでいるらしい。ガサゴソという音が聴こえてきた。
「どうだ、盗聴するっていうのは?」
「ドキドキしちゃう……」
 かすれた声でいう冴子の顔には、好奇心とかすかな興奮もまじっている。
 ベッドの軋む音がした。二人が倒れ込んだらしい。ふたたび真紀子のせつなげな鼻声とキスの音がして、
『それより、あれはどうなった?』
 黒沢が思い出したようにいった。
『例のスチュワーデスは、まだ誰かわからないのか?』
 北原はドキッとした。
『ええ。北原もわからないみたい』
『チッ、誰の仕業なんだろうな。クラブの連中も警戒しているんだ』
『あのクラブからは、もう手を引いて。わたし、心配だわ』
『大丈夫だよ。いざというときは、バックに大物が控えているんだから』
「クラブって、ひょっとして、あの『ユニフォームクラブ』のことかしら」
 冴子が驚いて北原を見た。
 北原の驚愕はそれどころではなかった。いままでワープロは操作できないはずだから、まさかと思っていた妻に、あのフロッピィを見られていたのだ。
 そればかりか冴子のいう通り、二人が『ユニフォームクラブ』にかかわっていることもまちがいない。
 それに、北原に電話をかけてくる謎のスチュワーデスの正体を探っているらしい。
(一体どういうことなんだ!)
 息を呑んでカーラジオを凝視した北原の耳に、以前、そのスチュワーデスが忠告してきた「知らぬは誰かさんだけ」という言葉が生々しくよみがえってきた。
 黒沢が低い声でいった。
『何だ、もうグッショリじゃないか』
『だめェ、見ちゃあいや』
 甘えた声をあげた真紀子が、すぐにせつなげに喘ぎはじめた。黒沢がクンニリングスをしかけているらしい。
 きれぎれに聴こえてくる喘ぎがしだいに高まって、泣き声のようになってきた。
 その声がベッドの上でくりひろげられている行為を生々しく想像させる。冴子を見やると、俯いた顔に興奮しきった表情を浮かべて、口を半開きにしている。北原は、タイトスカートから覗いた膝に手を這わせた。
「悪趣味だわ。奥さんの浮気を盗聴しながら、そんなことをするなんて……」
 美人看護婦はうわずった声でいうと、潤んでキラキラした眼で北原を睨んだ。
「冴子のほうはどうなんだ? そういいながら、ここがうずいているんだろう」
 強引に北原は内腿の奥に手を入れ、パンストの上から柔らかいふくらみをつまんだ。
「あっ……だめ、人がきたら、どうするの?」
 うろたえたようにいいながらも冴子は北原の手を拒もうとはしない。そればかりか北原がスカートを押し上げて、パンストの下に透けたピンクのビキニショーツもいっしょに下着をずり下げるのに協力して腰を浮かせた。
 そこは裏通りの住宅街だ。朝の通勤通学の時間帯とちがって、午前十一時という時間は人や車もめったに通りかかることがなく、ひっそりとしている。
 冴子の下半身がむきだしになり、フロントガラス越しに射す冬の脆い陽射しを浴びて、Yの字の谷間を飾るエロティックな繁みが鈍く光った。
 繁みの下に北原が指を割り込ませていくと、そこはもう驚くほど濡れていた。
「何だ、オシッコを洩らしたみたいじゃないか」
「いや……だって……」
 柔襞の間を掻き上げる北原の指の動きに合わせて、せつなげな表情を浮きたてた冴子が両手でシートをつかみ、たまらなさそうに腰をうねらす。
 その間もカーラジオからは『いいっ』だの『たまんない』だのと快感を訴える真紀子のヨガリ声が流れつづけていた。
 それに刺激されたように冴子が昂った声を洩らして北原にしがみついてきた。北原の指がなぶりつづけているクリトリスは、もうはっきりと感じ取れるほどに硬くふくれてきている。
「ああっ、もう……」
 たまりかねたようにいって、冴子が北原の股間に倒れ込んできた。もどかしそうにチャックを下ろして、すでにいきり立っているコックを取り出すと、舌をじゃれつかせるようにして舐め回しながらくわえ込んだ。そして、鼻声を洩らしながら、北原の指で掻きたてられる快感を訴えるように舌を戯れさせてくる。
 そのとき−−、
『アッ、アッ、だめっ、イクッ……イクーッ!』
 切迫しきった泣き声をあげて真紀子が絶頂に達した。ハァハァ荒い息をしながら、
『アアッ、だめっ! 焦らしちゃいや、いや、あなたの、ちょうだい』
『どうしてほしいんだ、ん?』
 猫撫で声の黒沢がコックでクレバスをこすりたてて焦らしているらしい。
『入れて、奥までしてっ』
 真紀子が興奮しきった声ですがるようにいう。
『どこの奥まで入れてほしいんだ? ちゃんといってみろ』
『ああ、オ××コ……』
 昂った声でいった真紀子が呻いた。黒沢が突き入ったようだ。肉と肉を叩きつける鈍い音といっしょに真紀子が感じ入った声をあげはじめた。
 北原は一瞬、茫然としていた。いままで真紀子は北原との行為では、「オ××コ」などという言葉をいちども口にしたことはなかった。北原がいわせようとしても、そしてどんなに燃えているときでも、そんなはしたない言葉はいえないというようにかたくなに拒否してきたのだった。
(それなのに、黒沢には……。所詮、俺たちは、そういう夫婦だったということだ。最初からおたがい裸になれない、そういう相性の夫婦だったと……)
 自嘲気味に思いながら、ふと我に返ると、冴子が興奮した顔で北原のコックを手にしごきたてていた。
 北原はリクライニングシートを倒した。仰向けに寝ると、冴子を後ろ向きに跨がせた。逆騎乗位のスタイルだ。コックを手に濡れたクレバスをまさぐって、膣口をとらえると、冴子が躯をくねらせるようにして腰を沈めてきた。
 北原のコックが、下から、熱いぬかるみの中に突き入った。「ウッ!」−−呻いた冴子がハンドルにしがみついた。
「アアッ……」
 ふるえをおびた声を洩らしながら、もじもじと腰を前後に揺する。バギナの角度とエレクトした北原のコックの向きがちょうど、くの字に折れ曲がった形で交接した状態なので、冴子の動きはどうしてもぎこちなくなる。そのたびに北原のほうもかなり窮屈な感じでこすりたてられる。
 スカートから露出した、形よく張ったヒップのぎこちない動きを見ていた北原が眼を上げると、バックミラーに車が写った。
「車がきた!」
 ハッとしたように冴子が動きを止めた。
「大丈夫だ。そのままじっとしていろ」
 外からは北原の姿は隠れて見えないから、冴子がひとり運転席に坐っているとしか思えないはずだ。
 カーラジオからは真紀子の感泣する声が流れつづけている。
 何事もなく車が通りすぎていくと、北原は冴子を前屈みにさせて、両手を腰に添えて上下させた。
 冴子が昂った声を発しながら、自分からも腰を律動させる。柔襞にくわえられたコックが見え隠れするのが、もろに北原の眼に入った。
 ラジオから真紀子の絶頂間近の声と黒沢が激しく腰を叩きつける音が聴こえてきた。それに煽られたように冴子が喘ぎを高め、ヨガリ声の二重奏になった。
 真紀子がイッた。その声に黒沢の呻き声が重なった。
 と同時に、ハンドルにしがみついた冴子が北原に腰をこすりつけるようにして前後に揺さぶりながら絶頂に達し、ピクピク痙攣するようなざわめきを湧きたてる冴子の中に北原も歪んだ快感をぶちまけた。


【第五章 濡れた闇】


【1】
(それにしても、どういう心境の変化なんだ……)
 治療台に寝た北原は、そう思いながらも胸が高鳴っていた。
 −−この日、北原の治療の予約は午後になっていたのだが、昼間わざわざ歯科医の高瀬和子から大学に電話があって、時間を変更してほしいといってきたのだ。それも夜の、診察時間外に……。
(ということは女医のほうから、二人きりになるチャンスを与えてくれるというのか)
 北原は胸がときめいた。が、医院にくるまでは慎重だった。何しろいままで、治療中に看護婦の眼を盗んで痴漢行為をしかけ、バギナに指を入れるという行為まで許したというのに、なぜかデートの誘いには応じなかった女医なのだ。きてみれば看護婦もいて、予約時間の変更は文字通り都合だけのことで、糠喜びに終わる可能性も充分あった。
 ところが、待っていたのは女医一人だったのだ。しかも北原が医院に入ると、和子はドアをロックして治療をはじめたのだった。
(いずれにせよ、彼女のほうから誘っているのはまちがいない。よォし、今夜こそ、ミミズ千匹の名器をものにしてやる)
 あんぐりと口を開けて治療を受けながら北原は、その前に下手な小細工は禁物と思い、痴漢行為をしかけることもせず、たださりげなく女医の白衣の下腹部に肘を押し当てるだけにしていた。肘に感じる柔らかいふくらみから三十二歳の熟れた躯を想像しながら……。
 やがて、治療が終わった。
「お口をすすいでください」
 和子はそういうと背中を向けて、器具を片づけはじめた。
 口をすすいだ北原は、治療台から下りると、和子の肩を抱き寄せた。ビクッとして硬くなった躯を向き直らせるなり唇を奪った。
 小さく呻いた和子は形ばかりに拒んだだけだった。いったん北原の舌の侵入を許すと、熱っぽく舌をからめてきて、たがいに貪り合うようなキスになった。
 たちまちエレクトしてきた北原のコックが白衣の下腹部を突き上げ、腰をもじつかせた和子がせつなげに呻いて唇を離した。
 息を弾ませている和子を、北原は診察台の上に押し倒した。
「やっと願いが叶った……」
 白衣の前のボタンを外しながら、笑いかけると、
「それはどうかしら。−−『危険な情事』って映画、ご存じ?」
 女医は北原のするがままになって、照れ隠しのようなぎこちない笑み浮かべ、唐突に妙なことを訊いた。
「およその内容は……」
「あの女性は狂気じみてるけど、でも女って、あれにちかい気持ちは誰でも持ってるものよ」
「きみも?」
「そうだとしたら、どうします?」
「脅しのつもりなら、僕には通用しないよ。あの映画は家庭を大事にする男の話だから」
 いうなり北原はシルクのレースブラをずり下げた。
「あっ」和子が小さく喘いで、三十二歳とは思えないほどみずみずしく張った乳房がこぼれ出た。ぬめ白い、しっとりとしたきれいな肌をしたふくらみが、大きく上下した。
「どうやら相手がわるかったようだな」
「……らしいわね」
 勝ち誇ったようにいった北原を、女医は凄艶な眼で見返して、かすれた声でつぶやくと、覚悟を決めたようにそっと顔をそむけた。映画の話などを持ち出したのは、北原を牽制するというより女医自身のためらいをふっきるためだったらしい。
 北原は、ふくよかな乳房に貪りついた。乳首を舌でこね回しながら、白衣の裾をたくし上げていった。
 和子がのけぞりながら、せつなげに喘ぎはじめた。
 乳首がみるみる硬くしこってくる。
 北原は躯を起こした。
 診察台に寝た和子は、白衣が腰の上までめくれて、悩ましい下半身の眺めがあらわになっている。熟れきった腰からすらりと伸びた脚をつつんでいるのは、太腿までの肉色のストッキングに、白いシルクのレースのブラとそろいのガーターベルトとビキニショーツだ。
 美人歯科医はガーターベルトを愛用しているらしい。治療中に北原が痴漢行為をしかけたときも、いつもそうだった。
「セクシーな下着をつけているんだね。脱がすのがもったいないくらいだ」
 ショーツをずり下げていくと、和子は両脚をすり合わせた。
 北原は膝に手をかけて、グイと押しひろげた。
 和子の両手があわてて股間を押さえた。
「だめだめ、こんどは僕が先生を診察する番だよ」
 開いた女医の両脚を膝で押さえ、股間の手を剥いだ。
「アアッ」−−のけぞった和子が恥ずかしそうに顔をそむけた。
 小高い丘を飾る繁みは、美貌に似ずかなり濃い。が、下品な感じではない。黒々として艶々しい縮れた陰毛が銀杏の葉のような形に生え、見るからに三十女の熟れた官能を想像させる煽情的な眺めだ。
 その下の、早くも蜜をあふれさせているクレバスの眺めも同様だった。色づいた柔襞の褐色と、その間からわずかに覗いた粘膜のサーモンピンクのコントラストが、熟れきった女陰の生々しさを匂いたたせている。
 一瞬のうちに女医のそこを値踏みした北原は、いきなり顔を埋め、舌でクレバスを割った。
 ビクンと弾かれたように和子の躯が反った。
 北原はクリトリスを舐め上げ、こね回した。和子がきれぎれに昂った声を発してのけぞる。うねうねと腰を波打たせながら、北原の頭を抱いた両手が髪を掻き回す……。
 舌先にはっきりと、硬くふくれあがってきたクリトリスが感じ取れた。女医がいまにもイキそうな泣き声になってきた。両手で治療台の縁をつかみ、狂おしそうに全身をうねらす。
「もうだめっ」切迫した声でいうと跳ねるように上体を反らして、「イク、イクーッ!」と絶頂のふるえを湧きたてた。
 北原は起き上がって、下半身だけ裸になった。コックはもうギンギンにエレクトしていた。それを興奮した顔で凝視している女医を診察台から下ろすと、床の上にひざまずかせ、その顔の前にコックをつきつけた。
 女医は拒まなかった。それどころかみずから両手をコックに添えると、発情したような顔つきになって頬ずりせんばかりにして、チロチロ舐め回しはじめた。
 そうして舌をじゃれつかせながら、セクシーな形の唇で肉茎をくわえ取ると、ますます興奮に酔ったような顔で、こんどはねっとりと舌をからめてくすぐりたててきた。
 北原は、だが、すぐに和子を立たせた。指でしか確かめたことはないが、何しろ相手はミミズ千匹の名器の持ち主だ。早くあの感触を味わってみたい。その前にフェラチオで刺激されたのではたまらない。
 治療台に両手をついて和子を前屈みにさせた。
「いちどここで、先生とこんな恰好でしたかったんだよ」
 後ろから北原がコックを押しつけると、
「大学の先生って、いやらしいのね」
 和子はうわずった声でいいながらもむっちりと張った尻を突き上げ、早く北原を迎え入れたがっているように腰をくねらす。
「先生のこの腰つきだって、いやらしくてなかなかそそるよ」
 北原はコックを手に、その先で濡れたクレバスをまさぐりながらいった。
「ま、おたがい先生と呼ばれる者同士、スケベに徹しよう。ほら、もう欲しいんだろ?」
「ああ……きてっ」
 女医がたまらなさそうに腰を振って、膣口をこねる北原のコックを求める。
「そういうときは、『オ××コして』といってほしいね」
「そんな……いやっ」
「じゃあ、いつまでもこうしていたほうがいいのか」
 コックの先で膣口をつつくようにして、押し入るかにみせては引く。
「いや、焦らしちゃいや……ああっ、オ××コしてっ!」
 興奮した声でいって、くねくねと尻を振りたてる和子に、北原はズンッと突き入った。和子がうわずった呻きを洩らし、のけぞった頭をガックリと落とした。
 ゆっくり抜き差しすると、まるで微細な襞の筒のようなバギナがコック全体をくすぐりたててくる。
「ああ、たまらないな。先生のここは名器だよ。ミミズ千匹ってやつだ。こんな名器を知ったら、男は放ってはおかないだろうに、どうしていままで独身なんだ?」
「男運がわるいの……」
 和子は自嘲するようにいうと北原が突きたてるたびに喘ぎを高め、やがて立っていられなくなって、ズルズルと診療台の上に突っ伏した。
 北原はいったん交接を解き、和子を仰向けにすると、両脚を開いて、その間に腰を入れた。
「じゃあ、いまもそういう男がいるのか?」
 訊きながら、ふくれあがったクリトリスをコックの先でこすっていると、苦しげな顔を横に振った和子がたまりかねたように腰を揺すりたてる。
「だめ……入れてっ」
 北原はふたたび名器の中に突き入ると、呻いてのけぞった和子を抱き起こした。治療台の上で対面座位の恰好で交接したまま、女医の白衣を脱がした。
 最初からこうなるつもりで白衣の下に下着しかつけていなかったのだろう、ブラを外すと、あとはガーターベルトとストッキングだけで全裸も同然だった。
 形よく突き出したお椀型の乳房といい、むだな肉のないきれいな躯の線といい、美人歯科医の躯はとても三十二歳とは思えない。唯一、熟女を思わせるのは、くびれたウエストから息づまるような曲線を描いてむっちりと張った腰つきだけだ。
 北原がネクタイをむしり取ると、和子がもどかしそうにワイシャツのボタンを外して脱ぐのを手伝った。
 どちらからともなく唇を合わせると、たがいに貪るように舌でまさぐり合った。和子がせつなげな鼻声を洩らしながら腰を揺すってすりつけてくる。
「ああ、いいっ!」
「どこが?」
 北原が耳元で囁くと、
「オ××コっ!」
 しがみついた和子が昂った声でいって、その言葉に煽られたようにクイクイと夢中になって腰を律動させる。
「ああ、いやらしいオ××コだ。ヒダヒダがいっぱいあって、本当にミミズがウジャウジャつまっているようだよ」
「いや、もっと、もっとしてっ!」
 息せききっていう女医を押さえ込むと、北原は荒々しいピストン運動で攻めたてた。
「あっ……うんっ……あんっ……ああっ、だめっ……もう、イクッ……」
 躯を弾ませながら昂った声をあげてのけぞる和子が、泣き声になって絶頂を訴える。肉と肉を叩きつける鈍い音にまじって、燃えるように熱くなってきたバギナから濡れた生々しい音がたつ。ミミズ千匹の名器でくすぐりたてられて北原のほうもコックの根元から尿道にしびれるような快感が押し寄せてきた。
 和子がむせび泣きながらいっしょの絶頂を求める。北原も限界だった。イク合図を送って、ズンッと突き入った。
「ウッ!……イ、イクーッ!」
 反り返った和子がアクメのふるえを湧きたてた。ヒクヒク痙攣するようにうごめくバギナの奥に、北原もつづけざまに快感を発射した。迸りが子宮を叩くたびに躯をヒクつかせる和子が、また昇りつめていく……。
「素晴らしかったよ」
 北原が、快感に酔いしれた顔を覗き込んでいうと、女医はまたしても達したような喘ぎを洩らしてのけぞった。しびれた北原のコックは、果てたあともまだ硬直したままなのだった。
 
 その夜、帰宅した北原がシャワーを浴びて書斎に入ると、ちょうど電話が鳴った。
 例のスチュワーデスと名乗る女からだった。
「忠告しておきますけど、先生が関係した女性のことは、もうワープロなどに打たないほうがいいと思います」
 それだけいうと一方的に電話は切れた。
(まさか!……いや、だけど、タイミングがよすぎる。それに声を変えているのだろうが似ている……)
 受話器を持ったまま北原は、はじめてそのことに気づいて、驚きを超えて茫然としていた。
 
【2】
 原宿の表参道に駐車した車の中で、さきほどから北原は密かな胸の高鳴りをおぼえていた。−−ようやく『ユニフォームクラブ』の者と名乗る女と遭遇したのだ。
 一見キャリアウーマンふうのキツネ顔のその女は、北原の車の斜め前にあるカフェテラスにいた。
 ガラス張りの窓辺の席で女と向き合っているのは、看護婦の倉田冴子だった。
 先日、冴子は北原といっしょに、北原の妻真紀子と黒沢の不倫の情事を車の中で盗聴した。あのとき真紀子と黒沢が『ユニフォームクラブ』に関係していることを知り、北原への同情からかそれとも好奇心からか、クラブに入って様子を探ってほしいという北原の頼みを聞き入れてくれたのだった。
 そして、冴子が『ユニフォームクラブ』に入会の意志を伝えると、クラブから面談の日時と場所を指定してきたのだ。
 そのとき、キツネ顔の女が席を立った。
 カフェテラスから出てくると、タクシーを停めて、乗り込んだ。
 北原はタクシーのあとを追尾した。
 やがてタクシーは六本木の裏通りに入って停まった。降り立った女がテナントビルの中に入っていく。北原もあとを追った。
 エレベーターに乗った女が北原を見て、ドアを開けたまま待ってくれた。
「すみません」
「何階ですか?」
 とっさに北原はランプが点いている階を見ていった。
「あ、同じです」
 エレベーターが行き先の五階で止まると、北原は女のあとから降りた。
 女が入っていく部屋の前をそのまま通りすぎて、背後でドアが閉まる音を聞くと、すぐに引き返した。
『クローバークラブ』
 ドアにかかっているプレートを見て、北原は驚いた。いつか妻の真紀子から聞いたことがある名称だったからだ。
 妻のことにはほとんど関心がない北原だから、そのときも半分上の空で聞いていたのだが、たしか政治家や財界人の奥さん連中と『クローバークラブ』という会を結成し、ボランティア活動のようなことをはじめるといって、虚栄心の強い妻らしく誇らしげに話していたことがある。
(『ユニフォームクラブ』の電話番号の局番も六本木近辺のものだ。表向きはボランティア活動ということにして、この『クローバークラブ』を『ユニフォームクラブ』という売春組織の隠れミノにしているのかもしれない)
 北原は、ドアの向こうに胡散臭い秘密が隠されているような気がしてならなかった……。
 
 看護婦の冴子が『ユニフォームクラブ』に入会して三日後の午後−−。北原は都心にあるシティホテルの一室にいた。
 さっそく冴子に客がつき、そのホテルの部屋で白衣に着替えて待つようクラブから指示があったのだ。そこへ、客−−つまり、クラブの会員で、その男はナンバー18ということだった−−がやってくるというシステムになっているらしい。
 システムといえば、三日前、冴子が『ユニフォームクラブ』の女から聞いた話では、会員の相手は一回につき十万円ということだった。
「月平均でも、最低五十万は堅いんですって。それも相手はみんなハイソサイアティの男性ばかりで、愛人になるチャンスもあるらしいの。そういうアルバイトなら、いまの若い女の子だったら、といっても実際に制服を着る職業についていて、顔とかスタイルとかそれなりの基準があるらしいけど、その気になっちゃうんじゃないかしら」
 二十四歳の冴子自身、まんざらでもない口ぶりだったが、北原の関心はほかにあった。北原と関係があったなかで、『ユニフォームクラブ』に入ったらしい女たちがなぜ忽然と姿をくらましたかということだ。
 そのことも、
「いままでの男性関係は清算することっていわれたわ。できれば、勤め先も変えたほうがいいって」
 という冴子の話からようやくわかった。どうやらトラブルを避け、秘密を守るために、クラブのほうでそうさせているらしいのだ。
 しだいに『ユニフォームクラブ』の実体がわかるにつれ、北原はますます興味以上の関心を掻きたてられた。
 冴子を説得して、ここまで深入りさせたのも、そのためだった。
 いま北原がいるのは、冴子とほぼ真向かいの部屋だった。
 ベッドの枕元にラジカセを置き、FMのチューナーを、冴子が部屋に持ち込んでいる盗聴器の周波数に合わせてあった。
 そのときラジカセから、『どなた?』という冴子の声につづいて、ドアの開閉音が聴こえてきた。
『ほう、なかなか美人の看護婦さんだな』と男の声。『まだ入ったばかりなんだって?』
『ええ。今日がはじめてなんです』
 さすがに冴子の口調は緊張している。
『気に入ったよ。だから、正直にいうんだけど、僕はね、前々から、きみのような美人の看護婦さんにいたずらされたいという願望があったんだ』
『いたずら、ですか?』
『ああ。美人で、それも好き者の看護婦にいたずらされて、犯されたいという願望なんだ。おかしいかね?』
『いえ。そんな感じの人には見えなかったものですから……』
『そりゃあそうだよ。そんなことは感じでわかるものじゃない』
 男が笑っていう。
『だけど、僕のいっていることはわかってくれただろ?』
『大体……』
『つまり、きみは好き者の看護婦さんの役で、入院患者の僕が犯されるってわけだ。そうだな……朝、病室にきたきみが、僕の朝立ちしているモノを見て、いたずらするってことにしよう。いいね?』
『でも、どうすればいいの?』
『好きにしていいんだよ。というよりそうしてほしいんだ』
『いじめてほしいってこと?』
『そう、そういうこと。その前に、きみの手で朝立ちの状態にしてくれないか』
『そんな……』
『きみのほうが恥ずかしがっていて、どうするんだ、さァ……』
 妙な願望を持った男に、冴子は困惑している。
 北原は思いがけない成り行きに笑いをこらえながら、冴子の部屋の盗聴器からラジカセに流れてくる二人の会話に耳をすましていた。
 しばらく沈黙があって、
『ああ、看護婦さん、やめてください』
 哀願口調の男の声が聴こえてきた。冴子が男のモノを手でしごいているらしい。
『何よ、朝からこんなに大きくして。いやらしいわね!』
(冴子の奴、その気になっていやがる。看護婦っていうのは、こういうことにかけては物分りがいいからな)
 北原が苦笑していると、
『だめだよ。そんなことをしたら、出ちゃうよ』
 男が哀れな声でいう。
『溜まってるんでしょ? 出させてあげるわ』
『待った。そんな一方的なことじゃだめだ。好き者の看護婦なんだから、例えば、無理やりシックスナインを強制して、きみのアソコを僕に舐めさせたり、僕のモノをしゃぶったりしてくれなきゃ……』
『アッ、そんな、だめよ』
 男が無理やりシックスナインの体位を求めたらしい、冴子が狼狽した声をあげた。
『患者を犯す看護婦さんがそんなことをいってどうする』
『いやっ、離して、だめっ』
 もう少し様子をみようと思っていた北原だったが、その声を聞いて、打ち合わせ通り冴子のいる部屋に電話をかけた。
『あっ、電話……』
 冴子が電話に出た。
『もしもし……』
「もういいぞ」
 それだけいって北原は電話を切った。
『待って、こないで!』
 ラジカセから冴子のあわてた声が聴こえた。
『どうしたんだ?』
 男が驚いた声で訊いた。
『すみません。彼にここがわかったらしくて、押しかけてくるっていうんです』
『そんな、きみ、困るよ!』
 男がうろたえていった。とたんに盗聴器からあわただしい気配が伝わってきた。
 ドアが開く音を聴いて、北原が偶然をよそおって部屋から出ようとすると、男が小走りに通りすぎていった。
 その顔に見覚えがあった。−−たまにテレビなどにも出る、Sという国会議員だった。
 冴子が白衣のまま私服を胸に抱えて出てきた。北原の部屋に入ってくると、
「もっと早く電話をかけてくれるかと思っていたのに……」
 うらめしそうにいって抱きついてきた。
 北原がキスをしながら下着の中をまさぐると、繁みの下はおびただしく濡れていた。せつなげな声を洩らして、冴子がもどかしそうに腰をくねらす……。
「何だ、もうグッショリじゃないか。あの変態男のペニスをしごいてるうちに、その気になっていたんじゃないのか」
「うん、いや……」
 冴子はすねたようにいって北原の前にひざまずいた。もどかしそうにズボンのファスナーを下ろしてまだ半萎えのコックを取り出すと、貪るようにしてくわえ、さきほどの国会議員が悦びそうな、攻めたてるようなフェラチオをしかけてきた。
(売春婦の真似ごととスリルが、よほど刺激になったらしいな)
 前後に顔を揺すってしごきたててくる冴子は、興奮して発情したような表情を浮かべている。北原は白衣を着た冴子を抱き起こすとベッドに連れていき、看護婦との情事をゆっくりと愉しむことにした。
 
【3】
 電話に出た女は、「はい」とだけいった。
「会員ナンバー十八だ」
 そう北原がいうと、
「あっ、先日はご迷惑をおかけして、申し訳ございません」
 とたんに恐縮しきった声が返ってきた。
 北原は、先日、囮として『ユニフォームクラブ』に入会した冴子が接触した会員ナンバー十八の男−−Sという国会議員になりすましてクラブに電話をかけているのだった。
 冴子がいうには、あのあとクラブの女がカンカンになって電話をかけてきて、即刻除名するといってきたらしい。
「気をつけてくれよ。験直しにお祓いでもしてもらいたい気持ちだよ。変わり種で巫女さんなんてのはいないのか」
「いますよ。たしかご案内したリストにも載っているはずですけど……」
 女の声がどこか探るような感じになった。どうやら『ユニフォームクラブ』は会員に女のリストまで配布しているらしい。
「そうだったかな」
 北原は内心うろたえながら取り繕った。
「いままでその気がなかったせいか覚えていないな」
「そうですわね。Sさんは看護婦さん専門でいらっしゃるから」
 女は秘密めいた声でいうと、
「お風邪ですか。いつもとお声がちがってらっしゃるみたい」
 Sに似せた北原のつくり声をそう解釈したらしい。
「ああ。喉をやられてね。で、巫女はすぐに会えるかね?」
「これからですか?」
「そうだ。ちょっと暇な時間ができたんでね」
「連絡してみなければわかりませんけど、ご返事はどうしましょう?」
「じゃあ、あとでこちらからもう一度電話するよ」
 いったん電話を切った北原がそれからしばらくしてかけ直すと、クラブの女は巫女に連絡がついたといって、時間とホテルのルームナンバーを指定した。
(うまくいった。どっちがくるかな……)
『ユニフォームクラブ』といえども、巫女のような特殊な職業の女を何人も抱えてはいないだろう。くるとすれば、北原と関係があった美穂か章子のどちらかにちがいない。
 そう思いながら、指定されたシティホテルの部屋の前まできた北原は、いくぶん緊張してドアをノックした。
「はい……」
「会員ナンバー十八だ」
 ドアが開いた。北原の前に立っていたのは、巫女の衣装を着た美穂だった。
「先生……!」
 美穂は眼をまるくして驚き、さすがにうろたえた顔になった。
「やっぱり、『ユニフォームクラブ』に入っていたのか」
 美穂は黙って俯いている。
「なぜこんなクラブに入ったんだ?」
 北原は窓辺のソファにいきながら訊いた。
「金か?」
「それもあるし、いろんなチャンスだってあるから……」
 ソファに坐った北原に背を向けたまま、美穂はつぶやくようにいう。
「章子もいっしょなのか?」
「ええ。彼女いま、クラブで知り合った会社の社長さんと、旅行でロスに行ってるわ」
 振り返った美穂が、とたんに屈託のない明るい笑顔になって北原の横にきた。
 北原は冴子の言葉を思い出した。−−月平均でも五十万は堅いんですって。それも相手はみんなハイソサイアティの男性ばかりで、愛人になるチャンスもあるらしいし、いまの若い女性なら、その気になっちゃうんじゃないかしら。
「でも驚いたわ。先生も前からクラブの会員だったんですか?」
「……まあね」
 そう思わせておいたほうがいいと考えた北原は、そういうなり巫女の白い着物の胸元をつかんでグイと押し分けた。
 驚いた声といっしょに、みずみずしく張った乳房が生々しく弾んでこぼれ出た。
「先生って、相変わらず強引なのね。でも、うれしいわ、また会えて……」
 両手で乳房を揉みしだく北原に、喘ぎ声でいいながら両腕を首にからめてくる。
「再会を祝して、巫女のオナニーを見せてくれ」
「そんな……いや」
「客に対して、いやはないだろう」
 北原は美穂を抱き上げた。嬌声をあげる巫女をベッドに寝かせ、袴の紐を解いてずり下げると、着物の前をはだけて片脚だけパンティを抜き取った。
「さ、やるんだ!」
「こんなこと、ほかの人にもさせてるの?」
「ああ、金を払ってるんだからな」
「うん、こんなの、いや……」
 美穂はすねたようにいいながらも繁みの下に指を這わせた。恥ずかしそうに顔をそむけたまま、クレバスをゆっくりと掻き上げてゆく。
「もっと脚を開いて、よく見えるようにしてやれ!」
「ああっ、もうしらない」
 乱れた巫女の衣装から乳房と下腹部だけをあらわにした美穂が大胆に脚を開き、クリトリスを指でこねる。サーモンピンクの柔襞の狭間がみるみるジットリと濡れてきて、腰が淫らがましくうねりはじめた。
「ああん、見ているだけじゃいや……ね、きてェ」
 北原にその気はなかった。
 それに、『ユニフォームクラブ』の内部のことについては、冴子もそうだったように女たちは何も知らされていないはずだ。美穂がクラブに入っていたことさえわかれば、もう用はない。
 そのまま黙って部屋から出ていく北原の背後で、「先生!」と美穂が呆気にとられたような声をあげた。
 
【4】
 ホテルを出た北原は、その足で歯科医の高瀬和子の自宅がある原宿のマンションに向かった。
 和子の部屋にいくのははじめてだったが、およその見当はついていた。
 そのマンションはすぐに見つかった。
 部屋番号を確かめてエレベーターに乗り、目的の階で降りた瞬間、北原はあわてて脇の非常階段に隠れた。−−ちょうど和子の部屋のあたりから、意外な男が出てくるのを見たのだ。
 男はまちがいなく、黒沢だった。
 エレベーターが黒沢を乗せて下りていくと、北原はすぐに和子の部屋の前までいって、インターフォンを押した。
「どなた?」−−探るような声が返ってきた。
「北原だけど……」
 ドアが開き、「先生」−−驚いた顔を覗かせた和子が、どこか脅えたようにエレベーターに向かう廊下を見やった。
「ちょうど近くを通りかかったもんでね。ちょっと寄ってみたんだ」
 そう言い繕った北原を、
「驚いたわ。どうぞ……」
 と和子は部屋に入れた。
 独身の美人歯科医の部屋はモノトーンの色調とシンプルなインテリアで統一され、整然としていた。
「おビールでいいかしら?」
 北原を居間に通すと、和子はあわててテーブルの上のグラスを片づけながら訊いた。
「ああ……」
 北原は上の空でうなずいた。−−やっぱり黒沢はこの部屋にきていたようだ。
 和子がもどってきて、グラスにビールをそそいだ。
「先客があったようだね」
 グラスを半分ほどあけて北原がいうと、
「ええ、ちょっと……」
「客は、黒沢だろ?」
「お会いになったの?」
 和子は驚き、うろたえて訊き返した。
「こっちが先に気づいて、顔は合わさなかったよ。男関係がないとは思わなかったけど、相手が黒沢だとは意外だったな」
 北原がかすかに嫉妬を覚えながらいうと、
「彼とはもう関係ないわ」
 女医は思いつめたような顔でテーブルの上に視線を落としてつぶやいた。
「じゃあ何できたんだ?」
 和子は自分でグラスにビールをそそぐと一息に飲み干した。
「あなたに『ユニフォームクラブ』のことを教えているのは、わたしじゃないかって疑ってるらしいの」
 そういうと立ち上がり、驚いている北原に、
「呼んだらいらして」
 と言い残して奥の寝室らしい部屋に入っていった。
(やっぱり、そうだったのか! それにしてもなぜ……?)
 北原が混乱した頭で考えていると、しばらくして和子の呼ぶ声がした。
 部屋に入った北原は眼を見張った。なんと女医がスチュワーデスに変身していたのだ。
「あの電話のスチュワーデスは、やっぱりきみだったのか!」
 思わずうわずった声を発した。
 和子は俯いてベッドに腰を下ろすと、恥ずかしそうにうなずいた。
 無理もない。いままで正体不明なのをいいことに北原とテレフォンセックスまでしたのだから。
「こんどお会いしたとき、すべてお話しようと思って、ルミに制服を借りてたの」
 和子がつぶやくようにいった。ルミというのは、和子の高校時代からの親友で、前に北原が和子に連れられていったホームパーティで誘惑された、あの人妻スチュワーデスのことだ。
「すべてとは、どういうことなんだ?」
 北原は和子をベッドに押し倒すと、スカートをめくり上げながら訊いた。顔をそむけた和子はされるままになって、話しはじめた。
「わたし、黒沢とは、あるときまで関係があったんです」
 −−だが、プレイボーイで野心家の黒沢は、歯科医の和子を通じて知り合った上流夫人とつぎつぎに関係を持つようになり、そのうえ彼女たちに財テクを持ちかけ、預かった資金をもとに先物取引に手を出した。ところがそれが大失敗。上流夫人たちにしても困ったことになった。
 そこで、上流夫人たちの交際関係に眼をつけた黒沢は、ボランティア活動とは名ばかりで、実際には彼女たちの虚栄心のためでしかなかった『クローバークラブ』を隠れミノにして、政財界人を相手にした高級コールガール組織をつくった。
「はじめのうちは、暇と欲望を持て余した奥さんたちと黒沢の知ってる女性が中心になっていたの。先生の奥さんが『クローバークラブ』に入ったのは、ちょうどその頃で、真紀子さんは最初、何も知らなかったらしいわ」
 すべて黒のビキニショーツにガーターベルトとストッキングというセクシーな下着をつけた和子は、太腿からパンティの小高い丘を撫で回す北原の手に腰をもじつかせながら、話をつづけた。
 −−黒沢は真紀子を誘惑し、最初はレイプ同然でものにしたらしい。だが真紀子自身、黒沢との関係をつづけているうちに北原の秘密を知って、ますます深みにはまっていったようだ。
「黒沢は先生の留守にお宅で奥さんと逢っているとき、先生が制服の女性たちとの関係を記録しているフロッピィを見つけたらしいの。それで、男の人は制服の女性に弱いというヒントを得て、『ユニフォームクラブ』を思いついたのよ。それに、そこに記録されている女性たちをスカウトすることも……」
 やはり、北原が想像していた通りだった。
(黒沢の奴……!)
 ようやく『ユニフォームクラブ』のからくりを知り、しかも北原自身、まるでそのお先棒を担いでいたも同然だったとわかって、怒りが込み上げてきた。
 それが和子に向けて荒々しい手つきとなって、ビキニショーツをむしり取るようにして脱がした。
 スチュワーデスの制服の下半身は、黒いガーターベルトとストッキングだけだ。スカートが腰の上までめくれ、ぬめ白い腹部と太腿がつくるYの字の谷間に、艶々しい繁みがあらわになった。
「それにしても、黒沢はどうしてきみに何もかも喋っていたんだ?」
 北原がしっとりした繁みを手でなぶりながら訊くと、
「ひどい言い種だけど、わたし以外の女性との関係はみんな遊びだっていうの。もちろんそんなこと、冗談じゃないと思ってたわ」
 ベッドに寝た和子が顔をそむけたまま、腰をくねらせた。
「確かに都合のいい言い種だけど、それは案外、奴の本音だったかもしれないな。何しろきみのここはミミズ千匹の名器だからな」
 いうなり北原は和子の両脚を大きく押しひろげた。
「アッ、いや」−−のけぞった和子が恥ずかしそうに顔をそむけ、腰をうねらす。柔襞まで開いてあからさまになったクレバスは、もう汗を吹いたようにジットリと濡れ光っていた。
「黒沢とはいつ別れたんだ?」
「先生に、はじめて電話をかけた、あのだいぶ前に……」
 北原の視線を感じてか、喘ぐようにいう和子の腰がたまらなさそうにうねる。
「それまでは、黒沢の奴に勝手なことをいわれながら関係をつづけていたってわけか」
「わたしが、ばかだったの」
「というより、いやいやでも奴に求められたら、この躯が拒みきれなかったんだろ!」
「そんな……アアッ!」
 北原はいきなり持ち上げた和子の両脚を頭のほうに向かって押さえ込み、躯をエビ状に折り曲げた。
「ごまかしてもだめだ。電話でも淋しいといって、テレフォンセックスまで求めてきたのは、どこの誰だ?」
「いや、いわないで!」
 恥ずかしがる和子の顔の前にある局部の柔襞を、北原の両手がグイと押し分けた。生々しいサーモンピンクのクレバスがむきだしになった。
「ああっ……い、いやっ」
「見ろ!」
 と北原はクレバスに顔を埋め、見せつけながら攻めたてるようにして、舌でクリトリスを舐め回した。
 たちまち和子は感泣するような声をあげはじめ、ふるえを湧きたてながら昇りつめた。
 北原も下半身裸になって、和子を四つん這いに這わせた。
 熟れてむっちりと張った尻をわしづかみ、エレクトしたコックで濡れたクレバスをまさぐって、ミミズ千匹の名器の中に一気に突き入ると、胸の底のほうでふつふつとしている憤りを叩きつけるようなピストン運動をしかけていった。
 
 眼が醒めると、すでに和子はベッドにいなかった。寝室の中にはカーテン越しに春めいた陽射しがこぼれていた。
 北原は起き上がって寝室を出た。浴室からシャワーの音が聞こえてきた。
 裸になって浴室の扉を開けると、和子がびっくりして、
「ごめんなさい。起こしちゃった?」
「いや、眠りすぎたよ」
 北原はバスタブの中に入ると後ろから和子を抱いた。
「だめよ。朝食の用意をしなきゃ……」
 たしなめるような甘い声といっしょに三十二歳の熟れきった躯がくねった。
 かまわず北原がうなじに唇を這わせながら片手で乳房を揉みしだき、一方の手を濡れた繁みの下にすべり込ませていくと、和子が喘いで振り向き、どちらからともなく唇が合って濃厚なキスになった。
 昨夜はミミズ千匹の名器の中で二回も果てた北原だったが、そうして抱き合っていると、そのくすぐりたてるような快美感を思い起こしたコックがもう硬直してきた。
「ううん」と和子がたまらなさそうに身をよじって、北原の前にひざまずいた。早くも興奮した顔つきになって、北原の股間にシャワーをかけ、セッケンをまぶして洗い流すと、エレクトしたコックにじゃれつくように舌を戯れさせながら、それを口に含んだ。
 朝の精気がみなぎってきた北原は、もういちどゆっくりと名器を味わってみたくなって和子を立たせると、そのまま浴室を出て寝室に連れていった。
 ベッドに上がって、和子を上にしたシックスナインの体勢で一度絶頂に追い上げると、すぐに騎乗位の体位を取らせた。
 発情して凄艶な顔つきになった美人歯科医は、棒杭のように突き立ったコックを手にすると濡れたクレバスに当てがい、そろそろと腰を沈めてきた。
 北原のコックが、ザラついた熱いぬかるみの奥に突き入った。「アアッ!」と感じ入った声をあげた和子が、我慢できないというように自分から腰を前後に律動させる。
「そんなにいやらしい腰つきをして名器でしごかれると、たまらないよ」
「だって、アアッ、いいっ!」
 ますます夢中になって腰を振りたてる和子を、北原は、競馬のジョッキーのような、しゃがむ恰好にさせた。
「見てごらん」
 腰に手を添えて上下させながらいうと、股間を覗き込んで昂った声をあげた和子は、発情した顔で食い入るようにそこを凝視したまま、眼が離せなくなった。
 柔襞が肉茎をくわえて淫らがましく上下する。微細な襞でくすぐりたててくる花芯から花汁があふれ、とろとろと肉茎を伝って流れ落ちる。
「見える?」と聞く北原に、和子がウン、ウンとうなずく。
「何が?」
「入ってる……」
 いうなり和子は落とした腰を激しく前後に腰を律動させはじめた。北原はするに任せて名器の快美感を味わいながら、しびれるような快感が突き上げてくるのを待った。
 
【5】
 その日北原は、和子の部屋から大学に出ると、すぐに黒沢の研究室にいった。
「ちょっと話がある」
 北原の険しい顔つきを見て、
「話?……何だい?」
 黒沢は妙にぎこちない愛想笑いを浮かべて訊いた。
「その前に一発殴る!」
 いうなり北原は黒沢の顔面めがけてストレートを叩き込んだ。鈍い音と同時に呻いた黒沢がよろけて床に倒れた。
「何をするんだ!」
 黒沢が手の甲で口を拭いながら北原を睨み上げた。唇が切れて血が流れていた。
「自分がやったことを考えれば、これぐらいは当然だろう」
「いきなり人を殴っておいて、当然とは何だ」
 ハンカチを口に当てて黒沢が立ち上がった。
「俺がまだ何も知らないと思ってるのか?」
 北原はあざ笑っていった。
「おまえが教授の椅子欲しさに、単位を餌に学生を使って俺を誘惑させ、それを何者かが大学に通報してきたようにみせかけて、まんまと俺を罠にはめたこと。それに俺の妻に手を出して、そんなことはどうでもいいが、許せないのはそれをいいことに俺のプライバシーをコソ泥のように盗んだことだ。しかもそれを『ユニフォームクラブ』などという売春クラブの女集めに利用していること。何もかもわかってるんだよ」
 黙って聞いていた黒沢の表情がしだいに強張ってきた。が、顔をそむけると、
「それで何がいいたいんだ?」
 苦笑いを浮かべて開き直ったようにいった。
「せっかく汚い手まで使って坐りかけている教授の椅子だけど、売春クラブをやってる者にはふさわしくないってことだ」
「脅迫するつもりか?」
「俺は誰かのように下司な真似はしないよ。ただ、辞退することはできるといっているだけだ」
 それだけいうと、強張った顔を引き攣らせている黒沢を一瞥して、北原は部屋を出た。


 その夜遅く、北原は渋谷にあるマンションの自宅に帰ってきた。
 一応、『ユニフォームクラブ』のことはカタがついたとはいえ、何となくすっきりしない気分をアルコールで紛らわそうとしたのだが、むだだった。
 玄関を入って、電灯のスイッチに手を伸ばしたとたん、
「明かりをつけないで!」
 といわれ、驚いて暗闇の中で眼を凝らした。妻の真紀子がキッチンのテーブルに突っ伏し、前にウイスキーのボトルとグラスがあるのが見えた。
 何があったのか北原はおよその想像がついた。おそらく黒沢が昼間のことといっしょに別れ話をいってきたにちがいない。そのまま書斎に入りかけると、
「何もいわないの?」
 真紀子がからむような口調でいった。
 黙って書斎に入った北原の背後で突然、グラスの割れる音がした。
 
【6】
 翌日、北原が帰宅すると、妻の真紀子が離婚を匂わせる書き置きを残し、息子を連れて実家に帰っていた。
 子供のことを思うと不憫だが、もはや夫婦関係の修復は不可能だった。そのうちきちんとケリをつけようと北原は思った。
 それから数日後の朝、車を修理に出したために、北原はめずらしくラッシュアワーの地下鉄に乗った。
 そのとき偶然、セーラー服の女子高生の後ろからピッタリと躯を密着させた状態になって、困ったことになってきた。べつにそのつもりはなかったのだが、スカート越しにコリッとしたヒップの感触がわかるほど股間を押しつけた恰好になっているうちに、北原のコックがみるみる硬直してきたのだ。
 ただ、女子高生のほうはどう思っているのか、気づいていないはずはないのにいやがるようすもみせず、じっとしている。
 制服の女とみると、猟色的欲求を抑えきれなくなる北原だったが、いままでセーラー服など文字通り、淫行の恐れのある相手に手を出したことはなかった。相手が大人の女であれば、多少のトラブルがあってもそれなりのカタはつく。が、未成年となると、そうはいかない。トラブル=警察沙汰だ。
 悩ましい状態のまま、やがて電車が北原の降りる駅に着いた。
 妙なことにならなくてホッとしたような、それでいて惜しいような気持ちで地下鉄を出て、大学の方向に向かっているとふと、背後に人の気配を感じた。
 振り返った北原は、ギョッとした。
 さっきの女子高生がついてきていたのだ。艶のあるロングヘアーと横顔だけはわかっていたのだが、まともに見ると、究極の美少女などといわれてオジサン族に人気のあるタレントの後藤久美子に似た雰囲気の子だった。
 たじろいだ北原が、何か−−と声をかけるより先に、
「おじさん、さっきヘンなことになってたでしょ?」
 女子高生のほうがかるく睨んでいった。一瞬北原がうろたえていると、こんどはいたずらっぽい笑みを浮かべて、
「でも、おじさんて真面目なのね。何もしなかったもの」
 その言い種に、思わず北原は苦笑いした。
「おいおい、大人をからかうもんじゃないよ。そんなことをいうためにあとをつけてきたのか?」
「電車の中から思ってたの。おじさんなら、わたしの頼みを聞いてくれるんじゃないかって」
「頼み……?」
「そう。どこか遠い、きれいな海の見える所に連れてってほしいの。わたし、いま、そんな気持ちなの。たとえば、思いきって飛行機に乗って、沖縄なんかいいな」
 突然、妙なことをいう女子高生に、北原は唖然とした。
「だけど、きみ……」
「大丈夫よ。学校は一日ぐらい休んだって平気だし、家のほうは友達に頼めばうまくやってくれるから」
 平然という美少女を、北原は呆れて見つめながら、自分でも唐突に気持ちが動いた。
(沖縄の海か……それもわるくないな)
 そう思っただけで、このところの陰鬱な気分が晴れるようだった。
 しかし、セーラー服では困る。北原は女子高生を近くのブティックに連れていった。
 
 北原は自分の取った行動にいささか呆れながらも痛快な気分を味わっていた。
 無理もない。−−朝の通勤電車の中でセーラー服の不思議な美少女と遭遇したのがきっかけで、それからわずか四時間あまりたったいま沖縄にきて、リゾートホテルでチャーターしたモーターボートを操縦し、夏のような陽射しが照りつけるコバルトブルーの海の上を疾走しているのだから。
 北原の横で嬌声をあげている美少女は、麻美といって、十七歳。ほかに沖縄にくるまでに北原が麻美について知り得たことといえば、名門女子校に通う良家の娘らしいということぐらいだった。
 北原は、モーターボートを、周囲がせいぜい百メートルあるかないかの小さな島につけた。
「ワァ、きれい!」
 きらめく海水の下に白い砂が透きとおった浅瀬に、麻美が感動した声をあげて下り立った。
 浜に上がって、ビニールシートを敷くと、北原は持ってきた紙袋を麻美に渡した。−−中身はセーラー服だった。
「ヤダァ、おじさんて、そういう趣味があるの?」
「そうだ。無人島にいって、そこで制服姿の麻美を見てみたいんだよ」
 ホテルを出る前にそんな遣り取りがあったのだが、北原の言葉に麻美も好奇心を覚えたらしく、いやとはいわなかった。
 そして二人はそれぞれ、スーツと北原が東京を発つ前に買い与えたワンピースを、ショートパンツとTシャツに着替え、モーターボートに乗ったのだった。
「着たわよ」
 海を眺めていた北原の背後で麻美がいった。
 振り向くと、場ちがいな背景の中に、セーラー服姿の美少女が立っていた。
「いいよ、とてもいい」
 こんどは北原が感動した声を洩らす番だった。
 抱き寄せ、はじめて唇を重ねていくと、麻美も応じた。差し入れた北原の舌に、ためらいがちに舌をからめてきた。
 そのまま北原はビニールシートの上に麻美を寝かせた。そこが南の小さな無人島の浜辺だからだろうか、不思議に淫行といううしろめたさはなかった。あるのは、胸のときめきだけだった。
 制服の上をずり上げて白いブラを下げた。三月とは思えない夏のような陽射しの下に、みずみずしい乳房がこぼれ出た。
 麻美はされるままになって硬い表情の顔をそむけている。
「はじめてなのか?」
 北原が硬く張った乳房を愛撫しながら訊くと、せつなげな顔になってかぶりを振った。
「いいんだね?」
 スカートをたくし上げていく北原に、両脚をすり合わせながらうなずく。
 熟れかけた腰からパンティを下ろし、そっと両脚を開かせると、萌え出たばかりの春草のような繁みの下に、きれいなピンク色の初々しい柔襞が覗いた。
 美味しいものでも味わうように、北原は少女のクレバスを舌で分けた。
 戸惑ったような喘ぎと同時にビクンと麻美の腰が跳ねた。柔襞の狭間を掻き上げ、すくい取ったクリトリスをゆっくりとこねる北原の舌の動きに合わせて、もどかしそうに腰がうねる。狂おしそうにのけぞりながら、麻美がきれぎれにせつなげな声を洩らす。北原の舌がこね回しているクリトリスはもう真珠のように硬くふくれあがって、クレバスにはおびただしい蜜があふれてきている。
「だめっ、だめっ」
 切迫した泣き声になって腰を揺すりはじめ、
「イク、イッちゃう!」
 しぼり出すような声を発して反り返った。
 北原は、息を弾ませながら興奮した顔をそむけている麻美の横に寝て、セーラー服のスカートを脱がせ、下半身だけ裸にすると、自分もショートパンツとブリーフを脱いだ。
 夏のような陽射しを浴びて、セーラー服から露出した、十七歳のみずみずしく張った乳房が喘ぐように上下し、下腹部の春草のような繁みが鈍く光っている。
 北原は夢の中にでもいるような気持ちで少女の手をエレクトした肉茎に導くと、初々しい蕾のような乳首を口に含んだ。
 舌で乳首を転がしながら、指で濡れたクレバスをまさぐっていると、
「ううん、もうだめっ」
 麻美がたまらなさそうに腰をうねらせて、北原のコックを繰りかえし握りしめてくる。
 起き上がった北原は、少女の花芯にゆるゆると押し入った。熱い潤みの中に収まったコックを、まだ充分にこなれていない窮屈な花芯が甘苦しく締めつけてきた。
 ゆっくりと抽送をしかけながら北原は、少女の顔と股間を交互に見やった。
 花びらのような柔襞の狭間を、濡れ光った肉棒がピストンのように出入りする。そのたびに麻美は苦しげにのけぞって泣くような声の喘ぎを吐き出す。
 そのまま北原は甘苦しい花芯を突きたてた。……と、まだこなれていないと思ったそこがしだいにねっとりとからみついてくる感じになってきて、
「アンッ……ウンッ……イッ、イクッ、イッちゃう!」
 麻美が痙攣するようなふるえを湧きたてながら、泣き声で絶頂を訴えた。少女の初々しい反応と花芯の感触が北原のコックを甘くうずかせ、突きたてながら北原も、ふくれあがったきた快感を一気に解き放った。
 その瞬間北原は耳を疑った。−−が、錯覚ではなかった。
 まちがいなく麻美はいった。
「パパァ、パパァ!」
 と、しがみついて泣きじゃくるような声で……。
「どうしてパパなんていったんだ?」
 麻美は黙って起き上がると、突然セーラー服の上も脱いで全裸になった。
「わたし、パパ以外の人とセックスしたの、おじさんがはじめてなの」
 そういうなり海に向かって駆け出していった。
 形よく張ったヒップが小気味よく弾むのを見ながら、北原は唖然としていた。
 
 その夜、ホテルで風呂から上がった北原がビールを飲みながらテレビのニュースを見ていると、突然、黒沢の顔が現れた。−−キャスターが大学助教授の売春事件を報じているのだった。
 驚いた北原は、そのとき、とっさに思った。
(真紀子が警察にタレ込んだのではないか!)
 茫然としていると、いつのまにかバスタオルをまとって浴室から出てきた麻美が北原の膝に腰かけて、
「おじさん、わたし、もうパパのことは忘れたいの。忘れさせて……」
 と甘えて抱きついてきた。
 北原は麻美の躯を抱き上げると、重苦しい気持ちをふっきるようにベッドに運んでいった。麻美が父親との近親相姦を断ちたいといって北原を求めているように、北原も何もかも忘れて、そのままいつまでも美少女の初々しい躯にのめり込んでいたいような衝動に駆られて……。
                                  −−完−−



  • 攻略チャート
  1. 進んだ先(B-4)と(C-5)にいるアイアンゴーレム、(D-4)北側と(D-4)東側にいるゴグマゴグ(ロックガーディアン)を倒す。
    再湧き時間は早い。
    10分以内だと最大10匹が限度のようだ
  2. クエスト開始から10分経過するか、★の所にいるアルハカム(アイアンゴーレム)を撃破するとボス戦になる。
  3. アルギュロス(エンシェントドラゴン)、ソドム(アースドラゴン)、イウロ(スコーピオン)×2、アクト(キラースコーピオン)×2と戦闘。
    イウロとアクトは無限湧きする。

  • 解説
    『美人社員・屈辱通勤 悪夢の痴漢地獄』雨宮 慶

【美人社員・屈辱通勤】


【第一章 濡れる通勤電車】


【1】
 帰宅ラッシュの電車は、相変わらず殺人的な混みようだった。
 いったん躯の位置と向きを決めたら、もう身動きもままならない。
 早瀬はぼやいた。
(毎日朝夕、この調子だ。おまけに景気はいっこうに上向く気配もないし、まったくサラリーマンはやってられないよ。一体、政治家はなにやってんだ!)
 そのサラリーマンをもう二十年ちかくやっているので、殺人的な通勤ラッシュはいまさらぼやく気にもならないほど慣らされている。
 ぼやきの原因は、(おまけに……)といったその上向く気配もない景気のほうだ。不況で仕事も生活も冴えなくなって、その苛立ちや不満を殺人的な通勤ラッシュにぶつけたのだった。
 早瀬は自動車メーカーに勤務している。総務課長である。四十歳だから順調な昇進といっていい。
 ただ、自動車業界はこのところ不況の影響をもろに受け、リストラの嵐が吹き荒れている。それに追い討ちをかけるように一足先にリストラに成功したアメリカのメーカーが廉価な車の輸出攻勢をかけてきて、日本のメーカーは窮地に立たされ、ますます見通しが立たない状態である。
 この有り様では順調な昇進も素直に喜んでばかりもいられない。早瀬自身、いまのところ人減らしの対象になりそうな気配はないが、実際に人員削減は行なわれていて、いつその憂き目を見るかわかったものではない。
 この不況の折り、この歳で事務屋が会社を追われたら、おいそれと再就職の口は見つからない。かりに見つかったとしても、いまの生活を維持していくのはむずかしい。まず、東京西郊にやっとの思いで手に入れたマイホームを手放さなければならないだろう。
 それでも再就職の口があればマシだ。ないときは妻と二人の子供を抱えて路頭に迷うことになる。
 そんな最悪の仮定のことばかり考えてもしようがないとは思うのだが、バラ色とはいかないまでも明るい材料がまったくないものだから、つい気も沈み、マイナス思考に走ってしまう。
 バブルのときはよかった。毎晩のように飲みにもいけたし、適当に女と遊ぶこともできた。
 朝はともかく、夕方こんなラッシュの電車に乗って帰ることもめったになかった。
(それがいまはどうだ、これじゃあまるで伝書鳩だ。いや、こんなすし詰めの電車に乗らなきゃいけないんだから、広い空を自由に翔べる鳩のほうがまだマシだろう)
 ぼやきながら嘆息まじりに車内を見まわしたとき、偶然一人の女の顔が眼に止まった。
 会社の受付係をしている、花井美貴だった。
 受付係は総務部に属している。ただ早瀬は担当がちがうので花井美貴は直属の部下というわけではない。あまり話す機会もないが、それでもおたがいによく知っている。
 花井美貴は独身で、たしか二十五歳のはずだった。
 受付嬢を任せられるぐらいだから、容貌容姿とも恵まれている。
 ちょっと憂いを含んだような眼に特長がある男好きのする顔立ちにロングヘアがよく似合って、プロポーションも素晴らしくいい。
 早瀬の好みのタイプだった。もっともそれだけのことで、これまでそう思って眺めていたにすぎない。
 それだけ容貌容姿に恵まれた若い女が、自分のような見てくれもパッとしない中年男を相手にしてくれるはずもないと、端から諦めていた。
 ただ早瀬自身、以前から不思議に思っていることがある。
 それは充分すぎるほど魅力がある彼女に、浮いた話一つないということだ。
 花井美貴が通勤にこの電車を利用していることは早瀬も知っていた。前にも二、三度顔を合わせたことがある。
 彼女のほうは早瀬が降りるN駅の二つ手前のM駅で降りるはずだった。
 花井美貴は早瀬と同じような場所に立っていた。
 座席の端とドアの間のコーナーになっている場所で、早瀬と座席を挟んで向う側にいる。が、彼女のほうはやや窓のほうを向いて俯いているので早瀬には気づいていなかった。
(ん!?……)
 早瀬は怪訝に思った。
 さっきからなんとなくそう思っていたのだが、花井美貴の様子がおかしいのだ。
 眉間に皺を寄せて喘ぐように唇をわななかせたのを見て、はっきりそう思った。
(まさか!)
 早瀬は花井美貴の後ろに立っている男の顔を見て驚いた。
(いや、まちがいない。あいつ、彼女に痴漢しているんだ!)
 三十代前半と思われるサラリーマン風のその男の表情は、ただ満員電車に揺られている様子のそれではなかった。
 明らかに興奮している顔つきだった。
 事実、もう疑う余地はなかった。
 花井美貴のほうもさっきからなんどか喘ぎ顔になり、そのたびにすぐに平静を取り繕おうとしているようだが、その表情も、どう見ても興奮しているそれだった。強張って上気し艶めいている。
(でもなぜだ!? 彼女、痴漢されているのにいやがらないのか!? それどころか感じて興奮しているとは、一体どうなってるんだ!?)
 わけがわからない。わからないまま、花井美貴の様子を見ているうちに早瀬のほうも興奮していた。
 そればかりか、痴漢していると思ってまちがいない男が妬ましくなってきた。
(それにしても信じられない、彼女が痴漢にされるままになってるとは!)
 早瀬は頭が混乱してきていた。
 そのとき電車がM駅に着いた。花井美貴はほかの乗客にまじって電車を降りたが男は降りなかった。
 電車がM駅を出ると、早瀬は男のことが気になった。
 男は取り立てて二枚目でもなく、平凡な顔立ちをしている。取っ付きにくそうな感じでもないが、といって特に愛想がよさそうにも見えない。
 つぎの駅で男は電車を降りた。その前にそうしようと決めていた早瀬も、そこで途中下車した。
 花井美貴のことを聞ければ聞いてみようと思ったのだが、早瀬自身、自分が取った行動に驚いていた。このところのストレスが、そういう大胆な行動を取らせたのかもしれなかった。
「あの、ちょっとすみません」
 早瀬はホームで男に声をかけた。男はちょっと驚いた顔をして立ち止まり、警戒するような眼で早瀬を見かえした。
「もしまちがいだったら、怒らないで勘弁してください」
 そう断って早瀬は思いきって聞いた。
「さっきM駅で降りるまであなたの前に立っていた女性に、あなた、痴漢していたんじゃないですか?」
 男は顔色を変え、表情を強張らせた。
「あんた、なんだよ!? なにいってるんだ?」
 警察関係の者と勘違いされたのではないかと思い、早瀬はあわてていった。
「いや、じつはわたしも痴漢に興味はあるんですけど、とてもそんな勇気はなくて……ところがさっき、あの女性とあなたを見ていたら、ひょっとして、いや、きっとそうだろうと思いまして。それで失礼だとは思ったんだけど、思いきって聞いてみようと……」
 いっているうちに早瀬はホッとしていた。途中で男がニヤッと笑ったからだ。
「なんだ、驚かさないでくださいよ。刑事なら現行犯逮捕しようとするはずだし、聞き方もおかしいとは思ったけど、警戒しちゃうじゃないですか」
 男は苦笑しながらいった。
「そう、あなたも痴漢予備軍ですか。多いんですよね、願望はあっても勇気がなくてできないって人は。ま、無理もないけど、ぼくも最初はそうでしたよ」
「じゃあやっぱり、さっきはあの女性に痴漢してたんですか?」
「シッ!」
 男はあわてて口の前で指を立て、周りを見まわした。
「そんな大きな声出さないでくださいよ」
「いや、これは失礼」
 思わず声を高めていたようだ。早瀬は恐縮した。
「ええ、してましたよ」
 男はこともなげにいった。
「彼女の場合は、もう痴漢プレイなんですよ」
「痴漢プレイ!?」
「そう、もう合意の上のことだからね」
 ますます聞き捨てならない。早瀬は驚きながら興味津々の顔つきでいった。
「どうでしょう、失礼したお詫びにイッパイ付き合ってもらえませんか? 飲みながらぜひ、その痴漢プレイの、もっと詳しい話もお聞きしたいんだけど……」
「お詫びなんていいですよ。そんなことより痴漢に興味があって……ということだったら、話すのはべつにかまいませんよ」
 男は笑って快く応じてくれた。
 
【2】
 二人は駅前の居酒屋に入った。
 ビールで乾杯し、早瀬が自己紹介しかけると、彼が制していった。
「痴漢が縁で知り合ったんだから、おたがいアルファベットで名乗り合いましょう。ぼくはKといいます」
「わたしはHです、よろしく」
 なるほど確かに彼のいうとおりだと、早瀬はKの慎重さに感心させられた。と同時に年下ながら落ち着き払ったところといい、さきほどまでの話といい、この男相当痴漢をやっているのではないかと思った。
 それよりも早瀬はさきほどのつづきを聞きたくてウズウズしていた。さっそく花井美貴の話を聞いた。もちろん早瀬と彼女の関係などすべて伏せて。
 Kが話してくれた花井美貴のことや痴漢体験は早瀬を驚倒させた。早瀬が想ったとおり、やはりKは痴漢の常習者だったのだ。
 
 Kの右手の薬指には、いつも白いガーゼのサックがはめてある。
 サックを取ると、伸ばした爪の先が鋭角状になっていて、シャープに研がれている。痴漢するときはその爪でパンストに穴を開けるのだ。
 もちろん相手の女がそこまでの行為を許せばの話だが、花井美貴のときはその必要はなかった。というのもK自身驚いたことに、彼女はパンストではなく、最初からガーターベルトをつけていたからである。
 彼女はKがパンティの中に指を侵入させていくまでのタッチで上々の反応を見せ、実際にKの指先が秘めやかな部分に到達したときには、もうグショ濡れの状態だった。
 Kはパンストを破って性器タッチまで許してくれた女には、新品のパンストと手紙を同封した封筒を渡すことにしている。
 手紙には、つぎのような文面が書いてある。
『あなたのような魅力的な女性とスリリングで刺戟的なひとときを分かち合えたことに感激しています。
 同封のパンストは、あなたのパンストに穴を開けてしまったお詫びの印です。
 そこでお願いがあります。ぜひまた、ぼくと痴漢プレイを愉しんでください。
 電車の中だけのことです。決してあなたのご迷惑になるようなことはしません。あなたがぼくの真摯な気持ちを受け止めてくださることを信じてお待ちしています』
 花井美貴のときもはじめて痴漢に成功したあと、その手紙を渡した。
 ただ彼女の場合、痴漢行為はパーフェクトに成功したものの、ガーターベルトをつけていたことがKには気になった。
 下着メーカーの調査によると、最近は若い女性にガーターベルトが売れていて、恋人とデートするとき、セクシーだし彼を歓ばせてあげたいからといって、ガーターベルトの人気が高まってきているという。
 もしも彼女に恋人がいた場合、痴漢行為を許したのは一過性のことで、痴漢プレイにまで発展する可能性は少ないとみるべきだった。
 だがそれも杞憂だった。彼女は誘いに乗ってきたのだ。
 それが二カ月ほど前のことで、それ以来、週に二回は痴漢プレイを愉しむようになったのである。
 そればかりかKは花井美貴だけでなく、これまでに数えきれないほどの女に痴漢してきた。
 その中には痴漢プレイからホテルにまでいった女もいるが、もっともこれは数えるほどしかいない。直接性器をいじりまわすまでの痴漢行為を許した女でも、電車を降りて声をかけると、ほとんどの女は逃げていくからである。
 それでいて電車の中だけならと、女も密かに、だがスリリングな刺戟にグッショリ濡れて愉しむ。それも身動きできない状態で無理やり触られてどうしようもないんだから、と言い訳し自分を納得させて。
 だが胸のうちで女は痴漢を軽蔑している。だから逃げていく。
 Kにとってはそれでもかまわない。当然ホテルまでいければいけることに越したことはないが、それよりなにより痴漢するときのスリルがやみつきになっていて、それさえ愉しめればいいのだから。
 
 あまりおおっぴらにはできない話だけにK自身、話したかったこともあるのだろう。そのほかにも痴漢のテクニックや痴漢しているときの女の生々しい反応など、早瀬にいろいろ聞かせてくれた。
 そのあとでまた花井美貴の話にもどり、Kはヤニ下がった笑いを浮かべていった。
「彼女なかなかの名器なんですよ。指を入れてると、あそこの中がザワザワッとざわめく感じで締めつけてきて、咥え込んでいくんです。はじめてのとき、思わずぼくのほうが洩らしそうになって、あわてちゃいましたよ。そうだHさん、こんどぼくといっしょに彼女を痴漢してみませんか?」
 いきなりそういわれて早瀬はドキマギしてしまった。
「でもそんなことできるんですか?」
「彼女なら大丈夫だと思いますよ。ぼくも痴漢の三Pをいちどやってみたかったんです。どうです?」
「そりゃあできれば、ぜひ……」
 早瀬の声はうわずり、酒の酔いも吹っ飛んでいた。
 その夜帰宅した早瀬は半月ぶりに妻の躯を求めた。Kに聞かされた痴漢の話と、とりわけ花井美貴のことが頭にあって、ひどく興奮していたからだった。
 Kと花井美貴を痴漢するのは三日後と決まっていた。
 
【3】
 この三日間、いい歳をして……と自嘲しながら早瀬は、ろくに仕事も手につかない有り様だった。
 仕事中、用もないのに会社の玄関ロビーにいき、受付カウンターの中にいる制服姿の花井美貴を、こっそり見ていたことも一度や二度ではなかった。
 そのたびに痴漢プレイを愉しむようには見えない彼女の、本当にあの制服の下のアソコに触れるのだろうかと思い、半信半疑ながら興奮した。
 そしてその間に早瀬は、ある計画も企てていた。
 三Pの痴漢プレイを決行するこの日、早瀬は終業時間の三十分前に退社して、急いで駅にいった。
 花井美貴には顔を知られている。変装する必要があった。駅のトイレに入って黒縁のセルの眼鏡をかけ口髭をつけた。
 ホームにいくと、すでにKはきていた。早瀬がそばにいって声をかけるまで気づかなかった。
 変装のほうは上出来だったが、いざとなると早瀬は興奮どころか緊張しきっていた。
 もしも痴漢行為が花井美貴にバレでもしたら、人員削減を心配するどころではない。下手をすると人生を棒に振ることにもなりかねない。
 緊張にはそんな怯えもまじっていた。
「Hさん、緊張するのも無理はないけど、愉しいことをするんだからリラックス、リラックス……」
 早瀬の様子を見かねたのだろう。Kが笑っていった。
 ホームは帰宅ラッシュの人であふれていた。電車が入ってくるたびにいったんは人気がなくなるが、すぐまたあふれる。
 そのとき花井美貴が現われた。早瀬はKと顔を見合わせてうなずき合った。
 段取りはKからいわれていた。Kが乗客の列に並んだ美貴のすぐ後ろに立ち、そのあとに早瀬も並んだ。
 美貴は紺鼠色のタイトなスーツを着てショルダーバッグをかけていた。黒い艶やかなロングヘアとミニスカートからのぞいた形のいい脚が、早瀬の眼にはいつもにまして艶めかしく見えた。
 電車が入ってきた。ドアが開き、ドッと乗客がなだれ込む。早瀬はKの後ろに張りついて乗り込んだ。
 Kは“ゴールデン・トライアングル”−−座席の端とドアの間のコーナーで、痴漢にとってもっとも都合のいい場所ということからそう呼ぶらしい−−に美貴を巧みに追い込んでいった。
 計画どおり、黄金の三角地帯でKと早瀬が美貴を挟み、同時にほかの乗客からも隠す状態になった。Kが美貴の斜め前、早瀬が後ろに立った格好だった。
 電車が駅を出た。
 美貴のいい香りのする髪の匂いを嗅ぎ、もっこりとしたヒップをかすかに股間に感じて早瀬がドキドキしながら見ていると、早くもKの手が美貴のスカートの上から太腿に這った。
 美貴は俯いている。Kのことはわかっているはずで、すでに痴漢プレイを愉しむ気持ちになっているのかもしれない。
 Kの手がスカートの裾から中に入って這い上がっていく。髪がかかっているので早瀬の位置からは美貴の顔は見えない。逆にいえば美貴も早瀬の顔は見えないわけだ。
 美貴がわずかに腰をもじつかせた。
 早瀬はドキッとした。Kの手の動きと美貴の反応に気を奪われているうちに自分のズボンの前がふくらんできていたことも忘れていたのだ。
 美貴のヒップがこすれてそのことに気づき、あわてたのだが、すぐにKにいわれたことを思い出した。
 痴漢する場合いきなり、いかにも触る手つきで仕掛けてはいけない。それでは女も驚いて拒む。最初にまず、「触ってもいいですか?」と“痴漢信号”を送って打診する。そうすれば女も気持ちの準備ができて、成功の確率は高まる。
“痴漢信号”は手の甲をさりげなくヒップに当て、電車の揺れに合わせて徐々に動かすとか、生理現象を利用する−−自然にズボンの前がふくらんできたという感じで、そっと股間のそれをヒップに当てる−−などの方法がある。
 そうやって女の反応を見る。
 Kにいわれたとおり、早瀬は思いきって美貴のヒップに股間のふくらみを当てた。
 美貴はハッと息を呑むような気配を見せて顔を上げた。
 前からKにスカートの中に手を入れられ、後ろから早瀬の硬直の感触が襲ってきたのだから無理もない。
 周りに音が聴こえるのではないかと思うほど早瀬の心臓は高鳴っていた。
 が、美貴の反応はそれだけだった。すぐまた俯いた。
 早瀬はホッと胸を撫で下ろした。と同時に美貴のヒップを男の一番過敏な部分に感じていると、それがムクムクとあからさまに勃ってきた。それも美貴がモジモジとヒップを蠢かせてくすぐられるからだった。
 見ると、俯いたまま美貴は息を乱している。
 そのときKが早瀬にウインクした。早瀬も参加しろという合図だった。
 男からウインクされるのはあまり気色のいいものではなかったが、そんなことを考えている余裕は早瀬にはなかった。
 早瀬は美貴の腰に手を這わせた。腰から太腿を撫で下ろしていき、スカートの中に手を入れていく。緊張のあまり息が詰まって、息を止めていたから当たり前だが、文字どおりチビリそうだった。
 美貴は早瀬の手を拒まなかった。俯いてジッとしている。その反応が早瀬を勇気づけ大胆にした。
 スカートの中の手を徐々に上げていく。手に直接、太腿の上部の肌が触れた。
 Kがいっていたとおり、美貴が穿いているのはパンストではなく、セパレーツのストッキングだった。
 ストッキングをガーターベルトで吊っているらしい。ガーターベルトのストラップが指先に触れ、さらに手を上げていくと、パンティにたどり着いた。
 早瀬はまだ緊張していた。が、悩ましいスタイルの下着をつけた美貴の下半身が頭に浮かび、その生々しい感触に、緊張以上に興奮していた。
 パンティの上から片方の尻朶を撫でた。一方の尻朶には股間を密着させて怒張を押しつけている。ムチッとして形よく盛り上がったヒップの片割れが感じ取れた。
 早瀬の手を感じてだろう。美貴が尻朶をヒクヒク動かす。キュッと引き締めたり、フッと緩めたりするのだ。その小気味いい動きが手と怒張に伝わって、ペニスがズキンとうずいて脈動した。
 早瀬はゾクゾクしながら、パンティの裾から手を入れていった。
 指先をシークレットゾーンに侵入させていく。手に触れている尻の割れ目がピクピク痙攣している。
 早瀬の指先は会陰部を這ってヌメッとした窪みに侵入した。
 驚いた。美貴のそこはもうグショ濡れの状態だった。
 それも濡れが会陰部にまであふれ、秘めやかな部分はクレバス状の沼といった感じだ。
 そのとき早瀬とKは顔を見合わせて苦笑した。前後から侵入している二人の指先が触れ合ったのだ。
 Kの指が早瀬の指に道を譲ってくれた。早瀬は指先で秘部の形状をなぞった。
 ビラッとした唇を想わせる襞……その間の小さな粘膜の襞……。
(これが花井美貴のオマ×コか!)
 そう思うと早瀬はふるえがきそうなほど興奮した。
 また、Kの指に指が触れた。
 Kはクリトリスを弄っている。そのせいだろう。美貴はクイクイと腰を振っている。といっても密着していなければわからない程度だ。
 もはや早瀬にためらいはなかった。膣口を探り当て、ゆるゆると蜜壷の中に指を入れていった。
 ヌル〜ッと入った。と、熱いぬかるみ状態の蜜壷がジワッと締めつけてきて、エロティックなイキモノのように蠢きながら、指を咥え込んでいく。
 その生々しい蠕動に合わせて早瀬の怒張は脈動し、危うく暴発しそうになった。
 これほどの興奮ははじめて女を経験したとき以来なかった。いや、初体験とは異質の興奮だ。このスリルのせいだろう。Kがやみつきになったのもわかる。
 異常な興奮状態のまま、そう思いながら早瀬は、美貴の蜜壷の中をこねたり指を抜き挿ししたりした。
 必死に声を殺しているのだろう。美貴は早瀬とKにしか聴こえない程度に息を弾ませ、たまらなさそうに腰を前後に振ったり、まわすようにしたりしはじめた。
 生々しい感触を指に、そしてその腰の動きを怒張に感じていると、早瀬はまるで美貴とファックしているような錯覚に襲われ、艶やかなロングヘアを振って悶えよがる彼女の姿が目の前をかすめた。
 錯覚ではなく、現実になるように、うまく事が運んでくれればいいのだが……。
 そう願いながら早瀬は指を引き揚げた。電車がM駅にさしかかっていた。
 停車してドアが開くと美貴はほかの乗客にまじって降りていった。
「じゃあ、わたしもここで……」
「降りるんですか? でも声をかけるのはやめといたほうがいいですよ」
 Kの忠告を背に早瀬はドアが閉まる直前電車を降りた。
 二人がかりの痴漢行為で、すぐには歩けないほど感じてしまったのだろう。美貴はホームのベンチに腰かけていた。
 ホームの人混みに隠れて早瀬は眼鏡を外し口髭を取り、美貴に近づいていった。
「おい花井くんじゃないか?」
「あ、課長!」
 美貴は驚いている。上気した顔がうろたえてもいた。
「どうした? 気分でもわるいのか?」
「え? ええ、ちょっと……でも、もう大丈夫です」
 うろたえた顔に無理につくったような笑みを浮かべていう。
「いやね、偶然電車を降りていくきみを見て、なんだか様子がおかしいのでぼくもあわてて降りたんだよ。でもそれならよかった。どうだい。そのへんでイッパイやっていかないか?」
 美貴は俯いた。断られるのではないかと早瀬が懸念していると顔を上げ、笑いかけてきて、ゆっくりと立ち上がった。
 早瀬の顔はひとりでにほころんでいた。内心、シメシメと思った。痴漢行為であれだけ刺戟されたうえに酒が入れば、どうしたってガードが弛む。飲んだあと、ダメ元で口説いてみるつもりだった。
 
【4】
「ひどいわ」
 駅を出て、そのあたりのスナックにでもいこうとしていると、唐突に美貴がなじるような声を洩らした。
「ひどいって!?」
 驚いて早瀬が聞くと、俯いたまま、
「課長が痴漢するなんて、信じられない」
「!…………」
 早瀬は頭の中が真っ白になった。すぐにかえす言葉もなくオロオロしていると、美貴はまた早瀬を驚かせた。腕を絡めてきたのだ。
「課長がどうして痴漢なんてしたのか説明して、ちゃんと責任取ってください」
「責任て、きみ……」
 うろたえていいかけたところで、こんどはドギマギさせられた。抱えた早瀬の腕に美貴が胸のふくらみを押しつけ、甘えるように肩に頭をもたせかけてきたのだ。
 そしてそのまま、立ち止まっている早瀬を引っ張るようにして歩きだした。
 早瀬は頭の中が混乱していた。
 ただ、「責任」という言葉の意味が、早瀬の思った最悪の事態のそれとはちがっていた ことだけはわかって、ホッと胸を撫で下ろしていた。と同時に思いがけないことになって、胸騒ぎのようなときめきに襲われていた。
 それでもまだ、わからないことのほうが多かった。
(第一、彼女はなぜ俺が痴漢していたことがわかったのか? それに痴漢されて刺戟されているとはいっても、なぜ自分から俺を誘う気になったのか? あそこまで痴漢行為を許したからいいや、という気になったのだろうか?)
 そう思いながらもファッションホテルの前にさしかかったとたん、早瀬は美貴の腕をほどいて肩を抱いた。そのままホテルに入っていくと、美貴は黙ってついてきた。
 
 部屋に入ると美貴のほうから早瀬に抱きついてきた。
「説明はあとにして、先に責任取ってください」
 弾む息でいって、早くも強張ってきた早瀬の股間のものに下腹部を押しつけ、挑発するようにすりつけてくる。
 早瀬のほうも頭の中で点滅していた疑問符が吹き飛び、唇を重ねた。
 舌を滑り込ませていくと、美貴のほうからねっとりと絡めかえしてきた。濃厚なキスを交わしているうちにズボンの前を突き上げてきた早瀬のものを感じて興奮を煽られたか、舌を絡めてきながら、せつなげな鼻声を洩らしてたまらなさそうに腰をくねらす。
 やがて美貴は顔を振って唇を離した。ハァハァ息を弾ませて発情した顔つきになっている。早瀬に背中を向けて服を脱ぎはじめた。
 それを見ながら早瀬も手早く脱衣していった。
 美貴がスーツを脱ぐと、わかっていたことだが悩ましいスタイルの下着をつけた素晴らしい躯が現われた。
 肌色のストッキングを除きすべて黒い下着の、ブラとショーツにガーターベルトだ。
「色っぽいなァ。せっかく悩ましい下着をつけてるんだから、こっちを向いてしっかり見せてくれよ」
 トランクスだけになった早瀬が興奮を隠しきれずにいうと、美貴は向き直った。
「課長がそんなにエッチな人だなんて思わなかったわ」
 なじるような眼で早瀬を見、笑っていいながらブラを外していく。
 ショーツは腰全体を包むタイプだが、すべてレースでハイレグになっているため、むしろビキニよりも形よく張った腰が悩ましく見える。
「あとは俺が脱がせてあげよう……」
 早瀬は美貴をベッドに誘った。まるで夢でも見ているようだった。このところのストレスなど消し飛んでいた。
 ベッドに仰向けに寝た美貴は両腕で胸を隠した。
 悩殺的なスタイルの下着をつけた、文句のつけようがないプロポーションをした躯を、早瀬は舐めるように見て、ゆっくりと、愉しみながらショーツを下ろしていった。
 美貴のほうもその刺戟を愉しむように、恥ずかしそうに両脚をすり合わせながらも脱がされるのを興奮した顔つきで見ている。
 残るはガーターベルトとストッキングだけだが村瀬はそれは取らなかった。そのほうが刺戟的だからだった。
 トランクスを脱いで躯を重ね、美貴の両手を胸から剥がした。
 仰向けに寝ていてもやや反りぎみに形よく張っている乳房を両手で包み込むようにして揉み、ふっくらと盛り上がった薄い赤褐色の乳暈から可愛げに突き出している乳首を舌でこねてやると、美貴はきれぎれに喘いで狂おしそうにのけぞる。
 美貴の手が早瀬の下腹部をまさぐってきた。怒張を太腿に感じているうちにたまらなくなってきたらしい。
「ああ……」
 一段と興奮した感じの喘ぎ声を洩らして手にした怒張をくすぐるように撫でまわす。
 若いみずみずしい躯を早瀬は両手と口でなぞって下半身に移動していき、美貴の両脚を押しひろげた。
「ああッ、もうきてン、ほしいッ」
 うねうねと腰を波打たせる美貴の顔には発情の色が浮きたっている。
「俺ももう、すぐにも入れたいよ。でもその前に美貴のここを見せてくれ」
「ああん、いやァ……恥ずかしい」
 美貴は嬌声をあげて身悶え、両手で顔を覆った。
 あからさまになっているグショ濡れの秘苑に早瀬は眼を凝らした。
 小判型の濃密なヘアの下の薄い赤褐色の秘唇は、合わさっていてもやや外側にめくれている。
 その形状とその周りにまばらに生えているヘアの感じが美貴の顔に似ず淫猥な印象があって、いやでも早瀬の欲情を煽った。
 両手でそっと秘唇を押しひろげた。
 ふるえをおびた喘ぎ声を洩らして美貴は両手を顔から離し、シーツをつかんだ。眼をつ むってそむけた顔に興奮しきった表情を浮かべ、ハァハァ息を弾ませて乳房を大きく上下させ腰をもじつかせている。
 痴漢プレイに応じるぐらいだから、こうやって見られても興奮するタイプだろうと想った早瀬の予想通りだった。
 明らかに美貴は視姦されて感じていた。アワビが口を開けた感じになってパールピンクの粘膜をさらけ出している秘苑の、赤貝に似た部分がべつのイキモノのように繰りかえし収縮して、そのたびに透明な蜜をジワッと吐き出しているのがなによりの証拠だった。
「あはん、きてッ……ああん、もうしてン」
 たまりかねたようにいって腰をうねらせて催促する。
 想像もつかなかった花井美貴の言葉と淫らな腰つきに早瀬は頭がクラクラするほど興奮をかきたてられ、怒張を手にして膣口をこねた。
「もうこれがほしいのか?」
 これじゃあ中年のいやらしさ丸出しだ。内心自嘲しながらも自然に猫撫で声になって聞くと、
「うんッ、いやン、早くゥ!」
 美貴はすねたようにいって焦れったそうに腰を揺する。それでまた興奮を煽られて、さらに早瀬は焦らしてやりたくなり、ふくれあがったクリトリスと膣口をこねまわした。
「あんッ、だめェ……ああんッ、い、入れてッ!」
 クチュクチュという卑猥な音といっしょに美貴は泣き声をあげて悶える。
「どこに入れてほしいんだ? たぶん四文字のところだろうけど、ちゃんといわなきゃ入れてやらない」
「やん、意地悪ゥ……ああん、オマ×コに入れてッ」
 我慢しきれなくなった様子でなりふりかまわず猥褻な言葉で求める美貴に、早瀬のほうも頭と股間がうずくほど興奮して押し入った。
 ズブ〜ッと一気に奥まで貫くと、美貴は呻いて大きくのけぞり、感じ入った声を洩らして躯を痙攣させた。
「イッちゃったのか!?」
 驚いて早瀬が顔を覗き込むと、満たされて柔らかくなった表情でうなずきかえす。
 すぐにまた驚かされた。突き入っている肉棒をジワ〜ッと蜜壷が締めつけてきて、ざわ めくような蠢きといっしょに咥え込んでいくのだ。
「おおっ、すごいッ! 美貴のオマ×コは名器だよ。こうやってじっとしているだけで、締めつけて咥え込んでいく……」
 たまらず早瀬は美貴に覆いかぶさって腰を使った。
「ああ、いいッ……ああん、また、またイキそう……」
 泣き声をあげて美貴はしがみついてきた。
「俺もすぐに我慢できなくなりそうだ」
 呻くようにいいながら早瀬はそうしているだけで気持ちいい若い女体を抱き締め、ぬかるみの状態でも締まりもくすぐられるような感触も申し分ない蜜壷を激しく突きたてた。
 痴漢プレイで立っていられないほど興奮していた美貴だが、早瀬のほうもはじめての痴漢体験の異常な刺戟と興奮がくすぶりつづけていた。そのためか、絶頂に向かうおたがいのテンションがぴったりと合っているようだった。
「いいよ、たまらないよ」
 早瀬が律動しながら耳もとで囁くと、
「わたしも、いいッ! 気持ちいいッ!」
 よがり泣きの中から美貴も息せききって快感を訴える。
「どこがいい?」
「オマ×コいいッ、ああん、だめッ……もうイッちゃう! イッて、いっしょに……」
 早瀬の腰の動きに合わせて美貴も夢中になって腰を上下させる。
 その瞬間が早瀬にも迫り、しびれるような快感の塊が怒張の根元に押し寄せてきていた。発射を告げてフィニッシュに入った。肉と肉が叩き合う派手な音が響き、泣きじゃくるような声で美貴が絶頂を訴える。それに合わせて早瀬も快感の塊を迸らせた。
 
 社内では浮いた噂一つなかった花井美貴だが、やっぱり男がいた。といってもすでに別れていて、恋人だったらしいその男について詳しいことはいいたくない様子なので早瀬は深く聞かなかった。
 男と別れてほどなく、あのKという痴漢に遭遇したのだという。
 そして、精神的にも肉体的にも不安定な状態のまま、美貴自身、痴漢プレイのスリルと刺戟がやみつきになっていったらしい。
 美貴からそんな話を聞く前に早瀬のほうはどうして痴漢するに至ったかその経緯を話し、そしてなぜ美貴が痴漢の一人が早瀬だとわかったのかも聞いた。
 なんと、発覚の原因は靴だった。
 痴漢されながら俯いていた美貴は、早瀬の靴を見るともなしに見ていたのだ。その直後にホームで早瀬に声をかけられたとき、それと同じ靴を見て一瞬まさかと思ったが、早瀬がもう一人の痴漢にまちがいないと確信した、というのだった。
 二人はいちど欲望を満たしたあとシャワーを浴びてベッドに横になっていた。二人とも裸のままだった。
 早瀬は美貴の美しく熟れた裸身を撫でながら聞いた。
「俺が痴漢だとわかったのに、どうして誘ったんだ?」
「だって、その前にあんなひどいことまでされて、自分でもよくわからないくらい興奮させられちゃってたから……」
 いいながら美貴は身悶えて躯を起こした。そして早瀬の股間に顔を埋めてきた。萎えた肉棒を手にして口に含む……。
 早瀬は美貴の腰を引き寄せて顔をまたがせ、真上にあからさまになったクレバスに口をつけていった。こんどはゆっくり、この若い女体を堪能しようと、さっきとはちがった静かな興奮とそのぶん貪欲な欲望をおぼえながら。



【第二章 淫ら色の新幹線】


【1】
「失礼……」
 声をかけると、女は笑みを浮かべてかるく会釈をかえした。笠倉はアタッシェケースとトレンチコートを網棚に乗せて二人掛けの通路側の席に坐った。
 名古屋から乗った、新大阪発最終の上り新幹線『ひかり』の車内だった。
 笠倉は胸がときめいていた。車内は空席が目立っているにもかかわらず、隣りにちょっといい女が坐っていたからである。
 昨日東京本社から急遽名古屋支社に出張してきた笠倉は、この日仕事を終えたあと、さっきまで支社の連中と酒を汲み交わしていた。
 最終の『ひかり』は、名古屋を出ると東京までノンストップで一時間四十九分。いい気分に酔って寝ていれば、退屈することもなく東京に着く。
 そうするつもりだったが思いがけない成り行きになって、寝て帰るどころか持ち前の女好きの虫が蠢きだした。
 日本酒を飲んでいた笠倉は、新幹線に乗る前に喉の渇きをおぼえ、缶ビールを二つ買って車内に持ち込んでいた。その一つを女にすすめて話すキッカケをつかむことにした。
「よかったらいかがですか?」
「え?……ごめんなさい、けっこうです」
 迷惑そうな感じではなく、むしろ申し訳なさそうに女はいうと、苦笑いして、
「少し酔ってるんです、新幹線に乗る前に飲んじゃって」
「ぼくもさっきまで飲んでたんですよ」
 笠倉は女に笑いかけていった。
「そういわれると少しアルコールが入ってるみたいだけど、でも酔ってるようには見えない……」
「顔に出ないんです」
「じゃあ相当強いんだ」
「というか、それで損しちゃうんです」
「損?」
「だって、酔ってるのに平気そうな顔をしてる女って可愛くないでしょ?」
 女は自嘲するような笑みを浮かべていう。
「そんなことはないですよ。あなたのような美人でアルコールに強い女性は、酔うとますます色っぽくなる。いまだってそうですよ」
「いやだわ、あなたのほうが酔ってらっしゃるみたい」
 女は笑みを浮かべたまま、かるく睨んだ。
 笠倉は一瞬ドキッとした。お世辞ではなく色っぽい顔立ちをした女の、いくらか酔って潤んだような眼がひどく艶めかしかったからだ。
「いやァ、ぼくのように気弱な男は酔ってないと本音をいえないんですよ」
「お上手ね。いつもそうやって女性を口説いていらっしゃるんじゃありません?」
 女は小首を傾げて揶揄するような口調と顔つきでいった。
 参ったな……と笠倉は苦笑し、応酬した。
「そんなことをいって男をやり込めるんだから、まだ大丈夫ですよ。さ、運命的ともいえる出会いに乾杯しましょう」
「運命的?」
「そう。これだけ空席があるのにあなたと二人掛けの座席で隣り合わせになった。これはもう運命的というほかないですよ」
「少しオーバーだけど、でもほんと、こんなに空いてるのにどうしてかしら」
 笑って不思議そうにいう女に笠倉が缶ビールを開けて渡すと、女は「じゃあいただきます」といって手にした。二人は乾杯の仕種をして缶ビールを飲んだ。
 笠倉は名刺を取り出して差し出した。
「すみません、自己紹介が遅れて。ぼく、笠倉といいます。どうぞよろしく」
「S商事第二営業部係長の、笠倉さん……エリート商社マンなんですね」
「エリートってほどじゃないですよ」
 笠倉は面映ゆそうに笑っていった。
「あなたも名刺をお持ちだったら、いただけませんか?」
 女もバッグの中から名刺を出して笠倉に差し出した。手に取って見ると、『Tエージェンシー制作部 藤崎涼子』とあった。
「へえ、大手広告会社の制作部ですか。クリエイティブな仕事をしてるんですね」
 こんどは藤崎涼子のほうが面映ゆそうな笑みを浮かべた。
 年令は二十六、七か。やや切れ長の目と華やいだ形の唇に男を惑わすような色気がある藤崎涼子の顔とその名刺を見て、笠倉はますます彼女に魅せられた。
 藤崎涼子は、春めいた淡い色の丈の長い上着にミニのタイトスカートという、いかにもキャリアウーマンといった感じのスーツを着ていた。ミニスカートからのぞいた脚がすらりとして、一目でプロポーションのよさもうかがえた。
「さっき新幹線に乗る前に飲んでたっていってたけど、大阪で、ですか?」
「いえ、京都で……」
「春の京都か、いいだろうな……といってもぼくのように出張じゃつまんないけど、涼子さんも仕事で?」
「いえ、一泊だけの旅行で……でも、つまんない旅行なんです」
 涼子は浮かない顔をしていうと、自嘲するような笑みを浮かべて、
「傷心旅行だったんです、付き合っていた人といろいろあって別れて」
「そうか……」
 それで新幹線に乗る前にも酒を飲んでいたのかと思いながら、笠倉はいった。
「あなたのような魅力的な女性を振る男がいるなんて、信じられないね。相手はどんな男性? あ、いや、立ち入った話を聞くつもりはないんだけど、いやなことだったら、胸の中にしまっておくより吐き出してしまったほうがすっきりするんじゃないかと思って」
 涼子自身そういう気になったのか、男との経緯を話した。
 −−男はある一流企業の社員で、涼子と二年ほど付き合っていて、結婚の約束をしていた。ところが重役の娘との結婚話が持ち上がって涼子に対する彼の態度は豹変し、別れ話を持ち出してきた。
 ショックだった。身勝手な彼のことが許せなかった。が、結局は思い悩んだ末に別れることにした、というのだった。
 笠倉は缶ビールを飲み干すと、
「ひどい男だねえ」
 と顔をしかめてつぶやいた。内心驚き、動揺していた。というのも偶然にもその男と笠倉自身が酷似していたからだった。
 笠倉にも、涼子のような女がいた。
 森村真理子という、同じ課の女子社員で、年齢も涼子に似て二十六歳である。笠倉は真理子と結婚の約束をしていた。
 それが去年の暮れ、以前から眼をかけてもらっていた取締役営業部長から娘の里穂との縁談を持ちかけられて見合いをし、その後真理子と別れて重役令嬢の里穂と結婚を前提に付き合いはじめ、この秋には挙式の予定になっているのである。
 女として見た場合も、真理子より里穂のほうが魅力的だった。
 二人の女を比較し自分の将来も考えたうえで笠倉は真理子を捨てたのである。
 そんな真理子のことを思い出さされてチクリと胸の痛みを感じながら、そして真理子にも自分とのことをそう思ってほしい、そのほうが自分も救われると思いながら、笠倉はいった。
「でも、よかったんじゃないかな。そんな男と結婚しなくて」
「そうですね」
 涼子はつぶやくようにいうと缶ビールを飲み干し、笑いかけてきた。
「笠倉さんにいわれたとおり、お話して少しは気持ちがすっきりしました。それにビールをいただいたせいかしら、ごめんなさい、なんだかわたし眠くなっちゃって……」
「精神的にも疲れてたんですよ。どうぞ眠ってください」
「すみません、じゃあ……」
 涼子は座席にもたれ、顔を窓のほうに向けると眼をつむった。
 笠倉は席を立ち、網棚のトレンチコートを下ろして涼子にかけてやった。
「あ、すみません」
 礼をいう涼子に笠倉は笑いかけて席に坐った。
 それにしても妙な偶然があるものだ……。
 笠倉は驚いていた。涼子の話と真理子とのことが酷似していたこともだが、その真理子と二人で京都に旅行したときも、新幹線の中でいまと同じような状態になったからだった。
 もっともそのとき真理子は眠っていたわけではない。笠倉が真理子にコートをかけてその下で悪戯しているうちに二人とも興奮してきて、あろうことかコートを隠れ蓑にしてそのままファックにおよんだのだ。
 窓に映った涼子の寝顔を見ながら、そのときのスリリングなセックスを思い出していると、酒の酔いも手伝って笠倉の股間は充血してきていた。
 笠倉はニンマリしながら思った。
 名刺を交換してここまで話をしていれば、東京に帰って涼子とデートすることもできるだろう。結婚を約束した男に苦い思いをさせられた涼子なら、割り切った付き合いができるはずだ……。
【2】
 ふと眼が醒めた。いつのまにか眠っていたらしい。
 それよりも笠倉は柄にもなく戸惑った。藤崎涼子がぐったりともたれかかってきて、笠倉の肩に顔をもたせかけていたのだ。
 首を伸ばして周りを見まわした。二人がいる席は車両の最後尾で、横の三人掛けの席にも前の二人掛けの席にも乗客はいない。斜め前の三人掛けの席で男が足をこちらに向けて寝ていた。まばらにいる乗客のほとんどは眠っているようだった。
 外を見ると、新幹線はちょうど静岡駅を通過していた。
「ううん」
 涼子が小声を洩らした。笠倉はドキッとした。躯をひねって笠倉のほうを向き、手を太腿にかけてきたのだ。
(ひょっとして彼女、眠ったフリをして誘ってるんじゃないか!? いや、かりにそうじゃなくてもこの状態だ。眼を醒ましたら、彼女の手が俺の股間に伸びてきたので、ついその気になっちゃって、とかなんとかいって冗談めかせば、目くじらたてられることもないんじゃないか!?)
 そう思うと同時に、悪い虫が騒ぎだした。
 笠倉には痴漢趣味がある。朝夕の通勤電車の中でおぼえた、そのスリルと刺戟がミックスした異常な興奮がやみつきになり、成功も失敗もあるがこれまでに数えきれないほどの痴漢行為を体験してきている。
 そのことは婚約者の里穂はもちろん、真理子も含めていままで付き合ってきた女たちや周りの男たちにも内緒だった。
 ただし、一人だけ例外がいる。
 先日、痴漢行為を通じて痴漢プレイにまで発展しているOLを痴漢しているとき、その現場を見て声をかけてきた妙な男がいた。
 男は痴漢に興味があって声をかけてきたらしく、失礼したお詫びにイッパイやりながら話を聞かせてほしいというので笠倉も応じ、その男にだけはそのOLとの経緯やこれまでの経験やテクニックなどを話して聞かせた。
 そのとき笠倉は名前を伏せてイニシャルの「K」と名乗り、男は「H」といった。
 Hに秘密の趣味のことを話したのは、相手が赤の他人だということもあったが、笠倉自身の中に密かに愉しんできたことを吐露したいという気持ちがあったからだった。
 さらにそれを聞いて驚いているHを、笠倉もこれまで経験したことがない三Pの痴漢プレイに誘い、例のOLを相手にHに痴漢体験までさせてやった。
 その際、笠倉よりも年上の、おそらく四十前後だろうHは、はじめての痴漢体験に年甲斐もなく相当興奮したらしく、そんなことをしても無駄だという笠倉の制止を振り切ってOLのあとを追いかけて電車を降りた。
 そのあとどうなったかわからないが、笠倉には結果は目に見えていた。
 かりにHがOLに声をかけたとしても、無視されて逃げられたに決まっている。
 彼女自身痴漢プレイを愉しんではいるが、そして女は外見だけではわからないとはいうものの、笠倉の経験からして、女は胸の中で痴漢を軽蔑しているからだった。
 第一、彼女は痴漢が声をかけて乗ってくるようなタイプには見えなかった。
 それよりも笠倉はHの早まった行動に腹を立てていた。
 笠倉自身、あのOLとはもう少し痴漢プレイを愉しみ、時期を見てホテルに誘ってみようと思っていたのだ。
 それがHの行動しだいで台無しになるかもしれない。それだけならまだしも、痴漢プレイをつづけることもできなくなる可能性さえあるからだった。
 笠倉にとって最大の愉しみは、見ず知らずの女を痴漢することにある。
 そのスリルと刺戟と興奮にある。
 かりにその女と痴漢プレイにまで発展したとしても、顔見知りだが口もきいたことがないまま痴漢するのが愉しみであり、女とホテルにいくのは二の次なのである。
 だから恋人や婚約者がいても痴漢がやめられない。そういう関係の女からは得られない愉しみが痴漢行為にはあるからだった。
 そこまでやみつきになった痴漢の虫が騒ぎだすと、もう笠倉は抑えがきかない。
 ドキドキ、ワクワクしながら、藤崎涼子にかけてやっているコートの下に手を入れていった。
 手が膝に触れた。
 涼子は笠倉の肩に額をつけて眠ったままだ。
 ストッキングの滑らかな感触に乗せて、そろそろと手を膝から太腿に這わせた。
(おッ!)
 驚いたことに涼子はセクシーな下着をつけていた。
 あの痴漢プレイにまで発展しているOLと同じく、パンストではなく、セパレーツのストッキングをガーターベルトで吊っている。
 笠倉の指先は、素肌の太腿とガーターの紐に触れていた。
 顎を引いて笠倉は涼子の顔を見た。
 相変わらず眠ったままだ。
 すぐそばに、思わずキスしたくなる鮮やかな赤い口紅を塗った蠱惑的な形の唇があって、いやでも笠倉は興奮を煽られた。
 その色っぽい顔を見ながら、さらに笠倉は内腿の付け根に向けて手を這わせた。
 指先に、滑らかな布の感触と同時に柔らかい秘肉のふくらみが触れた。
 そっと、指先でパンティラインをなぞってみた。シルクのビキニショーツを穿いているらしい。
 ストッキングをガーターベルトで吊って、そんなビキニショーツを穿いた悩殺的なスタイルの下半身の眺めが眼に浮かび、笠倉のズボンの前はあからさまに突き上がってきた。
(ん!?)
 笠倉はまた驚いた。涼子の内腿の付け根がピクピクふるえている。眠ったフリをしていたのだ。
(ということは、最初から誘っていたのか!?)
 彼女がその気ならもう遠慮することはない。笠倉は大胆になって、ショーツの中心部に指を這わせた。
(もうちょっと眠ったフリをさせて、夜這いみたいな痴漢行為を愉しんでやれ)
 そう思い、ゾクゾクしながら、ショーツ越しにその下のクレバスを、そろそろと指先でなぞった。
 それでも涼子は眼をつむったままだったが、繰りかえし上下になぞっていると、笠倉の手が触れている両の内腿の付け根を痙攣させるようにヒクつかせながら、唇を半開きにして息を乱しはじめた。
 徐々にシルクのショーツがなんとなく湿った感じになって、上下になぞる指先にヌルヌルした感触が生じてきた。
 ショーツの脇から笠倉は指先を滑り込ませた。その瞬間、ドキッとした。すぐそばのドアが開いたのだ。
 横を車掌が通りすぎていく間、笠倉はアベックが抱き合っているような格好で涼子のショーツに手を入れたまま、ジッとしていた。
 そのとき涼子が眼を開けた。明らかに興奮のためとわかる潤みが増した眼で笠倉をなじるように見上げ、
「笠倉さんて、エッチなのね」
 と小声でいい、それでいて行為の継続を催促するように腰をうねらす。
「きみだってそうだ。最初から眠ったフリをして俺を挑発したんだからな」
 そういって笑いかけた笠倉が指先に触れている繁みを撫でると、涼子はふっと艶めかしい笑みを浮かべて、額を笠倉の胸に押しつけてきた。
 もはや合意のうえの痴戯だった。
(それにしてもこの藤倉涼子という女、新幹線の中で隣り合わせた初対面の男を自分から挑発するようなタイプとは思えない。もっとも女は外面だけではわからない。それに、いまの彼女は精神的な箍が外れたような状態だろう。結婚まで約束していた男に捨てられて傷心旅行の帰り、酒の酔いも手伝って、ふと大胆なことをしてみたくなったのかもしれない……)
 ときめく胸の中でそんなことを思いながら笠倉は、こんもりと盛り上がった肉の丘にやや濃密に生えてかすかにザラついた感触があるヘアを撫で、指先をワレメに這わせていった。
 案の定、そこはもうグショ濡れだった。クレバスばかりか薄い唇を想わせる襞までジットリと濡れている。その形状を指先でなぞりながら耳もとで、
「すごい、ビチョビチョだ」
 と囁くと、
「ああッ、いや……」
 涼子はうわずった小声でいい、笠倉の胸に額を押しつけたままかぶりを振る。
「悩ましい下着をつけてるんだな。スカートを上げて見せてよ」
 笠倉はコートをめくった。
「あ、だめ」
「大丈夫、見たらすぐまた隠すから」
 涼子はわずかに腰を浮かすと両手でミニのタイトスカートをずり上げた。
「もっと……」
 笠倉がうながすと、ほとんど腰が露出するまで引き上げた。
 悩殺的なスタイルの下着をつけた下半身があらわになった。白いシルクのビキニショーツにガーターベルト、それに肌色のストッキングという下着が、悩ましく張った腰からすらりと伸びた脚を、よけいに煽情的に見せている。
「ついでにパンティを脱いじゃおう」
 いうなり笠倉がショーツに手をかけてずり下げると、
「そんな……」
 涼子は戸惑ったようにいっただけで拒まなかった。そればかりか自分から腰を浮かしてショーツを下ろしていき、脚から抜き取ってスーツのポケットにしまった。
 笠倉は涼子の膝を両手で開いて股間を覗き込んだ。
「あん、だめ」
 そういいながらも涼子はされるままになっている。笠倉がちらっと顔を見上げると、うろたえたような、それでいてスリリングな状況に興奮を煽られたような顔つきで周りを見ている。
 笠倉はまた、涼子の股間に眼をやった。逆三角形の濃密な繁みの下に、まばらな縮れ毛に縁取られた、濡れた赤褐色の薄い秘唇があらわになり、膝を開いた両脚が小刻みにふるえている。
 片手で秘唇を分けた。そこがパックリと口を開けて濡れ光ったパールピンクのクレバスが露出し、
「ああッ」
 と、涼子がふるえ声を洩らした。
「だめよ、人がくるわ」
 涼子のあわてた声に笠倉は素早くコートをかけた。車両の中程を車内販売係の若い女がワゴンを押してきていた。
 車内販売係が車両から出ていくのを待って、笠倉はふたたび首から下をコートで隠した涼子の股間に手を這わせた。
 涼子は笠倉の胸にもたれかかってきた。ヌルヌルしたクレバスを中指の腹で上下にこすってやると、
「はんッ……あはんッ……」
 悩ましい表情を浮かべて切なげな声を洩らす。
「どう? ん?」
 指の付け根のほうでクリトリスのあたりを、同時に指先でグチョとした膣口をこすりながら笠倉が耳もとで囁くと、
「いいッ、ああん……そんなことしたら、ヘンになっちゃうから、だめン」
 涼子は泣くような小声でいい、興奮しきった顔つきになってきて、うねうねと腰を揺する。
「いいから、どんどんヘンになってごらん」
 けしかけながら笠倉は嬲りつづけた。
 みるみるクリトリスがふくれあがってきたのがわかる。コリッとした感触があった。
 膣口も迫り出してきた。オチョボ口のような肉が盛り上がり、ヌルヌルした中にカズノコを撫でまわしているような感触がある。
 必死に声を殺そうとするからだろう。涼子はすすり泣くような息遣いになって、笠倉の指の挿入を求めるように腰をうねらす。
 笠倉はコートの裾をひろげて自分の下半身にもかけた。コートの下でズボンのチャックを下ろすと涼子の手を取って股間に導いた。
 涼子はすすんで笠倉の股間をまさぐってきた。ブリーフの中に手を入れ、いきり勃ったペニスを握って喘ぎ、ゆるゆるとしごく。
 笠倉のほうは涼子のクレバスをまさぐって、ヌルッと中指を蜜壷に挿し入れた。
 眉根を寄せた涼子が低く呻き、蜜壷がクッと指を締めつけてきた。
 指一本でも吸いつきのいい蜜壷の中をこねてやると、涼子はしゃくりあげるように小声の喘ぎを洩らしながら、たまらなさそうに腰をもじつかせる。
 笠倉も興奮して怒張の先から透明な液を滲ませていた。
 肉棒を握っているだけで、しごくこともできなくなった涼子が、怒張の先をくすぐるようにヌルヌルと撫でまわす。
 涼子の性感が高まって子宮口が下りてきて、笠倉の指先に蜜壷の奥のツルッとした突起が触れた。それをグリングリンとこねてやると、
「ううん……ああッ……ああん……」
 感じ入った声を洩らして狂おしそうな反応を見せる。うねうねと猥りがわしく腰をうねらせて、いまにもイキそうな感じだ。
 笠倉は中指を蜜壷に挿入したまま親指をクリトリスに当てた。リストを効かせて中指を抜き挿しすると同時にクリトリスを親指でこすった。
「ああ、それ、だめッ」
 涼子がふるえをおびた声を洩らした。脅えたような顔にたちまち興奮が浮きたち、ハッ、ハッと切迫した息遣いになって、笠倉の手の動きに合わせて腰を律動させるように揺すりはじめた。
「だめッ、ああ、イクッ、イッちゃう!」
 抑えた泣き声で息せききっていうなり両脚を伸ばし躯を突っ張るようにしてのけぞる。クーッと蜜壷が笠倉の指を締めつけてピクピク痙攣したかと思うと、腰をガクガク揺さぶった。
「ああ、もうだめ……」
 しがみついてきた。その耳もとで笠倉は囁いた。
「俺が見張ってるから、こんどは俺のをしゃぶってよ」
 同じ状況で真理子にもさせなかった大胆な行為を求めると、さすがに涼子は驚き、戸惑ったような表情を見せた。
 しかし、いやがらなかった。笠倉の股間に屈み込み、ブリーフを下げて怒張を取り出すとすっぽりと咥え、顔を振ってしごきだした。
 それだけではない。手で肉棒をしごきながら先端部分に舌をじゃれつかせたり、指先で袋の部分をくすぐりながら肉棒全体を舐めまわしたりする。
 周りと股間を交互に見ている笠倉もたまらなくなってきて、涼子を起こした。
「我慢できなくなったよ。ここでやっちゃおう」
「こんなとこで!?」
 驚いたようにいう涼子だが、いやがっている様子はない。フェラチオしているうちにまた興奮してきた感じの顔つきといい、妖しく潤んだ眼といい、むしろスリルを期待しているようなそれだった。
 笠倉は真理子と新幹線の座席でファックしたときと同じように涼子に後ろを向かせた。窓のほうを向いて上体を座席の背にもたれさせた格好にして尻を突き出させた。そして、コートを横にして二人の下半身にかけた。
「大丈夫? わからない?」
 涼子が不安と期待が入り交じったような顔つきで笠倉を振りかえる。
「平気だよ。人がきたら眠ってるフリをしてればいい」
 笠倉は片手でコートを持ち上げた。タイトスカートが腰の上までずり上がって涼子の尻は剥き出しだ。むちっとした絖白い双丘に白いガーターベルトのストラップが走っている眺めが欲情を煽った。
「もっと尻を突き出して……」
 一方の手に持った怒張を双丘の谷間に押しつけていうと、涼子は小さく喘ぎ、座席の間の肘掛けの位置から笠倉のほうにハミ出すほどグッと尻を突き出してきた。
 尻の割れ目から、まばらな縮れ毛に縁取られた、薄い唇が合わさったような秘苑がのぞいた。
 笠倉は怒張の先でそこをまさぐった。ヌルヌルしてクチュクチュという音がした。
「ああッ……」
 涼子が尻をもじつかせる。肉棒でクリトリスをこすり膣口をこねる笠倉に挿入を催促するような腰つきだ。
 ヌルッと笠倉は押し入った。
 涼子は低く呻き、座席の背にもたせかけた顔をのけぞらせた。
 ゆっくりと笠倉は抜き挿しした。
 背面側位の態勢だが不自由な格好のために深々と貫くことはできない。蜜壷の中程までのピストン運動になる。そのぶんカリの部分で蜜壷の入口の括約筋を集中的にこすって弾く感じになって、それが逆にたまらない快感を生む……。
 真理子のときはその感覚ともどかしさがたまらないというようなことをいっていたが、涼子もそうらしい。
「あッ……うッ……」
 弾む息に交じってそんな感じを訴えるような声を洩らす。
「どう? いい?」
 腰を律動させながら笠倉が耳もとで囁くと、ウンウンうなずく。
 笠倉は眼だけ周囲に配りながら、片手を涼子の胸に這わせた。ブラウスの中程のボタンを一つ外して手を入れ、ブラの中に滑り込ませた。
 掌にあまるボリュームをたたえた乳房を揉み、指先で乳首をこねてやると、
「ああ、いいッ! もうだめッ、もうイッちゃいそう……」
 涼子は息を弾ませていい、自分から腰を揺すりはじめた。
「オマ×コいい?」
 笠倉が露骨な聞き方をすると、興奮しきった顔つきで、またウンウンうなずく。
「そういってごらん」
 けしかけると、ますます興奮の度が強まった顔つきになって、
「ああッ、オマ×コいいッ」
 そのまま猥褻な言葉で快感を訴える。
「ああ笠倉さん、ね、笠倉さんもイッて、いっしょに……」
 すがるようにいう涼子に笠倉もその気になってきた。発射を合図した。
「イクッ、イクッ」
 小声で泣く涼子の中にビュッ、ビュッと快感液を迸らせた。
 
【3】
 出張から帰って二日目、笠倉は藤崎涼子をデートに誘ってみようと思った。
 あのあとホテルにいってもっとゆっくり愉しみたいと思って涼子を誘ったのだが、「今日は帰ります」といわれて東京駅で別れたのである。
 涼子にしてみれば新幹線の中でたまたま隣り合わせた男とファックまでしたものの、冷静になって急に恥ずかしくなったのだろう。
 何もいまここで無理強いすることはない。
 そう思って笠倉も引き止めなかったのだが、翌日すぐデートに誘ったのではいかにもガツガツした印象を与えると思い、中一日おいてそうしようと考えていたのだった。
 ところがその矢先、涼子のほうから笠倉に電話がかかってきた。
 まるで笠倉の気持ちが通じたように「会いたい」という。それも待ち合わせの場所をホテルのバーに指定してきた。
 退社後、笠倉は胸をときめかせながら指定されたホテルのバーにいった。
 すでに涼子はきていた。入口のほうを向いて隅のテーブル席に坐り、カクテルを飲んでいた。
「やあ、お待たせ……」
 笠倉が笑いかけ向き合って椅子に腰かけると、涼子はぎごちない笑みをかえした。ウエイターがきて、笠倉はウイスキーの水割りを注文した。
「今夜は帰さないよ」
 笠倉が思わせぶりにいうと、涼子はちらっと睨むように見て、バッグからなにやら取り出した。テープレコーダーだった。
「これ、聴いてください」
 ぶっきらぼうな口調で涼子はいって、すでにテープレコーダーに差し込んであったイヤホンを笠倉に差し出した。
 怪訝な顔をして笠倉がイヤホンを耳にはめると、涼子はテープレコーダーの再生ボタンを押した。
 ゴーッという音に交じって「失礼」という男の声が聴こえた。
「!…………」
 笠倉は驚愕して涼子を見た。平然として涼子はテープを早送りし、また再生ボタンを押した。こんどは女の、すすり泣くような息遣いが聴こえてきた。
 そのときウエイターが水割りを持ってきた。笠倉の耳に彼の名前を呼びながら絶頂を求める涼子の声が生々しく響いていた。
 笠倉はイヤホンを毟り取るようにして外した。ウエイターが席を離れると水割りを一口飲み、気負い込んでいった。
「こんなテープを録って、一体どういうつもりなんだ!?」
「あなたに買っていただきたいの」
 涼子は笠倉から視線を外し、笑みを浮かべていった。
 後ろを振り向いた笠倉は、ギョッとした。
 二人の女が立っていた。一人は森村真理子で、もう一人は知らない女だった。
 真理子が笠倉の横に坐り、見知らぬ女が涼子の隣りに腰かけると、涼子とその女が笠倉に向かって話しはじめた。
 真理子を見たときから笠倉は悪い予感がしていた。それがみごとに的中した。
 二人の女がいうには、女たち三人は親友で、真理子が笠倉の都合で捨てられたことにほかの二人も憤っていた。
 そんなとき笠倉が出張するために女子社員に新幹線の切符の手配を頼んだ。それを見ていた真理子は、その女子社員に代わって自分が切符を買いにいき、帰りの新幹線の切符だけ二人掛けの隣り合わせの座席指定券を買い求めた。
 そのとき真理子自身はこの計画を考えていたわけではなかった。二人きりで会ってくれない笠倉と、もういちどよく話し合いたいと思ってのことだった。
 が、親友の二人から、そんなことをしても無駄だ、それどころかますますミジメな思いをするだけだとたしなめられ、三人で話しているうちにせめて笠倉を懲らしめてやろうということになった。
 そこで男関係にかけては三人のうちで一番発展家の「藤崎涼子」を名乗った女−−驚いたことにホンモノの藤崎涼子は真理子と現われた笠倉の見知らぬ女のほうで、新幹線でファックした涼子は笠倉とそういうことがあったからといって正体を明かさなかった−−が笠倉に罠を仕掛けることにした、というのだった。
「それでこのテープ、真理子への慰謝料ということで、百万円で買っていただきたいの」
「真理子を振って重役令嬢と結婚する笠倉さんにしてみれば安いものじゃありません?」
 正体不明の女とホンモノの藤崎涼子が勝ち誇ったようにいった。
 笠倉は遣り場のない怒りで躯がふるえそうになりながら、だがかえす言葉もなく、一気に水割りを飲み干すと、
「わかったよ!」
 憤然として吐き捨て、蹴るようにして席を立った。
「ふふ、でもあのときはすごくスリリングで興奮しちゃったわ」
 笠倉の背中で正体不明の女が艶めかしい声でいった。
 
【4】
 ベッドのヘッドにもたれて両脚を投げ出した格好で、笠倉はウイスキーの水割りを飲んでいた。
 三人の女たちに仕掛けられた罠にまんまとはまってしまって、さっきまでは胸が煮えくりかえっていたが、水割りを飲みながら考えているうちにようやく冷静さを取りもどしてきていた。
 百万円という支出は痛いが身から出た錆でもあった。それで真理子との関係がきちんと清算できれば、よしとしなければいけないのかもしれない。こういうことになるまでは真理子にはいい思いをさせてもらったし、罠とはいってもあの藤崎涼子を騙った女にもスリリングな情事を愉しませてもらったのだから。
 それにしても藤崎涼子を騙った女の気持ちがわからない。
(俺には里穂と婚約しているという弱みがある。慰謝料を請求するだけなら、なにも誘惑してセックスまですることはないはずだ。もっともあの女、男関係にかけては三人の中でも一番発展家だといっていたが、相当の遊び人で、その前に真理子から新幹線の中でした俺とのセックスのことを聞いて興味以上のものをそそられていたのかもしれない。そして真理子は、あの女から俺を罠をかけることを持ちかけられ、親友が俺とセックスすることで、俺との関係にきっぱりカタをつけるために同意したということも考えられる……)
 そんなことを想いながら笠倉はナイトテーブルの上の時計を見、電話に眼をやった。
 そろそろ十時だった。
(今夜もかかってくるかな……)
 その妙な電話がかかってきたのは、出張にいく前の晩だった。
 そのとき笠倉は里穂からだろうと思って電話に出た。すると、
「あの、お願いがあるんですけど、少しの間、話相手になっていただけません?」
 と、明らかに里穂とはちがう女の声が妙なことをいった。
 面食らいながら、どこの誰で、どういうことなのか聞くと、
「どこの誰かってことは、おたがいに内緒ってことにしてお話したいの。だって、恥ずかしいお話なんですもの」
 女は思わせぶりにいった。
 そして、思いつくままプッシュフォンのボタンを押したら男の人が出たのでこんなことを話している、というようなことをいった。
 そんな暇はなかったが、女がいった「恥ずかしいお話」ということに笠倉は興味をそそられた。というよりそのときはもう女の電話の目的がわかって、ちょっとドギマギしながらも胸がときめいていた。それだけ話している間にも女の息遣いが乱れてきていたからだった。
 案の定、女はテレフォンセックスを求めてきた。
 それまで笠倉はテレフォンセックスの経験はなかった。聞いてみると、想ったとおり女はオナニーしながら電話をかけているのだといった。
 ただ、胸はときめいたものの、さすがに笠倉はためらった。
「思いつくままプッシュフォンのボタンを押した」という女の言葉が本当であれば、見ず知らずの他人同士だからテレフォンセックスに応じてもどうということはないが、もし見知っている誰かのいたずらやからかいだとしたら、赤っ恥をかくことになる。
 だが、女の切なげな息遣いと「わたし恥ずかしい願望があるの」という言葉にますます胸がときめき、興味をそそられて、笠倉はテレフォンセックスに応じた。
 女の「恥ずかしい願望」というのは、マゾヒスティックな願望だった。恥ずかしい格好に拘束されて卑猥なことをいわれて責め嬲られたりヒップを鞭打たれたりすることを想像するだけで濡れてきて、躯がうずいてたまらなくなるのだという。
 笠倉はSMプレイの経験はないが、まったく興味がないというわけでもなかった。かるいプレイならチャンスがあればやってみたい、という願望はあった。
 とはいえ経験がない笠倉には、女にテレフォンSMプレイを求められてもどうしていいかわからない。
 正直にそういうと、女は自分からどんな状態に拘束されているか−−大股開きの格好だった−−を説明し、卑猥な言葉を浴びせてオナニーを命令してほしいといった。
 笠倉がそのシーンを想像しながらそのとおりにすると、女は恥ずかしがりながら演技とは思えないほど興奮して艶めかしい声を洩らしはじめた。
 状況そのものは芝居がかっていたが、女の生々しい声を聞いているうちに笠倉も興奮を煽られてズボンの前をふくらませ、いつのまにかプレイに引き込まれて女を誘導し猥褻な言葉を口走らせたりしていた。
 そして女がクライマックスを迎えたとき、ブリーフをカウパー氏腺液でベットリ濡らしていた。
 出張中、笠倉は留守番電話をセットしておいた。
 帰ってきて確かめてみると、留守録は一本も入っていなかった。だから女とのテレフォンSMプレイはそれで終わったものと思っていた。
 ところが昨夜、また十時きっかりに女から電話がかかってきた。
 思いつくままプッシュフォンのボタンを押したといっていたのにどうして電話番号がわかったのか、そのとき笠倉は不審に思って女に聞いた。
 すると女は、最初に電話をかけてきたとき電話番号をメモしていたのだといった。
 その二度目のとき、相手のイメージが湧かないと呼びかけにくいので笠倉がいろいろ聞くと、女はそれに対してつぎのように答えた。
 おそらく偽名だろうが、名前はリサ。年齢と職業は、二十五歳のOL。顔は、ときどきタレントの中山美穂に似てるといわれるのだそうだ。ボディサイズは、身長百六十、バスト八十四、ウエスト五十九、ヒップ八十六。
 笠倉は驚いた。婚約者の里穂はOLをやめて花嫁修行中だが、名前の読みも一字ちがいだけで、あとは偶然にも里穂にそっくり同じだったからである。
 リサに聞かれて笠倉も自分のことを話した。
「顔は勝手に想像してくれ」といい、山倉という偽名を名乗り、三十二歳のサラリーマンで独身、ということだけは本当のことをいった。
 笠倉の名前はリサに知られていなかった。電話に出るとき笠倉はすぐに名前を名乗らず、「はい」と応答する。これまでの女関係があまりまっとうなものではなかったので、そういう癖がついたのである。それがこのときは幸いしていた。
 そしてその夜、二度目のテレフォンSMプレイをしていると、笠倉は頭の中でリサと里穂がダブり、生々しい想像をかきたてられて先日の夜以上に興奮を煽られたのだった。
 すでに里穂とは肉体関係がある。
 週に二回−−週の真ん中の水曜日と週末−−笠倉の部屋で逢うことにしている。ただ、今週は笠倉の出張で水曜日は逢えなかった。
 明日の土曜日は一週間ぶりに里穂を抱くことができる……。
 そう思って里穂の素晴らしいプロポーションをした裸身を想い浮かべた笠倉だが、いつものように胸がときめいてこなかった。
 平静になって真理子とのことは金でカタをつけようという気持ちになったものの、今夜の今夜である。打算に走った自分のことは棚に上げて、女という人種が信じられない気持ちが強まり、電話の女のことがひっかかっていたからだった。
 そのとき電話が鳴った。今夜も十時きっかりにかかってきた。
 一瞬身構える感じになって笠倉は受話器を取り上げ、「はい」といって電話に出た。
「山倉さん?」
 リサの声が聞いてきた。
「ああ……」
「どうしたの? なんだか元気がないみたいだけど」
「ちょっといやなことがあってね、多少気が滅入ってるんだ」
「お仕事のことで? それとも女性関係?」
「ん? まァそれはもういいんだ。それより今日はどんな格好をしてるんだ?」
「いまお風呂から出たところ。バスローブを着てるわ」
「その下はスッポンポンか?」
「そう、なにもつけてないの」
 リサの思わせぶりな声を聴いて笠倉はムラムラしてきた。今夜女たちから味合わされた苦い思いがサディスティックな欲情になった。
「じゃあバスローブなんか脱いじゃえよ」
「やだァ、いきなり裸にしてどうするつもり?」
 リサは艶めかしい声をあげた。
「今日はどうされたいんだ? リクエストがあるんだろ?」
「あるけど、でもわたしだけじゃなくて、山倉さんからもいって。山倉さんだって、いろいろしたいことあるんでしょ?」
「それはまァ……だけど、リサのほうがSMは詳しいからな、後学のために聞いておこうと思って……」
「ていうことは誰かに、わたしがいってるみたいなことをしようと思ってるわけ?……山倉さん、本当は恋人とかいるんじゃない?」
「そんなものはいないさ。できればの話だ」
「それでもわたし、そんなのいやだわ」
「いやって?」
「山倉さんが誰かとそんなことするの」
「だったら、リサが会ってくれよ」
「わたしだって会いたいわ。でもいったでしょ、こんな恥ずかしいこと話してしまったから会えないって」
 昨夜リサに聞かれて笠倉は恋人はいないといった。そして笠倉が会いたいというと、リサはそういったのである。
 里穂に似ていれば、リサも人並み以上の魅力の持主で、笠倉の好みのタイプのはずだ。それだけに会ってみたい、そして電話でリサから聞いたようなプレイを体験してみたい、という笠倉の思いはつのっていた。
 笠倉の中には、里穂にそういうプレイを求めた場合、変態と思われて嫌悪されるのではないかと危惧する気持ちがあった。
 そのためにますますリサに会いたいと思うのだ。
 そんな笠倉の気持ちをよそに、今夜もリサは刺戟的なプレイを提案してきた。
「それにしてもよく、そんなプレイを思いつくもんだな。願望だなんていいながら、本当は実際にそういうプレイを経験したことがあるんじゃないのか?」
 驚くと同時に興奮ぎみに笠倉がいうと、
「本当のことをいうと、前に友だちから聞かされたの」
 とリサはいった。
「彼女、SMのS趣味がある彼氏と付き合ってて、彼からされたことをわたしにいろいろ話すの。『わたし、彼にすっかりマゾに調教されちゃって、もうノーマルなセックスだと満足できないわ』なんていいながら。それを聞かされてるうちにわたしもだんだん感化されちゃって、それで……」
「へえ。じゃあその彼女、まだ彼と付き合ってるんだ?」
「もう別れたわ。彼、妻子持ちだし、海外赴任しちゃったから。それで彼女、いま恋人がいるんだけど、その彼はノーマルな人だから物足りないんですって。といって彼女のほうから『いじめて』なんていえないし、わたしに『どうしたらいい?』なんていってるの」
「だろうな、そこまでいっちゃうと」
「支度できたわ。下着をつけて目隠しして、縛ったのは足だけだけど」
 リサがいった。笠倉は刺戟的なシーンを想像した。
 −−目隠しをして、黒いガーターベルトとストッキングをつけただけのプロポーションのいい裸身がベッドに仰向けに寝、脚を開いて拘束されている。
 リサがいったのは、その格好で大の字に縛られて嬲られる、というプレイだった。
 もっともテレフォンプレイだから片手には電話を持ち、一方の手は笠倉がいうことを代行しなければならないので、両手は自由な状態にある。
「目隠しをしてると、どこを触られるかわからないからすごく過敏になっちゃうんですって」
 とリサはそのプレイを持ちかけてきたときいっていた。
 笠倉はまず、乳房から攻めた。電話だからどこを触っているというしか手がなく、「ほう、いいオッパイじゃないか」といったのだが、それでもリサはそのシチュエーションにハマっていたのだろう。笠倉が言葉で乳房を揉んでやると、自分でそうしているらしいリサは早くも感じた声を洩らしはじめた。
 
【5】
 土曜日の午後、笠倉がシャワーを浴びてビールを飲んでいると、里穂がやってきた。
 ボディコンのニットのワンピースを着ていた。プロポーションのいい里穂によく似合って、セクシーだった。
「ビール飲むかい?」
「ええ、いただくわ」
 笠倉は冷蔵庫から缶ビールを取り出してグラスに注ぎ、ソファに坐っている里穂に持ってきてやった。自分が飲んでいた缶のままのビールを持ち上げて乾杯をうながすと、里穂もグラスを持ち上げてニッコリ微笑み、一気に半分ほど飲んだ。
 里穂がグラスをテーブルの上に置くのを待って、笠倉は抱き寄せた。キスして舌を滑り込ませ里穂の舌を絡め取ると、せつなげな鼻声を洩らして里穂も切舌を絡めてきた。
 濃厚なキスを交わしながら笠倉は里穂の太腿の間に手を這わせた。
「ううん……」
 甘い鼻声を洩らして里穂は腰をもじつかせた。
「一週間ぶりだよ。早く里穂がほしい……」
 いいながら笠倉はいい匂いがする艶のあるロングヘアを顔で後ろに押しやり、首筋から耳に唇と舌を這わせた。
 里穂はくすぐったそうに首をすくめて身悶える。小さなダイヤモンドのピアスをした耳朶を笠倉が甘噛みして耳の中に舌を滑り込ませると、
「あんッ、だめェ」
 感じやすい里穂はふるえ声を洩らして笠倉にしがみつき、のけぞった。
 その間に内腿の奥に手を這わせた笠倉はハッとした。
「今日はまた、どうしたんだ!?」
 驚いて里穂を見ると、
「だって一週間ぶりだし、わたしも少しは秀彦さんのストレスを解消してあげたいと思って……」
 艶めかしい笑みを浮かべていう。
 笠倉のフルネームは笠倉秀彦といい、笠倉のプロポーズを受け入れてから里穂は、それまでの「笠倉さん」から「秀彦さん」と呼ぶようになっている。
 笠倉は胸が高鳴っていた。昨夜のリサとのテレフォンプレイを思い出しながら、
「さすがは俺が妻と見込んだ里穂だ。さ、早く脱いで見せてくれよ」
 気負い込んでいって里穂を立たせ、ニットのワンピースを持ち上げようとすると、
「でも、恥ずかしいわ」
 そういって羞じらいながらも里穂は自分でワンピースをたくし上げていく。
 タートルネックのセーターを脱ぐようにしてワンピースを脱ぐと、それといっしょに持ち上がってふわりと肩に落ちてきたロングヘアを顔を振って後ろに払い、恥ずかしそうに顔をそむけた。
 その下着姿を見て、笠倉は眼を見張った。
 里穂が身につけているのは、すべて黒のブラにビキニショーツ、それにガーターベルトとストッキングだ。しかもすべてレースの豪華な下着で、ストッキングの上の部分も十センチほどレースになっている。
 そして、その悩殺的なスタイルの黒い下着が、肌目の細かい絖白い肌をした完璧といっていいプロポーションの裸身を、思わず息を呑むほど悩ましく煽情的に見せている。
「素晴らしいよ里穂、最高だ!」
 興奮していいながら笠倉も手早く服を脱いだ。ブリーフの前は早くも露骨にテントを張っていた。
 笠倉は立っている里穂の周りをゆっくりとまわって見た。
 きれいなS字曲線を描いた、ウエストのくびれからいやらしいほどムチッとして、だが形よく盛り上がったヒップのラインが、黒いレースのガーターベルトやビキニショーツで、よけいに煽情的に見える。
「ああん、そんなに見ちゃあいやァ、恥ずかしいわ」
 里穂はたまらなさそうにいって裸身をくねらせた。
「恥ずかしがることなんかないさ。ほんと、最高に素晴らしいよ。見てるだけで、ほら、もうこんなになっちゃって……」
 笠倉は里穂を後ろから抱いてブリーフの前の盛り上がりをヒップに押しつけ、両手でブラの上から乳房を揉んだ。
「あん、ああ……」
 感じた喘ぎ声を洩らして里穂は腰をくねらせる。ヒップを笠倉の怒張にこすりつけて挑発する感じだ。
 笠倉はブラを外した。そして、やや上向きに反った形もボリュームも申し分ない乳房を両手で揉み、指先で乳首をくすぐりながら、里穂の耳もとで囁いた。
「せっかく里穂がこんな悩ましい下着をつけてるんだから、今日はちょっと刺戟的なことをしてみようか?」
「刺戟的なこと、って?」
 のけぞって身悶えながら里穂がうわずった声で聞く。笠倉は思いきっていった。
「里穂を恥ずかしい格好に縛っちゃうというのはどう?」
「そんな……それってSM?」
「それほど大袈裟なもんじゃない、ソフトSMだよ。里穂が恥ずかしいっていうなら目隠しをしてもいい。それならいいだろ?」
「だって、いいなんて、わたしからいえないわ。でも秀彦さんがそうしたいというのだったら……」
 俯いてそういうのを見て笠倉は快哉の声をあげ、里穂をベッドに連れていった。
 
【6】
 缶ビールを持って寝室にもどってきた笠倉は、ベッドに仰臥している里穂の足の側に椅子を置いて腰かけた。
 両脚を開いて拘束したとき、「いやァ、だめェ」と羞恥に炙りたてられるような声をあげて激しく身悶えた里穂だが、いまはおとなしくしている。両脚の小刻みなふるえも止まっていた。
「さて、ビールを飲みながら、里穂のいい眺めを観賞するか」
「いやッ、見ちゃいやァ」
 顔をそむけたまま里穂は恥ずかしそうに裸身をくねらせた。
 ネクタイで目隠しされ、紐で両手両足を大の字の形にベッドに括りつけられている里穂が身につけているのは、ガーターベルトにストッキングだけだ。
 仰向けに寝ていても形のいいふくらみを保っている乳房はもちろん、股間の眺めまであからさまになっている。
 笠倉はその裸身を舐めるように見て視姦した。
 里穂とはすでになんどか寝て、ほぼ躯の特長も知っている。だがこの躯を、こうやって観賞物のようにして見たことはこれまでなかった。
 こうして一方的に視姦していると、はじめて見る裸のように思えた。そういう気持ちにさせられるほど、里穂の躯が新鮮かつ刺戟的に見えた。
 きれいに処理されて腋毛のあともわからない滑らかな腋窩。やや反りぎみにみずみずしく張った乳房。その頂の、ふっくらと盛り上がった淡紅色の乳暈から突き出した乳首。糸を引いたようなチャーミングな臍。太腿にほどよく肉がついて膝から下は細く引き締まった脚……。
 そして、全身を這う笠倉の視線が繰りかえしそこに止まって一段と熱をおびるのは、やはり股間の生々しい眺めだ。
 下腹部のこんもりと盛り上がった丘を飾っているヘアはそれほど濃くも、かといって薄くもない。その下に里穂の唇の形と似た薄い淡紅色の秘唇がパックリと口を開けて、白っぽいピンク色のクレバスをのぞかせている。
 秘唇の周りにも、まばらにだがヘアが生えている。その様子が秘苑全体の眺めを淫猥な感じに見せている。
 怒張と化したペニスがうずくほど、笠倉は興奮していた。
 視姦されて里穂も相当感じているのだろう。拘束したときからすでに濡れていたクレバスがますます光ってきている。
 いや、それだけではない。よく見ると、クレバスの赤貝に似た部分が喘ぐような収縮を繰りかえし、そのたびにジュクッという感じで透明な蜜を吐き出して、クレバスの下の窪みに溜まった蜜がそこからあふれ、とろとろと会陰部に流れ落ちはじめている。
 笠倉は眼を見張ったまま、思った。昨夜のリサもこんな状態だったのだろう。蜜壷に指を入れて抜き差しさせながら受話器をそこに近づけさせると、クチュクチュという生々しい音が聴こえてきた。
 笠倉は驚いた。そのとき里穂がハァハァという荒い息遣いになって、さもたまらなさそうに腰をうねうねと波打たせだしたからだ。
 顔に眼をやると、鮮やかな赤い口紅を塗ったセクシーな形の唇を半開きにして息を弾ませ、乳房を大きく上下させている。
「ううん、だめェ……意地悪ゥ、見てるだけなんていやァ」
 猥りがわしい腰つきに眼を奪われていた笠倉は里穂の声で我にかえった。焦れてすねた言い方だが、ひどく艶めかしい声だった。
 笠倉はベッドに上がり、両手で乳房を愛撫した。
 テレフォンプレイのときリサがいっていたように、それが目隠しをしている里穂には意表を突かれた感じで、そのぶん過敏に感じてしまうのだろう。躯をビクッとさせて、笠倉の愛撫に�兇辰甚辰�声を洩らす。
 里穂の反応に気をよくすると同時に興奮を煽られた笠倉は、両手と口を使って里穂の全身を愛撫しキスの雨を降らせていった。
 それも意表を突いて上半身からいきなり下半身を攻めたりする。そのたびに里穂は驚いたような声をあげて躯をヒクつかせ、いままでになく過敏に反応して、感じ入った喘ぎ声を洩らしながら狂おしそうに身悶える。
 笠倉は秘苑に口をつけた。
「あッ!……だめェ」
 ビクンと里穂の腰が跳ね、躯が弾かれたように反りかえった。
 ふくれあがった鋭敏な蕾を舌で転がしてやると、早くもイキそうな感泣を洩らして腰をうねらす。
「ああんッ、そこ、噛んでェ」
 こんどは笠倉が弾かれたように顔を上げた。まちがいなく、里穂はそういった。
「ああッ、クリトリス、噛んで……」
 淫らに腰を揺すりながら、またいう。
 里穂がそんなことをいったのははじめてのことだった。驚きながらも笠倉はますます興奮を煽られ、クリトリスに口をつけて歯を唇でくるむようにして、かるく噛んだ。
「あんッ、い、いいッ、もっと、強くゥ……」
 �兇辰神爾任い錣譴襪泙沺�直接歯を当て、強めに噛んだ。
「あうッ、いい〜ん……ああッ、イクッ、イクイクッ!」
 ふるえをおびた感じ入った声と同時に里穂の躯が四肢を突っ張るようにして大きく反っり、絶頂の痙攣を湧きたてた。
「うう〜ん、いい、たまんない……」
 絶頂感に酔ったようにいいながら裸身を悶えくねらす里穂を見て、笠倉は別人の里穂を前にしているような気持ちに襲われた。笠倉自身、異常なほど興奮もしていた。
 いきり勃っている肉棒を、里穂の口に突きつけた。
 里穂はじゃれるように舌を絡めてきた。そうやって肉棒の先から根元まで舐めまわし、咥えると、切なげな鼻声を洩らして顔を振ってしごく。
 フェラチオさせながら笠倉は、里穂の右手を縛っている紐をほどき、その手を持って里穂の下腹部に導いた。
「ほら里穂、おしゃぶりしながら自分でオナッてごらん」
 リサとテレフォンプレイしているときと同じようなことをいうと、
「そんな、恥ずかしい……」
 そういいながらも目隠しで羞恥心が軽減されているからか、里穂はみずから中指をクレバスに這わせて愛撫しはじめた。
 笠倉が自分でもわかるほど欲情しきった顔つきで見ていると、中指の付け根でふくれあがったクリトリスをこすりながら、同時に指先で膣口をこねている。
「ああん、いいッ……ああッ、またイッちゃいそう……」
 感泣しながら、うねうねと腰を淫らに上下させる。
 それを見ている笠倉のほうもたまらなくなり、里穂の手を押しのけると肉棒でクレバスにこすりたてた。
「里穂、どこがいいんだ?」
「そこッ、ああ、だめッ……ああん、秀彦さん、もうきてッ、ちょうだい!」
「だめだ。ちゃんとなにをどこにどうしてほしいのか、いやらしい言葉でいってみろ。いうまでこれはお預けだ」
 いままでならそんなことは里穂だけには照れ臭くていえなかったが、里穂が目隠ししているのと笠倉自身サディスティックな気分になっていたためにすんなり口を突いて出た。
「ああッ、なんていえばいいの? 秀彦さん教えてェ」
 焦れるように腰を振りながら里穂は甘えた声でいう。笠倉は里穂の耳もとでそのものズバリの言葉を囁いた。
「そんなァ、そんな恥ずかしいこといえない……」
 里穂はかぶりを振った。
「じゃあこれはお預けだ。里穂が素直にならないなら、俺も我慢するよ」
 そういいながら、なおも笠倉はふくれあがったクリトリスをこすり膣口をこねて、生々しい卑猥な音を響かせる。
「ああん、だめェ……入れてン、ああッ、秀彦さんのチ×ポ、里穂のオ、オマ×コに入れてェ」
 里穂はたまりかねたように身悶えながら、そのものズバリの猥褻な言葉で求めた。焦れったそうでいて興奮した感じの感泣するような声で。
 いままではセックスのさなか笠倉が聞いても恥ずかしがっていわなかった四文字言葉ばかりか、そんなあからさまな言葉を口にした里穂に、笠倉もゾクゾクする興奮をかきたてられて、それをぶつけるように里穂の中に突き入った。
 その瞬間感じ入った呻き声を発してのけぞった里穂は、それだけで達したようだった。 そのまま笠倉が左手を縛った紐と目隠しのネクタイを解くと、
「ああ秀彦さん、好きッ!」
 �兇辰神爾鬚△欧討靴�みついてきた。
 笠倉は激しく突きたてた。里穂も夢中になって笠倉の動きに合わせて腰を律動させてよがり泣きしはじめた。
 これまで里穂にどの程度の男関係があったのか笠倉は知らない。これだけ魅力的な女だから、二十五歳になるまでにはそれなりに男との関係はあったにちがいない。
 笠倉自身、三十二歳まで独身できた男なら当然あってしかるべき女との関係ばかりか、里穂にはもちろん人にはいえない痴漢趣味まである。
 だからというのではないが、そしてそんなことはどうにでも言い繕うことはできたが、里穂のこれまでの男関係について聞いたことも、あえて聞こうと思ったこともない。過去は関係ないというより知らないほうがいいと思っていた。
 実際、里穂の蜜壷はそれなりの経験を感じさせるものがあった。といって味わいに遜色があるわけではない。それどころか逆だった。
 いまも笠倉が抜き挿ししているそこはほどよくこなれ、肉棒にからみつき吸いついてくる感じも申し分なく、柔らかい手でしごかれているような快美感がある。
 刺戟的なプレイのあとだからだろうか、今夜は蜜壷がいつもに増して肉棒にまとわりついてくる感じがあって、くすぐりたてられるような快感をかきたてられる。
 蜜壷だけでなく里穂自身も、いつも以上に快感があるようだ。快感に酔いしれた表情といい、もともといい声のよがり泣きといい、これまでにない興奮が感じられる。
「いいッ、ああん、いいッ……」
 よがり泣く里穂に笠倉はどこがいいのか聞いた。すると里穂はためらいなく四文字言葉を口にして、ますます興奮し絶頂を訴えはじめた。
 笠倉もそろそろ限界だった。
「イクよ!」
 と発射を告げ、こらえを解き放って肉棒を叩き込んでいった。



【第三章 貪婪な満員電車】


【1】
 待ち合わせ場所のレストランバーに十五分ほど早くきてしまった。週明けの月曜日のせいか、店内は比較的空いていた。
 ウエイターにあとのオーダーは連れがきてからするといって、花井美貴はビールを飲んでいた。
 テーブルに両肘をつき、ぼんやりとして、グラスを口に運びながら思った。
(こんなことをしてたら、親友を裏切っちゃうことになるかもしれない。でも、もしもそうなったとしても仕方ないのかも。だって彼女にも責任があるんだから……)
 思わず美貴はふっと自嘲の笑みをこぼした。
(また責任なんていってる。なんだか知らないけど、わたしってどうしてこんなに責任って言葉と縁があるのかしら。課長にもそうだし、隆志のときだって……)
 そう思ったとき、三カ月前のあの日のことがまざまざと脳裏に浮かんできた。
 
 その夜、隆志から電話がかかって、翌日のデートの待ち合わせ場所と時間をいってきた。独り暮らしをしているマンションの部屋でその電話を受けた美貴は、
「午後七時ジャスト。T駅のホームで……」
 そう聞いたたけで隆志の魂胆がわかって胸がときめいた。
 そればかりか、そのあとの隆志の、命令といっていい言葉を聞いたとたん、カッと躯が熱くなった。
 隆志は美貴より一つ年下の二十四歳。独身で、広告代理店に勤務していた。あるパーティで出会い、それからおたがいに恋愛感情を抱いて男と女の関係になった。
 恋愛感情のボルテージは当初、美貴よりも隆志のほうが高かった。
 美貴はそれまでもけっこう男にモテた。よく「男好きのする顔だ」といわれ、プロポーションにも恵まれていて、自分でも自信を持っていた。
 そのうえ女がもっとも美しく成熟するといわれる年齢で、花に譬えれば満開の状態である。肌など一段と潤いが増してしっとりとしてきて、とりわけ躯そのものに、熟れたという感じが生々しく現われ、鏡の前に立って裸身を映すと、美しく成熟した乳房やいやらしいほど官能的な腰部ばかりか悩ましいラインを描いた躯全体、自分ながらときにドキッとするほど艶めかしく思えるほどだった。
 恋人の隆志もカッコよかった。
 以前、男の顔をショウユ顔とかソース顔とかいってタイプ分けしていたが、隆志はショウユ顔タイプのちょっとした二枚目で、身長も百八十センチちかくあり、スラリとしていて、いかにも女にモテそうなタイプだった。
 美貴はだが、最初から隆志をセックスフレンドと見なしていた。
 いまは結婚年齢が上がっているが、そういうことからではなく、結婚を前提に男と付き合うのはまだ先のことだと考えていた。
 美貴の気持ちの中には、独身時代にもう少しセックスを知りたいという、願望のようなものがあった。
 それというのも名門女子大を卒業するまでは自他共に認めるカタブツで、といってもそれは表向きのことで、本当のところは大いにセックスにも興味があったのだが、性格的にそれを表に出せないばかりか逆に内向させるタイプだったため、言い寄ってくる男には事欠かなかったにもかかわらず、性的な体験に関しては、いまの時代にしてはオクテだったからである。
 なにしろロストバージンは社会人になってからのことで、美貴自身バージンを重荷に感じはじめた二十二歳のときだった。
 相手は親友に紹介された年上の男−−その親友が不倫の関係をつづけていた男の友だちで、その男も妻子持ちだった−−で、彼によって美貴のセックスは開花させられた。
 その男との関係は一年あまりつづき、もとよりそういうことは最初から覚悟はしていたことだったが、案の定、ちょっとしたゴタゴタがあって別れた。
 そのとき美貴はそれも仕方ないと思った。彼を失ったことも深刻に考えなかった。
 が、そうではなかった。美貴の躯が特別にそうなのかどうか、ほどなくたまらないほどの肉体的な淋しさを味わわされる羽目になった。そのときになってはじめてセックスにめざめた躯がどういうものかを思い知らされた。
 隆志と出会ったのは、ちょうどそんなときだった。
 だから、美貴自身も恋愛感情はめばえたものの、それ以上に隆志とのセックスに対する期待のほうが大きかった。
 年下だが相当に女を経験しているらしい。はじめて会ったときから、隆志にはそんな印象があった。
 隆志は美貴の期待を裏切らなかった。それどころか若さに似ず、美貴が知っているたった一人の男よりもはるかに刺戟的で享楽的なセックスをする男だった。
 しかもはじめのうちはノーマルなセックスでもそうだったのが、あるときからSMっぽいプレイもしかけてくるようになった。
 それも逢うたびに美貴が驚くような新しいプレイを考えてくる。
 ざっと列挙しただけでも、恥ずかしい格好に縛って指やバイブを使っての責め嬲り、アナルセックス、強姦プレイ、排尿観賞、公園での露出プレイ、満員電車の中での痴漢プレイなどと、多彩さにおいても驚くべきものがあった。
 はじめて隆志に縛られるまで、美貴は自分にはそれほどマゾッ気はないと思っていた。 それなりにプライドも高いほうだった。
 ところが実際に恥ずかしい格好に縛られてみると、それは単なる思い込みにすぎなかった。
 さすがに最初はたまらない恥辱感と悔しさをおぼえた。が、弄ばれ嬲られ辱められてプライドを打ち砕かれることが、それまで経験したこともない興奮と快感になり、やがてノーマルなセックスでは味わえない陶酔になっていくことを教えられ、自分にはっきりとマゾッ気があることを思い知らされた。
 相手はセックスフレンド−−そう割り切って、あるところまでは自分のペースでセックスを愉しんでいた美貴だが、気がついてみるとすっかりペースを狂わされてアブノーマルなセックスプレイに引き込まれ、年下の隆志に完全にリードされていた。
 そればかりか隆志がこんどはどんな刺戟的をプレイを求めてくるか、美貴自身それを期待して待ち望むようになっていた。
 
 その日美貴は、終業時間のあと、女子社員がいなくなるのを待って更衣室に入った。
 受付係の制服を脱いで下着姿になった。
 セクシーなスタイルの下着をつけていた。
 肌色のストッキング以外はすべて黒の、花柄の刺繍が入ったシースルーのブラとビキニショーツにガーターベルト。ショーツはサイドストラップで、前の三角形の布がかろうじてヘアを隠すだけというきわどいものだった。
 ほぼ完璧といっていいプロポーションをした絖白い裸身を、黒いセクシーなスタイルの下着がいっそう悩殺的に見せていた。
(制服の下にこんな下着をつけていると知ったら、みんなどんな顔をするかしら)
 女子社員の間で美貴はマジメで堅いタイプとして通っていた。
 それがこんな煽情的な下着をつけているとわかったら、驚きだけではすまない。みんなから興味津々、どんな男と付き合っているのかということまで、あれこれ詮索されるに決まっている。
 美貴は苦笑しながらブラを外し、ビキニショーツを脱いだ。
 ほどよい量感の乳房は上向きに形よく反り、下腹部の繁みはやや濃密だが黒くて艶やかで、整然と逆三角形の形に生えている。
 黒いガーターベルトに肌色のストッキングだけの格好でロッカーを開けると、ボトルグリーンのタイトなスーツを取り出した。
 隆志の命令どおりノーブラ、ノーパンのままスーツを着て、靴もスーツの色に合わせてモスグリーンのハイヒールのパンプスに履き替えた。
 早くも美貴の胸は高鳴っていた。
 隆志は痴漢プレイを愉しむつもりなのだ。前にいちど美貴は体験させられていた。
 だが隆志のことだ、今日は前とはちがう愉しみ方をするつもりなのかもしれない。
 会社を出てT駅に向かうタクシーの中でそう思うと、ノーパンで心もとない秘めやかな部分がズキンとうずき、もう濡れてきていた。
 
【2】
 ラッシュアワーの電車は満員スシ詰めの状態でT駅を出た。
 車両の端の座席が切れた場所で、美貴は窓を背にした隆志と向き合って立っていた。
 ほとんど身動きもままならない。
 美貴はなじるような眼で隆志を見上げた。長身の隆志の股間のモノが早くも硬くなってきて、身長百六十センチの美貴の腹部に突き当たっているのだ。
 いつ隆志が痴漢行為をしかけてくるかと思うと興奮してドキドキした。
 それとなく周りを見まわすと、美貴の左右も後ろも男の乗客だった。みんなサラリーマン風で、左右は三十代半ば、後ろは二十代後半の感じの男だった。
 なぜか隆志はいっこうにしかけてこない。それならこっちから挑発してやれと、腹部を突起にこすりつけようとした瞬間、美貴はハッとして息を呑んだ。あろうことか、後ろに立っている男が硬いモノをヒップに押しつけてきたのだ。
 うろたえて隆志を見上げると、なんと笑っていた。
 それを見て美貴は、前に痴漢プレイをしたあとで隆志がいっていた言葉が脳裏をよぎり、茫然となった。
「じつというと俺は痴漢にかけてはプロなんだよ。いままで電車の中でけっこうやってきて、同じ趣味の仲間もいるんだ……」
 そのとき痴漢プレイで異常に興奮していた美貴は、その話をそれ以上聞く余裕もなく、ホテルの部屋に入るなり「早く抱いてッ、犯してッ」と、夢中になって隆志に抱きついていった。
 後ろの男はその仲間にちがいない。それより隆志の意味あり気な笑い方からして、仲間に痴漢行為をさせるつもりなのかもしれない。
 驚きうろたえる美貴の予感は的中した。後ろの男がヒップを撫でまわしはじめたのだ。
 それだけではない。左右の二人の男も美貴のほうを向き、腰のあたりに股間の硬いモノを押しつけてきた。
(なんてことを!)
 美貴は狼狽しきって、『いやッ、やめさせてッ』と、救いを求める眼で隆志を見上げてかぶりを振った。
 が、隆志は笑って顔を振った。『だめだ。触らせてやれ』というような顔つきで。
(そんな!)
 美貴は絶望的な気持ちになった。隆志はこの状況を愉しんでいるのだ。そればかりか電車に乗るなり股間のモノが硬くなってきたのは、この状況を想って興奮していたせいにちがいない。
(自分の女をほかの男に触らせて、それを見て愉しみ興奮するなんて、一体どういう気なのォ!?)
 隆志を見上げる眼に、信じられない思いと恨めしさを込め、狼狽しきって腰をもじつかせていると、左右の男二人の手がタイトスカートの上から太腿を撫ではじめた。
 太腿ばかりかスカート越しに両脚の付け根をなぞり、下腹部にまで手を這わせてくる。ヒップを撫でまわしていた後ろの男の手が太腿の裏側を撫で上げてきた。
『い、いやッ!』
 美貴はあわててキュッ、キュッとヒップを締めつけた。そのとき隆志の両手が美貴の両手をつかんだ。思わず美貴は隆志の手を握り締めた。
 見ず知らずの男にスカートの上からとはいえノーパンのヒップを撫でまわされて、おぞましさよりも恥ずかしさで、カーッと全身が火になっていた。
 そんな美貴に、さらに男たちは大胆な痴漢行為をしかけてきた。スカートの裾から六本の手を入れてきて、ガーターベルトをつけているだけの下腹部やヒップを触り放題に撫でまわしはじめたのだ。
 美貴はいやがって声をあげることも抵抗することもできない。されるまま、まるで淫らな夢を見ているような気持ちになっていた。
 いつのまにか隆志の両手を握っている手が汗ばんでいた。手だけではなかった。背筋のあたりにも汗が滲んできていた。
 それよりもかろうじて締めつけている両脚の奥の恥ずかしい部分は、もうドッと汗が吹き出したように濡れてきているのがわかった。
 六本の手で、下腹部の繁みやヒップの割れ目など、微妙に撫でまわされているうちに、隆志によってマゾに開眼させられた美貴の躯は、そんな痴漢たちの手にも恨めしいほど過敏に感応してしまっていたのだ。
 男たちの手が、股間とヒップの間に分け入ってきた。美貴はもう両脚を締めつけていることができなかった。
 両脇の男の手が秘唇を左右に分け、グショ濡れのクレバスをまさぐってきて、クリトリスと膣口をくすぐるようにこねる。後ろの男の指はアナルをマッサージするように撫でまわしはじめた。
 額を隆志の胸に押しつけた美貴は、無理やりかきたてられる性感に口を開け、必死に殺した声をきれぎれの息にして吐き出した。
 クルクルと撫でまわされるクリトリスから躯の芯がとろけてしまいそうな快感が湧きあがって膣がひとりでにいやらしくヒクつき、同時にこねまわされる膣口とアナルから身悶えずにはいられない狂おしい性感がひろがってくる。
 少しでも気を緩めれば、たちまち快感に呑み込まれてイッてしまう。それに怯えながら美貴は必死に耐えた。それでも腰だけはどうしようもなく淫らに蠢いてしまう。
 アナルをこねる指はなぜかヌルヌルしていた。クリームまで用意して指に塗っているのかもしれなかった。その指が、ゆるゆるとアナルに侵入してきた。
「うッ!」
 思わず美貴は小さく呻いた。両脚が小刻みに痙攣する。
 すると、膣口をこねている指がヌルッと挿入してきた。
 二本の指が前後の秘苑の中をこねまわし、さらにべつの一本がクリトリスを撫でまわす。
 否応なく美貴の恥ずかしい部分は生々しく反応した。アナルがクイッ、クイッと指を締めつけ、それに連動して蜜壷もクッ、クッと指を締めつける。
 そのとき美貴の我慢の糸は切れ、ふっと気が遠くなった。めくるめく快感と同時に躯を駆け抜ける絶頂感に腰を律動させながらイッた。
 かろうじて声はたてなかったらしい。なおも蜜壷とアナルに収まった指を抜き挿しされている感じで我にかえると、
「イッたんだろ?」
 耳もとで隆志が囁いた。美貴は息を弾ませながら、
「も、もうだめ……」
 小声で訴えた。
 すると、ようやく男たちが手を引き揚げていった。が、ホッとしたのも束の間、両側の男が隆志の両手を握り締めている美貴の両手を取り、自分たちの股間に導いた。
 驚いた。いつのまにか二人ともズボンの前からペニスを取り出していて、怒張と化したそれを美貴に握らせたのだ。肉棒にはコンドームをかぶせていた。
 さらに美貴は息を呑んだ。後ろの男が怒張をヒップの割れ目に押しつけてきたのだ。
 左右の男がスーツの上からノーブラの乳房を揉み、一人が股間をまさぐってきて、また しても指先でクリトリスをこねはじめた。
 イッた直後の美貴はあわてて腰を引いた。と、後ろから股間をまさぐっていた肉棒がズリュッと蜜壷に侵入してきた。
 かろうじて声をこらえた美貴は、うろたえた。隆志と二人だけの痴漢プレイのときもペニスを入れられたりはしなかった。
(ああ、もうどうなっても知らない、知らないから……)
 うろたえながらも、イクまで弄ばれてもうそこをかきまわしてほしくてたまらなくなっていた蜜壷を怒張で貫かれて、自暴自棄になった。
 と同時にわずかに残っていた理性も切れて、異常に興奮してきた。
「ほら、手でしごいてやれよ」
 耳もとで隆志が囁いた。隆志にもたれかかった美貴は、いわれるまま両手で左右の男の肉棒をしごいた。
 後ろの男がゆっくりと肉棒を突き引きしはじめた。
 さすがにほかの乗客の眼を意識して大胆に腰を使えないらしい。ゆっくりと抜き挿しする。
 その動きが逆に美貴にはたまらない。もどかしさといっしょに泣きたくなるような狂おしさをかきたてられながら、夢中になって両手の肉棒をしごいていると、
「出るよ」
「俺も……」
 二人の男が美貴の耳もとで呻くような声で囁いた。掌にした二本の肉棒がビクン、ビクンと跳ね、相前後して二人の男とも欲望を発射した。
 その直後、蜜壷の肉棒が生々しく脈動して射精した。その瞬間、美貴も絶頂感に襲われて身ぶるいした。
 
【3】
「ああん、ひどォい!」
 ホテルの部屋に入るなり美貴はそれまで抑えていた気持ちと躯の�兇蠅鬚屬弔韻襪茲Δ卜柑屬吠�きついた。
 隆志がキスして舌を入れてきて、ねっとりと美貴の舌を絡め取る。美貴もそれ以上に熱っぽく舌を絡めて甘い鼻声を洩らしながら、まだ熱くうずいている下腹部を自分から隆志の股間にこすりつけた。
 あのあと三人の痴漢も美貴たちといっしょにターミナル駅のS駅で電車を降りた。美貴は隆志の腕にしがみついていなければ立っていられなかった。三人はホームで美貴たちに笑いかけて最敬礼し、去っていった。
 隆志の話では、やはり三人とも隆志の痴漢仲間だった。
 S駅からタクシーに乗ってホテルにきて部屋に入るまで、隆志は電車の中で痴漢されている間の美貴の反応や感想についていったり聞いたりした。
 美貴は一言も口をきかなかった。べつに怒っていたわけではなく、ショックと興奮できけなかったのだ。
「どう、けっこう刺戟的だっただろ?」
 唇を離した隆志が、S駅のホームで二人だけになったときと同じことを、笑って聞いてきた。
「刺戟的すぎるわよ。痴漢行為ばかりか、ファックまでされたのよ。隆志、それでも平気だったの!?」
 美貴はようやくまともに口をきいた。息を弾ませて、自分でもはっきりとわかるほど興奮した顔つきとなじる眼で隆志を見上げ、ズボンの前を突き上げているモノを手で撫でまわしながら。
「平気じゃないさ。美貴がマジに感じて興奮してるの見てたら妬けたよ。ただ正直いって、妬きながら興奮してもいたけどさ」
「ひどい!」
「美貴だって、たまらないほど興奮してたんだろ?」
「知らない……」
 すねて、というよりすねてみせながら隆志のズボンのベルトを外し、チャックを下ろしてその前にひざまずいた。
 モッコリと前が盛り上がったブリーフを下げると、怒張したペニスがブルンと弾んで出た。
 それを見ただけでズキンと蜜壷がうずき、美貴は小さく喘いだ。太さは並みだが標準サイズよりやや長めで、グッとエラを張った赤黒いカリが上向きに反って煽情的な形をしている肉棒を手にすると、舌を這わせた。
 ねっとりと亀頭を舐めまわし、片手でフクロをくすぐりながら、肉棒の先から根元までまんべんなく舐め、さらに硬度を増してきたそれを咥えると、顔を振ってしごいた。
 そうやって口腔で肉棒をしごいていると、それを蜜壷に入れて抜き挿しされる感覚と快感に襲われて蜜壷がますますうずき、ひとりでに腰がいやらしく蠢いてしまう。
「ああッ、ほしい……」
 美貴は正直に欲望を訴えた。
「その前にメシ食おうよ。俺、腹ペコなんだよ」
 隆志は笑って現実的なことをいった。だが美貴はもう待てない。早く目の前の怒張で貫かれたい。それが切迫した現実そのものだった。
「だめよ、我慢できないの」
 立ち上がって隆志のスーツの上着を脱がした。
「そりゃあ美貴はいいよな。上と下の口でソーセージを食っちゃったんだから」
「意地悪ッ、こんなにしたの、誰のせいだと思ってるの?」
 おたがいに笑っていい合うと、隆志が美貴のスーツを脱がしていった。
「これじゃあ連中、触り放題いじくり放題だな」
 身につけているものといえば、黒いガーターベルトに肌色のストッキング、それにモスグリーンのハイヒールのパンプスだけの美貴を、隆志はまぶしげに見て、笑いながら妬ましそうにいった。
「だって、これも隆志のせいじゃないの」
「じゃあマジに感じまくって興奮したのはだれのせい?」
「それも隆志のせいよ。わたしにヘンなことばかりさせるから」
「みんな俺か。女ってのは何でも男のせいにしたがるんだよな」
 隆志は苦笑すると、
「ほら、連中にいじくりまわされてファックされたオマ×コを見せてみろ」
 あからさまなことをいって美貴を椅子に坐らせるなり肘掛けをまたがせ、両手でグイと秘唇を押し分けた。
「あッ、そんな!」
「グショ濡れじゃないか」
「ああんッ、だってェ……」
 嬌声をあげ腰を揺すって美貴が両手で股間を隠すと、隆志はその右手の中指をつかんでクレバスに、そして左手を乳房に導いた。
「さ、俺が脱ぐまでオナッて見せろ」
 隆志の前でオナニーをして見せるのは、これがはじめてではない。美貴は素直に従った。赤いマニキュアを塗った指先でクリトリスをまァ〜るくこねながら乳房を揉む……。
 それを見ながら隆志は、ゆっくりとネクタイをほどき、さらにゆっくりとワイシャツのボタンを外していく。
「あんッ……ああんたまんないッ……」
 美貴は快感を口にした。人前でオナニーして見せるなど、はじめて隆志に強要されて羞恥に焙りたてられながらするまで想ってもみなかったことだ。それがいまはそのたまらなく恥ずかしい行為を見られながらすることが、逆にたまらない快感と興奮をおぼえるまでになっていた。
「ますます入れてほしくてたまらなくなってきてるんだろ?」
 裸になった隆志が大股開きの格好の美貴の前にしゃがんで聞く。興奮しきってウンウンとうなずく美貴の手を取ると、
「そうだろうな。クリちゃんがビンビンになって、オマ×コの入口が物欲しそうに動いてるよ」
 卑猥なことをいって自分の指でクリトリスをこねながら美貴の指を膣口に導き、「入れてみろ」と命じる。命じられるまま美貴は蜜壷に指を挿入した。
「こうやって、ここも痴漢にいじりまわされたんだろ?」
 潤滑剤のクリームを塗った隆志の指がアナルを撫でまわす。同時にべつの指でクリトリスをこねながら。
「ああッ、そ、そうよッ」
 美貴は腰をもじつかせながらうわずった声でいい、またぞろ電車の中で痴漢行為をしかけられたときと同じ快感と興奮に翻弄されはじめた。
 揉みほぐされるアナルがひとりでに喘ぐように収縮し、それに連動して自分の指を挿している蜜壷がいやらしく指を締めつける。
 ゆるゆると隆志の指がアナルに侵入してきた。その指と美貴の指が薄皮を隔てて触れ合った。隆志が指先を曲げて、アナルの奥から子宮をこねる。
「うう〜ん、ああッ、い、いいッ……ああん、だめェ……ああもう、隆志のほしいッ」
 うねうねと淫らに腰を揺すりながら美貴は夢中になって求めた。
「オマ×コとアナル、どっちにほしいんだ?」
「どっちも、両方してッ」
 自分でもはっきりとわかるほど発情した顔つきになって美貴は口走った。
「欲張りだな」
 隆志は笑っていうと、バッグから勃起したペニスそっくりの黒いバイブを取り出した。それをスムースに呑み込むまでに美貴のアナルはすでに調教されていた。隆志は疑似ペニスにクリームをたっぷりと塗りつけ、アナルに押し入れてきた。
 躯を串刺しにされる強烈な凌辱感に美貴は絶頂感に襲われた。膣でイクのとはちがった、いってみれば精神的な絶頂感だった。
 隆志がバイブを抜き挿ししたりこねたりする。そうやってアナルを攻められると、美貴はイキッ放しのような状態になって狂ってしまう。
 そのときもうわごとのようにたまらなさを訴えて淫らに腰をうねらせていると、隆志がバイブを抜こうとした。
「いやッ、抜かないで……ね、このまましてッ」
「前後ろ同時か、好きだなァ」
 笑っていいながら隆志は美貴を抱き上げ、ベッドに運んだ。仰向けに寝かせ、美貴の両脚の内側に両腕を入れて躯を海老のように曲げさせると、ほとんど真上から肉棒を蜜壷に 突きたてるようにして押し入ってきた。
 したたかに貫かれる感覚に美貴は一気に絶頂した。
 熱く潤みきった蜜壷の感触を味わうように隆志はゆっくりと抜き挿しした。ようやく欲望を叶えられた美貴が快感に酔いしれていると、そのとき隆志が思いがけないことをいった。一瞬、美貴は聞きまちがいかと思った。
「もう逢えないって……それどういうこと!?」
「じつは俺、田舎にUターンしなきゃいけないんだ。おふくろの具合がよくないんだよ。それで旅館のほうを頼むと拝み倒されちゃって……俺しかいないからどうしようもなくてさ」
 隆志は腰を使いながらいった。
 隆志の母親は田舎で老舗の旅館をやっていて、母親が躯をこわして入退院を繰りかえしていること、すでに父親は亡くなり、母親は一人っ子の隆志に旅館を継いでほしがっていること、だが隆志はいやがって断りつづけていることなど、美貴も隆志から聞いて知っていた。
「そんなァ、そんなこと、急にいわれても……」
 快感によがりながら美貴はうろたえていった。が、そのあとの『わたしはどうすればいいのよ』という言葉はいえなかった。旅館を継ぐことを隆志が断りきれなくなったということは、母親の病状がよほど悪いことを物語っていたからだった。
 とはいえ美貴は、こんな形で突然隆志と別れることになろうなどとは思ってもいなかった。というより隆志と別れることなど考えてもいなかった。
 美貴自身、隆志との関係はセックスフレンドだと割り切っていた。が、それではすまされないところまできていた。
(いま隆志と別れたら、こんなにアブノーマルなセックスにのめり込んでしまった躯をどうすればいいの? この責任を取ってほしい)
 うろたえながら胸の中で訴えていると、
「そのうちまた逢えるかもしれないよ。だけど、しばらくは逢えそうもない。だから今夜はヤリまくろう……」
 隆志はそういって激しく突きたててきた。美貴は惑乱した気持ちのまま、よがり泣きながら狂おしい快感に呑み込まれていった。
 
(あのときは隆志自身、自分の気持ちに踏ん切りをつけるためにあんな痴漢プレイをしかけたのかもしれない。でも隆志はそれですんだかもしれないけれど、わたしのほうはすまなかった……)
 隆志とのことを生々しく思い出してそう思いながらビールを飲み干したとき、待ち合わせの相手がレストランバーに入ってきた。



【第四章 新たな奴隷調教】


【1】
 帰宅してシャワーを浴び、浴室から出てきたとき、電話がかかってきた。
 笠倉は時計を見た。九時をまわっていた。受話器を取り、いつものように「はい」と応答すると、里穂からだった。
「秀彦さん、これから出てこれます?」
「これから? どこにいるの?」
「六本木。学生時代からのお友だちといっしょなの。でも、ご心配なく。お友だちはオ・ン・ナですから」
 里穂の声は弾んでいた。
「もしよかったら、秀彦さんもいっしょにどうかと思って……」
 笠倉は逡巡した。が、会社からもどって一時間あまりで、また都心まで出ていくのは億劫になり、苦笑しながらいった。
「女の友だちで安心したよ。ただ、せっかくだけど、ちょっと仕事を持ち帰っていてね、これから片付けなきゃいけないんだ。またの機会にするよ」
「そう。残念だけどお仕事じゃ仕方ないわね。わかりました。女だけで盛り上がっちゃうわ」
「そうしたらいい。それよりこんど逢ったときはこの前以上にたっぷりいじめてやるから覚悟してろ」
「そんなァ、うん知らないッ。わたし、秀彦さんがサディストだなんて思ってもみなかったわ」
「俺も里穂にあそこまでマゾッ気があるなんて思わなかったよ」
「だってェ……秀彦さんのせいよォ」
「ああ、みんな俺がわるいんだ」
 笑っていうと、飲みすぎないで早めに帰るように忠告して笠倉は電話を切った。
 電話で里穂の艶めかしい声を聴いて、土曜日の夜のことが脳裏に浮かんできた。後背位でファックしているとき、リサとのテレフォンプレイが頭をかすめた笠倉が手で尻を叩いてやると、里穂は異常に興奮して、
「もっとォ、もっとお尻ぶってェ」
 と自分から打擲を求めてきたのだ。
 そして、驚いた笠倉も興奮して尻を叩きつづけていると、感じ入った声をあげて身悶え、やがてそれまで見たこともない陶酔の色を浮かべた顔を起こし、里穂のほうから笠倉の股間に顔を埋めてきたのだった。
 そのときのことを思い出してニンマリしながら笠倉は思った。
(あのリサという女のおかげで、これから里穂といろいろ刺戟的なプレイが愉しめそうだ。今日は電話がかかってくるかな。かかってきたら、また、参考になるプレイを聞き出しておきたいんだけど……)
 リサからの電話は先週の金曜日以来かかってこない。里穂がきているときにかかってきたらまちがい電話を装うつもりだったが、その必要もなかった。
(彼女にも都合があるだろう。それとももうかけてこないつもりなのか。こんどかかってきたら、また説得してみよう。里穂に似たタイプだとしたら、イイ女にちがいない。なんとしても逢ってみたい……)
 笠倉は気を揉みながら十時を待った。
 だがリサからの電話はなかった。
(あれっきりにするつもりなのか……)
 見るともなくテレビを見ながらがっかりしていると、チャイムが鳴った。時計の針はすでに十一時ちかくを指していた。
(こんな時間に誰なんだ? ひょっとして酔った里穂が押しかけてきたのかも。だったら、この前以上のプレイが愉しめる……)
 落胆していたぶん笠倉の胸はときめいた。
 玄関に出てドアを開けた。その瞬間ギョッとした。驚きのあまり声も出なかった。あろうことか、あの痴漢プレイにまで発展したOLが立っていたのだ。
「こんばんわ」
 彼女は妖しい笑みを浮かべて小首を傾げた。
「どうして!? どうしてきみがここに!?」
 狼狽しきって笠倉はいった。
「それよりお部屋に入れてくださらない? 中でお話します」
 彼女はそういうと笠倉の返事も待たず入ってきて、部屋に上がっていく。驚き狼狽したまま笠倉のほうがそのあとについていくと勝手にソファに坐り、部屋の中を見まわし、突っ立っている笠倉に笑いかけてきた。
「すみません、わたし少し酔っちゃってるの。笠倉さんも坐ってください」
「きみは誰なんだ? 第一、これはどういうことなんだ?」
 詰問を発しながら笠倉は彼女のほうを向いて横に腰かけた。確かに彼女はだいぶ酒に酔っていた。そのために男好きのする顔がよけいに艶めいていた。
「驚かせてごめんない。自己紹介するわ。わたし、花井美貴といいます」
 彼女は謝り、俯いていった。自動車メーカーの受付係をしていて、驚いたことに笠倉が痴漢プレイを体験させてやったHという男は、彼女の上司なのだという。
「それよりも笠倉さんのこと、『山倉さん』といったほうが、わたしのことわかっていただけるんじゃないかしら」
 俯いたまま花井美貴という女が思わせぶりにつぶやくようにいうのを聞いて、笠倉はまた仰天した。「山倉」という偽名を知っている女は一人しかいない!
「じゃあきみが、あの電話の!?」
「ええ、リサはわたしなの」
 驚かされたり狼狽させられたり、それに彼女のいっていることがわからず、笠倉は頭が混乱してきた。
「一体どういうことなんだ? ちゃんと話してくれ」
「最初はわたし、こんなことをするつもりはなかったんです……」
 そういって彼女は話しはじめた。
 花井美貴の話は、笠倉を驚かせたばかりか愕然とさせるものだった。
 
 笠倉の婚約者の里穂と花井美貴は女子大時代からの親友だった。
 里穂は笠倉と肉体関係が生じたあと、笠倉がSMプレイに興味を持つように仕向けるため、美貴にテレフォンSMプレイをしかけてほしいと頼んだ。
 それというのも里穂は笠倉の前に付き合っていた男に調教されて、すっかりマゾの歓びを教え込まれていたからだった。
 美貴は里穂の頼みを引き受けた。だがテレフォンセックスを経験したことがなかったので、すぐには実行することができなかった。
 その方法を考えているうちに美貴の中に笠倉に対する興味のようなものが頭をもたげてきた。
 マゾの歓びを教え込まれた男と別れてもすぐにまたべつの男−−笠倉が現われた里穂のことが、恋人のいない美貴には羨ましく、ちょっぴり妬ましくもあった。
 笠倉についておよそのことは美貴自身、里穂から聞いて知っていた。それにテレフォンSMプレイを頼まれたとき、そのあと里穂と笠倉はデートする約束になっていて、その喫茶店で美貴は入れ違いに笠倉の顔も見ていた。
 そこで美貴はそれとなく笠倉に接近する方法を考えた。
 文字どおり接近する方法を思いつき、それを実行した。
 笠倉が退社するのを待ち受け、駅のホームで笠倉に近づいて、いっしょに帰宅ラッシュの電車に乗ったのだ。様子を見て笠倉を挑発し痴漢行為に誘ってみるつもりだった。
 ところが驚いたのは美貴のほうだった。なんと笠倉のほうから痴漢行為をしかけてきたのだ。
 美貴はされるままになりながら、ますます驚いた。巧みな触り方といい、落ち着き払った感じといい、どう見ても笠倉はそれがはじめての痴漢体験とは思えなかったからだ。
 事実そうだった。笠倉から渡された手紙を読んだ美貴は、それ以来、痴漢プレイに応じてその刺戟を愉しむようになった。
 そして笠倉に電話をかけてテレフォンSMプレイも愉しみはじめた。
 だがそんなことをしているうちに美貴は笠倉に電話でもいったとおり、彼のことを恋人のように思いはじめた。
 それで先日、会社から帰宅する笠倉のあとをつけてマンションの前まできて、そのまま部屋を訪ね、すべてを打ち明けようかと思ったが、それだけは思い止まった。
 ところが今夜、里穂と会って、彼女から笠倉とSMプレイをしたと聞かされた。
 もとより笠倉をそう仕向けるのが美貴の役目だったが、内心は笠倉にそうしてほしくないという気持ちのほうが強くなってきていただけにショックだった。
 そればかりか、うれしそうに笠倉とのプレイの様子を話す里穂を見ているといたたまれなくなり、彼女と別れたあと笠倉の部屋に押しかけてきた。
 
【2】
 花井美貴の話を聞いて笠倉は驚きを通り越して茫然としていた。茫然としたまま、里穂のことを考えていた。
(あの里穂に、男からマゾに調教された経験があったとは……そればかりか、そのために親友の美貴にテレフォンプレイを頼んでまで、婚約者のこの俺にSMプレイに興味を持たせたいほどマゾヒスティックな快楽の虜になっていたとは……)
 だが先週の土曜日の夜の、あの悩ましい下着姿といい、それよりなによりSMプレイの中で里穂が見せた反応は美貴の話を裏付けるものだった。
 真理子とのことで、三人の女たちにまんまとハメられたとき以上に、笠倉はショックを受けていた。
 痴漢趣味ではさんざん美味しい体験をしてきた笠倉だが、真理子といい、いままた里穂といい、まともな形で知り合い付き合った女からはなぜか苦いしっぺがえしを食らった。
(痴漢していい思いをしたぶんバチでも当たってるんじゃないか)
 冗談でなく真面目にそう思って苦笑いしたとき、美貴がソファから立ち上がった。
「笠倉さん、里穂はもうマゾに調教されてるのよ。でもわたしは彼女からいろいろ聞かされて、SMについての知識はあるけれど経験はないの」
 見上げた笠倉にそういって挑むような妖しい笑みを投げかけ、タイトなスーツを脱ぎはじめた。
「きみも里穂のようにマゾに調教されたいのか?」
 笠倉の声はうわずっていた。美貴はうなずいてスカートを脱ぎ落とした。
「電話のリサがいったことは、わたしの願望なの」
 笠倉の前に悩殺的なスタイルの下着をつけた女体が立っていた。
 すべて黒いレースのブラにバタフライにちかいビキニショーツ、それにガーターベルトとストッキングという下着をつけている。
 プロポーションのよさは里穂に負けず劣らず、というよりそれ以上といっていい。それに里穂よりも白い肌をしているぶん、黒い悩ましいスタイルの下着がよけいに艶めかしく見える。
「後ろを向いてごらん」
 笠倉の言葉に美貴は素直に従った。
 想ったとおり、美貴が穿いているのはTバックショーツだった。ムッチリとしてまろやかに盛り上がったヒップが剥き出しになっている。
 笠倉は美貴の後ろに立った。自分でもよくわからない猛々しい欲望にかられていた。背中のブラホックを外し、両手で両肩を撫でるようにしてブラの肩紐をずらしていくと、あとは美貴が自分でブラを取り胸の前で両腕を交叉した。
 そのまま笠倉は美貴を抱き寄せ、首筋に唇を押しつけた。
「ああッ……」
 のけぞって喘いだ美貴が身をくねらせ、剥き出しのヒップで早くもズボンの前を突き上げている笠倉の怒張をくすぐる。
 美貴の両腕の下に笠倉は両手を入れ、量感も張りも申し分ない乳房を揉みたてながら、うなじから耳に唇を這わせていった。
「ああ、お願いッ、いじめてッ」
 狂おしそうにのけぞって身悶えながら美貴は喘ぎ声でいい、片手を後ろにまわして笠倉の怒張をまさぐってきて、撫でまわす。
 笠倉も片手を美貴のショーツの中に滑り込ませた。かすかにザラついたヘアの下のクレバスに指先を割り込ませていくと、そこはすでに濡れそぼっていた。
 片手で乳房を揉み一方の手の指でヌルヌルしたクレバスをこすりつつ、唇で耳を嬲りながら囁いた。
「なんだこれは? テレフォンプレイのときのようにいじめてほしくて、それを想像しただけでグショ濡れになったのか?」
 美貴はふるえをおびた喘ぎ声を洩らしながらうなずき、両手を笠倉の腰にまわして怒張にヒップをこすりつけてくる。
 笠倉は美貴を向き直らせて抱き締め、唇を重ねた。舌を滑り込ませていくと、鼻声を洩らして美貴のほうからねっとりと舌を絡めてきた。笠倉も絡めかえすと、せつなげな鼻声になって、こんどは下腹部を怒張にこすりつけてくる。
 唇を離して笠倉は聞いた。
「どうやっていじめてほしいんだ?」
「ああ……お尻ぶってッ」
 美貴は�兇辰神爾任いΑC帽イ�のする顔にも興奮が浮きたって、ドキッとするほど艶めかしい。
 それを見て、笠倉自身よくわからなかった猛々しい欲望の正体がはっきりしてきた。それは怒りにも似たサディスティックな欲望だった。
 美貴を拉致するようにして寝室に連れていき、ベッドに押し倒すなりTバックショーツを毟り取ると、ヒップをこっちに向けて四つん這いになるように命じた。
 黒いガーターベルトにストッキングだけになった絖白い裸身が、笠倉の前で獣の体位を取った。
 いやらしいほどむっちりとして、それでいてきれいなハート型を描いたヒップと、その間からのぞいた、ふっくらとした船底型の秘苑とその上の菊の花に似た褐色のアナルが、いやでも笠倉の欲情を煽った。
 船底型の秘肉を縦に分ける薄い赤褐色の秘唇はわずかに湾曲して合わさり、その周りにはまばらにヘアが生えている。
 指ではなんどもその感触を味わっているが、眼にするのははじめての煽情的な眺めを凝視しながら、笠倉はズボンのベルトを抜き取り、打擲しやすい長さにベルトを持って美貴のヒップを打ちすえた。
 バシッ!−−鈍い音が響き、
「あうッ!」
 喘ぎとも呻きともつかない声を発した美貴がヒップを振りたてて身悶える。
 笠倉は美貴のヒップを狙ってつづけざまにベルトを浴びせた。両の尻朶を交互に打ちすえた。
 そのたびに美貴があげる悲痛な声と、おもしろいように悶えくねるヒップが、ますます笠倉の嗜虐的な欲望と興奮を煽りたてた。
 美貴は四つん這いの態勢を取っていられなくなったらしい。上体を突っ伏した。そのために赤らんだヒップを突き上げた格好になり、秘苑の眺めがあからさまになった。そればかりか秘唇がわずかに口を開け、パールピンクのクレバスをのぞき見せた。
 それを見て笠倉は美貴が尻をベルトで打擲されているうちに興奮していることにはじめて気づいた。パールピンクのクレバスがまるで汗が吹き出したように濡れてきているのだった。
 それだけではなかった。打擲するたびに美貴が洩らす声やそのたびに見せる悶えにも、それまでとはちがって興奮した感じがあった。
 そんな美貴の反応に挑発されたように笠倉はヒップにベルトを浴びせつづけた。
「ああだめェ、お尻が、お尻が熱い……」
 そのとき美貴が�兇辰神爾任い辰董∪屐垢反Г鼎い織劵奪廚髻△気發燭泙蕕覆気修Δ砲�ねらせて身悶えだした。
 そのヒップを狙って止めを刺すように笠倉は鋭く打ちすえた。
「ウーッ!」
 異様な呻き声を洩らして美貴は躯を伸ばして突っ伏した。
「うう〜ん……ああァァ、イクゥ、イクゥ!」
 両手でシーツをつかみ、感じ入った呻き声を洩らして両脚をすり合わせて身悶えたかと思うと全身を突っ張るようにして、ふるえをおびた�兇辰神爾農篦困鯀覆┐洞蹐鬚錣覆覆�せた。
 一瞬その異常な反応に眼を奪われていた笠倉は、ぐったりとして大きく息を弾ませながら、打擲されたベルトの跡も生々しく真っ赤になったヒップをたまらなさそうに蠢かせている美貴を見て、ようやく我にかえり、あわてて服を脱いでいった。
 笠倉自身異常に興奮して、全裸になるとペニスが腹を叩かんばかりになっていた。
 ベッドに突っ伏した美貴に躯を重ねていくと、美貴は喘いで身をくねらせた。
「尻を叩かれてイクとは、美貴も相当なマゾだな」
 笠倉が驚きを口にして滑らかな背中を唇でなぞり、さらにそのまま唇をウエストの窪みからこんもりと盛り上がった火照ったヒップへと這わせていくと、きれぎれに感じた喘ぎ声を洩らして身悶え、躯をよじって美貴は仰向けになった。
 そこで笠倉はベッドの上に立ち、マゾヒスティックな興奮に酔っているような凄艶な顔つきをしている美貴を見下ろして居丈高に命じた。
「さ、しゃぶれ!」
 笠倉の怒張を凝視した美貴は、その命令をうれしがってまた一段と興奮が強まってきたような表情になり、そのまま躯を起こして笠倉の前に正座した。
 怒張に両手を添え、口を寄せて眼をつむり、亀頭に舌を這わせて、じゃれるように舐めまわす。そして先から根元まで、ねっとりと舌で繰りかえしなぞりながら、片手で袋の部分をくすぐってくる。
 それがセックスでいえば前戯のように、そうやってたっぷりと舐めまわしてから怒張を咥え、顔を振ってしごく。
 ほぼパーフェクトといっていいフェラチオに笠倉が快感をこらえて見下ろしていると、美貴のほうも怒張を口でしごいているうちに欲情してきたらしい。
「うふん……あふん……」
 顔を振りながら艶めかしい鼻声を洩らして腰をもじつかせだした。
 笠倉も我慢できなくなった。腰を引き美貴を仰向けに押し倒していくと、両脚を大きく押しひろげた。
「ああッ、いや……」
 美貴は腰を波打たせた。いやがっての「いや」でないことは�兇辰心兇犬寮爾任癲△罎辰�りと猥りがわしくうねる腰つきでも明らかだった。
 それに両手で隠すこともできる。が、両手はシーツをつかみ、そむけた顔にもごまかしようのない興奮の色が浮きたって、息を弾ませているために仰向けに寝ていても形よく盛り上がった乳房が大きく上下している。
「ようやく美貴のナマのオマ×コに対面したんだ。じっくり見てやる」
「そんな、いやァ、知らないッ!」
 嬌声をあげて黒いガーターベルトとストッキングをつけただけの裸身をくねらす美貴の両脚の間に陣取り、笠倉は両手で秘唇を押し分けて視姦した。
 やや濃密といっていい逆三角形状に生えたヘアの下に、まるで失禁したように濡れたパールピンクのクレバスがあからさまだった。
 ベルトでヒップを打擲されているうちにイッたからだろう。露出したクリトリスがふくれあがっている。笠倉の視線を感じてか、その下の赤貝に似た部分が喘ぐように収縮し、そのたびに蜜壷の蜜をジワッと吐き出している。
「こうやって見られているだけでも感じてしまって、ひとりでにオマ×コがうずくんだろう。いやらしくヒクついて、物欲しそうにヨダレを流してるぞ」
「ああん、いっちゃいやァ! だってェ……」
 いやがるというよりも笠倉の露骨な言葉に興奮を煽られた様子で、美貴は淫らに腰をうねらす。笠倉の行為を催促するように……。
 怒張を手にした笠倉は、亀頭でクレバスを上下にこすりはじめた。
「あん、いいッ……ううん、だめェ……ああ、そこッ……」
 美貴は夢中になって腰をうねらす。クリトリスをこすってやると快感を訴え、膣口をこねてやるともどかしそうにいって。
 クチュクチュという卑猥な音をたて、そうやってクレバスを嬲りつづけてやると、
「ああん、だめッ、おねがいッ、も、もう入れてッ」
 焦れったそうに腰を律動させて、発情した顔つきですがるように訴える。
「入れてほしかったら、テレフォンプレイのときいってたように、美貴の大好きないやらしい言い方をしてみろ」
「ああ、笠倉さんのチ×ポ、美貴のオマ×コに入れてッ」
 美貴は興奮しきってそのものズバリの猥褻な言い方で求める。
 笠倉のほうももう指ではなく肉棒で美貴の蜜壷を味わいたくなっていた。秘肉が盛り上がってきている膣口に怒張を当てがうと、ズブッと一気に奥まで押し入った。
「うッ、ああッ!」
 悩ましい表情を浮きたててのけぞった美貴が感じ入った声をあげて腰を律動させる。奥までの一突きでイッたようだ。
 深々と貫いたまま笠倉がじっとしていると、痴漢プレイのとき指で感じたのと同じように熱く潤みきった蜜壷がジワ〜と肉棒を締めつけてきて、エロティックに蠢きながら咥え込んでいく。
 たまらず笠倉は激しく突きたてた。たちまち美貴はいい声でよがり泣きしはじめ、笠倉が躯を重ねていくとしがみついてきた。
 
【3】
 早瀬は退社後、シティホテルに部屋を取り、手まわしよくシャワーを浴び、胸をときめかせながら一人でビールを飲んでいた。
 それにしても、まだ花井美貴の気持ちがよくわからなかった。
 あの日、痴漢マニアのKという男に持ちかけられて彼といっしょに美貴を痴漢し、そのあと思惑どおり、というより美貴から誘われる形でホテルにいって情事を愉しんだだけに、早瀬としては当然のことながらこれからも美貴との関係がつづき、容貌もプロポーションも申し分ない若い彼女を抱けるものと思って、このところ落ち込んでいた気持ちも弾んでいた。
 ところがそれ以来、美貴は早瀬の誘いには応じなかった。といって口実にしろそのたびになにかと都合がわるいようなことを申し訳なさそうにいって、早瀬をあからさまに嫌っているというような様子もなかった。
「あの夜は二人がかりの痴漢行為にあって歯止めがきかなくなっただけなのか? それでいてあのKとまた痴漢プレイを愉しんでいるんじゃないか?」
 思いあまって早瀬はそう美貴を問い詰めた。すると美貴は、
「あのときはそうかも……でもあのKさんという人とは、あれからそんなことはしてないわ。ただ、課長とのことは、こんどはわたしが責任取らなければいけないと思ってる。だけどもう少し待ってほしいの」
 といった。
 もう少し待ってほしいとはどういうことなのか? 早瀬が聞いても美貴はそのことについてはなにもいおうとしなかった。
 それがこの日、美貴のほうから早瀬を誘ってきて、先にホテルにいって部屋で待っていてほしいといったのである。
 その前になにかプライベートな用事でもあって、それをすませてホテルにくるつもりなのだろう。そう思った早瀬は自分でもわかるほどだらしなくほころんだ顔つきになって美貴に都心のシティホテルの名前を伝え、いわれたとおりにしたのだった。
 美貴の中でどういう心境の変化があったのか?
 早瀬にはまったくわからない。わかっていることは、美貴のほうからホテルの部屋での待ち合わせをのぞんだ、ということだけだった。
 だが、それだけで早瀬には充分だった。またあの躯が抱けると思っただけで、年甲斐もなく胸が高鳴っていた。
 そのとき部屋のチャイムが鳴った。
 早瀬はいそいそと入口にいってドアを開けた。その瞬間、唖然となった。
 ドアの外に立っていたのは美貴ひとりではなかったのだ。なんと、あの痴漢マニアのKもいっしょだった。
 二人は唖然として言葉もない早瀬を尻目に部屋に入ってきた。
「Hさん、ずるいじゃないですか。ひとりだけ抜け駆けするなんて」
 Kが笑いながらいった。美貴は妖しい笑みを浮かべている。
 早瀬は美貴に聞いた。
「一体どうなってるんだ!?」
「わたしがお連れしたの。だって課長と笠倉さん、二人でわたしを痴漢したのよ。それでわたし、ホテルで逢うのも二人より三人のほうが刺戟的で愉しいと思って。お二人だってそうでしょ?」
 美貴はこともなげにいうと、茫然としてとっさにかえす言葉もない早瀬とその横に立っているKに同意を求める笑みを投げかけ、さっさと浴室に入っていった。
 男同士二人だけになると、早瀬はうろたえてKに聞いた。
「あなた、笠倉さんというんですか?」
「ええ。いやァぼくも驚かされましたよ」
 笠倉はそういって苦笑いしながら冷蔵庫からビールを出してきた。
「このところ彼女とはご無沙汰していたんだけど、昨日偶然、久しぶりに駅のホームで出会ってプレイしたんですよ。そうしたら彼女、電車を降りるとき、『ちょっとお話があるのできてください』なんていうんです。ビックリして、なんだろうと思いながらぼくも電車を降りたら、いきなりHさん、いや上司の早瀬さんとのことを聞かされたうえに三Pを持ちかけられたんですから」
 そればかりか美貴は笠倉のことを調べて名前や勤務先まで知っていた。そしてそのとき笠倉も美貴の自己紹介によって彼女の名前や勤務先をはじめて知ったのだという。
「で、笠倉さん、オーケイしたの?」
 思わずそういってから、つまらないことを聞いたと早瀬は思った。笠倉も美貴といっしょにホテルにきているのだから聞くまでもないことだった。それほど早瀬の気持ちはまだ動転していた。
「だって、こんな美味しいチャンスはめったにないじゃないですか」
 笠倉は当然だといわんばかりにいってビールを飲み、思わせぶりに笑った。
「二人してたっぷり美貴を狂わせてやりましょう。彼女、三Pの痴漢プレイがよほど気に入ったみたいですからね」
 早瀬は思い出したようにビールを飲んだ。ゴクッと喉が鳴った。
(痴漢は経験したがセックスの三Pなんてしたこともない。思いがけない展開になったけれど、美貴がいうとおり、刺戟的でおもしろいかもしれない……)
 そんな気がしてきて、それと同時に三つ巴の狂態が頭に浮かび、腰に巻いたバスタオルの下の股間のモノがズキンとうずいた。
 
 シャワーを浴びながら美貴は、一昨日の夜のことを思い出していた。
 −−あのあとベッドの中で笠倉に聞かれた。
「それでも俺は里穂と結婚するかもしれない。そうなったら美貴はどうする?」
「かまわないわ。そのかわり結婚するまで、あなたがわたしを調教してくれるって約束してくれれば」
 美貴がそういうと、笠倉は一瞬信じられないというような顔をしていたが、喜んで約束してくれた。
 さらに三Pの痴漢プレイをしたときの話になり、
「あの男とはどうなったんだ? 美貴を追いかけていっただろ?」
 と聞かれて美貴が早瀬のことを打ち明けると、さすがに笠倉は驚いた。
「あのときは里穂のこと考えて、あなたとこんなことになるなんて思ってもみなかったから……」
 そういって美貴はあの夜早瀬とホテルにいったこともありのまま話した。
 黙ってその話を聞いているうちに考えていたのだろう。そのあとで笠倉は「これも調教の一つだ」といって、早瀬との三Pを持ち出してきたのである。
 さきほど早瀬には美貴が三Pを考えたようにいったが、あれは笠倉にそういうようにいわれていたからだった。
 笠倉は美貴を調教する気になっている。美貴もすでに里穂と同じようにマゾの歓びにめざめている女だということも知らないで……。
 そのことを笠倉に秘密にしていることで多少うしろめたい気持ちもあったが、それ以上に美貴は自分のことをわかってくれるパートナーが現われたことのほうを喜び、これからはじまる三Pに胸をときめかせながら浴室から出た。
 
「え!? 二人して縛って責め嬲るって、そりゃあSMプレイじゃないの?」
 驚く早瀬に笠倉はうなずいていった。
「彼女、三Pの痴漢プレイでもあれだけ興奮して、早瀬さんとホテルにいかなきゃすまないぐらいですからね。まちがいなくマゾッ気がありますよ。早瀬さん、SMプレイの経験は?」
「ありませんよ、そんなもの」
「興味は?」
「そりゃあないといえばウソになるけど、でも笠倉さん、本気でSMやるつもり?」
 どうやって三Pをやるか二人で相談しながらビールを飲んでいるうちに真っ赤になってきた早瀬の顔は興味津々、ギラついている。
 笠倉はしたり顔でうなずき、持参したバッグを開けて見せた。バッグの中身は、この日退社したあとポルノショップにいって買ってきたバイブや手錠や鞭といったSMプレイ用の責め具だった。
「驚いたなァ、笠倉さんに痴漢だけでなくSM趣味まであったなんて」
 唖然としながらも早くも興奮した顔つきで早瀬がバッグの中を見ているとき、美貴が浴室からもどってきた。笠倉は急いでバッグのチャックを閉め、早瀬に耳打ちした。
「このことは彼女に内緒ですよ。こんどはこっちが驚かせてやりましょう」
 早瀬は真面目腐った顔つきでうなずいた。
 バスローブをまとった美貴は、その裾からのぞいたすらりとした脚に黒いストッキング を穿いていた。バスローブの下は悩ましいスタイルの下着をつけているにちがいない。
 笠倉は美貴と入れ替わりに浴室に入った。手早くシャワーを浴びながら、里穂と美貴のことを考えた。
 思いも寄らない里穂の秘密を知ったショックはまだ尾を引いていた。
 だが婚約を取り消すことはむずかしい。というよりこれから先、会社でのことを考えると、笠倉にとってデメリットのほうが大きい。
 それに里穂の秘密はショックだったが、彼女には美貴に負けず劣らず女としての魅力もある。
 美貴から里穂のことを聞いたあと、笠倉はそう考えてある計画を企てていた。
 それは里穂とSMプレイを愉しみながら一方で美貴を調教していき、頃合いを見て三人で会い、そういう雰囲気を作り上げていって三Pにまで持っていこうという計画だった。 里穂はマゾとして調教されているし美貴はあのように割り切っている。二人とも三Pをいやがりはしないだろう。それが成功すれば両手に花で、おおっぴらに二人の女を奴隷にすることができる。
 そのうえ里穂のような女と結婚すれば、スワッピングやスワップSMプレイなどを愉しめる可能性も充分ある。
 そうやってみると里穂との結婚もわるくない……。
 いままたそう思いながら笠倉は股間に眼をやり、ペニスが充血しているのを感じてニンマリしていた。



【社長秘書・淑女の秘密調教】


【1】
 きれいだ……。
 顔立ちそのものが整っているということもあるけれど、それに二十四歳という、女がもっともきれいになる年頃とはいってもここまで輝いて、しかもしっとりした色気まである女はそうそういない。
 そのうえ名門の女子大出で、それだけの知性も教養もそなえている。
 そのせいだろう。色気にも気品のようなものがある。
 こんな女をいままで男が放っておくはずがない。いまはボーイフレンドもいないということだけど、彼女をオンナにした男がいたはずだ。そうでなければ、ここまでの色気は出てこない。
 それにしても、ガードの堅い彼女をオンナにした男というのは、どんな男なのだろう。ま、そんなことは考えても仕方のないことだけど、想えば妬けてくる……。
「え!?……どうかなさったのですか?」
 食事をする手を止め、テーブルを挟んで向き合った詠美子を見ながら渡瀬がそんなことを想っていると、視線に気づいた詠美子が顔を上げて戸惑ったような表情で聞いた。
「いつ見てもきれいだと思って、見とれていたんだ」
「そんな……褒めていただくのはお世辞でもうれしいけれど、でもこんなとき、じっとごらんになるなるて、いやだわ」
「どうして?」
「だって恥ずかしくて、お食事ができなくなってしまいますもの」
「そうか。物を食べるという行為はセクシャルな行為を連想させる、というからね」
「そんな、そんな意味でいったのじゃなくて、わたしはただ……」
 詠美子はちょっとムキになって言い訳しかけたが、笑っている渡瀬を、イジワルネ、というような色っぽい眼つきなって、かるく睨んだ。からかわれたと思ったらしい。
 だが実際に渡瀬は、さっきから詠美子が食事をするのを見ているうちにセクシャルな行為も想像していたのだった。花びらに似た唇を開いて料理を口にする様子から、男のモノを咥えたときの顔を想ったりして。
 ホテルのレストランで食事中、渡瀬がそんな生々しい想像にかられたのも、すでに二人の間で結婚の約束ができていながら、まだ詠美子のすべてを知らないせいだった。
 渡瀬は三十四歳。新進気鋭の建築家である。設計事務所を構えて五人のスタッフを抱え、経営も順調にいっている。
 詠美子は渡瀬の設計事務所が半年ほど前から付き合いはじめた中堅の建設会社の社長秘書である。
 二カ月ほど前のことだった。
 T建設の社長の猪熊と渡瀬は社長室で会っていた。詠美子はそのとき席を外していた。仕事の話が一段落したとき、猪熊が唐突にいった。
「ところで、先生は独身主義ですか?」
「なんですか、突然に?」
「あ、いや、女に不自由はしていらっしゃらないでしょうが、もし決まった女性がいらっしゃるんでしたら、こういう話をしても失礼だと思いましてね」
「特定の女性はいませんけど、こういう話とはどんな話ですか?」
「じつはうちの椎名詠美子のことなんですが、彼女をどう思われますか?」
「どうって、秘書としても有能だし、それに美人で魅力的な女性だと思いますよ」
「ほう、お気に入りのようですね」
「一体どういうことですか? 彼女がどうかしたんですか?」
 勿体ぶった言い方をする猪熊に渡瀬が焦れたようにいうと、
「どうでしょう、椎名詠美子と結婚を前提に交際するというのは。そういうお気持ちはありませんか?」
「結婚!?」
「ええ。社長の私が秘書を褒めるのはいささか手前味噌のようですが、実際彼女は先生もおっしゃったように有能で魅力的な女性です。そのうえいまどき珍しく、プライベートのほうも堅い。結婚したらいい奥さんになることはまちがいないでしょう。私が独身であればプロポーズしたいところなんですけど、こればかりは……」
 最後は冗談めかして猪熊は笑いながらいった。
 そして、また真面目な顔つきになって、
「ただ私の本音をいえば、彼女にはもっと長く秘書をつづけてほしい。といってそれはこっちの都合であって、彼女の将来を考えれば、女としても幸せになってもらいたい。複雑な心境なんですよ。でも渡瀬先生にそのお気持ちがあれば、こっちの都合なんていっていられない……そう思いましてね。いかがなもんでしょう?」
 聞かれて、渡瀬は面食らいながら聞きかえした。
「社長のお話はともかく、肝心の彼女の気持ちはどうなんですか?」
「もちろん彼女にはそれとなく、先生のことは聞いています。いままでは好きなタイプの男のことなど聞いても乗ってこなかった彼女が、先生のことは相当意識しているようですよ」
 そういわれて渡瀬は照れ笑いした。が、実際はだらしなく頬がゆるんでしまった。
 渡瀬自身、本音をいえば、出会ったときから詠美子に魅せられていたのである。
 ただ、付き合いはじめたばかりの仕事先の女子社員、それも社長秘書ということを考えて、アプローチする時期をうかがっていたのだ。
 それが時期を待つまでもなく、思いがけないチャンスが転がり込んできたのだから頬がゆるむのも無理はなかった。
 そうして渡瀬は詠美子と交際しはじめた。
 二人は毎週一度、金曜日にデートして、渡瀬はますます詠美子に惹かれていった。そして一カ月後に早くもプロポーズして、詠美子の応諾を得た。挙式は来春という予定まで立てた。
 いまどきそこまで進展したカップルであれば、婚前交渉があって当然といっていい。
 渡瀬はそれを期待した。ところが詠美子は「結婚するまでは……」とガードが堅く、いまだに渡瀬はキスまでして許してもらえないのだった。
 
 この夜、渡瀬はホテルの部屋をチェックインしていた。
 食事が終わってレストランを出たところで詠美子の肩に腕をまわした。
「少し部屋で休んでいこう。このままだと飲酒運転で、お巡りさんにつかまっちまう」
 陳腐な誘い文句だとわかっていたが、ガードが堅い詠美子には気の利いた言葉よりも理に適った言い方のほうが断れないだろうと思ってそういうと、
「でしたら、ホテルの庭園を散歩しましょう。少しくらい寒くても、酔い醒ましにちょうどいいんじゃありません? わたしもそうしたいわ」
 詠美子はさらりといった。
 とっさに渡瀬は切りかえす言葉もなかった。そして、これ以上どんな誘い文句を繰り出しても無駄だと思った。
 みごとなまでに軽くかわされて、落胆を通り越した気持ちのまま、渡瀬は詠美子に手を引っ張られてホテルの庭園に出ていった。
 すでに夜の九時をまわっていた。十一月末の夜である。冷え込んできていた。庭園のところどころに立っている照明灯が枯れた芝生を照らして、暗い闇の中に樹木の黒い影を浮かび上がらせていた。
「気持ちいい……」
 詠美子は大きく深呼吸した。それを見て渡瀬は、はじめて憤りのようなものが込み上げてきた。
(一体彼女、この俺のことをどう思っているんだ?)
 なんとなく、からかわれているような気がした。
(結婚するまで最後の一線は守るというのは、ガードが堅いというのとはちがうんじゃないか。何か俺に隠したいことでもあるんじゃないか)
 憤りといっしょに得体の知れない疑惑のようなものがめばえてきて、渡瀬は『このままでは帰さないぞ』という気になって、詠美子を木陰に誘っていった。
 いきなり木に詠美子を押しつけると、強引に唇を重ねた。
 詠美子は呻いて抗った。両手で渡瀬を押しやろうとする。が、本気で拒み通そうという感じではなかった。
 唇を割って侵入しようとする渡瀬の舌を、詠美子は受け入れた。渡瀬が舌を絡め取ると、ためらいがちに絡めかえしてくる。
 片手を詠美子のコートとスーツの上着の胸もとから滑り込ませた。ブラウスとブラジャーの上から、ほどよいボリュームと弾力が感じられる乳房を揉んだ。
「うんッ……ふんッ……」
 鼻声を洩らして詠美子が渡瀬の手を胸からのけようとする。
 乳房を強く揉みたててやると、呻きに似た声を洩らしてその手が渡瀬の肩にかかり、狂おしそうに舌を絡めてきて、鼻声が艶めいてきた。
 詠美子の腰が戸惑ったようにくねる。渡瀬のズボンの前を突き上げたモノが下腹部に突き当たっているからだった。
 乳房を揉んでいた手を、渡瀬は詠美子の下半身に移した。タイトスカートの中に入れるなり股間に向けて侵入させた。激しく詠美子は顔を振った。
「だ、だめッ、いけませんッ」
 股間に侵入した渡瀬の手を両脚で締めつけて腰をくねらせ、両手で渡瀬を押しやろうとする。
 渡瀬はちょっとした驚きにつつまれていた。詠美子がつけていた下着が、意外にもガーターベルトでストッキングを吊ったスタイルだったからである。
 一瞬の驚きが興奮に変わり、ショーツの股間部分の脇から強引に手を入れた。まばらなヘアの感触があって、指先が秘唇に触れた。
「おねがいッ、やめてくださいッ、いけないわッ」
 詠美子は息せききっていって、上体を反らしてなおも渡瀬を両手を押しやろうとする。片腕で強く腰を抱き寄せたまま、渡瀬はまた驚いていた。詠美子の秘唇の間が、早くも失禁したように濡れていたからだ。
「どうして? もうこんなになってるのに」
「そんな、いや……おねがい、ゆるしてくだ……」
 いきなり渡瀬は詠美子の中に指を入れた。顔を振って懇願していた詠美子は、ヌル〜ッと蜜壷に指が侵入した瞬間、悩ましい表情を浮かべてのけぞった。と同時に渡瀬の指を、熱く潤みきった蜜壷がジワッと締めつけてきた。
「ああッ……だめェ!」
 一瞬、エロティックな反応に気を奪われていた渡瀬を、詠美子は腰をひねって強く押しやり、小走りに駈けだした。
 
【2】
 土曜日の午後、渡瀬は誰にも内緒で借りているワンルームマンションの部屋にいた。
 シャワーを浴びたあとバスローブをまとって暖房の効いた部屋でビールを飲んでいると、また昨夜の詠美子のことが頭に浮かんできた。
 あのあとロビーで詠美子に追いつき、ホテルの部屋に連れていこうとすると、詠美子は頑に拒んだ。
 それで仕方なく諦め、車で詠美子を家の近くまで送っていったのだが、ますます詠美子のことがわからなくなってきた。
 あれほど濡れていながら、それでもなお頑に拒むというのは、一体どういうことなのか。
ただ単にガードが堅いとか、婚前交渉がいやだ、というだけではないのではないか。
 もしそうだとすれば、何か秘密を隠しているということになりはしないか。それも躯のことか性的な秘密、といったようなものを。
 しかし彼女にかぎって、そういうことで隠さなければならない秘密のようなものがあるとはとても想えない……。
 ただ、ガーターベルトをつけた、あのセクシーな下着は、どういうことなんだろう。俺と交際しはじめたときもボーイフレンドもいないといっていたし、まして結婚するまでは俺との婚前交渉を拒むつもりであれば、あんな悩ましい下着は必要ないはずだ。
 それとも、必要なわけでもあるのだろうか。
 まさか、そんなことがあるはずはない。彼女自身、喜んでプロポーズを受けてくれたのだから……。
 昨夜から何度も泡のように浮かび上がってくる疑惑と自問自答を繰りかえしていると、インターフォンが鳴った。
 玄関に出てドアを開けると、ミキが立っていた。
「やァ。さ、どうぞ……」
「失礼します」
 ニッコリ笑って入ってきて、
「渡辺さん、これで三回目じゃない?」
 ドアをロックする渡瀬の後ろで靴を脱ぎながら、屈託なくいう。
「ああ。すっかりミキの魅力に参っちゃったからな」
「またァ、うまいんだからァ。でも、わたしも渡辺さんだとホッとしちゃう。あ、ちょっと電話借りるね」
「ああ。飲み物は何がいい? といってもコーヒーか、あとはリンゴかオレンジの缶ジュースしかないけど」
「わたし、リンゴジュース」
 ハーフコートを脱いでソファに坐ったミキはプッシュフォンを膝の上に置き、ボタンを押している。
 連絡先は「ブルーエンジェル」という事務所で、そこは女子高生を専門に抱えて彼女たちにポケベルを持たせ、客の会員から事務所に電話がかかってくると彼女たちに連絡を取って会員のもとに派遣する、いわゆる“ポケベル売春”をやっているのである。
 ミキは「ブルーエンジェル」に所属する女子高生の一人で、公立高校の二年生。渡瀬はそこの会員で、「渡辺」という偽名を使っている。
 このワンルームマンションの部屋は、そのために借りているのである。といって渡瀬自身、とくに女子高生が趣味というわけでもなかった。
 最初は単なる好奇心からだった。
 ところが派遣されてきた女子高生が意外にもフツーの、それも「うちは可愛い娘を厳選しています」という事務所の男の言葉どおりだったので、たちまち好奇心や興味の域を越えてしまった。
 それに当初は罪悪感のようなものもあった渡瀬だが、女子高生たちはみんなあっけらかんとしていて、そんなことを感じる必要もなかった。
 ミキは渡瀬が相手にした女子高生のうちで一番の美少女だった。
「ポケベルをどこで聞いたんだ?」
「喫茶店。友だちとダベッてたの」
 リンゴジュースを半分ほど飲んで、グラスをテーブルの上に置きながらミキはいった。
「彼氏か?」
「ちがうよォ。女の友だち。その子も『ブルーエンジェル』に所属してるの。わたしが誘っちゃったんだけど。ルミって子よ。こんど指名してあげて」
「そうだな。じゃあこんど、ミキとその子を呼んで、レズをやらせて三Pに突入するってのもおもしろそうだな」
「やァよォ、そんなの」
 ぶつ真似をしたミキを渡瀬は抱き寄せて唇を重ねた。ふっくらした唇を分けて舌を差し入れ舌を絡め取ると、甘い鼻声を洩らしてミキも絡めかえしてくる。顔を振ってミキが唇を離した。
「シャワー、浴びてくる」
 黒光りしたストレートのロングヘアの間の、コケティッシュな顔が上気している。
「今日は延長するから、シャワーは途中とあとで浴びればいいよ。それよりミキのストリップが見たい」
「エーッ、なんだか今日の渡辺さんてヘンだよ」
「どうして?」
「だって、いままでそんなこといわなかったもの」
 笑い顔でなじるように渡瀬を見て、ミキはソファから立ち上がった。
 渡瀬は思わず苦笑していた。詠美子にお預けを食っているうちに欲望が尖ってきていたのかもしれない。
 ミキはセーターを脱いだ。白いブラを着けている。
 つぎにミニのタイトスカートを脱ぎ落とした。肌色のパンストの下に白いサイドストラップのビキニショーツが透けている。
 ミキはプロポーションもいい。熟れて官能的という躯ではないが、ピチピチした肌といい、熟れかけて硬そうに張った胸や腰といい、文字どおり青い果実を想わせる。 バスローブを脱いだ渡瀬のブリーフの前は早くも盛り上がっていた。
 ついでミキはブラを外し、パンストを脱いだ。
 最後にショーツを脱いでポイと投げると両手で股間を押さえ、「ハイ」と笑ってシナをつくって見せ、ベッドに駆け込んでいく。
 ブリーフを脱ぎ捨てた渡瀬も、追いかけてベッドに入った。
 仰向けに寝たミキに覆いかぶさっていくと、嬌声をあげて抱きついてきた。エレクトしたモノが下腹部に突き当たって、ミキは若鮎が跳ねるように腰を上下させる。
 お椀型に盛り上がった乳房の頂の、ほどよい大きさの乳暈からツンと突き出したピンク色の乳首に、渡瀬はしゃぶりついた。舌でこねまわしながら、片手で一方の乳房を揉む。
「うんッ……ああッ、あんッ……」
 きれぎれに喘ぎながらミキは悩ましい表情を浮かべてのけぞる。
「さっき、俺だとホッとするといってたけど、どうしてなんだ?」
「だって渡辺さん、ヘンなことしないもん」
「ヘンなことをする男がいたのか?」
「そう。あぶないヤツ……」
 ミキはそのときのことを渡瀬に話した。
 男は二十三歳の独身の会社員で、ミキにとってはじめての相手だった。
 ミキが男が住んでいるマンションの部屋にいくと、いきなり男は、裸になってオナニーして見せてくれといった。ミキがいやがっても、それだけしてくれれば何もしない、恥ずかしかったら目隠ししてもいい、としつこく食い下がった。
 仕方なくミキは男のネクタイで目隠しして、オナニーして見せた。すると男は、ハアハアと息を弾ませていたかと思うと、ウッと呻いた。
「わたしがオナニーするのを見て、シコシコしながらイッちゃったのよ」
「ふーん。でも楽でいいじゃないか」
「楽だけど気色わるいよ。急いで逃げ出してきちゃった」
「で、本気でオナニーしたのか?」
「ていうか、最初はいい加減にしてたの。でも途中で彼がハァハァいってるのがわかって、早く終わらせてやれとか思ってしてたら、けっこうマジになっちゃって……」
 ミキは笑っていう。渡瀬はその話に刺戟されながらミキの下半身に移動して両脚を押し開いた。
 ふっくらした船底型の肉にスリットのような割れ目が走った秘苑があらわになった。
 ヘアはもっこりと盛り上がった肉丘が透けて見えるほど薄い。
 両手で船底型の肉をひろげると、ピンク色の細い筋に似た秘唇がパックリと開き、濡れ光ったパールピンクのクレバスが顔をのぞかせた。
「あッ、シャワー浴びてないからだめェ」
 渡瀬が顔を近づけるとミキは両手で股間を押さえ、嬌声をあげて腰を揺さぶった。
「かまわないよ。ミキの躯はどこもきれいだから」
 渡瀬はミキの手をどけて強引にクンニにいった。舌で鋭敏な蕾をすくい、こねまわす。
「あんッ、だめェ……あッ、はんッ、ああ、あはんッ……」
 焦れるように振れていた腰が、せつなげな喘ぎ声につれて蠢く感じになってきた。
 最初のうち渡瀬の鼻先を、かすかにアンニモア臭とチーズの匂いが混じったような臭いがかすめ、舌先に酸っぱいような味があったが、すぐにそれが消えて、なんとなく甘ったるい匂いと味がしはじめた。
 クリトリスだけでなく、秘苑全体を舐めまわす渡瀬の舌でそこが清められ、さらに新たな蜜が湧きだしてきたからだろう。
 ミキは感泣しはじめた。両手でシーツをつかみ、上体をよじったり反らしたりして、みずみずしく張って盛り上がった乳房をプルプルふるわせている。
「ああん、いいッ! だめッ、もうだめッ……」
 絶頂が近づいてきたのを見て、渡瀬は顔を上げた。ミキの手を取って彼女の下腹部に導いた。
「ほら、オナッて自分でイッてごらん」
「エ〜ッ、やだァ。そんなのだめェ」
「俺には見せてくれないのか? さ、オシャブリしながらやってごらん」
 渡瀬はミキの顔をまたいでシックスナインの態勢を取った。
 ミキの左手が肉棒にからみ、舌が亀頭に這ってきた。ちろちろと舐めまわす。
 右手は、渡瀬の顔の真下の、ヘアのあたりにある。その手がそろそろと濡れ光ったクレバスに這った。
 中指が、ふくれあがってほとんど露出したクリトリスをとらえ、ゆっくりと撫でまわし、ミキは泣くような鼻声や切なげな喘ぎ声を洩らしながら、うねうねと腰を上下させはじめた。
 肉棒を咥えて顔を振ったり、咥えていられなくなって舐めまわしたりしながら、中指の腹でクレバスをこするようにしてクリトリスを刺戟している。そこからかすかに濡れた生々しい音がたつ……。
「ああん、だめェ……ああん、もう、もうイクッ、イッちゃう!」
 泣き声でいうなりミキは左手で肉棒を握りしめ、投げ出していた両脚の内腿で右手を締めつけて躯を反らすと絶頂の痙攣を走らせた。
 渡瀬はコンドームを装着し、ミキの中に押し入った。
 充分すぎるほど濡れていても窮屈な蜜壷にズッポリと収まった肉棒を、ゆっくり抜き挿しした。
 それに合わせてミキは苦悶の表情を浮かべ、顎を突き上げるようにしてのけぞったり、狂おしそうに顔を振ったりして、切迫した喘ぎを吐く。
 まだ膣ではイッたことがないのだ。その初々しい反応に渡瀬は興奮を煽られ、そして、まだ充分にこなれていない蜜壷の感触に新鮮な快感をおぼえながら、律動をつづけた。
 
【3】
「まだイクって感じまでにはならないか?」
「……かな。気持ちよくはなるけど……」
 ミキは苦笑いして、仰向けに寝て煙草にライターの火を吸いつけた渡瀬の胸に、火照った頬を乗せてきた。
 渡瀬はサラサラした長い髪を撫でながらいった。
「それにしてもミキのような可愛い子が、どうして“売り”をやろうと思ったんだ?」
「そりゃあお小遣いもほしいから……」
「お小遣いも、ってことは、ほかにもわけがあるのか?」
「うーん、いってもしょうがないことだけど、出来のいい姉を持って、親とか姉に反発する気持ちがあったのかな」
 自嘲する口ぶりでミキはいった。
「姉さんて、じゃあ大学生か?」
「ううん。ちょっと歳が離れてるの。もう二十四。名門の女子大出て、OLしてる。といっても社長秘書。わたしとちがって出来がよくて、親は自慢の娘なの。そのおかげでわたしなんかずっと、親から『お姉さんを見習いなさい』なんていわれて、そんなこといわれつづけてきたら、誰だっていじけちゃうよ」
「姉さん、どんな会社に勤めてるんだ?」
「建設会社……」
 まさかと思いながら聞いた渡瀬はドキッとした。
 名門の女子大を出て建設会社の社長秘書で二十四歳といえば、そっくりそのまま詠美子に当てはまる。
「お姉さんの名前はなんていうの?」
「どうして?」
 顔を起こしたミキが怪訝な表情で聞く。
「いや、知ってる人かと思って……たぶん人違いだろうけど」
「名前はエミコだけど、そう?」
 ミキは渡瀬の反応をうかがうような顔つきでいった。とっさに渡瀬は内心の動揺を笑いにして答えた。
「やっぱり人違いだったよ」
 またミキは渡瀬の胸に頬を乗せた。
「でもわたし、姉の秘密知ってるの」
「秘密!?」
 ミキはうなずき、渡瀬のペニスに手を這わせていじりながら、
「不倫してるの。わたしも驚いちゃったけど、絶対あれは不倫よ」
「どうしてわかったんだ?」
 渡瀬の声はうわずっていた。
「偶然見ちゃったのよ。姉がマンションに入っていくところを。変だなァと思って、あとをつけてみたの」
 すると、姉はエレベーターで七階に上がった。
 ミキも七階に上がってみた。一つだけ表札が出てない部屋があった。ここかな、と思って前に立っていると、エレベーターが開いて、中年の男が出てきた。
 ミキがその男とすれちがって隠れて見ていると、男がその部屋のインターフォンを押し、ドアが開いて姉の顔が見えたのだという。
「それ見てわたし、笑っちゃった。なんだ、いい子ぶってるけど、姉ちゃんもやることはやってるんじゃないかと思って」
 渡瀬は呆然としていた。さっきから胸の中に生じていた黒い塊が、コールタールが溶けて流れるようにひろがっていくのを感じながら。
 
【4】
 渡瀬の秘密の部屋のベッドの上に仰向けに寝た詠美子は、ぐったりとして完全に寝入っていた。
 ミキから姉の秘密を聞いた三日後の夜だった。
 あのあと渡瀬はミキから、これまで姉は決まって日曜日に出かけていた、偶然男と密会している現場を目撃したのも日曜日だった、ということを聞いて、ミキを使って盗聴することを思いついた。
 飽くまで第三者を装って興味津々、渡瀬がその計画を持ちかけると、ミキは驚いたが姉に対する屈折した気持ちがあったからだろう、「おもしろいかも」といって乗ってきた。
 翌日の日曜日、渡瀬は詠美子に知られている自分の車ではなくレンタカーにミキを乗せて、詠美子が男と密会しているマンションのそばに車を駐めて待機した。
 やがて詠美子が現われ、あとからミキが盗聴器を持って部屋にいった。
 しばらくしてもどってきたミキの話によれば、当然のことだが姉はびっくりしてあわてふためき、ここは女友だちの部屋で彼女はいま出かけているのだと言い訳をして、早々にミキを帰そうとしたという。
 その間にソファの下に盗聴器を隠してきたミキは、だがいざとなると姉の情事を盗聴する気にはなれなくなったらしく、渡瀬を残して帰っていった。
 ミキが帰ってすぐだった。
 渡瀬はマンションに入っていく男を見て、驚愕した。なんと、渡瀬に詠美子を引き合わせたT建設社長の猪熊だった。
 やがて盗聴器がキャッチした詠美子と猪熊の会話は、さらに渡瀬を驚かせた。
 その話からすると、どうやら猪熊は詠美子との関係を妻に疑われはじめているらしい。そこで、カムフラージュのために詠美子を渡瀬と結婚させて、そのあとも関係をつづけようという魂胆のようだった。
 そのとき渡瀬は、猪熊は猪熊家に婿養子に入って社長になっていることを思い出した。
 そんなことより渡瀬の肚は怒りで煮えくりかえっていた。
 が、その直後、渡瀬は頭の中が真っ白になり、ついで頭の中から全身が熱くなった。詠美子の艶めかしい喘ぎ声や呻き声、猪熊の怒声や打擲音……。その声や音は紛れもなく、SMプレイのそれだった。
 そしてその翌日の今日、渡瀬は折入って話があると詠美子を秘密のこの部屋に連れてきて、睡眠薬入りのジュースを飲ませて眠らせたのだった。
 
 渡瀬は詠美子の服を脱がし終えた。
 詠美子はすべて黒いレースの悩ましい下着をつけていた。ブラジャーとビキニショーツとガーターベルトの三点がセットになって、ストッキングも黒だった。
 絖白い素晴らしくプロポーションのいい裸身を、黒い下着がよけいに悩ましく見せている。
 ブラジャーとビキニショーツを脱がせて、ガーターベルトとストッキングだけを残すと、渡瀬はロープで詠美子の両手両足を大の字の形にベッドに縛りつけた。
 すべてがあらわになった詠美子を見て、渡瀬は不意に笑いが込み上げてきた。「いまにみてろ」という猪熊に対する報復の笑いと、こんな形でしか詠美子をモノにすることができなかった自嘲の笑いが入り交じっていた。
 渡瀬はビデオカメラを手にしてまわしはじめた。盗聴した録音テープと詠美子を犯したビデオテープを猪熊に送りつけてやるつもりだった。
 ビデオカメラをまわしながら、詠美子の両脚の間に坐ると、こんもりと盛り上がった下腹部の丘を飾っている艶やかなヘアを手で撫で上げた。
 その下の秘苑は、コーラルピンクの秘唇がパックリと口を開けて、パールピンクのクレバスまであらわにしている。
 渡瀬のズボンの前は痛いほど突っ張っていた。
 艶々しいヘアにシェービングクリームを塗りつけた。剃刀で、ヘアを剃っていく。それもビデオに撮る。
 きれいさっぱりヘアを剃り落とすと、のっぺりした恥丘の盛り上がりが露骨になり、幼女のような丘と大人の秘苑とのアンバランスな眺めが、全体の眺めをより淫猥に見せた。
 詠美子はまだ顔を横にして眠りつづけている。
 ベッドの周りにはバイブや鞭といったSMプレイ用の責め具が一通りそろっていた。 渡瀬は詠美子のクレバスに指を這わせた。
 半分のぞいたクリトリスの包皮を剥いて完全に露出させ、そォ〜と指先でまるくなぞってやると、詠美子は小さな呻き声を洩らして腰をもじつかせた。
 が、目覚める様子はない。そのままクリトリスを微妙にくすぐっていると、夢にうなされているような声を洩らして悩ましい表情を浮かべてのけぞりながら、腰を左右に蠢かせたり上下にうねらせたりする。
 眠っていても性感はあるらしい。みるみるクリトリスがふくらんできて、クレバスが濡れ光りはじめた。
 柔襞に挟まれた膣口が喘ぐように収縮して、透明な蜜を流している。
 ふくれあがったクリトリスに渡瀬は舌を這わせた。呻いて腰をうねらす詠美子の蜜の味が、ひどく苦く感じられた。



【階下の人妻・肉棒厄払い】


【1】
(厄年、か……)
 駅前から乗ったタクシーの中で、嵯島は溜め息といっしょにつぶやいた。
 今夜、学生時代からの親友と飲んでいて、厄年の話になった。
 二人とも四十二歳だった。
 友人は厄払いをしたといっていたが嵯島はしていない。妻にすすめられたが、そんなものは迷信だといって取り合わなかった。
 この歳になれば、躯のどこかにガタがきてもおかしくはない。まして人生、すべてが順調にいくはずもない。不幸や不運はつきものだ。失敗もあれば厄介なことも起こる。それを歳のせいにするのは、こじつけというものだ。
 嵯島はそう思って厄年のことなどまったく気にしていない。友人にもそんなことをいうと、彼は真顔でいった。
「俺もそう思ってたよ。ところが厄年になったとたん、ゾッとするようなことがつづいたんだ」
 駅の階段を踏み外して転げ落ちそうになったり、信号待ちをしていて、赤なのにフラッと出ていって、危うく車にはねられそうになったりしたらしい。
「それはでも、酒に酔ってたとか、なにか考え事をしてぼんやりしていたとか、それなりの理由があったんじゃないのか」
 嵯島が笑っていうと、友人は真顔になっていった。
「そうじゃないんだ。それなのにそんなことがつづいた。偶然なのかもしれない。だけど気になるじゃないか。それで厄払いしてもらったんだ。おまえのほうはそういうことはないのか?」
「べつに……」
「そうか。でもなにかいやなことが起きる前に、気休めだと思って厄払いはしておいたほうがいいんじゃないか」
 すっかり厄年の災いを信じた口ぶりで忠告する友人に、嵯島は苦笑するほかなかった。
 嵯島も友人も大手企業の中間管理職で、ストレスが溜まりやすい立場にある。それもあって、このところ二人で飲んでいると、よく体調の話になる。
 おたがいにまだ若いつもりでも四十代に入ってから体力の衰えは否めない。頭で考えたとおりに躯がついてきてくれない。そこにギャップが生じるようになった。
 酒も弱くなった。酔っぱらって、あとでそのときのことを思い出そうとすると、部分的に記憶が途切れていることがしばしばある。
 それはだけど厄年には関係ない。そういう年齢になったということだ。
 酔った頭でそんなことを思っているうちにタクシーが自宅のあるマンションに着いた。
 東京西郊の、分譲マンションが林立している地区である。ここの三LDKの部屋に、嵯島は一つ年下の妻と中学二年の長女に小学校六年の長男の四人で住み、いまのところ厄年を迎えた彼自身にも家族にも取り立てていうほどの問題はなく、平穏無事な生活を送っている。
 マンションの玄関を入ってエレベーターに乗った。自宅は十二階建てマンションの十一階にある。
 今夜は記憶が途切れるほど酔ってはいなかったが、多少足もとがふらついた。腕時計を見ると、十一時をまわっていた。退社後の七時頃から十時頃まで飲んでいたので、かなりの量飲んではいた。
 エレベーターを降り、自宅の前までいってインターフォンを押した。
 妻はまだ起きているはずだが、応答がない。鞄から鍵を取り出そうとしたとき、ロックを外す金属音がしてドアが開いた。
 嵯島は「あッ!」と声をあげた。
 出てきたのは妻ではなく、自宅の真下の部屋の、高村久美という人妻だった。
(しまった! エレベーターのボタンを押しまちがえたらしい)
 嵯島はうろたえ、あわてて謝った。
「すみません。まちがえました」
 うろたえたのはそのためだけではなかった。久美が白いシャツ一枚の姿で、胸のふくらみがのぞいて見えそうなほど胸もとを開き、太腿もあらわな格好だったからだ。
 嵯島は驚いた。なぜか思い詰めたような顔つきをしている久美に腕をつかまれていた。
「嵯島さん、入って!」
「奥さん!」
 面食らっているうちに強引に部屋に引っ張り込まれた。久美はドアをロックすると、いきなり抱きついてきた。
「嵯島さん、抱いてッ!」
「どうしたんです奥さん。なにかあったんですか!?」
 どきまぎしながら嵯島は両手で久美の肩を押しやった。
「おねがい、抱いてッ! ねッ、わたしを抱いてッ!」
 切迫していって、久美はまたしがみついてきた。
 その行為もだが、なにかに憑かれたような顔つきも尋常ではない。
「ご主人はどうしたんですか?」
「主人!?」
 久美は嵯島の胸から顔を離した。茫然とした表情で嵯島の胸を見つめたまま、
「あんな男、もういないわ、いないの。女にだらしないんだから当然なのよ」
 うわごとのようにいう。
 嵯島は高村夫婦が別れたという話は聞いていない。もっともマンションの住人たちの集会で顔を合わせる程度の付き合いだから、噂になればべつだが、立ち入ったことは知る由もない。
 高村夫婦について嵯島が知っていることといえば、三十代後半の夫の高村は商社マン、三十代前半の妻の久美は元スチュワーデスで現在は地上勤務。共稼ぎで子供はまだいないという程度である。
 ただ、そういえば以前はよく集会に顔を出していた夫の高村が、このところ出てこなくなって、かわりに久美が出席している。
 嵯島は妻に頼まれていやいや出ているのだが、本音をいえば、男好きのする華やいだ顔立ちをしてプロポーションもいい久美と会うのが愉しみで出ているようなものだった。
 久美の言い方からして、高村の女の問題が原因で別れたのかもしれない。それもつい最近に……。
「じゃあご主人と別れたんですか?」
 嵯島はうろたえながら聞いた。なおも久美が「抱いて」とうわごとのようにいいながら、嵯島の脚を両脚で挟んで下腹部をすりつけてくるのだ。
「別れた?……ええ、別れたの、永遠に。だから、あんな男のことなんか気にしないでいいの」
 嵯島の首筋に頬ずりしながら久美は囁く。息が弾んでいた。
(永遠に!?……そこまでいうほど、夫に愛想が尽きたということか)
 その言い方を気に止め、そう思ったのはほんの一瞬のことで、嵯島はまたどきまぎさせられた。久美の手がズボンの前をまさぐってきたからだ。
「ね、わたしを抱いて。今夜だけでいいの。今夜だけ、なにもかも忘れさせて」
 うわごとのようにいいながら下半身をこすりつけ、みるみるふくらんできたズボンの前を手で撫でまわす。太腿に生々しく感じる恥骨の感触と分身をくすぐる手の動きに煽情されて、嵯島は衝動的に久美を抱きすくめ、唇を奪った。
 舌を滑り込ませていくと、嵯島より久美のほうが貪るように舌を絡めてきて、甘い鼻声を洩らす。それで嵯島もますます煽られて、たがいに貪り合うようなキスになった。
 嵯島は久美のシャツの裾をまさぐった。ショーツの上から手を入れた。しっとりしたヘアの下に指先を滑り込ませると、柔襞の間はもうジットリと濡れていた。
 ぬかるんだ溝を指でこすった。嵯島と舌をもつれ合わせている久美が舌の動きを忙しくしてせつなげな鼻声を洩らし、腰をもじつかせる。
 腰が指の挿入を求めるような動きをみせはじめた。嵯島がそうしようと思ったとき、息苦しくなったか、久美が顔を振って唇を離して腰を引いた。息を弾ませながら、
「うれしい……ね、きて」
 そういって嵯島の手を取った。そのときはじめて嵯島は久美が酒を飲んでいることに気づいた。華やいだ顔立ちが酒の酔いと興奮のためにゾクッとするほど凄艶な感じになって、嵯島を見る眼がキラキラしている。
 嵯島も息が弾んでいた。久美に手を引かれるまま、部屋に上がった。
 
【2】
 部屋の造りは嵯島の自宅と同じだった。リビングルームを通って久美は嵯島を寝室に連れて入った。
 うっかりして階をまちがえたことといい、そのためにいまにいたる思いがけない成り行きといい、これは酒に酔って帰宅する途中、どこかで寝込んでしまって、その間に見ている夢の中のことではないのか。嵯島はそう思った。
 と同時に、こんなことをしていいのだろうかと危惧し、逡巡していた。
 状況的には据膳といっていい。が、相手は自宅の真下の部屋に住んでいる女だ。据膳とはいえ、こんな状況で食っていいものか。
 それに久美は「今夜だけ」といっていたが、厄介なことにならないという保証はない。
 夫と別れて、まだ久美は気持ちの整理がついていないのかもしれない。それを紛らわせるために酒を飲んでいた。そこに突然嵯島が現われ、酔った勢いで迫った。欲求不満もあるのかもしれない。
 寝室に入るまでのわずかの間に、ときめきや、それとは反対の罪悪感や危惧や逡巡が嵯島の中を駆け巡っていた。
 が、向き合って立った久美がワイシャツを脱ぎ落とした瞬間、ときめきと反対のものはすべて消し飛んだ。
 久美は薄いブルーのサイドストラップのビキニショーツをつけているだけだった。
 寝室にはキングサイズのダブルベッドが置かれ、そばのスタイドの明かりが点いているだけだったが、それでも暗いという感じはない。柔らかい明かりが寝室全体をつつみ、艶めかしいムードを醸していた。
「脱いで、嵯島さんも」
 くぐもったような声で久美がいった。両手の親指をサイドストラップにかけて、ショーツを脱ぎ下ろしていく。
 見とれていた嵯島はあわててスーツの上着を脱いだ。手早く脱衣しながら、全裸になっても両手を下ろして躯を隠そうともせず、どこか思い詰めたような顔つきで俯いている久美に眼を奪われた。
 柔らかい明かりの中で乳色に煙ったように見える裸身は、男の視覚と股間をしびれさせずにはおかない熟れをたたえ、プロポーションも素晴らしい。
 乳房はやや上向きに反って形よく張り、とりわけウエストのくびれから悩ましくひろがった腰と腰部のY字谷を飾る漆黒のヘアの眺めが熟女ならではの濃厚な色気をたたえて、迫ってくるようだ。
 いつになく嵯島は激しく勃起していた。最後にブリーフを脱ぐと、ブルンと弾んで肉棒と化したペニスが露出した。
 それを見て久美は喘ぎ、崩折れるようにして嵯島の前にひざまずいた。捧げ持つようにして両手を怒張に添え、いきなり舌を絡めてきた。
 気圧された感じで嵯島が見下ろしていると、眼をつむって雁をねっとりと舐めまわし、ついで先から根元までなぞるように唇を這わせて舌をじゃれつかせながら、同時に片手で袋をくすぐりたてる。
 そうして肉棒全体を賞味するように舐め、咥えると、顔を振って口腔粘膜でしごきたててくる。
 それもときおり口から肉棒を出しては舐めまわし、また咥えてしごく。
 それをを繰りかえしながら、まさにしゃぶり尽くすようなフェラチオにふけっているうちに久美は興奮し欲情してきたらしい。せつなげな鼻声を洩らしはじめた。
 鼻声に混じって唾液をすすったり舌がじゃれついたりする生々しい音が響く。淫らなほどくっきりとハート型に張った尻が、さも口にしているモノを欲しがっているようにモジモジしている。
 見下ろしている嵯島も興奮していたが、酒の酔いがまだ充分に快感を味わう余裕をもたらしていた。
 緩やかにウエーブがかかったセミロングの艶のある髪に嵯島は両手を差し入れて、久美の首筋から耳をなぞりながらいった。
「巧いね、奥さん」
「ああッ、もうほしい、もうちょうだい!」
 唾液で濡れ光った怒張を手に、それを発情した顔つきで凝視したまま、久美がうわずった声でいった。
 嵯島は久美を抱いて立たせた。滑らかな肌が吸いついてくる感じがして、抱き心地のいい躯だった。
 フェラチオしているうちに酒と興奮の酔いがミックスして両方のそれが倍加したように、立っているのがやっとの久美を抱いてベッドに倒れ込んだ。
 キングサイズのダブルベッドの上掛けは取られていて、ベッドの反対側の床に無造作に投げ出されていた。
 嵯島は久美の上になって躯を重ねた。胸で押しつぶした乳房は三十代前半とは思えない弾力があった。
 こんどは嵯島のほうが貪るようにキスした。久美もそれに応えて熱っぽく舌を絡めてきて、せつなげな鼻声を洩らしながら、腰を猥りがわしくうねらす。そうやって突き当たっている嵯島の怒張に下腹部をすりつけてくる。
 嵯島は躯をずらした。仰向けに寝ていても上反りぎみの形を保っている乳房を両手で揉み、野苺のような赤褐色の乳首にしゃぶりつくと、吸いたて、舌でこねまわした。
 久美はきれぎれに喘ぎながら、嵯島の首にまわしていた両手を離してシーツをつかみ、胸を反らすようにしてのけぞる。
 野苺がみるみるふくらんで勃ってきた。それを見届けて嵯島は、さらに徐々に躯をずらしていった。
 両手と口舌を使って熟れた女体をなぞって久美を悶えさせながら、下腹部の漆黒のヘアのそばまでいくと、肝心な部分には触れず、久美の躯を裏がえした。
 嵯島は久しくなかった興奮につつまれていた。いままで妻以外に何人かの女との浮気の経験はあったが、このところそのためにかかる手間や厄介なことになるのを避けるための事後処理を考えただけで億劫になり、浮気とは無縁だった。
 それが今夜は思いがけないまちがいから、そんなことを考える暇もなく、それも女に迫られて一気に情事に突入した。
 しかも相手は、夫と別れたばかりらしいが以前から好意を抱いていた、自宅の真下に住む魅力的な人妻である。
 危ないスリルを感じつつ久美を抱いているうちに、そのぶん嵯島は異常に興奮していた。
 そればかりか、しだいに開き直った気持ちになって、どうせならじっくりと久美の躯を味わってやろうという、いかにも四十男らしい欲望が込み上げてきていた。
 うつ伏せになった久美の裸身も素晴らしかった。背中からウエストのくびれに向けてなだらかなスロープを描き、ヒップの双丘がいやらしいほどこんもりと盛り上がっている。
「いい躯をしてるね奥さん。こんなに魅力的な奥さんを、高村さんも勿体ないことをするもんだ」
 男にとって妻とほかの女はちがうことはわかっていて、嵯島がそういいながら、指先で背筋から尻の割れ目に向けてなぞっていくと、久美は喘いで身をくねらせて、
「あんな男のこと、いわないでッ」
 強い口調でいった。
(そうだ、亭主のことなんか関係ない。ここはもう、おたがいに獣になって愉しむべきなんだ……)
 嵯島は自分がいった言葉に苦笑いしながら、艶のあるセミロングの髪を顔で分け、うなじにキスした。久美は喘いで首をすくめる。そのまま唇と舌で肩の線をなぞる嵯島が軽く肩を噛むと、喘ぎを高めて躯をふるわせる。
 さらに躯の前を攻めたときと同じように両手と口舌を使って、背筋、脇腹、ウエストのくびれと愛撫し、なぞってやると、久美は感じた声をあげながら熟れた裸身を蛇のようにくねらせて悶える。
 むっちりとしたヒップを、嵯島は両手で賞味するように撫でた。ひんやりとした双丘がキュッ、キュッとしこって、丘の裾にくっきりと尻笑窪が浮かぶ。そこにキスし、ヒップに頬ずりして、尻の割れ目を舌でなぞってやると、
「うう〜ん、いやァ……焦らしちゃいやァ」
 久美はたまらなさそうに嬌声をあげて腰を振り、自分から尻を持ち上げて肝心な部分への愛撫を催促する。
 そのままバックから久美の中に押し入ることもできた。が、嵯島はなおも焦らしにかかった。焦らして愉しもうという魂胆とはべつに、肝心な部分を観賞し攻めるのは、最後の最後まで取っておいたほうが愉しみが倍加するという思惑もあってのことだった。
 ふたたび久美を仰向けにすると、嵯島は足もとにひざまずいて両脚を抱え上げた。足の指を口に含んでしゃぶり、両手で、すらりと伸びた脚を愛撫した。
「そんなッ、ああん、くすぐったい!」
 久美は戸惑ったようにして悶える。
 最初のうちこそくすぐったがったが、かまわず嵯島が両足の指を交互にしゃぶってやると、感じた声を洩らして両脚をブルブルふるわせはじめた。
 さらに悩ましい表情を浮かべて喘ぎながら、両脚をすり合わせたり、胸を突き上げてのけぞったりして、
「ああ、いいッ、こんなのはじめてッ」
 と、快感と同時に足の指まで舐められて感動したようにいう。
 久美の両足を、嵯島は両肩に担いだ。そうして両脚を交互に股間に向けて舐め上げていく。
「ああん、だめェ……いじわるゥ……そこ、してェ」
 内腿の付け根まで舐めても肝心な部分に触れようとはしない嵯島に、久美は狂ったように腰を上下させて焦れる。「そこ」がどこか、なおも焦らしながら嵯島が聞くと、興奮しきった顔つきになって、
「オマ×コ、もうオマ×コしてッ!」
 意外にもいきなり露骨な言葉で求め、うねうねと腰を淫らに波打たせて催促する。
 嵯島は驚いたが興奮を煽られた。
「じゃあその前にじっくりと、奥さんのオマ×コを見せてもらおうか」
 いうなり久美の両脚を大きく押しひろげた。喘いで裸身をうねらせた久美の、はじめて見る秘苑が目の前にあからさまになった。
 まるで失禁したように濡れたそこは、薄い唇を想わせる赤褐色の柔襞がパックリと口を開けてパールピンクの秘粘膜を露出し、唇の両側に口髭のように生えたまばらなヘアがその眺めをより生々しく、淫猥に見せている。
 さんざん焦らされているうちに勃起してきたのだろう。開口した秘唇の上端にのぞいた皮をかぶったままのクリトリスがぷっくりとふくらんでいた。
 
【3】
 見られているだけで久美は刺戟されて感じてきたらしい。興奮した顔つきで息を弾ま せだした。
 あからさまになった秘苑には、もっと生々しいその証拠が現われていた。
 パールピンクの赤貝に似た部分が喘ぐように収縮して、そのたびにジワッと透明な蜜が湧出し、開口した唇の下端に溜まっている。
「ううんッ、見ているだけじゃいやァ」
 久美は焦れてうわずった声でいい、腰を揺すって催促した。嵯島は秘唇に両手を添えて押し上げ、露出したクリトリスに口をつけた。
「あッ、ああッ!」
 感じ入った、ふるえをおびた声を放って久美は裸身を反らし、腰を揺さぶった。さんざん焦らされてジリジリしていたのだろう。嵯島の舌がクリトリスをすくっただけで、軽くイッたらしい。
 嵯島がクリトリスを舌でこねはじめると、たちまちよがり泣きながら、狂おしそうにのけぞりだした。
 嵯島の眼の高さで白い腹がうねり、繰りかえし胸が反って乳房が揺れる。久美の両手が嵯島の肩や頭を撫でまわす。
 舌にはっきりと感じ取れるほどしこってふくれあがってきたクリトリスを、嵯島は口に含んで吸いたてた。久美が喘ぎを高めて腰をわななかせる。
 その反応がさらに情熱的な行為に嵯島を駆りたてた。
 秘唇を卑猥な音をたててしゃぶり、膣口を舌でまさぐり、まるめて尖らせた舌を久美の中に突き入れて、蜜壷をこねまわした。
 久美はシーツをつかんだ両手を突っ張るようにしてのけぞり、いまにもイキそうな声を洩らして腰を揺する。そしてまた、嵯島の舌がクリトリスをこねると、
「ああ、そこッ、いいッ!」
 感じ入った声をあげ、切迫した声でよがり泣きしはじめた。
 嵯島は一気に絶頂に追い上げるべく、クリトリスを舌で弾いた。頂に昇っていくのが手に取るようにわかる泣き声をあげて久美は悶え、大きく裸身を反りかえらせた。嵯島の顎が密着している膣口がピクピク痙攣して、
「ああ、イクッ……イクイクーッ!」
 絶頂を訴えながら、全身をガクガク揺さぶった。
 嵯島は起き上がって久美の両脚の間に腰を入れた。興奮に酔った顔つきで息を弾ませている久美が、
「ああんきてェ」
 と、両手を伸ばした。嵯島は肉棒を手にして、その先で洪水状態のクレバスをなぞった。はち切れんばかりにふくれあがったクリトリスをこすり、膣口をこねてやると、
「ああだめッ、してッ、もう入れてッ」
 久美はたまりかねたようにいって顔を振り、夢中になって腰をうねらせて秘苑を肉棒にすりつけてくる。
 ようやく嵯島は久美の中に押し入った。秘壷の感触を味わうようにゆっくり入っていくと、久美は悩ましい表情を浮かべてのけぞった。肉棒が根元まで収まると、悩ましい表情が解けて、歓びに満ちたような穏やかな顔つきになった。
 秘壷の中は、熱いぬかるみ状態だった。それでもエロティックな感触の秘粘膜が肉棒に吸いついてくる感じがあった。
 嵯島は抜き挿しした。くすぐられるような快感がある。また悩ましい表情になった久美が、顎を突き上げるようにしてのけぞりながら、
「ああいいッ、いいわァ、たまらないッ」
 と快感を訴える。
 嵯島が抜き差ししながら、どこがいいのか聞くと、久美はためらいもなく、というよりすすんで狂態を演じたがっているような様子で卑猥な言葉を口にして、
「このまま、ずっとしていたい。ね、もっとオマ×コして。もっとして、なにもかも忘れさせて」
 と貪欲なことをいう。
「奥さんがこんなに好き者だとは思ってもみなかったよ」
 興奮を煽られて嵯島が正直な感想を洩らすと、
「わたし、嵯島さんが思ってるような女じゃないの。ひどい女なの」
 久美は興奮した顔で嵯島を見ながら、だが焦点はどこかほかにあるような眼つきで、うわごとのようにいう。
「いや、ただ、ちょっと驚いただけで、そういう意味でいったんじゃないんだ」
 嵯島はあわてていって、久美の上体を抱き起こした。
「ベッドの中では、好き者のほうが女はずっと魅力的だよ。じつをいうと、前から奥さんが好きだったんだ。ふだんの奥さんも魅力的だけど、いまはもっと素敵だよ」
 そういってキスすると、しがみついてきた久美が貪るように舌を絡めてきながら、クイクイと腰を振って泣くような鼻声を洩らす。
 嵯島は仰向けに倒れ込んだ。
 上になった久美が、下から両手で乳房を揉む嵯島の両腕をつかみ、煽情的に張った腰を振る。腰を前後に振ったりグライドさせたりしながら、眉根を寄せた悩ましい顔とセミロングの髪を振って、よがり泣く。
 肉棒の先に子宮口の突起が当たってグリグリこすれるのだ。久美は夢中になって腰を振ってイクと、また貪欲に律動して昇りつめていく。
 嵯島のほうも、もう快感をこらえきれなくなってきた。起き上がって久美を押し倒し、正常位にもっていくと、我慢を解き放って激しく突きたてた。
 よがり泣きながら久美がまた絶頂を訴える。嵯島も発射を合図し、久美の絶頂に合わせて子宮を抉るように突き入ると、こらえにこらえた快感を一気に迸らせた。
 
 翌日出社した嵯島は、ほとんど仕事が手につかなかった。書類に眼を通していても、いつのまにか昨夜のことや久美のことを思い出していた。
 昨夜、嵯島が帰宅すると、妻はもう眠っていた。午前二時をまわっていたのだから無理もない。妻の寝顔を見て、さすがに嵯島はチクッと胸が痛んだ。が、疲れきっていたので、なにも考える暇もないうちに眠りに落ちてしまった。
 それにしても久美の好き者ぶりは、いささか度が外れていた。
 あのあと嵯島が帰ろうとすると、「もう少しいっしょにいて」と取りすがり、嵯島の萎えたペニスをしゃぶりはじめたのだ。
 妻が相手なら、とても二回戦など及びもつかない嵯島だが、相手がはじめてで、魅力的な女だったせいだろう。しばらくしゃぶられているうちにエレクトしてきた。
 すると久美は、自分から上になって肉棒を収め、また夢中になって腰を振ってよがりはじめた。
 嵯島はするがままにまかせていた。二回目なので我慢の必要がないほど余裕があった。
 そのため久美は延々と快感を貪り、そのうちに自分では動けなくなった。
 そこで、こんどは嵯島が久美にいろいろな体位を取らせて攻めたて、ようやく二度目の快感を発射した。
 久美は失神状態に陥っていた。その間に嵯島は手早く身繕いし、部屋を抜け出したのだった。
 それでいて一夜明けると昨夜の情事が頭から離れなかった。あの好き者ぶりには圧倒されたが、それだけ久美が魅力的で、躯もセックスも素晴らしかったからである。
 嵯島はデスクの上の受話器を取った。
 今朝出がけにマンションの住人名簿を見て、久美の部屋の電話番号を控えてきていた。そのメモを取り出して、プッシュフォンのボタンを押した。久美の様子しだいでは、今夜も彼女の部屋にいきたいと思っていた。
 二度呼び出し音がして、相手の受話器が上がった。
「はい」という素っ気ない男の声の応答があった。嵯島はあわてて電話を切った。
(一体どうなってんだ!?)
 男の声が高村かどうかまではわからなかったが、久美は夫とは別れたといったはずだ。
(誰かほかの男でもきていたのか!?)
 面食らった嵯島は、久美に嫉妬していた。
 
 その夜、帰宅すると、マンションの前にパトカーが一台停まっていた。怪訝に思いながら妻に迎えられて部屋に入るなり、
「あなた、大変よ!」
 妻が興奮していった。
 ショックを通り越して嵯島は茫然としていた。あろうことか、高村夫婦が無理心中したというのだ。
 この日、高村がなんの連絡もないまま出社してこないので、会社の者が高村の自宅に電話をかけた。重要な会議があったらしい。
 ところが誰も電話に出なかった。
 そのあとで、妻の久美が勤めている航空会社にも電話を入れてみた。すると久美も出社していなかった。
 不審に思った会社の者が高村の自宅を訪ねてきて、マンションの管理人が立ち会って部屋に入った。
 そこで二人は、寝室のベッドの上に横たわっている久美を発見した。夫の高村はベッドの脇の床の上でベッドカバーをかけて横たわっていた。
 久美のそばには、短い遺書があった。自分が夫に青酸入りのウイスキーを飲ませた、自分も後を追って死ぬ、というようなことが書かれていた。
 妻は管理人から聞いたという話を興奮醒めやらない様子で嵯島に話した。
「それで警察がきて、昼間は大騒ぎだったのよ」
 嵯島が会社から久美の部屋に電話したとき出た男の声は、警察の者だったらしい。
 それよりも嵯島は凝然となっていた。昨夜、あの床のベッドのカバーの下に高村の死体が横たわっていたのだ。その上のベッドで久美と痴態をくりひろげていたことになる。
「だけど、奥さんも可哀相よね。お隣りの人の話だと、ご主人に女の人ができたんじゃないかって。ずいぶん派手な夫婦喧嘩をしていたらしいわ。それでも無理心中するぐらいだから、ご主人のこと、愛していたのよ。まだ奥さん、三十三だっていうのに……」
 妻がいうのを聞くともなしに聞いていた嵯島は、ふと思った。
(三十三といえば、女の厄年じゃないか!)
「おい、俺、厄払いするよ」
 唐突に嵯島は妻にいった。



【ブルセラ美少女・欲望の代償】


【1】
 東京西郊Y市の山林で、全裸の若い男女の惨殺死体が発見された。
 検死の結果、男女の遺体は死後三日ほどが経過しており、二人とも青酸カリの混入したビールを飲んで毒殺されたあと、それぞれ陰茎と女性器を鋭利な刃物で切り取られ抉られたものとわかった。
 事件は変質者による猟奇殺人事件の様相を呈していたが、被害者が男女二人ということから、警察は怨恨による惨殺事件とみて、まず被害者の身元の割り出しにかかった。
 意外にも身元はすぐに判明した。女性被害者の親が、行方のわからない娘の捜索願いを警察に出していたからである。
 そこからほどなく、男性被害者の身元も判明した。
 殺されたのは、S女学院高等部体育教諭の野沢雅也(二十六歳)と、同じくS女学院高等部二年、萩尾美鈴(十七歳)の二人だった。
 警察は二人の交友関係を洗って、被害者の男女との間にトラブルがあった人物はいないか、聞き込みを開始した。
 ところがその必要はなかった。被害者の身元が判明した翌日、年配の男が、自分が二人を殺したといって警察に自首してきたのである。
 山部善三と名乗るその男は、見るからに謹厳実直そうなタイプで、それに人品卑しからぬところさえあって、とてもそんな凄惨な殺人を犯すような男には見えなかった。
 さっそく警察は取調べに入った。
 山部善三は六十一歳。Y市の隣りのM市で独り暮らしをしている。妻と二人の娘がいたが五年ほど前に協議離婚し、女子大生の二人の娘も妻について家を出ている。
 山部善三の自宅は、古いが和洋折衷の、ちょっとした豪邸であった。というのも山部家は先祖代々、地元にかなりの土地を所有する資産家で、善三の代になって賃貸のマンション経営もはじめている。
 見かけどおり山部善三は謹厳実直なタイプのようだった。
 妻との離婚に際しては、妻の取り分と娘たちの養育費を合わせて資産の半分あまりを分割贈与したらしいが、それでもまだマンションの家賃だけで月に二百万円もの上がりがあって生活にはいっこう不自由しないにもかかわらず、四カ月ほど前突然辞職するまでの三十数年間、M市の職員を真面目に勤めていた。
「よくわからんな。そんなおまえがなぜ、あんな凄惨な事件を起こしてしまったのか」
 取調べにあたった刑事も首をひねった。
 すると山部善三は、机の上に乗せた両手を見つめたまま、この男に似合わない不敵とも思える笑みを浮かべていった。
「刑事さん、人間、最後には一つぐらい、いい夢を見たいじゃありませんか」
「最後? それはどういうことだ?」
「わたしはもう、あとどれぐらい生きられるかもわからないんですよ。スキルス性の癌なんですから」
「だから、人殺しをしてもいいっていうのかッ!? それもあんな酷い殺り方で」
 刑事は激�兇靴憧�を叩いた。が、山部善三はピクリともせず、無表情で両手を見つめたまま、
「そんなことはいってませんよ。わたしだって、あんなことをするつもりはなかった。あの二人がわたしの夢をぶちこわしたんだ。わたしの最後の夢に泥を塗ったんだ。だからあんなことになったんだ……」
 しだいに呪文でもつぶやくようにいう。
「もういい!」
 刑事は山部善三を制していった。
「最初から順を追って、みんな話してみろ」
 山部善三は顔を上げて刑事を見た。そして、素直にうなずくと、穏やかな口調で話しはじめた。
 
【2】
 善三は帰宅するとすぐに書斎に入り、彼にとっては宝物ともいうべき小さな紙包みの中身を、取り出すのももどかしく机の上に出した。
 透明なビニール袋の中に、掌の中にすっぽりと収まるほどにまるまった、淡いピンク色のパンティと手札サイズのカラー写真が入っている。
 善三の胸は早くも高鳴っていた。
 ビニール袋の中からパンティと写真を取り出すと、写真を机の上に置き、ナイロン素材のビキニショーツを、玉手箱でも開けるように両手でゆっくりとひろげてみた。
 クロッチの部分に、黄ばんだ船底型のシミがついて乾き、そこだけゴワついてようになっている。
 善三は写真を見た。
 紺のブレザーに白いシャツの襟もとで紺のボウタイを結び、紺とグリーンのチェックの柄のミニのプリーツスカートという、S女学院の制服を着た女子高生が椅子に腰かけて、いま善三が手にしている淡いピンク色のビキニショーツを片手でつまんで持ち上げ、ニッコリ微笑んでいる。
 ロングヘアの女子高生は美少女といっていい整った可愛い顔立ちをしていて、プロポーションもいい。
 そしてマジックインクで、その顔の横の“吹き出し”の中に、
「やだァ、ハズカシイ〜● 優子が汚しちゃったパンツ、見ないでェ!!」
 と、いかにも女子高生らしい文字が書き込まれている。
 善三は机の上の写真立てを取ると、中の写真を取り出した。
 その写真もその「優子」という女子高生のもので、制服姿の上半身だけだが同じように白いパンティを手に持って、笑いかけている。
 新しい写真を写真立てに入れ替えて机の上に置くと、善三は女子高生に笑いかけた。
(恥ずかしいかい? ふふ、恥ずかしいだろうなァ。美鈴ちゃんが汚したパンツを、おじさんにジックリ見られて、アソコの匂いをクンクン嗅がれたり、美鈴ちゃんのアソコから出たものをペロペロ舐められたりしちゃうんだから……)
 M市にあるブルセラショップ『F』のモニターになっている女子高生優子の本名が萩尾美鈴で、美鈴がS女学院高等部二年生であることを、善三は知っていた。
 善三は二カ月ほど前からブルセラショップ『F』に通うようになった。
 そして美鈴の“生写真”を見て以来、すっかり魅せられてしまい、思いあまって「F」に使用済みパンティを売りにくる彼女を待ち受けて本物を見たり、あとをつけたりしているうちに本名や学校を調べたのである。
 すでに善三は美鈴のパンティを十枚ちかく買っていた。
 善三の書斎の机の上には、直径二十センチほどの球形の、白いガラス製の照明器具がある。
 そのスタンドを手もとに引き寄せて写真立てと並べて置くと、善三はスタンドのスイッチを入れた。
 そして、淡いピンク色のビキニショーツを裏がえしにして、球形の照明器具にすっぽりとかぶせる。ちょうどショーツの股間部分が椅子に坐っている自分のほうに向く形で。
 善三の胸はときめきつづけていた。
 眼は、立体感をもったショーツ全体やクロッチの部分の船底型の黄ばんだシミと、横の美鈴の写真を交互に見ている。
 そうしていると、猥りがわしい想像が、まるで現実のように生々しく頭に浮かんでくる。写真の美鈴が穿いているミニのプリーツスカートの中の眺め。ショーツに船底型のシミをつくる部分。さらには制服の胸を持ち上げている、硬そうに張って盛り上がった乳房や、若さと熟れがミックスしてピチピチした裸身まで浮かんできて、胸が高鳴り股間がうずいてくる。
 善三は腰を浮かしてズボンをトランクスごと脱ぎ下ろす。歳のために興奮のわりには、まだ分身はわずかに強張っている程度にすぎない。
 ナマコのようなそれを掌にすると、ショーツのクロッチの部分に鼻をつけて、犬のようにクンクン匂いを嗅ぐ。
 乾いていた船底型の黄ばんだシミが、ほどよい照明の熱で溶けて、生々しい匂いを漂わせている。
 匂いや味を表現するのはむずかしい。乳臭さとわずかにアンモニア臭が入り混じった匂いとでもいうか。美鈴の汚れはいやな匂いはしない。それどころかゾクゾクする、いい匂いだ。
 たっぷりとその匂いを嗅いだあと、善三は照明器具からショーツを外し、シミのついたクロッチの部分がちょうど鼻と口の間にくるようにしてショーツを顔にかぶり、膝の上にティッシュペーパーをひろげる。
 そうしてリクライニングチェアにもたれ、美鈴の分泌物と尿が入り混じった匂いを嗅いだり、舌でその甘酸っぱいような味を味わったりしていると、ウットリする。
 そればかりか陶然として薄目を開け、美鈴の写真を横目で見ていると、脳裏でさらに刺戟的で生々しい情景が展開する。
 実際に美鈴の割れ目に鼻と口をつけて匂いを嗅ぎ舐めまわしているような感じ。恥ずかしがって身悶える美鈴。そして、せつなげに喘ぎはじめ、たまらなさそうに腰をうねらせる美鈴……。
 さっきから善三が掌でしごいている分身は、すでに強張ってきていた。
 と、まだ聞いたことがない美鈴の声が聴こえてくる。
『ああんッ、おじさんだめェ……そんなことしたら、美鈴イッちゃう……ああん、イクイクッ!』
 写真ではニッコリ笑っている美鈴が泣き顔になって、切迫した可愛いよがり泣きをあげる。
 それと同時にズキンと甘美なうずきが肉棒を襲って善三は呻き、しびれるような快感といっしょに白濁液をほとばしらせた。
 
【3】
 −−いい歳をした男が、女子高生の使用済みパンティを相手に猥りがわしい妄想をして自慰にふける。
 そのことを善三は自分でもまともなことではないと思っていた。
 それもそうだが、ブルセラショップなどに足を踏み入れたこと自体、それまでの善三からは考えられないことだった。
 三十数年間、真面目一徹に地方公務員の職を全うしてきた。ところが四カ月ほど前、はじめて入った人間ドックが善三の運命を変えることになった。
 胃に異常が発見されて精密検査を受けることになった。そのとき善三は薄々最悪の事態を予感して、医師に精密検査の結果は隠さずいってくれるように頼んでおいた。
 その予感は的中した。胃癌だった。
 癌を宣告されて、やはりと思った。このところ徐々に体重が減ってきて、頬のあたりがこけたようになってきていたのは、そのせいだったらしい。
 それもスキルス性の癌で、医師の見立てでは、長くもって半年ということだった。
 目の前が真っ暗になった。ショックというようなものではなかった。
 俺は何のために生きてきたのか。はじめてそんなことを考えた。
 六十一年生きてきて、よかったことがあったか? 何が愉しかった?
 そのときどきにそれなりによかったことや愉しかったことはあったのだろうが、あらためて考えてみると、何も浮かんでこない。
 妻との結婚生活も、結婚前と新婚時代のわずかな期間をのぞいて、あとは灰色の生活だったといっていい。
 妻は派手好きの見栄っ張りで気が強く、善三とはすべてに対照的だった。そのうえ善三を見下しているようなところがあった。
 そんな母親に似たのだろう。二人の娘たちも妻そっくりだった。
 だから、離婚して財産は失ったが、むしろ善三はせいせいしていた。
 それでも根っから真面目な性格の善三は、結婚以来“一穴主義”を守ってきた。というより六十一年生きてきて、女は妻一人だった。
 善三が妻を相手に童貞を卒業したとき、妻のほうは処女ではなかった。
 長くて、あと半年の命……。
 善三は突然勤めを辞めた。そして、追いたてられるような気持ちでこれまでの人生を考えたとき、頭に浮かんできたのは“女”だった。
 金はある。金があれば、いくらでも女を調達することはできる。
 そう思った。
 が、そうは思ったものの、そこで善三は自分の性格というものをあらためて思い知らされ自嘲するほかなかった。情けなくもあった。
 金で自由になる女といえば、セックスを商売にしている種類の女か水商売の女などにかぎられている。
 善三の、生まれついての真面目な性格は、死を目前にひかえてまで、そういう類の女には欲望をそそられないのである。
 そんなある日、街をぶらついていて、ブルセラショップ『F』の看板に出食わした。
 ブルセラが何か、その程度のことは善三も知っていた。
 ブルセラショップが流行っていると知ったときは「近頃の女子高生は一体何を考えてるんだ!?」と憤慨したものだった。
 が、このときはちがった。善三自身、よくわからない誘惑にかられて、ふらりとその店に入っていった。
 セーラー服やそのほかの制服、使用済みのパンティなど女子高生が身につけていた、ありとあらゆる物で埋まった店内に、善三は圧倒された。ムワ〜ッと、青い性の熱気が押し寄せてくるようだった。
 その日はじめて使用済みパンティを買い求めた善三は、以来『F』に通いはじめた。
 買うのはほとんど使用済みのパンティだったが、ビデオも何本か買った。
 だが最初のうちは刺戟され興奮したものの、これも性格なのだろうか、ビデオは生々しすぎて、パンティを見て匂いを嗅いだり舐めたりしながら猥りがわしい妄想を愉しむほうがよくなった。
 そんなとき、あの「優子」という女子高生の“生写真付き”使用済みパンティを手にした。
 店員に聞くと、彼女はパンティを売るだけで、パンチラ写真やビデオを撮らせてくれないという。それを聞いて善三はますます優子のことが気に入った。
 そればかりか、優子こと萩尾美鈴の使用済みパンティと写真を見て自慰にふけっているうちに六十一歳の男が、恋の熱病に冒されたような状態になってきた。まるではじめて恋をした純情な少年のようだった。
 事実、それは善三にとって、いままでに経験したことのない狂おしさだった。
 
 善三はある決心をした。もはや自分の気持ちを抑えることなどできなかった。
 いや、それだけの気持ちになっていても、余命幾許もないところまで追い込まれていなかったら、善三の性格からして、そんな決心はつかなかったにちがいない。
 美鈴が使用済みパンティを『F』に売りにくる日は、もう顔馴染になっている店員から聞いて知っていた。
 その日、善三は『F』のそばで下校途中の美鈴が店に入るのを見届け、出てくるのを待ち受けた。
 若い男がナンパするのとはワケがちがう。もとより若いときでさえ、そんな経験はいちどとして善三にはない。声をかけることもだが、美鈴の反応を想うと緊張のあまり胸がつぶれそうだった。
 待っている間、善三は自分にいい聞かせた。何をビクついてる。俺はもうすぐ死ぬんだ。オタオタすることはないじゃないか。
 すると自分でも不思議なほど開き直った気持ちになって、落ち着いてきた。そのとき美鈴が店から出てきた。
「優子ちゃんだね?」
 善三は声をかけた。いざとなると声がうわずっていた。
 一瞬怯んだような強張った顔つきになった美少女に、善三もうろたえた。それでも精一杯にこやかな表情をつくって、考えていた言葉で話しかけた。
「驚かせてごめんね。おじさん、『F』の客で、優子ちゃんの大ファンなんだ。それでちょっとお願いがあるんだけど、お茶だけでもいいから、おじさんに付き合ってくれないかな」
「やだァ……補導員か警察の人かと思ったじゃない」
 美鈴は胸を撫で下ろした様子でいった。
「そんな者じゃない、ただのおじさんだよ」
 善三もホッとしていった。
「付き合ってくれたら、三万円お小遣いあげるよ。優子ちゃんと話すだけでいいんだ」
「えッ!? 三万円?」
 美鈴はビックリした。善三がもういちど誘うと、コックリとうなずいた。
 それを見て善三は胸の中で快哉の声をあげた。うれしさのあまり、こけてきた頬の肉がだらしなく緩んでいた。
 喫茶店に入ってすぐに三万円が入った封筒を美鈴に渡した。
 善三はミルクを、美鈴はフルーツパフェを注文した。善三には、生の美鈴と向き合っていることが夢でも見ているようだった。
 それでいて、フルーツやクリームをスプーンですくっておいしそうに食べている美鈴を見て、あの可愛い唇にキスしたり、あの口でフェラチオなんてさせたら……などと生々しいことを想像して淫欲をくすぐられながら、いろいろと聞き、優子の本名も学校も知っていることを打ち明け、肝心なことを切り出した。
 美鈴は驚いた。が、最初の三万円と、善三のいうことを聞いてくれれば五万円出すという条件が効いたらしい。
「絶対に何もしないって約束だったら……」
 というので、善三が、
「いいんだね?」
 と気負い込んでいうと、美鈴はぎごちなく笑ってうなずいた。
 
【4】
 翌日、善三は約束の時刻が迫ってくるにつれて、落ち着きなく、檻の中の熊のように家の中を歩きまわっていた。
 胸が高鳴って、じっとしていられなかった。
 約束の時間ほぼきっかりに、美鈴はやってきた。善三がいったとおり、下校途中で制服を着て鞄を下げていた。
「近所の人に見られちゃいけないと思って、ドキドキしちゃった……」
 屈託なく笑っていう美鈴を、善三は嬉々として、さっそく寝室に案内した。
「美鈴ちゃんも、もう高校二年生だから、ビールぐらいは飲めるんだろう?」
「ちょっとくらいなら……」
「じゃあまず、乾杯しよう」
 善三はビールでも飲まなければたまらないほど喉が渇いていた。二人は乾杯した。善三は先に五万円美鈴に渡し、待ちきれなくなっていった。
「じゃあさっそく、見せてくれ」
「そういわれちゃうと、恥ずかしくなっちゃう……」
 美鈴は羞じらうような笑みを浮かべて椅子から立つと、ワクワクしている善三のほうに向かって制服を脱ぎはじめた。
 ブレザーを脱ぎ、ミニのプリーツスカートを脱ぎ下ろす。太腿にほどよく肉がついたきれいな脚が現われた。
 シャツの裾に隠れて、まだ下着までは見えない。
 ついでボウタイを解き、シャツのボタンを外し、シャツを脱ぐと、白いブラとビキニショーツの下着姿が現われた。
 そしてブラを外すと、両腕で胸を隠した。
「腕を下ろして、ちゃんと見せてくれ」
 善三の声はうわずっていた。
 美鈴は顔をそむけるようにして両手を下ろした。
 思わず善三は固唾を呑んだ。ゴクッと喉が鳴った。
 剥き出しになった乳房は、まるで熟れたての果実だった。みずみずしく、それでいて硬そうに張って、ピンク色をした乳暈がふっくらと盛り上がり、初々しい乳首がツンと頭を出して、ふくらみ全体がその乳首をつまんで持ち上げられたように、やや上向きに反っている。
「きれいだ……」
 呻くようにいって善三が乳房に眼を奪われていると、美鈴はショーツを脱ぎ、片手で下腹部を隠して「はい」と、照れ臭さをごまかすようにいって、ショーツを差し出した。
 受け取った善三は、宝物を扱うようにしてショーツをひろげて見た。
 わずかだが濡れたシミが黄ばんだ色に染まっていた。
「そんなァ、やだァ!」
 そこに鼻をつけて匂いを嗅ぐ善三を見て、美鈴が身をよじって嬌声をあげた。
「美鈴ちゃんのシミはいい匂いと味がするんだよ」
 善三は苦笑いしていった。
「じゃあベッドに横になって」
 美鈴は素直にベッドに上がった。クリッと形よく張ったヒップを見て、さっきから半勃ちの状態になっている善三の分身がズキンとうずいた。善三がベッドの裾に立つと、
「見るだけって約束、絶対守ってね」
 艶やかな黒いロングヘアを褥に、いくらか紅潮した顔をそむけた美鈴が念を押すようにいう。
「わかってる。さ、膝を立てて、脚を開いてごらん」
「ああん、恥ずかしい……」
 美鈴は両手で顔を覆った。そして、ゆっくりと膝を立て、両脚を開いていく。夢にまで見た美鈴のシークレットゾーンが徐々に善三の前にあらわになっていく。
「おおッ、これが美鈴ちゃんのオマ×コか」
 思わず、善三が興奮していうと、
「やだァ、そんなやらしい言い方……」
 恥ずかしそうな声をあげて美鈴は腰をくねらせる。
「あ、ごめんごめん。おじさん、つい興奮、いや感激しちゃって……」
 善三はあわてて謝って美鈴を見た。相変わらず両手で顔を覆っている。
 ここで嫌われて、もうこんなことはいやだといわれては元も子もない。ホッとして善三はまた、亀のように首を伸ばして美鈴の股間に見入った。
 昨日、喫茶店で善三が聞くと、美鈴はまだ処女だといっていた。
 白磁のような内腿が小刻みにふるえ、その間に生々しい処女の眺めがあからさまになっている。
 こんもりと盛り上がった肉の丘、その丘を飾るヘアは逆三角形の形に生えてそれほど濃くはないが、まばらな縮れ毛が秘苑の周りを縁取っていた。
 秘唇は乳首の色と同様、まだきれいなピンク色をして、形も整っていて、薄くてすっきりした唇を想わせる。
 性器そのものはきれいだが、秘苑全体の眺めは淫猥な感じに見える。
 なぜそうなのか、一瞬善三は考え、なるほどと思った。性器を縁取っている縮れ毛のせいだった。
 美少女といっていい整った顔立ちと、成熟した女を感じさせる秘苑全体の眺めとのアンバランスなところが、そう感じさせるのだ。
 といっても善三は失望しなかった。それどころか美少女の淫猥な部分に逆にますます興奮を煽られ、喉がカラカラになってハアハアと息が弾んでいた。
「ああん、やだ、何かヘン……」
 両手で顔を覆ったまま美鈴が戸惑ったような声をあげて腰をうねらせた。
 善三は眼を見張った。秘唇の間からのぞいた白っぽいピンク色のクレバスが濡れ光ってきているのだ。
 処女でも、こうやって見られているうちに感じてきたらしい。
 そう思うと善三は興奮で躯まで熱くなって、
「美鈴ちゃん」
 と、かすれた声でいった。
「おじさん、美鈴ちゃんを口で気持ちよくさせてあげて、おじさんも美鈴ちゃんに気持ちよくしてもらいたいんだけど、もう三万円あげるから、そうさせてくれないか」
 美鈴との約束は、五万円で裸を見るだけということになっていた。
 どんな反応がかえってくるか、いい返事を期待して善三が固唾を呑んでいると、美鈴は両手を顔から離して、
「三万円?……でもわたし、学校の帰りだからシャワーも浴びてないし、それに、おじさんにどうするの?」
 と、満更でもない様子で聞いてきた。可愛い顔が紅潮して、明らかに興奮している。
「シャワーなんて浴びてないほうがいいんだよ。おじさん、美鈴ちゃんの匂いが好きなんだから」
 善三は笑っていった。そして、恐るおそる伺いをたてた。
「それで、おじさんのアレも、美鈴ちゃんが口でしてくれるといいんだけど……」
「やだァ、フェラチオ!?」
 美鈴はいかにも気色悪そうにいう。あわてて善三はいった。
「いや、いやなら無理にとはいわないよ。だったら、手でもいいんだ」
「ホントに、あと三万円くれるの?」
「ああ。だったら、いいんだね?」
 美鈴はうなずいた。
 まったく近頃の高校生は、処女でもこれほどしたたかなのか。
 善三は呆れたが、願望が叶って胸をときめかせながら美鈴に三万円渡すと、手早く裸になった。
 股間のナマコのようなモノはすでに強張っていたが、若い男のそれのように元気はない。水平にまで至らず、やや斜め下を向いていた。
 それでもそれを見た美鈴は「こわ〜い」と処女らしい声をあげた。
「何も怖がらなくてもいいんだよ。さ、まずおじさんが気持ちよくしてあげよう……」
 善三は嬉々として美鈴の股間に顔を寄せていった。
 プ〜ンと、馴染みのある乳臭さにアンモニア臭の混じった匂いがした。
 その匂いを吸い込むと、頭がクラッとした。
 そこに口をつけると、
「あんッ」
 と、美鈴はふるえ声を洩らして腰を浮かした。
 夢中になって善三は舐めた。小振りなクリトリスを舌でこねまわしながら、ときおり蜜をすすって秘唇やクレバス全体をしゃぶった。
「はんッ、あッ、あはんッ……」
 美鈴はきれぎれに感じた泣き声をあげる。善三が上目遣いに見ると、両手でシーツをつかみ、ピチピチした躯を繰りかえし反らして、そのたびに硬そうに張った乳房をプルプルふるわせている。
 小振りなクリトリスが、みるみるふくらんで硬くしこってきた。
「ああん、だめェ……もうだめン、イッちゃう、イッちゃいそう」
 泣き声でいって、たまらなさそうに腰を揺すりだした美鈴を見て、善三は下半身を美鈴のほうに向けた。
 興奮しきった顔つきの美鈴は善三の肉棒を手にすると、処女でもそういうことは知っているのだろう、しごきはじめた。
 善三はピンク色の真珠のようになったクリトリスを指先で撫でまわしながら、そこと美鈴の顔のほうを交互に見た。
 美鈴はいまにもイキそうな顔つきと腰つきで切迫したよがり泣きを洩らしながら、夢中になって善三の肉棒を手でしごいている。
 それを見て善三も一気に快感が肉棒に押し寄せてきた。
 そのとき美鈴が絶頂を訴えてのけぞり、腰を揺すりたてた。ほとんど同時に善三も呻いて快感をほとばしらせた。美鈴の手に握られた肉棒から迸った白濁液がピュッ、ピュッと空に飛んでシーツに落ちた。
 
【5】
 それはまるで黒い闇に色鮮やかな花が開いて、そこだけ光り輝いているようだった。
 花はいうまでもなく、美鈴だった。
 美鈴は善三の頼みを聞き入れて、週に二回善三の家を訪ねてくるようになったのである。そのたびに善三は美鈴に八万円払って、処女の蜜を吸って秘苑を舐めまわさせてもらい、美鈴の手で肉棒をしごいてもらって欲望を遂げた。
 そんな同じような行為を四、五回も繰りかえしただろうか。さすがの善三も、それだけでは物足りなくなってきた。
 そこで美鈴にさらに条件を出した。一回につき十万円出すから、オナニーしているところを見せてくれて、フェラチオしてもらえないか、といったのである。
 すると美鈴は、ちょっと考えさせてほしいというようなことをいった。
 言下に拒否されるのではないかと思っていた善三が期待をつないで待っていると、翌日美鈴から電話がかかってきた。
「セックスさえしなければ、それでもいい」
 というのを聞いて善三は小躍りせんばかりに喜んだ。
 つぎに美鈴がくるまで、処女の美少女がフェラチオする顔やオナニーするシーンを想像していると、そのときばかりは癌のことも忘れるほどだった。
 その日も美鈴は下校途中に制服姿でやってきた。
 善三はだらしないほど緩んだ顔で美鈴を迎え、寝室に連れて入った。
 制服を着たまま美鈴をベッドに仰向けに寝かせると、ボウタイを解きシャツのボタンを外して前をはだけ、ブラをずり下げて乳房を露出させた。
 そして、ミニのプリーツスカートを腰の上までめくり上げるとビキニショーツから片脚だけ抜き、一方の脚の太腿のあたりに絡めておいて、両脚を開かせた。
「この格好でオナニーして見せてくれ」
「どうして?」
 美鈴は怪訝そうに聞いた。
「制服を着てるほうが見てて刺戟的だからだよ。もちろん、そのあとで美鈴ちゃんのピチピチした裸は見せてもらう。今日はフェラチオもしてくれるんだろ?」
「やァね、エッチなんだからァ」
 美鈴は笑って善三を睨むようにしていった。
「でもフェラチオしてるとき、出すときはちゃんといってよね。絶対口に出さないで」
「ああ、わかってる。じゃあさっそく、いつも美鈴ちゃんがしてるようにオナニーして見せてくれ」
「やだァ、いつもなんかしてないわよォ」
「でも、ときどきはしてるんだろ?」
「そうだけど……でも見られてするなんて、やっぱり恥ずかしい……そうだ、部屋の外から覗くっていうんじゃだめ?」
 美鈴が思いがけないことをいった。
 善三もそれはいいかもしれないと思った。同じ見られるにしても、そのほうが多少でも恥ずかしさが払拭できて、そのぶん美鈴も本気になれるかもしれない。
 それにヤラセでも覗き見というべつの愉しみもある。
 しかもベッドはちょうど寝室のドアのほうを向いていた。
 そうすることにして寝室の外に出ると、善三はわずかにドアを開けて、隙間から中を覗いた。乱れた制服姿でベッドに仰向けに寝た美鈴が足もとのほうから見えた。
 美鈴は眼をつむって、恥ずかしそうに顔をそむけていた。
 左手を胸に持っていった。硬そうにふくらんだ乳房を、掌で押し揉むようにしながら指先で乳首をくすぐる。
 右手が下腹部へ伸びて、ゆっくりと性器全体を愛撫する。両脚は片膝を立てて開いていた。伸ばしている脚も徐々に膝を立てていって、両脚がM字型を描いた。
 美鈴の顔に悩ましい表情が浮かび、せつなげな息遣いが洩れはじめた。
 股間に当てた手の中指がクレバスをなぞっている。
 左手は乳房を揉みつづけながら、右手の中指がクレバスをかき上げて、上端のクリトリスをまァ〜るくこねだした。
 蠢く指の下に、まばらな縮れ毛に縁取られたピンク色の秘唇が開いて、パールピンクの割れ目をのぞかせているのが見える。パールピンクの粘膜はもう濡れ光っていた。
 ときおり指が割れ目に這い下りて、蜜をすくうようにしてクリトリスをこねる。
「はんッ、あはんッ、ああんッ……」
 美鈴はせつなげに喘ぎはじめた。眼をつむったまま、悩ましい表情を浮かべた顔を狂おしそうにのけぞらせている。
 クリトリスをこねる指が滑るように蠢いて、腰がうねる。
 割れ目がジットリと濡れてきて、よく見ると、あふれた蜜が会陰部を伝い落ちている。
 善三は異常なほど興奮していた。本気になってきた美鈴を覗き見ているうちにヤラセということを忘れ、可愛い女子高生のオナニーを本当にこっそり覗いているような気持ちになって、分身がズボンの前を突き上げていた。
 覗きながら手早く服を脱いでいると、美鈴がせわしない息遣いになって腰を揺すりだした。
「はッ、はッ、ああッ、だめッ、イクッ、イッちゃう……ああん、イクッ!」
 泣き声をあげると同時に両脚をギュッと締めつけ手を挟んだまま、ピーンと全身を突っ張るように伸ばしてのけぞり、絶頂のふるえを走らせた。
 善三はドアを開け寝室に駆け込んだ。素っ裸だった。
「いやァ、美鈴ちゃん、よかったよ、素晴らしかった。おかげでおじさん、ほら、もうこんなになっちゃったよ。さ、美鈴ちゃんの口でしてくれ」
 ベッドに上がるなり美鈴と反対向きに横になると、美鈴は興奮した顔つきで善三の肉棒を手にした。ちろちろと舐めて咥えると、顔を振ってしごく。
 それを見て善三は興奮を煽られ美鈴の股間にしゃぶりついた。腰をうねらす美鈴が泣くような鼻声を洩らして舌をじゃれつかせ、肉棒をくすぐりたててくる。
 善三は夢見心地だった。もういつ死んでもいいとさえ思った。
 
 善三はますます美鈴に夢中になった。そして、当初は考えていなかった−−というよりもそういうことを考えるようになるとは思えなかった、といったほうがいい−−ことまで願望するようになってきた。
 死期が迫っていることを打ち明けて、死土産に処女をもらえないかと懇願すれば、ここまでの行為を許してきた美鈴は応じてくれるのではないか。金は美鈴が望むだけ出してもいい。
 その一方で、美鈴と出会うまでの謹厳実直な善三が顔を出して、そんな善三をたしなめてもいた。
 金がからんだ関係とはいえ、処女の美鈴がここまで愉しい思いをさせてくれたのだ。いくら死土産といっても美鈴の処女まで金で買うようなことは許されない。
 本当かどうか美鈴は好意を寄せている男もいないといっていた。もしも、弾みで六十男とこのような関係になった手前、そういう男がいてこんなことをしているとはいえなくなってそういったのだとしたら、処女をくれとはいえない。
 かりにいっても応じてくれる可能性は少ない。
 問題は美鈴のプライベートなことは何も知らないことにあった。
 知らないままあれこれ考えても埒が明かない。
 善三はそれを知るための手を打った。探偵事務所に美鈴のボーイフレンドについて調査を依頼したのである。
 そのとき善三自身、それが凄惨な事件の引金になろうなどとは、もちろん想ってもいなかった。
 そんなある日、善三は調査を依頼した探偵と会った。
「いやはや、最近は高校生もしたたかだけど、その高校生を教える立場の先生もそれ以上ですな。ま、その調査書類と二人が喫茶店で話しているのを盗聴したテープで、すべておわかりになると思いますよ」
 探偵にそういわれて帰宅し、さっそく書類に眼を通しテープを聞いた善三は、思いがけないことを知らされる羽目になった。
 あろうことか、処女で好意を寄せている男もいないはずの美鈴に、肉体関係まである男がいたのだ。
 それも相手の男は、美鈴が通っているS女学院高等部の、野沢雅也という二十六歳で独身の体育教師だった。
 さらに盗聴テープの中身は、それ以上にショッキングな内容だった。
 愉しげに話す二人の会話からすると、最初から野沢は美鈴と善三のことを知っていたのだ。それも美鈴のほうが野沢に惚れ込んでいて、善三のことを野沢に話し、野沢が美鈴をけしかけていたらしい。そして、善三が渡した金のほとんどを、美鈴は野沢に貢いでいるようだった。
 そればかりかテープの中で二人は、美鈴に夢中になり、美鈴が残り少ない命の支えでもあった善三にとって、思いがけないではすまされない会話も交わしていた。
「美鈴、あのオヤジ、そろそろ処女をくれっていいだすんじゃないか」
「やだァ、それだけはいやよ。先生、わたしがあのオヤジの気色わるいアレを入れられちゃっても平気なのォ?」
「ナマだったら平気じゃないけど、コンドームをかぶせればどうってことはないさ。あのオヤジ、処女とやれると思ったら、相当金出すぜ。ふんだくってやれよ。美鈴もほら、新車でドライブしたいっていってたじゃないか」
「エーッ、クルマ一台分出させるの? そこまでは無理よォ」
「頭金にするんだよ。あのオヤジ、美鈴にメロメロなんだから、そうだな、五十万ぐらい出すかもしれないぜ」
「ニセ処女喪失で五十万か。何だか気が引けちゃうけど、でもさんざんいい思いさせてあげたんだもんね」
「そうだよ。生理のお終いのあたりでやらせて、『イタイ!』ってウソ泣きしてやれば、あのオヤジ、涙を流して喜ぶよ」
「ふふふ、おもしろそう……」
 その会話を聞いているうちに善三の胸に殺意が火柱のように噴き上げてきた。
 善三は野沢雅也を呼び出して穏やかに話した。平静を装って現われた野沢だが、教え子の美鈴との関係を知られたとわかると、うろたえた。
 善三は野沢に美鈴を連れて謝りにくれば許す、といった。
 翌日、野沢は美鈴を連れて善三の家にきた。善三は二人にビールを出して、三人で乾杯した。
 二人はすぐに喉もとを両手でかきむしるようにしながら呻いて床に転がった。
 善三は美鈴のカッと見開いた眼を閉じさせると、急いで服を脱がして全裸にした。善三も手早く裸になった。
 息絶えた美鈴は眠っているようだった。そのみずみずしい裸身に善三は躯を重ね、全身を舐めまわし撫でまわした。そして両脚を押しひろげ、唾をつけた指を膣に挿入した。
 当然のことだが美鈴は何の反応も見せなかった。それでもどういうわけか、そのまま指を抜き挿ししていると、そこが濡れてきた感じがした。
 善三のペニスは強張ってきていた。それを膣口に当てがって押し込んだ。ヌルッと入った。
 六十一年の生涯ではじめて妻以外の女を貫いた。その思いが善三を興奮させ、やみくもに突きたて、美鈴の中にはじめて白濁液を迸らせた。
 
「そのビールに青酸カリを入れていたわけだな?」
 刑事に聞かれて、山部善三はうなずいた。
「おまえのいうとおりなら、確かに二人がやったことは褒められたことではない。しかし女子高生に夢中になったおまえにも原因はある。なぜあんな酷い殺し方をしたんだ?」
「途中までいい夢を見すぎた反動かもしれません。ただ、わたしが健康であれば、あの二人に騙されたとわかっても、あんなことをしたかどうか……」
 山部善三はつぶやくようにいうと、左手で、美鈴の膣の感触がまだ生々しく残っている右手の中指を撫でながら、じっとそれを見つめていた。



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    D
    『魔淫のオフィス OL美肉市場』雨宮 慶

【女新入社員・危険な恥態】


【1】
 篠原真紀の胸はときめいていた。
 この春大学を出てS化粧品に入社してまだ三カ月ほどにしかならない真紀だが、その間に好感以上の気持ちを抱くようになった先輩社員の安城武史と一緒にいるからだった。
 そのせいか、アルコールのかるい酔いや、タクシーの窓から流れ込んでくる甘味を含んだ初夏の夜気の匂いが、よけいに心地よく感じられた。
 この夜、会社の飲み会があり、そのあと帰宅方向が同じ安城とタクシーに同乗し、途中で安城が真紀を落としていくことになったのである。安城は真紀よりも三つ年上の二十五歳で、独身だった。
(もしも彼がわたしの部屋でもう少し飲みたいなんていいだして、一緒にタクシーを降りたりしたらどうしよう。それでもかまわないけど、でもすぐにオーケイなんてしたら、かるく見られちゃうかも……)
 ときめく胸のなかで、そんなことを考えていると、安城が真紀のほうに躯をもたせかけてきた。
「最初から思ってたんだけどさ」
 運転手の耳を意識してか、小声で囁くようにいった。
「篠原って色っぽい顔してんだよな。男からよくそういわれるんじゃないの?」
 真紀は戸惑った。唐突にそんなことをいわれたためだけではなかった。自分でも容貌やプロポーションには多少の自信はあったが、色気となるとよくわからなかった。それでも男にはそう見えるのか、「若いわりに色気がある」といわれたことがいままでにも何度かあった。褒め言葉なのかもしれないが、そういういわれ方をされると、なんとなく好色な女に見られているような気がして素直に喜べなかったからだった。
「そんな、色っぽくなんかないですよ」
 真紀も声を低め、抗議するようにいった。
「そんなことないさ。自分で勝手にそう思ってるだけだよ。ところで篠原、いま彼氏はいるの?」
「そんな人いませんよ」
「そうか。じゃあ前はいたけど別れて、いまは空き家ってことか?」
「え!?……ええ、まァ……」
 真紀は口ごもった。内心ちょっと驚いていた。安城がいうとおり、半年あまり前の大学四年の秋、それまで二年ほど付き合っていた同級生の村瀬幸彦と別れて、それからは“彼氏イナイ歴”をつづけていたからだ。
「じつは俺、真紀のこと、けっこう知ってんだよ。とくに躯のこととか」
 初めて真紀と呼び捨てにして、安城がまた唐突に、しかもこんどは妙なことをいった。
「どういうことですか?」
 真紀が怪訝な表情で聞くと、安城は秘密めいた笑いを浮かべて、
「真紀って、服着ててもグラマーないい躯してるってことはわかってたけど、躯に特徴的なホクロが二つあるだろう。ひとつは右のオッパイの乳首に近いところ。もうひとつはアソコの、左側の花びらのすぐ横に……」
「そんな……そんなこと、どうして!?」
 思わず真紀は声を高め、あわててルームミラーを見た。運転手と眼が合って、またあわててうつ向いた。ホクロのことが安城がいったとおりだったので、ひどくうろたえていた。
「やっぱりそうか。まちがいなかったんだ……」
「まちがいなかったって、どういうことですか!?」
 狼狽しきって聞くと、安城は思わせぶりな笑いを浮かべて、
「ま、詳しいことは真紀の部屋にいってから話すよ」
 と、耳もとで囁いた。そういわれて真紀は初めて、タクシーがマンションのそばまで来ているのに気づいた。


 どうして安城がそんなホクロのことまで知っているのか。そのわけを聞かずにはおれず、真紀は安城を部屋に案内した。
 入社前に越してきたワンルームマンションの部屋は、八畳あるかないかだった。小さな食卓を挟んで安城と向き合って椅子に腰かけると、すぐそこにピンク色のカバーをかけたベッドが見えていた。
 そのうえ思いがけない成り行きで安城を部屋に入れたこともあって、真紀が落ち着きをなくしていると、安城がアタッシェケースのなかから雑誌のようなものを取りだした。
「これを見てごらん」
 ページを開いて差しだされた雑誌を、真紀は手に取った。一瞥するなり恥ずかしさで顔が火照った。
「やだ!」
 あわてて安城に雑誌を突きかえした。
「いやだわ。こんな変な雑誌、どうして?」
「よく見ろよ。ちゃんと見ればどうしてかわかるよ」
 安城はタクシーのなかと同じような思わせぶりな笑いを浮かべていう。意味ありげないい方につられて、真紀はいやいやながらも雑誌を見た。
 そこにはいやらしい写真が並んでいた。それも裸の女がベッドに坐って大股開きの格好でピースサインをしてニッコリ笑っているもの、悩ましい表情を浮かべてオナニーしているもの、ウットリした顔でフェラチオしているもの、セックスのさなか苦悶の表情を浮かべてのけぞっているものなど、生々しい写真ばかりだった。
 だが真紀がそれらの恥態写真を眼にしていたのは、ほんの一瞬だった。一瞬のうちに頭のなかが真っ白になり、同時に顔から火が出そうになって、あわてて雑誌を閉じていた。
 あろうことか、写真の女は真紀自身だったからだ。
「それ、読者が投稿したエッチ写真を載せてる雑誌なんだよ。その写真、真紀だろ?」
 安城がいった。真紀はうつ向いたまま、強くかぶりを振った。
「ちがいます! 人ちがいです!」
「だったら、どうしてそんなに驚いて真っ赤になってるんだ?」
「だって、こんないやらしい写真、いきなり見せられたから……」
「それにしても普通の反応じゃないぜ。まあいいや。じゃあこの雑誌、会社の連中に見せて感想を聞いてみようか。みんな篠原だっていうに決まってるよ」
「そんな、やめて!」
 真紀は狼狽していった。安城のいったことと、雑誌のさきほどのページを開いて見ている安城の両方に向けて。
「自分じゃないんなら、どうってことないだろう。それとも自分だって認めるのか?」
 真紀はまた、強くかぶりを振った。
「なら調べてみるか」
 いうなり安城が立ちあがった。弾かれたように真紀は顔をあげた。


【2】
 そんな写真を会社のみんなに見られたら、人ちがいだと否定しても、どんな好奇な眼で見られるかわかったものではない。
 それを思って弱々しくかぶりを振ることしかできない真紀を、安城は椅子から立たせてベッドに押し倒した。
「いやっ、だめ! やめてっ」
 真紀の抵抗は形ばかりだった。安城は真紀が着ているものを毟り取るようにして脱がしていく。
(こんな乱暴なことをしなくても、安城さんなら許したのに……それより、どうしてあんな写真が雑誌なんかに……それに安城さんがあんないやらしい雑誌を見てたなんて……)
 ショックというような生やさしいものではない精神状態に、困惑や不可解さやかすかな落胆も入りまじって、真紀の気持ちは激しく揺れていた。
 その間にスーツを脱がされ下着だけの格好にされていた。安城がパンストに両手をかけた。真紀は両手でそれを拒み、腰をくねらせた。かまわず安城は強引にパンストを引きさげた。
「あ、だめ!」
 ズルッとすべったパンストと一緒にさがりかけたショーツを、真紀はあわてて両手でつかみ、躯をくの字に折り曲げた。だが、防御したつもりが逆にパンストを抜き取った安城の次なる行為をたやすくしてしまった。いとも簡単に背中にあるブラのホックをはずされ、なすすべもなくブラを毟り取られた。
 ついで安城は、躯をくの字に折り曲げたまま両腕で胸を隠している真紀を無理やりあお向けにした。
「おお、土手高だな。モッコリがたまんないな」
「そんな、だめ!……」
 安城の手で、こんもりと盛りあがったショーツの丘を撫でまわされて、真紀は腰を上下に揺すり、左右に振りたてた。両腕で胸を隠した格好で安城に両脚にまたがられているため、安城の手を拒むことができないばかりか、焦れるような腰つきにしかならない。
 それをいいことに安城は、恥骨と柔肉の手触りを愉しみ味わうようにねっとりと撫でまわしながら、ときおり指先をクレバスに滑り込ませてくる。
 真紀は恥ずかしさをかきたてられると同時に、うろたえさせられた。そんなことをされれば、半年あまり“彼氏イナイ歴”をつづけている躯は、いやでも性感をかきたてられる。ゾクッとするようなざわめきに襲われて、思わず喘ぎ声が口をついて洩れ、ひとりでに安城の手つきをもどかしがっているような腰つきになってしまう。
「どうした? もうたまらなさそうな腰つきをして……だいぶ欲求不満が溜まってるんじゃないか」
 安城が、揶揄するように、それでいて興奮もしているらしく、うわずった声でいった。
「いやっ」
 真紀は火照った顔をそむけた。アルコールの酔いに代わって性感が顔に出ているのが自分でもはっきりとわかった。
「身体を調べるには両手が邪魔だな」
 安城がつぶやくようにいった。見ると、パンストを手にしている。真紀はとっさに安城の思惑を察し、うろたえた。
「そんなのいやっ! やめてェ」
 安城はいやがる真紀をうつ伏せにすると馬乗りになった。無理やりに両手をひねりあげ、パンストで手首を縛る。そしてまたあお向けにもどし、真紀の腰にまたがった。
「おおっ、写真の女と同じようにグラマーないい躯してるじゃないか」
「ひどい……いやっ、ほどいてっ」
 真紀は顔をそむけたまま、狼狽して叫んだ。
 見られてはいけない乳房は、もはや隠しようもない。安城の視線を感じて息が乱れ、あお向けの状態でもきれいな紡錘形を保った豊満な乳房が大きく上下する。
「やっぱりな。右のオッパイの乳首のそば……まずこのホクロは写真とピッタリだ」
 安城が指先でそのホクロに触りながら、勝ち誇ったようにいう。
 真紀はかえす言葉もなく、ただ、やめて!−−とかぶりを振るしかない。
 突然、甘い疼きに襲われて思わず喘ぐと同時にのけぞった。安城の指先が乳首をくすぐるように撫でまわすのだ。
「感じやすいんだな。縛られてるからよけいそうなのか? ほら、もう乳首がビンビンにおっ勃ってる」
「いやっ、やめてェ」
「無理すんなよ。いいんだろう」
 安城の言葉を振り払うように真紀はかぶりを振った。が、しこって突きだした乳首をくすぐられていると否応なく甘い疼きをかきたてられ、すぐにまた感じた声を洩らしてのけぞってしまう。そればかりか、乳房からひろがる性感が下半身にまで流れ、内腿のあたりがムズムズして、両脚をすり合わさずにはいられない。
 そのとき安城が乳首を嬲るのをやめた。
「ま、お愉しみはあとにして、もうひとつのホクロを確かめてみるとするか」
 躯をずらしながら両手でウエストラインをなぞっていき、ショーツを脱がそうとする。
「だめっ、いやっ!」
 真紀は夢中になって腰を振った。
「そうやってムキになって拒むってことは、もうひとつのホクロもあるっていってるようなもんだぜ」
「ああっ、もうやめて!」
 なおも激しく真紀は腰を揺さぶった。
 一瞬、安城の表情がこわばった。怒りのためではなく、真紀の抵抗で興奮を煽られたらしい。ニヤリと笑って、ショーツをおろしていく。それもいやがって腰を振りたてる真紀の反応を愉しむようにゆっくりと……。
「いやっ、いやあっ……」
 真紀はかぶりを振りながら、息せききっていった。じわじわとショーツが引きさげられていく。いたたまれずに下半身を見やった。ショーツが腰の途中までずりさげられて、ヘアがのぞいていた。カッと頭のなかから全身が火になって躯をよじり、顔をそむけた。
 ズルッと、安城が一気にショーツを引きさげた。
 真紀は躯を反転させて足をバタつかせた。だが虚しい抵抗だった。あっさりショーツを抜き取られた。
 全裸にされた躯をまるめていると、安城が真紀の上体を抱き起こした。
「もうひとつのホクロを調べるには、雑誌に載ってた写真みたいに真紀が自分で大股開きの格好をして見せてくれれば簡単なんだけど、俺に対してはまだそこまで素直じゃないからな」
 そういいながら、真紀の後ろ手に縛られているパンストのあまりを両手に持って伸ばし、それぞれ膝に巻きつけてグイと背中に引く。
「いやァ、だめェ〜!」
 真紀はほとんどパニック状態に陥って、狂ったように顔を振りたてた。膝に巻きつけられたパンストを背中で結ばれたため、両膝が身体の真横にくるほど開かされ、そのうえあお向けに転がされたのだ。恥ずかしい部分は隠しようもないばかりか、これ見よがしの格好だった。
「いい眺めだ。オマ×コ、パックリだぜ」
「いやあっ! いわないで! 見ないでェ」
 真紀はなおも顔を振りたてた。恥ずかしい部分がどうなっているか自分でもわかって、いたたまれない羞恥で全身が火になっているところに、安城にこれ以上ない露骨で卑猥ないい方をされてめまいがするような羞恥に襲われ、声ばかりか身体までふるえる。
 真紀にとって縛られたのはこれが初めてではなかった。別れた村瀬幸彦にも、なんどか縛られたことはあった。といってもそれはSMプレイの真似事のようなもので、せいぜいが両手を縛られて目隠しをされる程度だった。これほどハレンチな格好を強いられたことなどなかった。
 まして相手は初めての安城だ。恥ずかしさはそのときの比ではない。
「ふふ、証拠はバッチリだ」
 安城が勝ち誇ったようにいった。
「ほら、このホクロ……」
 指先で、恥ずかしい部分の横にあるホクロを触られて、ピクッと腰がひくついた。
 真紀はかえす言葉もない。羞恥にあおりたてられながら、自由にならない腰をもじつかせるのがせいいっぱいだった。
「どうだ。もう人ちがいだなんていえないだろう? ん?」
 安城が指先で秘苑の花びらをなぞりながら聞く。恥ずかしい部分にざわめくような感覚が生じ、真紀はたまりかねて、
「い、いやン……」
 と、ふるえ声を洩らして身悶えた。
「それにしても真紀が男にあんなエッチ写真を撮らせていたとはな。正直いって、最初は驚いたというより信じられなかったよ」
「やめて! いわないでっ」
 いたたまれず、眼を閉じてかぶりを振りたてた。
「それより写真を見てて思ったんだよ。これは絶対に真紀はマゾッ気がある、俺がしっかり調教してマゾにめざめさせてやろうって」
「そんな……」
 思いがけないことをいわれて真紀は驚き、うろたえた。
 と、安城が真紀の腰の下に枕を敷き入れた。
「ほら、こうやって、ちょっとの間いい眺めを観賞してろ」
 そういうと、なにを思ったのか安城はベッドからおりて浴室に入っていった。
 観賞する気などなかったが、真紀の視線は吸い寄せられるように股間に這っていった。
 腰が持ちあがっているために、恥ずかしい生々しい眺めがほとんどまともに眼に入った。思わず、いやっ、と胸のなかで叫んで顔をそむけた。が、すぐにまた視線がそこに引き寄せられていってしまう。
 濃密だがほぼ逆三角形の形に整然と生えているビロードのようなヘアの下で、やや赤茶けた秘唇が、安城にいわれたとおりパックリと口を開けて、ピンク色のクレバスまでがあからさまになっている。
 こんないやらしい眺めを安城に見られていたのかと思うと、恥ずかしくていたたまれない。それでいてひとりでに膣がヒクつき、ゾクッと身ぶるいするような性感が背筋を駆け抜けて、喘ぎそうになる。
 真紀はうろたえた。喘ぎそうになるのはこらえたものの、勝手に膣がヒクついて身ぶるいするような性感をかきたてられると同時に、ジュクッと蜜があふれるのだ。
 こんなハレンチな格好にされているというのに、こんなに濡れているところを安城に見られたら……と思うと居ても立ってもいられない。
 そのとき、「絶対にマゾッ気がある」といった安城の言葉が脳裏をよぎって、真紀はますますうろたえた。うろたえながら、半年あまり前に別れた村瀬幸彦とのことを思いだした。


【3】
「真紀、写真撮ろうよ」
 クンニリングスをしている途中で顔をあげた幸彦が、唐突に妙なことをいった。
 真紀は怪訝な顔つきで聞いた。
「突然なに?」
「俺たちのラブラブ写真を撮りたいんだ」
「え!? それって、エッチな写真ってことでしょ?」
「ま、ハッキリいっちゃえばそう……な、エッチ写真撮ろうよ」
「やだ。冗談はやめて」
「冗談なんかじゃないよ、マジだよ。な、いいだろ?」
「いいわけないでしょ。変なこといわないでよ」
 真紀はうろたえていうと、
「それより、いや……」
 とすねて腰をうねらせ、クンニリングスの続行を催促した。
 そのいやらしい腰つきを見て興奮を煽られたらしく、幸彦がクレバスに口をつけてきた。すでにふくれあがっていたクリトリスに幸彦の舌を感じたとたん、真紀はふるえをおびた喘ぎ声を洩らしてのけぞった。
 クンニリングスを中断されていた間、焦れったいのを我慢していたぶん刺戟と快感が新鮮で強く、そのままこねまわされると、たちまちよがり泣かずにはいられなくなった。
 そのうえ幸彦のクンニリングスはそれまでとちがって、まるで責めたてるようだった。真紀は一気に絶頂に追いあげられた。よがり泣きながら息せききって絶頂を訴え、のけぞると同時にオルガスムスの痙攣に襲われた。
 息を弾ませて達した快感と興奮に浸っていると、幸彦が躯を重ねてきて真紀の躯を抱きしめた。
「幸彦っ、ああイクッ!」
 下腹部にエレクトしたペニスを押しつけられて強く抱きしめられると、それだけでまた絶頂感に襲われて躯がふるえた。
 幸彦と肉体関係が生じてしばらくたった頃から真紀は、クンニリングスされてイッたあとでそうされると、すぐまたイクようになった。もともと感じやすいタイプだったが、そんなイキ方をするようになったのは、幸彦とのセックスの相性のよさだけでなく、それだけ真紀自身セックスの歓びが深まってきた証拠といってよかった。
 真紀を抱いたまま、幸彦が躯を反転させた。上になった真紀は、いつものように躯をずらしていって幸彦の両脚の間にひざまずき、片手でロングヘアをかきあげると、いきり勃っているペニスに両手を添えて舌をからめた。
 舌をじゃれつかせるようにして肉棒の先から根元まで舐めまわし、ついで咥えて顔を振ってしごき、ときおり肉棒を口から出してしゃぶる。
 そうやってフェラチオに熱中していると、真紀は興奮に酔ったようになる。そればかりかクンニリングスを受けてエクスタシーを得て、せつないほど疼いている“下の口”が、“上の口”で舐めまわしたりしごいたりしている肉棒を欲しがってざわめき、ひとりでに腰がいやらしく蠢いてしまうのだった。
 そのとき、妙な音を聞くと同時に閃光のようなものを感じて真紀は眼を開けた。
「!?……いやあ! やめてっ!」
 悲鳴をあげて両手で顔をおおった。フェラチオしているところを幸彦に写真に撮られたのだ。
「やだァ、ひどォ〜い!」
 真紀は幸彦におおいかぶさっていってカメラを奪い取ろうとした。
「どうしてェ〜? どうして写真なんか撮るのよォ」
「いいじゃないか、俺たちが愛し合ってるところ、写真に撮って残しておくんだから。もちろん誰にも見せやしないさ。二人だけの秘密だよ」
 いい合いながらもつれ合っているうちに真紀のほうが幸彦に組み敷かれ、両脚の間に幸彦の腰が分け入っていた。
 秘苑に怒張を感じて真紀はゾクッとし、ふっと身体から力が抜けた。それを見はからったように、幸彦が手にした怒張がクレバスをまさぐるなり真紀のなかに押し入ってきた。
 クンニリングスとフェラチオで興奮していた真紀は、こらえようもなく快感の声をあげてのけぞった。
「な、二人だけの秘密の写真ならいいだろ?」
 しつこくいいながら、幸彦がペニスを抜き挿しする。
 たとえ二人だけの秘密でも恥ずかしい写真に変わりはない。そんな写真を残したくはない。膣を出入りするペニスにしびれるような快感をかきたてられて繰りかえしのけぞりながら、「いやっ、いやっ」と真紀はかぶりを振った。
「なんでだよ!」
 幸彦は苛立った声をあげて責めたてるようにペニスを突き引きする。真紀はきれぎれに泣くような喘ぎ声をあげながら、なおもかぶりを振りつづけた。
「しようがねえなァ。じゃあ顔は写さないよ。それならいいだろう」
 幸彦が腰をまわしながらいった。
 肉棒で膣のなかをこねまわされて、それまでとはちがった狂おしい快感をかきたてられて真紀はよがり泣きしながら、幸彦の問いかけにどう答えようか迷った。顔は写さないといわれて、それならいいと思ったわけではなかったが、一瞬、逡巡する気持ちが生まれていた。
「大丈夫、絶対に顔は写さないから……よし、まずはドッキング写真だ」
 幸彦は真紀の反応を勝手に都合よく解釈したらしい。うれしそうに声を弾ませていうなりカメラを手にし、二人の股間に向けて構えた。
 真紀はあわてて腰を振りたてた。
「そんなァ、だめェ〜!」
「いいから、いいから。ほら、じっとしてろ」
 幸彦はもう聞く耳を持たなかった。写真を撮ることに夢中だった。
 カシャというシャッター音が響き、フラッシュが光った。その瞬間、真紀の裸身はピクッとひくついた。
 つづけて幸彦がシャッターを切る。そのたびに真紀の身体はひくつく。というよりもカメラで狙われている、幸彦のペニスを挿入されたままの蜜壷が、シャッター音とフラッシュの光を浴びるたびにズキンと疼き、身ぶるいするようなざわめきが湧きあがって身体におののきが走る。
 いつしか真紀はいやがるどころか、シャッターを切られるたびに昂った声を洩らして裸身をひくつかせていた。
「なんだ。あれほどいやがってたのに興奮してるじゃないか。すげえいやらしい腰つきしてるぞ」
 幸彦が驚いた声でいった。そういう幸彦も興奮した顔つきをしていた。
「いやァ、だってェ〜、変なとこ撮るからァ……」
 真紀は嬌声をあげて身悶えた。幸彦にいわれたとおりだった。思いがけない感じ方に戸惑いながらも、異常な興奮につつまれているうちに、これ以上ないほどいやらしく腰をうねらせていたのだ。それもそのいやらしさにますます興奮を煽られて……。
「それにしても驚いたな。エッチ写真を撮られてると、やたら感じて興奮するタイプの女がいるってことは聞いてたけど、真紀もそうだったなんて……ほら、いまだって、まだオマ×コがピクピクしてるよ」
 幸彦は驚きと興奮が入りまじったような顔つきでいった。
 それも幸彦がいうとおりだった。半分ほど挿入されている肉棒を、まるで咥えて離すまいとするかのように蜜壷がピクピク痙攣して締めつけているのが真紀にもわかった。もう真紀は我慢できなかった。
「ああん、もっとォ……もっと奥まで入れてェ」
 なりふりかまわずあからさまないい方で求め、腰を揺すりたてた。
 そんな真紀の反応に幸彦も興奮を煽られたらしい。抉るように突き入ってくると、激しく突きたててきた。


 幸彦にエッチな写真を撮られるようになったのは、そのときからだった。
 真紀は、すぐに顔を撮られることも許した。
 幸彦はエッチ写真を撮るたびにハレンチな注文を出した。それも裸や幸彦との肉交だけでなく、真紀を大股開きの格好にさせて両手で花びらを開かせたり、そのままオナニーさせたり……。
 そんなハレンチな格好や行為は、エッチ写真を撮られるまでの真紀だったら、とてもできることではなかった。だがそのときの真紀は、恥ずかしい写真を撮られることにセックスでは味わえない刺戟と興奮をおぼえるようになっていて、もう幸彦のいいなりだった。
 もっとも幸彦とは、そのときが一番いい関係だった。そうでなければ、真紀にしてもそんな恥ずかしいことはできなかった。


【4】
 幸彦にエッチ写真を撮られているとき、異常に興奮したのは、自分にマゾッ気があったからだろうか。
 戸惑いながらそう思ったとき、真紀はあわてて顔をそむけた。
 安城が浴室から出てきた。
 なぜか安城はタオルと洗面器を手にしていた。さらにアタッシェケースも持ってベッドにあがり、真紀のあからさまになっている股間の前にあぐらをかいた。
「お待たせ。さっそく真紀にふさわしい身体にしてやろう」
 安城がアタッシェケースのなかから取りだしたものを見て、真紀はうろたえた。ハサミとカミソリだった。
「そんなものでどうしようっていうの!?」
「ヘアをきれいに刈り込んで、いい形に剃るんだ」
「そんな!……やめてっ」
「ま、愉しみに仕上がりを待ってろ」
 狼狽しきって股間を凝視している真紀の眼に、安城の指先が陰毛をつまむのが見えた。つまみあげられたヘアを、ハサミが噛み、ジリッと乾いた音を響かせた。
「ああ、いやっ」
 真紀はふるえ声を洩らして顔をそむけた。
 安城は無言のままハサミを使った。真紀の絶望感を嘲笑うように、股間の縮れ毛が切られる音が響きつづける。
 見たくないと思って顔をそむけたままの真紀だったが、どんな状態にされているのか気になって見ずにはいられず、恐るおそる下腹部に視線を這わせた。
 下腹部を見たとたん顔が火照って、いやっ! と胸のなかで叫んで顔をそむけた。ふっさりとしていたヘアが、短く刈り込まれた芝生のような無残な眺めを呈していた。
 真紀は泣きたくなった。といって哀しくて泣きたいのではなかった。惨めな喪失感に襲われながらも、なぜか胸が高鳴って、泣きたい気持ちのなかにもなにかに陶酔している心地よさのようなものがある不思議な感情が込みあげてきていた。
 そのとき、ヌルヌルした感触につられて下腹部を見やった。刈り込まれたヘアにセッケンの泡が塗りつけられていた。
 安城がカミソリを手にした。真紀はまた顔をそむけた。見ていられなかった。
 ジョリッと、カミソリがヘアを噛む音が響いた。その音と感触が真紀を絶望的な気持ちに追いやった。
 ヘアを剃るカミソリの音が響き、カミソリの刃が恥ずかしい部分のまわりの肌をわずかにひっかくようにして滑る。
 ヘアがなくなってしまった秘苑の眺めが脳裏に浮かんだ。よけいに露骨に見えるだろうクレバスの眺めを想うと、いたたまれない恥ずかしさでカッと全身が火になって、開脚させられている下肢が小刻みにふるえだした。
 それでいて真紀は戸惑った。絶望感とそんな羞恥につつまれながら、ゾクゾクするような気持ちに襲われていたからだった。
 黙々とカミソリを使っていた安城が、真紀の下腹部を濡れタオルで拭いた。
「よし、できた。ま、こんなもんだろうな。さあ、真紀にも見せてやろう」
 満足そうにいってベッドからおりた。そばにあるドレッサーをベッドのほうに向けて、またベッドにあがってくると、真紀を抱き起こしてドレッサーの鏡と対面させる。
 鏡を見た瞬間、真紀は息を呑み、弾かれたように顔をそむけた。
「ひどい……」
 あまりのことに声がふるえた。あろうことか、短く刈り込まれていたヘアが、縦に『マゾ』という文字に剃られていたのだ。
「どうだ、なかなかの傑作だろう」
 耳もとで安城が得意気にいった。
 真紀はかえす言葉もなかった。眼に焼きついている『マゾ』の二文字が、下腹部に焼きつけられた烙印のように思え、それと同時に烙印を押された場所が焼けるように感じられて、秘苑一帯がジーンとしびれていた。
「おお、すごいじゃないか。やっぱり真紀にはマゾッ気があるよ。ほら、見てみな」
 安城が興奮した声でいった。
 声につられて真紀は鏡を見た。
「あっ、いやあっ!」
 いきなり安城の両手でグイと秘唇をひろげられて狼狽と羞恥に見舞われ、うわずった声を洩らしてのけぞった。
「ほら、ビチョビチョじゃないか。縛られただけでもう濡れていたのはわかってたけど、ヘアを剃られている間にこんなに濡れるなんて、マゾッ気があるなんてもんじゃないよ。おまえはマゾなんだよ」
 安城が真紀のロングヘアを顔で押し分け、唇で耳をくすぐるようにしながら、思い入れたっぷりに囁く。
「ああん……」
 やめてっ−−といったつもりが真紀の声はひどく艶めかしい喘ぎ声にしかならなかった。そればかりか、いたたまれないほどの羞恥にあおりたてられながら、秘苑のなかまで露呈させられている股間から眼が離せなかった。
 安城の両手でひろげられたままのそこは、左右の秘唇が菱形状に大きく口を開けて、ジットリと濡れ光っているピンク色のクレバスが露出している。
「おおっ、アソコの口が動いてラブジュースをあふれさせてる。こうやって見られてるとますます感じちゃうんだろう?」
「ああン、だめェ……」
 真紀は昂った声を洩らして悩乱したようにかぶりを振った。もはや安城の言葉を否定することはできなかった。事実、ひとりでに膣口が喘ぐように収縮し、ジワッと蜜が滲みだしていた。そしてそのたびに身ぶるいするような性感に襲われていた。
 それだけではない。ハアハアと弾む息をどうすることもできないほど、視姦される興奮に酔いしれていた。
 そのとき、安城の指先がクレバスの上端を引きあげた。
「ほら、クリちゃんだってもうビンビンだよ」
 剥きだしになった、ふくれあがっているクリトリスを、安城の指がまァ〜るくこねまわす。片手で乳房を揉み、指先で乳首をくすぐるようにしながら。
「あはン、だめ……ああっ……」
 しびれるような快感と狂おしい性感をかきたてられて真紀はのけぞった。きれぎれに感じた声を洩らしてのけぞりながら、それでも鏡のなかのいやらしい眺めを見ていた。
 まるで失禁したように濡れているクレバスの上端から頭を覗かせているピンク色の真珠のようなクリトリスを、クルクルと撫でまわしている安城の指先や、それに合わせて淫らに律動している腰や、揉みしだかれている乳房を見ているうちに、真紀は絶頂に追いあげられていった。
「だめっ、だめェ……ああああ、もうイクッ! イッちゃう〜!」
 電流のように走り抜けていくめくるめく快感によがり泣きながら、激しく全身をわななかせた。
「なんだ、もうイッちゃったのか?」
 安城が拍子抜けしたような声でいった。
「でも、無理ないか。あの写真を投稿した彼氏と別れて半年以上だもんな。彼氏、雑誌に手紙も書いてたぜ。これは去年の秋まで付き合ってた同い年の彼女を撮った写真だ。写真を見てもらえばわかるとおり、彼女なかなかの美人だけど、エッチのほうもけっこう好き者で、俺にとっては最高の女だった。ところが残念なことに別れた。というより本当のことをいえば俺のほうが捨てられてしまった。それなのに彼女のことが忘れられなくて、いままでずっと未練がましくこの写真を持ってた。だけどもう彼女のことは忘れるために投稿したってね」
 真紀は茫然として安城がいうのを聞いていた。
 事実、幸彦に別れ話を切りだしたのは真紀のほうだった。あるところまでは例のエッチ写真を撮るのも許せるほどいい関係だったが、幸彦の前にすべてをさらけだしたことがよかったのかどうか、そのうち真紀の気持ちのなかから幸彦に対してときめくものがなくなっていったのだった。
 そんな真紀の気持ちに、幸彦の就職のことが拍車をかける結果になった。幸彦は三流の会社にしか就職できなかったのだ。そのとき真紀は、これから先のことを考えると付き合っていく相手として幸彦のことが頼りなく見えてきて、このあたりが潮時だと思った。そして別れ話を切りだしたのだが、ひと言でいえば真紀の打算だった。
 それだけに真紀も幸彦がすんなり別れてくれるとは思っていなかった。案の定、すったもんだがあった。そのあげく、ようやく幸彦が聞き入れてくれたとき、それまでに撮られたエッチ写真とネガはかえしてもらった。
 真紀のほうは、すべての写真とネガをかえしてもらったものとばかり思っていた。ところが幸彦は全部をかえしてくれたわけではなかったのだ。そればかりか、手もとに残しておいた写真を雑誌に投稿したのだ。
 忘れるためだといって、こんなひどいことをするなんて……。
 悪い夢でも見ているような気持ちにさせられて茫然としていた真紀だが、すぐに現実に引きもどされた。安城の指先が膣口のあたりをこねまわしていた。
「エッチのほうもけっこう好き者っていうのはよかったな。でも彼氏、好き者どころか、おまえさんがマゾだってことには気づかなかったらしいな」
 笑っていいながら、クチュ、クチュという濡れた卑猥な音を響かせる。
「ほら、もうここに指入れてほしくてたまんないんだろう」
 いやらしい音とムズムズする性感に興奮を煽られ、真紀は自分でもはっきりわかるほど欲情した顔つきになって、ウンウンうなずいた。
「ここはなんていうんだ? あのエッチ写真を撮った彼氏にも聞かれて、いやらしいいい方でいったんだろ? いってみろ」
 安城がいうとおり、幸彦にもよくいわされた。真紀自身、その言葉をいわれたり、自分で口に出したりすると興奮をかきたてられるタイプだった。
「ああん……オ、オマ×コ……」
 興奮してうわずった声でいうと、
「じゃあ、ちゃんと、誰のなにを誰のどこにどうしてほしいのかいってみろ」
 安城はなおも指と言葉で嬲る。真紀は焦れて腰を揺すりながら、頭がクラクラするような興奮につつまれていった。
「ああもう、安城さんの指、真紀のオマ×コに入れてェ」
「上出来だ。褒美に指よりもっといいものをやるよ」
 いいながら安城は手早く服を脱ぎ捨て、裸になった。顔つきも興奮していたがペニスも腹を叩かんばかりにいきり勃っている。真紀が肉棒に眼を奪われていると、真紀を拘束しているパンストを解き、ベッドからおりて立った。
「真紀、これからおまえは俺の奴隷だ。ほら、奴隷らしく犬みたいに這ってきておしゃぶりしろ」
 猛々しいペニスを突きだして命じる。
 真紀は命じられたとおり四つん這いになった。そのまま安城のそばまで這っていき、怒張にねっとりと舌をからめて舐めまわしはじめた。
 そのときふっと、社会人になったら幸彦よりもずっといい男を見つけようと思っていたことが頭をかすめた。そんな屈辱的な行為にもゾクゾクする興奮と、このまま安城とのアブノーマルな関係にのめり込んでいきそうな予感をおぼえながら……。



【小悪魔OL・凌辱の契約】


【1】
 沢井の両手で乳房を揉まれながら、口で乳首を吸われたり舌でこねまわされたりして、麻美はきれぎれに喘いでのけぞっていた。
 乳房に生じる甘い疼きがアルコールの酔いのように、沢井の硬くて熱いモノが触れている下半身にまでひろがって、ひとりでに腰がうねる。
 それでいて麻美はもうひとつ物足りなさを感じて、そのことに戸惑っていた。なぜ物足りないのか、自分でもその理由がわかっていたからだった。
「ああン、もっとォ……ね、噛んでェ」
 たまりかねて、思わず麻美はせがんだ。沢井にそんな行為を求めたのは、これが初めてだった。
 沢井が顔をあげた。
「噛むって、乳首をか?」
 驚いている。
(どうしてそんな行為を求めるのか、聞かれたらどうしよう……)
 ドキドキしながらも、麻美は小さくうなずいた。
 だが沢井は聞かなかった。そればかりか興奮を煽られたような顔つきになって乳首を口に含み、ジワッと、恐るおそるといった感じで歯をたててきた。
「あっ、いいっ……もっと強くゥ」
 ゾクッとする快感に麻美はのけぞってふるえ声を洩らし、さらにうわずった声で求めた。
 沢井が乳首に歯を食い込ませた。
「うっ!……い、いいっ! ああ……」
 疼痛と一緒に痺れるような快感が走って躯がわななき、イキそうになった。
 その反応に沢井はますます興奮したらしい。麻美が、もっと噛んで、といおうとした矢先、躯を下方にずらしていった。すぐさま両手で麻美の秘唇を押し開き、舌でクレバスをまさぐってきた。
 沢井の舌がクリトリスをとらえてこねまわす。
 麻美はまた、きれぎれに喘いでのけぞりながら、喉まで出かかった言葉をかろうじて呑み込んだ。
 さすがに、縛ってほしいとはいえなかった。いえなかったが、後ろ手に縛られただけでキュンと胸を締めつけられるようなせつなさと、ドキドキするほどのときめきに襲われて濡れてしまうまでに、マゾヒスティックな性にめざめている気持ちと躯が、またぞろ物足りなさをおぼえてしまう。
 胸のなかで麻美は訴えた。
(ああ、沢井さん、本当はわたし、あなたに縛られて、イジメられたり奉仕させられたりしたいの。どうせなら縛ってクンニしてほしいのよ。そうされたら、これよりずっといいのに……)
 そう思いながらも、感じやすい躯は沢井のクンニリングスでオルガスムスのうねりに呑み込まれていく。
「ああイクッ、イック……」
 躯の芯を走り抜ける快感と同時に裸身を弓なりにのけぞらせると、絶頂のふるえに襲われた。同じイクにしても浅い深いがある。浅く、麻美はイッた。
 ここで、いつもなら次にフェラチオを求めてくる沢井だった。だが、乳首を噛んでほしいという麻美の初めての要求と、そのときの反応でいつになく興奮したせいか、躯を起こすとすぐに怒張でクレバスをまさぐってきた。
 怒張がふくれあがったクリトリスをこすり、クチュ、クチュといやらしい音を響かせて膣口をこねる。
「ああン、だめェ〜」
 麻美は艶めかしい声をあげて腰をうねらせた。エレクトしたペニスで貫かれたいという欲求もあったが、それ以上にもっと焦らされるなり嬲られるなりされたいと思う気持ちのほうが強く、そのことを訴えたつもりだった。
 ところが沢井のほうは、麻美が早く入れてと催促していると思い、よけいに興奮を煽られたらしい。一気に押し入ってきた。
 いままでになく荒々しく突き入ってきた怒張に、麻美は呻き声を洩らしてのけぞった。犯されるようなその感覚はわるくなかった。一瞬、頭がクラッとした。
「ああ、麻美。いいよ、いいっ」
 激しく抜き挿ししながら、沢井がうわずった声をあげる。
「麻美は?」
「いいわ。気持ちいいっ」
 麻美もうわずった声で答えて、喘いでのけぞりながら、沢井のつぎの言葉を待った。だが沢井は夢中になって突きたててくるだけだ。
(ああンもっとォ、どこがいいか、聞いて! もっといやらしいこといわされたり、いってほしいのに……)
 そうしてくれない沢井を恨めしく思った直後、不意に唐崎の顔が脳裏に浮かんできて、麻美は戸惑った。そのとき沢井が上体を重ねてきた。
「イクよ。いいか?」
 麻美を抱き締め、激しく律動するピストンのように腰を使いながら、耳もとで切迫した声でいう。仕方なく、麻美はうなずいた。


 麻美は沢井の寝顔を見ていた。
 沢井は満足した表情を浮かべて眠っている。
 麻美のほうは、まだ燃えつきない疼きがくすぶっていた。
 そんな自分の躯に困惑すると同時に、沢井に対してうしろめたい気持ちをおぼえながら、麻美は唐崎のことを想った。
 −−麻美が勤めている自動車販売会社の上司である課長の唐崎と不倫の関係に陥ってから、もう一年ほどになる。
 唐崎は麻美よりも十三歳年上の三十七歳である。
 唐崎のほうは当初から麻美に眼をつけていたようだが、麻美はそれまで唐崎のことを男として意識したことはなかった。年齢的なことや妻子がいることもだが、唐崎にはなんとなくオットセイを想像させる精力絶倫タイプという感じがあって、見るからにいやらしい中年男というイメージがあったからだ。
 それなのに深い関係に陥ったのは、麻美のほうにある事情があったからだった。
 麻美にはその前に、あるパーティで知り合った二十七歳の独身で医師の恋人がいた。ところがあるとき、偶然にも彼の部屋で膨大な量のロリコン・ビデオを発見して、麻美はひどいショックを受けた。
 それが原因で彼とは別れた。唐崎との関係が生じたのはその直後のことで、ある日酒を飲みに誘われたのがキッカケだった。
 麻美のなかには多分に投げやりな気持ちがあった。酒の酔いにつれてその気持ちに拍車がかかり、唐崎に誘われるままホテルに行った。といってもそのときの麻美は、それをキッカケに唐沢と関係をつづけるつもりなどなかった。その夜かぎりの関係にすぎないと思っていた。


【2】
 ホテルの部屋に入るなり、唐崎は麻美を抱きしめてキスしてきた。
 麻美は顔を振って拒んだ。投げやりな気持ちからアルコールに酔った勢いでホテルに来たものの、唐崎とキスする気持ちにはなれなかった。
「キスはいやか?」
 唐崎が聞いた。麻美が返事に困っていると、苦笑して、
「わかってるよ。ホテルに来たのはなにかの弾みで、俺に気があったからじゃないってことぐらいは」
 内心を見透かされて麻美は戸惑い、なぜ? という表情で唐崎を見た。唐崎は苦笑いしたままいった。
「酒の飲み方を見てればわかるさ。それになにか特別な理由でもなければ、こんな美人が俺みたいな中年男の誘いにスンナリと応じてくれるはずがないからな」
 麻美はうつ向いた。すべて見透かされていたのだと思うと、そのとき初めて投げやりな気持ちでホテルに来たことを後悔する気持ちと、唐崎にも申しわけないことをしたという思いが込みあげてきた。
「なにかいやなことがあったんだろう。それとも悩み事か?」
 唐崎が聞いた。麻美が黙ってうつ向いていると、
「ま、どっちにしても無理にいう必要はない。こういうとき、よく誰かに話せば気が晴れるなんていうけど、そんなのは気休めでそのときだけのことだからな。要は本人の問題で、いったところでどうなるもんでもない。できれば忘れることだ」
 外見のイメージとはちがってあっさりとした、それでいてやさしい口調の唐崎の言葉に、妙に麻美の気持ちは和んだ。
 それに唐崎に申しわけないことをしたという思いがあったからかもしれない。気持ちが和むと同時に、なぜ唐崎とホテルに来たか、そのことを打ち明けたほうがいいと思い、そして麻美自身も話して聞いてもらいたいという気持ちになって、別れた恋人のことを話した。
「なんだ、そんなことか。むしろ彼氏のロリコン趣味が早くわかってよかったじゃないか。彼氏には気の毒だけど、俺にとってもよかったよ。そのおかげで麻美とホテルに来れたんだからな」
 唐崎はこともなげに笑っていった。
 早くわかってよかったといわれればそのとおりで、そのあとにつづく唐崎の言い草に、つい麻美もつられて微苦笑した。
 すると急に唐崎は真面目な顔つきになった。麻美が戸惑ってうつ向くと、そっと顎に手をかけて顔を起こした。
 されるがままになって麻美は眼をつむった。唐崎が唇を重ねてきた。
 もう麻美は拒まなかった。そればかりか、侵入してきた唐崎の舌で舌をからめ取られると、麻美もからめかえしていった。
 アルコールの酔いのせいもあり、濃厚なキスが麻美にはよけいに官能的に感じられた。そのために気持ちと躯がふわっと浮いたような状態になっているところにもってきて、唐崎のズボンの前がムクムクと硬く突きだして麻美の下腹部を突きたててきた。
 しかも唐崎の両手が麻美の腰を引き寄せてタイトスカート越しにヒップを撫でまわしているので、エレクトしたペニスの感触がますますもって生々しく感じられる。
 否応なく性感をかきたてられて、乱れていた麻美の息はせつない鼻声になり、腰がひとりでに焦れるような、というよりも唐崎のエレクトしたペニスに下腹部をこすりつけているようないやらしい動きを呈してしまう……。
 立っていられない感じになって麻美は顔を振り、唐崎の唇から逃れた。息が弾み、自分でもはっきりわかるほど興奮した顔つきになっていた。
「ようやくいやなことは忘れて、俺と愉しむ気持ちになってくれたようだな」
 唐崎は笑っていい、麻美のスーツを脱がせはじめた。
「待って。その前にシャワーを浴びさせて」
「シャワーはあとでいい。仕事をしているときのままの麻美のほうがいいんだ」
「そんな……」
 さきほどのあっさりしたやさしい口調とは反対に、口調ばかりか顔つきまでふだんのイメージどおりのいやらしい中年男の感じになって、かまわずスーツを脱がそうとする唐崎に、一瞬麻美は戸惑った。
 だがすぐに、もうどうにでもなれという投げやりな気持ちになった。それもモヤモヤしていた胸のうちを唐崎に打ち明けて、そのうえ麻美自身興奮していたせいか、ホテルに来るまでとはちがってすべてが吹っ切れたような、投げやりになること自体に快感のようなものを感じていた。
「自分で脱ぐわ」
 唐崎に背中を向けて麻美はスーツを脱ぎはじめた。仕事をしているときのままの麻美のほうがいいという唐崎の言葉が頭をよぎって、いかにも唐崎らしいいやらしいいい方だと思った。前から下心があって仕事中でもこんな場面を想像していたにちがいない。それが現実になって夢がかなった唐崎は、興奮のあまり前戯なんてそこそこに行為におよぶかもしれない。シャワーを浴びていないから、むしろそうしてくれたほうがいい。
 そう思いながらも麻美は、また戸惑っていた。唐崎の視線を痛いほど感じながら服を脱いでいるうちに、ゾクゾクするような刺戟を受けて、もともと濡れやすいタイプなのだが前戯がなくてもいいほど濡れてきていたからだ。
 相手がいやらしい中年男のイメージを抱いていた唐崎だから、その視線も全身を舐めまわされるようないやらしいものに感じているうちに刺戟されてしまったのかもしれない。そうは思ったものの、好きでもない男の視線を感じて濡れてしまったことにいささかうろたえていた。
「おお、想ったとおり、いいプロポーションをしてるな」
 唐崎が驚きと興奮が入りまじったような声をあげた。
 麻美はすでにパンストも脱いで、白いブラとハイレグカットのフルサポート・ショーツだけになっていた。
 すぐ後ろに唐崎の気配を感じて、麻美は反射的に躯を固くした。唐崎の手でブラのホックをはずされ、あわてて両手でブラカップを押さえた。
「近頃の若い子には珍しく恥ずかしがり屋なんだな」
 いいながら唐崎が麻美の両肩のストラップを滑り落とし、両腕からブラを抜き取っていく。麻美はされるがままになって交互に腕で乳房を隠しながら、唐崎の言葉が意外だったので聞いた。
「課長、若い子と付き合ってるんですか?」
「ん?……まァな。といっても俺が付き合ってるのは、特殊な女の子ばかりだけどな」
 ブラを抜き取った唐崎は、苦笑まじりの声でいいながら、両手で麻美の肩から腕を撫で、両手をつかんで背中にまわさせていく。
 なぜそんなことをするのか気にしながらも麻美は唐崎の意味ありげないい方のほうが気になり、されるがままになって聞いた。
「特殊な女の子って?」
「クラブの子だよ」
 その瞬間、麻美は慄然とした。
「そんな……いやっ! こんなのいやっ!」
 あわてて抗ったがもう手遅れだった。あっという間に後ろ手に手錠をかけられていた。
「じつは俺、こういう趣味があってね、付き合ってるっていったのはSMクラブのマゾの女の子なんだ。正直いって、麻美のような素人の若い女の子は久しぶりなんだよ」
 耳もとで唐崎が弾んだ息でいいながら、両手で無防備な乳房を揉みたてる。
 唐崎にSM趣味があったなど想ってもみなかった麻美は一瞬ショックのあまり凝然となったが、すぐに狼狽しきって抗った。
「いやっ、やめ……あんっ、だめ……」
 麻美は必死に身悶えた。だが否応なくかきたてられる甘い疼きに抵抗というには程遠いなよなよした動きにしかならず、いやがる声もうわずった。
 そのとき、息を呑むと同時にゾクッと身ぶるいした。麻美が服を脱いでいる間に唐崎も脱いでいたらしく、後ろから抱かれて乳房を揉みはじめられたときすでにブリーフ一枚になっているのはわかっていたが、いまは唐崎の股間の硬い突起が麻美のヒップに突き当たっているのだ。
 乳房を揉まれていると焦れるように腰が振れる。そのためいやでも硬い突起を感じてしまい、その生々しい感触に躯から力が抜けていく。
「ああん、だめ……」
 またゾク〜ッとすると同時に身ぶるいし、麻美はふるえ声を洩らして首をすくめた。唐崎が首筋を舐めあげて舌で耳をくすぐるのだ。
 その瞬間、おぞましさに身ぶるいした麻美だったが、とりわけ刺戟に弱い首筋から耳を攻められておぞましさが一転、たまらない性感に変わって立っていられなくなり、麻美のほうから唐崎に躯を委ねていった。


【3】
 白いハイレグカットのフルサポート・ショーツだけの格好で後ろ手に手錠をかけられたまま、麻美はベッドにあお向けに寝かされていた。それも唐崎に命じられたとおり両脚をそろえてまっすぐに伸ばし、眼にはネクタイで目隠しをされて。
 −−その前にそういう状態であお向けに寝るよう唐崎に命じられて、麻美は拒んで暴れたのだった。
 すると唐崎は、素直に命令が聞けない奴隷はお仕置きしてやるといって麻美をうつ伏せにし、ヒップに平手打ちを浴びせはじめた。
 それまで誰からもそんな手荒いことをされた経験がなかった麻美は、はじめは憤りと痛みしか感じなかった。ところが、そのうち戸惑うような感覚に襲われはじめた。ヒップがたまらないほど熱く火照って、ムズムズしてきたのだ。
 いつの間にか、ヒップを平手打ちされるたびに、しびれるような快感に襲われて感じた声をあげ、ヒップをくねらせて身悶えていた。そしてついには、もっとぶって! と麻美のほうから平手打ちを求めてヒップを振りたてるほど、初めて味わう被虐的な興奮をかきたてられたのだ。
「けっこうマゾッ気があるじゃないか。俺と相性がよさそうだな」
 麻美の反応に唐崎は上機嫌だった。
 ヒップを平手打ちされ、そこまで感じて興奮してしまった麻美は、唐崎からそんなことをいわれてもかえす言葉はなかった。それどころか、燃え疼くヒップを唐崎の手で撫でまわされていると、その気持ちよさに艶めかしい声を洩らして悶えずにはいられず、命令されるままあお向けになった。すると唐崎はネクタイで目隠しをしたのだった。
 そのとき麻美は、唐崎に顔を見られなくてすむので目隠しをされたほうがいいと思った。だが、すぐにそれはまちがいだったとわかった。視界を遮られていると、そのぶん神経が研ぎ澄まされて、粘りつくようないやらしい顔つきと眼つきで全身を舐めまわすように見ているだろう唐崎の視線を、より強く感じてしまうからだった。
 それだけではない。そのぶん躯も過敏になり、唐崎の視線を感じているだけでゾクゾクしてくる。それもおぞましさからではなく、いやらしさを刺戟に感じて、ひとりでに躯がうねってしまう。
 麻美はハアハア息を弾ませていた。
 あお向けに寝てもきれいなお椀型を保つ乳房が大きく上下しているようすや、引き締まったウエストから悩ましく、見方によってはいやらしいほど張ったヒップラインをより際立たせて見せているハイレグカットのフルサポート・ショーツを、こんもりと盛りあげている恥ずかしいふくらみの眺めが目蓋に浮かび、さっきから黙っている唐崎がどこを見ているか、目隠しをされていても察しがついた。
 目蓋に浮かぶ乳房や下腹部に、唐崎の舐めまわすような視線を感じていると、いやでも性感をかきたてられて裸身がうねる。とりわけ恥骨から膣にかけてズキズキするような快感の疼きが生まれ、喘ぎそうになって両脚をすり合わせずにはいられない。
「見られているだけで相当感じているようだな」
 ようやく、唐崎が笑いを含んだ声でいった。
 いやっ……と麻美は声もなく、かぶりを振った。言葉を声に出そうとしても、感じたような喘ぎ声にしかなりそうになかった。
「これでもちがうっていうのか? ん?」
「あッ!……」
 ビクッとして麻美はのけぞった。不意に乳首を触られたのだ。目隠しをされているので、まさに不意討ちだった。過敏になっているところに不意討ちを食らったため、電気ショックを受けたような強い刺戟を受けた。
「ほら、乳首がビンビンじゃないか」
 唐崎の指先が乳首をくすぐるように撫でまわす。
 事実、乳首は硬くしこって突きだしていた。甘美な疼きをかきたてられて麻美はもうこらえきれず、きれぎれに喘ぎながら胸を反らした。
「このぶんじゃ、もうビチョビチョに濡れてそうだな」
 唐崎が笑いを含んだような声でいった。麻美はカッと全身が熱くなった。いかにも唐崎らしいいやらしいいい方をされたこともあったが、いわれたとおり、ヒップを平手打ちされたときからショーツがジトッとするほど濡れていたからだった。
 息を呑むと同時に麻美はまた躯をヒクつかせた。唐崎の手が太腿に這ってきたのだ。片方の手で乳房を揉みながら、太腿の手が、すべすべした感触を味わうように内腿を這いあがってくる。麻美は身をくねらせて腰をよじった。
「じっとしてろ!」
「うっ!」
 突然乳首を襲った鋭い痛みに麻美は呻いてのけぞった。
 乳首を指先で強く弾かれたらしい。ところが鋭い痛みがすぐにジーンとしびれるような疼きになった。思わず麻美は喘いで悶えた。しびれるような疼きに快感をおぼえて身悶えずにはいられない。
「脚を開け」
 息を弾ませながら裸身をくねらせていると、唐崎が命じた。
 麻美はもう拒否する意思を失っていた。半分は自暴自棄の気持ちにもなっていたが、唐崎のいいなりになることに、そのとき初めて快感のようなものを感じながら、そろそろと両脚を開いていった。
「想ったとおりだ。それにしても派手に濡れてるな。パンティに、こんなにシミができてるじゃないか」
「ああ……」
 唐崎の言葉にめまいがするような羞恥に襲われて、麻美は喘ぐことしかできなかった。麻美自身、ジトッとした感触を生々しく感じて、ショーツの股の部分にくっきりと船底型に染み出ている恥ずかしいシミが脳裏に浮かびあがっていた。
 麻美は息を呑んだ。勢いよく吸った息が小さな声になって、同時にヒクッと腰が跳ねた。唐崎の指先が、シミが浮くまで濡れているショーツ越しにクレバスを下から上に、ゆっくりとなぞっていくのだ。クレバスから腰部にひろがっていくゾクゾクする性感に感じた声が口を突いて洩れ、ひとりでに腰がはしたなくうねってしまう。
「いやらしい腰つきだなァ。早く入れてちょうだいって催促してるみたいだぞ。ん? みたいじゃなくて、そうなのか?」
 粘りつくような口調でいいながら、唐崎が指先でクリトリスのあたりをくすぐるように撫でまわす。
 泣きたくなるような快感をかきたてられて、麻美はふるえをおびた喘ぎ声を洩らしながら、全身をうねらせて悶えた。唐崎の恥辱的な言葉も、もはや興奮をかきたてられる媚薬のようなものでしかなかった。
 そのとき、いきなり激痛に襲われて呻き、大きくのけぞった。さっきは乳首だったが、こんどはクリトリスを唐崎の指先で強く弾かれたのだ。
 もっとも過敏な部分を襲った痛みは、乳首の比ではなかった。そのぶん、痛みのあとにつづくしびれるような疼きも強烈だった。
 しかも一度ならず、唐崎は一定の間隔をあけてつづけてクリトリスを指先で弾く。そのたびに麻美は鋭い痛みに呻いてのけぞり、腰を上下左右に振りたてた。
 そのうちクリトリスを弾かれた瞬間、麻美は、しびれるような疼きというよりも強烈な快感に襲われて「イクーッ!」と絶頂の声をあげて一気に達し、反りかえると同時に激しく腰を揺さぶった。
 すると唐崎はこんどは打って変わって、指先でやさしくクリトリスをくすぐり、膣口をこねはじめた。クチュクチュという卑猥な濡れた音が響いた。麻美はたまらず、
「だめ……あああ、もうだめ……もうきてェ……してッ」
 息せききって訴え、猥りがわしく腰をうねらせて催促した。泣きたいほど膣が疼いて、早くエレクトしたペニスで貫かれたくてそうせずにはいられなかった。
 それは唐崎の思うツボだった。なおもねちねちと嬲って焦らしながら、なにをしてほしいのかにはじまって、どこになにを入れてほしいのかということまで、それまで麻美がセックスのさなかでも口にしたことがない猥褻ないい方をするように求めるのだ。
 もはや麻美には拒否する余裕はなかった。それどころか想っただけで頭のなかが白くなるほど恥ずかしいことを、そのときの麻美はめまいがするような興奮をおぼえながら口走った。
 それだけではない。さらに唐崎に聞かれるまま、「オマ×コ大好き」とか「早く麻美のオマ×コに唐崎さんの太くて硬いチ×ポ入れて」とか、あとで思いだしても顔が火照っていたたまれなくなるようなことまで口にした。
 しかも、それですぐに願いが聞き入れられたわけではなかった。グロテスクなほど赤黒くて太い唐崎のペニスをさんざんしゃぶらされ、それで貫かれるのだと想っているうちに、ひとりでに腰がいやらしくうねってしまうのを唐崎に揶揄されて、ようやく唐崎は麻美のなかに押し入ってきた。
 深々と貫かれた瞬間、それだけで麻美はイッてしまった。


 唐崎とはその夜かぎりの関係だと思っていた麻美の思惑は大きく狂ってしまった。麻美自身初めて自分のなかにマゾッ気が潜んでいたことを教えられたこともだが、その夜を境に唐崎との情事にのめり込んでいく羽目になったからだった。
 それでも唐崎との関係は、もとより恋だの愛だのといったこととは無縁だった。それは欲望だけの関係にすぎなかった。
 −−三カ月ほど前のことだった。そんな麻美の前に沢井という男が現われた。沢井はメーカーの社員で、それから麻美が勤務している販売店にちょくちょく顔を見せるようになった。二十六歳の独身で、ちょっとした二枚目だった。
 麻美は沢井と初めて会ったときから恋に落ちた。唐崎から「おまえ、婚約問題でスッタモンダした、あの吉川十和子って女優に似てるよ」といわれたことがある麻美に、沢井のほうも好意以上のものを感じていたらしい。二人はほどなく深い関係になった。
 そのとき麻美は、唐崎との関係は清算しようと思った。
 だがそうはいかなかった。唐崎に教え込まれたマゾヒスティックな性の歓びを忘れ去ることができず、といって沢井にSMプレイを求めることもできないまま、二人の男と関係をつづけていかざるを得なくなったのだった。


【4】
 その日、いったん退社したあと、ふたたび会社に引きかえす麻美の胸はときめいていた。それは沢井と逢うときとはちがうときめきだった。
 さきほど麻美が会社に電話をかけたとき、唐崎が電話に出て、
「もう大丈夫だ。たっぷり可愛がってやるから早くこい」
 といった。
 唐崎の魂胆はわかっていた。先日と同じように、誰もいなくなった社内でプレイを愉しむつもりなのだ。
 麻美は、沢井は自分の部屋に入れるが唐崎は入れたことがない。そうすることで本命の沢井と、欲望だけの関係の唐崎とを区別しているつもりだった。
 唐崎と逢うのはいつもホテルだったが、先日初めて誰もいなくなった社内でプレイした。ふだん仕事をしている場所ということがそれまでにない刺戟になって、そのときのプレイでは唐崎もそうだったが麻美自身いつも以上に興奮を煽られたものだった。
 そのときのプレイを思いだしているうちに麻美はもう濡れてきていた。
 愛している沢井と逢うときには濡れてきたことなどない。唐崎がよく口にする「調教」とか「調教の成果」といった言葉が脳裏をよぎった。
 濡れているのがわかれば、唐崎はほくそ笑んで調教の成果を口にするだろう。麻美は躯が熱くなるのを感じながら会社に入り、営業部の部屋のドアを開けた。
 その瞬間、息を呑んだ。あろうことか、唐崎は猿ぐつわを噛まされ、ワイシャツの下はブリーフだけの格好で椅子に坐っていた。
「どうしたの!?」
 麻美は駆け寄った。唐崎の両手は椅子の後ろにまわされて手錠をかけられていた。
「強盗に入られたの!?」
 動転しきってネクタイの猿ぐつわをはずそうとした瞬間、麻美は弾かれたように後ろを振りかえった。一瞬、心臓が止まりそうになった。
「脱げ!」
 黒い目出し帽を被って黒ずくめの服を着た男が、麻美にナイフを突きつけたまま、怒声を発した。
 麻美は凍りついたまま、眼だけで唐崎を見た。唐崎は、いわれたとおりにしたほうがいい、というようにうなずいた。
「おねがい、やめて」
 麻美はうわずった声で男に懇願した。
「早くしろ!」
 男は唐崎のそばにいってナイフを突きつけた。
 このまま唐崎を残して逃げるわけにはいかない。麻美は男に背中を向けてスーツを脱ぎはじめた。
(レイプされる! それも唐崎の見ている前で……)
 そう思うと吐き気を催すような屈辱感が込みあげてきた。ふるえる手でスーツを脱いでいき、下着姿になると、
「裸になれ!」
 また男の怒声が飛んできた。
 麻美はパンストを脱ぎ、ついで薄紫色のブラをはずした。沢井と逢うときは意識して白い下着をつけているが、相手が唐崎のときは付き合いはじめてからしだいに派手目な色のものが多くなってきていた。
 男を歓ばさずにはいないだろうボリュームのある乳房を両腕で隠し、ブラとペアのフルサポートショーツを脱ぐのをためらっていると、
「グズグズするな!」
 男が怒鳴った。
 ビクッとして、麻美はショーツをおろしていき、抜き取った。全裸になった躯に男の突き刺さるような視線を感じて、震えそうになった。
 男が背後にまわった。
「あの男に怪我をさせたくなかったら、下手なことはするな」
 ドスのきいた声でいうと、乳房と下腹部を隠している麻美の両手をつかんで背中にまわさせて、手錠をかけた。そして椅子を引き寄せ、麻美を坐らせた。
「ほら、肘掛けをまたげ」
「いやっ、おねがい! やめて!」
 麻美は激しくかぶりを振った。男がナイフを太腿の間に入れてこようとする。
 脅えておずおずと肘掛けをまたいだ。大股開きの格好になったとたんに、カッと全身が火になって、めまいがした。
「いい格好だ。たまらない眺めだぜ」
「いやっ、やめて!」
 あからさまになっている秘苑を男に覗き込まれて恥辱の炎が燃えあがり、火になっていた躯があおりたてられた。
「なんだ、もう濡れてるじゃないか」
 男が驚きの声をあげた。
「レイプされるのが嬉しいのか!?」
「ち、ちがうわ」
 麻美は男の声を振り払うようにかぶりを振った。男は麻美の後ろにまわった。
「そのままにしてろ。脚をおろしたらただじゃすまないぜ」
 耳もとでいいながら、両手で乳房を揉みしだく。
「や、やめ……いやっ……」
 声がうわずった。
「まだなにもされていないのに、どうして濡れてんだ?」
 麻美はかぶりを振った。その理由をいうことはできなかったし聞かれたことに答える必要もなかったが、それよりも荒々しく乳房を揉みたてられて口をきくことができず、ひとりでに息が弾んできた。
 それとはべつに、麻美はさっきからうろたえていた。唐崎と向き合った状態で大股開きの格好になっているのだ。
「まあいい。おまえがどういう女か、彼氏によく見せてやれ。ほら、もう乳首がビンビンになってきてるぜ」
「やっ、あんッ……ああっ!」
 男がいうとおり硬く勃起してきている乳首を、ギュッギュッと繰りかえし両手でつねりあげられて、麻美は昂った声を発してのけぞった。疼痛に似た快感が電流のように走って、ひとりでに躯がわなないてしまう。
 男の手が下腹部に這いおりてきた。片手は乳首をつまんでこねている。麻美は喘いで腰をもじつかせ、うろたえながらも下腹部に伸びた男の手の動きを眼で追っていた。男の手が秘苑とヘアを撫であげ、中指で、唇に似た襞の間をまさぐってきた。
「もうグショ濡れじゃないか」
「はん……だめッ!」
 甘美な疼きと一緒にヒクッと腰が跳ねた。クリトリスをとらえた男の指が、そこをこねまわす。
 乳首とクリトリスから湧きあがる快感の疼きが一緒になって、麻美はもう我慢できなかった。きれぎれに感じた喘ぎ声を洩らして淫らに腰を振りはじめた。
 麻美は唐崎を見た。唐崎は、男に嬲られてよがり泣きながら悶えている麻美を、興奮した顔つきで凝視していた。
 いやァ! 麻美は胸のなかで叫んでかぶりを振った。興奮した顔つきばかりか、唐崎のブリーフの前が露骨に突きあがっていたからだ。
「ほら、もうクリちゃんもビンビンだ。指を入れてほしくてたまらなくなってんだろう」
 麻美自身そうなっているとわかるクリトリスを指の付け根でこすり、指先で膣口をくすぐりながら、男が囁きかけてきた。
 クチュ、クチュと、濡れた卑猥な音が響く。
 麻美は猥りがわしく腰を揺すりながら、また唐崎を見た。唐崎の興奮している顔を見て、不意に憤りのようなものが込みあげてきて、ウンウンうなずいた。
「正直だな。指、どこに入れてほしいんだ? ん!?」
 男は笑いを含んだ声でいい、指先で膣口をこねまわす。たまらなくムズムズする性感に麻美は喘いで腰をもじつかせながら、挑むように唐崎を見つめたまま、わざと卑猥な言葉を口にした。
「オマ×コ……ああっ、指入れてッ」
「……驚いたな。こんな美人がいきなりオマ×コなんて」
 いうなり男が指を入れてきた。
 唐崎への当てつけのつもりが麻美自身、卑猥な言葉を口にして興奮していた。熱く潤んだ蜜壷にヌル〜ッと指を入れられたとたんにイキそうになった。
「おお、すげえ! 指を締めつけて咥え込んでるぜ」
 男は興奮した声をあげると、指を抜き挿ししはじめた。
 麻美は感泣しながら、そうせずにはいられず、男の指の動きに合わせて腰をうねらせた。
 そのとき、ハッとした。
(この匂い!……)
 男の声を聞いているうちに似ていると思っていたのだが、いま初めて、男の匂いも沢井が使っているのと同じオーデコロンの香りだと気づいたのだ。だがすぐに、
(まさか、そんなことがあるはずがない。ただの偶然だわ)
 そう思い、全身が蕩けていくような快感に引き込まれていった。
「いやらしい腰つきだなァ。もう指だけじゃ物足りないんだろ?」
 男にいわれて麻美はうなずきかえした。
 男が麻美の横にきて下半身裸になった。腹を叩かんばかりにエレクトしたペニスを手で押さえて、麻美の口もとに突きつけてきた。
「コイツを入れてやるから、その前に気を入れてしゃぶれ!」
 麻美は素直に舌を這わせた。後ろ手に手錠をかけられているので手は使えない。ねっとりと亀頭を舐めまわすと、顔を傾けながら怒張全体にくすぐるように舌をじゃれつかせていった。
 それにつれてビクン、ビクンと跳ねるペニスで顔を叩かれ、思わず喘いだ。これからレイプされるというのにめまいがするような被虐的な興奮につつまれて怒張を咥え、鼻声を洩らしてしごいた。
 しごきながら唐崎を見やると、どういうつもりなのか、苦笑いするような表情を浮かべて見ていた。
 そのとき男が腰を引いた。男は麻美を立たせてソファに連れていくと、ソファの上にあがって膝をつき、前屈みになって尻を突きあげるように命じた。
 その格好でレイプされるとわかっていても、麻美はいわれたとおりにした。すでに自暴自棄な気持ちになって、そのなかには唐崎に見せつけてやりたいという思いもあった。
 そればかりか、唐崎が見ている前でレイプされることにマゾヒスティックな興奮をおぼえていた。
 男が麻美の腰に手をかけ、怒張でクレバスをまさぐってきた。
 押し入ってくる。
 ズリュ〜ッと奥まで貫かれると同時に、麻美は思わず快感の声をあげた。
 眼を開けたとき、後ろにいるはずの男の足が見えた。視線をあげた麻美は、
「あっ!」
 と、驚きの声をあげた。なぜか唐崎が下半身裸になって見おろしているのだ。
「しっかり見せつけてくれたな。レイプされてその気になるとは、どういうことだ?」
 唐崎は笑っていった。
「ま、これも調教の成果か。麻美、後ろを向いてみろ」
 麻美は首をよじって後ろを振り向いた。
「沢井さん!?……」
 目出し帽を脱いだ男−−沢井が、複雑な笑いを浮かべていた。
「どうしてェ!?」
 麻美の声は嬌声になった。沢井が肉棒を抜き挿ししはじめたからだ。
「おまえと沢井くんのことは薄々気づいていたんだよ。はっきりわかったのは、先日おまえが彼と部屋に入るのを見たときだけど……」
 いいながら唐崎が麻美の手錠をはずした。
「それで思ったんだよ。マゾッ気があるおまえのことだから、ふつうのセックスじゃ満足しない。どうしているのか、それとなく沢井クンに聞いてみようってな」
「そう。唐崎さんから、SM趣味はあるのかって聞かれたんだ」
 四つん這いになっている麻美を、後ろから突きたてながら沢井がいった。
「なんでそんなことを聞くのかと思ったけど、ないっていったら、それじゃあいけないって、麻美のことを聞かされて驚いたよ」
「そういうわけだ。で、これからは麻美を二人の奴隷にしようってことで、話がまとまったんだよ」
「そんな……」
 いいかけた麻美の口に唐崎が怒張を突きつけてきた。後ろから沢井に肉棒を抜き挿しされながら、麻美は唐崎の怒張を咥え、顔を振ってしごいた。
 いちどに二人の男に嬲られるのは初めてのことだ。二人の勝手な言い草に抗弁しかけた麻美だったが、たちまちいままでにない興奮に襲われて、泣くような鼻声を洩らしはじめた。
 そのとき沢井が麻美のなかから出ていった。入れ替わりに唐崎が押し入ってきて、沢井が前にまわってきた。
 愛液にまみれた沢井の怒張に、麻美はしゃぶりついていった。こうなった以上、二人の奴隷になってもかまわない……ううん、二人の奴隷になりたいと、めくるめく興奮に酔いしれて思いながら。



【二人のOL・刺激的な肉戯】


【1】
 志賀は困惑していた。地下鉄のホームで偶然一緒になった笹森綾と帰宅ラッシュの電車に乗り込んだまではよかったが、身動きもままならない車内で向き合って立っているうちに、まるで抱き合っているような状態になってしまったからだ。
 つい先日のことだが、志賀が恋人の由美とデートを約束した場所に、由美と一緒に綾もやってきた。三人とも同じ大手広告会社に勤めているのだが、志賀は制作部、由美と綾は総務部と部署がちがっているため、それまで志賀と綾はおたがいに顔を知っている程度だった。
「なんだ、由美さんの彼氏って、制作の志賀さんだったのォ」
 いきなり綾は驚いたようすでいった。
 綾の話では、由美にこれからデートだと聞き、相手がどんな男か興味津々、いやがる由美に無理やりについてきたということだった。
 由美は困ったような微苦笑を浮かべているだけで黙っていたが、そのとき志賀は由美が綾の二年先輩で、二人がそんなに親しい間柄だということを初めて知った。そしてその夜、仕方なく三人で飲食したのだった。
 志賀は困惑しながら、そのあと綾と別れて由美の部屋に行ったとき、由美がベッドのなかでいった言葉を思いだした。
「彼女、可愛いでしょ。だけど、男の人は気をつけたほうがいいと思うわよ。これって同性から見たわたしの直感だけど、あの子、ちょっと怖いところがあるタイプって気がするから……」
 綾のことを、由美はそういったのだ。
 志賀はそのとき、由美の言葉は自分に対する牽制だろうと思って取り合わなかった。ただ、由美がそんな心配をするのも無理はないとも思った。それだけの魅力が綾にはあったからだ。
 二十六歳の志賀とはひとつ年下の由美の二年後輩だから、綾は二十三歳ということになる。中肉中背ながらプロポーションは抜群で、艶やかな黒光りしたロングヘアとコケティッシュな顔立ちが醸しだす雰囲気に、年齢に似合わない色気がある。とりわけなにげない仕草や表情などに男の気を引かないではいない媚態や媚情があって、ひと口に魅力といっても男を惑わすような、ある種の危険な魅力があった。
 由美にはその種の魅力はないが、容貌もプロポーションもわるくない。それに性格もいい。深い関係になってまだ四カ月ほどだが、セックスの面でも相性がよく、志賀は真面目に由美との結婚を考えていた。
 いちど親しく話しただけの印象だが、綾の性格は活発で積極的という感じで、どちらかといえば控えめで恥ずかしがり屋の由美とは対照的だった。
 ただ、そんな由美にしては意外なことがあった。それも綾と三人で会った夜、ベッドのなかで綾のことを「ちょっと怖いところがあるタイプ」といったあとのことだった。


 志賀は由美と全裸で抱き合っていた。すると、由美の手が志賀の下腹部に這って、エレクトしているペニスをまさぐってきた。そんなことはそれまでになかったことだった。志賀を綾に盗られまいとする女心が、珍しく由美を積極的にしたのかもしれない。
 由美の行為に驚いたものの、志賀はわるい気はしなかった。それどころか恥ずかしがり屋の由美が見せた積極性に興奮をおぼえ、由美を上にしてシックスナインの態勢を取らせようとした。
 それまでの由美は、志賀が上になってのシックスナインならともかく、自分が上になるのは恥ずかしがって応じなかった。ところがこのときはいやがりもせず、志賀の上になって、熱っぽくペニスに舌をからめてきた。
 気をよくして志賀もクンニリングスで応酬した。さほど色素の沈潜が見られない、やや肉厚な秘唇を両手で分け、早くもジトッと濡れ光っているサーモンピンクのクレバスの上端から顔を出しているクリトリスを、舌でこねまわした。
 由美はすぐにせつなげな鼻声を洩らしはじめた。子犬がクンクン泣くような声を洩らして、口に咥えたペニスをしごきながら、たまらなさそうに腰をくねらす。
 やがて咥えていられなくなったのか、口から出すとすすり泣きながらペニスを舐めまわしはじめた。
 志賀は意表を突かれて、思わず呻いた。ペニスの根元から袋の部分まで、くすぐりたてるように舐めまわしていた由美の舌が、驚いたことにアナルに這ってきたからだ。
 控えめで恥ずかしがり屋の由美が、こんな行為をしかけてくるなんて……。
 一瞬唖然とした志賀だが、アナルまで舐めてくれる由美の気持ちに感動し、アナルをほじくるように蠢く舌にゾクゾクする異様な快感をかきたてられた。
 志賀にためらいはなかった。むしろ興奮を煽られて、志賀も初めて由美のアナルに舌を這わせた。
 舌が触れたとたんキュッとすぼまった排泄孔をくすぐるように舐めまわしてやると、由美も志賀と同じような快感に襲われるらしく、すぼまりをヒクつかせながら、ふるえをおびたような鼻声を洩らしてヒップをもじつかせる。
 そんな由美の反応に、志賀のほうはそれだけでは物足りなくなった。クレバスの蜜を塗りつけた中指の先でアナルを愛撫した。
 すると由美は、たまらなさそうな呻き声を洩らして狂おしそうに身悶えはじめた。
 普通に前戯をされているときとはちがった由美の感じ方と、みるみるほぐれた感じになってきたアナルに、志賀のほうもますます興奮を煽られて、そのまま指を挿入していった。
 窮屈な孔をこじ開けるようにして没した指を、アナルが食い締めてきた。
「うう〜ん、だめェ……気が狂っちゃうからだめェ〜」
 由美は息も絶えだえにいって、焦れるように身をくねらせる。
(気が狂っちゃうから!? まさか……)
 志賀は由美のいい方が気になって、アナルを責められた経験があるのか聞いた。
 ない、と由美はかぶりを振った。
「初めてなのに、気が狂っちゃうほど感じるのか?」
 志賀が指でアナルのなかをこねるようにしながら聞くと、由美はウンウンうなずき、形よく張って盛りあがったヒップをさもたまらなさそうに上下左右に振って、志賀のペニスを舐めまわす。
(このぶんならアナルセックスだって愉しめるかも……でも、まあ急ぐことはない。そっちの愉しみはこれから先に取っておくのもわるくない)
 そう思って志賀はニンマリしながら、中指をアナルに挿したまま、親指を蜜壷に侵入させた。
 薄い皮膜を通して触れ合った二本の指をこすり合わせてやると、たちまち由美は四つん這いの態勢を取っていられなくなった。志賀の下半身にしがみつくと、感じ入った声を洩らして腰を揺すりながら、「イク〜、イク〜」とうわごとのように叫んで躯を痙攣させたのだった。


【2】
 電車のなかで綾と抱き合ったような状態のまま、先日由美が演じた狂態を思いだしていた志賀は、そのときハッとして我れにかえった。
 一瞬、勘違いではないかと思った。
 しかし、まちがいなかった。
 志賀はうろたえると同時に驚いた。うろたえたのは、由美のことを思いだしているうちにズボンのなかのモノが硬くなっていたからで、驚いたのは、綾が下腹部を志賀の股間にこすりつけているからだった。それも志賀のズボンのなかのモノをくすぐるように。
(どういうつもりなんだ!? 挑発してるのかよ)
 驚きながらも、志賀はますます狼狽する状態に陥った。そうやってくすぐられているうちに股間のモノがムクムクと起きあがって、綾の下腹部に突き当たるまでになってきたからだ。
 志賀は狼狽しきって綾の顔を見た。ほとんど同時に綾が顔をあげた。志賀はドギマギした。綾に笑いかけられて、揶揄するような眼つきで見つめかえされたからだ。
「すごォ〜い」
 綾は小声でいうと、あろうことか手を志賀の股間に這わせてきて、ズボンを突きあげているモノを撫でまわしはじめた。
 志賀はあわてて周囲を見まわした。幸い、まわりの乗客で二人に不審の目を向けている者はいなかった。
 志賀はいままでに痴漢行為はもとより、付き合った女にも電車のなかで悪戯などしたこともない。毎日朝夕、通勤ラッシュの電車に乗っていれば、ときには痴漢行為の誘惑にかられることもないではなかったが、大騒ぎになった場合のことを考えると、とてもそんな行為をする勇気はなかった。
 ところがいまは志賀のほうが女から痴女のような行為をしかけられているのだ。綾は志賀のズボンの前を突きあげているモノを撫でまわすだけでなく、志賀の胸に顔をもたせかけてきていた。
 志賀はもう我慢できなかった。
 ホームで見たとき、綾のスーツの下はややミニのタイトスカートだった。志賀も思いきって二人の間に手を入れ、スカートのなかに滑り込ませ、パンスト越しに内腿を撫であげていった。
 一瞬、意表を突かれて手を止めた。パンストだとばかり思っていたがそうではなく、セパレーツのストッキングで、しかもストッキングを吊ったガーターベルトのストラップが指先に触れたのだ。
(驚いた……彼女、こんな下着つけてるのか!?)
 悩ましいスタイルの下着姿が脳裏に浮かび、ますます志賀は興奮を煽られた。それにそんなスタイルの下着なら、簡単にパンティのなかまで手を入れることができる。
 そのとおり、志賀の指先はパンティの股ぐりからいとも簡単になかに侵入した。
 指先がクレバスに触れると同時にヌルッとした感触があった。綾のそこはすでに濡れていた。それも尋常な濡れ方ではなかった。グショ濡れだったのだ。
 志賀はゾクゾクしながら、指先でそろそろとクレバスをまさぐった。クリトリスが潜んでいるあたりにクリッとした感触があって、指が触れたとたんに綾はハッとした気配を見せ腰をヒクつかせた。
 グショ濡れになるぐらいだから、クリトリスもふくれあがっているらしい。コリッとした小さなふくらみを志賀の指先がそォ〜とこねると、綾は片手で志賀のワイシャツの胸のあたりをつかんだ。一方の手で志賀のズボンの前を撫でまわしながら、さもたまらなそうに腰をもじつかせる。
 志賀は慎重にクリトリスをこねながら、綾の顔をのぞき込んだ。綾は眼をつむって悩ましい表情を浮かべ、ワインレッドの口紅を塗ったセクシーな形の唇を開いて息を弾ませている。
 そのとき、たまりかねたように綾の腰が律動しはじめた。
 志賀はあわててまわりの乗客を見た。さすがに綾も乗客の眼だけは気にして、腰を志賀のほうに押しつけるようにして微妙に揺すっているからだろう、異変に気づいた乗客はいなかった。
 ホッとした志賀は、それ以上過敏なクリトリスを刺戟するのをやめて、指をさらに伸ばして膣口へと這わせていった。
 大抵の女の場合、膣はクリトリスほど過敏ではないが、綾の躯のことはまったく知らない。指を入れたらどんな反応を示すかわからない。合意の上とはいえ、綾の反応でまわりの乗客に気づかれて騒がれでもしたら、困ったことになる。それを思うと躊躇する気持ちもあったが誘惑には勝てず、志賀は指を入れていった。
 ヌル〜ッと、蜜壷のなかに指がおさまると同時に綾が顔をあげた。
「ね、新宿で降りて」
 吐息のような声でいう。もうすぐ新宿駅だった。
 一瞬、志賀の脳裏を由美の顔がよぎった。だが、綾の興奮しきった顔つきと、ジワッ、ジワッと指を締めつけてくる熱く潤みきった蜜壷の感触につられて、志賀はうなずいた。


 新宿駅に近いホテルの部屋に入るなり、二人はどちらからともなく抱き合い唇を求め合った。
 志賀だけでなく綾も由美に対するうしろめたさがあるからだろう。たがいにそれを振り払うように貪り合うような激しいキスを交わした。
 志賀のなかには、まだ逡巡する気持ちがあった。電車のなかのことは“痴漢ゴッコ”ですむかもしれないが、これから先に進めば、相手が相手だけに厄介なことになる可能性のほうが高い。
 それならいまからでも引きかえせばいいようなものだが、危険な魅力を持った綾が身につけている悩ましいスタイルの下着ばかりか蜜壷の生々しい感触まで知ったいまとなっては、それは酷というものだった。
 唇を離すと二人とも息が弾んでいた。志賀は綾を抱いたまま、聞いた。
「どうして挑発したんだ?」
「だって、志賀さんのアレが当たっちゃって……それに、志賀さんだって、すごいことしてきたわ」
 綾は電車のなかと同じように艶めかしい笑みを浮かべ、志賀をなじるような眼つきで見ていった。
 そういわれると志賀自身、かえす言葉もない。言葉のかわりに綾の背中にまわした両手をおろしてスカートのなかをまさぐった。
 いきなりまろやかに盛りあがった、弾むような裸のヒップが手に触れた。ショーツはTバックなのだ。
「いつもこんな悩ましい下着つけてるのか!?」
 うわずった声でいうなりスカートを引きあげた。
 綾は嬌声をあげて身悶え、志賀の両手が撫でまわしているヒップをくねらせながら、
「ふふっ、気に入ってもらえた?」
 挑発するような妖しい笑みを浮かべて聞きかえし、志賀のズボンのチャックをおろしていく。志賀に向けた顔つきと眼つきがみるみる発情したような感じになって、手をブリーフのなかに滑り込ませると、早くもエレクトしているペニスを手にして、ギュッと握り締める。
「ああ……」
 たまらなさそうな喘ぎ声を洩らす。
 ドギマギさせられて、されるがままになっていた志賀だが、その瞬間、逡巡の堰が切れて欲情が奔流した。綾のスーツの上着を毟り取った。
 すると綾は自分で脱ぎはじめた。志賀も手早くスーツを脱ぎ捨てていった。
 下着姿になった綾を見て、志賀は固唾を呑んだ。
 どんなスタイルの下着をつけているかわかってはいたが、すべて黒の、それもブラとTバックショーツは小さい花柄の刺繍が入っているだけのシースルーのため、形よく盛りあがった乳房と楕円形に生えたヘアが透けて見えているのだ。
 そのうえプロポーションも抜群ときている。
 その裸身がガーターベルトをつけた悩ましいスタイルの下着のためによけいに煽情的に見え、たちまち志賀の怒張はブリーフを突きあげるまでになった。
 一瞬見とれていた志賀を、綾は思わせぶりな笑みを浮かべて見かえしながらブラをはずし、両腕を志賀の首にからめてきた。
 そのまま、身をくねらせて弾力のある乳房を志賀の躯にこすりつけながら躯を下方にずらしていき、ブリーフをおろす。ブルンと大きく弾んでペニスが露出した。
 綾はそれを見て喘ぎ、興奮に酔ったような顔つきのまま、ためらいもなく怒張に舌をからめてくる。
 興奮を煽られながらも、綾に圧倒されるまま茫然としていた志賀だが、怒張を咥えて鼻声を洩らして揺れる綾の顔や、艶やかなロングヘアの下の、黒いTバックを穿いていやらしいほど形よくハート型に張っているヒップを見て、不意に自分でも思いがけない欲望に襲われた。まだどこかに由美のことを思う気持ちがあって、そんな自分自身に苛立ち、挑発する綾に憤りに似た欲情をかきたてられたせいかもしれなかった。
 志賀は綾を抱き起こした。ベッドに腰かけて綾を膝の上にうつ伏せの格好にした。
「どうするの?」
「俺を挑発したおかえしに、このいやらしいヒップを叩いて懲らしめてやるんだ」
 いうなり綾のヒップを平手打ちした。
 派手な音が響くと同時に綾は悲鳴をあげ、激しくヒップをくねらせた。
「やァ、志賀さんて、サディストだったのォ!?……やだァ、こんなこと、由美、由美さんにもするのォ!?」
「しないよ。綾が由美と俺のことを知ってて俺を挑発したからだ」
 サディストといわれて志賀は一瞬、そういう欲望が自分のなかに潜んでいたのかもしれないと思いながら、つづけて綾のヒップに平手打ちを浴びせた。
 綾はそのたびに嬌声をあげてヒップをくねらせる。
 ムチムチしたヒップを叩く手応えと派手な音、それに綾の嬌声とクネクネと振れるヒップが志賀の興奮を煽った。いままでに経験したことがない種類の興奮だった。
 夢中になって綾のヒップを叩いていた志賀は、そのとき初めて我にかえった。綾が昂った感じの声を洩らしはじめたからだ。
「うう〜ん、どうしてェ……お尻がズキズキしてたまんない……ああん、いい〜」
 綾自身、戸惑ったようすでうわごとのようにいいながら、赤々と色づいたヒップを、さもたまらなさそうにくねらせる。
 志賀がヒップの割れ目を見やると、Tバックショーツの紐が食い込んでぷっくりと迫りだしたクレバスの左右の肉にまで、まるで失禁したような濡れがひろがって、そこにまばらに生えているヘアがベットリと貼りついていた。


【3】
「驚いたな。綾にマゾッ気があったなんて」
 志賀は綾の反応に気をよくしてTバックショーツを抜き取っていった。
 ベッドにあお向けに寝た綾は、まだ息を弾ませながら、興奮しきった顔つきで腰をもじつかせている。
 志賀はガーターベルトとストッキングだけを残して綾の両脚を大きく押しひろげた。
「あっ、だめェ〜」
 綾は嬌声をあげて腰を波打たせた。それだけで、されるがままになっている。志賀の前に秘苑の眺めがあからさまになった。
 可愛い顔に似ず、その眺めは淫猥な感じだった。楕円形に生えたヘアの両端がクレバスの左右にもまばらに連なっていて、秘唇が肉厚で、そこまでは由美と似ていたが、ややメラニン色素が濃いせいだった。
 可愛い顔とは対称的なその淫猥な眺めが、むしろ志賀の欲情をかきたてた。
「オシッコ洩らしたみたいにグショ濡れだぞ」
「やァ……ああん、もうきてェ〜」
 綾は両手を伸ばし、腰を揺すって志賀を求めた。
 クンニリングスでイカせてやろうと思っていた志賀だが、その必要はなさそうだった。それに志賀自身、電車のなかからつづく刺戟で、もう入れたくなっていた。その前にもういちどフェラチオをさせたくなって綾の口もとに怒張を突きつけ、片手を伸ばしてクレバスをまさぐった。
「ああッ……あはんッ……うふんッ……」
 はっきりと指先に感じ取れるほどふくれあがっているクリトリスをこねてやると、綾は腰をうねらせながら、両手で捧げ持つようにした怒張を、せつなげな声を洩らして舐めまわす。
 そして咥えると、鼻声を洩らしながら、快感を訴えるように夢中になってしごく。
 くすぐりたてられるような快感をこらえながら、猥りがわしい腰つきを見ているうちに志賀はたちまち我慢できなくなった。綾の両脚の間に腰を入れると、怒張でクレバスをまさぐって押し入った。
 濡れすぎるほど濡れていても窮屈な感じの蜜壷を怒張が深々と貫くと同時に、綾は呻いてのけぞった。
 苦悶の表情を浮きたてた綾の顔が、満たされた歓びでみるみるやわらいできた。
「キツイな、綾のここ」
「由美さんとどっちがいい?」
 聞かれて志賀は困った。それがわかっていてわざと聞いたらしく、綾は悪戯っぽく笑っている。
「どっちもいいよ」
「そんなのずる〜い。ちゃんといってェ」
 はっきりした答えを催促して、綾は腰を揺さぶった。
 志賀は苦笑いして抜き挿ししはじめ、先日由美と三人で飲んだときのことを思いだして話の矛先をそらした。
「それよりも綾、この前、彼氏なんていないっていってたけど、セックスするの久しぶりなのか?」
「ああン……答えてェ。由美さんとわたし、どっちがいいの?」
 綾は志賀が聞いたことには答えず、狂おしそうに躯を反らしながら、しつこく聞く。
 志賀は答えるかわりに激しく突きたてた。そのたびに綾は感じ入った声をあげてのけぞる。それに合わせてみずみずしく張った乳房がプルプルふるえる。
 綾のようなタイプが彼氏はいないと聞いてちょっと意外な気がしていた志賀だが、たちまちよがり泣きしはじめた綾の反応を見て、事実そうで、セックスするのは久しぶりなのかもしれないと思った。
「ああっ、もうイクッ……イッちゃいそう!」
 綾が切迫した泣き声で訴えた。志賀も窮屈な蜜壷の摩擦感がたまらなくなって、いちど放出したくなってきていた。
「出すぞ!」
 興奮しきった綾の顔がウンウンうなずきかえす。
 志賀は肉棒を叩き込んだ。綾が泣きながら絶頂を訴える。それに合わせて抉るように突き入ると、志賀も一気に快感液をほとばしらせた。


「困ったな……」
 ポツリと志賀はつぶやいた。欲望を解き放ってしまうと思わず本音が出た。
 志賀の胸に火照った頬を当てて萎えたペニスを弄っていた綾が、顔をあげた。
「わたしたちのこと?」
「ああ」
「大丈夫よ。わたし、志賀さんとはこれっきりにするから」
 綾は笑っていった。
「由美さんのことも心配ないわ。もう志賀さんとは会わないはずだから」
 一瞬ホッとした志賀だったが、妙なことをいわれて顔色が変わった。
「会わない!? どうして?」
「今日だってデートの約束だったのに、志賀さん、彼女に断られたでしょ?」
 綾はまた志賀の胸に頬を当てて、ペニスを弄っている。さっきから弄られているうちにペニスはいくぶん硬くなってきていた。
「断られたわけじゃないよ。今日は彼女、躯の調子がよくないっていうから……」
「それっていいわけよ。そういって断ったのよ」
 決めつけるようにいう綾に、志賀は憤慨して聞いた。
「どうして? なぜいいわけだってわかるんだ?」
「だって彼女、いまわたしたちがホテルにいることも知ってるんですもの」
「由美が!? どうして!?」
 志賀は声を高めて跳ね起きた。
「それは彼女に聞いて……ていうより、彼女の躯を見ればわかるわ」
 綾は妖しい笑みを浮かべて意味ありげなことをいった。
「躯を!?……」
 なにをいわれているのか、志賀はわけがわからなかった。一瞬茫然としていたが、すぐに我にかえって、このまま綾と話していても埒は明かない、早く由美と会ってどういうことか問いつめるしかないと思い、あわててベッドをおりると手早く服を着た。
 綾を残してホテルの部屋を出ると、いやな胸騒ぎをおぼえながら、由美が住んでいるマンションに向かった。
 タクシーでマンションに駆けつけ、由美の部屋のチャイムを鳴らすと、ややあって「はい」という探るような声がかえってきた。
「俺だ、志賀だ」
 志賀は気負い込んでいった。由美の応答はない。
「開けてくれ! 開けろ!」
 志賀はドアノブをつかんでガチャガチャ音をたてた。と、ドアが開いた。うなだれた由美が立っていた。
「どういうことなんだ!?」
 志賀は由美を拉致するようにして部屋にあがった。
「わたし、綾とは別れられないの」
 由美はこわばった表情でうなだれたまま、抑揚のない声でいった。
「別れられない!?」
 聞きかえした志賀は、答えを待たずに由美をベッドに押し倒し、毟り取るようにして服を脱がしていった。
 由美は顔をそむけてされるままになっていた。
 肌が露出するにつれて由美の顔が紅潮し、志賀のほうは驚愕した。紅潮した由美の顔には、羞恥と狼狽が入りまじったような表情があった。
 志賀はブラもショーツも毟り取って由美を全裸にすると、あお向けにして両脚を押しひろげた。由美は身体を隠そうともせず、両手でシーツをつかんでいた。
「これは、綾がつけたのか!?」
 志賀の声はうわずっていた。
 色白な肌をした由美の、紡錘形に形よく盛りあがった乳房から内腿にいたるまで、まるで雨のようにキスマークがついているのだ。
「綾とは、もう一年以上になるの」
 羞恥と狼狽が入りまじったような表情の顔をそむけたまま、由美もうわずった声でいった。
「二人とも、それまでそんな趣味なんてなかったんだけど、興味半分で愛し合ってるうちにやめられなくなって……でも、このままじゃいけないと思って、わたし、綾に内緒であなたと付き合ってたの。だけどこの前、綾と三人で飲む前、綾にそれがわかって……彼女、ひどく怒って、わたしと同じことをしなきゃ許せないって、それであなたと……ごめんなさい。あなたには申しわけないことして……」
 茫然として由美のぬめ白い裸身を凝視している志賀の脳裏に、由美と綾二人の裸身がからみ合って悶えるシーンが生々しく浮かびあがってきた。
 志賀はどうしていいかわからないまま、あからさまになっている由美の秘苑にしゃぶりついていった。


【4】
 志賀は早くも興奮してペニスが充血してきていた。
 二人の女が美味しそうに缶ビールを飲んでいるのを見て、志賀も喉の渇きをおぼえた。
 志賀がいるのは、由美の部屋の押入れのなかだった。ブリーフ一枚の格好で、押入れの上段にあぐらを組んで坐り、わずかに開けた襖の隙間から、二人の女のようすを覗いているのだった。
 −−由美と綾の秘密を知った翌日のこの日、志賀は早めに退社して由美の部屋に来た。そして、押入れに隠れて由美が綾を連れて帰ってくるのを待った。
 由美はそのことを知っているが、綾は知らない。そのうち二人が帰ってきた。
 それからほどなく、シャワーの音が志賀の耳に聞こえてきた。一緒にシャワーを浴びたらしい。二人ともバスタオルをまとった格好で、志賀の視界のなかに現われた……。
 由美と綾は、セミダブルのベッドのヘッドに並んでもたれている。志賀からは二人が真正面に見えていた。
 部屋の天井灯は消されていて、ナイトテーブルの上のスタンドの明かりが点いているだけだが、暗がりに馴れていた志賀の眼にはそれだけでも充分すぎるほどの明るさだった。
 由美のほうは、押入れに潜んでいる志賀の目を意識しながら、このあとのことを想っているからだろう、最初から表情が硬く、飲まずにはいられないという感じでビールを飲み干している。
「どうしたの? なんだか今日の由美、変よ」
 綾が訝しそうに由美を見ていった。由美はちょっとうろたえたようすを見せて、
「変て?」
「だって、なんとなくいつもとちがうし、ビール飲むんだってやけ酒飲むみたいだもん。まだ志賀さんのこと思ってんじゃない?」
「そんな……」
 綾に睨むような眼つきで見られて由美は口ごもった。
「はい。あげる」
 飲みかけの缶ビールを綾が差しだした。由美は受け取ると、それも一気に飲み干していく。それをキラキラするような目で見ていた綾が、飲み干した缶ビールをナイトテーブルの上に置いた由美の肩を抱いた。
「志賀さんのことなんか、わたしが忘れさせてあげる」
 耳もとで囁くようにいいながら由美の太腿に手を這わせ、そのままバスタオルの下に滑り込ませていく。
 チラッと志賀のほうを見た由美が、首をすくめて小さく喘ぐと同時に悩ましい表情を浮かべてのけぞった。綾の唇と舌が由美の耳を嬲り、バスタオルのなかの手が微妙に蠢いている。由美の両脚がすり合いながら、片方の膝を曲げていく。
 昨日、志賀が由美から聞きだした話では、ベッドのなかでリードするのは後輩の綾のほうだということだった。
 そのとおり、綾のリードでせつなげな表情を浮かべて息を乱している由美を見ているうちに、もう志賀のブリーフの前はテントを張っていた。志賀にとってレズシーンを見るのは初めての経験だった。
「あっ……」
 突然由美がふるえをおびた喘ぎ声を洩らし、悩ましい表情を浮かべた顔をのけぞらせた。綾が耳に舌を挿し入れたのだ。
 身悶える由美の身体からバスタオルが取られた。由美は全裸だった。
「はあんッ、だめ……」
 綾が秘苑を弄ったらしく、下腹部に差し入れられている綾の手を、片膝を曲げたままの両脚で締めつけた。
「すごい。由美のここ、もうビチョビチョよ」
「いやっ」
 妖しい笑みを浮かべて揶揄するようにいった綾に、由美が顔を赤らめて抱きついていき、バスタオルを取る。綾もなにもつけていない。
 二人は抱き合ってキスを交わしはじめた。おたがいに片手で乳房を愛撫しながら、甘い鼻声を洩らす。由美の手が綾の下腹部に這っていく。綾がそれを歓迎するように両膝を立てて脚を開いた。
 もう綾の身体も知っている志賀だが、女同士の戯れを覗き見しているという刺戟的な状況のせいか、綾の秘苑が見えるとそれを初めて目にしたような激しい興奮をおぼえ、股間で怒張がヒクついた。
「綾だって、もうすごいじゃないの」
 唇を離した由美がうわずった声でいう。由美の指が綾の濡れたクレバスをそろそろと上下にこすっている。
「ああんッ、ずっと由美のこと考えてたからよ。今日はたっぷり愛し合って、志賀さんのことなんか、すっかり忘れさせてあげようって」
 喘ぎ顔でいいながら、綾は由美の指に合わせて腰をうねらせている。
「そんなこといって、綾のほうこそ、志賀さんとのこと思いだしてたんじゃない?」
「え〜、どうしてェ!? どうしてよ。そんなことあるわけないでしょ」
 綾が声を高めた。明らかに動揺しているようすだ。そのあたりの話の運びは昨日、志賀が由美に指示したとおりだった。
「だってわたし、志賀さんから聞いたわよ。綾、SMっぽいことされて、すごく感じてたって」
「そんなァ、そんなのウソに決まってるじゃない。やだ、ひどい。由美ったら、わたしより志賀さんのこと信じてるの?」
「信じる信じないの問題じゃないわ。志賀さんにはそんなウソをいう必要もないわけだから、本当のことなんだと思っただけよ。でも綾のこと責めてるわけじゃないのよ。それよりわたし、考えてることがあるの」
「考えてることって?」
 真剣な表情の由美に、動揺していたのも忘れたように綾が怪訝な顔つきで聞く。
「綾も志賀さんと関係ができちゃって、彼にはもうわたしたちのこともわかってしまったんだし、三人で付き合うってことできないかって……」
 みるみる綾の顔に驚きの表情がひろがった。由美の性格からして、そんな大胆なことをいいだしたのが信じられないという顔つきだ。
「それってマジ!? 本気でいってるの?」
 由美はうなずいた。
「でも綾しだいだけど、綾はどう思う?」
「そんな、いきなり聞かれても戸惑っちゃうわ」
「ていうことは、いやってわけでもないってこと?」
「だって由美が突然とんでもないこといいだすんだもん。まだ頭のなか真っ白よ」
 綾は困惑している。すると、由美が綾の下半身に屈み込んでいく。
「ねェ、綾が上になって」
 艶めかしい顔つきと声でいって、由美があお向けになった。
 催促された綾が、気を取り直したように色めいた顔つきになって、由美の顔をまたぐ。由美が頭を志賀のほうに向け、綾がヒップを向けた形のシックスナインの態勢で、それも志賀が由美にそうするようにいいつけておいたことだった。
 綾がクンニリングスをしかけたらしい。由美が感じた喘ぎ声を洩らした。すぐに由美も綾の股間に顔を埋めて応酬しはじめた。
 おたがいに舌を使う生々しい音が響き、二人の女の泣くような鼻声が交錯し、重なり合った白い裸身が軟体動物のそれのように蠢く。
 ひとしきりそれがつづき、綾が腰を焦れるように振った。膝をついてヒップを持ちあげた。どちらかといえば綾よりも由美のほうが感じているようすだったが、それでもたまらなくなってきた綾のほうが由美の舌から逃れたという感じだった。
 綾がヒップを持ちあげてくれたおかげで、志賀は綾の秘苑をまともに見ることができた。しかも由美が両手で秘唇を押しひろげたため、ますます刺戟的な眺めが目に入った。
 ピンク色のクレバスまで露わになった綾のそこは、ラブジュースと由美の唾液にまみれてベットリとしている。
 由美の指が、綾のクレバスの上端に這ってクリトリスをとらえ、まァ〜るくこねる。
 綾も由美に同じようにしているらしい。二人ともきれぎれに感泣するような声を洩らしながら、由美は腰をうねらせ、綾はヒップをもじつかせている。
 そのとき、志賀は目を見張った。由美の左手の中指が、綾のアナルをくすぐるように撫でまわしはじめたからだ。綾のクリトリスとアナルを攻めながら、由美が狂おしそうなようすで身をくねらせているところを見ると、どうやら綾のほうが先に同じ行為をしかけたらしい。
 先日、由美のほうから志賀のアナルに舌を這わせてきて、それをきっかけに初めて志賀が彼女のアナルを攻めたときのことを思いだした。あのとき、由美の反応に驚いた志賀がアナルの経験を聞くと、由美は否定したが、本当は綾とのレズ行為ですでに経験していたのだ。
「ね、綾、もしもよ、もしも志賀さんがここにいて、三人で……てことになったら、どうする?」
 由美が喘ぎ喘ぎ、ようやく志賀が待っていた言葉を口にした。
「どうするって、どういうこと?」
 ヒップをもじつかせながら、うわずった声で綾が聞きかえす。
「そういうの、いや?」
「いやってわけでもないけど……だったら、わたしたちが愛し合ってるとこ見せつけるとか、そのほうがおもしろいかも……」
 喘ぎ声でいう綾に、思わず志賀は苦笑した。最初の由美との会話を聞いて、綾が志賀を交えた関係をそれほどいやがってもいないとわかっていたが、いかにも綾らしいいい方だと思った。
 その前にブリーフを脱いで素っ裸になっていた志賀は、音をたてないように襖を開けて押入れから出た。
 志賀のほうに頭を向けて仰臥している由美の、悩ましい表情を浮かべていた顔に一瞬、緊張のようなものが走った。由美の上になって後ろを向いている綾は、まだ志賀に気づいていない。
「もう充分見せてもらったよ」
 突然の志賀の声に、綾が弾かれたように顔をあげた。驚きを通り越すほどのショックだったのだろう。一瞬ポカンとしていたが、その顔にみるみる狼狽の色がひろがった。
「ウソォ〜、やだァ!」
 悲鳴に似た声をあげるなり綾は由美の上から降りた。志賀はすばやく綾の腕をつかみ、ベッドにあがって由美の両脚の間に割って入った。
「どうしてェ〜、どうしてなのォ!?」
 綾はパニック状態だった。
「ほら、こんどは俺が見せつける番だ。しっかり見てろ」
 そういって志賀はエレクトしたペニスに片手を添えて、由美の濡れそぼったクレバスをまさぐると、一気に押し入った。
 由美が呻いてのけぞった。
 志賀は綾の腕をつかんだまま、由美のなかに没したペニスを綾に見せつけるようにして抜き挿しした。志賀の横に並んで坐った格好の綾は、いやがって顔をそむけた。
 志賀がこの夜の計画を思いついたのは、昨日の夜、全身に雨霰のように綾の嫉妬のキスマークをつけられた由美との行為のさなかのことだった。
 それを聞いた由美は最初、そんなことはできないといって拒んだ。だが志賀が正常位から後背位に体位を変えて、怒張で蜜壷を突きたてると同時にアナルに指を入れて攻めながら計画に協力するよう求めると、異常なまでの興奮状態に陥っていた由美はウンウンとうなずいたのだった。
 その経緯を綾に話して聞かせながら志賀が腰を律動させていると、狂おしそうにのけぞっている由美がよがり泣くような声を洩らしはじめた。
 その声につられたように綾が由美の顔を見、ゆっくりと下腹部へと視線を這わせていく。ラブジュースにまみれた志賀の怒張がいやらしいほど濡れた秘唇の間で出入りしている生々しい眺めを目にしたとたん、綾の口から喘ぎ声が洩れ、困惑したような表情の顔にパァッと興奮の色が浮きたった。
「ああん、だめェ……由美だけなんていやァ」
 嬌声をあげるなり志賀に抱きついてきた。自分でもひどくヤニさがった顔になっていると思いながらも、志賀は頬がゆるむのをこらえることができなかった。



【美人銀行員・倒錯の秘儀】


【1】
「そんな困ったみたいな顔しないで、もっと愉しそうにしてよ」
「そんなこといったって無理だよ。俺、こんな趣味ないもん」
 困惑した顔つきのまま苦笑いしていう高木を、亜以子は揶揄するような笑みを浮かべて見た。
「わかんないわよ。自分ではそう思ってても意外によかったりして、めざめちゃうかもしれないわよ」
「やめてよ。そんなことあるわけないよ」
 高木は憤慨したようにいうと、すぐに真剣な顔つきになった。向き合って立っている亜以子が、艶めかしい笑みを浮かべてスーツを脱ぎはじめたからだ。
 亜以子はまっすぐに高木を見つめたまま、挑発するように脱いでいく。
 高木は亜以子と視線が合うとドギマギしたようすで眼をそらした。が、こんどは亜以子と眼を合わさないようにして、早くも興奮した顔つきで亜以子がスーツを脱いでいくのを見ている。
 亜以子は高木の視線を感じて胸をときめかせながら、思った。
(彼、電話で話していたとおり、素人の女とホテルにきたのはこれが初めてで、実際に女の経験自体それほどないのかも……)


 二人が出会ったのは、ほんの十分ほど前のことだった。その前にテレクラの電話でしばらく話していた。
 電話に出た男は、おそらく偽名だろうが「高木」と名乗り、亜以子も「アキ」といういつもの偽名を使った。
 高木は、三月に大学を卒業したばかりで、就職先の会社に入社する前の息抜きに初めてテレクラに来たといった。
 相手が年下とわかって、亜以子はがっかりした。とっさに、期待しているようなセックスは望めないだろうと思ったからだった。
 それでも高木に求められるまま自己紹介した。大手都市銀行に勤めている二十九歳の独身行員を、これもいつものように「堅い会社に勤めている二十八歳の独身OL」といういい方をして。
 ところが、高木の話を聞いているうちに興味が湧いてきた。
 高木は、いままでに素人の女とは縁がなく、女の経験は風俗嬢だけで、それも数えるほどしかないというのだ。
 そういう未熟な男のほうが、逆におもしろいかもしれない。
 そう思って亜以子のほうからデートに誘い、そのあとホテルに行くことになった場合のことについても打診してみた。
「え〜ッ!? アキさんて、そんな趣味あるのォ?」
 いままでの男たちと同じように高木も驚いた声をあげた。
 無理もない。いきなり亜以子が“女王様ごっこ”という遊びを切りだして、ホテルに行くことになった場合は、部屋に入る直前に高木の両手に手錠をかけることを条件にしたからだ。
「趣味ってわけじゃないけど、そういうのもちょっと刺戟的じゃない?」
 亜以子が思わせぶりにいうと、
「でも、ヤバイことないだろうね。手錠かけられて、金だけ取られてサヨナラなんて」
「そんなこと考えてたら、最初からもっとお金持っていそうな人を誘うわ。心配ならやめてもいいのよ」
 亜以子のそのひと言で交渉は決まった。
 もっとも亜以子と同様、高木のほうも相手を見てホテルに行くかどうか決めようと思ったのかもしれない。
 待ち合わせしたホテルのロビーで、亜以子は、こっそりと高木を観察した。醜男というほどではないが、これまでの女性経験が物語るように女にモテそうなタイプではなかった。背は高いがヒョロッとして、性格的にも見るからに気の弱そうな感じで、少なくとも警戒を要するタイプには見えなかった。
 そこで亜以子が出ていくと、高木は驚いた表情を浮かべた。こんな美人がテレクラで、しかも“女王様ごっこ”をしようなんていって男を誘うのか!? 信じられない!……というような顔つきだった。
 男のそんな反応は、亜以子にとって珍しいことではなかった。亜以子自身、ふだんの自分を知っている誰かに見られても、これが同一人物だとはわからないだろうという自信を持っていた。
 ふだんの亜以子は、ほとんどノーメイクで黒縁のセルの眼鏡をかけ、セミロングの髪を後ろで束ねている。銀行では仕事ができると上司の評価は高いが、その一方で男子行員ばかりか女子行員にまで、陰でオバサン呼ばわりされていて、そのことを亜以子自身も知っている。
 それがいまはコンタクトをはめ、少し濃いめのメイクをして髪をおろし、タイトなスーツを着て、颯爽としたキャリアウーマン風の美女に変身しているのだ。
 −−半年ほど前のことだった。
 三十歳という年齢を意識しはじめたとき、亜以子は虚無感のようなものに襲われた。この二年あまりは仕事ひと筋でやってきて、男など見向きもしなかった。こんな状態をこの先もつづけていくのかと思うと虚しさが込みあげてきた。
 そんなことになったのは、男に捨てられたのがきっかけだった。それまでの亜以子はそれなりにおしゃれにも気を使い、容姿にも自信を持っていた。それに多少プライドが高いところがあって、男をフッたことはあってもフラれたことはなかったし、まして男に捨てられるなど思ってもみなかった。
 相手の男は、亜以子より三歳年上の独身商社マンだった。熱をあげていたのは商社マンのほうで、二人の関係は一年あまりつづいていた。
 ところが突然、彼が別れ話を切りだしてきた。会社の上司にあたる重役の娘と婚約の話が持ちあがっているというのだった。
 亜以子にとっては、まさに晴天の霹靂だった。持ち前のプライドの高さから形としてはすんなり身を引いたものの、男に捨てられたショックは大変なものだった。
 その反動でそれ以降、男には見向きもせず身なりもかまわなくなり、仕事ひと筋でやってきた。
 だが、ふと虚無感のようなものに襲われはじめたとき、このままセカンドバージンの状態をつづけていくのかと思うと、虚しさと同時に焦りも出てきた。とはいえ、まだ男アレルギーが尾を引いて、恋愛には踏みきれないでいた。
 テレクラを利用して遊ぶことを思いついたのは、そんなときだった。
 亜以子の場合、生理の前になると決まって、たまらないほどの性欲に駆られる。遊ぶのは月に一度、そのときだけにしようと思った。
 ただ、誰かに見られては困る。誰にもわからないように変身しようと考えた。それに、どうせならそのほうがべつの自分になることができて、思いきってセックスを愉しむこともできる。
 だが相手は初対面の男だけに、不安もあった。
 そのとき、手錠を使う手を思いついた。皮肉にもかつて恋人だった商社マンが、いつか亜以子に手錠をかけてセックスしたときのことがヒントになったのだった。
 ホテルの部屋に入る直前に、男に手錠をかければ不安はない。そればかりか、自分の意のままに男を弄ぶこともできる。
 その思いつきは、男に対して屈折した気持ちを抱いていた亜以子を興奮させた。
 以来、亜以子は月に一度テレクラに電話をかけて、できるだけいやらしいセックスを期待できそうな男を選び、“女王様ごっこ”を持ちかけるようになった。
 変わった条件つきのデートに、男たちは一様に最初は驚き戸惑ったが、亜以子をひと目見ると、みんな興味津々ホテルについてきた。そして亜以子自身、その遊びがやみつきになってきたのだった。


【2】
「すごい!」
 高木はうわずった声をあげた。驚きと興奮が入りまじったような顔つきをして亜以子を見ている。
 下着姿になった亜以子は、ブラとショーツとガーターベルトがセットになった黒い下着をつけて、同じく黒いストッキングにハイヒールのパンプスという悩ましい格好だった。
 しかもブラとショーツがシースルーのため、過不足ない量感をたたえている乳房と下腹部のやや濃密なヘアが透けて見えている。
「こういう下着、好き?」
 笑いかけた亜以子に、ゴクッと固唾を呑む感じで、高木はうなずいた。
「高木くんも脱がせてあげるわ」
 亜以子は高木の前にひざまずいた。早くも高木の股間は硬いジーンズの前がふくらむほどになっていた。ベルトをはずし、チャックをおろしていく。
 後ろ手に手錠をかけられている高木は、されるがままになっている。ジーンズと一緒に白いブリーフをさげると、ブルンと大きく弾んでエレクトしたペニスが跳びだした。
 一瞬、亜以子は頭がクラッとして身ぶるいに襲われ、思わず、ああっ! と胸のなかで喘いでいた。
「高木くんも、すごいわ」
 声がうわずった。
 高木の下半身を裸にすると、猛々しい陰毛のなかからいきり勃って腹を叩かんばかりになっているペニスの根元に両手を這わせ、撫でまわしながら、吸い寄せられるようにして怒張に舌をからめた。
「あっ」
 高木が小さく喘いで腰をもじつかせると同時に、ピクンとペニスが跳ねた。
 目の前でペニスが生々しく脈動するのを見た亜以子は、また喘ぎそうになりながら、あらためて怒張に舌を這わせた。
 ねっとりと舌をからめて怒張全体を舐めまわしていきながら見あげると、高木はうろたえたようすながらも興奮しきった顔つきで見おろしていた。
 亜以子自身、早くもごまかしようがないほど興奮が顔に出ているのがわかった。そのまま怒張を咥えると、ゆっくりと顔を振ってしごいた。
「そんな……だ、だめだよ!」
 すぐに高木はあわてていうなり腰を引いた。亜以子の口のなかでドクッ、ドクッと脈動していたペニスが、つるりと口から出て大きく弾んだ。
 さっき以上の生々しさに、ズキンと亜以子の膣が疼いた。
「だいぶ溜まっちゃってるみたいね。じゃあ、高木くんのほうが先に、わたしを気持ちよくして」
 いいながら亜以子はベッドにあがった。高木を挑発する仕草でブラをはずし、ついでゆっくりとショーツを脱いでいく。
 高木は興奮のあまり惚けたような顔つきで見ている。
 思わず亜以子はおかしくて笑いそうになった。が、それをこらえると、ゾクゾクした。年下のウブな男を思いどおりに挑発していることに優越感に似た興奮をおぼえると同時に、高木の真摯な表情と眼つきに刺戟されて。
 ガーターベルトとストッキングをつけただけの格好になって、亜以子はあお向けに寝た。
「その前に手錠はずしてよ。これだと手が使えないよ」
 やっと我にかえり、それをいうのを忘れていたというように、高木が困惑したようすでいった。
「口が使えるでしょ。口でして」
 亜以子は大胆なことを命じた。変身していなければ、それにこういう状況でなければとてもいえることではないが、そんなはしたないことを口にすることに興奮をおぼえた。
 高木はなにかいいかけたが、不満を洩らすより目の前に横たわった熟れた女体に欲望をそそられたらしい。黙ってベッドにあがってきた。
 亜以子の横にひざまずくと上体を屈め、ペロリと乳首を舐めた。
 生理前で充血した感じで過敏になっている乳首にズキンと甘い疼きが走って、亜以子は喘いでのけぞった。
 高木が乳首をくすぐりたてるように舐めまわしたり口に含んで吸ったりする。亜以子はきれぎれに感じた声をあげてのけぞり、両脚をすり合わせずにはいられない。
 そうされているだけで乳首同様、生理前で熱をおびたようになっている秘苑がズキズキ疼き、ひとりでにいやらしく蠢いて、ジュクッと蜜があふれてくるのがわかる。
 高木が位置を変えていく。亜以子の両脚の間に割って入り、正座して股間に顔を埋めてきた。
 ヌメッとした舌が、恥ずかしいほど濡れているクレバスを分ける。クリトリスをすくいあげられた瞬間、亜以子は身ぶるいと一緒にイキそうな快感に襲われてのけぞった。
 そんな調子だから、高木の舌でクリトリスをこねまわされると、ひとたまりもなかった。感泣しながら一気に絶頂に達し、両手で高木の頭を抱え込んで腰を揺すりたてた。
「ああ、いいわ。高木くん溜まっちゃってるみたいだから、もうしたいんでしょ?」
 亜以子が弾む息でいうと、高木は興奮した顔つきでうなずいた。
 性欲が溜まって早くしたいのは、亜以子も一緒だった。上半身セーターを着て手錠がかかったままの高木をあお向けに寝かせると、コンドームを取りだして怒張に装着した。
 高木の腰をまたぐ。いきり勃って臍のほうを向いている怒張に手を添えて棒杭のように立て、蜜壷の口に当てがうと、ゆっくりと腰を落とす。
 ヌル〜ッと、肉棒が下から突きあげるように押し入ってくる。
「ああっ……い、いいっ!」
 腰を落としきると、亜以子はふるえ声を洩らした。疼きの源に肉棒を迎え入れた歓びと同時に、全身が蕩けていくような快感が湧きあがった。
 そのまま、クイッ、クイッと腰を振った。そのたびにグリッ、グリッと怒張の先と子宮口が激しくこすれて、しびれるような快感に襲われる。
「ああン、当たってる。たまんないっ!……高木くんは?」
「俺も……ああ、でも、もう我慢できなくなっちゃいそうだよ」
 高木が早くも切迫したようすで情けない声をあげる。亜以子は腰をしゃくるようにして律動しながらいった。
「だめよ、我慢して。ね、わたしのどこがいいのか、いやらしい言葉でいって」
「いやらしい言葉!?」
「そう、うんといやらしい言葉でいって」
「アキさんのオマ×コ、すごくいいよ。たまんないよ」
 一瞬驚いたようすを見せた高木だが、重ねてせがむ亜以子に興奮を煽られたらしく、息せききっていう。
 亜以子はそういう猥褻な言葉を聞くとますます興奮するタイプだった。夢中になって腰を振りたてた。
「あ、だめッ、出ちゃうよ!」
「待って、もっと!」
 二人のあわてた声が交錯した。その直後、高木が呻いた。腰を突きあげてのけぞったかと思うと亜以子のなかでビクン、ビクンと肉棒が跳ね、ビュッ、ビュッと勢いよく男の精がほとばしった。


【3】
「ごめん。早くて……」
 亜以子が後始末をしてやっていると、高木は申しわけなさそうな顔つきで謝った。
「仕方ないわよ。高木くん若いんだし、まだ女性の経験も少ないみたいだから」
 慰めたつもりだったが、亜以子のほうは不完全燃焼のまま終わったせいか、なんとなく尖った口調になった。
 亜以子は、まだ硬直したままのペニスを手にして揺すった。
「でも、またすぐできるみたいよ、これ」
「すぐは無理かもしれないけど、回復力には自信があるんだよ、俺」
 高木が気を取り直したようにいって上体を起こした。
「もう手錠をはずしてよ。躯の下敷きになってたから、手が痺れちゃった」
 亜以子は迷った。いつもならここで先に身支度を整え、男の手錠をはずして引きあげるところだ。今日もそうするつもりだったが、中途半端に終わった行為のためにホテルに来る前以上に身体が疼いていた。
 相手は年下のまだ女に馴れていない男だし、危ないタイプでもない。ふつうにしてもう一度愉しむのもいいかもしれないと思った。というよりもそうせずにはいられず、亜以子は高木の手錠をはずしてやった。
「ね、こんどはアキさんに手錠をかけてやってみない? 俺、女王様ごっこより、そっちのほうが興味があったんだ」
 とたんに高木は亜以子をうろたえさせることをいいだした。
「そんな……いやよ」
「いいじゃないの。ほら、やってみようよ」
「いやっ、やめて! だめ!」
 亜以子は抗った。それが逆に相手を煽ったのか、高木はムキになって無理やりに亜以子をうつ伏せにすると、後ろ手に手錠をかけた。
「アキさん、いってたじゃないか。やってみたら意外によかったりして、めざめちゃうかもよって」
 いいながら掌でヒップを撫でまわしていたかと思うと、いきなり叩いた。
「あうっ! いやっ、やめて!」
 亜以子はヒップを振って悶えた。
「女の尻を叩いたの初めてだけど、気分いいなァ。特にアキの尻、ムチムチしてるからたまんないよ」
 高木は興奮した声をあげると、つづけざまに亜以子の裸のヒップに平手打ちを浴びせはじめた。
 亜以子は抗う術もなく、叩かれるたびに悲鳴や呻き声をあげてヒップを振りたてた。すっかり立場が逆転して狼狽しきっていた。
 だがそのうちに狼狽が戸惑いに変わってきた。ヒップがジーンと熱くしびれたようになって痛みが薄らぎ、それにつれて、叩かれるたびに快感に似た疼きに襲われるようになってきたからだ。
 そればかりか亜以子は興奮していた。ヒップを叩かれたのも初めてなら、それで快感をおぼえて興奮したのも初めての経験だった。いつの間にか亜以子は感じた声をあげて身悶えていた。
「ん!? どうしたの?」
 高木が驚いたように聞いた。
「ああン、だめェ……お尻がジンジンしちゃうからだめェ〜」
「それって感じてるんだよ。アキって、ホントは女王様よりいじめられるほうがいいんじゃないか」
 いうなり高木は亜以子をあお向けにして両脚を大きく押しひろげた。
「いやァ」
 亜以子は嬌声をあげて顔をそむけ、腰を揺すった。
「すげえ! オシッコ洩らしたみたいだ」
 あからさまになっている秘苑を覗き込んでいる高木が興奮した声をあげた。
「いやあっ! いわないでェ……見ないでェ」
 息せききっていう亜以子の声は、ふるえをおびていた。高木の視線を感じてカッと全身が火になり、秘苑がひとりでにヒクついてジワッと蜜が滲みだしているのがわかった。そういいながらも見られて刺戟され興奮をかきたてられていた。
 そのとき、ヌル〜ッと高木の指が蜜壷に侵入してきた。亜以子は昂った声を洩らしてのけぞった。指を挿入されただけで身体がわななくほどの快感に襲われて、イキそうになったのだ。
 その指が、不完全燃焼の疼きを宿していたところに、ヒップを叩かれて燃え疼いている蜜壷をこねまわし、さらにべつの指が過敏なクリトリスを弄る。
 たまらず亜以子はきれぎれに感泣しながら、なりふりかまわず淫らに腰をうねらせた。
「すげえいやらしい腰つきだなァ。ほら、こんどはアキがいってみろよ。どこが気持ちいいんだ?」
 高木は急に荒っぽい言葉つきになった。けしかけられるようにいわれて、もとよりこういう誘導に弱い亜以子は、興奮を煽られて口走った。
「ああ、オマ×コ……ああン、いいっ! オマ×コいいのォ」
「オマ×コしたくてたまんないんだろう」
 亜以子はすがるように高木を見て、ウンウンうなずいた。
 高木が亜以子の横に来た。なおも指でクリトリスを嬲りながら、怒張を口もとに突きつけてきた。
 亜以子は夢中になって舌を這わせた。いやらしく腰をうねらせながら怒張を舐めまわし、咥えると鼻声を洩らしてしごいた。
 ペニスを咥えてうっとりとした表情を浮かべて揺れている顔や、猥りがわしくうねっている腰を、高木が興奮しきった顔つきで見ているだろうことは、目をつむっていてもわかる。見られていると想うと亜以子もますます興奮をかきたてられた。女王様ごっこでは得られない、めくるめくような興奮だった。
「俺も入れたくなったよ」
 高木がうわずった声でいった。腰を引くと亜以子をうつ伏せにしてヒップを叩き、恥ずかしい体位を取るよう命じた。まさに命令口調だった。
 命じられたとおり、亜以子は膝をついて上体を突っ伏し、高々とヒップを持ちあげた。
 高木の怒張がクレバスをまさぐって押し入ってきた。
 亜以子は昂った喘ぎ声を洩らした。硬い肉棒で貫かれた快感と歓びが湧きあがった。肉棒を抜き挿しされるとすぐに泣きたいほど気持ちよくなって、よがり泣きしはじめた。
 そのとき、ハッとして腰をくねらせた。亜以子はうろたえた声をあげた。
「そこ、だめっ」
「アナルは経験ないの?」
 高木は肉棒を突き引きしながら、亜以子が息を呑むと同時に引き締めたアナルを、指先でマッサージするようにこねているのだった。
 亜以子はいままでにアナルを性戯の対象にされたことなどなかった。必死にそこを締めつけているので声を出すこともできず、ない、と大きくうなずいた。そして、ムズムズする感覚にたまりかねていった。
「いやっ、だめっ」
 声を出した瞬間、ふっと弛んだアナルを、高木の指が揉みほぐす。
 ひとりでに息が乱れ、腰を振りたてようとしても、なよなよとした腰つきにしかならない。ムズムズする感覚が躯の芯を揉みほぐしているような、初めて経験する性感に変わってきたからだった。
「俺、一度アナルを攻めてみたかったんだ」
 いうなり高木がアナルに指を入れてきた。
 亜以子は呻いた。痛みはなかった。それよりも同時に前と後ろの秘苑を犯されて異常な興奮をかきたてられた。
「うおっ、すげえ! アナルが指を食い締めてる……」
 高木がうわずった声をあげた。
「でも妙な感じだな。ペニスと指がこすれちゃって」
 そういわれると、皮膜を隔てて膣を突き引きしているペニスとアナルをこねている指がよけいに生々しく感じられて、亜以子はますます興奮を煽られた。
 すると、高木の指が、クリトリスまでこねまわしはじめた。
「クリちゃん、ビンビンになってるよ。三所責めはどう?」
 狂おしい性感に鋭い快感が加わって、そのとき亜以子のなかで、電気のヒューズが飛ぶように理性の糸が切れた。
「ああっ、うう〜ん……だめェ……ああん、いいっ!……だめェ〜」
「いいのかよくないのか、どっちだよ」
「いいっ、いいのォ……でもだめェ……もう死んじゃう〜」
 息せききっていいながら、猥りがわしく腰をくねらせて悶える亜以子を見て、高木も我慢できなくなったらしい。クリトリスを嬲るのをやめ、アナルから指を抜くと、両手で亜以子の腰を抱えて激しく突きたててきた。


【4】
 四月初め、亜以子が勤めている銀行に新卒の行員たちが入ってきた。
 その顔ぶれを見て亜以子はうろたえた。あろうことか、そのなかにあの高木がいたのだ。
 ただ、幸いなことに高木のほうは、亜以子があのときの「アキ」だということに気がつかなかった。
 案の定、「高木」というのは偽名で、本名は「高井」だった。
 亜以子はホッとしたものの、ちょっとがっかりもした。
 あのとき、高木こと高井に「ぜひまた会ってほしい」といわれて電話番号を教えられ、亜以子もまた会ってもいいという気持ちになっていたからだ。だが、思いもかけない偶然で同じ銀行の先輩後輩になった以上、いくら変身したところでもう逢うことはできなかった。
 それから数日後、生理が近づいてきた亜以子は、いつものようにテレクラに電話をかけた。
 いかにも好き者そうな中年男をキャッチし、変身してマンションの部屋を出た瞬間、立ちすくんだ。なぜかそこに高井が立っていたからだ。
 凝然としたままの亜以子に、高井も驚いていた。
「やっぱ、先輩があのアキさんだったんだ」
 高井が気負い込んでいった。
「亜以子さんを見てて、眼鏡はずしてメイクしたり、ヘアスタイルとか変えたら、ひょっとして、なんて思ったんだ。でも最初はまさかと思ったよ。だけど確かめてみようって、ここ何日か見張ってたんだ」
 そういっているうちに興奮したようすになって、ポケットからなにやら取りだした。手錠だった。
「もうテレクラなんかに電話すんなよ、俺が相手をしてやるから」
 いうなり高井は亜以子の手をつかんで部屋に引き入れ、ドアをロックすると亜以子を拉致するようにして部屋にあがった。
 亜以子は茫然としたままだった。それでいて胸だけは息苦しいほど高鳴っていた。
 亜以子の部屋は一DKの造りだった。ピンク色のカバーがかかったベッドが見えるダイニングキッチンの中央で、高井と向き合わされた。
 亜以子はうなだれた。いうべき言葉もなく、高井と眼を合わすこともできなかった。
 高井が亜以子の手からバッグを取った。手錠と一緒にテーブルの上に置くといきなり亜以子を抱き寄せて唇を重ねてきた。
 拒みもしないかわりにすすんで応じようともしない亜以子の唇を、高木の舌が強引に開かせようとする。
 亜以子は小さく喘いで腰をもじつかせた。ムクムクとズボンの前を持ちあげてきた高木のこわばりが下腹部に突き当たって、生理前で熱をおびたようになっている秘苑がズキンと疼いたからで、その隙に高木の舌が滑り込んできた。
 ねっとりと舌をからめてくる高井に、亜以子もじゃれるように舌をからめかえした。
 濃厚なキスを交わしているうちに狂おしい性感と興奮をかきたてられて、亜以子のほうから高井のこわばりに下腹部をすりつけながら、甘い鼻声を洩らしていた。
 どちらからともなく唇が離れたとき、二人とも息が弾んでいた。
「脱げよ」
 高井が命令口調でいった。うつ向いたまま、亜以子は命令に従った。誰にも知られてはならない秘密を知られた以上、逆らうことはできなかったが、それだけで従順になったのではなかった。もういちど会ってもいいと思っていた高井に、ぞんざいな口調で命じられて胸がときめいてきたからだった。
「おお、今日は紫か」
 高井がうわずった声をあげた。声に興奮している感じがこもっていた。
 下着姿になった亜以子は、先日と同じガーターベルトでストッキングを吊ったスタイルの下着をつけていたが、三点セットになったブラとショーツとガーターベルトは正確には薄紫色の総レースで、ストッキングは肌色のものを穿いていた。
「ブラとショーツを取れ」
 命じられるまま亜以子は、高井の視線を感じて全身が火照るのを感じながらブラをはずし、ショーツを脱いだ。
「両手を背中にまわして」
 両手で胸と下腹部を隠していると、つづけて高井がぶっきらぼうに命じた。
 高井の手が持っているものを見て、亜以子はうろたえた。手錠と、先が房のようになったものはすぐに鞭だとわかった。
 そんなものまで用意してきたらしい。亜以子は驚きうろたえながらも、それ以上に高鳴ってきた胸のときめきにそそのかされるように両手を背中にまわし、両脚をよじり合わせた。
 ハッと、亜以子は息を呑んだ。大きく喘いでいる剥きだしの乳房を、高井が鞭の先の房でなぞる。呑み込んだ息が喘ぎ声になって洩れた。
 房が乳房の間から下腹部へ這いおりていく。それを凝視したまま亜以子は、きれぎれに喘いだ。テーブルにもたれた躯が、高井の眼を愉しませずにおかない感じでひとりでにくねる。下腹部まで這いおりた房が、こんどは内腿に移って撫であげてくる。
「ほら、脚を開け」
 高井が命じた。亜以子はまるで操り人形のように、おずおずと両脚を開いた。
「脚を閉じたら、お仕置きにヒップを鞭で叩いてやるからな」
 高井の手が内腿から秘苑に這いあがってくる。ピクピクッと両脚が痙攣し、高井の指先を恥ずかしい部分に感じた瞬間、ピクンと裸身がわななき、
「ああっ……」
 ふるえ声が洩れた。
「なんだよ、もうグショ濡れじゃないか。テレクラでつかまえた男とこれから愉しめると想っただけで濡れていたんだろう?」
 少しは濡れていたかもしれないが、恥ずかしいほど濡れてきたのは、高井に拘束されてからだった。
 ちがう……と亜以子はかぶりを振った。次の瞬間、昂った喘ぎ声を洩らしてのけぞった。ヌルッとするほど濡れたクレバスを高井の指でかきあげられてゾクッとする快感に襲われたからだ。
 クチュ、クチャという卑猥な音を響かせて高井の指がクレバスをこする。亜以子はすすり泣くような喘ぎ声を洩らして淫らに腰を律動させずにはいられない。
「いやらしい腰つきだなァ。もうたまんなくなったのか?」
「そんな、だめ……ああん、だめェ……」
「こりゃあお仕置きもんだな」
 高井は愉しそうにいうと、亜以子の躯を半回転させて、テーブルの上に上体を突っ伏す格好を取らせた。
「ほら、ヒップを突きだすんだ」
「ああっ、ぶたないで。許して……」
 鞭の房でヒップを撫でまわして命じる高井に、亜以子は怯えて哀願しながらもそんな自分に酔って、ヒップを突きだした。
「よォし、覚悟しろ」
 鞭がヒップを襲った。ズキンとする痛みに亜以子は悲鳴をあげて身悶えた。
 高井はつづけざまに亜以子のヒップを打ちすえた。そのたびに亜以子は悲鳴とも呻きともつかない声をあげてのけぞり、痛みを振り払うようにヒップを振りたてた。
 そのうちズキズキするヒップの痛みが燃えるような火照りに変わってきた。それにつれて鞭打たれるたびに躯の芯まで疼くような快感に似た感覚に襲われはじめた。
「ああん、いいっ!……もっとォ、もっとお尻ぶってェ〜」
 いつの間にか亜以子は荒い息遣いで快感を訴え、ヒップを悶えくねらせて鞭を催促していた。
 そのとき、それまでにない激しい一撃がヒップを襲ってきた。その瞬間、亜以子は「クゥ〜ン!」と子犬が鳴くような声を放って躯を硬直させた。
「ああァァァ、イクッ! イク〜ッ!」
 走り抜けるオルガスムスの快感に、躯がとめどなくわななく……。
 息を弾ませてなおも身悶えながら、ヒップを鞭打たれてイッてしまうという初めての経験に戸惑って茫然としていると、ひんやりとした高井の指先がアナルに触れてきた。
「そこ、だめ……」
 うわずった声でそういったものの、亜以子は拒もうとはしなかった。それどころか、クリームを塗り込められているらしいヌルヌルした感触に、ゾクゾクするような性感をかきたてられて、ひとりでにアナルへの愛撫を催促するように燃え疼いているヒップが蠢いてしまう。
「ヒップを鞭打たれてイクなんて、これで自分がマゾだったことがよくわかっただろう」
 高井が勝ち誇ったようにいうと、アナルに指を入れてきた。潤滑剤のクリームのせいもあって、苦もなく亜以子のアナルは指を受け入れた。
「この前、アナルの経験はないっていってたよな。今日は亜以子に初体験させてやるよ。いいな?」
 アナルを指でこねまわしながら、高井が初めて亜以子を呼び捨てにして聞く。亜以子は狂おしい性感をかきたてられてハアハアと息を弾ませて身をくねらせながら、自分でもアナルを犯されたい気持ちになってうなずきかえした。
 そのとき、いきなり膣に硬直が押し入ってきた。腰のあたりがとろけるような快感に襲われて、亜以子は喘いでのけぞった。
 高井のペニスで貫かれたものとばかり思ったが、なんとなくペニスとは感触がちがっていた。
「バイブレーターだよ。いちどに前と後ろでやられたほうがいいだろう」
 高井がペニスをアナルに当てがっていった。「いちどに前と後ろで……」という高井の言葉が亜以子を驚かせると同時に興奮させた。
 ホンモノのペニスがゆっくりとアナルに押し入ってきた。潤滑剤の滑りに乗ってヌル〜ッと侵入してくる。
 亜以子は口を開けたまま、息を止めていた。
「ほーら、入った。どうだ? 前と後ろ同時に犯された気分は?」
 そういって聞く高井も興奮した声だったが、亜以子のほうはそんなものではなかった。膣とアナルを犯された瞬間から、一気にオルガスムスのような状態になってめまいに襲われ、まともに息をすることさえできなかった。
 アナルに没した肉棒を、高井がゆっくりと抜き挿ししはじめた。それに合わせて亜以子はハアハアと大きく息を弾ませた。
「どう? アナルは?」
「い、いいっ!……ああっ、もう気が狂っちゃう!」
「じゃあ、気が狂っちゃう前に誓うんだ。俺の奴隷になりますって」
「ああっ、高井くんの、ど、奴隷に、なります!」
 亜以子は奴隷という言葉に酔っていった。
「よぉし、たっぷり狂わせてやるよ」
 高井がそういうのと同時に膣におさまっている異物がモーター音を響かせてバイブレーションを湧きたて、生々しくくねりはじめた。
 とたんに亜以子は感泣し、めくるめく快感の渦に呑み込まれていった。



【麗人内科医・欲深い蜜壺】


【1】
 佐川芳樹はソファに横たわったまま、そっと薄目を開けた。
 流し台の前に立っている結城美穂の後ろ姿が見えた。
 ベージュのタイトなスーツの、ややミニ丈のスカートからのぞいているきれいな脚を見て、芳樹の胸は高鳴った。
 −−今夜、同じ医局の医師たちと酒を飲んだあと、帰宅する方向が同じ芳樹と美穂はタクシーに乗った。いままでにも二、三度こういうことがあって、美穂が芳樹を落としていくことになる。芳樹はそれを見越して今夜こそ美穂をモノにしようと意を決していた。
 そこで計画どおり、タクシーが走りはじめると悪酔いしたフリをして、美穂が仕方なく芳樹をマンションの部屋まで連れてこなければいけなくなるように仕向けた。
 そこまではまんまと成功した。問題はこのあとだった。
 なにしろ美穂は総合S病院きっての美人内科医である。しかもこの春からS病院に勤務しはじめたばかりの新米内科医の芳樹よりも二歳年上の二十九歳。芳樹にとっては先輩でもある。
 ところが、芳樹は美穂と出会った瞬間から恋に落ちた。そして、なんどかその気持ちを打ち明けようと思った。だが一笑に付されそうな気がしてできなかった。
 そこには芳樹自身の男としての自信のなさが働いていた。芳樹は自分でもいい男だとは思っていないが、いままでそれなりに女にモテた。といってもそれは将来は医師になるという、いうなればブランドのおかげであって、相手もみんなその程度の女たちばかりで、外見も中身も並みか並み以下だった。美穂のように知性も教養もある、いい女にモテた試しは一度もなかった。
 それだけに美穂に対する気持ちは燃えあがって抑えがたいものになり、もはや実力行使しかないところまできていた。
 だが、闇雲に実力行使に出ようと思ったわけではなかった。
 美穂はまだ独身で、それだけの魅力がありながら男がいるようすもない。医師というハードな仕事のせいもあるのかもしれないが、それで二十九歳の熟れきった躯がもつはずがない。当然フラストレーションが溜まっているはずで、ツケ入る隙は充分にある。
 そういう計算があってのことだった。
 美穂のセミロングの艶やかな髪からスーツを着ていてもわかるほど素晴らしいプロポーションを盗み見ていた芳樹は、あわてて眼をつむった。
 美穂が近づいてくるのがわかった。
「はい、佐川先生。お水よ」
 すぐそばで美穂がいった。悪酔いしたフリをしていた芳樹が、さきほど美穂に水を飲ませてほしいと頼んだのだ。
 芳樹の胸は緊張や期待や不安が入りまじって息苦しいほど高鳴っていた。
「うう〜ん」
 芳樹は眼を閉じたまま、苦しそうに呻いた。
「苦しいの? 吐きそうだったら、おトイレに入ってたほうがいいんじゃない?」
 心配そうに声をかけながら、美穂が水を入れてきたグラスを床に置いた気配があった。両手を芳樹の肩にかけて起こそうとする。
 芳樹は眼を開けた。目の前に美穂の顔があった。
「結城先生!」
 いうなり芳樹は美穂に抱きついた。
「あっ、そんな……だめ……」
 美穂は驚いて芳樹を押しやった。が、そのまま強引に芳樹はソファに倒れ込み、あっという間に態勢を入れ替えて美穂を組み敷いた。
「好きなんだ、結城先生のこと、初めて会ったときから」
「そんな、だめよ。やめてっ」
 息せききった二人の声が交錯し、キスしようとする芳樹を美穂は激しく顔を振って拒んだ。芳樹はキスするのをあきらめ、強引にスカートを引きあげた。
「いやっ、だめ!」
 美穂は芳樹の躯を撥ねつけようとして必死に腰を上下に振りたてる。だが芳樹の腰が両脚の間に割り込んでいるため、どうすることもできない。
 芳樹のズボンの前は早くも突きあがっていた。それを美穂の股間に押しつけてブラウス越しに両手で乳房を揉みしだいた。
「ああっ、だめ……」
 美穂はうわずった声を洩らし、悩ましい表情を浮かべてのけぞった。その直後、急にフニャとなって美穂の身体から力が抜けた。
「いけないわ。おねがい、やめてっ」
 ふるえをおびたような声でいいながら、弱々しくかぶりを振る。
 一瞬芳樹が突然の反応の変化に気を奪われていると、美穂は戸惑ったような表情を浮かべて腰を上下左右にもじつかせていた。しかも股間に押しつけられている芳樹のこわばりに、美穂のほうから股間をそれにこすりつけるようにも感じられる腰つきで。
(やっぱり、フラストレーションが溜まっていたんだ。これならイケる!)
 美穂の股間でエレクトしたペニスをくすぐられる感触に興奮を煽られて芳樹はそう思い、美穂の唇にしゃぶりついた。
 美穂は小さく呻いた。わずかに顔を振っただけで、それ以上拒まなかった。そればかりか、芳樹が舌を滑り込ませて美穂の舌をからめ取ると、ためらいがちに美穂も舌をからめてきた。
 芳樹の股間のこわばりを美穂の股間に押しつけている効果は絶大だった。
 美穂がせつなげな鼻声を洩らしはじめ、二人の舌がおたがいの舌と口腔をまさぐり合う濃厚なキスになった。
 その間も美穂のほうはさもたまらなさそうに、芳樹のこわばりに股間をこすりつけるようにして腰をうねらせている。
 芳樹はキスしながら手早くブラウスのボタンをはずしていき、前をはだけた。唇を離して美穂の胸もとを見た。黒いシースルーのブラを持ちあげた乳房が目に入って、ズキンと股間が疼いた。
「だめよ。いけないわ」
「どうして?」
 あわててブラウスの前をかき合わせた美穂も、すかさず聞いた芳樹も、息が弾んでいた。
「だめ……だめなの。ね、どいて」
 美穂はかぶりを振っていうと起きあがろうとした。
 芳樹は美穂の両手をつかんで押さえ込んだ。マジにキスしてその気になって腰なんか振ったのに、なぜなんだ、という苛立ちを抑えていった。
「だめって、じゃあ、いまのキスはどういうこと?」
「それは……」
 いいかけて美穂は顔をそむけた。うろたえた表情をして息を弾ませながら、
「あなたが、突然変なことするから……」
「変なことって、こういうこと?」
 グイと芳樹は股間のこわばりを美穂の股間に押しつけた。
「あっ……だめっ」
 美穂はまたふるえ声を発し、悩ましい表情を浮かべてのけぞった。
 芳樹はドキッとして、美穂の下半身に眼を奪われた。
 美穂の下半身は、タイトスカートが腰の上までずりあがり、両脚で芳樹の腰を挟んだ格好で露出し、肌色のパンストの下にブラと同じ黒いシースルーのショーツが透けていた。しかもそのショーツときたら、ひどく際どいタイプの“紐パン”で、小さな逆三角形の下のモジャとしたヘアまで透けて見えているのだ。
「驚いたな。結城先生、いつもこんな悩ましい下着つけてるの?」
 興奮のあまり芳樹の声はうわずった。
「やめて……」
 恥ずかしそうにかぶりを振る美穂を見て、芳樹のなかにわずかに残っていた理性は消し飛び、両手でブラを押しあげた。ブルンと乳房が生々しく弾んでこぼれでると同時に「いやっ」と美穂は悲鳴に似た声をあげた。
 芳樹は乳房にしゃぶりついた。両手で乳房を揉みたてながら、貪るようにして乳首を舐めまわしたり口に含んで吸いたてたりした。
 色白できれいな肌をしていると思っていたとおり、黒いブラからこぼれでたとき眼にした美穂の乳房は、まぶしいほど白く、ちょうどいいボリュームがあって、形よくお椀型に盛りあがっている。
 芳樹はバストの大きい女は好みではない。興奮するより滑稽に感じてしまう。美穂の乳房は芳樹の好みに合っていた。
 最初のうちだけ美穂はいやがって芳樹の肩を両手で押しやったり大きく胸を突きあげたりしていたが、すぐにきれぎれに喘ぎ声を洩らして繰りかえし狂おしそうにのけぞりはじめた。
 美穂が感じてきているのは明らかだった。ぷっくりと迫りだした赤褐色の乳首もさらに勃起して、硬くしこってきていた。


【2】
 芳樹は美穂の反応に気をよくして下半身へと移動していった。
「いやっ、だめ……やめてっ」
 とたんに美穂はそれまでになく激しく抵抗しはじめた。
 一瞬、芳樹は怯んだ。このまま無理やり犯してしまえばレイプになる。そうなるとタダではすまないかもしれない。そこまで荒っぽいことをする気も覚悟も芳樹にはなかった。多少はいやがられるかもしれないが、フラストレーションが溜まっているはずの美穂ならその気になるだろうと、勝手に都合のいいことを考えていたのだ。
 そのときふと、さきほどこわばりを股間に突き当てていたときの美穂の反応を思いだして、いい考えが閃いた。芳樹は立ちあがって服を脱ぎはじめた。
 あわてたようすで美穂も上体を起こした。
「やめて……」
 懇願するようにいいながら、ずれあがったスカートを急いでおろし、ブラウスの前をかき合わせてボタンをはめていく。
 手早く素っ裸になった芳樹は、美穂の前に立ちふさがった。ちょうど美穂の顔の前に、腹を叩かんばかりにエレクトしているペニスを突きつけた格好だった。
 怒張を眼にしたとたん、美穂は息を呑むようなようすを見せた。
「いやっ」
 うわずった声をあげて顔をそむけた。
「ほら、見て……」
 芳樹はペニスに手を添えて揺すった。それにつられたように美穂は前を向いた。芳樹が揺すっている怒張を見ると、それを凝視したまま、
「ああっ」
 と昂った感じの声を洩らした。
 一瞬のうちに美貌が発情したような感じになって眼が妖しく潤み、息が乱れてきている。まるで興奮というアルコールに酔っているようだった。
「こういうの見るの、久しぶりなんじゃないの?」
 思惑どおりに事が運んで芳樹が内心ニンマリしながら聞いても、美穂は言葉もない。口もきけないほど興奮しているのか、発情したような顔つきで揺れる怒張を凝視したまま、わずかに唇を喘がせるだけだ。
 芳樹は美穂の手を取って立たせた。美穂は意思を失ったようにふらりと立ちあがった。芳樹は美穂の手を怒張に導いた。握らせようとすると、美穂はうろたえたようすで手を引っ込めた。
 無理やりに芳樹は握らせた。
 こんどは美穂も拒まなかった。そればかりかそっとペニスを掌につつみ、「ああ」と、ふるえ声を洩らした。いったん掌にすると、掌が接着剤でペニスに貼りついたようにジッと握っている。
 芳樹は美穂の顔を見た。ますます発情の色が濃くなった感じの顔をそむけたまま、ハアハアと息を弾ませている。
 芳樹はふたたびブラウスのボタンをはずしていった。美穂はペニスを握ってうつ向き、されるがままになっている。芳樹はブラウスの袖口のボタンや美穂の背中に両手をまわしてブラのホックもはずした。
 そこでペニスから美穂の手を離させて、スーツの上着とブラウスを一度に脱がした。ついでブラも取り去った。もう抵抗する気持ちは失せたらしい。美穂は無言のまま、両腕で胸を隠しただけだった。
 芳樹はゾクゾクしながらスカートを脱がし、美穂の足もとに落とした。下半身だけ悩ましい下着姿になった美穂の肩を抱いてベッドに連れていき、あお向けに寝かせてパンストを脱がしにかかった。
「いやっ、だめ……」
 美穂は顔をそむけていった。いやがってではなく、ただ恥ずかしがっているだけという感じが、表情と声に出ていた。
 芳樹がパンストをさげていくにつれて、優美なラインを描いて形よく張った腰がくねり、すらりと伸びた脚がすれ合う。パンストを抜き取ると、芳樹はいきなり美穂の両脚を押しひろげた。
「そんな……いやァ!」
 しばらく黙ってされるがままになっていた美穂だが、さすがに悲鳴に似た声をあげて両手で股間を隠し、激しく腰を振りたてた。
「せっかく悩ましい下着をつけてんだから、よく見せてよ」
 無理もないといえば無理もないが、美穂はいやがってかぶりを振った。
 そのとき芳樹は刺戟的な行為を思いついて、パンストを手にした。
「美穂先生、縛られたことは?」
 初めて美穂のことをそういう呼び方をして聞くと、
「そんな……そんなこと、やめてっ」
 美穂はうろたえて起きあがろうとした。芳樹は美穂を押し倒し、うつ伏せにして馬乗りになった。
「ああっ、やめてっ!」
 身悶えて抵抗する美穂の両手を背中にひねりあげ、パンストですばやく手首を縛った。
「こんなことするなんて、ひどいっ……ほどいてっ」
 もはや美穂は身体をくねらせることしかできない。
 後ろ手に拘束した手首をつかんで美穂のそばに坐った芳樹の前に、煽情的な眺めがあった。黒い紐パンは、後ろ側にも前側と同じように逆三角形のシースルーの布がついているのだが、いやらしいほどむっちりとしてこんもりと盛りあがったヒップはほとんど露出した状態で、紐が尻朶の間に分け入っている。そのまま紐がクレバスに食い込んでいる眺めが芳樹の脳裏をよぎって、怒張がズキンと疼いた。
「縛られたのは初めてみたいだけど、いまどきソフトSMなんて当たり前だよ。こういうプレイもちょっと刺戟があっていいんじゃないの?」
 いいながら剥きだし同然のヒップを掌で撫でまわす芳樹に、美穂はうろたえたように腰をくねらせて悶える。
 悩ましいスタイルの黒いショーツをつけた熟れた裸身が腰をくねらせて悶えるのを見ていると、芳樹はそのままバックから犯したい衝動にかられた。それをこらえて美穂をあお向けにすると、いきなり両脚を大きく押しひろげた。
「ああっ、だめェ〜!」
 美穂は腰を振りたてた。
 芳樹の前に煽情的な眺めが露呈した。知的な美貌に似ず、かなり濃密なヘアが逆三角形のシースルーの布を通して見えているだけでなく、紐が食い込んだクレバスも露わになっている。しかも赤褐色の肉びらが迫りだして、その両側を縮れ毛が縁取るように生えている淫猥な眺めまで……。
 芳樹は両膝で美穂の両脚を押さえ、クレバスに食い込んでいる紐をつまんでグイと引っ張った。
 美穂が生々しい喘ぎ声を洩らすと同時に悩ましい表情を浮かべてのけぞった。
 芳樹は繰りかえしクイクイ紐を引いた。クレバスを−−というより過敏なクリトリスを紐でこすられるからだろう。そのたびに美穂は感じた喘ぎ声を洩らしてのけぞり、たまらなさそうに腰をうねらす。
 美穂の猥りがわしい腰つきに興奮を煽られて芳樹は、クレバスに食い込んだ紐の下に指先を滑り込ませた。
「やッ」
 という声を洩らして美穂は腰をヒクつかせた。激しく腰を揺する。芳樹の指先に、秘めやかな粘膜の、ベチョッとした感触があった。
「すごい。グショ濡れだよ」
「やァ、だめェ〜」
 美穂は恥ずかしくてたまらないというようすでかぶりを振る。
 芳樹はいったん美穂の両脚をそろえ、ゾクゾクワクワクしなから、ショーツを脱がしていった。美穂は両脚をよじって下腹部を隠した。ふたたび芳樹が無理やりに両脚を押しひろげると、
「いやァ〜、見ないでっ」
 悲鳴に似た声をあげて腰を振りたてる。
 あからさまになった秘苑に、芳樹の眼は釘づけになった。
 夢にまで見た美穂のそこは、ひどく卑猥な眺めを呈していた。ビロードのような濃密なヘア。その下の肉びらは、いくらか湾曲した赤褐色の薄い唇に似ていて、そのまわりにも縮れ毛が口髭のように生え、わずかに口を開いている薄い唇の間から覗いているパールピンクのクレバスは、ジトッと濡れ光っている。
 もっとも、知的な美人だけにその卑猥な眺めがすこぶる煽情的でもある。
「これが、美穂先生のオマ×コか」
 ズキン、ズキンとペニスが疼いて脈動するのを感じながら、芳樹はつぶやいた。興奮がそのまま言葉になって出たという感じだった。
「そんな、いや……」
 ふるえをおびたような美穂の声を聞いて芳樹は顔をあげた。美穂は顔をそむけて息を弾ませていた。そればかりか、その顔にはごまかしようのない興奮の色が浮かんでいた。
「美穂先生、意外とマゾッ気があるんじゃないの?」
「そんな……そんなもの、ないわ」
 美穂はうろたえたようすでかぶりを振った。
(いや、絶対にある。これはこの先愉しみだぞ)
 芳樹はほくそ笑み、目の前の秘苑にしゃぶりついた。
「あっ、それだめ……だめよ、やめてっ」
 美穂は激しく腰を揺すって身悶えた。クンニリングそのものをいやがっていうよりも、シャワーを浴びていない躯のまま、そんなことをされるのをいやがっているようすだった。
 かまわず芳樹はクリトリスをとらえて舐めまわした。相手が美穂ならシャワーを浴びていなくてもまったく気にならなかった。美穂のそこは最初、かすかにアンモニア臭がしたが、それもすぐに消えてほとんど無臭にちかくなった。
 攻めたてるような芳樹の舌使いに美穂は、ほんのわずかの間だが、必死に感じまいとしているようだった。だが、たちまちこらえきれなくなったらしい。狂おしそうにのけぞりながら、よがり泣くような声を洩らしはじめた。
 芳樹の目の前で熟れきった白い裸身が波のようにうねる。クリトリスがふくれあがってきていた。
 芳樹は舌でクリトリスを弾きながら、美穂の泣くような喘ぎ声とうねる裸身を見ているうちに我慢できなくなって、指を蜜壷に挿し入れた。
 ヌル〜ッと侵入した指を、昂った喘ぎ声と同時にジワッと、蜜壷が締めつけてきた。その生々しい感触に怒張がヒクついた。
 そのまま舌でクリトリスを弾いていると、指を咥えた蜜壷がヒクヒク痙攣しはじめた。
「だめだめっ……イクッ! ああっ、イクイク〜ッ!」
 泣き声をあげて大きく反りかえったかと思うと、美穂は激しく腰を揺すりたてた。
 芳樹は指を蜜壷に挿したままだった。ゆっくり指を抜き挿ししながらいった。
「クリちゃんでイッたら、指よりもっといいものをここに入れてほしくてたまらなくなったんじゃないの?」
「うう〜ん、だめェ……ああ〜ん……」
 美穂はなりふりかまわずといった感じで淫らに腰をうねらせながら、興奮しきった顔つきでうなずきかえす。
「じゃあ美穂先生にも、俺にサービスしてもらおうかな」
 芳樹は指を抜き取った。美穂の上体を抱き起こすと、後ろ手に縛っているパンストを解き、その前に立って怒張を突きつけた。
「さ、しゃぶってよ」
 美穂は発情した顔つきで怒張を凝視したまま喘ぎ、両手を伸ばしてきた。両手で怒張を捧げ持つようにして亀頭に舌を這わせてき、眼をつむって、ねっとりと舐めまわす。
(やったぞ。ついにやった!)
 美穂を見おろしながら、芳樹は胸のなかで快哉を叫んだ。
「チ×ポ、久しぶりなんだろ?」
 聞くと、美穂は小さくうなずいた。
 想ったとおりだと思いながら、芳樹は気をよくしてさらに聞いた。
「美味しい?」
 一瞬、美穂は戸惑ったような表情を見せたが、また小さくうなずき、そのとおり美味しそうに怒張全体を舐めまわす。そして咥えると、顔を振ってしごきながら、興奮に酔いしれたような表情を浮かべてせつなげな鼻声を洩らしはじめた。
 それを見て芳樹も我慢できなくなった。美穂をあお向けに押し倒すと両脚の間に腰を入れて、怒張を手に亀頭でクレバスをまさぐった。
「ああっ、もう……だめ……」
 美穂は悩ましい表情を浮かべてのけぞり、早く入れてといわんばかりに腰を振る。
「もうなに? 美穂のオマ×コに俺のチ×ポ入れてほしいの?」
 クチュクチュと濡れた卑猥な音を響かせてクリトリスや膣口をこすりながら、芳樹が初めて美穂を呼び捨てにして露骨な聞き方をすると、美穂はいやがりもせず、それどころかますます興奮を煽られたようすでうなずきかえす。
「じゃあそういってごらん。いったら入れてやるよ」
 美穂は駄々をこねるようにかぶりを振った。なおも芳樹が怒張でクレバスをこすって焦らしていると、
「ああん、もう知らないっ……」
 たまりかねたようにいって顔をそむけ、腰を猥りがわしくうねらせながら、芳樹がいったのと同じ露骨なことを口にして求めた。
 美人内科医のものとは思えないその言葉を聞いて芳樹は、全身がしびれるような興奮をかきたてられながら、美穂のなかに押し入った。抉るように一気に奥まで突き入ると、さんざん焦らされた美穂は、それだけで達したようだった。


【3】
 美穂は病院の屋上にいた。
 意外に早く外来患者の診察が終わり、いったんは医局にもどりかけたのだが気が変わって屋上にきた。佐川芳樹と顔を合わせているのが気まずいという思いもあったが、それ以上に一人になりたいという気持ちになったからだった。
 屋上のベンチに坐って、最初はぼんやりと空や周囲の景色を眺めていた美穂だが、いやでも一昨日の佐川芳樹とのことが頭に浮かんできて、身体が熱くなった。そればかりかそれが引金になって、美穂にとっては古傷ともいえること−−といっても二年ほど前のことだが−−−を生々しく思いだしていた。


 ……そォ〜と、隣りに寝ている洋司が動いて、美穂のほうに躯の向きを変えるのがわかった。
 美穂は洋司に背中を向けていた。さっきから高鳴っていた胸の鼓動が、一段と速まった。洋司が美穂の肩に手をかけてきたからだ。
 美穂も、そォ〜と洋司のほうに身体を向け、声をひそめていった。
「だめよ」
「大丈夫。もう眠ってるよ」
 美穂のパジャマの上着のボタンをはずしながら、洋司も声を殺していう。
 美穂はされるがままになって顔だけ起こし、洋司の向こうで眠っている藤崎拓也のほうを見やった。部屋の明かりは消していたが、眠っていなかった美穂の眼は暗がりに馴れていた。拓也は洋司と美穂に背中を向けていた。
 美穂はドキドキしながら、自分でもはっきりわかるほど興奮した顔つきで洋司を見た。
「だって、眠ったフリをしてるかも……」
「だったら、いい声を聞かせてやれよ」
(そんな!……)
 とんでもないことをいう洋司に美穂がうろたえていると、洋司の手がパジャマのズボンのなかに侵入し、そのままショーツのなかに滑り込んできた。そればかりか、いきなり指先がクレバスに分け入ってきた。
「おっ、ビチョビチョじゃないか。美穂だって、このスリルがたまんないんだろ?」
 耳もとで思わせぶりに囁く洋司を、美穂はなじる目つきで睨もうとした。が、洋司にいわれたとおり、ヌルッとするほど濡れているクレバスを指でこすられ、洩れそうになる喘ぎ声を必死にこらえてのけぞった。
 洋司はすぐに指を引きあげた。美穂のパジャマのズボンとショーツを脱がそうとする。
「うン、もう……」
 洋司をなじる眼つきで睨みながらも美穂は、自分から腰を浮かした。
     *          *
 −−当時、美穂は同い年の商社マン、緒方洋司と付き合っていた。美穂のほうはS病院の内科医になりたてだった。洋司との付き合いは、その前から一年あまりつづいていた。
 二人はおたがいにまだ結婚のことなど頭になく、情熱の−−というよりも欲望の赴くままに関係をつづけていた。
「美穂の顔、ちょっと和久井映美に似てるとこあるよ。でも躯は……といっても俺が和久井映美の躯、知ってるわけじゃないけど、彼女以上かもな。プロポーションもいいし、第一アソコが最高だもん」
 いつか洋司は、生々しい言葉を交えて美穂のことをそう評したことがある。
 事実、美穂はよく、和久井映美に似ているといわれていた。それにプロポーションもわるくなかった。身長百六十七で、バストは八十三で特に大きくはないが形よく張っていて、ウエスト五十九、ヒップ八十七という、均整が取れた躯をしていた。
 一方、洋司のほうは顔立ちも性格も男っぽいスポーツマンタイプで背が高く、逞しい躯をしていた。美穂のタイプだった。
 ところが、二人が付き合いはじめてちょうど一年たったその春あたりから、美穂は洋司との関係を、ただなんとなく、ズルズルと惰性でつづけているような気がしてきて、このままでいいのだろうかと疑問に思いはじめた。
 といって洋司のことが嫌いになったり魅力を感じなくなったりしたわけではなかった。これといったはっきりとした理由もなく、ときおりそんな疑問をおぼえるようになったのだった。
 もともと美穂は身持ちが堅いほうで、セックスまで許した関係ということでいえば、洋司が二人目の男だった。初体験は二十一歳になったばかりのことで、世間の風潮からすれば奥手のほうだった。
 だが、最初の男との関係は半年もつづかなかった。別れた理由をあげればいろいろあったが、ひとつにはセックスの問題もあった。
 それまで身持ちが堅く、性体験の面では奥手だった美穂は、その一方でそのぶんセックスに対する願望や期待がふくらんでいた。といっても期待はともかく、漠然とした願望でしかなかったのだが、ひと言でいえば、最初の男とのセックスでは期待していたほどのことがなかった。
 その点、洋司とは相性もよかったのかもしれない。付き合いはじめてほどなく、初めて美穂はオルガスムスを経験した。
 そういうことも、こうして関係をつづけている要因なのかもしれないと美穂は思った。それに仕事が忙しくなったからそんなことを考えるようになったのかも……。
 ただ、セックスということでいえば、洋司とのセックスも多少マンネリぎみになっていた。
 洋司も美穂と同じように感じていたのかもしれない。その頃から美穂の部屋にくるときは必ずといっていいほど、同じ会社の新入社員の藤崎拓也を連れてくるようになった。
「拓也の奴、いまどき珍しいほどウブな奴でさ、まだ童貞なんだよ」
 洋司は後輩の拓也のことをそういっていた。洋司が拓也を連れてくるのは、刺戟剤にするためだった。
 そのときは大抵三人で酒を飲み、そのあと川の字になって眠ることになる。すると洋司は決まって美穂を求めてくる。
 初めてのとき、美穂はうろたえて拒んだ。だが、いやいや応じているうちに洋司と同じようにそのスリルが刺戟になってきた。
 そんな美穂を見てか、あるとき洋司が突然、
「拓也を入れて三Pをしてみないか」
 と思いがけないことをいいだした。
 美穂は唖然とした。そのときは冗談だろうと思ってまともに取り合わなかった−−。
     *          *
 美穂は繰りかえしのけぞりながら、口を開けたり指を噛んだりして、必死に息遣いや声を殺し、腰をうねらせていた。パジャマの前を完全にはだけられて下半身は裸の状態で、洋司に乳首を舐めまわされ、指先でクリトリスをこねられていた。
 洋司も下半身は裸になっていた。繰りかえしのけぞって腰をうねらせながら、美穂のほうは片手で洋司のエレクトしたペニスを握っていた。
 眠っているのか、眠ったフリをしているのか、二人に背中を向けている拓也を意識して感じてはいけないと思えば思うほど、逆に美穂の躯は過敏になってしまう。
 洋司の指がクレバス全体をこすりはじめた。
 ヌルヌルした感触といっしょに、硬くふくれあがっているクリトリスとムズムズしている膣口をこすられて、もう美穂は我慢できなくなった。
「ハッ……ハッ……あんッ……ハンッ……うふんッ……」
 せつない息遣いにまじって、短い、泣くような声が口をついて洩れた。
 この声を拓也に聞かれたら、もしも聞かれていたら……と思うと、いつものように恥ずかしさでカーッと全身が熱くなり、それと同時に得体の知れない興奮に襲われた。
(もう、してェ……)
 美穂が腰を揺すって催促すると、それを察したらしく、洋司が松葉崩しの形に脚をからめてきた。怒張でクレバスをまさぐって、ヌル〜ッと押し入ってきた。
 全身がしびれてとろけていくような快感に美穂はのけぞり、かろうじて声をこらえた。
 そっと洋司が布団をめくった。美穂はうろたえた。拓也が目を醒ましてこっちを向けば、ごまかしようもなかった。
「ほら」
 洋司が美穂の耳もとで囁き、見せつけるようにして腰を使いはじめた。
 うろたえながらも美穂は、顔をあげて下半身を見やった。片膝を立てて腰を使っている洋司の、ヌラヌラと濡れ光っている怒張が、濡れそぼっている秘唇の間に突き入って、ゆっくりと出入りしているいやらしい眺めが眼に入った。とたんに興奮を煽られて、
(もう知らない! 知らないから……)
 自暴自棄になって美穂も腰を上下に揺すった。
 二人の腰の動きがひとつになってたまらない快感が湧きあがってきた。
 そのとき洋司の指先が、ふくれあがっているクリトリスをくすぐるように撫でまわしはじめた。美穂はあわてて洋司のその手を制した。
「それ、だめ……ね、後ろからして」
 小声で息せききっていうと、洋司に背中を向けてヒップを突きだした。美穂のなかからヌルッと抜けでた怒張が、すぐまた押し入ってきた。
「いいよ。美穂は?」
 手で乳房を揉み、突き立ててきながら、洋司が耳もとで息を弾ませて囁いた。
「いい……出して。いっしょにイコう」
 美穂は泣くような小声で答えた。
 洋司のピストン運動が速くなった。美穂はきれぎれに泣き声を洩らした。拓也に聞かれているかもしれないと思うと、頭がクラクラするほど興奮をかきたてられた。
「出すよ」
 洋司がいった。美穂がうなずくと、ズンッと、怒張が突き入ってきた。生々しく脈動して、ビュッ、ビュッと射精する。同時に美穂は短く喘ぎ、オルガスムスの快感にさらわれていった。
 行為のあと、洋司はすぐに眠りについたが、美穂はまだ起きていた。拓也は相変わらず二人に背中を向けていた。
 満ち足りたような顔をして眠っている洋司を見ながら、美穂は思った。
(三Pなんて、どういうつもりでいいだしたのかしら……)
 冗談に決まっていると思って取り合わなかったが、洋司がそんなことをいいだしたのはショックだった。というのも拓也を刺戟剤にするだけならまだしも、もしも洋司が本気でそんなことをいっているとしたら、二人の関係がそこまでマンネリになっている証拠にほかならないからだった。
 ただ、事実そうなのかもしれないという気持ちも、美穂のなかにはめばえてきていた。そればかりか、このままなし崩し的に洋司との関係が終わるとしたら、いままでにない体験をしてみるのもわるくないかも……という、自分でもちょっと驚くような気持ちも確かにあったのだ。
(拓也くんだって、わたしと洋司のことに気づいているかもしれない。彼、まだ童貞ってことだけど、もし気づいているとしたら、わたしたちのこと……というよりわたしのこと、どう思ってるのかしら?)
 そんなことを考えているうちに美穂は、刺戟的なシーンを想い浮かべていた。童貞の拓也を誘惑するシーンだった。
 それは初めてのことではなかった。洋司から三Pという言葉を聞いてからそのシーンを想い浮かべているうちに、なんどか想像していたことだった。
 拓也は洋司とはまったく対照的なタイプで、アイドル系の顔立ちをしていた。女の子にモテないはずはないのにまだ童貞だというのは、実際に美穂から見てもそんな感じだが、洋司がいっていたとおり、よほどウブなのだろう。
 そんな拓也を誘惑するシーンを想像していると、美穂は三P以上に興奮してしまい、洋司との行為のあとでティッシュを当てていた秘苑が生々しく蠢いて、ジュクッと熱いものがあふれてきた。


【3】
「話ってなに?」
 拓也くんにちょっと話があるの。彼には内緒でわたしの部屋に来て−−美穂が電話でそういったときと同じように聞きながら、拓也は部屋に入ってきた。
 美穂はひとまずビールをすすめ、二人で飲みはじめた。
 美穂の胸は息苦しいほど高鳴っていた。これから自分がしようとしていることを考えると、アルコールの力を借りずにはいられなかった。
 ビールを飲みながら、美穂は聞いた。
「拓也くん、女の子にモテるんじゃない?」
「え? そんなことないですよ」
 面食らったようすで拓也は答えた。
「だって、モテそうなタイプだもの。でも、じゃあホントにまだ童貞なの?」
「え!? なんで?」
 拓也は驚いて聞きかえし、顔を赤らめてうつ向いた。
「彼に聞いたんだけど、わたし、まさかと思って……でもホントだったのね?」
 うつ向いたまま、小さくうなずく。
「拓也くん、わたしと彼のこと、気づいてたんでしょ?」
 拓也はうろたえたようすを見せた。そしてまた、小さくうなずいた。
 やっぱり……と思って美穂は頬が火照った。急にビールの酔いがまわってきた。その勢いで思いきって聞いた。
「拓也くん、女に興味ないの?」
 そんなことはない、というように拓也はかぶりを振った。
 美穂はドキドキしながらいった。
「そう……だけど、初めての相手がわたしなんかだと、いやよね?」
 拓也が弾かれたように顔をあげた。
「そんな……俺、美穂さんのこと、初めて会ったときから……」
 気負い込んでいうと、恥ずかしそうにうつ向いた。
「初めて会ったときから、なに?……」
 わかっていて、わざと美穂は聞いた。
「好きになっちゃって……それで俺、先輩に誘われるまま……」
 拓也はしどろもどろになりながら答えた。
 拓也にそう思われていたとは意外だったが、美穂はわるい気はしなかった。それどころかうれしさが込みあげてきていた。
 美穂は立ちあがり、拓也の手を取って立たせた。ドギマギしている拓也にしなだれかかり、キスして……と、眼をつむって顔をあお向けた。
「で、でも、美穂さんには先輩が……」
 拓也はうわずった声でいった。それでいて早くも股間のモノがズボンの前を押しあげて美穂の下腹部に突き当たっていた。そのまま美穂は囁いた。
「いいのよ、彼のことは。冗談かもしれないけど、拓也クンと三Pをしたいなんていってるくらいだから」
「三P!?」
 拓也が驚いた声をあげた。
「そう。だから気にしなくていいの」
 ややあって、拓也の両腕がオドオドした感じで美穂を抱き、おそるおそる唇が触れてきた。美穂のほうから舌をからめていき、下腹部を拓也のこわばりにすりつけていくと、ぎごちなく拓也も舌をからめてきた。
 先に唇を離したのは、拓也のほうだった。美穂も息が乱れていたが、拓也はキスも初めてなのか、興奮した顔つきで息を弾ませている。
「拓也くんも脱いで……」
 二人は服を脱ぎはじめた。下着姿になった美穂は、最初から拓也を誘惑するつもりで、童貞ならそのほうがいいだろうと思って白い色の、そのぶん思いきり挑発的なタイプの下着−−シースルーのブラとTバックショーツ−−をつけていた。
 形よく盛りあがっている乳房も下腹部のヘアも透けて見えている下着姿の美穂を、前が露骨に突きあがったブリーフだけになった拓也が、興奮しきった顔つきで食い入るように見ていた。
 いまの洋司にはないその視線に、美穂は新鮮な刺戟を受けながら、拓也に背中を向けてブラをはずさせ、向き直って拓也の前にひざまずくと、ブリーフをおろした。生々しく弾んで露出したペニスを見て、思わず喘ぎそうになった。
 エレクトしたペニスが珍しいわけではなかった。童貞を相手に美穂のほうから下着を脱がすという行為に興奮していたせいだった。
 美穂は拓也をベッドに誘ってあお向けに寝た。
「拓也くんの好きにしていいのよ」
「じゃあ、もっとよく見ていい?」
 拓也はかすれた声で聞いた。
 その意味がよくわからないままうなずいた美穂は、拓也の思いがけない行為に戸惑った。美穂の両脚を押しひろげ、股間を覗き込んできたのだ。
 拓也に見られている美穂の恥ずかしい部分は、すでにジトッと濡れて、しかもTバックショーツの紐がクレバスに食い込んでいやらしい眺めを呈しているはずだった。
 戸惑いながらも、カッと全身が火になるほど刺戟されて美穂は喘いで身悶え、Tバックショーツに興奮しているらしい拓也を挑発するように、自分からうつ伏せになって後ろ姿も見せた。それで美穂自身、興奮を煽られながらあお向けになると、
「ね、取ってェ」
 と、甘えるようにいって腰をうねらせた。
 拓也は興奮と緊張が入りまじったような顔つきでショーツをさげていき、抜き取った。美穂は躯をずらしてベッドのヘッドにもたれた。美穂も呼吸するのが苦しいほど興奮していた。
「拓也くん、童貞でも写真とかビデオとかで、女のアソコは見たことはあるんでしょ?」
「ヌードとか、ふつうのビデオとかは見たことはあるけど、そういうのはまだ……」
 美穂と向き合って正座し、両手で股間を押さえている拓也が、眼のやり場に困ったようすでいう。
(二十一歳にもなって、そんな経験もないの!?)
 かつての自分のことも忘れて美穂は驚いたが、そこまでウブなのだと思うと大胆に挑発してやりたくなった。
「じゃあ、こんなことするの恥ずかしいけど、見せてあげる……」
 両膝を立て、ドキドキしながら、ゆっくりと脚を開いていった。
 拓也は一瞬、ドギマギしたような表情を見せたが、すぐに眼が美穂の股間に釘づけになった。
「触っても、いいのよ」
 美穂の声はふるえをおびていた。
 拓也が両手を伸ばしてきて、そっと秘苑を押し開いた。
 思わず美穂は喘いだ。興奮しきった顔つきで凝視している拓也の突き刺さってくるような視線を、ぱっくりと口を開けたクレバスに感じて躯がふるえた。
「すごい! 動いていて、あふれてる!」
 拓也が興奮した声をあげた。それは美穂もわかっていた。ひとりでに膣がヒクつき、そのたびにジュクッと蜜を吐きだしているのだ。
 めまいがするような興奮につつまれて美穂はいった。
「そこなのよ、拓也くんのが入るところ……その前にもっと感じさせて。拓也くん、クンニリングスって知ってる?」
 拓也は緊張した顔つきでうなずいた。
「して……」
 美穂が求める、とクレバスに口をつけてきて、クリトリスを舌でとらえて舐めまわしはじめた。テクニックなどない、ただ懸命に舐めまわすだけのクンニが、美穂にはむしろ新鮮な刺戟になって、たちまち絶頂に追いあげられていった。
 童貞だから無理もないが、美穂のなかに押し入ってきた拓也は腰を使うまもなく、あっけなく果てた。
 だが回復するのも早かった。満たされないまま終わって、くすぶっている疼きを持て余した美穂がフェラチオをしかけていくと、またたく間にエレクトしてきた。
 こんどは美穂が上になって怒張をおさめ、腰を振って快感を貪った。いちど欲望を解き放ってこらえがきく拓也に、腰を浮かして結合部分を見せたりして興奮を煽られ夢中になって腰を振りたて、こんどは拓也といっしょに美穂も絶頂に達した。


【4】
 それから三日後のことだった。拓也とのことを思いだしながら、美穂はビールを飲んでいた。
 美穂一人ではなかった。この夜も洋司が拓也を部屋に連れてきていた。二人もビールを飲みながら、会社や仕事の話をしていた。といっても話しているのはもっぱら洋司で、拓也のほうはときおり相槌を打ったりするだけの聞き役だった。
 拓也は美穂の部屋に来たときから緊張したようすで落ち着きがなかった。今夜、美穂がなにをしようとしているか、三日前に美穂から聞いてわかっているからで、口数が少ないのもそのせいにちがいなかった。
「そろそろ寝るか」
 洋司がいった。その前に三人ともパジャマに着替えていて、いつものように寝室には二組の布団が並べて敷いてあった。
 洋司と拓也が布団に入るのを待って美穂は部屋の明かりを消し、寝室の外でパジャマを脱いだ。ショーツだけになって両腕で胸を隠して寝室に入っていくと、洋司と拓也の間に横になった。
「どうしたんだよ!?」
 洋司が驚きの声をあげて跳ね起きた。美穂は洋司に笑いかけていった。
「わたし、ここがいいの。洋司もそのほうがいいんでしょ?」
「マジかよ!?」
 驚きが貼りついたような表情のまま、洋司はうわずった声でいった。拓也はおろおろしていた。
 美穂は拓也に聞いた。
「拓也くん、わたしと彼がエッチしてたの、眠ったフリをして聞いてたんでしょ?」
 ぎごちなく苦笑いして拓也はうなずいた。
 ほらァ、と美穂は洋司を見ていった。
「どうせなら、三人で愉しんだほうが刺戟的なんじゃない?」
 洋司と拓也は顔を見合わせた。
「拓也、おまえまだ童貞なんだろ?」
「ええ、まァ……」
「じゃあ美穂に卒業させてもらえよ」
 洋司は複雑な笑いを浮かべていうと、美穂を攻める手立てを拓也に指示しながら、パジャマを脱ぎ捨てた。拓也も手早くパジャマを脱いだ。
 二人は美穂の両脇から乳房にしゃぶりついてきた。美穂は嬌声をあげてのけぞり、両手で二人の股間をまさぐった。二人とも早くも勃起していた。
 美穂ももう濡れていた。洋司の手がそこをまさぐってきた。美穂は喘いで身悶えた。拓也を誘惑して童貞を奪ったのを洋司に内緒にしていることでチクリと胸が痛んだが、それよりも両手に握っている怒張を同時に舐めまわしたり、そのひとつを口に咥え、もうひとつでファックされたりする刺戟的なシーンを想像してゾクゾクしながら。


 だが、そんな異常な関係はそう長くはつづかなかった。三Pをしたのは、その夜を含めて数回だった。
 そのたびに美穂は想像していたとおり、いちどに二人の男のペニスをしゃぶらされたり同時にそれで口と秘口を犯されたり交替でファックされたりして狂態を演じさせられた。
 ところが美穂自身、異常なセックスにとめどなくのめり込んでいきそうな、そういう資質がたぶんに自分のなかに潜んでいることがわかって、恐ろしくなってきた。それで二人と別れたのだった。
 以来、美穂は仕事に専念してきた。だが異常な、そのぶん強烈なセックスの記憶は頭からも躯からも容易には離れなかった。それどころか禁欲をつづけているうちに増幅されてくるようだった。
 いつしか美穂は、三Pのときにつけていたものと同じ、きわどい下着を買い求めて着用するようになった。自分でも恐ろしく思った資質がまたぞろ蠢きだしているのを感じて戸惑いながら、せめて刺戟的な下着をつけることによってそれを抑えようと思って……。
 そんなとき、佐川芳樹にレイプされて、途中からレイプといえるようなものではなくなってしまったのは、そういう事情をかかえていたからだった。
 美穂は佐川芳樹のことを恨んではいなかった。洋司と拓也−−二人と別れて禁欲生活をつづけているうちに、ますます自分のことがわかってきたからかもしれない。これからはもっと自分の欲望に素直になってみようと大胆な気持ちになってきていた。
 その気持ちに弾みをつけるように美穂はベンチから立ちあがった。佐川芳樹の顔を思い浮かべると、胸が高鳴ってきた。


 佐川芳樹はナースセンターに立ち寄ってひと息入れていた。それなら医局にもどってそうすればいいのだが、美穂はまだ外来の患者を診察中のはずだったし、それよりもナースセンターには医局にはない愉しみがあるからだった。
 看護婦は大抵、下着の上にすぐに白衣を着ている。そのため前屈みになったときや、ヒップが発達した看護婦だと、白衣を透してヒップのまるみといっしょに下着が透けて見えるのだ。
 いまも芳樹の眼は、そんなエロティックな眺めをとらえていた。
 若い看護婦の一人が机に両手をついて身を乗りだし、向かいの看護婦となにやら話している。たぶんその看護婦が穿いているのはビキニショーツで、それがずりあがっているのだろう。白衣がヒップに張りついているため、むっちりとした尻のまるみと、そのまるみがほとんど露出した感じにショーツのラインが浮かんでいる。
 その眺めを見ながら芳樹は、一昨日の美穂のことを思いだした。
 あの夜、芳樹は二度、美穂のなかに欲望を解き放った。一度目は正常位でだったが、二度目はいろいろと体位を変えたあと、最後は後背位でフィニッシュした。
 若い看護婦のヒップを見ていると、そのときの美穂のいやらしいほど形よく熟れたハート型のヒップや、濡れ光った秘唇の間にずっぽりとおさまって出入りするペニスの淫らな眺めや、ゾクゾクするような美穂のよがり泣きが生々しく脳裏に浮かんで股間がムズムズしてきた。
 美穂とは今夜、芳樹の部屋で逢うことになっていた。一昨日の夜、芳樹が明後日逢いたいというと、美穂は「もうこれっきりにしてほしい」と答えた。
 もちろん芳樹は聞き入れなかった。それなら美穂の部屋に押しかけるといった。すると美穂は困惑したようすながら、芳樹の言葉を聞き入れたのだ。
 できることならば芳樹は昨日も美穂と逢いたかった。だが昨日はあいにく芳樹のほうが当直だったのでそれはかなわなかった。
(今夜はこの前以上に……)
 胸をときめかせてそう思ったちょうどそのとき、美穂がナースセンターの前を通りかかった。医局にもどるらしい。芳樹はナースセンターを出た。
 芳樹が医局に入っていくと、美穂一人だった。あれから美穂は芳樹の前でも何事もなかったかのように振る舞っていたが、初めて二人きりになったせいか、ちょっとうろたえたような表情を見せた。
「今夜待ってるからね」
 といって芳樹は美穂を抱き寄せた。
「やめて! 人が来るわ」
 美穂は怯えたようにいって芳樹を押しやった。
「だったら、白衣を着てるときのスカートのなかだけでも見せてよ」
 いうなり芳樹は美穂の前にしゃがみ込んでスカートを押しあげた。
「そんな、だめ……」
 美穂は机を背にした格好で芳樹の肩に手をかけたが、腰をもじつかせるだけでされるままになっていた。
 一昨日の夜よりも悩ましいスタイルの下着をつけた下半身が、芳樹の前に露呈していた。同じ黒い下着でもパンストではなく、ガーターベルトでストッキングを吊ったスタイルだった。
「だめよ。人が来るわ」
 美穂がうろたえた声をあげて白衣を引きさげた。足音が近づいてくるのが聞こえた。
 芳樹もあわてて立ちあがった。二人は顔を見合わせると、どちからともなく秘密めいた笑みを交わした。



【美しき上司・聖夜の淫情】


【1】
 大手住宅メーカー、Sハウスの営業を担当している井沢友彦は、この夜、設計士と一緒に施工主を訪ねて打ち合わせをすませ、十時ちかくになって高層ビルの二十九階にある新宿支社にもどってきた。
 ふだんはまだ残業の社員がいる時間だったが、クリスマスイブのせいか、みんな早めに退社したらしく、社内にはもう誰もいなかった。
 そのうち設計士も帰っていった。
 井沢が一人残って書類の整理をしているとドアが開き、女が顔を覗かせた。桑野真帆だった。
「ヘエ〜、イブの夜だっていうのに、誰がこんな時間まで仕事してるのかと思ったら、井沢くんだったのォ」
 桑野真帆は、呂律の定まらない口調でいいながら入ってきた。ふらついた足取りで井沢のデスクのそばまできてコートを脱ぎ、椅子に腰かけた。相当アルコールが入っているようすだった。
 突然の闖入者に驚きながら、井沢は聞いた。
「どうしたんですか? そんなに酔っぱらっちゃって」
「わたし、酔っぱらってなんかないわよ」
 真帆はとろんとした顔つきで井沢を見すえ、からむような口調でいった。
「これくらいのお酒で酔っぱらってたまるもんですか」
「一人で飲んでたんですか?」
「そうよ。いけない?」
「そうじゃなくて、イブだし、桑野さんなら彼氏と一緒だったんじゃないかと思って」
 井沢がそういったとたんに、真帆は表情をこわばらせた。
「井沢くん、お水ちょうだい」
 話の矛先を変えるように、命令口調でいう。
(だいぶ荒れてるな。彼氏となにかあったのかもしれない。こういうときは触らぬ神に祟りなしだ)
 そう思いながら井沢がグラスに水を入れて持ってきてやると、真帆は一気に飲み干し、フーッと大きく息を吐いた。
「酔っちゃないけど少し疲れちゃったみたい。ちょっと休んでいくから、井沢くん、帰るとき声かけてよ」
 言いわけまじりの強がりをいって立ちあがると、フラフラと応接室に入っていく。
 唖然として真帆の後ろ姿を見送りながらも、思いがけない成り行きに井沢の胸はときめいていた。
 桑野真帆は、去年入社した井沢の二年先輩で、仕事は事務職に就いている。井沢と同じく大卒だから二十五か六歳のはずで、新宿支社の女子社員のなかでは一番の美人といっていい。ただ、いささかそれを鼻にかけているところがあって、社員たちの間では浮いた存在だった。
 それでも井沢は入社したときから真帆に魅かれていた。性格的なことは別にして、真帆が外見的な好みのタイプの条件を満たしていたからだった。
 それからほどなく、井沢はほかの女と深い関係になった。仕事上関係のある電器会社で照明プランナーをしている水原由紀という女で、井沢と同い年だった。
 水原由紀は見た感じ、どことなく桑野真帆に似たタイプだった……。
 思いがけない桑野真帆の出現で、井沢は仕事を片づけながら、まだ苦い思いを引きずっている、三カ月ほど前の水原由紀とのことを思いだしていた。


【2】
 ……目の前に、三角波のように持ちあがったヘアがあった。
 その先で白い腹部がうねり、あお向けに寝ていてもお椀型の形を保って盛りあがっている乳房が繰りかえし突きあがって生々しく揺れている。
 悩ましい表情を浮かべてのけぞる由紀の顔が、ときおり乳房の間から見えた。
 井沢が上目遣いでつづけているクンニリングスで、由紀の泣くような喘ぎ声が切迫してきた。
 そのとき、井沢の顎が密着している濡れた膣口のあたりがピクピク痙攣しだしたかと思うと、
「ああ、友ッ! だめ、イクッ! イッちゃう!」
 ふだん井沢友彦を「友」と呼んでいて、イク瞬間、井沢の名前を呼ぶクセがある由紀が、泣き声をあげて裸身を反りかえらせた。そのまま井沢が追い討ちをかけるように激しく舌を躍らせると、
「友ッ、イクイク〜ッ!」
 反りかえったまま、よがり泣きながら腰を揺すりたてた。
 それを見届けて井沢は起きあがった。
 由紀は興奮した顔つきで息を弾ませていた。井沢のいきり勃っているモノを見て、這い寄ってきた。両手を後ろにつき両脚を投げだして坐った井沢の脚の間に正座すると、きれいなロングヘアを手で耳にかけ、ペニスを手にして舌をからめる。
 由紀の舌がねっとりと亀頭を舐めまわし、じゃれついてくすぐりたてるようにしながらペニス全体をなぞる。
 井沢はこれまで、由紀が経験した男たちの話を聞いたことも知ろうとしたこともなかったが、彼女のフェラチオはなかなか巧みだった。
 由紀は黒光りしたきれいなロングヘアが似合う、年齢のわりに色っぽい顔立ちをしていて、プロポーションも素晴らしくいい。最初に井沢のほうが惚れ込んでアタックしたのだが、由紀も井沢に好感を持っていたらしく、二人はすぐに深い関係になった。
 当初、二人は毎日のようにデートして、そのあとどちらかの部屋に泊まっていた。
 ところが、いくらか関係が落ち着いてきた二カ月ほど前あたりから週に二回、決まって由紀が井沢の部屋にきて泊まっていくようになった。
「そのほうが、部屋のお掃除とか洗濯とかしてあげられるからいいでしょ」
 由紀がそういい、実際井沢にとっても助かるのでそういうことになったのだが、たまには由紀の部屋にも泊まりたいと思っていた。
 そこで今夜、久しぶりに由紀の部屋に来たのだった。
 由紀の巧みなフェチラオで、たちまち井沢は我慢できなくなった。由紀をあお向けに寝かせると、唾液にまみれて腹を叩かんばかりになったペニスを手に、濡れ光っているクレバスをまさぐった。
「ああン……」
 由紀は焦れったそうな声と腰つきで身悶える。
 ここで井沢はいつも「入れるよ」といって由紀のなかに押し入る。ところが、久しぶりに由紀の部屋に来て場所が変わったせいか、ふと、いつもとはちがったことをしてみたくなり、
(ちょっと焦らして、由紀に、入れて、なんていわせてみようか)
 と思った。だが、
(そんなことをしたら、スケベなオヤジみたいに思われて、きらわれるかも……)
 すぐにそう思い直して、いつものように、
「入れるよ」
 といった。
 そういうときの顔を見られるのが恥ずかしいのか、由紀もいつものように横を向いて小さくうなずいた。
 関係が生じて半年になっても、まだそういう羞じらいを見せる由紀に、井沢は新鮮な興奮をおぼえながら押し入った。熱い蜜をたたえた膣のなかにヌル〜ッと肉棒がおさまると、由紀は苦悶の表情を浮きたててのけぞった。
 相性がいいというのか、由紀の蜜壷は井沢の肉棒に過不足なく、ぴったりとフィットす る。挿し入れた肉棒と熱く潤んだ蜜壷との間にすこぶるエロティックな密着感があって、いつも井沢は腰のあたりがゾクッとする。
 身ぶるいする快感にせきたてられるように、井沢はすぐに激しく腰を使った。そうやって抜き挿しすると、秘めやかな粘膜で肉棒がくすぐりたてられるような快感がある。
 由紀も悩ましい表情を浮かべて繰りかえしのけぞりながら、きれぎれに感じた喘ぎ声を洩らしはじめた。
「ああ、友ッ……いいっ、気持ちいい!」
 息せききって快感を訴える由紀を見て、また井沢は思った。
(どこがいいのか、聞いてみようか?)
 だが、さきほどと同じことを考えて思い直し、そのぶん由紀に感じた声をあげさせようと、がむしゃらに突きたてていった。
 由紀は井沢の律動に合わせてすすり泣くような声をあげはじめた。
「いい?」
 井沢が聞くと、興奮しきった顔つきでウンウンうなずく。激しい摩擦で井沢のほうもしびれるような快感がペニスの根元に押し寄せてきて、あとはもう引金を引くだけになっていた。
「出すよ」
 フィニッシュの態勢に入って合図すると、由紀は泣きだしそうな顔つきでうなずいた。激しい律動からズン! と蜜壷を抉るように井沢は突き入った。
「ああっ、イクッ!」
 のけぞった由紀が絶頂を訴え、井沢も勢いよく快感液を発射した。
 そのときは、まさかこのあとでとんでもない由紀の秘密を知ることになろうなどとは思いもよらず、井沢は満足感に酔いしれながら、抱きしめた彼女の体内に一滴残さず快感液を絞りだした。


 先にシャワーを浴びてビールを飲みながら、久しぶりにきた由紀の部屋を見まわしている井沢の耳に、由紀が浴びているシャワーの音が聞こえていた。
 そのとき、本箱の端にある革のカバーがかかった本が目に止まり、取りだして見た。
 それは本ではなく、日記だった。
(あいつ、日記なんてつけてるのか)
 恋人同士とはいえ、相手の日記を盗み見るのは褒められた行為ではない。が、うしろめたさよりも興味のほうが勝って、ちらっと浴室のほうを見やってから、井沢は日記を開いた。
 二人が深い関係になった頃から、とびとびに読んでいった。
 ひとりでに井沢の頬は弛んだ。『友、愛してる●』という文字が随所にあったからだ。
 ところがみるみる井沢の表情は変わった。それも最初は怪訝な、次にこわばった、そして最期にはうろたえた表情へとめまぐるしく変わっていった。
 無理もない。あろうことか、由紀が“援助交際”をしていることがわかったからだ。
 最初は由紀自身、井沢のことを思って良心の呵責に苛まれ、迷っていたようだが、
『いまの給料だけだと気に入った洋服も買えないし、とてもおしゃれなんてできない。私がきれいになったら、友だって喜んでくれる。それにお金があったら、もっと楽しいデートだってできる。私が愛しているのは友だけ。ほかの男とは、ただセックスだけの関係なんだから……』
 そう考えて援助交際に踏みきった、というようなことを書いていた。
 援助交際の相手は四十九歳の自営業者で、名前は書いてなかったが、その男のイニシャルなのだろう、アルファベットの『O』という文字があった。それも二カ月ほど前から日記のなかにやたらと出てきていた。
 二カ月前といえば、ちょうど由紀のほうから週二回、井沢の部屋に来て泊まるようになった時期だった。
 由紀はそのOという男とも週二回、大抵はホテルで会っているらしい。というのもOは、ときおり由紀の部屋にも来るらしく、『O来る』と書かれた箇所が何箇所かあった。
 それだけではない。
 井沢がうろたえた−−というよりも打ちのめされたといったほうがいい−−のは、井沢とOとのセックスについて書いてあった部分だった。
 由紀はずっと、クリトリスではイッても膣ではイッたことがなかった。井沢とのセックスでも、クンニリングスされたときはイクがインサートされてからはイッたフリをしていた。ところがOとは、何度目かに初めて膣でもイッたと書いてあったのだ。
 そのことに由紀自身も戸惑ったらしく、
『でもショック! 私がホントに愛してるのは友なのに、友とエッチしてるときイケなくて、愛してなんかないOだとイッちゃうなんてどうして!?』
 そう書いていたが、そのあとに、
『私、やっぱり、Oにいわれたみたいに、ソノ気があるのかな?』
 という意味シンなフレーズもあった。
 日記を手にしたまま、井沢はショックのあまり茫然としていた。


【3】
 由紀の日記を盗み見てから四日後の夜だった。
 井沢は由紀の部屋にいた。由紀といっしょではなかった。井沢一人だった。
 あのとき、由紀の日記の一番新しいページには、
『Oが旅行中なので会えない。ちょっぴり淋しい。こんなハズじゃなかったし、こんなこと思っちゃいけないんだけど……友、ゴメンネ。Oのことが好きになったわけじゃないの。愛しているのは友だけよ。それなのに私、いけない、いけないって思いながら、いつの間にかOにハマッちゃって……。こんどOと会えるのは七日の夜。デートして私の部屋に来るといってた。友にはわるいけど、そのときが楽しみ●』
 そう書いてあった。
 それを見て井沢は、今夜の計画を立てたのだ。そのためには由紀の部屋の鍵を手に入れなければならなかった。
 そこで、由紀の部屋に泊まった翌朝、体調がよくないとウソをついて先に由紀を出勤させ、井沢のほうは遅れて出社した。その途中で合鍵を作り、会社の昼休みに由紀と会って鍵をかえしておいたのだった。
 日記に書いてあった『七日の夜』は、今夜だった。
 由紀はOとどこかでデートして、食事でもして一緒に帰ってくるのだろう。日記にはOが由紀の部屋に泊まるとは書いてなかった。おそらくOは妻子持ちのはずだから、由紀と愉しんだら帰っていくにちがいない。
 そう考えれば、Oにとっては食事をしている時間よりも由紀の部屋にいる時間のほうが大切なはずで、そろそろ由紀ともどってきてもいい頃だった。
 しだいに井沢の胸は高鳴ってきていた。緊張のためもあったが、嫉妬や怒りやコンプレックスなどが入りまじって、胸苦しいような胸の高鳴りだった。
 そのとき、ドアの鍵穴に鍵を挿す金属音がした。井沢はあわてて、計画どおりクロゼットのなかに隠れた。
 間口が一間足らずの作りつけのクロゼットだったが、マンションの由紀の部屋で隠れるとしたら、そこしかなかった。
 ただ問題は、脱いだ服を由紀がクロゼットのなかに掛けるときだった。
 井沢はクロゼットの端のコートの陰に身を潜めていた。
 由紀とOらしい男の声が部屋に入ってきた。
「オノさんもシャワー浴びるでしょ?」
「ああ。久しぶりだからすぐにも由紀を可愛がってやりたいとこだけど、じゃあいっしょに浴びるか」
 男は「オノ」という名前で、Oはその頭文字だったらしい。井沢の頭に『小野』という文字が浮かんだ。
 それよりも小野という男の肉声を聞いたとき、由紀に男がいたことを生々しく思い知らされて、小野に対してそれまでの嫉妬が燃えあがった。
 井沢は息を殺した。クロゼットの折り戸が開いたのだ。由紀の手がハンガーを二つ取りだした。
 ふたたびハンガーパイプにもどってきたハンガーには、それぞれ男物と女物のスーツがかかっていた。そして、クロゼットの扉が閉まった。
 フーッと、井沢はつめていた息を吐いた。
 二人は浴室に入ったらしい。今夜、無断で由紀の部屋に入ってすぐに試してみたとおり、井沢はそっと、ほんのわずかにクロゼットの折り戸を開けた。
 正面にベッドが見えた。
 浴室から出てきた由紀と小野がそのベッドの上で……。
 そう想うと、嫉妬で胸が締めつけられた。
 二人が浴室から出てくるのを待ちきれず、井沢はいったんクロゼットから出た。
 足音を殺して浴室の前までいき、ドアに耳を当ててみた。
 その瞬間、カッと全身が熱くなった。突然「あはんッ」という、ひどく艶めかしい声が聞こえてきたからだ。
「そこ、だめ」
 由紀がうわずった声をあげた。
「どうして? アナルもたまらないほどいいっていってたじゃないか」
 小野がいうのを聞いて井沢は一瞬、耳を疑った。
(アナル?……由紀の奴、この男とそんなことまでしてんのか!?)
「いったけど……だからだめなの」
 由紀が甘えるような声でいう。
「どうして?」
「だって、クセになっちゃったら困るもん」
「ふふ、じゃあ、いまにクセにして困らせてやるか」
「うんッ、意地悪……」
 小野が笑いを含んだ声でいうと由紀がすねたような声を洩らし、すぐにせつなげな鼻声が聞こえてきた。
(キスしながら、小野にアナルを嬲られているのか? それともアソコを弄られているのか?……)
 裸の男に抱かれてそんな悩ましい声を洩らして悶えている裸の由紀の姿が脳裏に浮かび、井沢は逆上した。
 一瞬、浴室に飛び込んでいきたい衝動にかられた。それをかろうじてこらえて、井沢はクロゼットに引きかえした。そのまま聞いていると衝動を抑えきれなくなりそうなのと、そろそろ二人が浴室から出てきそうな気がしたからだった。
 激しい嫉妬をおぼえながらも、井沢のズボンの前は露骨に盛りあがっていた。
 そのとき、浴室のドアが開く音がした。
 クロゼットの折り戸の隙間から覗いている井沢の眼に最初に入ってきたのは、小野という男だった。
 腰にバスタオルを巻いた小野は、がっちりとした体躯をしていた。ベッドに腰かけると、膝の上にアタッシェケースを置いて開いた。なにやらなかの物を点検しているようすだが、なかになにが入っているのかは井沢の位置からは見えなかった。
 そこに由紀が現われた。井沢は驚いて目を見張った。由紀は黒いガーターベルトとストッキングをつけただけの格好だった。ガーターベルトをつけた由紀を見るのは、井沢にとってはこれが初めてだった。
「由紀の彼氏は、井沢くんとかいったな」
 小野が突然井沢の名前を口にしたので、井沢はギョッとした。
「彼はイジメてくれないんで、この躯がウズウズしていたんじゃないか? ん?」
 猫撫で声を出して由紀の手を取った小野が一方の手にしたものを見て、井沢はまた驚いた。なんと、ロープだった。
「ええ。小野さんに縛られてイジメられるの、愉しみにしてたわ」
 由紀が、井沢に対しては見せたこともない、男を挑発するような艶めかしい眼つきで小野を見かえしていった。
「正直でいい。いかにもマゾッ気充分の由紀らしい返事だ」
 小野が笑いながら由紀の両手を背中にまわさせた。
(由紀にマゾッ気が!? 日記に書いていた“ソノ気”というのは、マゾッ気のことだったのか!……それにしても、由紀がSMプレイなんて信じられない。しかも俺のことまで小野に話してたなんて……)
 井沢が驚きとショックで茫然としているうちに小野は由紀を後ろ手に縛りあげ、スカーフで目隠しをして、ベッドにあお向けに寝かせていた。
「ああン、目隠しされてると、なにをされるかわからなくて不安だわ」
 不安というよりも、それをスリルに感じて期待しているような声でいって、由紀はプロポーションのいい裸身をくねらせている。
「なにをされるかわからないとこがいいんだ。そのぶんよけいに感じやすくなる。そこが目隠しプレイのおもしろいとこだよ」
 アタッシェケースのなかにはSMプレイ用の責め具が入っているらしい。小野が取りだしたのは、先が刷毛状になったバイブレーターのようなシロモノだった。
「由紀、脚を開いてみろ!」
 突然、小野が命令口調でいった。
「いやっ」
 由紀は裸身をくねらせてかぶりを振った。
「もうビチョビチョになってるオマ×コを見られるのが、恥ずかしいか?」
「そんな……そんないやらしいこといっちゃいやァ」
 露骨ないい方をする小野に、由紀は嬌声をあげる。恥ずかしがってもいるようだが、どこか芝居がかっていて、むしろ恥ずかしいことをいわれて歓んでいるようにも見える。
「まあいい。そのうちおまえのほうから股をオッぴろげて、早くなんとかしてほしいといわせてやるさ」
 ニヤリと笑って小野がバイブのスイッチを入れた。
「あ、バイブ!?」
 低い電動音に由紀はうろたえたような声を発した。小野が刷毛バイブを由紀のくびれたウエストのあたりに這わせた。
「ヒィ〜ッ、くすぐったァ〜い!」
 由紀が悲鳴をあげて身悶える。
「ほらァ、悶えろ悶えろ!」
 けしかけるようにいいながら、小野が刷毛バイブで由紀の裸身をなぞっていく。
 それにつれて由紀はくすぐったがって嬌声をあげたり、感じた喘ぎ声を洩らしたり、ときには「だめだめェ〜」とたまらなさそうに叫んだりして、狂ったように悶える。
 そのうち由紀の反応が変わってきた。


【4】
 由紀はきれぎれにすすり泣くような声を洩らしていた。
 井沢とのセックスでは出さないような悩ましい声を洩らしながら、刷毛バイブの動きに合わせて、ガーターベルトとストッキングをつけただけのプロポーションのいい裸身を狂おしそうにうねらせたり、くねらせたりしている。
 それはたまらないほどエロティックな眺めだった。覗き見ている井沢は、あれほど激しい嫉妬にかられたことも忘れて、いつの間にか口を開けていなければ息ができないほど興奮を煽られていた。
「ほ〜ら、由紀、どうするんだ?」
 小野が由紀の内腿を、付け根に向けて刷毛バイブを這わせていく。
「ああン、だめェ……見ないでェ〜」
 由紀が恥ずかしそうな嬌声をあげて腰を揺すりながら、徐々に脚を開いていく。
 膝を立てるように仕向けた小野が、なおもわざと肝心な部分を避けてそうするように内腿の付け根から秘苑のまわりを刷毛バイブでなぞる。
「ああ〜ん、いやァ、いやァ……」
 息せききって焦れるように腰を上下左右に振りながら、由紀が膝を立てた両脚を大きく開いていく。
「自分から大股を開いちゃって、はしたないなァ由紀は。オシッコ洩らしたようなグショ濡れのオマ×コがまる見えだ」
「いやァ、見ちゃあだめェ〜」
 あからさまなことをいう小野に、由紀はいたたまれないような声をあげながらも大股開きのまま、うねうねと猥りがわしく腰をうねらせる。それを見ている小野も、興奮して顔が紅潮している。
 井沢の目にも、小野が「オシッコを洩らしたような」といった秘苑がまともに見えた。
 事実、由紀のそこは、小野のいうとおりだった。中央が三角波のように立った逆三角形のヘアの下の、まだ色のきれいな肉厚な唇に似た肉びらのまわりまで濡れがひろがって、そのまわりに口髭のように生えているヘアがベットリと貼りついている。
 そのとき由紀がひときわ感じた喘ぎ声を洩らして腰をヒクつかせた。小野が刷毛バイブでクレバスをなぞっているのだ。
「あん、だめェ……それ、だめェ〜……ああッ、あはん……」
 両脚をMの字の形に開いたまま、淫らに腰を揺すったりくねらせたりしている由紀の口からよがり泣くような声が洩れはじめた。
「いやらしい腰つきだなァ。早く入れてといわんばかりじゃないか。それとも、もう入れてほしくてたまらないのか?」
 ネチネチと言葉でも嬲りながら、小野は刷毛バイブをクリトリスに当てたまま、指で膣口のあたりをまさぐって、クチュクチュと濡れた卑猥な音を響かせている。
「ああっだめェ……いやっ、焦らしちゃいやァ……入れてェ」
 由紀が狂ったように腰を揺すって催促する。
「指でいいのか?」
 小野に聞かれて、ウンウンうなずく。
 小野が由紀の目隠しのスカーフを解いた。
「じゃあ、由紀の大好きないやらしいいい方でそういってみろ」
 由紀の顔は興奮しきっていた。その顔をそむけると、
「ああ、由紀のビチョビチョになってる、いやらしいオマ×コに、小野さんの指、入れてください」
 井沢が耳を疑うような露骨なことを口走る。それでいて由紀は、恥ずかしがるどころか興奮に酔ったような表情を浮かべている。
(由紀があんなことをいうなんて……)
 信じられないと思いながらも、ズボンの前を突きあげている分身がズキズキ疼くほど興奮を煽られた井沢の眼に、小野の指がヌル〜ッという感じで由紀の蜜壷のなかに没していくのが見えた。
 悩ましい表情を浮かべてのけぞった由紀の口から、ふるえをおびたような喘ぎ声が洩れた。すぐに由紀はいやらしく腰をうねらせて、きれぎれに泣くような喘ぎ声を洩らしはじめた。
 小野は蜜壷を中指で嬲りながら、同時に親指でクリトリスをこねていた。
「ああ〜ん、いいっ……気持ちいいっ」
 由紀が泣き顔で快感を訴える。
「どこが?」
 小野が聞く。
「クリちゃんとオマ×コ、いいっ」
「欲張りだな、由紀は」
「だってェ……ああっ、たまんないっ」
 二人のやり取りを聞いているうちに井沢は、まるで別人の由紀を見ているような気持ちになっていた。
 そのとき小野が嬲るのをやめて、さらに由紀に煽情的な格好を取らせた。ひざまずいて上体を突っ伏し、ヒップを高々と突きあげた格好だった。
 小野は先が房のようになった鞭を手にしていた。
「久しぶりに由紀のマゾ尻を叩いて気合を入れてやるか」
 いうなり由紀のヒップを打ちすえた。鈍い音が響くと同時に由紀は呻いてヒップを振りたてた。
 小野はつづけざまに由紀のヒップに鞭を浴びせはじめた。
 鞭打たれるたびに悲痛な声をあげてヒップを振りたてる由紀を見て、井沢はカッとなった。由紀の痛みが井沢にも伝わってきて、まるで自分が鞭打たれているような錯覚に襲われて頭に血が上ってくる。思わず飛びだしていって小野をブン殴ってやりたい衝動にかられた。
 それをぐっとこらえた。由紀が可哀相でならなかった。
 ところがそのうち、またしても信じられないようなことが起きた。あろうことか、由紀が井沢にもはっきりそうとわかるほど感じた声をあげはじめたのだ。そればかりか、
「ああっ、お尻がズキズキしてたまんない! もっとォ、もっとぶってッ」
 と興奮した声をあげ、真っ赤に色づいたヒップをくねくねと振って催促する。
 小野が振りおろした鞭が鋭くヒップを打ちすえた。由紀が感じ入った呻き声を放った。ずるずるとベッドの上に伸びたかと思うと、
「イク〜、イク〜」
 とふるえをおびた声で絶頂を訴えながら、躯を痙攣させた。
 井沢は茫然としていた。
 すると小野が由紀を後ろ手に縛っているロープを解いて抱き起こし、興奮して息を弾ませている由紀の前に黒ずんだ怒張を突きつけた。
 由紀はうっとりとした表情で舌をからめ、じゃれつかせるようにして怒張全体を舐めまわしていく。そして咥えると、せつなげな鼻声を洩らしながら、顔を振ってしごく。しかも早くそれを入れてほしいといわんばかりに、赤らんだヒップをもじつかせながら。
 やがて小野が由紀を押しやった。ベッドにあお向けに寝たのは小野のほうだった。由紀の手を取り、若い井沢ほど元気はないが黒ずんだ鈍器のようなペニスをまたがらせると、それを手にして由紀のクレバスをまさぐる。
 由紀が喘いで腰をくねらせた。小野の怒張が由紀の蜜壷に没していく。
「あああっ!」
 完全に腰を落としきった由紀がふるえ声を洩らし苦悶の表情を浮かべてのけぞった。
「ほら、由紀が一番気持ちいい仕方で腰を動かしてみろ」
 小野の両手で乳房を揉まれながらいわれて、由紀はしゃくるようにして腰を振りはじめた。
「ああン、いいっ、気持ちいいっ……もうイッちゃいそう……」
 狂おしそうにのけぞりながら弾む息で快感を訴える由紀を見て、井沢の脳裏を、由紀が日記に書いていたことがよぎった。
 いままで井沢とのセックスでは、由紀のほうから先に、イクという言葉を発したことはなかった。その言葉を発するときは、いつも井沢に合わせてだった。
(それがフリだったのか……)
 目の前で快感を貪っている由紀に、井沢はふたたび激しい嫉妬と怒りをかきたてられていた。


 井沢は手早く服を脱いだ。ブリーフの前がジトッと濡れていた。覗き見している間にとろとろと先走り液が流れだしていたからだった。
 玄関まで小野を送っていった由紀がドアをロックする音がした。
 もどってきた由紀は、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。黒いガーターベルトとストッキングをつけただけの格好で、小野に鞭打たれたヒップがまだ赤らんでいた。
 井沢はそっとクロゼットから出た。由紀は気がつかない。井沢がベッドのそばに落ちていたスカーフを拾いあげたとき、気配を感じたのか、振り向いた。
 素っ裸の井沢を見ても由紀は声もなく、ポカンとしていた。反応らしい反応もないところがショックの大きさを物語っていた。
 井沢が襲いかかると、ようやくいやがって暴れだした。
 井沢は無言だった。いくらでもいいたいことはあったが、激しい怒りと嫉妬が井沢から言葉を奪っていた。
 スカーフで由紀を後ろ手に縛りあげると、激情を叩きつけるようにヒップに平手打ちを 浴びせた。悲鳴をあげて悶える由紀がますます井沢の激情を煽って、狂ったようにヒップ を叩いた。
 そのうち井沢はふと、我にかえった。いつの間にか由紀はおとなしくなっていた。明らかに興奮しているとわかる息遣いになって、焦れるようにヒップをくねらせていた。
 赤々と色づいた尻朶の間に覗いている、ジットリと濡れた秘苑を目にしたとたんに、井沢は激しく欲情した。由紀をあお向けにするなり、怒張で蜜壷を貫き、レイプするように荒々しく突きたてた。
 由紀は苦悶の表情を浮かべてかぶりを振った。そして、すぐに繰りかえしのけぞって、感じた声をあげはじめた。
「こんなことされて、いいのかよ!?」
 初めて井沢が発した言葉は怒声になった。
「ああっ、友ッ、いいっ、いいの〜」
 由紀は快感を訴えた。
「どこが? どこがいいのかいってみろ!」
 激しく突きたてながら井沢は問いつめた。
「ああン、オマ×コ……オマ×コいいッ」
 由紀は興奮を煽られたようにいうと、よがり泣きしはじめた。
 そんな由紀を見て、井沢のほうはやりきれない気持ちになってきた。それでも闇雲に突きたてた。やりきれない気持ちを振りきるように−−。


【5】
 その夜、由紀は井沢に謝って小野と別れるといった。それで井沢も許す気持ちになった。まだ由紀への未練があったからだった。
 ところがセックスしようとすると、井沢のほうはいやでもクロゼットのなかから覗き見た光景を思いだしてしまう。そこで由紀を縛って責め嬲ってみた。しかし、由紀が感じれば感じるほど小野の代役を勤めているように思えてきて、興奮するどころかあの夜と同じようにやりきれない気持ちになった。
 結局、由紀とは別れた。二カ月ほど前のことだった。


 やっと仕事を片づけて応接室を覗いてみると、桑野真帆はソファの上に横になって眠っていた。
 井沢はドキッとした。真帆が片方の膝を立て、そのためミニ丈のタイトスカートがずりあがり、ストッキングにつつまれた形のいい脚がほとんど太腿の根元ちかくまで露出していたからだ。
(声をかけて揺り起こすべきか、それとも……)
 一瞬、井沢は逡巡した。が、すぐに思った。
 ちょっとだけ見るぐらいなら、かまやしないだろう。彼女もいってたように、クリスマスイブの夜なのに、こんなに遅くまで残業してたんだ。これぐらいのプレゼントをもらってもバチは当たらないんじゃないか。
 井沢はドキドキしながら、桑野真帆の足もとにいってしゃがみ込んだ。スカートのなかを覗くと、エロティックな眺めがモロに見えた。
 肌色のストッキング越しに、薄いピンク色のショーツが透けている。しかもよく見ると、ショーツはレースで、下腹部のモッコリと盛りあがったあたり、かすかにだが黒いヘアのようなものまで透けている。
 すこぶる煽情的な眺めを前にして、たちまち井沢の分身はムクムクとエレクトし、ズボンの前を持ちあげてきた。
 正直すぎるほど正直に反応してしまった分身に困惑しながら、井沢は真帆の顔を見やった。
 驚いた。泣いたらしい。もう乾いていたが目尻から耳に向けてひと筋、わずかに化粧が剥がれたあとが残っていた。
(やっぱり、彼氏となにかあったのかもしれない……)
 井沢はそう思いながら、またスカートのなかを覗いた。
 イブの今夜、彼女は彼氏とホテルにでも行ってエッチを愉しもうと思い、期待をこめてお気に入りのこのショーツを選んだんじゃないか。だけど彼氏との間にまずいことがあって当てがはずれた−−というより別れ話でも出たのかもしれない。
 そんな想像が頭に浮かんできたからか、それまで以上に薄いピンク色のショーツが悩ましく見えた。
 あらためて井沢は真帆のようすをうかがった。
 黒光りした艶やかなロングヘアを褥に、整っているうえに色っぽさもある美人顔をやや横向きにして、すっかり眠りこけている。両手は上着丈が長めの濃紺のスーツの胸の上で組んでいた。
(もっとよくスカートのなかを見てみたい!)
 井沢のなかに衝動に似た欲望が込みあげてきた。
 ドキドキして真帆のようすをうかがいながら、伸ばしているほうの脚の足首を、そっとつかんだ。
 真帆は眠ったままだ。井沢の胸は息苦しいほど高鳴っていた。そのままそろそろと膝を立てさせていった。
 井沢は固唾を呑んだ。真帆の両膝を立て、しかも開きぎみにしたため、タイトスカートがますますずりあがって、ほとんど下半身が露出した状態になったのだ。井沢の眼は真帆の股間に釘づけになった。
 肌色のパンストの下に透けている薄いピンク色の総レースのショーツは、ヒップを完全に包み込むタイプで、ハイレグカットになっている。
 井沢の目が釘づけになっているのは、その中心部だった。黒いモノが透けて見えているモッコリと盛りあがった丘−−その下のクレバスにパンストのシームラインが食い込み、左右の肉と一緒にプックリと下着が迫りだしている。
(たまんない……)
 いやでも真帆の秘めやかな部分を生々しく想像してしまい、井沢のズボンのなかで怒張と化しているモノがビクン、ビクンと脈動した。
 その瞬間、井沢は弾かれたように顔をあげて立ちあがった。突然「いやっ!」という悲鳴をあげた真帆も、跳ね起きていた。
 真帆は怒りを露わにして井沢を睨みつけた。
「井沢くん、なにしてたの!?」
「なにも……俺はただ、桑野さんが眠ってたから、起こそうと思って……」
 井沢はしどろもどろになっていいわけをした。
「ウソッ! 変なことしてたじゃないの。そうでしょ!?」
「変なことなんかしてませんよ」
「ひどいわ。シラを切るつもり!? あなたって、スケベなだけじゃなくてそんなに卑怯な人だったの!? 最低だわ」
 真帆は激昂してまくしたてた。
「そんな人に変なことされたと思ったら、わたし、許せない。セクハラで訴えるわ」
「そんな……ちょっと待ってよ」
 吐き捨てるようにいって立ちあがった真帆を、井沢はあわてて引き止めた。
「離して! 触らないでよ、汚らわしい!」
 真帆は井沢の腕を振り払った。
 井沢は逆上した。侮蔑されても耐えていた怒りが一気に爆発し、真帆に襲いかかった。
 真帆は悲鳴をあげて暴れた。真帆のいやがる声と抵抗がますます井沢を逆上させた。しかも相手は由紀に似たタイプの真帆だ。由紀とのことでくすぶっていた気持ちも、逆上に拍車をかけていた。
 井沢はソファの上で真帆に馬乗りになって服を剥ぎ取っていった。上半身裸に剥いて両手をネクタイで後ろ手に縛り、抵抗を封じて全裸にすると真帆をソファに坐らせ、パンストを使って両脚を大股開きの格好にソファに縛りつけた。
「いやっ! ほどいて! こんなことして、ただですむと思ってるの!? わたし、絶対に許さないわよ」
 真帆は怒りや恥辱でいたたまれないような表情を浮かべた顔をそむけたまま、ふるえ声でいった。
「勝手にしろ。そのときは俺もいうよ。突然あんたが会社に来て誘惑されたって」
 いうなり井沢はあからさまになっている秘唇を両手で押しひろげた。
「やっ!……」
 息を呑むような声を洩らして真帆は腰をもじつかせた。
「それより、よくも人のことをコケにしてくれたな! この格好で、もういっぺんいってみろ」
 こんどは井沢のほうが睨みつけていうと、真帆はそむけたままの顔に屈辱を噛み殺したような表情を浮かべた。
 井沢は真帆の股間に見入った。ぬめ白い内腿が小刻みにふるえている。ヘアはかなり濃密だった。パールピンクのクレバスも露わに菱形に開口している秘唇のまわりにも、縮れ毛が口髭のように生えている。
 それに、それなりの経験を物語るように秘唇の形状が鶏頭の花に似ていて、美人顔とは対照的に秘苑全体の眺めはひどく淫猥な感じだ。
 その眺めがますます井沢の欲情を煽った。
 いきなり井沢は秘苑に口をつけた。
「いやっ、やめてっ!」
 真帆は狼狽した声をあげて自由にならない腰を振った。
 舌でクリトリスを攻めたてるようにこねまわす井沢の鼻先を、かすかにアンモニア臭と乳臭さがまじった匂いがかすめた。
「や、やめ……あっ、だめ、あんっ……あはんッ、ああッ……」
 いやがる真帆の声が戸惑ったような声から明らかに感じた声に変わってきた。クリトリスもみるみるふくれあがってきた。
 井沢が舌を躍らせながら見あげると、真帆は悩ましい表情を浮かべて繰りかえしのけぞり、そのたびにみずみずしく紡錘形に張りだした乳房を生々しく弾ませている。
 やがて、真帆がきれぎれに泣くような声を洩らして、狂おしそうに裸身をうねらせはじめた。泣き声が切迫してきて、井沢の顎が密着している膣口がピクピク痙攣する。
 井沢は止めを刺すように硬く勃起したクリトリスを舌で弾いた。
「ああ、だめ……イクッ、イクイク〜ッ!」
 真帆はふるえをおびた泣き声を放って上体を大きく反らせ、ガクガク腰を揺すりたてた。
「スケベで卑怯な男にオマ×コ舐められてイッたんじゃ、世話はねえよな」
 興奮しきった顔つきで息を弾ませている真帆を見て、井沢は勝ち誇ったように皮肉をいい、指先で膣口をまさぐった。
 クチュ、クチュと、濡れた卑猥な音が響いた。
「いやっ、だめ……あんッ、だめ……」
 真帆は喘ぎ顔になってかぶりを振り、淫らに腰をうねらせる。
 膣口をこねまわす井沢の指は、複雑な秘肉が迫りだすように盛りあがってきたのと一緒にカズノコを撫でまわしているような感触をとらえていた。
 真帆が催促するような腰つきになってきた。
 井沢は指を挿入した。ヌル〜ッと蜜壷を貫いた指に、真帆は感じ入った声を洩らしてのけぞった。
「おおっ、真帆のオマ×コ、名器じゃないか。指を締めつけて咥え込んでるよ」
 井沢は初めて先輩の桑野真帆を呼び捨てにしてうわずった声をあげた。大股開きの状態にありながら、蜜壷に没した指を、上下の秘肉が挟みつけるようにして締めつけ、蜜壷全体が蠕動するように蠢いて咥え込んでいくのだ。
 すこぶるエロティックな感触に興奮を煽られて井沢は指を抜き挿しした。
 真帆は井沢の指の動きに合わせてたまらなさそうに猥りがわしく腰をうねらせながら、泣くような喘ぎ声を洩らしはじめた。


【6】
「ああ〜ん、もうだめ……イッちゃうからだめ〜」
 真帆は興奮に酔いしれた顔つきになって腰を波打たせながら、艶めかしい声でうわごとのようにいう。
「イケよ。そのかわり、もうセクハラで訴えるなんてバカなことはいうなよな」
 そういって井沢がなおも指を抜き挿ししていると、「うう〜ん」とひときわ感じ入った声を洩らし躯をよじってのけぞった。
「ああっ、イクッ! だめ、出ちゃう!」
 絶頂のふるえを湧きたてながら妙なことを口走ったかと思うと、真帆は井沢を驚かせる反応を見せた。ピュッ、ピュッと、たてつづけにクレバスから液体を噴出させたのだ。
「驚いたな。潮吹きだったのか!?」
 指を抜いて立ちあがった井沢が濡れた手を振りながらいうと、
「そんな……」
 真帆自身、驚き戸惑っているようすで口ごもった。
「なに? 初めてなのか!?」
 真帆はうつ向いて小さくうなずいた。偶然にも井沢の指が、蜜壷に潜んでいたGスポットをこすりつづけていたのかもしれない。
 それよりも井沢は、急にしおらしくなった真帆を見て勝ち誇ったような気持ちになって、手早く服を脱ぎ捨てていった。裸になってソファにあがると、腹を叩かんばかりにいきり勃ったペニスを手で押さえて真帆の前に突きつけた。
「ほら、初めて潮を吹いちゃうぐらいよかったんだから、こんどは真帆がしゃぶってくれよ」
 真帆は眼をつむり、素直に舌を這わせてきた。陶然とした顔つきで怒張全体をねっとりと舐めまわし、咥えると鼻声を洩らして顔を振ってしごく。
 それを見おろしながら井沢は、ゾクゾクする快感をこらえて聞いた。
「もうソレがほしくてたまんないんだろう」
 真帆は怒張から口を離した。
「ああ、してっ……メチャメチャにしてっ」
 興奮しきった顔つきで怒張を見つめたまま、激情にかられたようにいう。
 井沢は真帆の前にまわって、怒張でクレバスをまさぐった。亀頭でふくれあがったクリトリスをこすり膣口をこねてやると、真帆は激しくかぶりを振って、
「いやッ、だめ……きてっ」
 と、たまらなさそうに腰を揺する。
 井沢は焦らしながらいった。
「だったら、チ×ポをオマ×コに入れてっていってみろ」
「そんな……」
 真帆は顔と一緒にロングヘアを振りたてた。
「じゃあ入れてやらない」
 井沢がなおも焦らすと、腰を揺すりながら発情した顔をそむけて、
「ああん、もう知らない……チ、チ×ポ、オマ×コに入れてっ」
 先輩の美人女子社員が口にした卑猥な言葉に井沢も興奮を煽られて突き入った。一気に奥まで貫くと、真帆は苦悶の表情を浮かべて達したような声を洩らしてのけぞった。
 井沢は腕立て伏せをしているような格好のまま、肉棒を抜き挿しした。
 それに合わせて真帆は狂おしそうにのけぞりながら、感泣するような声を洩らす。井沢も“甘手”でしごかれているような名器の感触に怒張がとろけそうな快感に襲われる。
 繋いだまま、井沢は真帆の拘束を解き、ソファに押し倒した。突きたてながらキスしようとすると、真帆は顔を振って拒んだ。が、井沢が無理やり唇を重ねて舌を入れていくと、真帆もねっとりと舌をからめてきた。
 そればかりか両腕を井沢の背中にまわしてきて、せつなげな鼻声を洩らしながら、井沢の動きに合わせて腰をうねらす。
「ああ、いいっ……たまんないっ」
 顔を振って唇を離した真帆が息せききっていった。
「どこが?」
「オマ×コ……オマ×コいいっ」
 鸚鵡返しにいう真帆に井沢のほうが興奮を煽られてたまらなくなった。激しく突きたてながら聞いた。
「俺もいいよ。もう出したくなった。出していいか?」
 真帆はウンウンうなずく。井沢はフィニッシュ・ブローを叩き込んだ。真帆がよがり泣きながら絶頂を訴える声に合わせて突き入ると、こらえていた快感液を一気にほとばしらせた。


 裸のままソファに並んで坐っている二人の間に、気まずい雰囲気が横たわっていた。井沢だけでなく、真帆のほうもどういう言葉を発していいかわからないようすだった。
 そのとき真帆がテーブルの上の電話を引き寄せて受話器を取りあげた。井沢はあわてていった。
「どこにかけるんだ?」
「支店長の自宅よ」
 真帆は投げやりな口調でいった。
「そんな……セクハラじゃないじゃないか」
 井沢は声を高め、真帆の手から受話器を奪って電話器にもどした。なぜか真帆は笑っていた。
「わたし、それで電話しようとしたわけじゃないわ。お別れにひと言、いってやろうと思ったのよ」
 井沢がわけを聞くと、真帆は自嘲ぎみの笑いを浮かべ、井沢の股間に手を這わせてきて話しはじめた。
 −−支店長の町田とは、入社まもなくから特別な関係がつづいていて、これまで真帆のほうは家庭がある町田の立場を考えて我慢するところは我慢してきた。ところが、ずるずると関係をつづけているうちに、町田にとって自分は都合のいい女でしかないのではないかと思いはじめた。
 そこでイブの今夜、町田に真摯な気持ちがあれば家族サービスは後まわしにして、少しでも付き合ってくれるはず……と思い、それを期待してホテルに部屋に取り、町田を誘った。だが町田は応じてくれなかった。
 仕方なく、一人でホテルのバーに入ってやけ酒を飲み、帰ろうと思ったがタクシーがつかまらないのでブラブラと駅まで歩いているうちに、会社の窓に明かりが灯っているのを見て、覗いてみた……というのだった。
「でも、井沢くんにひどいことされたせいで、町田と別れる決心がついたわ」
 真帆は艶めかしい眼つきで井沢をなじるように見て、皮肉めいたことをいった。
 井沢はとっさにかえす言葉もなく、さっきから真帆の手で弄られてふたたびエレクトしてきているペニスに眼を落とした。
 真帆がペニスから手を離して立ちあがった。電話器をそばに引き寄せて井沢の膝にまたがり、またペニスを手にすると、ヌルリと蜜壷のなかにおさめて腰を落とした。
「ああっ……このまま、町田に電話してやるわ」
 唖然としている井沢を尻目に真帆はクイクイと腰を振りながら、プッシュフォンのボタンを押していく。
 井沢も真帆が耳に当てている受話器に耳をつけた。呼びだし音が二回して真帆はすぐに電話を切り、またかけ直した。どうやらそれが合図らしい。こんどはすぐに町田の声が出た。
「わたしよ、真帆……」
「ああ。どうもいつもお世話になってます」
 妻がそばにいるのか、仕事関係からの電話を装った町田だが、声は明らかにうろたえていた。
「もうそんなにあわてることはないわよ。あなたとは今夜でお別れするわ」
「え!?……いやァ、そんなことおっしゃらずに、ぜひもういちど考え直してくださいよ」
「それは無理よ。わたしがいま、どこでなにをしてると思ってるの? あなたが来てくれなかったホテルの部屋で、あなたより若くて元気がいい男性の膝にまたがってエッチしてる最中なのよ」
「そんな……ウソだろ!?」
 町田が声を低めていった。さっきとはちがった意味でうろたえているようすだ。
「信じないの?……ああン、いいっ。わたしの恋人だった男よりずっといいわァ」
 真帆は腰を振りながら、艶めかしい声をあげた。
 町田は黙っている。沈黙がなにより町田の胸中を物語っていた。
「どう? わかったでしょ、町田さん。あなたには奥さん以外の女を愛する器量ってものがないのよ。せいぜい奥さんのオッパイでもしゃぶっていなさいよ。じゃ、さようなら」
 真帆は捨てゼリフを吐くと受話器を置き、井沢にしがみついてきた。
 狂ったように腰を振ってよがる真帆に煽られて、井沢も腰を突きあげた。ふと、真帆が由紀の代わりになってくれるのではないかと思い、それを期待しながら。



  • モンスター討伐ポイント
    名称ポイント弱点耐性ドロップ
    I��I��
    アルギュロス(エンシェントドラゴン)8,0008,000打刺
    火 水 風 土
    古竜の剛鱗 古竜の剛牙 古竜の剛骨 古竜の剛翼 古竜の頭頂石古竜の剛鱗 古竜の剛牙 古竜の剛骨 古竜の剛翼 古竜の頭頂石
    ソドム(アースドラゴン)8,0008,000打刺 土土竜の剛鱗 土竜の剛牙 土竜の剛骨 土竜の剛翼 土竜の頭頂石土竜の剛鱗 土竜の剛牙 土竜の剛骨 土竜の剛翼 土竜の頭頂石
    アルハカム(アイアンゴーレム)4,5004,500打 火刺 土鉄人形の凄腕 鉄人形の頭 鉄人形の真核 虹玉鋼鉄人形の凄腕 鉄人形の頭 鉄人形の真核 虹玉鋼
    ゴグマゴグ(ロックガーディアン)4,2504,250打 水刺 土岩人形の凄腕 岩人形の頭 岩人形の真核 蒼苔玉岩人形の凄腕 岩人形の頭 岩人形の真核 蒼苔玉
    アイアンゴーレム2,5002,500打 火刺 土鉄人形の凄腕 鉄人形の頭 鉄人形の真核 虹玉鋼鉄人形の凄腕 鉄人形の頭 鉄人形の真核 虹玉鋼
    イウロ(スコーピオン)
    アクト(キラースコーピオン)

  • 獲得アイテム
    ��古代竜の三角柱
    古竜の剛鱗 古竜の剛牙 古竜の剛骨 古竜の剛翼 古竜の頭頂石
    宝玉【二級】 ヒールポーション�� マナポーション�� ○○の星石
    ???の剣 ;???の槍 ???の盾
    ��古代竜の四角柱 オルキデコットン
    古竜の剛鱗 古竜の剛牙 古竜の剛骨 古竜の剛翼 古竜の頭頂石
    宝玉【二級】 ヒールポーション�� マナポーション�� ○○の星石
    ???の剣 ;???の槍 ???の盾


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  • 追加クエスト4再度立ち上げましたもう二度と破壊工作しないで!!再三繰り返すようなら完全な悪質行為です皆さんの良識で断固糾弾してください -- 2012/02/02 (木) 21:14:38


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